JPH07305020A - 被膜形成用樹脂組成物およびその製法 - Google Patents

被膜形成用樹脂組成物およびその製法

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JPH07305020A
JPH07305020A JP9884494A JP9884494A JPH07305020A JP H07305020 A JPH07305020 A JP H07305020A JP 9884494 A JP9884494 A JP 9884494A JP 9884494 A JP9884494 A JP 9884494A JP H07305020 A JPH07305020 A JP H07305020A
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JP
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monomer
resin composition
water
aqueous medium
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JP9884494A
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English (en)
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Motoyuki Takagi
基之 高木
Takeshi Baba
健 馬場
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Kanebo NSC KK
Original Assignee
Kanebo NSC KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 下地浸透性に優れ、しかも光沢のある緻密で
強靱な被膜を形成することができる被膜形成用樹脂組成
物を提供する。 【構成】 水性媒体中に、下記の(A)成分および
(B)成分を含有するものである。 (A)下記の(a)および(b)から誘導される構造単
位を分子構造とする共重合樹脂の微粒子。 (a)ラジカル重合可能なアルコキシシラン単量体。 (b)エチレン性不飽和単量体。 (B)下記の(c)〜(e)から誘導される構造単位を
分子構造とする共重合体からなる水溶性樹脂。 (c)ラジカル重合可能なアルコキシシラン単量体。 (d)親水性で不飽和二重結合を有する単量体。 (e)エチレン性不飽和単量体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トップコート塗料,ノ
ンシーラー塗料,水系金属塗料等の塗料ベースに用いら
れ、下地基材に対する浸透性に優れ良好な被膜が得られ
る被膜形成用樹脂組成物およびその製法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】基材表面に塗布することによりその表面
に被膜を形成する形成材料として、従来から、合成樹脂
を有機溶剤に溶解した溶剤系樹脂組成物が用いられてい
る。しかし、上記溶剤系樹脂組成物は、作業環境等にお
ける衛生面および安全面に関して問題を有しており、こ
の溶剤系樹脂組成物に代わるものとして、水性エマル
ジョン重合体、架橋性水溶性樹脂等が開発され用いら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の水性エマルジョン重合体は、エマルジョン粒子が緻密
な基材に浸透することができないため、例えば脆弱な基
材の充分な補強効果が得られない。また、上記の架橋
性水溶性樹脂は、樹脂の分子量が低いため、形成された
被膜自身は脆く、強靱性に欠けるという欠点を有してい
る。さらに、上記欠点に加えてつぎのような問題も有し
ている。上記の水性エマルジョン重合体は、被膜形成
時にエマルジョン粒子界面痕跡の存在のために緻密な被
膜を形成することができない。また、上記の架橋性水
溶性樹脂は、緻密な被膜を形成することは可能である
が、ポリマー濃度が低いため、エナメル塗料を作製する
際、顔料が分離してしまい、その結果、荒れた被膜が形
成され光沢のある被膜を得ることができないという問題
を有している。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、下地浸透性に優れ、しかも光沢のある緻密で強
靱な被膜を形成することができる被膜形成用樹脂組成物
およびその製法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、水性媒体中に、下記の(A)成分および
(B)成分が含有されている被膜形成用樹脂組成物を第
1の要旨とし、 (A)下記の(a)および(b)から誘導される構造単
位を分子構造とする共重合樹脂の微粒子。 (a)ラジカル重合可能なアルコキシシラン単量体。 (b)エチレン性不飽和単量体。 (B)下記の(c)〜(e)から誘導される構造単位を
分子構造とする共重合体からなる水溶性樹脂。 (c)ラジカル重合可能なアルコキシシラン単量体。 (d)親水性で不飽和二重結合を有する単量体。 (e)エチレン性不飽和単量体。 水性媒体中で、下記の(a)および(b)を共重合反応
させ生成微粒子を分散させる工程と、有機溶媒中で下記
の(c)〜(e)を共重合反応させて水溶性樹脂を生成
する工程と、上記有機溶媒を水性媒体に混合し有機溶媒
を揮散させることにより水性媒体に溶媒置換する工程
と、上記水性媒体中の微粒子分散体と水溶性樹脂とを混
合する工程とを備えている被膜形成用樹脂組成物の製法
を第2の要旨とする。 (a)ラジカル重合可能なアルコキシシラン単量体。 (b)エチレン性不飽和単量体。 (c)ラジカル重合可能なアルコキシシラン単量体。 (d)親水性で不飽和二重結合を有する単量体。 (e)エチレン性不飽和単量体。
【0006】
【作用】すなわち、本発明者らは、基材浸透性が良好
で、緻密かつ強靱な被膜を形成する樹脂組成物を得るた
めに一連の研究を重ねた。その結果、前記特定の共重合
樹脂の微粒子(A成分)と、前記特定の共重合樹脂から
なる水溶性樹脂(B成分)とを含有する樹脂組成物を被
膜形成用として用いると、上記性能に優れた被膜を形成
することが可能となることを見出し本発明に到達した。
上記A成分のみでは、強靱な被膜を形成することは可能
であるが、上記微粒子が緻密な基材に浸透することが困
難であり、脆弱基材の補強効果が得られ難い。一方、上
記B成分のみでは、浸透性に優れ、下地である基材に対
して充分に含浸して補強効果をあげることは可能である
が、水溶性樹脂の分子量が低いため、強靱性に欠けた被
膜しか形成されず、エナメル塗料を作製する際には、顔
料が分離して光沢のある被膜を形成することが困難とな
る。このように、上記A成分およびB成分の双方を同時
に用いることで、互いの欠点を補いあい、しかも各々の
長所を助長することが可能となる。
【0007】つぎに、本発明を詳しく説明する。
【0008】本発明の被膜形成用樹脂組成物は、特定の
共重合樹脂の微粒子(A成分)と、特定の共重合樹脂か
らなる水溶性樹脂(B成分)を用いて得られる。
【0009】上記特定の共重合樹脂の微粒子(A成分)
は、下記の(a)および(b)を用い、これらを共重合
反応させることにより得られる。 (a)ラジカル重合可能なアルコキシシラン単量体。 (b)エチレン性不飽和単量体。
【0010】上記(a)のラジカル重合可能なアルコキ
シシラン単量体としては、下記の一般式(1)で表され
る単量体を用いることが好ましい。
【0011】
【化3】
【0012】なかでも、上記式(1)において、下記の
組み合わせのものを用いるのがアルコキシシランの反応
性,加水分解性のバランスがとれているという点から特
に好ましい。例えば、Rが−CH3 、Zが下記に示すも
の、
【化4】 Xが−OCH3 または−OC2 5 の場合であり、また
繰り返し数nは3、aは2または3が好ましい。具体的
には、ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシ
シラン,ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラ
ン,3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン,
3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン,
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン,3−
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等があ
げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用い
られる。特に、2種以上併せて用いる場合の好適な組み
合わせは、架橋のコントロールが容易であるという点か
ら、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランの
組み合わせである。
【0013】上記(a)とともに用いられる(b)のエ
チレン性不飽和単量体は、A成分である微粒子ポリマー
の主骨格を形成するものであり、例えば、酢酸ビニル,
アクリル酸アルキルエステル,メタクリル酸アルキルエ
ステル,スチレン,アクリロニトリル,メタクリロニト
リル,アクリル酸,メタクリル酸,アクリル酸のアミド
類,メタクリル酸のアミド類,メチロール化アミド類,
アルコキシメチル化アミド類,γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン等があげられる。これらは単独
でもしくは2種以上併せて用いられる。特に好ましいの
は、ポリマーの光沢,耐水性に優れるという点から、ア
クリル酸アルキルエステル,メタクリル酸アルキルエス
テルまたはスチレンであり、また2種以上併せて用いる
場合の好適な組み合わせは、粒子の安定性を維持すると
いう点から、上記アクリル酸アルキルエステル,メタク
リル酸アルキルエステル,スチレンの3成分のモノマー
とアクリル酸,メタクリル酸を組み合わせたものであ
る。
【0014】上記特定の微粒子(A成分)は、上記
(a)および(b)を用い通常の乳化重合法により作製
される。すなわち、例えば、水性媒体中に、上記
(a),(b)およびこれらに加えて乳化剤,重合開始
剤を適宜に投入し、所定の条件で重合反応させることに
より作製される。
【0015】上記特定の微粒子(A成分)の製造工程に
おける(a),(b)の組み合わせに関して、(a)と
して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン,3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、(b)として、スチレン,メタクリル酸メチル,ア
クリル酸−2−エチルヘキシル,メタクリル酸を用いる
組み合わせが、架橋性,安定性,耐水性,高光沢を得る
という点から好ましい。
【0016】上記乳化剤は、使用する(a)および
(b)の単量体の種類等によって、従来公知のものを適
宜に選択する。この乳化剤の選択を誤ると、重合反応中
に多量の凝集物が発生したり、粒子径が0.2μmを超
えるような大粒子径のエマルジョン粒子が生成する。具
体的には、(a)として、3−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、(b)として、スチレン,メタク
リル酸メチル,アクリル酸−2−エチルヘキシル,メタ
クリル酸を用いる場合、乳化剤として下記に示す構造式
を有するもの(エレミノールJS2,三洋化成工業社
製)、
【化5】 を用いることが好ましい。また、(a)として、3−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(b)とし
て、メタクリル酸メチル,アクリル酸−2−エチルヘキ
シルまたはアクリル酸を用いる場合は、乳化剤としてア
クアロンHS10(第一工業製薬社製)を用いることが
好ましい。
【0017】上記重合開始剤としては、特に限定するも
のではなく通常の乳化重合に用いられるものがあげられ
る。例えば、過硫酸塩,過酸化物等が適宜に用いられ
る。上記過硫酸塩としては、過硫酸ナトリウム,過硫酸
カリウム,過硫酸アンモニウム等があげられる。また、
上記過酸化物としては、tert−ブチルハイドロパー
オキサイド等があげられる。特に好ましいのは、耐黄変
性,水への溶解性という点から過硫酸ナトリウムを用い
ることである。
【0018】上記(a)および(b)の配合割合は、
(b)100重量部(以下「部」と略す)に対して
(a)を1〜4部に設定することが好ましい。すなわ
ち、(a)の配合割合が1部未満では架橋効果が得られ
ず、4部を超えると被膜が脆くなる傾向がみられるから
である。
【0019】上記反応により得られる微粒子(A成分)
は、粒子径0.05〜0.15μmの範囲内となるよう
作製することが好ましく、特に好ましくは0.08〜
0.12μmである。
【0020】上記A成分とともに用いられる特定の水溶
性樹脂(B成分)は、下記の(c)〜(e)を用いて得
られる。
【0021】(c)ラジカル重合可能なアルコキシシラ
ン単量体。 (d)親水性で不飽和二重結合を有する単量体。 (e)エチレン性不飽和単量体。
【0022】上記(c)であるラジカル重合可能なアル
コキシシラン単量体は、前記(a)のアルコキシシラン
単量体と同様のものが用いられる。すなわち、下記の一
般式(1)で表される単量体を用いることが好ましい。
【0023】
【化6】
【0024】なかでも、前記(a)と同様、下記の組み
合わせのものを用いることが、アルコキシシランの反応
性,加水分解性のバランスがとれているという点から特
に好ましい。例えば、Rが−CH3 、Zが下記に示すも
の、
【化7】 Xが−OCH3 または−OC2 5 の場合であり、また
繰り返し数nは3、aは2または3が好ましい。具体的
には、ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシ
シラン,ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラ
ン,3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン,
3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン,
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン,3−
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等があ
げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用い
られる。特に、2種以上併せて用いる場合の好適な組み
合わせは、架橋のコントロールが容易であるという点か
ら、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランの
組み合わせである。ただし、前記(a)と(c)は、同
時に同一のものを用いる必要はない。
【0025】上記(c)の共重合割合は、(c)〜
(e)全体の0.5〜20重量%(以下「%」と略す)
の範囲に設定することが好ましい。特に好ましくは1〜
10%である。すなわち、0.5%未満では、架橋が不
充分であり脆弱基材の補強という点から充分な効果が得
られ難く、20%を超えると得られる水溶性樹脂(B成
分)の放置安定性が低下する傾向がみられ、またコスト
面等の経済性にも劣るからである。
【0026】上記(c)とともに用いられる(d)の親
水性で不飽和二重結合を有する単量体は、得られる水溶
性樹脂(B成分)に親水性を付与するものであり、例え
ば、カルボキシル基,ヒドロキシル基,アミド基,アミ
ノ基,スルホン基,ポリエチレンオキサイドを単独でも
しくは2種以上併せて有するものがあげられる。具体的
には、上記カルボキシル基含有単量体としては、アクリ
ル酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマール酸,イタコ
ン酸,クロトン酸,およびこれらの金属塩,アンモニウ
ム塩,アミン塩等があげられる。上記ヒドロキシル基含
有単量体としては、アクリル酸−2−ヒドロキシエチ
ル,メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル,アクリル酸
−2−ヒドロキシプロピル,メタクリル酸−2−ヒドロ
キシプロピル等があげられる。上記アミド基含有単量体
としては、アクリルアミド,メタクリルアミド,メチレ
ンビスアクリルアミド,メチレンビスメタクリルアミ
ド,N−メチロールアクリルアミド,N−メチロールメ
タクリルアミド等があげられる。上記アミノ基含有単量
体としては、アクリル酸ジメチルアミノエチル,メタク
リル酸ジメチルアミノエチル,アクリル酸ジエチルアミ
ノエチル,メタクリル酸ジエチルアミノエチル,ジメチ
ルアミノプロピルアクリルアミド,ジメチルアミノプロ
ピルメタクリルアミド等があげられる。上記スルホン基
含有単量体としては、アクリルスルホン酸,メタクリル
スルホン酸,アクリル酸−2−スルホエチル,メタクリ
ル酸−2−スルホエチル,2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸,2−メタクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸等があげられる。上記ポリエ
チレンオキサイド含有単量体としては、エチレンオキサ
イドが2〜50程度付加された、好ましくは4〜20程
度付加されたアクリレート、エチレンオキサイドが2〜
50程度付加された、好ましくは4〜20程度付加され
たメタクリレート等があげられる。これらは単独でもし
くは併せて用いられる。上記化合物のなかでも、比較的
重合が容易であり、水溶化機能が高いという点から、ア
クリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,アクリル酸−2
−ヒドロキシエチルを用いることが好ましい。また、2
種以上併用して用いる場合は、共重合性が良好であると
いう点から、メタクリル酸またはアクリル酸と、アクリ
ル酸−2−ヒドロキシエチルを組み合わせて用いること
が好ましい。
【0027】上記親水性で不飽和二重結合を有する単量
体(d)の共重合割合は、上記(c)〜(e)全体の5
〜30%に設定することが好ましい。特に好ましくは1
0〜20%である。すなわち、5%未満では、(c)〜
(e)の重合反応時にゲル化が生じ易く、30%を超え
ると密着性が不良となる傾向がみられるからである。
【0028】上記(c)および(d)とともに用いられ
る(e)のエチレン性不飽和単量体としては、前記
(A)成分の形成材料として述べた(b)と同様のもの
が用いられる。ただし、前記(b)と(e)は、同時に
同一のものを用いる必要はない。上記エチレン性不飽和
単量体(e)において、ポリマーの光沢,耐水性に優
れ、また(d)との共重合性が良好という点から、アク
リル酸アルキルエステル,メタクリル酸アルキルエステ
ル,スチレンを用いることが好ましい。また、2種以上
併用して用いる場合は、親水性,疎水性の適当なバラン
スという点から、メタクリル酸メチル,アクリル酸ブチ
ル,スチレンを組み合わせて用いることが好ましい。
【0029】そして、上記エチレン性不飽和単量体
(e)の共重合割合は、(c)〜(e)全体の50〜9
4.5%に設定することが好ましい。特に好ましくは7
0〜89%である。上記共重合割合の好適な範囲は上記
(c)および(d)の好適範囲から算出されたものであ
る。
【0030】上記水溶性樹脂(B成分)は、上記(c)
〜(e)を用い、例えばつぎのようにして作製される。
すなわち、有機溶媒中で、上記(c)〜(e)を所定量
配合し、さらに重合開始剤および連鎖移動剤を添加して
所定の条件で共重合反応させる。ついで、この系に水性
媒体を投入した後、上記有機溶媒を減圧蒸留して完全に
水性媒体と置換することにより水溶性樹脂(B成分)が
作製される。上記共重合反応における所定条件として
は、例えば、温度60〜85℃で約3〜6時間攪拌しな
がら反応させることが好ましい。
【0031】上記有機溶媒としては、水に易溶性の有機
溶媒が好適に用いられる。例えば、アセトン,メタノー
ル,エタノール,2−プロパノール,1−プロパノー
ル,ジオキサン,エチレン,グリコール,プロピレング
リコール,グリセリン,メチルカルビトール,エチルカ
ルビトール,ブチルカルビトール,メチルセロソルブ,
エチルセロソルブ等があげられる。これらは単独でもし
くは2種以上併せて用いられる。そして、特に単独で用
いる場合、ポリマーの溶解性,連鎖移動効果という点か
ら、2−プロパノールを用いるのが好ましい。さらに、
2種以上併用して用いる場合は、ポリマーの溶解性とい
う点から、1−プロパノールと2−プロパノールを併用
して用いるのが好ましい。
【0032】上記重合開始剤としては、有機過酸化物、
例えば、t−ブチルペロキシイソブチレート、t−ブチ
ルペロキシ(2−エチルヘキサノエート)、t−ブチル
ペロキシピバレート、t−ブチルペロキシネオデカエー
ト、クミルペロキシオキトエート、クミルペロキシネオ
ヘキサノエート、クミルペロキシネオデカノエート、t
−ヘキシルペロキシネオヘキサノエート、t−ヘキシル
ペロキシネオデカノエート等があげられる。また、アゾ
ニトリル化合物として、2,2′−アゾビス(2−メチ
ルブチロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロ
ピオニトリル)等があげられる。これらは単独でもしく
は2種以上併せて用いられる。特に単独で用いる場合、
分解の容易さという点から、2,2′−アゾビスイソブ
チロニトリルを用いるのが好ましい。さらに、2種以上
併用して用いる場合は、上記と同様分解の容易さという
点から、2,2′−アゾビスイソブチロニトリルと2,
2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を併用し
て用いるのが好ましい。上記重合開始剤の添加量は、全
モノマー量に対して0.5〜2%の範囲に設定すること
が好ましい。
【0033】上記連鎖移動剤は、ポリマーの親水性,系
の粘度を調整するために配合するものであり、例えば水
溶性または疎水性のアルキルメルカプタン類等があげら
れる。具体的には、オクチルメルカプタン,n−ドデシ
ルメルカプタン,n−オクタデシルメルカプタン,te
rt−ドデシルメルカプタン等があげられる。これらは
単独でもしくは2種以上併せて用いられる。この連鎖移
動剤を配合することにより作製される水溶性樹脂(B成
分)の分子量を調整することも可能である。そして、特
に単独で用いる場合、汎用であり基礎データが豊富であ
るという点から、n−ドデシルメルカプタンを用いるの
が好ましい。さらに、2種以上併用して用いる場合は、
分子量分布の制御が容易であるという点から、n−ドデ
シルメルカプタンとオクチルメルカプタンを併用して用
いるのが好ましい。上記連鎖移動剤の添加量は、全モノ
マー量に対して1〜5%の範囲に設定することが好まし
い。
【0034】上記水溶性樹脂(B成分)の製造工程にお
ける(c)〜(e)の組み合わせに関して、(c)とし
て、3−メクタリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
(d)として、メタクリル酸,アクリル酸、(e)とし
て、スチレン,メタクリル酸メチル,アクリル酸ブチル
を用いる組み合わせが、水溶性と耐水性のバランスが適
当であるという点から好ましい。
【0035】なお、上記水溶性樹脂(B成分)の作製に
おいて、上記(d)である親水性で不飽和二重結合を有
する単量体として、カルボキシル基,スルホン基を含有
する単量体を用いる際には、上記各成分の配合ととも
に、水に可溶性の一価の有機基を有するアルカリ性物
質、あるいは無機のアルカリ性物質の水溶液を配合する
ことが好ましい。具体的には、アンモニア、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アミノメチ
ルプロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミンの
水溶液があげられる。特に好ましくは、アンモニアであ
る。この場合の添加量は、上記水溶性樹脂(B成分)が
水に可溶あるいは安定に分散可能な量に設定される。す
なわち、このように上記水溶液を配合するのは、これら
の添加によりポリマー中のカルボキシル基,スルホン基
を充分に解離させ、ポリマーである水溶性樹脂(B成
分)の分散安定性を高めることを図るためである。
【0036】本発明の被膜形成用樹脂組成物は、例えば
つぎのようにして製造される。すなわち、まず、前記製
法により特定の微粒子(A成分)を作製する。一方、前
記製法により水性媒体中に含有された水溶性樹脂(B成
分)を作製する。ついで、上記A成分とB成分とを所定
の割合で混合することにより製造される。
【0037】上記A成分とB成分との混合割合は、固形
分比で、A成分100部に対してB成分を30〜200
部の範囲に設定することが好ましい。特に好ましくはB
成分が50〜150部である。すなわち、B成分が30
部未満では、樹脂組成物を基材に塗装した際、基材への
浸透性,補強性に劣り、また200部を超えると、エナ
メル塗料作製の際、光沢が低下するという傾向がみられ
るからである。
【0038】このようにして得られた被膜形成用樹脂組
成物中に含有されるA成分の微粒子分散体およびB成分
の水溶性樹脂は、例えば、各々を塗料ベースとして単独
で用いた場合、つぎのような欠点を有する。すなわち、
上記A成分のみでは、エマルジョン粒子が緻密な基材に
浸透することができないため、脆弱基材に対する補強効
果を充分に果たすことが不可能となる。さらに、被膜形
成時に、粒子の界面痕跡の存在により緻密な被膜を形成
することができないという欠点を有する。また、上記B
成分のみでは、その水溶性樹脂の分子量が低いため、こ
れにより形成された被膜は脆く強靱性に欠ける。しか
も、被膜形成時に粒子の界面痕跡を残さないため緻密な
被膜を形成することは可能となるが、ポリマー濃度が低
くエナメル塗料を作製する際、顔料が分離し、その結果
として荒れた被膜を形成するという欠点を有する。しか
しながら、上記A成分およびB成分を混合することによ
り、両者の有する上記各欠点を互いに補い解消して、さ
らに互いの長所が助長されるようになり画期的な被膜形
成用樹脂組成物が得られる。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明は、水性媒体中で
特定の微粒子を生成して分散させ、一方、有機溶媒中で
特定の水溶性樹脂(B成分)を生成させた後、上記有機
溶媒を水性媒体に混合し有機溶媒を揮散させることによ
り溶媒置換する。ついで、上記微粒子分散体と水溶性樹
脂を混合して得られる被覆形成用樹脂組成物である。こ
のため、上記A成分およびB成分がそれぞれ有する欠点
を互いに補いあうようになる。すなわち、浸透力の大き
い水溶性樹脂(B成分)が下地基材に充分に含浸されこ
れを補強する。また、分子量の大きい微粒子(A成分)
が造膜により強靱な被膜を形成し、上記水溶性樹脂(B
成分)の有する脆さを補うことになる。さらに、上記A
成分およびB成分の両者はシラノール結合を介して架橋
されるため被膜の緻密さが増強され、より一層緻密かつ
強靱な被膜が形成される。しかも、ポリマー濃度が高い
ため、エナメル塗料の配合も容易であり、光沢に優れた
被膜が得られる。従って、本発明の被膜形成用樹脂組成
物は、トップコート塗料,ノンシーラー塗料,水系金属
塗料等の塗料ベースへの応用に最適である。
【0040】つぎに、実施例について比較例を併せて説
明する。
【0041】まず、実施例に先立って、下記の方法に従
い微粒子分散体である水性エマルジョンおよび水溶性樹
脂を作製した。〔水性エマルジョンの作製〕攪拌翼,温
度計および還流冷却器を備えた四つ口フラスコに水70
部を投入した。そして、80℃下にて下記の表1に示す
モノマーの水分散体および重合開始剤水溶液を4時間か
けて上記フラスコに滴下投入した。さらに、2時間反応
を続けて濃度50%の水性エマルジョンを作製した。な
お、下記の表1に水性エマルジョンの粒子径も併せて示
した。
【0042】
【表1】
【0043】〔水溶性樹脂の作製〕上記と同様の四つ口
フラスコ内に、下記の表に示す原料を投入し、80℃で
5時間攪拌することにより共重合反応を行った。その
後、pH値が9となるようアンモニア水を添加し同時に
水300部を投入した。そして、有機溶媒を減圧蒸留し
完全に水と置換することにより水溶性樹脂を作製した。
濃度は25%であった。
【0044】
【表2】
【0045】
【実施例1〜12、比較例1〜5】上記製法により作製
した各水性エマルジョンと水溶性樹脂を、下記の表3〜
表6に示す割合にて混合することにより被膜形成用樹脂
組成物を得た。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】このようにして得られた実施例および比較
例の被膜形成用樹脂組成物を用い、これをベースに下記
の表7に示す原料からなる処方により塗料を作製した。
塗料のPVC(顔料体積濃度)=19%、濃度=61
%、粘度(30℃)は50〜200ポイズであった。
【0051】
【表7】
【0052】上記処方により得られた塗料を用い、下地
密着性,光沢の度合い,塗膜強度および伸度を下記に示
す方法に従って測定し、各被膜形成用樹脂組成物の特性
を評価した。その結果を後記の表8〜表10に示す。
【0053】〔下地密着性〕上記塗料をJIS A69
10に定めるモルタルピースに湿潤状態で厚み約1mm
に塗布した。そして、室温下にて1週間乾燥した後、J
IS A6910に定める温冷繰り返し試験を行った。
その結果、膨れの生じなかったものを○、膨れの生じた
ものを△、剥離してしまったものを×として表示した。
【0054】〔光沢の度合い〕上記塗料をガラス板表面
に厚み10milとなるよう塗布した。そして、室温下
にして1日間乾燥した後、60°−60°の光沢を変角
光沢計により測定した。
【0055】〔塗膜強度および伸度〕JIS A691
0の伸び試験に従い上記塗料の塗膜を作製した。そし
て、上記JIS A6910の伸び試験に従い、20℃
時の伸度を測定した。さらに、破断強度についてもJI
S A6910に準じて測定した算出した。
【0056】
【表8】
【0057】
【表9】
【0058】
【表10】
【0059】上記表8〜表10の結果から、比較例1品
は水性エマルジョン単独で構成された樹脂組成物を塗料
ベースにしたものであり、水性エマルジョンの分子量が
大きいため充分に下地基材に浸透せず、下地密着性に劣
る。また強度も低い。比較例2〜4品も下地密着性に劣
るものであり、低強度である。比較例5品は水溶性樹脂
単独で構成された樹脂組成物を塗料ベースにしたもので
あり、光沢は著しく低く塗膜は脆い。これに対して実施
例品では、全て下地密着性に優れており、しかも高い光
沢性を有し強度も高く満足のいく被膜が形成された。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中に、下記の(A)成分および
    (B)成分が含有されていることを特徴とする被膜形成
    用樹脂組成物。 (A)下記の(a)および(b)から誘導される構造単
    位を分子構造とする共重合樹脂の微粒子。 (a)ラジカル重合可能なアルコキシシラン単量体。 (b)エチレン性不飽和単量体。 (B)下記の(c)〜(e)から誘導される構造単位を
    分子構造とする共重合体からなる水溶性樹脂。 (c)ラジカル重合可能なアルコキシシラン単量体。 (d)親水性で不飽和二重結合を有する単量体。 (e)エチレン性不飽和単量体。
  2. 【請求項2】 (A)成分中の(a)であるアルコキシ
    シラン単量体および(B)成分中の(c)であるアルコ
    キシシラン単量体が、下記の一般式(1)で表される単
    量体である請求項1記載の被膜形成用樹脂組成物。 【化1】
  3. 【請求項3】 (A)成分および(B)成分の重量割合
    が、(A)成分100重量部に対して(B)成分が30
    〜200重量部に設定されている請求項1または2記載
    の被膜形成用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (B)成分中の(c)〜(e)の重量割
    合が、(c):(d):(e)=(0.5〜20):
    (5〜30):(50〜94.5)に設定されている請
    求項1〜3のいずれか一項に記載の被膜形成用樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 水性媒体中で、下記の(a)および
    (b)を共重合反応させ生成微粒子を分散させる工程
    と、有機溶媒中で下記の(c)〜(e)を共重合反応さ
    せて水溶性樹脂を生成する工程と、上記有機溶媒を水性
    媒体に混合し有機溶媒を揮散させることにより水性媒体
    に溶媒置換する工程と、上記水性媒体中の微粒子分散体
    と水溶性樹脂とを混合する工程とを備えていることを特
    徴とする被膜形成用樹脂組成物の製法。 (a)ラジカル重合可能なアルコキシシラン単量体。 (b)エチレン性不飽和単量体。 (c)ラジカル重合可能なアルコキシシラン単量体。 (d)親水性で不飽和二重結合を有する単量体。 (e)エチレン性不飽和単量体。
  6. 【請求項6】 (a)および(c)のアルコキシシラン
    単量体が、下記の一般式(1)で表される単量体である
    請求項5記載の被膜形成用樹脂組成物の製法。 【化2】
  7. 【請求項7】 A成分およびB成分の混合割合が、固形
    分比でA成分100重量部に対してB成分が30〜20
    0重量部に設定されている請求項5または6記載の被膜
    形成用樹脂組成物の製法。
  8. 【請求項8】 B成分中の(c)〜(e)の重量割合
    が、(c):(d):(e)=(0.5〜20):(5
    〜30):(50〜94.5)に設定されている請求項
    5〜7のいずれか一項に記載の被膜形成用樹脂組成物の
    製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016188370A (ja) * 2015-03-27 2016-11-04 株式会社日本触媒 塗料用水性樹脂組成物

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