JPH07307023A

JPH07307023A - 磁気テープの研磨方法および研磨装置

Info

Publication number: JPH07307023A
Application number: JP9893094A
Authority: JP
Inventors: Satoshi Shimizu; 聡清水; Ikuo Takahashi; 郁夫高橋
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 1994-05-12
Filing date: 1994-05-12
Publication date: 1995-11-21

Abstract

(57)【要約】【目的】ソフトエラーの発生を低く抑えて、得られる
磁気テープのＤ．Ｏ．を低くし、しかも高速研磨処理に
際しても高い研削効果を維持することによって生産収率
を高めることができる磁気テープ研磨装置を提供するこ
と。【構成】巻き取り用リール３ａを備えた巻き取り機構
３と、巻き取り機構３によって巻き取られる磁気テープ
２の磁性層表面を研磨する研磨手段４とを備え、研磨手
段４は、移送用リール７ａを備えた移送機構７と、研磨
面を有し移送機構７により移送される研磨テープ８と、
移送される研磨テープ８をその研磨面の裏側から押圧し
て磁気テープ２の磁性層表面に摺接させるとともに研磨
テープ８の移送に伴って回転する多磁着極磁型の磁性体
からなるローラー９とを備えた構成である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気テープの磁性層表
面を研磨する磁気テープの研磨方法および研磨装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】磁気テ
ープの磁性層表面は、不規則な突起が生じている場合が
ある。この磁性層表面の突起が存在すると、磁気ヘッド
との良好なヘッドタッチが損なわれて磁気テープの録音
再生性能を低下させたり、磁気ヘッドの目詰まりを生じ
る原因となる等いわゆるハードエラーの発生が高くなる
問題がある。

【０００３】この突起を除去する従来技術として、磁気
テープの磁性層表面に研磨テープを圧接摺動させる研磨
方法（特開昭６２−９９７４０号公報）が提案されてい
る。

【０００４】しかしながら、上記の方法では、研磨工程
後に磁性層から研削された研削物が磁気テープ側に残り
易くなるために、いわゆるソフトエラーの発生率が高く
なっていた。したがって、得られる磁気テープのドロッ
プアウト（以下、「Ｄ．Ｏ．」と称する。）も高くなら
ざるを得なかった。また、磁気テープを高速で走行（２
００ｍ／ｍｉｎ程度）させて高速研磨処理を施し、高い
研削効果を得る（ハードエラーの低減）には、テープの
テンションを高くするか若しくはローラーとテープの摺
接角を大きくとらなければならず、かかる場合には逆に
テープの伸びが生じることとなり、生産収率を高めるに
は限界があった。

【０００５】従って、本発明の目的は、ソフトエラーの
発生を低く抑えて、得られる磁気テープのＤ．Ｏ．を低
くし、しかも高速研磨処理に際しても高い研削効果を維
持することによって生産収率を高めることができる磁気
テープの研磨方法および研磨装置を提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、走行する研磨
テープの研磨面を、走行する磁気テープの磁性層表面に
摺接させて該磁気テープの磁性層表面を研磨する磁気テ
ープの研磨方法において、上記研磨テープと上記磁気テ
ープとが摺接する部位に上記研磨テープの上記研磨面の
裏側に当接し、且つ上記研磨テープの走行にともなって
回転する多極着磁型の磁性体からなるローラーを配置し
たことを特徴とする磁気テープの研磨方法を提供するこ
とにより、上記目的を達成したものである。また、本発
明は、上記の本発明の磁気テープの研磨方法を実施する
ための好ましい装置として、磁気テープを巻き取りつつ
該磁気テープの磁性層表面に研磨テープの研磨面を摺接
させて上記磁気テープの磁性層表面を研磨する磁気テー
プの研磨装置において、巻き取り用リールを備えた巻き
取り機構と、該巻き取り機構によって巻き取られる磁気
テープの磁性層表面を研磨する研磨手段とを備えてお
り、上記研磨手段は、移送用リールを備えた移送機構
と、研磨面を有し上記移送機構により移送される研磨テ
ープと、該研磨テープをその研磨面の裏側から押圧して
上記磁気テープの磁性層表面に摺接させるとともに該研
磨テープの移送に伴って回転する多磁着極磁型の磁性体
からなるローラーとを備えていることを特徴とする磁気
テープの研磨装置を提供するものである。

【０００７】

【作用】本発明の請求項１に係る磁気テープの研磨方法
においては、研磨テープと磁気テープとが摺接する部位
に、研磨テープの研磨面の裏側に当接し該研磨テープの
走行に伴って回転する多極着型の磁性材からなるローラ
ーが配置されているので、磁気テープと研磨テープを走
行摺接させて研磨したときに、当該ローラーの磁力によ
って上記磁気テープの磁性層表面から研削された研削物
が研磨テープの研磨面側に吸引される。また、同磁力に
よって当該磁気テープ自身も研磨テープ側に吸引される
ことになるため摺接圧が高められる。

【０００８】本発明の請求項２に係る磁気テープの研磨
装置においては、研磨対象となる磁気テープが上記巻き
取り機構の巻き取り用リールにより巻き取られるととも
に、該巻き取り用リールによって巻き取られる磁気テー
プの磁性層表面に、上記多極着型の磁性材からなる上記
ローラーによって押圧された研磨テープの研磨面が摺接
されるので、上記磁気テープの磁性層表面から研削され
た研削物が上記ローラの磁力により研磨テープの研磨面
側に吸引されるとともに、当該磁気テープ自身も研磨テ
ープ側に吸引されることになるため摺接圧が高められた
状態で当該磁気テープの磁性層表面が研磨される。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面を参照しな
がら詳細に説明するとともに、試験例によりさらに具体
的に説明する。図１〜図３は、本発明の磁気テープ研磨
装置の一実施例を示すものである。なお、図１におい
て、符号１は磁気テープの研磨装置を示している。

【００１０】図１に示す上記研磨装置１は、反物状に仕
上げたテープ状磁気記録媒体を所定幅に裁断して得られ
た磁気テープ２の磁性層表面を研磨するものであり、一
対のリールを備えた巻き取り機構３と、その下方略中央
に配設され当該巻き取り機構３によって巻き取られる磁
気テープ２の磁性層表面を研磨する研磨手段４とを備え
た構成とされている。なお、詳述は省略するが、磁気テ
ープ研磨装置１には、研磨工程とともに磁気テープ２の
バックコート層側のクリーニングを行うクリーニング手
段５も備えられている。

【００１１】上記巻き取り機構３は、駆動源（図示せ
ず）によって回転駆動し研磨後の磁気テープ２ａを巻き
取る巻き取り用リール３ａと、この巻き取り用リール３
ａによる磁気テープ２の巻き取りに伴って回転する供給
用リール３ｂとからなる一対のリールを備えた構成とさ
れている。

【００１２】また、巻き取り用リール３ａと供給用リー
ル３ｂの下方位置には、当該巻き取り用リール３ａによ
って巻き取られる磁気テープ２が所定のパスを通るよう
に複数のガイドローラー６が略対称に配設されている。

【００１３】一方、上記研磨手段４は、移送用リール７
ａと供給用リール７ｂとからなる一対のリールを備えた
移送機構７と、研磨面を有し、その両端部が上記各リー
ル７ａ、７ｂに固定された研磨テープ８と、上記移送機
構７によって移送される研磨テープ８を、その研磨面の
裏側から押圧して上記磁気テープ２の磁性層表面に摺接
させるローラー９とを備えた構成とされている。

【００１４】上記ローラー９は、図２に示すように、断
面扇型の磁石片９ａが複数組み合わされて外観リング状
に形成されたものであり、しかも各磁石片９ａの端部の
磁極が隣接する磁石片の端部の磁極と同一になるように
組み立てられたいわゆる多極着磁型の磁石からなるもの
である。また、このローラー９は上記研磨テープ８の移
送に伴って回転可能でかつ、その上下位置が設定自在に
構成されており、研磨テープ８の移送方向にローラー９
の作用磁場の磁力線の向きがほぼ沿うように構成されて
いる。

【００１５】本実施例においては、このローラー９は、
１６片のフェライト系磁石片９ａにより寸法形状が外径
３０mm、内径１０mmとなるように設定されている。な
お、このローラー９を構成する磁石片９ａの材質及び寸
法形状は、目的とするローラーの寸法形状、磁力等の諸
条件により適宜選択できるものであり、特に材質につい
てはフェライト系・希土類系のものが好適であり、具体
的には、フェライト系については、Fe₃O₄、希土類系の
ものについては、Nd₂O₃等が好適に用いられる。

【００１６】次に、上記磁気テープ研磨装置１を使用し
た本発明の磁気テープの研磨方法について、当該研磨装
置１の作用とともに説明する。

【００１７】まず、図１に示すように研磨処理を行う磁
気テープ２を上記供給用リール３ｂにその一端を固定し
てセットするとともに、上記ガイドローラー６…を介し
てその他端を上記巻き取り用リール３ａに固定する。

【００１８】次に、上記磁気テープ２の磁性層に研磨テ
ープ８の研磨面が所定の摺接幅をもって摺接するように
上記ローラー９を研磨テープ８の研磨面の裏側から押圧
し、その位置で固定する。

【００１９】そして、上記巻き取り機構３及び移送機構
７を作動させて磁気テープ２及び研磨テープ８を所定の
巻き取り・移送速度でそれぞれ逆方向に巻き取り・移送
させ、磁性層表面と研磨面とを摺接させて研磨する。こ
こで、磁気テープ２の巻き取り速度および研磨テープ８
の移送速度については、研磨する磁気テープの種類によ
り適宜選択することができるが、それぞれ３０〜２００
ｍ／ｍｉｎ、２．５〜３７．０ｍ／ｍｉｎの速度が好適
である。

【００２０】この研磨工程においては、研磨テープ８の
移送に伴って上記ローラー９が回転し、図３に示すよう
にその磁力によって磁気テープ２の磁性層表面から研削
された研削物１０が研磨テープ８の研磨面側に吸引され
るとともに、当該磁気テープ２自身も研磨テープ８側に
吸引されて摺接圧が高められた状態で研磨が行われるこ
ととなる。

【００２１】次に、本実施例の磁気テープの研磨装置１
による磁気テープの研磨結果について、以下に示す試験
例により更に具体的に説明する。

【００２２】＜試験例＞デジタルオーディオテープ用の
テープ幅に裁断した磁気テープを上記研磨装置１の巻き
取り機構３にセットし、磁気テープの走行速度を１０
０、１５０、２００ｍ／ｍｉｎに変化させて研磨処理を
施した。磁気テープの配合および研磨条件は以下に示す
とおりである。

【００２３】＜磁気テープの配合（単位：重量部）＞・磁性粉；１００〔ＳＳＡ４５．５ｍ²／ｇ、軸比１：
１０、Ｈｃ１５７５Ｏｅ（１．２５×１０⁵Ａ／ｍ），
σｓ１３０ｅｍｕ／ｇ〕・カーボンブラック；１．５（粒径；４００Å）・α−アルミナ；７．０・「ＭＲ１１０」；１１．０（商品名，日本ゼオン社
製）・「ＵＲ８３００」；７．０（商品名，東洋紡績社製）・「エキセルパールＢＳ」；１．０（商品名，花王社
製）・「ルナックＭＹ−９８」；２．５（商品名，花王社
製）・「Ｃ−ＨＸ」；４．０（商品名，日本ポリウレタン社
製）

【００２４】＜研磨条件＞・研磨テープ；マイポネックス社製商品名「ＷＡ２００
０」・インサイドテンション；４５ｇｆ・アウトサイドテンション；５０ｇｆ・研磨テープと磁気テープの抱き角θ（図２参照）；３
５°

【００２５】そして、研磨後の磁気テープのブロックエ
ラーおよびミッシングパルスを測定することにより研磨
効果を評価した。ブロックエラーおよびミッシングパル
スの測定方法及び測定条件は以下に示すとおりである。
なお、比較例としてローラーの材質にステンレス製のも
のを使用して同様の研磨を行うとともに研磨効果を比較
した。これらの結果を表１及び表２に示す。

【００２６】＜ブロックエラーの測定方法＞ＳＯＮＹ社
製商品名「１５００ＥＳデッキ」を用い、１ｋＨｚの単
波長を記録したときのテープのＭ．Ｏ．Ｔ（Middle of
Tape）部における３分間当りのＣＩブロックエラーレー
トを測定した。

【００２７】＜ミッシングパルスエラーの測定方法・・
・ＤＤＳ規格＞ミッシングパルスは、記録密度１５００
ｆｔｐｍｍの信号の平均信号振幅の１／２の５０％以下
とする。ミッシングパルスエラーは、最小単位１ｂｉ
ｔ、最大１８０ｂｉｔとし、同一トラック内で、５個連
続した正常なパルスを挟んで、次のミッシングパルスが
発生した場合、次のミッシングパルスエラーとしてカウ
ントした。「Total Erros Number 600 track」を求め
た。＜ミッシングパルスエラーの測定条件＞・Bad bit / Good bit / May bit =１／５／１８０・記録電流；Ｓ−Ａ・記録周波数：２．３３ＭＨｚ・Threshold ；５０％

【００２８】

【表１】

【００２９】

【表２】

【００３０】表１に示したように、フェライト系磁石片
からなるローラーを使用した研磨装置の場合には、磁気
テープの走行速度を変化させて研磨を行ってもエラーレ
ートは１．２×１０^-4〜１．３×１０^-4とほとんど変化
が見られないのに対して、ステンレスのローラーを使用
した場合には、テープ速度が２倍になるとエラーレート
も３倍以上となることが確認された。

【００３１】また、表２に示したように、ミッシングパ
ルスについても、フェライト系磁石片からなるローラー
を使用した場合には、４５〜６０であるのに対して、ス
テンレス製のローラーを使用した場合には、１５３〜４
８７と高くなることが確認された。

【００３２】このように、本実施例の研磨装置１及びこ
れを用いた研磨方法によれば、研磨する磁気テープを上
記の巻き取り機構３にセットして走行させるだけで、ソ
フトエラーの発生を低く抑えた高品質の磁気テープを効
率よく生産することができる。

【００３３】なお、本発明の磁気テープの研磨方法は、
上記の研磨装置１による実施に限られるものではなく、
磁気テープの一連の製造工程の一部（例えば、裁断工程
の後の処理工程）に組み込むことも可能であり、これに
より高品質の磁気テープを一連の製造工程で生産効率を
高めて製造することも可能である。また、磁気テープと
研磨テープの巻き取り・移送方向を同方向に変更しても
よく、この場合にも上記同様の作用・効果を得ることが
できる。

【００３４】同様に、本発明の磁気テープの研磨装置
は、上記の実施例に限られるものではなく、装置の寸法
形状、研磨テープと磁気テープの抱き角等は適宜変更で
きることはいうまでもない。特に、上記ローラー９につ
いては、研磨対象となる磁気テープの表面磁性在の種
類、磁性粒子の配向（長手磁化・垂直磁化）によって、
ローラーの作用磁場の磁力線の向きを当該ローラーを構
成する磁石片の形状寸法、組み合わせを適宜変更するこ
とが可能である。

【００３５】

【発明の効果】本発明の磁気テープの研磨方法および研
磨装置によれば、以下の効果を奏することができる。請
求項１に記載の磁気テープの研磨方法によれば、研磨テ
ープと磁気テープとが摺接する部位に、研磨テープの研
磨面の裏側に当接し該研磨テープの走行に伴って回転す
る多磁極着磁型の磁性材からなるローラーを配置し、磁
気テープと研磨テープを走行摺接させて研磨したとき
に、当該ローラーの磁力により上記磁気テープの磁性層
表面から研削された研削物を研磨テープの研磨面側に吸
引するとともに、磁気テープを研磨テープ側に吸引させ
て摺接圧を高めるようにしたので、ソフトエラーの発生
を低く抑えて得られる磁気テープのＤ．Ｏ．を低くする
ことができるとともに、高速研磨処理に際しても高い研
削効果を維持することができ、生産収率を高めることが
できる。

【００３６】請求項２に記載の磁気テープの研磨装置に
よれば、研磨する磁気テープを上記の巻き取り機構にセ
ットして巻き取るだけで上記の効果を奏する研磨方法を
良好に実施することができ、高い品質の磁気テープを効
率よく生産することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の磁気テープの研磨装置の一実
施例を示す概略正面図である。

【図２】図２は、同研磨装置のローラーの要部の構成を
示す拡大断面図である。

【図３】図３は、同装置による磁気テープの研削時の研
削物の吸引搬送状態を示す模概略図である。

【符号の説明】

１磁気テープ研磨装置２磁気テープ３巻き取り機構３ａ巻き取り用リール４研磨手段７移送機構７ａ移送用リール８研磨テープ９ローラー

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】走行する研磨テープの研磨面を、走行す
る磁気テープの磁性層表面に摺接させて該磁気テープの
磁性層表面を研磨する磁気テープの研磨方法において、上記研磨テープと上記磁気テープとが摺接する部位に上
記研磨テープの上記研磨面の裏側に当接し、且つ上記研
磨テープの走行にともなって回転する多極着磁型の磁性
体からなるローラーを配置したことを特徴とする磁気テ
ープの研磨方法。
【請求項２】磁気テープを巻き取りつつ該磁気テープ
の磁性層表面に研磨テープの研磨面を摺接させて上記磁
気テープの磁性層表面を研磨する磁気テープの研磨装置
において、巻き取り用リールを備えた巻き取り機構と、該巻き取り
機構によって巻き取られる磁気テープの磁性層表面を研
磨する研磨手段とを備えており、上記研磨手段は、移送用リールを備えた移送機構と、研
磨面を有し上記移送機構により移送される研磨テープ
と、該研磨テープをその研磨面の裏側から押圧して上記
磁気テープの磁性層表面に摺接させるとともに該研磨テ
ープの移送に伴って回転する多磁着極磁型の磁性体から
なるローラーとを備えていることを特徴とする磁気テー
プの研磨装置。