JPH07305171A - 硬質膜被覆材料 - Google Patents

硬質膜被覆材料

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JPH07305171A
JPH07305171A JP15783994A JP15783994A JPH07305171A JP H07305171 A JPH07305171 A JP H07305171A JP 15783994 A JP15783994 A JP 15783994A JP 15783994 A JP15783994 A JP 15783994A JP H07305171 A JPH07305171 A JP H07305171A
Authority
JP
Japan
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diamond
film
coated
coating material
substrate
Prior art date
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Pending
Application number
JP15783994A
Other languages
English (en)
Inventor
Megumi Eto
恵 江藤
Nobuhiko Shima
順彦 島
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Moldino Tool Engineering Ltd
Original Assignee
Hitachi Tool Engineering Ltd
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Publication date
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Publication of JPH07305171A publication Critical patent/JPH07305171A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、基体上に必要充分な密着強度を有
するダイヤ薄膜を被覆する方法を提案し、さらにかかる
方法によって充分実用に供しうるダイヤまたはDLC膜
被覆部材を提供することを目的とする。 【構成】 高速度鋼、WC基超硬、TiCN基サーメッ
ト上にナノメータ単位の超微細なダイヤ粒子が分散した
Crメッキ層を介してダイヤまたはダイヤ状硬質炭素膜
をマイクロ波プラズマCVD法等で被覆することにより
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は基材との密着性に優れた
ダイヤモンドもしくは硬質炭素を被膜した部材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】気相法でダイヤまたはDLC膜を合成す
る方法は発明されて久しいが、こと実用に、特に切削工
具用に供しうるものとなると充分に満足のいくものが無
いのが実情である。その理由はいつにダイヤ被膜と基体
との密着性の問題である。このためダイヤ膜と基体との
密着性を改善する方法について以前より数多くの技術
者、研究者が提案を行なってきた。なかでも効果ありと
されるのは、 (1)基体の表面にスクラッチ傷をいれる方法 (2)TiN、TiCNなどの中間層を設ける方法 に大別される。
【0003】(1)はダイヤの析出サイトの数を増加さ
せて微細なダイヤ粒とするとともにいわゆるアンカー効
果を狙って密着性を改善しようとするものである。 (2)はある特定金属元素の存在がダイヤの析出を抑止
すると考え耐火物で覆ってからダイヤを被覆しようとい
う発想である。 しかしながら、これらの方法では未だ充分な密着強度は
達成されていないといえる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる実情に
鑑み基体上に必要充分な密着強度を有するダイヤ薄膜を
被覆する方法を提案し、さらにかかる方法によって充分
実用に供しうるダイヤまたはDLC膜被覆部材を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らは問題をまずは(1)なぜ特定金属がダ
イヤ膜の生成を抑制するのか、(2)例えダイヤ膜が生
成されても基体/ダイヤの密着強度はなぜにかくも低い
のか、(3)それでは目的を達成する手段はどうか の
3段階に分け検討をおこなった。
【0006】その結果、(1)については、従来よりダ
イヤ膜の生成は主として低温プラズマを誘起する低圧下
のグロー放電、アーク放電や高温プラズマを誘起する高
圧アーク放電で行なわれる。これらのプラズマ放電領域
に導入されたCH系ガス、例えばCH4ガスやCH3O
Hガスはプラズマ中の帯電粒子と弾性衝突や非弾性衝突
を行ない電離イオン、中性ラジカル、解離反応を生じ
る。このなかで、ダイヤ生成に必要なある化学状態をも
ったCが基体の表面に付着堆積を繰り返しダイヤ膜とな
る。ところが通常基体は金属成分としてCoやNiまた
はFeが用いられる。
【0007】ところで、低温プラズマにせよ高温プラズ
マにせよダイヤの成膜は通常基体の温度が1000度C
以下の条件で実施される。この温度範囲においてこれら
金属はその炭化物のGfは0近傍もしくは0以上であ
る。すなわち、高速でこれら金属に衝突した先ほど述べ
たある種のC粒子は該金属と反応して炭化物を生成する
こともなく、表面から内部へどんどん拡散していくこと
になる。これがまさにCo、Ni、Feなどの特定金属
元素がダイヤ生成を抑制する理由である。
【0008】(2)については、例えばダイヤ生成抑止
金属を遮蔽するために超硬合金にTiCを被覆しさらに
ダイヤ被覆を行なう場合を想定してみよう。こんどはT
iCのGfは約−40000と負に極めて大である。す
なわちTiCは化学的に非常に安定であり、換言すれば
化学的に孤立した状態にあり他物質と相互反応が望めな
い。このことはたとえTiCの表面にダイヤ膜が形成と
しても原子の授受が少なく、このことが結果的に付着強
度の低位を招く理由である。またダイヤの熱膨張率はT
iCやその他の硬質物質の1/3〜1/5と大変小さく
このミスマッチが付着強度の低いもうひとつの原因であ
る。すなわち成膜後常温に温度が下がると熱応力が発生
するが、その大きさはダイヤのヤング率と熱膨張率の差
と温度変化の積である。ダイヤはヤング率の最も大きい
物質であり熱膨脹差が大きな熱応力となってはねかえっ
てくる。
【0009】(3)については、(1)(2)の実験結
果と考察からまずはGfがダイヤ成膜処理温度範囲にお
いて、負の適当な値を持つ下地膜、例えばWやCrの炭
化物を検討した。これらの炭化物は処理温度範囲におい
てCのシンクとならないためラジカルなCが表面上に滞
留しダイヤが形成される。しかもTiCやTaCほど化
学的に安定でないため比較的良好な付着強度が得られ
た。しかしながらダイヤとの熱膨脹差が大きく実用に供
するほどの値は達成できなかった。そこでつぎに炭化物
ではなく適当な負のGfをもつ金属、具体的にはCr金
属自体を下地膜とすること、さらにCr下地膜にナノメ
ータサイズのダイヤを分散させることで目的を達成する
ことができた。
【0010】この理由を詳細に調査してみると概略次の
様であることがわかった。該金属膜上にダイヤを成膜す
るとまず飛来したCの一部はダイヤと反応してナノメー
タサイズダイヤ上にダイヤを形成する。残りのCはCr
金属と反応して最表面が炭化物に変化する。このためC
の深部への拡散が減少する。従って、後続のラジカルな
Cは表面に滞留してダイヤの核をつぎつぎに形成してい
く。ダイヤはこの核を中心としてダイヤ膜が成長してい
くがこの場合表面の大部分においてダイヤオンダイヤの
形成とCr炭化物の形成とダイヤオン炭化物の生成が同
時進行する。このため付着強度は飛躍的に向上すること
になる。
【0011】一方、一部内部へ拡散したCはCr金属を
炭化物に変化させながら最終的には基体表面に達する。
こうして新たに形成される炭化物は基体との密着強度が
高く、結果的に従来になく耐付着性の良い被覆部材が得
られる。また、付随して金属が炭化物に変化する時に熱
膨脹のミスマッチを緩和する効果も観察できた。
【0012】
【作用】次に、特許請求の範囲の記述に従ってさらに具
体的に説明を加える。まず、下地膜の金属はその炭化物
のGfがダイヤ膜の生成処理温度、正確には生成処理時
の表面温度範囲で、すなわち常温〜1500度Cの範囲
でー30000〜ー5000であることが必要である。
−30000よりも負に大であると化学的に安定であり
過ぎダイヤとの付着強度が劣る。−5000より大であ
るとCのシンクとなりダイヤの形成が起こりにくくな
る。このような範囲のGfをもつものは例えばW、C
r、V、Siなどが挙げられるがナノメータサイズのダ
イヤを分散させることを考慮するとCrが最適である。
すなわちナノメータサイズのダイヤ粒が分散した無電解
または電界懸濁メッキ液を用いて共析被覆膜が比較的容
易に得られるからである。ダイヤの成膜法については現
在提案されているいずれの方法でも良い。具体的にはマ
イクロ波CVD、熱フィラメント法、高周波プラズマ
法、ECRプラズマ法いずれの方法でも密着強度の良好
な膜が得られる。
【0013】
【実施例】WC−6%Co超硬(H)、TiC基サーメ
ット(TC)、TiCN基サーメット(TN)、高速度
工具鋼SKH3(HS)、合金工具鋼SKD5(SK)
およびインコネル718(I)の各基体をナノメータダ
イヤ分散した懸濁Crメッキに浸漬してダイヤ分散Cr
メッキ被覆層を形成した。次に、この上に各種方法でダ
イヤまたはダイヤを含んだ硬質炭素膜を被覆した。マイ
クロ波によるものをMD、熱フィラメント法によるもの
をND、高周波プラズマによるものをKD、ECRプラ
ズマによるものをEDとした。こうして得られた被覆部
材の付着強度を評価した。測定は引っ掻き法で行ない、
くぼみの縁におけるせん断応力値をその値とした。表1
に試料の仕様とその結果を示す。
【0014】
【表1】
【0015】特許請求範囲のCr/ダイヤ下地膜としそ
のうえにダイヤを被覆すると付着強度は表1に示すとお
り飛躍的に向上した。なお、最終の膜構成は基体/Cr
炭化物+ダイヤ/ダイヤ、あるいは基体/炭化物+Cr
+ダイヤ/ダイヤと成膜条件によって分かれた。コーテ
ィング後に熱処理を行なうことによって下地膜のCr金
属量を低減するなど用途に応じて性質に変化を持たせる
ことができる。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、従来になく付着強度に
優れるダイヤまたはDLC膜の被覆が可能となり切削工
具や耐摩工具などの実用に充分耐えうる被覆部材を提供
することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上にナノメータ単位の超微細なダイ
    ヤ粒子が分散したCrメッキ層を介してダイヤまたはダ
    イヤ状硬質炭素膜(以下DLCと略記する)を被覆した
    硬質膜被覆材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の硬質膜被覆材料におい
    て、基体がWC基超硬である硬質膜被覆材料。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の硬質膜被覆材料におい
    て、基体がTiC基またはTiCN基サーメットである
    硬質膜被覆材料。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の硬質膜被覆材料におい
    て、基体が高速度鋼または工具鋼または高合金鋼である
    硬質膜被覆材料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載の硬質膜被覆材料にお
    いて、ダイヤまたはDLC膜をマイクロ波プラズマCV
    Dで被覆することを特徴とする硬質膜被覆材料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4記載の硬質膜被覆材料にお
    いて、ダイヤまたはDLC膜を熱フィラメント法で被覆
    することを特徴とする硬質膜被覆材料。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4記載の硬質膜被覆材料にお
    いて、ダイヤまたはDLC膜をECRプラズマCVD法
    で被覆することを特徴とする硬質膜被覆材料。
JP15783994A 1994-05-09 1994-05-09 硬質膜被覆材料 Pending JPH07305171A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008238385A (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Seiko Epson Corp カッター刃、カッターユニット及び記録装置
JP2015042609A (ja) * 2009-10-21 2015-03-05 トーメイダイヤ株式会社 ダイヤモンド析出用基体における析出面の形成方法
CN109778136A (zh) * 2019-02-22 2019-05-21 苏州艾钛科纳米科技有限公司 采用热电子等离子体技术制备类金刚石涂层的方法
CN113862671A (zh) * 2021-09-25 2021-12-31 科汇纳米技术(深圳)有限公司 Pvd-cvd联用制备类金刚石膜的方法、类金刚石膜、合金材料及汽车部件

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