JPH07308662A - 浄水用フィルタ及びこれを使用した浄水器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、構造が簡単で目詰まりを起こしに
くい浄水用フィルタ及びこれを使用した浄水器を提供す
ることを目的とするものである。 【構成】 本発明による図１に示す浄水器１０は、ろ過
するための原水１８が供給される上容器１１Ａと下容器
１１Ｂとが分離可能に構成された容器１１と、この上容
器１１Ａの上部側に設けられた原水１８を供給するため
の原水供給部１２と、下容器１１Ｂの底部に設置される
浄水用フィルタ１と、この浄水用フィルタ１を固定する
固定手段１３と、下容器１１Ｂの下部側に設けられた浄
水を流出するための浄水流出部１４とを具備している。
この構成より、浄化するための原水１８のろ過を行うに
際して、ろ過面積を広くとることができ、また、目詰ま
りを起こしにくく、更に構造が簡単な浄水器１０を提供
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水道水に限らず河川や
池等の原水をろ過して浄化する浄水用フィルタ及びこれ
を使用した浄水器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の水道水の浄化に用いられている浄
水器には、カートリッジ内部に中空糸膜又は活性炭を配
置してなるフィルタを用いたものが多く知られている。
これは、水道水の蛇口に装着して水道水のカルキ分や有
機物を除去するものである。

【０００３】しかし、この水道水の蛇口に装着する浄水
器は、水道水の水圧に応じて浄化を行うため構造が複雑
となっており、また、水道のない屋外や災害時等の非常
用としては、使用できないという問題があった。

【０００４】また、水道のない屋外や災害時等にも使用
できるタイプの浄水器として図６に示すような浄水器本
体２１の底部に粒状活性炭２２を不織布２３で包んだろ
過材をケース２４に装着して嵌入したもの（特開平４−
２８１８９１号公報）が知られている。

【０００５】しかし、この粒状活性炭２２を不織布２３
で包んだタイプのろ過材では、粒状活性炭２２に付着し
た異物のため目詰まりを起こしやすく、特に水道のない
屋外や災害時等には、汚れのひどい河川や池等の水をろ
過するため、目詰まりのため使用できないという問題が
あった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の浄水器
には、構造が複雑ではなく、しかも汚れのひどい河川や
池等の水をろ過するための浄水用のフィルタがなかっ
た。

【０００７】本発明は、上述した問題に対処してなされ
たもので、構造が簡単で目詰まりを起こしにくい浄水用
フィルタ及びこれを使用した浄水器を提供することを目
的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１記載の浄水用フィルタは、微粒の活性炭が混
入されて保持される板状に形成されたフェルト材よりな
る内部フィルタと、この内部フィルタの原水側に設けら
れ粗粒成分を除去する目の粗いシート状の第１のフィル
タと、内部フィルタの浄水側に設けられ微粒成分を除去
する目の細かいシート状の第２のフィルタとを有し、板
状の内部フィルタとシート状の第１及び第２のフィルタ
とが重層構造をなすことを特徴とするものである。

【０００９】また、請求項２記載の浄水用フィルタは、
前記第１及び第２のフィルタが、紙フィルタよりなるこ
とを特徴とするものである。

【００１０】また、請求項３記載の浄水器は、ろ過する
ための原水が供給される容器と、この容器の上部側に設
けられた原水を供給するための原水供給部と、前記容器
の内部に設置される前記微粒の活性炭が混入され保持さ
れる板状に形成されたフェルト材よりなる内部フィルタ
と第１及び第２のフィルタとが重層構造をなす浄水用フ
ィルタと、この浄水用フィルタを固定する固定手段と、
前記容器の下部側に設けられた浄水を流出するための浄
水流出部とを有することを特徴とするものである。

【００１１】また、請求項４記載の浄水器は、前記固定
手段を前記浄水用フィルタの外周部を挟持するパッキン
とし、浄水用フィルタはこのパッキンより容易に着脱自
在であることを特徴とするものである。

【００１２】また、請求項５記載の浄水器は、原水が供
給される前記容器の上部に、原水の供給を制限する空間
を設けたことを特徴とするものである。

【００１３】

【作用】請求項１記載の浄水用フィルタによれば、目の
粗いシート状の第１のフィルタにて粗粒成分を除去し、
内部フィルタを微粒の活性炭を板状に形成されたフェル
ト材に混入して保持させた構成としているので、活性炭
に付着する異物による目詰まりを防止し、目の細かいシ
ート状の第２のフィルタにて内部フィルタにて除去でき
なかった微粒成分を除去する。

【００１４】また、請求項２記載の浄水用フィルタによ
れば、第１のフィルタを目の粗い紙フィルタに、第２の
フィルタを目の細かい紙フィルタにする。

【００１５】また、請求項３記載の浄水器によれば、ろ
過するための原水が供給される容器内部に、前記内部フ
ィルタと第１及び第２のフィルタとが重層構造をなす浄
水用フィルタを設置し、浄化するための原水のろ過を行
うに際して、ろ過面積を広くとることができ、また、目
詰まりを起こしにくい。

【００１６】また、請求項４記載の浄水器によれば、容
器内部に設置される浄水用フィルタを固定する固定手段
として、浄水用フィルタの外周部を挟持するパッキンと
して原水の浄水側への漏れを防止し、更に、浄水用フィ
ルタはこのパッキンより着脱自在であるので、この交換
を容易にする。

【００１７】また、請求項５記載の浄水器によれば、前
記容器の上部に原水の供給を制限する空間を設けて、原
水を供給する際に発生する圧力の変動を吸収して、浄水
用フィルタにかかる水圧の変動を少なくし、また、浄水
用フィルタにかかる水圧をフィルタ面に対して均一に
し、フィルタ機能の安定化を図る。

【００１８】

【実施例】以下に本発明の実施例を詳細に説明する。

【００１９】図１に示す本発明の浄水器１０の一実施例
は、ろ過するための原水１８が供給される上容器１１Ａ
と下容器１１Ｂとが分離可能に構成された容器１１と、
この上容器１１Ａの上部側に設けられた原水１８を供給
するための原水供給部１２と、下容器１１Ｂの底部に設
置される浄水用フィルタ１と、この浄水用フィルタ１を
固定する固定手段１３と、下容器１１Ｂの下部側に設け
られた浄水を流出するための浄水流出部１４とを具備し
ている。

【００２０】更に、本実施例の浄水器１０は、容器１１
の内部にスポンジ状のフィルタ１５を備えている。この
フィルタ１５は、シュロ等の植物繊維で作られたもの
で、河川や池等の原水１８を浄化するために、この原水
１８の汚濁色素成分等を吸着除去するものである。水道
水のように汚濁色素の少ない水を浄化する際には、この
フィルタ１５は、取り付ける必要はない。

【００２１】また、容器１１の上部には、所定量の空間
（アキュムレータ）１６を設けてあり、この空間により
容器１１に供給される原水１８の量を制限するようにな
っている。

【００２２】浄水用フィルタ１は、図２に示すように微
粒の活性炭２Ａが混入して保持される板状に形成された
フェルト材２Ｂよりなる内部フィルタ２と、この内部フ
ィルタ２の原水側５に設けられ粗粒成分を除去する目の
粗いシート状の第１のフィルタ３と、内部フィルタ２の
浄水側６に設けられ微粒成分を除去する目の細かいシー
ト状の第２のフィルタ４とを有し、板状の内部フィルタ
２とシート状の第１及び第２のフィルタ（３，４）とが
重層構造をなしている。また、第１及び第２のフィルタ
（３，４）は、それぞれ外周部分にて接着されており、
内部フィルタ２を包む袋状に形成されている。

【００２３】内部フィルタ２に使用されている板状に形
成されたフェルト材２Ｂは、それ自体がろ過機能を持つ
繊維状のポリエステルを絡めるようにしてなるもので、
この中に微粒の活性炭２Ａが混入されている。

【００２４】第１及び第２のフィルタ（３，４）は、本
実施例では紙フィルタによりなるものであるが、紙フィ
ルタに限らず、ポリエチレン等の合成樹脂よりなる不織
布を用いることもできる。

【００２５】また、浄水用フィルタ１を下容器１１Ｂの
底部に固定するための固定手段１３は、図３及び図４に
示すように浄水用フィルタ１の外周部の上下を挟持する
上パッキン１３Ａと下パッキン１３Ｂとによりなる。

【００２６】上容器１１Ａと下容器１１Ｂは、螺合部１
１Ｃにて螺合しており、上容器１１Ａを回すことによっ
てそれぞれを分離することができる。この上容器１１Ａ
と下容器１１Ｂとを分離した後、図４に示すように上パ
ッキン１３Ａを取り外して、浄水用フィルタ１を容易に
着脱できるようになっている。

【００２７】ここで、浄水用フィルタ１の固定手段１３
は、浄水用フィルタ１の外周部を挟持する分離タイプの
パッキンではなく、浄水用フィルタ１と一体となってい
るパッキンであってもよい。

【００２８】このように浄水用フィルタ１とパッキンと
を一体化することによって、浄水用フィルタ１の着脱を
更に容易にすることができる。

【００２９】原水供給部１２は、ポンプ等から供給され
る原水１８を流入さるものである。

【００３０】ポンプ等の供給手段がない場合には、人手
により供給することも可能である。この際には、原水供
給部１２を大きくすればよい。

【００３１】浄水流出部１４は、図４に示すように小径
の浄水流出孔１４Ａが多数設けられており、浄水用フィ
ルタ１にて浄化された原水１８はこれらの浄水流出孔１
４Ａより浄水として流出される。

【００３２】この浄水流出部１４は、多孔状のものに限
らず、メッシュ状に形成されたものでもよい。

【００３３】次に、上述した構成の本実施例の浄水器１
０の作用を図５を参照して説明する。

【００３４】図５は、本実施例の浄水器１０と、浄水器
１０に原水１８を供給するポンプ１７と、原水１８が収
容される容器１９とが示されている。

【００３５】まず、利用者は、浄水器１０に原水１８を
アキュムレータ１６が残る所まで供給する。そして、こ
のとき浄水流出部１４から流出される浄水の量に応じ
て、ポンプ１７の水圧又は原水供給量を決める。

【００３６】このアキュムレータ１６は、原水１８を供
給する際に発生する圧力の変動を吸収して、浄水用フィ
ルタ１にかかる水圧の変動を少なくし、また、浄水用フ
ィルタ１にかかる水圧をフィルタ面に対して均一にして
フィルタ機能の安定化を図るようになっている。

【００３７】浄水器１０の容器１１に供給された原水１
８は、まずシュロ等の植物繊維よりなるフィルタ１５に
て汚濁色素成分等が吸着除去される。

【００３８】次に、浄水用フィルタ１の目の粗いシート
状の第１のフィルタ３にて粗粒成分が除去され、そして
内部フィルタ２にて汚濁成分及び悪臭の成分が吸着除去
される。そして、最後に目の細かいシート状の第２のフ
ィルタ４にて内部フィルタ２にて除去できなかった微粒
成分を除去する。

【００３９】浄水用フィルタ１は、第１のフィルタ３に
て粗粒成分を除去し、内部フィルタ２を微粒の活性炭２
Ａを板状に形成されたフェルト材２Ｂに混入して保持さ
せた構成として、活性炭２Ａに付着する異物による目詰
まりが防止されるようになっており、更に、ろ過面積を
広く取れるようにしているため、ろ過材として非常に目
詰まりしにくい構成となっている。

【００４０】

【表１】

【００４１】表１は、ろ過する前の原水１８と、本実施
例に用いた浄水器１０にてこの原水１８をろ過した浄水
の水質の検査を行った結果を比較したものである。

【００４２】この水質検査の結果より、ろ過を行う前の
原水１８の水質に対して、ろ過したあとの浄水の水質
は、すべての試験項目において基準値をクリアしてい
る。特に、汚濁や色素がろ過前の原水１８に対して改善
されており、汚れのひどい河川や池等の水も十分にろ過
できることが示される。

【００４３】上述したように本実施例の浄水器１０によ
ると、ろ過するための原水１８が供給される容器１１内
部に、内部フィルタ２と第１及び第２のフィルタ（３，
４）とが重層構造をなす浄水用フィルタ１を設置したの
で、浄化するための原水１８のろ過を行うに際して、ろ
過面積を広くとることができ、また、目詰まりを起こし
にくく、更に構造が簡単な浄水器１０の提供をすること
ができるものである。

【００４４】また、容器１１内部に設置される浄水用フ
ィルタ１を固定する固定手段１３として、浄水用フィル
タ１の外周部を挟持するパッキンを用いたので、原水１
８の浄水側への漏れを防止しすることができると共に、
浄水用フィルタ１はこのパッキンより着脱自在であるの
で、この交換を容易にすることができる。

【００４５】また、容器１１の上部に原水１８の供給を
制限する空間１６を設けたので、原水１８を供給する際
に発生する圧力の変動を吸収して、浄水用フィルタ１に
かかる水圧の変動を少なくし、また、浄水用フィルタ１
にかかる水圧をフィルタ面に対して均一にし、フィルタ
機能の安定化を図ることができる。

【００４６】また、本実施例の浄水器１０に使用される
浄水用フィルタ１によれば、目の粗いシート状の第１の
フィルタ３にて粗粒成分を除去し、内部フィルタ２を微
粒の活性炭２Ａを板状に形成されたフェルト材２Ｂに混
入して保持させた構成としているので、異物による目詰
まりがしにくく、更に、構造が簡単な浄水用フィルタ１
を提供することができるものである。

【００４７】また、第１及び第２のフィルタ（３，４）
を紙フィルタを使用しているので、重層構造の浄水用フ
ィルタ１を安価に提供することができる。

【００４８】本発明は、上述した実施例に限定されるも
のではなく、種々の変形実施がが可能である。

【００４９】例えば、本実施例では、水道のない屋外や
災害時等にも使用できる貯水タイプの浄水器を想定した
ものであるが、これをもっと小型にして携帯用としても
よい。

【００５０】かかる場合には、登山やキャンプ等でも手
軽に持ち運びができるという効果を奏する。

【００５１】

【発明の効果】以上詳述した本発明の請求項１記載の浄
水用フィルタによれば、目の粗いシート状の第１のフィ
ルタにて粗粒成分を除去し、内部フィルタを微粒の活性
炭を板状に形成されたフェルト材に混入して保持させた
構成としているので、異物による目詰まりがしにくい浄
水用フィルタを提供することができる。

【００５２】また、請求項２記載の浄水用フィルタによ
れば、第１及び第２のフィルタを紙フィルタを使用して
いるので、重層構造の浄水用フィルタを安価に提供する
ことができる。

【００５３】また、請求項３記載の浄水器によれば、ろ
過するための原水が供給される容器内部に、前記内部フ
ィルタと第１及び第２のフィルタとが重層構造をなす浄
水用フィルタを設置したので、浄化するための原水のろ
過を行うに際して、ろ過面積を広くとることができ、ま
た、目詰まりを起こしにくく、更に構造が簡単な浄水器
の提供をすることができる。

【００５４】また、請求項４記載の浄水器によれば、容
器内部に設置される浄水用フィルタを固定する固定手段
として、浄水用フィルタの外周部を挟持するパッキンを
用いたので、原水の浄水側への漏れを防止しすることが
できると共に、浄水用フィルタはこのパッキンより着脱
自在であるので、この交換を容易にすることができる。

【００５５】また、請求項５記載の浄水器によれば、前
記容器の上部に原水の供給を制限する空間を設けたの
で、原水を供給する際に発生する圧力の変動を吸収し
て、浄水用フィルタにかかる水圧の変動を少なくし、ま
た、浄水用フィルタにかかる水圧をフィルタ面に対して
均一にし、フィルタ機能の安定化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の浄水器の一実施例を示す縦断面図

【図２】本実施例の浄水器に使用される浄水用フィルタ
の縦断面図

【図３】本実施例の浄水器の浄水用フィルタを固定する
固定手段の拡大図

【図４】本実施例の浄水器の浄水用フィルタを固定する
固定手段の分解斜視図

【図５】本実施例の浄水器の作用説明断面図

【図６】従来の浄水器の断面図

【符号の説明】

１ 浄水用フィルタ ２ 内部フィルタ ２Ａ 活性炭 ２Ｂ フェルト材 ３ 第１のフィルタ ４ 第２のフィルタ １０ 浄水器 １１ 容器 １２ 原水供給部 １３ 固定手段 １４ 浄水流出部 １６ 空間（アキュムレータ） １８ 原水

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原水をろ過して浄化する浄水用フィルタ
   において、 微粒の活性炭が混入されて保持される板状に形成された
   フェルト材よりなる内部フィルタと、この内部フィルタ
   の原水側に設けられ粗粒成分を除去する目の粗いシート
   状の第１のフィルタと、内部フィルタの浄水側に設けら
   れ微粒成分を除去する目の細かいシート状の第２のフィ
   ルタとを有し、 板状の内部フィルタとシート状の第１及び第２のフィル
   タとが重層構造をなすことを特徴とする浄水用フィル
   タ。
2. 【請求項２】 前記第１及び第２のフィルタは、紙フィ
   ルタよりなることを特徴とする請求項１記載の浄水用フ
   ィルタ。
3. 【請求項３】 原水をろ過して浄化する浄水器におい
   て、 ろ過するための原水が供給される容器と、この容器の上
   部側に設けられた原水を供給するための原水供給部と、
   前記容器の内部に設置される前記微粒の活性炭が混入さ
   れて保持される板状に形成されたフェルト材よりなる内
   部フィルタと第１及び第２のフィルタとが重層構造をな
   す浄水用フィルタと、この浄水用フィルタを固定する固
   定手段と、前記容器の下部側に設けられた浄水を流出す
   るための浄水流出部とを有することを特徴とする浄水
   器。
4. 【請求項４】 前記固定手段を前記浄水用フィルタの外
   周部を挟持するパッキンとし、浄水用フィルタはこのパ
   ッキンより容易に着脱自在であることを特徴とする請求
   項３記載の浄水器。
5. 【請求項５】 原水が供給される前記容器の上部に、原
   水の供給を制限する空間を設けたことを特徴とする請求
   項３又は４記載の浄水器。