JPH07306100A - 積算熱量計 - Google Patents

積算熱量計

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JPH07306100A
JPH07306100A JP11968694A JP11968694A JPH07306100A JP H07306100 A JPH07306100 A JP H07306100A JP 11968694 A JP11968694 A JP 11968694A JP 11968694 A JP11968694 A JP 11968694A JP H07306100 A JPH07306100 A JP H07306100A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 使用される温度センサの順電圧オフセットお
よび温度係数にばらつきがある場合に、記憶データに基
づく温度補正演算を行うことによりコストを削減し、設
置現場における温度センサの交換を容易に行う。 【構成】 温度センサ1,2を熱媒体の流入側および流
出側に配置した感温手段と、温度センサによる検出温度
信号のレベルに応じた測定温度レンジを選択するレンジ
選択手段10と、測定温度レンジに応じた検出温度信号
の増幅を行う増幅手段7と、増幅出力のアナログ信号を
ディジタル信号に変換するA/D変換手段11と、温度
係数誤差用の補正値を記憶する記憶手段13と、記憶さ
れた第1の設定温度状態でのA/D値と計測時のA/D
値の差を求めることによりオフセット誤差を補正し、記
憶された温度係数誤差用の補正値により温度誤差係数を
補正して、流入側および流出側の温度をそれぞれ演算
し、流入流出間の温度差を算出する演算手段12とを備
えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感温手段として直線的
な温度対出力電圧特性を有する半導体温度センサなどの
温度センサが使用される積算熱量計の改良に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】図9は、積算熱量計を含む熱負荷系の概
要を示す図である。
【0003】入力配管21から流入した熱媒体は冷暖房
設備などの熱負荷22において熱交換され、出力配管2
3から流出する。入力配管21を流れる熱媒体の温度は
流入側感温部24により検出され、出力配管23を流れ
る熱媒体の温度は流出側感温部25により検出される。
また、流量測定部26により熱媒体の流量が検出され
る。積算熱量計27は、流入側感温部24により検出さ
れる熱媒体の温度と流出側感温部25により検出される
熱媒体の温度との温度差、および、流量測定部26によ
り検出される熱媒体の流量のデータを乗算することによ
り熱負荷22において消費された熱量を求め、これを時
間的に積算することにより積算熱量値を計測する。
【0004】このような積算熱量計27に従来から使用
される温度センサとしては、計器の価格低減の目的から
白金測温抵抗体などの互換性の高い高価な温度センサを
用いず、一般に半導体の順電圧を利用する低価格の半導
体温度センサが使用されているものが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】半導体の順電圧は負の
一定の温度係数を持ち、温度と共に直線的に変化するこ
とが知られており、この特性が温度のセンシングに利用
される。
【0006】しかし、製造上における原因などにより、
順電圧オフセットや順電圧温度係数には若干ではあるが
半導体温度センサ個々のばらつきが存在することから、
そのまま熱負荷系22への流入側感温部24および流出
側感温部25に使用される場合、熱媒体の温度が同一で
あっても温度差として検出されることになり、積算熱量
計27の最も重要な計測要素となる熱負荷22に対する
流入側および流出側の温度差の正確な検出ができなくな
る。
【0007】これに対する従来の対策としては、温度セ
ンサ個々の温度特性に合わせて、積算熱量計27のハー
ドウエアにおけるパラメータ補正、たとえばオフセット
調整や増幅度調整などにより対応していた。したがっ
て、積算熱量計27にパラメータ補正のために必要な補
正回路を搭載しなければならず、また、完成出荷時の調
整工程も熟練を要する煩瑣な作業となっていた。
【0008】さらに、積算熱量計27のハードウエアと
流入側感温部24および流出側感温部25に使用される
温度センサとは1対1に対応することとなり、温度セン
サが故障した場合には積算熱量計27のハードウエアの
パラメータの再調整を必要とするため、現場における温
度センサの交換は不可能であり、このような場合にはユ
ーザーに対して多大の迷惑を掛ける恐れがあった。
【0009】本発明の第1の目的は、使用される温度セ
ンサの順電圧オフセットのみにばらつきがある場合に、
記憶手段に記憶されたデータに基づく温度補正演算を行
うことによりコストを削減することができ、設置現場に
おける温度センサの交換を容易に行うことができる積算
熱量計を提供することである。
【0010】本発明の第2の目的は、使用される温度セ
ンサの順電圧オフセットおよび温度係数にばらつきがあ
る場合に、記憶手段に記憶されたデータに基づく温度補
正演算を行うことによりコストを削減することができ、
設置現場における温度センサの交換を容易に行うことが
できる積算熱量計を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、直線的な温度対出力電圧特性を有する温度センサを
熱負荷系に供給される熱媒体の流入側および流出側に配
置した感温手段と、前記温度センサによる検出温度信号
のレベルに応じた測定温度レンジを選択するレンジ選択
手段と、選択された測定温度レンジに応じた前記検出温
度信号の増幅を行う増幅手段と、該増幅手段の出力であ
るアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換
手段と、流入側および流出側の前記両温度センサを選択
された測定温度レンジ内の或る設定温度状態に置いた時
の該両温度センサからの検出温度信号のA/D値をそれ
ぞれ記憶する記憶手段と、計測時において、前記記憶手
段により記憶されたA/D値と計測時のA/D値の差を
求めることにより、オフセット誤差を補正した流入側お
よび流出側の温度をそれぞれ演算し、流入流出間の温度
差を算出する演算手段とを備えている。
【0012】請求項2記載の本発明は、直線的な温度対
出力電圧特性を有する温度センサを熱負荷系に供給され
る熱媒体の流入側および流出側に配置した感温手段と、
前記温度センサによる検出温度信号のレベルに応じた測
定温度レンジを選択するレンジ選択手段と、選択された
測定温度レンジに応じた前記検出温度信号の増幅を行う
増幅手段と、該増幅手段の出力であるアナログ信号をデ
ィジタル信号に変換するA/D変換手段と、流入側およ
び流出側の前記両温度センサを選択された測定温度レン
ジ内の或る第1の設定温度状態に置いた時の該両温度セ
ンサからの検出温度信号のA/D値をそれぞれ記憶する
と共に、前記両温度センサを或る第2の設定温度状態に
置いた時の該両温度センサからの検出温度信号のA/D
値と前記第1の設定温度状態でのA/D値の差から求め
られた温度係数誤差用の補正値を記憶する記憶手段と、
計測時において、記憶された前記第1の設定温度状態で
のA/D値と計測時のA/D値の差を求めることにより
オフセット誤差を補正し、記憶された前記温度係数誤差
用の補正値により温度誤差係数を補正して、流入側およ
び流出側の温度をそれぞれ演算し、流入流出間の温度差
を算出する演算手段とを備えている。
【0013】
【作用】請求項1記載の本発明では、記憶手段により記
憶されたA/D値と計測時のA/D値の差を求めること
により、オフセット誤差を相殺するようにしている。
【0014】請求項2記載の本発明では、両温度センサ
を或る第2の設定温度状態に置いた時の該両温度センサ
からの検出温度信号のA/D値と第1の設定温度状態で
のA/D値の差から温度係数誤差を求め、該差から温度
係数誤差用の補正値を求めるようにしている。
【0015】
【実施例】図1は、本発明の一実施例である、積算熱量
計の回路図であり、図2は、半導体温度センサの温度対
順電圧特性のばらつき(オフセット誤差のみによるも
の)を示す図、図3は、各測定温度レンジにおける温度
対A/D変換値の対応のばらつきを示す図、図4は、半
導体温度センサの温度対順電圧特性のばらつき(オフセ
ット誤差および温度係数誤差によるもの)を示す図であ
る。
【0016】まず、図1により本発明を実施する積算熱
量計の回路構成を説明する。
【0017】流入側感温部(図9の24)に使用される
半導体温度センサ1および流出側感温部(図9の25)
に使用される半導体温度センサ2は、抵抗3を介して順
方向に一定電圧Vが印加されており、マイクロコンピュ
ータ4の出力ポートP0 ,P1 を通じて、それぞれトラ
ンジスタ5,6をオン/オフ制御することにより、流入
側感温部の半導体温度センサ1あるいは流出側感温部の
半導体温度センサ2が選択され、選択された半導体温度
センサ1または2の順電圧出力が差動増幅器7の一方の
入力に入力される。
【0018】一方、可変抵抗8を介して一定電圧Vが印
加される等分割抵抗9において生じる等電位間隔の電圧
がマルチプレクサ10の入力とされ、マイクロコンピュ
ータ4の出力ポートP2 ,P3 ,P4 の制御により、測
定したい温度レンジに見合う差動増幅用基準電圧として
マルチプレクサ10の入力電圧が選択され、これによる
マルチプレクサ10の出力電圧が差動増幅器7の他方の
入力に入力され、これと半導体温度センサ1または2の
順電圧出力とを入力とする差動増幅が行われる。
【0019】差動増幅器7の出力はマイクロコンピュー
タ4に内蔵されるA/D変換器11に入力され、A/D
変換出力から半導体温度センサ1,2による検出温度デ
ータがディジタル信号として出力され、補正演算回路1
2に入力される。補正演算の結果はメモリ13に記憶さ
れる。
【0020】なお、図1において、14はオフセット抵
抗、15は入力ポートP5 を介して入力される流量測定
部(図9の26)からの流量パルスの重みに相当する熱
量素数を求める乗算回路、16は積算回路、17は増幅
抵抗であり、また、A/D変換用基準電圧として一定電
圧Vが使用される。
【0021】図1の回路において、各回路の動作条件は
次のように設計される。 差動増幅器7は、基準半導体温度センサ(不図示)に
よる0.1°Cの温度変化に対してA/D変換出力の変
化が1ディジットとなるよう、増幅抵抗17により増幅
度が調整される。なお、基準半導体温度センサとは、多
くの実測データによりその半導体温度センサの代表的特
性と認められるものをいう。 可変抵抗8は、等分割抵抗9による電位間隔が、基準
半導体温度センサの1測定温度レンジ相当の順電圧変化
電位と等しくなるように調整される。 1測定温度レンジでのA/D値読み取り範囲をAD
min 〜ADmax とすれば、それぞれの測定温度レンジに
おける読み取り温度範囲が、基準半導体温度センサを接
続した場合において、TSPをADmin 〜ADmax に対応
する1測定レンジの温度とすると、 T0 〜T1 (=T0 +TSP) T1 〜T2 (=T1 +TSP) ・・・ Tn 〜Tn+1 (=Tn +Tsp) ・・・ T7 〜T8 (=T7 +TSP) となるように、オフセット抵抗14および等分割抵抗9
が調整される。
【0022】以上のように構成されたハードウエアにお
いて、以下にソフトウエアによる半導体温度センサ1,
2の特性(順電圧オフセットおよび温度係数)の補正演
算方法について説明する。
【0023】この補正演算の基本的な方法は、流入側感
温部24および流出側感温部25を同時にある同一温度
状態(第1の設定温度Ta )におくことにより、それぞ
れの感温部に使用される半導体温度センサ(図1の1お
よび2)の、基準半導体温度センサ特性からのばらつき
誤差量を求めるとともに、さらに、もう1つの異なった
同一温度状態(第2の設定温度Tb )において同様のば
らつき誤差量を求め、これら2つの温度における個々の
感温部に配備される半導体温度センサの順電圧オフセッ
トおよび温度係数の基準半導体温度センサ特性からの誤
差情報を元にして、以後検出されるA/D変換値に対す
る補正を行うものである。
【0024】以下の説明では、それぞれの測定温度レン
ジを、A/D変換値読み取り範囲の中央値、すなわち、
(ADmax +ADmin )/2に相当する温度を用いて、 T0R{=(T0 +T1 )/2}°Cレンジ T2R{=(T1 +T2 )/2}°Cレンジ ・・・ TnR{=(Tn +Tn+1 )/2}°Cレンジ ・・・ T7R{=(T7 +T8 )/2}°Cレンジ と称することとする。
【0025】まず、流入側感温部24および流出側感温
部25に配備される半導体温度センサ1,2に、基準半
導体温度センサに対して順電圧オフセット誤差のみが存
在する場合の補正演算方法について、図2および図3
(a)(b)を用いて説明する。
【0026】いま、補正のための設定作業を第1の設定
温度Ta =T2R°Cにおいて行うものとすると、流入側
の半導体温度センサ1と流出側の半導体温度センサ2と
を共に第1の設定温度Ta =T2R°Cの同一温度状態に
おき、測定温度レンジをT2R°Cレンジに選択する。
【0027】ここで、使用される半導体温度センサ1,
2が基準半導体温度センサと全く同じ温度特性を有する
場合は、図3(a)に示すように、当然、設定温度Ta
=T2R°Cでの読み取りA/D値(ADa )は、T2R
(T2 +T3 )/2に相当するものとして(ADmax
ADmin )/2である。
【0028】ところが、図2に示すように、使用される
半導体温度センサ1,2に順電圧オフセットのみが存在
する場合は、図3(b)に示すように、使用される半導
体温度センサ1,2の順電圧オフセット誤差αにより、
設定温度Ta =T2R°CにおけるA/D値が(ADmax
+ADmin )/2+αであるとすると、以後、この半導
体温度センサ1,2については、計測時のA/D値(A
D)が(ADmax +ADmin )/2+αのときにT2R°
Cであるというように補正されなければならない。
【0029】ここで、補正温度Tはマイクロコンピュー
タ4で処理し易い整数とし、A/D値の1ディジタル値
が基準半導体温度センサの0.1°Cの重みに相当する
ようにすることにより、設定温度Ta =T2R°Cでの読
み取りA/D値(ADa )や計測時のA/D値(AD)
の単位系を〔ディジット/0.1°C〕と、実温度(°
C)の10倍の単位で表すことにすると、補正温度T
は、T2Rの単位系が〔ディジット/1°C〕であるか
ら、 T2R°Cレンジ:T=2R×10+ADa −AD (1) となる。すなわち、 T=T2R×10+{(ADmax +ADmin )/2+α} −{(ADmax +ADmin )/2+α} =T2R×10〔ディジット/0.1°C〕 により得られる。
【0030】また、このT2R°Cレンジにおける任意の
温度TX を計測した時、そのA/D値(AD)は図5に
示されるようにAD=ADX +α(ADX は基準半導体
温度センサの温度TX におけるA/D値)となるから、
補正温度Tは、 T=T2R×10+{(ADmax +ADmin )/2+α}−ADX −α =T2R×10+(ADmax +ADmin )/2−ADX (2) となり、T2R°Cレンジの中央値を表す値(T2R×1
0)と、中央値と基準半導体温度センサ特性での計測A
/D値の差{(ADmax +ADmin )/2−ADX}の
和となって、オフセット誤差αが除かれて補正されたも
のとなる。
【0031】たとえば、T2R=25°C,ADmax =1
00,ADmin =0,ADa =60であるとし、計測値
をAD=40とすれば、(1)式により補正温度T=2
70(=27.0°C)と演算される。
【0032】順電圧オフセット量は他のレンジにおいて
も同量だけずれるから、これは他のレンジでも全く同様
であり、一般に各測定温度レンジにおいて、 TnR°Cレンジ:T=nR×10+ADa −AD (3) となる。
【0033】いま、使用される半導体温度センサ1,2
は基準半導体温度センサと比較して順電圧オフセットの
みが存在し、温度係数(傾き)は同一と仮定しているの
で、任意の温度における計測値も、ある1点の設定温度
において基準半導体温度センサからのばらつきの量(オ
フセット量=α)だけ常にオフセットしたA/D値とな
るわけであり、したがって、たとえばT2R°Cにおいて
行われた第1の設定温度における読み取りA/D値(A
a )を記憶しておくことにより、オフセット量(α)
を直接算出することなく、以後任意の温度に対して計測
値を補正することができる。
【0034】すなわち、ある設定温度における読み取り
A/D値(ADa )を記憶しておくだけで、以後任意の
温度における当該半導体温度センサ1,2の順電圧オフ
セットが加味された補正ができることになる。
【0035】なお、(1)式および(3)式における下
線部分は、半導体温度センサ1,2に対する温度設定作
業(Ta におけるA/D値の読み取り)以降は既知の固
有定数となる。
【0036】以上の説明においては、第1の設定温度T
a =T2R°Cとしたが、第1の設定温度Ta は選択され
た測定温度レンジ内の温度であれば任意の温度でよい。
これについて以下に図6に示される具体的な例で説明す
る。
【0037】本来、T2R(=25°C)において行われ
るべき第1の設定作業が26°Cで行われた場合、
(1)式は次のようになる。
【0038】T=25×10+60−AD 以後、計測値ADが60と入力された時の温度は第1の
設定温度(26°C)に他ならないが、マイクロコンピ
ュータ4は25°Cで設定作業が行われていると認識し
ているため、(1)式の演算により、 T=25×10+60−60=250(25°C) と判断している。したがって、実際の温度26°Cと相
違するが、第1の設定温度Ta =26°Cから何°C変
化があったかの温度差は正確に算出できるので、流入側
と流出側の温度差を正確に求めることができればよい積
算熱量計では問題とならない。たとえば、設定時の温度
(26°C)から+0.1°C変化した場合には、 T=25×10+60−61=249(=24.9°
C) となり、流入側の半導体温度センサ1も流出側の半導体
温度センサ2も同一の設定温度(26°C)でADa
設定されているから、両者の温度差は正確に算出される
ことになる。
【0039】以上のように、流入側感温部24に使用さ
れる半導体温度センサ1、および、流出側感温部25に
使用される半導体温度センサ2を、いずれも同一の第1
の設定温度Ta におき、その時のADa をそれぞれ記憶
しておき、以後の計測値ADとの差をそれぞれ求めるこ
とにより、流入側および流出側の補正温度がそれぞれ求
められ、それらの補正温度の差を求めることにより、流
入流出間の正確な温度差が検出される。
【0040】次に、使用される半導体温度センサ1,2
に温度係数誤差も存在する場合の補正方法について図4
および図3(c)により説明する。
【0041】先に説明した第1の設定温度Ta とは異な
る第2の設定温度Tb における設定作業を、設定温度T
b =T6R°Cにおいて行うものとする。これは先の設定
温度Ta =T2R°Cより4レンジ相当離れており、2回
の設定作業によって求められた温度係数誤差4レンジ分
を各レンジに均等に割り振る後述の補正演算をマイクロ
コンピュータ4で容易に実現するためであり、この限り
でない。
【0042】使用される半導体温度センサ1,2が基準
半導体温度センサの特性と全く同様の温度係数特性(温
度対出力電圧の傾き)を有するならば、図2に示すよう
に、上述の順電圧オフセット誤差(α)のみであるか
ら、読み取りA/D値(ADb)は(ADmax +ADmin
)/2+αとなるはずであり、この第2の設定温度Tb
における補正温度は前回と同様、 T=T6R×10+(ADmax +ADmin )/2+α−A
b =T6R×10 となるが、今回は温度係数誤差(β)の存在により、図
3(c)に示すように、 ADb =(ADmax +ADmin )/2+α+β となる場合について補正しなければならない。
【0043】この場合、2つの設定温度における読み取
りA/D値の差である、 D=ADb −ADa =β (4) は使用される半導体温度センサ1,2の基準半導体温度
センサの温度係数からの誤差の大きさに比例する。
【0044】以上のことを図7でより詳細に説明する
と、第2の設定温度Tb におけるS点のA/D値(AD
S )は温度係数誤差βがゼロで、オフセット誤差αのみ
を含むものであり、第2の設定温度Tb がT6R°Cレン
ジのA/D値の中央値であればADa =ADS となるの
で、上記(4)式が成立する。また、設定温度Tb が中
央値でない場合には、 D=ADb −ADa =ADS +β となるが、ADS は流入流出間の温度差を求める際に相
殺されるので、初めから無視することができる。
【0045】ここで、あるA/D値を基準にして、もう
1つのA/D値までを、飛び越すレンジを含めて読み取
り可能範囲(ADmax −ADmin)のA/D値間隔を直列
的に総和したものをA/D値距離と呼ぶことにすると、
上記読み取りA/D値の差Dは、図3(c)に示すよう
に、ADa からADb までのA/D値距離の間で生じた
温度係数誤差(β)である。
【0046】したがって、A/D値距離に対する温度係
数誤差の割合を示す温度係数誤差率(e)は、3レンジ
飛び越していることにより、 e=D/{(ADa −ADmin )+(ADmax −ADmin )×3 +(ADmax −ADb )} (5) となる。
【0047】また、温度係数誤差が1ディジタル値相当
になるA/D値距離とは、温度係数誤差に対するA/D
値距離の割合であり、温度係数誤差率eの逆数(1/
e)となる。故に、補正温度Tの値がT2R°CでのA/
D値(ADa )から1/eだけA/D値距離が離れる毎
に1ディジタル値ずつ補正すればよい。
【0048】しかし、1/eは通常小数となり、この計
算は一般にマイクロコンピュータ4には不向きであっ
て、また、計測時のA/D値(AD)について第1の設
定温度Ta =T2R°Cにおける読み取りA/D値(AD
a )からのA/D値距離を毎回計算するのでは負荷が重
い。
【0049】そこで、あらかじめ計算された補正値を各
測定温度レンジ共通のものとしてメモリ13に記憶して
おき、計測時のA/D値(AD)を用いてこれを参照
し、直接該当する補正値を得る方法を採用する。
【0050】図8は、本発明の1実施例における補正演
算で用いる補正値テーブルを示す図であり、メモリ13
に記憶させる補正値をHとし、補正値テーブルを参照す
る際のインデックスをA/D値距離として示したもので
ある。したがって、以下HのサフィックスはA/D値距
離を示す。
【0051】この補正方法は、2点の設定温度における
読み取りA/D値の差Dが求められると、この特性の半
導体温度センサ1,2の温度係数誤差率eに対応する補
正値テーブル(A/D値距離対補正ディジタル値のテー
ブル)をメモリ13に作成し、以後の計測時にこの補正
値テーブルを参照することにより温度補正を行うもので
ある。
【0052】補正温度算出の考え方は、前述の順電圧オ
フセット誤差のみが存在する場合の補正温度算出式に、
さらに補正値の項を加えたものであり、第1の設定作業
の設定温度Ta =T2R°CにおけるA/D値(ADa
から、計測時のA/D値(AD)を読み取った測定温度
レンジまでのA/D値距離に相当する飛び越したレンジ
固有の補正値と、読み取った測定温度レンジ内のA/D
値(AD)までのA/D値距離に相当する補正値との和
を算出するものである。故に、温度係数誤差も存在する
場合の補正温度Tの算出式は次のようになる。
【0053】 T0R°Cレンジ:T=T0R×10+(ADa −H(ADmax-ADa) −H(ADmax-ADmin) ×1)−AD−H(AD-ADmin)(6) T1R°Cレンジ:T=T1R×10+(ADa −H(ADmax-ADa) ) −AD−H(AD-ADmin) (7) T2R°Cレンジ:T=T2R×10+ADa −AD+H(ADa-AD) (8) T3R°Cレンジ:T=T3R×10+(ADa +H(ADa-ADmin) ) −AD+H(ADmax-AD) (9) T4R°Cレンジ:T=T4R×10+(ADa +H(ADa-ADmin) +H(ADmax-ADmin) ×1)−AD+H(ADmax-AD)(10) T5R°Cレンジ:T=T5R×10+(ADa +H(ADa-ADmin) +H(ADmax-ADmin) ×2)−AD+H(ADmax-AD)(11) T6R°Cレンジ:T=T6R×10+(ADa +H(ADa-ADmin) +H(ADmax-ADmin) ×3)−AD+H(ADmax-AD)(12) T7R°Cレンジ:T=T7R×10+(ADa +H(ADa-ADmin) +H(ADmax-ADmin) ×4)−AD+H(ADmax-AD)(13) ここで、T2R°Cレンジにおける最終項である補正値H
(ADa-AD)は、インデックスであるA/D値距離が負とな
る場合は補正値の符号も負とする。
【0054】しかし、以上のように算出される補正値テ
ーブルの補正値Hは小数値を整数に丸めているため、上
式で求められた補正温度Tには若干の誤差が残る可能性
がある。そこで、この丸めによる誤差を解消するために
丸め補正項を設け、上式に追加する必要がある。
【0055】計測時のA/D値(AD)として第2の設
定温度Tb =T6R°CでのA/D値(ADb )と同一の
値が検出された場合、T6R°Cレンジでの丸め補正値を
hとすると、この場合の補正温度TはT6R×10となら
なければならないことから、次式が成立する。
【0056】(ADa +H(ADa-ADmin) +H
(ADmax-ADmin) ×3)−ADb+H(ADmax-ADb) +h=
0 これより、 h=−{(ADa +H(ADa-ADmin) +H(ADmax-ADmin)
×3)−ADb +H(ADmax-ADb) } よって、各測定温度レンジ毎に丸め補正項hを均等に加
えることにより、最終的な補正温度Tの算出式が得られ
る。
【0057】 T0R°Cレンジ:T=0R×10+(ADa −H(ADmax-ADa) −H(ADmax-ADmin) ×1)−2/4 ・h −AD−H(AD-ADmin) (14) T1R°Cレンジ:T=1R×10+(ADa −H(ADmax-ADa) )−1/4 ・h −AD−H(AD-ADmin) (15) T2R°Cレンジ:T=2R×10+ADa −AD+H(ADa-AD) (16) T3R°Cレンジ:T=3R×10+(ADa +H(ADa-ADmin) )+1/4 ・h −AD+H(ADmax-AD) (17) T4R°Cレンジ:T=4R×10+(ADa +H(ADa-ADmin) +H(ADmax-ADmin) ×1)+2/4 ・h −AD+H(ADmax-AD) (18) T5R°Cレンジ:T=5R×10+(ADa +H(ADa-ADmin) +H(ADmax-ADmin) ×2)+3/4 ・h −AD+H(ADmax-AD) (19) T6R°Cレンジ:T=6R×10+(ADa +H(ADa-ADmin) +H(ADmax-ADmin) ×3)+h −AD+H(ADmax-AD) (20) T7R°Cレンジ:T=7R×10+(ADa +H(ADa-ADmin) +H(ADmax-ADmin) ×4)+5/4 ・h −AD+H(ADmax-AD) (21) これらの(14)〜(21)式において、補正値H
(ADmax-ADa) またはH(ADa-ADmin) 、および、H
(ADmax-ADmin) は、第1の設定作業におけるTa =T2R
°CでのA/D値(ADa )から計測時のA/D値(A
D)を読み取った測定温度レンジまでのA/D値距離に
相当する固有の補正値であり、一方、最終項の補正値H
(AD-ADmin)、H(ADa-AD)、および、H(ADmax-AD)は、読
み取った測定温度レンジ内における計測A/D値(A
D)までのA/D値距離に相当する変動する補正値であ
る。また、丸め補正項hは、第1および第2の設定作業
後に定まる固有の補正値である。
【0058】したがって、下線部分は第1および第2の
設定作業後は各項とも既知数となるから、事前の補正演
算により定数としてメモリ13に記憶しておくことがで
き、計測時の補正温度Tの算出は残り3項による単純な
加減算でよく、容易に補正が可能となる。
【0059】このようにして、流入側および流出側の補
正温度Tを算出し、これらの差を求めることにより、流
入側感温部24に使用される半導体温度センサ1、およ
び、流出側感温部25に使用される半導体温度センサ2
の温度対出力電圧特性のばらつき(オフセット誤差およ
び温度係数誤差)に影響されない正確な温度差を検出す
ることができ、このデータを元に流量測定部(図9の2
6)からの流量パルス重みに相当する熱量素数を乗算回
路15で求め、これを積算回路16により加算していく
ことで熱負荷(図9の22)において使用される熱量が
積算されるので、積算熱量計にとって最も重要な計測要
素である温度差を誤って検出することが防止される。
【0060】したがって、半導体温度センサを用いた従
来の積算熱量計に不可欠であったハードウエアのパラメ
ータ調整に必要な回路が不要となり、製造コストの削減
が可能となると共に、出荷時の調整作業が簡略化され、
また、設置現場における交換・補正作業が可能となる。
【0061】さらに、積算熱量計は流入側および流出側
の相対温度差が重要な計測要素であるため、以上の補正
方法において必要となる第1および第2の設定温度での
設定作業における絶対温度管理に特別の高精度を必要と
せず、このための設備も簡略化される。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の本
発明によれば、記憶手段により記憶されたA/D値と計
測時のA/D値の差を求めることにより、オフセット誤
差を相殺するようにしていて、従来の温度補正のための
ハードウエアにおけるパラメータ調整に要する回路、実
装部品が不要となるので、使用される温度センサの順電
圧オフセットのみにばらつきがある場合に、コストを削
減することができる。また、設置現場において温度セン
サを交換する場合、流入および流出側の両温度センサを
同一の設定温度状態に置く作業が可能ならば、この設定
温度管理は高精度のものを必要としないので、設置現場
における温度センサの交換を容易に行うことができる。
【0063】請求項2記載の本発明によれば、両温度セ
ンサを或る第2の設定温度状態に置いた時の該両温度セ
ンサからの検出温度信号のA/D値と第1の設定温度状
態でのA/D値の差から温度係数誤差を求め、該差から
温度係数誤差用の補正値を求めるようにしていて、従来
の温度補正のためのハードウエアにおけるパラメータ調
整に要する回路、実装部品が不要となるので、使用され
る温度センサの順電圧オフセットおよび温度係数にばら
つきがある場合に、コストを削減することができる。ま
た、設置現場において温度センサを交換する場合、流入
および流出側の両温度センサを同一の第1および第2の
設定温度状態に置く設定作業が可能ならば、この設定温
度管理は高精度のものを必要としないので、設置現場に
おける温度センサの交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である、積算熱量計の回路図
である。
【図2】半導体温度センサの温度対順電圧特性のばらつ
き(オフセット誤差)を示す図である。
【図3】各測定温度レンジにおける温度対A/D値の対
応のばらつきを示す図である。
【図4】半導体温度センサの温度対順電圧特性のばらつ
き(温度係数誤差)を示す図である。
【図5】オフセット誤差のみを有する半導体温度センサ
における第1の設定時と計測時のA/D値の関係を示す
図である。
【図6】オフセット誤差のみを有する半導体温度センサ
における第1の設定時の具体的なA/D値を示す図であ
る。
【図7】オフセット誤差および温度係数誤差を有する半
導体温度センサにおける第1および第2の設定時のA/
D値と温度係数誤差の関係を示す図である。
【図8】本発明の一実施例において、補正演算で用いる
補正値テーブルを示す図である。
【図9】積算熱量計を含む一般的な熱負荷系の概要を示
す図である。
【符号の説明】
1 半導体温度センサ 2 半導体温度センサ 3 抵抗 4 マイクロコンピュータ 5 トランジスタ 6 トランジスタ 7 差動増幅器 8 可変抵抗 9 等分割抵抗 10 マルチプレクサ 11 A/D変換器 12 補正演算回路 13 メモリ 14 オフセツト抵抗 15 乗算回路 16 積算回路 17 増幅抵抗 21 入力配管 22 熱負荷 23 出力配管 24 流入側感温部 25 流出側感温部 26 流量測定部 27 積算熱量計 AD 計測A/D値 ADa 第1の設定温度における読み取りA/D値 ADb 第2の設定温度における読み取りA/D値 ADmax 読み取り最大A/D値 ADmin 読み取り最小A/D値 ADX 基準半導体温度センサの温度TX におけるA/
D値 ADS 温度係数誤差がない場合の第2の設定温度にお
けるA/D値 D 第1および第2の設定温度における読み取りA/D
値の差 e 温度係数誤差率 H 補正値 h 丸め補正値 T 補正温度 TX 任意の温度 T0R, T1R, T2R, T3R, T4R, T5R, T6R, T7R, T
nR 測定温度レンジ Ta 第1の設定温度 Tb 第2の設定温度 TSP 1測定レンジの温度 V 一定電圧 α 順電圧オフセット誤差 β 温度係数誤差

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線的な温度対出力電圧特性を有する温
    度センサを熱負荷系に供給される熱媒体の流入側および
    流出側に配置した感温手段と、前記温度センサによる検
    出温度信号のレベルに応じた測定温度レンジを選択する
    レンジ選択手段と、選択された測定温度レンジに応じた
    前記検出温度信号の増幅を行う増幅手段と、該増幅手段
    の出力であるアナログ信号をディジタル信号に変換する
    A/D変換手段と、流入側および流出側の前記両温度セ
    ンサを選択された測定温度レンジ内の或る設定温度状態
    に置いた時の該両温度センサからの検出温度信号のA/
    D値をそれぞれ記憶する記憶手段と、計測時において、
    前記記憶手段により記憶されたA/D値と計測時のA/
    D値の差を求めることにより、オフセット誤差を補正し
    た流入側および流出側の温度をそれぞれ演算し、流入流
    出間の温度差を算出する演算手段とを備えた積算熱量
    計。
  2. 【請求項2】 直線的な温度対出力電圧特性を有する温
    度センサを熱負荷系に供給される熱媒体の流入側および
    流出側に配置した感温手段と、前記温度センサによる検
    出温度信号のレベルに応じた測定温度レンジを選択する
    レンジ選択手段と、選択された測定温度レンジに応じた
    前記検出温度信号の増幅を行う増幅手段と、該増幅手段
    の出力であるアナログ信号をディジタル信号に変換する
    A/D変換手段と、流入側および流出側の前記両温度セ
    ンサを選択された測定温度レンジ内の或る第1の設定温
    度状態に置いた時の該両温度センサからの検出温度信号
    のA/D値をそれぞれ記憶すると共に、前記両温度セン
    サを或る第2の設定温度状態に置いた時の該両温度セン
    サからの検出温度信号のA/D値と前記第1の設定温度
    状態でのA/D値の差から求められた温度係数誤差用の
    補正値を記憶する記憶手段と、計測時において、記憶さ
    れた前記第1の設定温度状態でのA/D値と計測時のA
    /D値の差を求めることによりオフセット誤差を補正
    し、記憶された前記温度係数誤差用の補正値により温度
    誤差係数を補正して、流入側および流出側の温度をそれ
    ぞれ演算し、流入流出間の温度差を算出する演算手段と
    を備えた積算熱量計。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011185820A (ja) * 2010-03-10 2011-09-22 Seiko Epson Corp 温度計及び温度計測方法
JP2012163356A (ja) * 2011-02-03 2012-08-30 Seiko Epson Corp 温度検出回路
JP2014098614A (ja) * 2012-11-14 2014-05-29 Renesas Electronics Corp 温度センサおよび半導体装置

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