JPH0730936Y2 - デイ−ゼルエンジンの始動制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ディーゼルエンジンの始動制御装置に係
り、特に、予熱方式の始動制御装置に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

一般に、ディーゼルエンジンは始動性がやや困難である
ために、始動用のグロープラグを設け予燃焼室内の温度
を昇温して始動するようになっている。最近かかる予熱
方式のディーゼルエンジンは、始動性能が大幅に改善さ
れて、始動のための予熱待ち時間が短縮され、キースイ
ッチをONにして予熱開始と同時に、スタータースイッチ
を入れてエンジンスターターを駆動するのが常識になっ
てきている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし予熱時間が短縮されているとはいえ、グロープラ
グによる予燃焼室の予熱にかかる時間が０秒というわけ
ではなく、少なくとも始動に必要な温度まで、グロープ
ラグの温度が昇温するには数秒は必要とする。したがっ
て、予熱開始と同時にスターターを回転させた場合は、
所定温度にまで十分昇温されていないグロープラグに、
スターターを回転させることによってエンジンがクラン
キングするために発生するスワールと、インジェクショ
ンポンプより圧送される燃料が降り掛かり、グロープラ
グの昇温時間を更に長くしてしまい、その結果始動性を
悪化させている。また未だ始動できない状態のエンジン
の燃焼室に噴射された燃料は、そのまま燃焼室に留ま
り、始動と同時に着火するために、始動直後に白煙が発
生するという問題がある。

従来、予熱スイッチ投入後グロープラグがノズルから噴
射される燃料を完全に燃焼するに十分な所定の予熱温度
に達した後、エンジン始動回路を閉成し、スターターモ
ータが始動しうるようにした始動制御装置が提案されて
いる（特開昭53-346号）。

この提案に係る始動制御装置によれば、グロープラグの
昇温が促進され、燃焼不良を起こすことなく自動的にエ
ンジンを始動させることができるが、オペレータがキー
スイッチをスターター起動状態にしてもグロープラグが
完全に昇温しない限りは、エンジン始動回路が閉成され
ずスターターが起動しないようになっているため、例え
ば、この始動制御装置を自動車用ディーゼルエンジンに
適用した場合において、暖機以前に交差点や踏切の途中
などでエンジンストップが発生した場合に、スターター
モータで車両を動かし緊急脱出を試みることが不可能で
あり、極めて危険な状態になる。また最近のディーゼル
乗用車は始動性が大幅に向上しており、ガソリン乗用車
と同様の始動性や始動方法が求められている現状におい
ては、オペレーターがスタータースイッチをONにしても
スターターが駆動されないというのは、心理的にも不安
であり、ガソリン乗用車と同様の操作が行えるようにし
たいという要請上からも問題点である。

本考案は、従来の並びに前記提案されているディーゼル
エンジンの始動制御装置における上記問題点を解決する
ためになされたもので、スターターモータ駆動によるエ
ンジンクランキングが開始しても、噴射される燃料や吸
気によるスワールによってグロープラグの昇温動作に影
響を与えるのを阻止し、該プラグの昇温時間を短縮する
ようにしたディーゼルエンジンの始動制御装置を提供す
ることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段及び作用〕

上記問題点を解決するため、本考案は、グロープラグ予
熱回路のON、OFFと連動してON,OFF制御される燃料カッ
ト手段とインテークシャッター手段とを設け、スタータ
ースイッチONによるスターターの駆動によってクランキ
ングを開始しても、グロープラグの予熱温度が所定温度
に達するまで、燃料カット手段の作動によりインジェク
トポンプによる燃料供給を停止させ、また同時にインレ
ットシャッタ手段によりインレットマニフォルドからの
吸気を阻止させるように構成するものである。

このように構成することにより、グロープラグには昇温
中に燃料並びに吸気によるスワールの影響を受けないの
で、昇温動作が阻害されず昇温時間の短縮が計れる。

またインレットシャッタによる吸気の停止により、エン
ジンの圧縮仕事すなわちポンピングロスがなくなり、ク
ランキング回転が上昇する。したがってグロープラグが
所定温度に達しエンジン始動が可能な状態になった時点
におけるクランキング回転を高くすることができるの
で、始動性を一層向上させることができる。

更にまた、グロープラグ予熱時にスターターモータの起
動ができるようになっているので、暖機中においてエン
ジンストップが発生した場合においても、スターターモ
ータによる緊急脱出を計ることができる。

〔実施例〕

以下、実施例について説明する。第１図は、本考案に係
るディーゼルエンジンの始動制御装置の一実施例を示す
概略図である。図において、１はキースイッチ、２はエ
ンジン本体３の予燃焼室に配置されているグロープラ
グ、４はグロープラグ予熱回路のON,OFF制御を行うグロ
ーリレー、５はインジェクトポンプ６の燃料カットソレ
ノイド７のON,OFF制御を行う燃料カットリレー、８はイ
ンレットマニフォルド９に設けられたインテークシャッ
タで、インテークシャッタアクチュエータ10により駆動
されるようになっており、該アクチュエータ10はバキュ
ームタンク11に接続されたスロットルバルブ12のON操作
によって、負圧により作動されるようになっている。そ
して、これらのグローリレー4,燃料カットリレー５及び
スロットルバルブ12は、全てコントローラ13により制御
されるように構成されている。

なお、14はエンジン停止でアース接続させるためのチャ
ージリレー、15はニュートラル以外でONとなるニュート
ラルスイッチ、16は踏むことによりONとなるアクセルス
イッチである。

次にこのように構成された始動制御装置の動作について
説明する。通常のエンジン始動時においては、まずキー
スイッチ１をエンジンONポジションにすると、コントロ
ーラ13によってグローリレー回路がアース接続されてグ
ローリレー４が付勢される。このグローリレー４の付勢
によって、グロー予熱回路が閉成されて、グロープラグ
２が急速に予熱を開始する。

これと同時にグローリレー回路に共通に接続されている
燃料カットリレー回路及びスロットルバルブ駆動回路に
も駆動電流が流れ、燃料カットリレー５を付勢して燃料
カットソレノイド７をOFFにして、インジェクションポ
ンプ６の燃料圧送動作を停止すると共に、スロットルバ
ルブ12を開放してインテークシャッタアクチュエータ10
を負圧で作動させ、インテークシャッタ８を全閉にして
インレットマニフォルド９から進入しようとする吸気を
カットする。

これらの動作は、キースイッチ１をONポジションからス
ターターポジションSTにして、スターターモータが駆動
されてエンジンのクランキングを開始しても継続され、
グロープラグ温度がエンジン始動の可能な適正値になる
まで継続される。

そしてグロープラグ２がこの所定温度に達したことが検
出されると、コントローラ13によりグローリレー回路と
共に、燃料カットリレー回路及びスロットルバルブ駆動
回路が同時に消勢される。それにより燃料カットソレノ
イド７がOFFになって、インジェクトポンプ６より燃料
が供給され、また同時にインテークシャッタアクチュエ
ータ10が復旧してインテークシャッタ８も開放され、イ
ンレットマニフォルド９より空気が取り入れられてエン
ジンは始動を開始する。

以上のようにスターターモータが駆動され、エンジンの
クランキングが開始していても、グロープラグ温度が所
定温度に達しない低い温度の時は、燃料噴射は行われ
ず、また吸気も遮断されているので、吸気によるスワー
ルもグロープラグに当たらず、したがってグロープラグ
の昇温動作には影響を与えないため、昇温速度が向上す
る。

なお、水温が60℃以上の場合はグロープラグの予熱の必
要がないため、その場合は、エンジン本体に設置された
サーモスイッチのON動作によって、コントローラ13は、
エンジン始動操作時にグロープラグの予熱と共に上記の
ような燃料カット並びに吸気の遮断動作は行わないよう
に構成されている。

以上述べたエンジン始動制御装置における各部の動作
を、第２図のタイミングチャートに示す。第２図におい
て、Ａで示す部分は、水温が60℃以下でキースイッチを
ONポジションに放置した場合の各部の動作、Ｂで示す部
分は、同じく水温が60℃以下でキースイッチを、ON→ST
→ONの各ポジションに操作させた場合の各部の動作、Ｃ
で示す部分は、水温が60℃以上でキースイッチを、ON→
ST→ONポジションに操作させた場合の各部の動作をそれ
ぞれ表している。

上記実施例では、インテークシャッタの開閉動作を負圧
式のアクチュエータで行うようにしたものを示したが、
このインテークシャッタはステッピングモータ又はソレ
ノイドモータなどの電気式駆動手段で開閉動作させるよ
うに構成することもできる。

〔考案の効果〕

以上実施例で詳細に説明したように、本考案によれば、
グロープラグの予熱昇温時に吸気によるスワール及び燃
料が該グロープラグに一切接触しないため、予熱時間が
短縮でき始動特性が向上する。また始動時に燃焼室内に
余分な燃料が留まっていないため、始動直後の白煙発生
を防止することができる。また予熱時に吸気カットを行
うため、クランキング回転が上昇し、エンジンの始動特
性が向上する。

更にまたグロープラグの予熱時にスターターモータの起
動もできるようになっているので、心理的に安心感を与
えると共に、暖機中におけるエンジンストップ発生時に
おいて、スターターモータによる緊急脱出を行うことも
可能である等の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係るディーゼルエンジンの始動制御
装置の一実施例を示す概略図、第２図は、その動作を示
すタイミングチャートである。 図において、１はキースイッチ、２はグロープラグ、３
はエンジン本体、４はグローリレー、５は燃料カットリ
レー、６はインジェクションポンプ、７は燃料カットソ
レノイド、８はインテークシャッタ、９はインレットマ
ニフォルド、10はインテークシャッタアクチュエータ、
11はバキュームタンク、12はスロットルバルブ、13はコ
ントローラ、14はサーモスイッチを示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジン始動回路のON操作によりスタータ
   モータを始動させるとともにON制御され所定の昇温温度
   でOFF制御されるグロープラグ予熱回路と、該グロープ
   ラグ予熱回路のON、OFFと連動してON、OFF制御されイン
   ジェクションポンプからの燃料供給を阻止するための燃
   料カット手段及び吸気を遮断するためのインテークシャ
   ッタ手段とを備え、前記グロープラグの予熱温度が所定
   温度に達するまでは燃料をカットし且吸気を遮断するよ
   うに構成したことを特徴とするディーゼルエンジンの始
   動制御装置。