JPH0730501B2 - 立毛長繊維不織シートの製造方法 - Google Patents

立毛長繊維不織シートの製造方法

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JPH0730501B2
JPH0730501B2 JP61015813A JP1581386A JPH0730501B2 JP H0730501 B2 JPH0730501 B2 JP H0730501B2 JP 61015813 A JP61015813 A JP 61015813A JP 1581386 A JP1581386 A JP 1581386A JP H0730501 B2 JPH0730501 B2 JP H0730501B2
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建夫 石川
寛 北村
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、立毛不織シートとその製造方法に関する。更
に詳しくは、熱成型加工性に優れた立毛不織シートとそ
の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
近年、内装材、特に自動車等の車輛の天井材、ドア・ト
リムなどは、自動車の高級指向に伴い、従来の塩ビなど
のプラスチック・シートから起毛トリコット、ベルベッ
ト、スエード調人工皮革など繊維起毛素材が使用される
ようになって来ている。
しかしながら、これらの素材は、塩ビ・レザーなどに比
較して、コストが高いこと、又それ自体は熱成型加工性
をもたず、塩ビシートなどをラミネート(裏貼り)して
使用するため中級〜高級車を中心に使われており、価格
的な問題で大衆車、業務用自動車には、未だ殆んど使用
されていない。
安価な起毛素材として、スパンボンドなど不織布の起毛
品が容易に考えられるが、一般に入手出来る樹脂加工、
又は、熱ボンディングしたスパンボンド不織布は、バフ
イング、針布起毛などの起毛処理を、行っても、繊維密
度が小さいこと、構成繊維の固定が不充分なことなどに
より、カットされた立毛が得られず、ループ状或は長く
粗いピリング調の毛羽が形成されるだけで、こうした目
的に使用出来るような立毛素材とはならない。又繊維の
固定を増すために、樹脂加工の樹脂量を増すだけではベ
ニヤ板をバフイングしたような殆んど立毛のない表面し
か得られない。
従来から、不織布をこうした目的に合った安価な内装材
として利用しようとする試みが提案されている。例えば
特公昭−60−24218号に開示された不織シートは繊維ウ
エブの片面に樹脂を含浸、他面にウエブの柔軟な風合を
残した不織シートであり、或は、熱接着性繊維を含有し
た繊維ウエブ(A)と含有しない繊維ウエブ(B)を積
層して、ニードルパンチ処理し次いで(A)側から熱エ
ンボス処理を行い、シートの片側(A側)の繊維を熱接
着繊維によって結合することでシートに強度をもたせ、
もう一方の側は、ニードルパンチで結合した柔軟な繊維
層で出来たソフトな肌触りをもった不織シートである。
但これらはいづれも、風合感触を主目的としたものであ
り、上記した編・織物の起毛素材のような立毛層はな
く、外観品位はこれら素材に遠く及ばない。
一方、スエード調人工皮革、合成など従来からの編・織
の起毛素材を越える本格的な立毛不織シートがある。こ
れらは、短繊維ウエブに高密度のニードルパンチ処理を
行ない、次いでサンド・ペーパーによるバフイング或
は、針布などにより、起毛処理を行ない製造されてい
る。
この場合、高品位の立毛を得るために必要な技術上のポ
イントは、不織ウエブの構成繊維をシートの厚み方向に
配列させることと、起毛加工時に構成繊維が素抜けて、
長さの不整いな、粗い立毛にならないように適度に繊維
が互に拘束されていることである。
そのために不織ウエブの構成繊維をニードルパンチで3
次元に交絡させており、上記目的を充すには300パンチ/
cm2以上、スエード調人工皮革などでは3000パンチ/cm2
を越える高密度のニードルパンチ処理が行われている。
こうした高密度のニードルパンチ処理が、これら素材の
生産の低速となり高価格の大きな要素となっている。
本発明者等は、上記スエード調人工皮革に見られるよう
な、立毛密度が高い起毛素材を、長繊維不織布から、得
ることについて研究した結果、スパンボンドのような長
繊維不織布では、一般に紡糸したフイラメントを金網コ
ンベアの上に平面的に集積したウエブを熱エンボス、或
は樹脂加工などで固定してシート化しているため、前記
したようなシートの厚み方向の繊維配列、絡み合いによ
る繊維同志の拘束など、高品位の立毛を形成する条件を
充しておらず、起毛処理を行っても、長く不整いの毛羽
が粗に形成されるに過ぎない事又、短繊維不織ウエブと
同じように、ニードルパンチ処理を行っても繊維長が長
く連続しているため、ニードルパンチによる繊維の移動
が起りにくく、立毛形成に必要な緻密な3次元絡合構造
は得られないことなどに、基本的な問題があり、この点
を解決する技術を、種々検討した結果、本発明者等は、
ポリエステル系未延伸糸からなる長繊維不織シートより
ニードルパンチ処理を、殆んど行なわないで高品位立毛
不織シートが得られることを見出し本発明に到達した。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、従来公知の不織シートの有する前述の問題点
を解決して、緻密な立毛表面を有し、且つ熱成型加工性
に優れた、ポリエステル系長繊維立毛不織シートの製造
方法を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の目的はポリエステル系未延伸糸(Δn0.02〜0.0
7)から成る長繊維不織シートを少なくとも一方の表面
にエンボス模様をもった一対のロールを用いてエンボス
加工するステップと、該不織シートを20%以上面積収縮
させるステップおよびその不織シートのエンボス模様を
有する側の表面を起毛処理して立毛層を形成するステッ
プからなり、前記立毛層を構成する繊維が不織シートの
構造内に前記エンボス加工によって形成されて点在する
繊維密度の大なる部分により拘束されて固定されている
ことを特徴とするノンバインダータイプの立毛長繊維不
織シートの製造方法によって達成される。
本発明に用いられるポリエステルは繊維形成可能なポリ
エステルであり2次転移点が室温以上であり、実質的に
非晶性の未延伸糸が安定に製造出来るものであることが
必要である。
かかるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリプロピレンテレフタレート及びイソフタル
酸、メチルテレフタル酸、セバチン酸等の2塩基酸エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリ
コール、ポリエチレングリコール等の2価アルコール、
オキシ酸などを共重合成分とした共重合ポリエステルを
挙げることが出来る。中でもポリエチレンテレフタレー
トが耐熱性、耐候性、強度などの面で本発明の目的に特
に適しており、優れた結果をもたらす。尚以下の詳細な
説明は、ポリエチレンテレフタレートを例として説明す
る。
第1、〜4図は本発明の製造方法の各ステップの不織シ
ートの断面構造を模式的に表現したものである。
第1図は、ポリエチレンテレフタレート未延伸糸2より
なる長繊維ウエブ1であり、構成繊維は30〜70%の沸水
収縮能をもっている。
第2図は第1図の不織ウエブを、120℃のエンボスロー
ルと75℃の金属フラットロールからなる一対のロール
で、エンボス処理して部分圧着部3を設けたものであ
る。処理された不織シートは、温度差をもったロールか
らの熱リレキの差により、高温リール側の繊維は、結晶
化が進み、収縮が抑制されており、低温ロール側は高い
熱収縮能をもつ、2層構造をもつ不織シートであり、且
つシート中にエンボスロールの圧着による繊維密度が高
い部分3が点在している。こうした構造により形態的に
安定且つ20%以上の面積収縮能をもった不織シートが得
られる。
第3図は、第2図のシートを熱収縮させたもので、シー
ト中の圧着部をつなぐ繊維が、表裏で収縮能が異なるた
め収縮処理によって図の様なループ構造4をもった不織
シートとなる。
第4図は、第3図のシート表面(エンボス側)をサンド
ペーパーでバフイレグして起毛処理したもので、ループ
構造が、バフによりカットされ、表面に緻密な立毛5が
形成され、且つ、シート中に繊維密度の高い部分3が点
在する不織シート6が得られる様子を示している。
以上、本発明の第1の目的である立毛品位にすぐれた不
織布シートはポリエステル未延伸糸の低軟化温度、熱収
縮能を利用して前記した方法でシートの厚み方向に繊維
を配列し、且つ繊維が相互に拘束された長繊維不織シー
トを作り、それを起毛処理することにより達成される。
本発明の第2の目的である熱成型加工性は、Δnが0.02
〜0.07の未延伸ポリエステル糸よりなる不織シートと前
記加工の組合せにより150℃での破断伸度が70以上、150
℃での30%伸長応力が50kg/cm2以下という特性が得られ
ることにより達成される。
本発明で用いる未延伸糸は、複屈折率(Δn)が0.02〜
0.07の範囲のものであり、Δnが0.02以下の場合は、繊
維が加工の熱履歴により脆くなり起毛処理で、良好な立
毛が得られず、又熱成型加工を行うと、金型の温度で表
面のフィルム化、脆化が起り立毛品位、熱成型性ともに
本発明の目的を達成することは出来ない。
一方Δnが0.07以上の場合は、繊維の沸水収縮率も20%
以下となり軟化点も高くなって、本発明の良好な立毛形
成の条件である不織シートの厚み方向への繊維の配列、
繊維相互の動きが拘束された、不織シート構造が得られ
ず、又150℃でのシート破断伸度、30%伸長応力など熱
成型性の面でも本発明の目的を満すことが出来ない。
次に本発明の不織シートの製造方法の一例を説明する。
ポリエステルを溶融紡糸した連続フイラメントを高速気
流により延伸した後、移動コンベア上で一挙にウエブを
形成させるスパンボンド法に於て紡糸速度を適宜変化さ
せることにより、上記範囲の複屈折率を有するフイラメ
ントからなるウエブを形成させる。このウエブを、少な
くとも一方の表面にエンボス模様をもった一対のロール
間で熱圧着させる。(ステップ1)、ロール温度は、ス
テップ2の熱処理工程での不織シートの熱収縮の程度と
ハブ起毛に必要な構成繊維の相互の拘束の程度を決める
ものであり本発明の重要なポイントである。
部分熱圧着により、ウエブの構成繊維に必要な拘束状態
を与えるためには70℃以上の温度が必要であり、一方、
部分熱圧着された不織シートが20%(面積)以上の沸水
収縮率を保有するには90℃以下の温度でなければならな
い。このため本発明で90℃以上のロール温度では熱エン
ボスをする場合は、上下ロールに温度差をつけることが
必要である。即ち、一方のロール温度は70〜230℃、好
ましくは120〜220℃とし他方のロール温度は、20〜100
℃、好ましくは、40〜90℃で熱圧着処理を実施する。
部分熱圧着のパターンは、前記したように圧着点が収縮
処理時に繊維の動きを規制して不織シート中にループ構
造を形成、バフイングにより、良好な立毛を得るために
重要なポイントとなるためエンボスロールの圧着面積率
は5−50%、圧着部がロール全面にわたり、出来るだけ
均等に分布しておりいづれの圧着部に於ても隣接する圧
着部までの距離が5cm以下であることが好ましい。
これにより、得られた不織シートは、部分熱圧着部が全
面に点在し、エンボスロール側の繊維は結晶化が進み熱
収縮が抑制され、他面の繊維は、熱収縮が大きい構造の
タテ、ヨコ両方向20%以上の沸水収縮率をもった不織シ
ートとなる。
次にこの不織シートを熱処理により20%以上面積収縮さ
せる(第2ステップ)。熱処理方法は熱水中でのリラッ
クス、テンタードライヤーを使用したリラックスなどで
実施することが出来るが、拡布状で80〜90℃の熱水中で
処理する方法が収縮処理の均一性という点から好まし
い。この収縮処理により、不織シート中に、前記したよ
うなループ構造が形成される。又熱水処理後、必要に応
じて、フエルトカレンダー等により、表面に平滑性を附
与することは後の起毛処理の品位を向上させる点からも
有効である。
次に、この不織シートに起毛処理を施し、表面に立毛を
形成させる(第3ステップ)起毛方法はサンドペーパー
によるバフイング針布による起毛さらにブラシによる起
毛などが挙げられる。又その立毛を揃えるためにシャー
リングを用いてもよい。しかしバフイングによる方法
が、均斉で且つ緻密な立毛を得る上でもっとすぐれた結
果が得られる。サンドペーパーのメッシュは100メッシ
ュ〜400メッシュを使用出来るが起毛長などによって適
宜選択する。
本発明に於てエンボス加工前の長繊維ウエブに50〜100
パンチ/cm2程度の軽いニードルパンチ処理を施した後本
発明のエンボス加工、収縮処理起毛処理の各ステップを
行ってもよい。このような軽度のニードルパンチ処理を
行えば単独では全く期待出来ない優れた立毛品位をもっ
た起毛素材が得られる。こうしたニードルパンチとの組
合せ加工は、エンボスの圧着面積を小さくして、柔軟な
風合を狙った起毛素材を製造する場合に特に有用であ
る。
本発明の不織シートを構成する繊維の単繊維繊度は20デ
ニール以下の繊維を用いるのが好ましく、特に0.01d〜
0.5dの極細繊度の領域では、ライテイング効果などスエ
ード調の外観感触をもったものが得られる。
更に本発明の製造方法による不織シートは、目的に応じ
て、例えば、染色、樹脂加工、撥水加工、帯電防止加工
等の公知の後加工を行ってもよい。
かくして得られた本発明の製造方法による不織シートは
その優れた外観品位、感触及び成型加工法などを活かし
て自動車の内装材等に有用に用いられる。
〔実施例〕
以下本発明を実施例を挙げて、具体的に説明する。尚、
実施例に記載した特性の定義及び、測定方法を以下に示
す。
◎ 繊維の沸水収縮率 0.1g/d荷重下での試料長をL0とし、荷重を取除き、沸水
中で30分間処理した後、再度同じ荷重下で測定した試料
長をLとすると、沸水収縮率は、 で表わされる。なお測定は、n=5の平均値で求める。
◎ 不織シートの沸水収縮率 シートを25cm×25cm角に切り取り、タテ、ヨコ各々20cm
の位置にマーキングして沸水中で1分間処理した後、試
料の寸法変化を測定し収縮率を求める。なお測定は、n
=5の平均値で求める。
◎ 30%伸長応力 島津製作所製、Auto Graph DSS−2000型万能引張試験機
により把握長10cm、引張速度20cm/分で、150℃の温度で
30%伸長時の応力を測定、その値を試料の断面積で除し
た値で表わす。
◎ 熱劣化 不織シートを一対の平滑な金属ロールを用いて、上下温
度150℃、線圧20kg/cm、ロール速度10m/分の条件で熱加
圧接触させたのち、強伸度を測定、加熱加圧接触前後の
破断伸度をそれぞれ5回づつ測定しその平均値から、伸
度保持率を求め、熱劣化の目安とした。
実施例1,2,比較例3,4 孔径0.25mm、孔数1000ケの矩型紡糸口金を用いて、吐出
量850g/minで固有粘度0.72のポリエチレンテレフタレー
トを溶融温度290℃で紡出し紡口直下1000mmの位置にあ
る牽引用エアー・サッカーのエアー圧力を変えて紡糸速
度2500m/分、3000m/分で、金網コンベアー上に長繊維ウ
エブ(目付160g/m2)として取出した。
得られたウエブを構成する繊維の物性は、第1表に示
す。
これらは、本発明の加工前のウエブを構成する繊維であ
る。
比較例として同様にエアー量のみを変えて、紡糸速度13
00m/分と5000m/分で紡糸した繊維からなる目付160g/m2
のウエブを形成した。これらのウエブを構成する繊維の
特性を同じく第1表に比較例として示す。
実施例5,6,7,比較例8,9,10 第1表の特性を有する繊維からなる目付160g/m2のウエ
ブに長辺3mm短辺1mm深さ0.6mm、面積率18%の矩型状エ
ンボス模様を有する上部ロールと表面が平滑な下部ロー
ルとの間で、第2表記載の各ロール温度条件で、線圧30
kg/cm、速度30m/分の下で部分圧着を施した。(ステッ
プ1) 次いで、得られた不織シートを90℃の熱水中で1分間処
理を行った。(ステップ2) 次に#150番のサンドペーパーを装着したベルト・サン
ダー(名南製作所KK製)にて不織シートの表面(エンボ
ス側)を2/100〜3/100mmバフイングした。(ステップ
3) 次いで不織シートを通常のポリエステル繊維用の分散染
料でベージュ色に拡巾状で110℃30分染色、80℃30分還
元洗浄を実施し、得られた不織シートの特性を第2表に
示す。
第2表から判るように実施例5,6,7でステップ1の処理
で部分圧着処理をした不織シートは熱水処理により面積
収縮率で示す沸水収縮率がいづれも35%以上を示し、バ
フ起毛により、緻密な立毛層が形成された外観、感触に
優れた起毛素材が得られた。更にこの不織シートは、第
2表に示したような加熱時、低い応力で大きな伸展性を
保有し又熱成型加工性に富んでいる。これら審美性と成
型加工性を生かし、自動車の内装材等に高い価値を発揮
することが判明した。
一方比較例8は0.01の複屈折(Δn)を有する未延伸糸
を使用した不織シートであり、加工処理工程で受ける熱
履歴により、繊維が脆くなりバフ起毛により、繊維が摩
滅して、スリ切れ調の表面しか得られず又、不織シート
の耐熱性に劣り、本発明の成型性をもった起毛不織布素
材としては、使用出来ないものである。
又、比較例9は、0.102の複屈折(Δn)を有する延伸
度の高い糸を使用した例である。エンボス後の熱水処理
で不織シートは、殆んど収縮せず、シート方向への繊維
配列が殆どなく、又相互の拘束が不充分のためバフ起毛
処理により、構成繊維がバラケ又はモモケた表面とな
り、本発明の目的とする立毛層は得られず、又第2表記
載の通り150℃での30%伸長応力が大きく、伸度も小さ
い熱成型性に乏しい不織シートであった。
比較例10は、0.025の複屈折(Δn)を有する未延伸糸
を使用した不織シートであるが、エンボス条件を上、下
ロール温度を120℃と同一温度で実施した例である。こ
の条件で得られたエンボス後の不織シートは、第2ステ
ップの熱水処理で殆んど収縮せず、本発明の重要な条件
であるエンボス後、少なくとも20%以上の面積収縮をす
るという条件を欠いている。
この様にして得られた不織シートは、本発明の範囲の未
延伸糸を使用しているにもかかわらずシート方向への繊
維の配列が、殆んどなく、又繊維相互の拘束が不充分の
ため、第3ステップのバフイング処理をしても、比較例
10と類似したモモケた粗な立毛しか得られず、本発明の
目的は達成されていない。
実施例11,比較例12 第1表の実施例2の繊維からなる目付160g/m2のウエブ
を3mmピッチ、直径1mm、深さ0.4mm、面積率10%のピン
状模様を有するエンボスロールと、表面が平滑な下部ロ
ールとの間で上下ロール温度75℃線圧20kg/cm速度20m/
分の下で仮圧着を施し、次いでニードルパンチ機でバー
ブ針38、刺し深さ15mm、パンチ密度70パンチ/cm2で処
理を行った。
この不織シートを上記と同じロールで上部ロール130
℃、下部ロール60℃線圧40kg/cm速度20m/分の下で、部
分熱圧着を行い、(ステップ1)次いで90℃×1分間の
熱水処理により、収縮(面積収縮率38%)させた結果、
部分熱圧着部が全面に点在する緻密な不織シートが得ら
れた。(ステップ2) この不織シートを150番のサンドペーパーでバフイン
グ処理を行った結果、表面に0.07mmから0.12mmの緻密な
立毛層をもった不織シートが得られた(ステップ3) この不織シートはポリエステル繊維用の分散染料で染色
することにより優れた美観と実施例5,6,7に比較して、
部分熱圧着面積が少ないためソフトな風合の起毛素材が
得られた。
又、この不織シートは第3表に示す如く、熱成型加工性
にすぐれており、150℃の帽子金型で立体成型すること
で、表面に立毛層をもった帽子を容易に製造することが
出来た。
一方比較例12は実施例11のニードルパンチ後の不織シー
トをステップ1の部分熱圧着処理を省略し、90℃の熱水
処理により収縮(面積収縮率44%)させ、バフイング処
理を行った結果実施例11に比較、粗く、不均性な立毛品
位の不織シートしか得られなかった。
実施例13 孔径0.10mm、孔数2500ケの紡糸口金を用いて、吐出量11
0g/minで固有粘度0.51のポリエチレテレンフタレートを
溶融温度305℃で紡出し紡口直下900mmの位置にある牽引
用エアーサッカーにより紡糸速度2000m/分で金網コンベ
ア上に単糸繊度0.2dの長繊維ウエブ(目付150g/m2)と
して取出した。得られたウエブを構成する繊維の複屈折
率は0.055、沸水収縮率は27%であった。
この長繊維ウエブを実施例5と同条件で部分圧着(ステ
ップ1)、熱水収縮(ステップ2)、バフイング(ステ
ップ3)の処理を行い表面に立毛層をもった不織シート
を得た。この不織シートを染色し、表面をブラッシング
した結果、ライテイング効果と極細起毛特有の表面感触
をもった起毛不織シートが得られた。
この不織シートは同時に熱成型性に優れていることも実
施例11と同じ金型で帽子を熱成型加工することによって
確認された。
〔発明の効果〕
本発明の製造方法により得られた立毛長繊維不織シート
はノンバインダータイプの不織シートであって、前述の
構成の製造方法を用いることにより、表面に緻密な立毛
層を有すると共に優れた美観と手触り、且つ優れた熱成
型性を有する起毛素材としての不織シートであり、その
特性を活かして車輛の天井材等内装材料として有用に用
いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1〜4図は本発明の製造方法の各ステップの不織シー
トの断面構造を模式的に表現したものである。 第1図は、ポリエチレンテレフタレート半延伸糸よりな
る長繊維ウエブの断面を示す模式図である。 第2図は、第1図の長繊維ウエブに本発明の部分熱圧着
処理を行った不織シートの断面を示す模式図である。 第3図は、第2図の不織シートを熱水中で収縮処理を行
った不織シートの断面を示す模式図である。 第4図は、第3図の不織シートの表面をバフイングによ
り起毛処理を行った不織シートの断面を示す模式図であ
る。 1……不織ウエブ、2……ポリエチレンテレフタレート
半延伸糸、3……部分圧着部、4……ループ部分、5…
…立毛、6……立毛長繊維不織シート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06C 23/04 B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル系未延伸糸(Δn0.02〜0.0
    7)から成る長繊維不織シートを少なくとも一方の表面
    にエンボス模様をもった一対のロールを用いてエンボス
    加工するステップと、該不織シートを20%以上面積収縮
    させるステップおよびその不織シートのエンボス模様を
    有する側の表面を起毛処理して立毛層を形成するステッ
    プからなり、前記立毛層を構成する繊維が不織シートの
    構造内に前記エンボス加工によって形成されて点在する
    繊維密度の大なる部分により拘束されて固定されている
    ことを特徴とするノンバインダータイプの立毛長繊維不
    織シートの製造方法。
JP61015813A 1986-01-29 1986-01-29 立毛長繊維不織シートの製造方法 Expired - Lifetime JPH0730501B2 (ja)

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