JPH07310180A - 低圧環境下での薄膜形成方法 - Google Patents

低圧環境下での薄膜形成方法

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JPH07310180A
JPH07310180A JP9893894A JP9893894A JPH07310180A JP H07310180 A JPH07310180 A JP H07310180A JP 9893894 A JP9893894 A JP 9893894A JP 9893894 A JP9893894 A JP 9893894A JP H07310180 A JPH07310180 A JP H07310180A
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JP
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thin film
gas
vacuum
vacuum chamber
substrate
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JP9893894A
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Yoshiyuki Yamada
芳幸 山田
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 密着性に優れた薄膜を短時間で形成すること
ができる低圧環境下での薄膜形成方法を提供すること。 【構成】 気体排出・置換工程では、真空引きによって
真空槽2内の気体が排出され、かつ真空槽2内に希ガス
としてのアルゴンガスが導入される。この気体排出・置
換工程は少なくとも2回以上実施される。気体排出・置
換工程に続く成膜工程では、アルゴンガス環境下におい
て、被着体である窒化アルミニウム基板6上に薄膜形成
用物質である金属原子18が付着される。その結果、短
時間のうちに、基板6上に密着性に優れた金属薄膜19
が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばスパッタリング
法などに代表されるような低圧環境下での薄膜形成方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、被着物の表面に金属やセラミ
ックスなどの薄膜を形成する方法として、例えばスパッ
タリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の
各種の方法が知られている。そして、これらの方法は、
いずれも低圧環境に保たれた真空槽内において薄膜形成
を実施する点が共通している。
【0003】上記のような薄膜形成方法の一つであるス
パッタリング法は、一般的に以下のような手順によって
行われる。まず、真空槽内にある基板支持台(陽極)上
に、被着体である基板を載置する。なお、ターゲット材
支持台(陰極)側には、薄膜形成用物質をターゲット材
としてあらかじめ配置しておく必要がある。次にポンプ
による真空引きによって真空槽内の空気を排出すること
により、真空槽内の環境をいったん高真空(1×10-4
Pa以下)にする。上記のような気体排出工程の後、同
真空槽内にアルゴンガス等の希ガスを導入する。このよ
うな気体置換工程を経ると、真空槽内にある残留ガス
(即ち空気)と希ガスとが置換される。このとき、真空
槽内の環境は、希ガスがグロー放電を行い得る程度の真
空度、即ち1Pa〜0.1Pa程度の低真空に調節され
る。ここで直流電圧を付加すると、陰極側に引き寄せら
れたアルゴンガスによって、ターゲット材から原子が叩
き出される。この原子が陽極側に移行しかつ付着する結
果、基板上に所望の薄膜が形成される。
【0004】そして、上記のようなスパッタリング法
は、例えばセラミックスやプラスティック等からなる絶
縁基板上に、導電性金属からなる導体パターンを形成す
るときの予備工程等として利用されている。また、近年
においては特に配線板のファインパターン化が要求され
ていることからみても、前記絶縁基板に対する金属のス
パッタリング技術は少なからぬ注目を浴びているものと
考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来技術の
場合、真空槽内の環境を常圧から高真空にするために
は、かなり長時間の真空引きが必要になるという欠点が
あった。例えば、真空槽内の真空度を1×10-4Pa以
下にするためには、少なくとも90分〜100分以上の
真空引きを行うことを余儀なくされていた。それゆえ、
スパッタリング用設備の稼働効率が悪くなり、結果とし
て生産性の低下につながるという問題があった。
【0006】上述のような不都合を解消するためには、
例えば前記気体排出工程によって達成される真空槽内の
真空度を1×10-3Pa〜1×10-4Pa程度に低くす
れば良いものと考えられる。つまり、達成すべき真空度
を低くすれば、真空引きに要する時間も当然に短くなる
ことは明白だからである。
【0007】しかし、前記の方法を採った場合、真空槽
内における残留ガスの分圧が相対的に高くなることが避
けられない。この場合、仮に達成すべき真空度を5×1
-3Pa程度に設定したとすると、希ガスの分圧に対す
る残留ガスの分圧の割合は約100分の1になる。な
お、希ガスを加えた時の圧力を5×10-1Paとする。
【0008】そして、このような状態でスパッタリング
を行ったとしても、スパッタリングに及ぼす残留ガスの
影響を無視することができなくなるため、密着性に優れ
た薄膜を得ることが極めて難しくなる。
【0009】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、密着性に優れた薄膜を短時間で形
成することができる低圧環境下での薄膜形成方法を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明では、真空引きによって真空槽内の気体を
排出した後、同真空槽内に希ガスを導入する気体排出・
置換工程と、希ガス環境下で被着体上に薄膜形成用物質
を付着させる成膜工程とからなる低圧の希ガス環境下で
の薄膜形成方法であって、前記気体排出・置換工程を少
なくとも2回以上実施した後に前記成膜工程を実施する
ことを特徴とした低圧環境下での薄膜形成方法をその要
旨としている。
【0011】この場合、前記気体排出・置換工程を構成
する気体排出工程にて、前記真空槽内の真空度を1×1
-2Pa〜5×10-3Paにする真空引きを行うことと
しても良い。
【0012】
【作用】本発明の薄膜形成方法によると、最初に実施さ
れる気体排出・置換工程では、まず真空引きによって真
空槽内の気体が排出された後、同真空槽内に希ガスが導
入される。第1回めの気体排出・置換工程を終えた時点
では、真空槽内の気体中における残留ガスの分圧は希ガ
スの分圧の100分の1以下の値になる。引き続いて実
施される第2回め以降の気体排出・置換工程において
も、同じく真空引きによる残留ガスの排出、希ガスの導
入が行われる。そして、第2回め以降の気体排出・置換
工程を実施すると、残留ガスの分圧が実施前の分圧より
も更に数オーダーほど小さな値になる。
【0013】換言すると、真空引きによって達成すべき
真空度を従来よりも低く設定したときでも、残留ガスの
分圧を小さな値に抑えることができることになる。その
結果、第1回めの真空引きに要する時間が短くて済むよ
うになる。
【0014】本発明の方法において、前記気体排出・置
換工程を構成する気体排出工程にて前記真空槽内の真空
度が1×10-2Pa〜5×10-3Paになるまで真空引
きをすることが好ましい。
【0015】成膜工程に到るまでの所要時間を短縮しか
つ密着性の良い薄膜を得るためには、気体排出・置換工
程を上記のような範囲内で実施することが良いからであ
る。即ち、気体排出工程にて達成すべき真空度を1×1
-2Paより低くすると、残留ガスの分圧を最終的に小
さな値に抑えることができなくなる慮れがある。一方、
前記真空度を5×10-3Paより高くすると、成膜工程
までの時間を充分に短縮することができなくなる慮れが
ある。
【0016】
【実施例】以下、本発明をスパッタリングによる窒化ア
ルミニウム基板上への金属薄膜形成方法に具体化した一
実施例を図1〜図3に基づき詳細に説明する。
【0017】図1には、本実施例において使用されるス
パッタリング装置1の概略が示されている。このスパッ
タリング装置1は、主としてスパッタリングを行う部分
である真空槽2と、油回転ポンプRP及びクライオポン
プCPを持つ排気システム3とによって構成されてい
る。
【0018】真空槽2内には、陽極である基板支持台4
と、陰極であるターゲット材支持台5とが所定の距離を
隔てて配置されている。基板支持台4には被着体である
基板6が支持され、ターゲット材支持台5には薄膜形成
用物質からなるターゲット材7が支持されるようになっ
ている。そして、基板支持台4とターゲット材支持台5
との間には、1kV〜数kVの直流電圧が付加されるよ
うになっている。
【0019】前記真空槽2には、希ガスの1種であるア
ルゴンガスを導入するための希ガス導入管8が連結され
ている。この希ガス導入管8の経路上には、希ガスの流
量を調整するためのバリヤブルリークバルブ9が設けら
れている。なお、前記希ガス導入管8の一端は、図示し
ないアルゴンガスボンベに接続されている。
【0020】また、真空槽2には、内部の気体を排出す
るための主排気管10が連結されている。主排気管10
の経路上には、真空槽2側から順にメインバルブ11、
コンダクタンスバルブ12、クライオポンプCP油回転
ポンプRPが設けられている。また、副排気管14の経
路上には流量調整バルブ15が設けられている。
【0021】そして、この排気システム3の場合、常圧
域から中真空域の真空引きを油回転ポンプRPが担当
し、中真空域から中程度の高真空域の真空引きをクライ
オポンプCPが担当するようになっている。油回転ポン
プRPの場合、常圧域から中真空域における排気効率が
最も良いからである。また、クライオポンプCPの場
合、中真空域から中程度の高真空域における排気効率が
最も良いからである。従って、これらの二種の真空引き
手段を組み合わせることが真空引き時間の短縮化を図る
うえで有効なこととなる。
【0022】上記のスパッタリング装置1を用いたスパ
ッタリングの手順は、以下の通りである。まず、基板支
持台4上に基板6を載置すると共に、ターゲット材支持
台5側に導体パターン形成用の金属からなるターゲット
材7を配置する。
【0023】ここでまず第1回めの気体排出・置換工程
を行う。最初に主排気管10のメインバルブ11を閉
め、かつ副排気管14の流量調整バルブ15を開く。こ
の状態で油回転ポンプRPを作動させ、真空槽2内の空
気を副排気管14を介して排出させる。なお、油回転ポ
ンプRPを用いた初期の真空引きでは、真空槽2内の環
境が常圧からいわゆる中真空(102 Pa〜1×10-1
Pa程度)になる。
【0024】今度はメインバルブ11及びコンダクタン
スバルブ12を開き、かつ流量調整バルブ15を閉め
る。この状態でクライオポンプCPを作動させ、真空槽
2内の空気を主排気管10を介して排出させる。なお、
クライオポンプCPを用いた後期の真空引きでは、真空
槽2内の環境が中真空からいわゆる高真空(1×10-1
Pa〜1×10-5Pa程度)になる。本実施例では、上
記の一連の真空引き(第1回めの気体排出工程)によっ
て、真空槽2内の環境が中程度の高真空(1×10-2
a〜1×10-3Pa程度)になるように設定されてい
る。
【0025】第1回めの気体排出工程の後、いったんコ
ンダクタンスバルブ12を閉めかつバリヤブルリークバ
ルブ9を開く。すると、希ガス導入管8を介して真空槽
2内にアルゴンガスが導入される。この気体置換工程を
経ると、真空槽2内にある残留ガス(即ち空気)とアル
ゴンガスとが置換される。このとき、真空槽2内の環境
が再び低真空になる。
【0026】そして、第1回めの気体排出・置換工程を
終えた時点では、真空槽2内の気体中における残留ガス
の分圧はアルゴンガスの分圧の約100分の1以下の値
になる。なお、真空槽2内の真空度があらかじめ設定さ
れた値まで低下したことを確認した後、バリヤブルリー
クバルブ9を閉めて希ガス導入管8からのアルゴンガス
の導入を停止する。
【0027】第1回めの気体排出・置換工程を終えた
後、続いて第2回めの気体排出・置換工程を行う。第2
回めの気体排出・置換工程では、基本的にクライオポン
プCPのみによって真空引きが行われる。まずコンダク
タンスバルブ12を開くことによって、真空槽2内の残
留ガスを主排気管10を介して排出させる。すると、中
真空であった真空槽2内の環境が再び中程度の高真空に
なる。
【0028】前記気体排出工程の後、いったんコンダク
タンスバルブ12を閉めかつバリヤブルリークバルブ9
を開くことによって、希ガス導入管8を介して真空槽2
内に再びアルゴンガスを導入する。この第2回めの気体
置換工程を経ると、真空槽2内にある残留ガス(即ち空
気とアルゴンガスとの混合気体)とアルゴンガスとが置
換される。このとき、真空槽2内の環境は、希ガスがグ
ロー放電を行い得る程度の真空度、即ち1Pa〜0.1
Pa程度の低真空に調節される。そして、第2回めの気
体排出・置換工程を実施すると、残留ガスの分圧は、第
1回めの気体排出・置換工程の実施直後の分圧よりも更
に数オーダーほど小さな値になる。なお、真空槽2内の
真空度が前記値まで低下したことを確認する。
【0029】上記したように気体排出・置換工程を2回
行った後、続いて成膜工程に移行する。即ち、スイッチ
16を入れることによって、基板支持台4とターゲット
材支持台5との間に数kVの直流電圧を付加する。する
と、陰極側に引き寄せられたアルゴンイオン17によっ
て、ターゲット材7から薄膜形成用物質である金属原子
18が叩き出される。この金属原子18が陽極側に移行
しかつ付着する結果、基板6上に所望の金属薄膜19が
形成される。
【0030】さて、次に上述した本実施例の基板6上へ
の金属薄膜19形成方法の作用・効果について説明す
る。この方法によると、第1回めの気体排出・置換工程
において真空引き及びアルゴン導入を行うと、真空槽2
内の気体中における残留ガスの分圧はアルゴンガスの分
圧の100分の1以下の値になる。
【0031】そして、第2回めの気体排出・置換工程に
おいて同じく真空引き及びアルゴンガス導入を行うと、
残留ガスの分圧は実施前の残留ガスの分圧よりも更に数
オーダーほど小さな値になる。換言すると、この方法に
よれば第1回めの真空引きによって達成すべき真空度を
従来よりも低く設定したときでも、残留ガスの分圧を小
さな値に抑えることができることになる。その結果、第
1回めの真空引きに要する時間が短くて済むようにな
る。このため、スパッタリング用設備の稼働効率も今ま
でよりも向上し、それに伴って生産性の向上が図られ
る。
【0032】また、本実施例の方法によればスパッタリ
ングに及ぼす残留ガスの影響を極めて小さくすることが
できるため、成膜工程を実施することによって密着性に
優れた金属薄膜19を確実に得ることができる。
【0033】次に、前述した実施例の方法の条件を少し
ずつ変更することによって何種類かのサンプルを形成
し、それらに対する評価試験を行った。以下、評価試験
の実施方法について説明する。
【0034】ここでは、表面研削加工が施された窒化ア
ルミニウム基板(表面粗さ0.5μm)6を被着体とし
て用いた。また、チタンターゲット、モリブデンターゲ
ット及びニッケルターゲットの3種のターゲット材7を
用いた。そして、徳田製作所製のマグネトロンスパッタ
リング装置「CFS−12P−100」をスパッタリン
グ装置として使用した。
【0035】サンプル1〜4を作製するにあたっては、
実施例の形成方法の手順に従い、まず第1回めの気体排
出・置換工程を行った後、更に第2回めの気体排出・置
換工程を行った。一方、サンプル5〜8を作製するにあ
たっては、第1回めの気体排出・置換工程のみを行い、
第2回めの気体排出・置換工程を行わないこととした。
つまり、サンプル5〜8はサンプル1〜4に対する比較
例という位置付けになる。また、前記各サンプル1〜8
を作製する際、クライオポンプCPによって達成すべき
真空度をそれぞれ表1の値となるように設定した。
【0036】即ち、実施例のサンプル1〜4について
は、サンプル1から順に9×10-3Pa,7×10-3
a,5×10-3Pa,4×10-3Paに設定した。一
方、実施例のサンプル5〜8については、サンプル5か
ら順に5×10-3Pa,4×10 -3Pa,3×10-3
a,2×10-3Paに設定した。
【0037】それぞれの条件で気体排出・置換工程を行
った後、いずれも同じ条件により成膜工程を実施した。
その結果、図2に示されるようにチタン薄膜19a、モ
リブデン薄膜19b、ニッケル薄膜19cの3層からな
る金属薄膜19を形成した。そして、各サンプル1〜8
ごとに成膜工程までに要したトータルの時間(分)をカ
ウントした。
【0038】続く成膜工程においては、真空槽2内の温
度を75℃に設定してスパッタリングを行った。また、
チタン薄膜19aを形成する際には、0.1μmの膜厚
を得るためにスパッタリング時間を6分に設定した。モ
リブデン薄膜19bを形成する際には、1.0μmの膜
厚を得るためにスパッタリング時間を30分に設定し
た。ニッケル薄膜19cを形成する際には、0.2μm
の膜厚を得るためにスパッタリング時間を7分に設定し
た。
【0039】次にこの金属薄膜19をエッチングするこ
とによって、基板6上に多数の試験用パターン(1mm
角)20を形成した。更に、この試験用パターン20の
表面に金めっき21を施した後、はんだ22を介して引
っ張り試験用のワイヤ23を接合した。そして、前記ワ
イヤ23を用いて金属薄膜19の引っ張り強度(kgf/mm
2 )を測定した。
【0040】ここでは、引っ張り強度が2.0kgf/mm2
以上であれば、金属薄膜19に「最低限度の密着性」が
確保されているものと判断した。また、引っ張り強度が
3.0kgf/mm2 以上であれば、金属薄膜19に「充分な
密着性」が確保されているものと判断した。これらの試
験の結果を表1及び図3のグラフに示す。なお、図3の
グラフにおいて、●は実施例のサンプル1〜4の引っ張
り強度の平均値を表すものである。▲は比較例のサンプ
ル5〜8の引っ張り強度の平均値を表すものである。
【0041】
【表1】
【0042】まず実施例であるサンプル1〜4の結果に
ついて説明する。表1及び図3のグラフに示されるよう
に、サンプル1〜4については、成膜工程までに要する
トータルの時間は34分〜64分であった。また、金属
薄膜19の引っ張り強度は3.4kgf/mm2 〜3.5kgf/
mm2 であった。つまり、どのサンプル1〜6について
も、金属薄膜19に「充分な密着性」が確保されている
ことがわかった。
【0043】ここで密着性の観点からみると、クライオ
ポンプCPによる真空引きによって達成すべき真空度が
高くなるほど、密着性が良くなる傾向があることがわか
る。即ち、前記サンプル1〜4の中でもとりわけサンプ
ル3,4が密着性に優れたものとなる。
【0044】逆に成膜工程までに要するトータル時間の
観点からみると、クライオポンプCPによる真空引きに
よって達成すべき真空度が低くなるほど、トータル時間
が短くなる傾向があることがわかる。即ち、サンプル
3,4よりもサンプル1,2のほうが密着性に優れたも
のとなる。
【0045】以上の結果を総合すると、前記の達成真空
度を9×10-3Pa〜5×10-3Paに設定すること
が、成膜工程までのトータル時間の短縮化及び密着性向
上の両方を実現するうえで特に好ましいものと考えられ
る。更には、前記の達成真空度を7×10-3Pa〜9×
10-3Paに設定することが特に好ましいものと考えら
れる。
【0046】次に、比較例であるサンプル5〜8の結果
について説明する。サンプル5〜8については、成膜工
程までに要するトータルの時間は51分〜101分であ
った。また、金属薄膜19の引っ張り強度は1.5kgf/
mm2 〜3.5kgf/mm2 であった。サンプル7については
トータル時間が51分になる反面、「最低限度の密着
性」の基準値である3.0kgf/mm2 を充足することがで
きなかった。サンプル8についてはトータル時間が61
分になる反面、「充分な密着性」の基準値である3.0
kgf/mm2 を充足することができなかった。また、サンプ
ル9,10については「充分な密着性」を確保すること
ができた反面、成膜工程までに要するトータル時間が長
くなるという結果になった。つまり、以上の評価試験の
結果を総合すると、明らかに実施例の金属薄膜19形成
方法のほうが優るという結論に到達する。
【0047】なお、本発明は上記実施例のみに限定され
ることはなく、以下のような方法に変更することが可能
である。例えば、 (a)実施例にて使用したマグネトロンスパッタリング
装置のほか、例えば3極または4極のプラズマスパッタ
リング、高周波(RF)スパッタリング、非対称交流ス
パッタリング、バイアススパッタリング、ゲッタスパッ
タリング、2極スパッタリング、イオンビームスパッタ
リング、同時スパッタリング、反応性スパッタリング等
の各種のスパッタリング装置を使用しても勿論良い。
【0048】なお、これらのようなスパッタリング装置
を用いる利点は、真空蒸着よりも薄膜の密着力が良いこ
と、膜厚分布が一様になること、高融点物質からなる薄
膜を形成できることなどである。特に、前記実施例にお
いて例示したマグネトロンスパッタリング装置の利点
は、比較的成膜速度が速いこと、樹脂等の低融点基板に
対して薄膜を形成できることなどである。
【0049】また、ここに列挙した各種スパッタリング
装置以外の薄膜形成装置を使用することも可能である。
そのような薄膜形成装置としては、例えば真空蒸着装
置、フラッシュ蒸着装置、分子線エピタキシャル装置、
イオンプレーティング装置、クラスターイオンビーム蒸
着装置等がある。
【0050】(b)成膜工程前の気体排出・置換工程を
3回以上行うこととしても良い。この方法を採ると、気
体排出・置換工程を2回行う実施例のときよりも更に残
留ガスの分圧を小さくすることができる。つまり、第1
回めの真空引きによって達成すべき真空度を従来よりも
低く設定したときでも、残留ガスの分圧を小さな値に抑
えることができることになる。その結果、第1回めの真
空引きに要する時間が短くて済むようになる。なお、こ
れは2回め以降の気体排出・置換工程に要する時間はせ
いぜい2分〜3分であるということにも関係している。
【0051】(c)実施例において被着体として選択し
た窒化アルミニウム基板6に代え、例えばアルミナ基
板、ムライト基板、窒化珪素基板、炭化珪素基板、ベリ
リア基板、窒化ほう素基板等の他のセラミックス基板を
選択しても良い。また、これらのセラミックス基板に限
定されることなく、例えばエポキシ基板やポリイミド基
板等の樹脂基板、銅基板、アルミニウム基板、アルマイ
ト基板等の金属基板、ガラス基板などであっても勿論良
い。
【0052】(d)薄膜形成用材料としてのターゲット
材7は、実施例の評価試験において選択したチタンター
ゲット、モリブデンターゲット、ニッケルターゲットに
限定されることはない。それらの他にも、例えば銅、
金、銀、錫、鉛、アルミニウム、パラジウム、鉄等から
なるターゲット材7であっても良い。勿論、ここに列挙
した金属を任意の組合せにしてスパッタリングすること
ができる。
【0053】なお、実施例にて例示した3種のターゲッ
ト材7を用いて、その上に更に銅めっき層を形成した場
合、基板6との密着性の良い銅めっき層を得ることがで
きるという利点がある。従って、実施例のような金属薄
膜19を形成しておくことは、後に耐熱性や信頼性に優
れた配線板を得るうえで極めて有効であるといえる。
【0054】(e)スパッタリングによって形成される
薄膜は、前記実施例のように金属単体からなるもののみ
に限定されることはない。例えば、スパッタリングによ
って金属の酸化物、窒化物、炭化物等を形成することと
しても良い。また、金属からなる薄膜ばかりでなく、セ
ラミックス等の無機物や樹脂等の有機物からなる薄膜を
形成することも可能である。
【0055】(f)スパッタリング装置の種類によって
はアルゴンガスのほかに、例えばヘリウムガス、ネオン
ガス、キセノンガス等の希ガスを選択することも可能で
ある。但し、この種の装置において通常に良く使用され
るという点、コスト的にも安いという点等から鑑みて、
実施例のようにアルゴンガスを選択することが比較的好
ましい。また、第1回めの気体排出・置換工程のときに
使用する希ガスの種類を、第2回目のときに使用する希
ガスの種類と変更しても特に大きな支障はない。
【0056】(g)実施例にて使用した油回転ポンプR
Pの代わりに、例えばメカニカルブスタポンプ等を使用
しても良い。また、クライオポンプCPの代わりに、例
えば油拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、スパッタイオン
ポンプ等を使用しても良い。なお、実施例のようにクラ
イオポンプCPを使用することは、例えばセラミックス
基板等といった半導体関連機器を製造するうえで極めて
好都合であるといえる。即ち、クライオポンプCPによ
ると、例えば油拡散ポンプ等に比較して清浄な真空が得
られるためである。
【0057】(h)真空引き前の状態、即ち常圧の状態
でまず真空槽2内の希ガス置換を行い、その後に真空引
きによって一気にグロー放電を行い得る真空度まで真空
引きをする、という方法も考えられる。前記方法であっ
ても、真空引きによって達成すべき真空度を従来より低
く設定したときに残留ガスの分圧を小さな値に抑えるこ
とができるという作用効果を奏する。
【0058】ここで、特許請求の範囲に記載された技術
的思想のほかに、前述した実施例及び変更例によって把
握される技術的思想を以下に列挙する。 (1)請求項1または2に記載の発明において、前記希
ガスをアルゴンガスとすること。
【0059】アルゴンガスを用いると、他の希ガスを用
いたときに比べて、薄膜形成方法を実施するときのコス
トを下げることができる。 (2)請求項1もしくは2、または上記の技術的思想1
に記載の発明において、常圧域から中真空域までの真空
引きに適した第1の真空引き手段と、中真空域から高真
空域までの真空引きに適した第2の真空引き手段とを用
いて、真空槽内の真空引きを行うこと。
【0060】この方法であると、第1の真空引き手段ま
たは第2の真空引き手段のうちのいずれかを単独で用い
たときに比較して、真空槽内の真空引き時間をより短縮
化することができる。
【0061】(3)請求項1もしくは2、または上記の
技術的思想1もしくは2に記載の発明において、被着体
上に薄膜形成用物質を付着させるための薄膜形成手段
は、スパッタリング装置であること。
【0062】この方法であると、真空蒸着装置などに比
べて、密着性に優れた薄膜を得ることができる。また、
厚さの分布が一様な薄膜を形成することができると共
に、高融点物質からなる薄膜を形成することができる。
【0063】(4)上記の技術的思想3に記載の発明に
おいて、被着体は配線板用の絶縁基板であり、薄膜形成
用物質は導体パターン形成用の導電性金属であること。
この方法であると、密着性に優れた導電性金属からなる
薄膜を、短時間のうちに絶縁基板上に形成することがで
きる。そして、上記の方法による薄膜を備えた絶縁基板
を出発材料として配線板を作製すれば、配線板の低コス
ト化、耐熱化及び高信頼化を確実に達成することができ
る。
【0064】(5)上記の技術的思想4に記載の発明に
おいて、第2の真空引き手段をクライオポンプCPとす
ること。この方法であると、油拡散ポンプ等に比較して
清浄な真空が得られるため、歩留りを向上させることが
でき、その結果として低コスト化を達成することができ
る。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の低圧環境
下での薄膜形成方法によれば、真空引きによって達成す
べき真空度を従来よりも低く設定したときでも残留ガス
の分圧を小さな値に抑えることが可能なため、密着性に
優れた薄膜を短時間で形成することができるという優れ
た効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低圧環境下での薄膜形成方法を具体化
した一実施例において使用されるスパッタリング装置を
示す概略縦断面図である。
【図2】引っ張り強度試験の実施方法を説明するための
窒化アルミニウム基板の部分拡大断面図である。
【図3】前記試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
2…真空槽、6…被着体としての(窒化アルミニウム)
基板、18…薄膜形成用物質としての金属原子。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空引きによって真空槽内の気体を排出し
    た後、同真空槽内に希ガスを導入する気体排出・置換工
    程と、低圧の希ガス環境下で被着体上に薄膜形成用物質
    を付着させる成膜工程とからなる低圧環境下での薄膜形
    成方法であって、前記気体排出・置換工程を少なくとも
    2回以上実施した後に前記成膜工程を実施することを特
    徴とした低圧環境下での薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】前記気体排出・置換工程を構成する気体排
    出工程では、前記真空槽内の真空度を1×10-2Pa〜
    5×10-3Paにする真空引きがなされることを特徴と
    した請求項1に記載の低圧環境下での薄膜形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20220136402A (ko) 2020-04-01 2022-10-07 캐논 아네르바 가부시키가이샤 성막 장치, 성막 장치의 제어 장치 및 성막 방법

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KR20220136402A (ko) 2020-04-01 2022-10-07 캐논 아네르바 가부시키가이샤 성막 장치, 성막 장치의 제어 장치 및 성막 방법

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