JPH07308695A - 循環式水浄化システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】貯水池内を循環される水を、長期にわたって安
定的に浄化する。 【構成】噴水装置１０の下部に設けられた集水箱１１
に、複数の集水パイプ１６が接続されており、各集水パ
イプ１６の先端部に浄化装置２０がそれぞれ設けられて
いる。各浄化装置２０内には木炭２３が収容されてお
り、木炭２３内に存在する好気性微生物によって浄化装
置２０内に吸引される水が浄化される。浄化された水
は、噴水装置１０によって空気中に噴射されて曝気され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、貯水池、湖沼等に貯留
された水を循環させて浄化する循環式水浄化システムに
関する。

【０００２】

【従来の技術】水が貯留される貯水池では、水中ポンプ
によって水を循環させている間に、水を浄化装置によっ
て浄化する浄化システムが開発されている。このような
浄化システムでは、浄化装置として、通常、木炭等の浄
化材が使用されており、浄化装置内を水が通過する際
に、木炭によって水が浄化されるようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】浄化装置内に配置され
た浄化材としての木炭は、内部に多数の小孔を有してお
り、その小孔内に不純物が付着して水が浄化されるもの
と考えられていた。しかしながら、木炭による水の浄化
は、木炭内の多数の小孔内に存在する好気性微生物によ
って水を浄化することが明らかになった。すなわち、浄
化装置内に配置された木炭内に存在する好気性微生物
が、水内の有機物を分解して消化することにより、水は
浄化されていたのである。

【０００４】このように、木炭が単なる濾過材として機
能するのではなく、木炭内に存在する好気性微生物によ
って水が浄化されているために、好気性微生物は、有機
物を分解して消化する際に、水中の溶存酸素を消費する
ことになる。水中の溶存酸素が減少すると、木炭内の好
気性微生物が死滅し、好気性微生物による浄化ができな
くなり、嫌気性浄化に変化してしまうおそれがある。

【０００５】本発明はこのような問題を解決するもので
あり、その目的は、木炭等に存在する好気性微生物によ
って水を浄化する際に、好気性微生物が死滅することな
く、長期にわたって安定的に水を浄化することができる
循環式水浄化システムを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の循環式水浄化シ
ステムは、水を吸引して空気を混入した状態で吐出する
曝気装置と、好気性微生物が存在する浄化材が内部に収
容された浄化装置とを具備し、この浄化装置を通過した
水が前記曝気装置によって吸引されるようになっている
ことを特徴とするものであり、そのことによって、上記
目的が達成される。

【０００７】

【作用】本発明の循環式水浄化システムでは、浄化装置
内の浄化材内に収容された好気性微生物によって、有機
物が分解されて消化された浄化水が、曝気装置に吸引さ
れて、空気が混入した状態で吐出される。曝気装置から
吐出された水は、空気が混入していることにより、溶存
酸素量が増加した状態で循環されて、浄化装置内の好気
性微生物によって、繰り返し浄化される。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【０００９】図１は、本発明の循環式水浄化システムの
一例を示す概略図である。この循環式水浄化システム
は、図１に示すように、例えば、貯水池５０の中央部の
深みに設置される曝気装置としての噴水装置１０と、噴
水装置１０に吸引される水を浄化する浄化装置２０とを
有している。

【００１０】曝気装置である噴水装置１０は、中空円筒
状の集水箱１１と、この集水箱１１内に配置された水中
ポンプ１５と、集水箱１１に取り付けられた複数本の集
水パイプ１６とを有しており、各集水パイプ１６の先端
部に浄化装置２０が取り付けられている。

【００１１】噴水装置１０の集水箱１１は、上端面１１
ａが閉塞された状態になっており、この上端面中央部
に、垂直状態になった円筒状のドラフトチューブ１２の
下端部が支持されている。ドラフトチューブ１２の上端
部には、噴射ノズル１３は、水面よりも上方に位置する
ように、噴射ノズル１３が嵌合状態で取り付けられてい
る。

【００１２】水中ポンプ１５は、円筒状の集水箱１１内
に配置されたブラケット１４によって垂直状態に支持さ
れており、回転可能になった羽根車１５ａが上端部に設
けられている。羽根車１５ａは、ドラフトチューブ１２
の下端部内に嵌合された状態になっている。

【００１３】集水箱１１の相互に対向する外周面位置に
は、一対の集水パイプ１６の基端部がそれぞれ取り付け
られている。各集水パイプ１６は、それぞれ可撓性を有
しており、集水箱１１からそれぞれ反対方向に延出して
いる。各集水パイプ１６は、貯水池５０の底面上に配置
されている。各集水パイプ１６の先端部に接続された浄
化装置２０は、貯水池５０の周縁部における浅瀬上に配
置されている。

【００１４】各浄化装置２０は、上面が開放された直方
体状のケーシング２１内の下端部に、集水パイプ１６の
先端部に接続された集水管部２２が水平状態で配置され
ている。この集水管部２２は、周面に多数の透孔が設け
られており、この集水管部２２が埋め込まれるように、
ケーシング２１内に、浄化材としての木炭２３が充填さ
れている。そして、木炭２３上に礫２４が積層されてい
る。

【００１５】各集水パイプ１６は、集水箱１１内に配置
された水中ポンプ１５が駆動されることにより、先端部
の浄化装置２０内に水が吸い込まれて、集水パイプ１６
とは連通状態になった集水箱１１の内部に水が流入され
るようになっている。

【００１６】各集水パイプ１６は、例えば、内部を通流
する水に対する抵抗が一定になるように、それぞれの長
さが調節されている。このように、各集水パイプ１６の
長さが調節されて内部の抵抗が一定にされることによ
り、集水箱１１内の水中ポンプ１５によって、全ての集
水パイプ１６内を通って水を吸引することができ、各浄
化装置２０が配置された貯水池５０のそれぞれの周縁部
においても、確実に水が循環される。

【００１７】なお、各集水パイプ１６内を通流する水の
抵抗を一定にするために、各集水パイプ１６の長さを調
節する方法に替えて、各集水パイプ１６の内部にバルブ
等の抵抗調節器を配置するようにしてもよい。この場合
には、各集水パイプ１６内に配置されたバルブ等の抵抗
調節器によって、各集水パイプ１６の内部を流動する水
に対する抵抗が等しくされ、各集水パイプ１６から確実
に水を吸引することができる。

【００１８】このような構成の循環式水浄化システムで
は、噴水装置１０の集水箱１１内に配置された水中ポン
プ１５が駆動されると、各集水パイプ１６の先端部に設
けられた浄化装置２０のケーシング２１上面から、貯水
池５０の周縁部の水が吸引される。これにより、貯水池
５０の各周縁部において水が流動する。浄化装置２０の
ケーシング２１内に吸引された水は、礫２４の間を通過
する間に、水内の挟雑物が除去され、木炭２３の間を通
過する間に浄化される。木炭２３は、多数の小孔を有し
ており、それぞれの小孔内に、有機物を分解して消化す
る好気性微生物が存在している。そして、木炭２３の小
孔内に存在する好気性微生物が、水中に存在する有機物
を分解して消化することにより、水が浄化される。

【００１９】浄化された水は、ケーシング２１の下端部
内に配置された集水管部２２内に吸引されて、集水パイ
プ１６内を通って、集水箱１１内に流入する。集水箱１
１内に流入した水は、集水箱１１内に配置された水中ポ
ンプ１５によって、集水箱１１内に位置するドラフトチ
ューブ１２の下端部内に流入して、ドラフトチューブ１
２内を上方へと流動し、ドラフトチューブ１２の上端部
に取り付けられた噴射ノズル１３によって上方に向かっ
て噴射される。

【００２０】噴射ノズル１３から噴射された水は、空気
を取り込んで溶存酸素が増加した曝気状態で、貯水池５
０内に還流される。貯水池５０に還流された水は、各浄
化装置２０が配置された貯水池５０の周縁部において、
水が流動しているために、貯水池５０の全体にわたって
循環される。このようにして、貯水池５０内の全体にわ
たって循環される水は、溶存酸素量が増加した状態で、
浄化装置２０によって繰り返し浄化される。その結果、
浄化装置２０内の木炭２３内に存在する好気性微生物
が、酸素不足によって死滅するおそれがなく、浄化装置
２０は、好気性微生物によって長期にわたって安定的に
水を浄化することができる。

【００２１】本実施例の循環式水浄化システムでは、水
中ポンプ１５の動力だけで、貯水池５０の全体にわたっ
て確実に水を循環して曝気することができる。

【００２２】図２は、本発明の循環式水浄化システムの
他の実施例を示す概略図である。この循環式水浄化シス
テムは、貯水池５０内に配置された曝気装置３０と、こ
の曝気装置３０に取り付けられた浄化装置４０とを有し
ている。

【００２３】曝気装置３０は、水中に配置された水中ポ
ンプ３１を有している。水中ポンプ３１の吸水管部３１
ａが下方に垂直状態で延出して、水平状態になるように
屈曲されており、内部に配置された撹拌羽根が回転され
ることによって、吸水管部３１ａから水が内部に吸引さ
れて、水平状態に配置された吐出管部３１ｂから水が吐
出されるようになっている。

【００２４】この水中ポンプ３１の吐出管部３１ａに
は、噴射ノズル３３が同軸状態で接続されており、ま
た、垂直状態になった吸気管３６の下端部が連結されて
いる。この吸気管３６は、上端部が貯水池５０の水面よ
りも上方に位置されており、その上端部に吸入部３７が
設けられている。そして、水中ポンプ３１の吐出管部３
１ｂ内を水が通流すると、吸気管３６の吸気部３７から
水面上の空気が吸気管３６内に吸引されて、吐出管部３
１ｂ内を通流する水に空気が混入される。そして、空気
が混入された水が、吐出管部３１ｂに連結された噴射ノ
ズル３３から噴射される。

【００２５】水中ポンプ３１の吸水管部３１ａには、連
結管３４を介して、浄化装置４０が接続されている。こ
の浄化装置４０は、直方体状のケーシング４１を有して
おり、このケーシング４１内は、上面が開放された浄化
室４１ａと、浄化した水が集められる集水室４１ｂと
に、隔壁４１ｃによって分割されている。集水室４１ｂ
の上面は、蓋体４１ｄによって閉塞されている。

【００２６】浄化室４１ａ内には、周面に多数の透孔が
形成された複数の集水管部４２が、上下２段に水平状態
で配置されている。各集水管部４２の一方の端部は、集
水室４１ｂ内に位置されており、集水管部４２内と集水
室４１ｂ内とが連通状態になっている。浄化室４１ａ内
の全ての集水管部４２は、浄化室４１ａ内に充填された
木炭４３によって埋め込まれた状態になっており、浄化
室４１ａ内の木炭４３上に礫４４が積層されている。

【００２７】このような構成の循環式水浄化システムで
も、曝気装置３０の水中ポンプ３１が駆動されることに
よって、浄化装置４０の浄化室４１ａ内に水が吸引され
て、礫４４によって水内の挟雑物が除去されるともに、
木炭４３内に存在する好気性微生物によって水が浄化さ
れる。

【００２８】浄化された水は、浄化装置４０の集水管部
４２によって集水室４１ｂ内に集められて、水中ポンプ
３１の吸水管部３１ａから水中ポンプ３１内に吸引され
て、吐出管部３１ｂ内を通流される。吐出管部３１ｂ内
を通流する水には、吸気管３６から供給される空気が混
入されており、空気が混入した水は、噴射ノズル３３か
ら水中に噴射される。

【００２９】このように、水中に空気が混入して水中の
溶存酸素量が増加した曝気状態で、曝気装置３０から水
が噴射されることにより、貯水池５０内の水が循環し
て、浄化装置４０によって繰り返し浄化される。そし
て、循環される水は、溶存酸素量が増加した状態になっ
ているために、浄化装置４０の木炭４３内に存在する好
気性微生物は、酸素不足によって死滅するおそれがな
く、浄化装置４０は、好気性微生物によって長期にわた
って安定的に水を浄化することができる。

【００３０】

【発明の効果】本発明の循環式水浄化システムは、この
ように、曝気装置によって曝気された水が循環されるた
めに、浄化装置の浄化材に存在する好気性微生物は、水
内の溶存酸素量が不足することにより死滅するおそれが
なく、浄化装置は、長期にわたって安定的に水を浄化す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の循環式水浄化装置の一例を示す概略図
である。

【図２】本発明の循環式水浄化装置の他の例を示す概略
図である。

【符号の説明】

１０ 噴水装置 １１ 集水箱 １２ ドラフトチューブ １３ 噴射ノズル １５ 水中ポンプ １６ 集水パイプ ２０ 浄化装置 ２１ ケーシング ２２ 集水管部 ２３ 木炭 ２４ 礫 ３０ 曝気装置 ３１ 水中ポンプ １２ ドラフトチューブ ３３ 噴射ノズル ３６ 吸気管 ４０ 浄化装置 ４１ ケーシング ４２ 集水管部 ４３ 木炭 ４４ 礫

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水を吸引して空気を混入した状態で吐出
   する曝気装置と、 好気性微生物が存在する浄化材が内部に収容された浄化
   装置とを具備し、 この浄化装置を通過した水が前記曝気装置によって吸引
   されるようになっていることを特徴とする循環式水浄化
   システム。