JPH07304705A - 高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法 - Google Patents

高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造方法

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JPH07304705A
JPH07304705A JP1818195A JP1818195A JPH07304705A JP H07304705 A JPH07304705 A JP H07304705A JP 1818195 A JP1818195 A JP 1818195A JP 1818195 A JP1818195 A JP 1818195A JP H07304705 A JPH07304705 A JP H07304705A
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water
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temperature
acid
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JP1818195A
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Yoshio Fukui
良夫 福井
Tatsuto Yoshioka
達人 吉岡
Osamu Sugimoto
税 杉本
Manabu Okuyama
学 奥山
Norioki Mitsune
法興 三根
Masahiko Yamagishi
昌彦 山岸
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 着色物質、重金属、臭素化合物等の含有率が
低い、高純度の2,6−ナフタレンカルボン酸を製造す
る方法の提供。 【構成】 不純物を含有する2,6−ナフタレンジカル
ボン酸の粗結晶を、溶解度パラメーター18〜35の含
酸素有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類または
エーテル類)からなる群から選ばれるエントレーナーを
含有する超臨界または亜臨界状態の水に溶解し、得られ
た溶液を冷却して結晶を析出させ、該結晶を母液から分
離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不純物を含有する2,
6−ナフタレンジカルボン酸、特に、ジアルキルナフタ
レンを分子状酸素で酸化して得られる粗2,6−ナフタ
レンジカルボン酸を水に溶解し、晶析して高純度2,6
−ナフタレンジカルボン酸を製造する方法に関する。
2,6−ナフタレンジカルボン酸は、ポリエチレンナフ
タレート(PEN樹脂)などの高機能性樹脂の原料等と
して有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】ナフタレンジカルボン酸は、例えば、ジ
メチルナフタレンやジイソプロピルナフタレン等のジア
ルキルナフタレン類をコバルト、マンガンおよび臭素の
存在下に、分子状酸素で酸化することによって製造され
ることはよく知られている。しかし、これらの方法で得
られる粗ナフタレンジカルボン酸は、トリメリット酸等
の不純物や着色物質、さらに触媒に起因するコバルト、
マンガンおよび臭素化合物を含むために、精製工程が必
要である。
【0003】従来、ナフタレンジカルボン酸の精製方法
としては、粗ナフタレンジカルボン酸をアルカリ水溶液
に溶解し、酸化や水素化、吸着による脱色等の処理を行
った後、酸性にすることによって高純度のナフタレンジ
カルボン酸を得る方法が知られている(特開昭48−6
8554号、特開昭48−49747号、特開昭50−
105639号、特開昭50−160248号公報
等)。しかし、これらの方法は、いずれも大量のアルカ
リおよび酸を使用するため、大量の無機塩および廃水が
生じるという問題があった。これに対し、粗ナフタレン
ジカルボン酸をジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド等の有機溶媒に溶解し、活性炭処理後、再結晶さ
せる方法(特開昭62−23074号公報)も提案され
ているが、これらの有機溶媒は沸点が高く溶媒の回収が
困難であり、また毒性が高い等の問題があった。
【0004】また、粗ナフタレンジカルボン酸をジメチ
ルアミン等の水溶液に溶解した後、アミンを留去してナ
フタレンジカルボン酸を析出させることにより精製する
方法(特開昭50−142542号公報)も提案されて
いるが、用いるアミンが水と共沸するため大量の水が一
緒に留去されること、水溶液中からアミンを完全に除去
することができないため回収率が低いこと等の欠点があ
った。さらに、これらの欠点を改善するため、アミンと
アルコールの混合溶媒を使用する方法が提案されている
(特開平5−155807号公報)が、この方法に於い
ては、重金属等の触媒に起因する不純物の除去が十分で
は無い。
【0005】一方、コバルト、マンガンを含む不純物を
取り除くため、80〜90℃の水で洗浄する方法が提案
されている(特開平1−121237号公報)が、この
方法においても、粗結晶中に取り込まれた不純物は除去
することが出来ない。また、芳香族ポリカルボン酸の精
製法として、テレフタル酸中の不純物を超臨界状態の水
中で貴金属触媒の存在下、水素化処理する方法が知られ
ている(特公昭51−38698号公報)。さらには、
超臨界抽出において、溶解度と選択性を向上させるため
に、エントレーナーや助溶剤と呼ぶ第3成分を加える方
法も検討されている[例えば、A.K.Sunol らの論文,“E
NTRAINER SELECTION IN SUPERCRITICAL EXTRACTION”
(J.M.L.Penningerら編集 Process Technology Procee
dings, 3, “SupercriticalFluid Technology", 451〜4
64頁,Elsevier Science Publishers B.V.発行(198
5))参照]。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記し
た従来技術の問題点を解決し、不純物を含有する2,6
−ナフタレンジカルボン酸、特に、ジアルキルナフタレ
ン類を重金属塩類及び臭素化合物の存在下に分子状酸素
含有ガスで酸化して得られる2,6−ナフタレンジカル
ボン酸から、着色物質、重金属、臭素化合物等の含有率
が低い、高純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸を製
造する方法として、亜臨界水または超臨界水に2,6−
ナフタレンジカルボン酸を溶解、晶析する方法を、さら
に改善した、高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の
製造法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、不純物
を含有する2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶
を、溶解度パラメーター18〜35の含酸素有機溶剤か
らなる群から選ばれるエントレーナーを含有する超臨界
または亜臨界状態の水に溶解し、得られた溶液を冷却し
て結晶を析出させ、該結晶を母液から分離することを特
徴とする高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の製造
方法が提供される。
【0008】
【発明の具体的説明】本発明の方法に用いられる不純物
を含有する2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶と
しては、純度が90%以上、一般には95〜99%のも
のが用いられる。また、純度99%以上のもの、例え
ば、活性炭等で予備的に精製処理した後の2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を処理原料とすることもできる。こ
のような粗2,6−ナフタレンジカルボン酸としては、
例えば、ジアルキルナフタレン類を脂肪族低級モノカル
ボン酸、水等の溶媒中で、コバルト、マンガンおよび臭
素の存在下に分子状酸素で酸化することによって得られ
る2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶を挙げるこ
とができる。ジアルキルナフタレン類の酸化反応により
得られる2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶は、
触媒に起因するコバルト、マンガンおよび臭素化合物
や、6−カルボキシ−2−ナフトアルデヒド、トリメリ
ット酸、核臭素化2,6−ナフタレンジカルボン酸等の
ほか構造不明の臭素化合物、さらに反応により副生した
不純物や着色物質などを含んでおり、通常は微褐色ない
し褐色を呈しているが、そのまま本発明の方法に供して
もよいし、また反応溶媒等で洗浄するなどしてから用い
ても良い。
【0009】酸化反応に触媒として用いられるコバルト
化合物およびマンガン化合物としては、例えば、コバル
ト及びマンガンのギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ
酸、マレイン酸などの脂肪族カルボン酸塩、ナフテン酸
などの脂環式カルボン酸塩、安息香酸、テレフタル酸、
ナフトエ酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カル
ボン酸塩の他、酢酸化物、酸化物、炭酸塩、ハロゲン化
物などの無機化合物類を挙げることができる。このう
ち、酢酸塩および臭化物が好んで用いられる。臭素化合
物としては、例えば、臭化カリ、臭化アンモニウム、分
子状臭素、臭化水素等の無機臭素化合物、及び臭化メチ
ル、臭化エチル、ブロモホルム、臭化エチレン、ブロモ
酢酸などの有機臭素化合物を例示することができる。臭
素化合物の使用量は、その臭素原子の量が、脂肪族カル
ボン酸溶媒中に含まれるコバルトおよびマンガン原子の
合計モル数に対し、0.1〜10モル倍、好ましくは0.
2〜5モル倍の範囲である。
【0010】本発明の方法においては、粗2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を超臨界又は亜臨界状態の水に溶解
させる際に、特定の溶解度パラメーターを有する含酸素
有機溶剤からなるエントレーナーを存在させることが重
要である。該エントレーナーを加えることにより、水に
対する2,6−ナフタレンジカルボン酸の溶解度がさら
に向上すると共に、6−カルボキシ−2−ナフトアルデ
ヒド含有率を著しく低下させるので、効率良く、高純度
2,6−ナフタレンジカルボン酸を得ることができる。
【0011】溶解度パラメーター(以下、SPと略記す
ることがある)は、純物質の凝集エネルギー密度を表す
パラメーターであり、下記式で定義される(Robert.C.R
eidet al, “The Properties of Gases and Liquids",
McGraw-Hill, Inc. 1977)。
【0012】
【数1】
【0013】また、各種の溶剤についての溶解度パラメ
ーターの値は、Allan F.M.Barton,“CRC Handbook of S
olubility Parameters and Other Cohesion Parameter
s",CRC PRESS, 96, 1988)等を参照することができる。
【0014】本発明で使用することができる含酸素有機
溶剤としては、アルコール類、ケトン類またはエーテル
類を挙げることができ、特に溶解度パラメーター19〜
30の、メタノール、エタノール、n−プロパノール、
イソプロパノール、n−ブタノール、第2ブタノール、
第3ブタノール、3−ペンタノール、第3アミルアルコ
ール、シクロヘキサノール等の脂肪族アルコール;ベン
ジルアルコール等の芳香族アルコール;アセトン、メチ
ルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノ
ン等のケトン類が好ましく、最も好ましいのは、炭素数
2〜5の脂肪族アルコール類、並びにメチルエチルケト
ン及びシクロヘキサノンである。一方、高温において分
解しやすいアセチルアセトン(SP=19.5)等は効
果が低いので好ましくない。
【0015】エントレーナーの含有量(水中濃度)は、
通常0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜20重量
%である。エントレーナーの含有量が高い場合は、操作
中の該エントレーナーの損失も多くなって好ましくな
い。また、含有量が低い場合は、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸の溶解度の実質的な向上が認められない。
【0016】本発明による粗2,6−ナフタレンジカル
ボン酸からの高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸の
製造は、次のような手順で行われる。 (1)所定量の粗2,6−ナフタレンジカルボン酸を所
定温度で、所定量のエントレーナーを含有する超臨界ま
たは亜臨界状態の水に溶解する。超臨界または亜臨界状
態の水としては、温度は275℃以上、通常275〜3
80℃、好ましくは、300〜350℃の水を用いる。
圧力は臨界温度以下の領域においては液相を保つために
必要な飽和圧力、臨界温度以上の領域においては臨界圧
力以上の圧力であり、好ましくは飽和圧力又は臨界圧力
ないし該圧力より10kg/cm2高い圧力である。粗2,6
−ナフタレンジカルボン酸を溶解させる水の温度が低す
ぎるとその溶解度が低くなり、一方、水の温度が高すぎ
ると2,6−ナフタレンジカルボン酸の分解が起こるた
め好ましくない。
【0017】溶解に使用する水の使用量は溶解温度によ
って異なるが、粗2,6−ナフタレンジカルボン酸を完
全に溶解させることができる量(飽和溶解度)以上の
水、例えば、イソプロパノール5重量%を含有する水を
用いる場合、溶解温度が300℃のときは、粗2,6−
ナフタレンジカルボン酸1重量部に対して5重量部以上
の水が必要である。2,6−ナフタレンジカルボン酸の
高温・高圧の水に対する溶解度について、発明者らが測
定した一例を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1に示すように、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸の水に対する溶解度は、意外にも、水の臨界
点近傍の300℃以上の高温域において急激に上昇し、
水の臨界温度である370℃付近では30重量%以上の
2,6−ナフタレンジカルボン酸が溶解される。なお、
水の臨界温度以上においても臨界圧力以上の圧力下の水
は、臨界温度以下の水の液相と類似の性質を示すので、
溶解度の温度依存性は連続的に扱うことができる。この
際、エントレーナーが存在することにより、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸の溶解度がさらに向上し、例えば
イソプロパノール5重量%を含有する水の場合の溶解度
は、250℃で4.2重量%、300℃では18.0重量
%であり、溶解度の急上昇領域は275℃以上の温度領
域に低下する。
【0020】一般に、超臨界流体の分子は、空気中に浮
かぶ風船のようなものであって、界面に存在する固体や
液体の分子を集団で包み込むこと(溶質−水のクラスタ
形成)によって流体中に持ち上げる。従って、持ち上げ
られた分子を超臨界流体中に分散させることができるの
である。超臨界状態の水に溶解させるとは、このような
状態にすることを意味する。
【0021】(2)2,6−ナフタレンジカルボン酸を
溶解させた後、得られた溶液を液相を保つために必要な
飽和圧力以上の圧力下で溶解温度よりも5℃、好ましく
は10℃以上低い温度、一般には275℃以下、一般に
は270〜80℃、好ましくは250〜160℃の範囲
に冷却して2,6−ナフタレンジカルボン酸の結晶を析
出させる。2,6−ナフタレンジカルボン酸の回収率を
高くするためには温度は低い方がよいが、不純物に対す
る溶解度を十分に保つために、通常は80℃以上とする
ことが好ましい。冷却の方法は、例えば溶媒の一部をフ
ラッシュさせたり、低温の水と熱交換する等の方法が使
用できる。
【0022】(3)不純物が溶解した母液から2,6−
ナフタレンジカルボン酸の結晶を分離する。分離は、通
常、前記(2)の冷却析出温度と同じ温度又はそれ以下
の温度で行われ、一般に275℃以下、具体的に275
℃〜80℃、好ましくは250℃〜160℃の範囲であ
る。分離の方法としては、沈降分離、遠心分離、ろ過等
の方法、または母液を同圧力の純粋な水で置換した後、
上記の分離方法または置換水の蒸発等の方法で水を除去
する。
【0023】上記(1)〜(3)からなる溶解・晶析操
作は、連続式および回分式いずれの方式でも実施可能で
ある。また、必要に応じて該操作を数回繰り返す多段溶
解・晶析を行っても良い。得られた高純度2,6−ナフ
タレンジカルボン酸の結晶は、その後、必要に応じて、
水または他の溶媒で洗浄を行っても良い。このようにし
て、本発明の方法では不純物含量が極めて少ない、例え
ば、臭素含有率10ppm以下の高純度2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を製造することができる。分離後の母液は
蒸留等の処理により不純物を分離して再使用することが
できる。
【0024】
【作用】一般的に、超臨界状態では、温度および圧力の
変動により溶解度が急に変化することは知られている
が、2,6−ナフタレンジカルボン酸の場合これほどに
急激な溶解度の変化が起こることは予想されていなかっ
た。臨界点以下の温度から臨界点にかけての2,6−ナ
フタレンジカルボン酸の溶解度の急激な変化は、2,6
−ナフタレンジカルボン酸の融点と水の臨界点がほとん
ど同じであるために起こる特異な現象であると推測され
る。一方、ジアルキルナフタレン類を重金属塩類及び臭
素化合物の依存下に分子状酸素含有ガスで酸化して得ら
れる2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶に含まれ
る着色物質、触媒に起因する不純物等に対しては、80
〜275℃の温度に於いても十分大きい溶解度が維持さ
れている。従って、この2,6−ナフタレンジカルボン
酸−水系の持つ溶解度の特異的に大きな温度依存性、お
よび超臨界水または亜臨界水の持つ大きな溶解力を利用
することにより、粗2,6−ナフタレンジカルボン酸の
晶析精製が非常に容易に行われる。
【0025】上記(1)で述べた溶質−水のクラスタ形
成は、溶質−水分子間の分子間相互作用に由来してお
り、分子の形状、大きさ、極性、溶解度パラメーター等
に影響される。本発明の方法により、従来の方法では分
離が十分行えなかった臭素化合物、殊に臭素化ナフタレ
ンジカルボン酸が良好に分離される理由は、低温域にお
いてはナフタレンジカルボン酸同士の相互作用が大き
く、ナフタレンジカルボン酸同士でクラスタを形成して
おり、臭素化ナフタレンジカルボン酸もこのクラスタに
取り込まれる形となって分離が困難であったものが、超
臨界水または亜臨界水中のような低密度域においては溶
質−水のクラスタ形成が支配的になり、従って、ナフタ
レンジカルボン酸−水および臭素化ナフタレンジカルボ
ン−水のクラスタがそれぞれ別に形成されるため、それ
ぞれの溶解度に差が生じて分離可能になるものと考えら
れる。この際、水と2,6−ナフタレンジカルボン酸と
の双方に親和性のあるエントレーナーが存在することに
より、エントレーナー分子を仲立ちとしてクラスターが
形成され、その結果溶解度が更に大きくなる。さらに、
アルコール類のように超臨界水中で還元性を示す物質の
存在により、アルデヒド類の還元が起こり、6−カルボ
キシ−2−ナフトアルデヒド等の不純物が水に溶解しや
すい物質に転化していると推測される。即ち、本発明の
方法では、溶解温度条件は超臨界または亜臨界状態であ
ることが必須である。従って、本発明の方法により、従
来特に分離が困難であった臭素化合物とアルデヒド類と
が同時且つ容易に分離されることは予期し難いことであ
る。
【0026】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明する。 (参考例)蒸留冷却器、ガス導入管、原料送液ポンプ、
背圧調整器及び誘導撹拌機を有する5Lチタン製オート
クレーブに、酢酸2050g、酢酸コバルト・四水塩
0.80g(3.2ミリモル)、酢酸マンガン・四水塩
3.93g(16.0ミリモル)、臭化カリウム0.95
g(7.98ミリモル)を仕込み、窒素で反応系内を置
換し、背圧調整器で系内の圧力が25kg/cm2Gとなるよ
うにした。内温が200℃になるまで加熱し、液相部よ
り空気を12NL/分で、気相部より窒素を19NL/
分で、内圧が25kg/cm2Gに保たれるように供給した。
系内が安定したところで、2,6−ジメチルナフタレン
/酢酸=1/2(重量比)の溶液600gを2時間かけ
て連続供給した。2,6−ジメチルナフタレンの供給終
了後、系内を200℃、25kg/cm2Gに保ったまま1時
間空気の供給を続けた。反応終了後、オートクレーブを
室温まで冷却し、析出した固形物を濾過、回収し、温水
600g及びメタノール600gで洗浄した。固形物を
乾燥して淡黄色の固体255gを得た。この粗2,6−
ナフタレンジカルボン酸の収率は92%であり、液体ク
ロマトグラフィー純度は97.7%であった。
【0027】実施例1 350℃の恒温槽中の300ccのステンレス製オート
クレーブに、参考例で得た2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の粗結晶25g及び5重量%メタノール(SP=2
9.7)水溶液を液満になるまで(約160g)仕込
み、350℃、170kg/cm2Gの条件下に1.5時間保ち
粗結晶をメタノール水溶液に溶解させた。次に、恒温槽
の温度を約3時間かけて250℃に低下させて2,6−
ナフタレンジカルボン酸の結晶を析出させた後、背圧弁
で圧力を同圧力に保ちながら、オートクレーブに250
℃の純水をポンプで2.0ml/分で約4時間フィード
してオートクレーブ内の液相を同温度、同圧力の純水に
置換した。温度、圧力を常温、常圧に戻し、オートクレ
ーブ中の結晶を濾過、乾燥して、高純度2,6−ナフタ
レンジカルボン酸の結晶13.5gを得た。得られた結
晶の分析結果を、用いた粗結晶の値と共に表2に示す。
なお、6−カルボキシ−2−ナフトアルデヒドの分析は
液体クロマトグラフィーを、Co及びMnの分析は誘導
結合プラズマを、Brについては蛍光X線(乾式炭化/
抽出を行いAgBrとして分析)をそれぞれ使用した。
色相は、試料1gを25%メチルアミン水溶液10ml
に溶解し、10mmの石英セルを用いて400nmおよ
び500nmの波長の吸光度を測定した値によって評価
した。
【0028】実施例2 350℃の恒温槽中の300ccのステンレス製オート
クレーブに、参考例で得た2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の粗結晶25g及び5重量%イソプロパノール(S
P=23.4)水溶液を液満になるまで(約160g)
仕込み、350℃、170kg/cm2Gの条件下に1.5時間
保ち粗結晶をイソプロパノール水溶液に溶解させた。次
に、恒温槽の温度を約3時間かけて250℃に低下させ
て2,6−ナフタレンジカルボン酸の結晶を析出させた
後、背圧弁で圧力を同圧力に保ちながら、オートクレー
ブに250℃の純水をポンプで2.0ml/分で約4時
間フィードしてオートクレーブ内の液相を同温度、同圧
力の純水に置換した。温度、圧力を常温、常圧に戻し、
オートクレーブ中の結晶を濾過、乾燥して、高純度2,
6−ナフタレンジカルボン酸の結晶12.7gを得た。
得られた結晶の分析結果を粗結晶の値と共に表2に示
す。
【0029】実施例3 350℃の恒温槽中の300ccのステンレス製オート
クレーブに、参考例で得た2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の粗結晶25g及び5重量%第3ブタノール(SP
=19.6)水溶液を液満になるまで(約160g)仕
込み、350℃、170kg/cm2Gの条件下に1.5時間保
ち粗結晶を第3ブタノール水溶液に溶解させた。次に、
恒温槽の温度を約3時間かけて250℃に低下させて
2,6−ナフタレンジカルボン酸の結晶を析出させた
後、背圧弁で圧力を同圧力に保ちながら、オートクレー
ブに250℃の純水をポンプで2.0ml/分で約4時
間フィードしてオートクレーブ内の液相を同温度、同圧
力の純水に置換した。温度、圧力を常温、常圧に戻し、
オートクレーブ中の結晶を濾過、乾燥して、高純度2,
6−ナフタレンジカルボン酸の結晶13.4gを得た。
得られた結晶の分析結果を粗結晶の値と共に表2に示
す。
【0030】実施例4 350℃の恒温槽中の300ccのステンレス製オート
クレーブに、参考例で得た2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の粗結晶25g、及びイソプロパノール5重量%と
トルエン(SP=18.3)0.02重量%を含有する水
溶液を液満になるまで(約160g)仕込み、350
℃、170kg/cm2Gの条件下に1.5時間保ち粗結晶をイ
ソプロパノール水溶液に溶解させた。次に、恒温槽の温
度を約3時間かけて250℃に低下させて2,6−ナフ
タレンジカルボン酸の結晶を析出させた後、背圧弁で圧
力を同圧力に保ちながら、オートクレーブに250℃の
純水をポンプで2.0ml/分で約4.5時間フィードし
てオートクレーブ内の液相を同温度、同圧力の純水に置
換した。温度、圧力を常温、常圧に戻し、オートクレー
ブ中の結晶を濾過、乾燥して、高純度2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸の結晶12.9gを得た。得られた結晶
の分析結果を粗結晶の値と共に表2に示す。
【0031】参照例 350℃の恒温槽中の300ccのステンレス製オート
クレーブに、参考例で得た2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の粗結晶25g及び水を液満になるまで(約160
g)仕込み、350℃、170kg/cm2Gの条件下に1.5
時間保ち粗結晶を水に溶解させた。次に、恒温槽の温度
を約3時間かけて250℃に低下させて2,6−ナフタ
レンジカルボン酸の結晶を析出させた後、背圧弁で圧力
を同圧力に保ちながら、オートクレーブに250℃の純
水をポンプで2.0ml/分で約4時間フィードしてオ
ートクレーブ内の液相を同温度、同圧力の純水に置換し
た。温度、圧力を常温、常圧に戻し、オートクレーブ中
の結晶を濾過、乾燥して、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の結晶13.4gを得た。得られた結晶の分析結果
を粗結晶の値と共に表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】実施例5 実施例2において、5重量%イソプロパノール水溶液に
代えて、表3に示す有機溶剤5重量%を用いたこと及び
表3に示した6−カルボキシ−2−ナフトアルデヒド含
有量の2,6−ナフタレンジカルボン酸の粗結晶を使用
したこと以外は実施例2と同様にして、高純度2,6−
ナフタレンジカルボン酸を得た。得られた結晶の量
(g)、並びに6−カルボキシ−2−ナフトアルデヒド
の含有量(ppm)および低減率(%)を表3に示す[該
アルデヒドの低減率(%)は下記式により算出したもの
である]。なお、いずれの場合も、Co、Mnの含有量
は0.1ppm以下であり、Brの含有量は10ppm以下で
あった。
【0034】
【数2】
【0035】
【表3】
【0036】比較例 実施例2において、イソプロパノール水溶液に代えて、
表4に示す有機溶剤5重量%を含む水溶液を液満になる
まで(約160g)仕込んだ以外は実施例2と同様にし
て、高純度2,6−ナフタレンジカルボン酸を得た。得
られた結晶の量並びに6−カルボキシ−2−ナフトアル
デヒドの含有量(ppm)および低減率(%)を表4に示
す。なお、いずれの場合も、Co、Mnの含有量は0.
1ppm以下であり、Brの含有量は10ppm以下であっ
た。
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、高純度の2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を簡単なプロセスで、容易に製造す
ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥山 学 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 三根 法興 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 山岸 昌彦 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不純物を含有する2,6−ナフタレンジ
    カルボン酸の粗結晶を、溶解度パラメーター18〜35
    の含酸素有機溶剤からなる群から選ばれるエントレーナ
    ーを含有する超臨界または亜臨界状態の水に溶解し、得
    られた溶液を冷却して結晶を析出させ、該結晶を母液か
    ら分離することを特徴とする高純度2,6−ナフタレン
    ジカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 結晶を母液から分離するときの温度が8
    0〜270℃である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記粗結晶を水に溶解させるときの温度
    が275〜380℃である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記含酸素有機溶剤が、アルコール類、
    ケトン類およびエーテル類からなる群から選ばれるもの
    である請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記エントレーナーの含有量が0.01
    〜40重量%である請求項1記載の方法。
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