JPH07303914A - 金属板の調質圧延設備 - Google Patents

金属板の調質圧延設備

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JPH07303914A
JPH07303914A JP6124260A JP12426094A JPH07303914A JP H07303914 A JPH07303914 A JP H07303914A JP 6124260 A JP6124260 A JP 6124260A JP 12426094 A JP12426094 A JP 12426094A JP H07303914 A JPH07303914 A JP H07303914A
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JP
Japan
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roll
temper rolling
dry
brush
dry brush
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Application number
JP6124260A
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English (en)
Inventor
Kozo Higaki
浩三 檜垣
Kazumi Jiroumaru
和三 治郎丸
Shogo Sato
省吾 佐藤
Tsuneaki Kataoka
経明 片岡
Nobuyuki Nakao
展行 中尾
Setsuo Hotani
節男 穂谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Hotani Co Ltd
Original Assignee
Hotani Co Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 異物の混入による金属板の表面性状劣化を防
止し、表面が均一で清浄な金属板を効率よく得ることが
できる、金属板の調質圧延設備を提供する。 【構成】 調質圧延機4 と、その入側前方に、乾式ブラ
シロ−ル5a,5b およびこれと1対をなす受ロ−ル6a,6b
と、乾式ブラシロ−ル5a,5b に近接した集塵ダクト19a,
19b とを備えており、乾式ブラシロ−ル5a,5b のロ−ル
周面は金属板1 の表面に接触しており、更に、ブリッス
ルは、エンジニアリングプラスチックまたはポリプロピ
レン系の物質からなり、ブリッスルの断面径は、0.1 〜
0.8mm 、ブラシの植毛密度は、10〜50面積%、ブラシに
は♯1000以上の細かい粒度の砥粒を35wt.%未満含むか、
または砥粒を含まないことからなる、金属板の調質圧延
設備。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金属板の調質圧延設
備、特に、金属板の表面疵発生を防止するための調質圧
延設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属板を調質圧延機によって圧延する場
合、その表面品質を高水準に維持し、金属板に表面疵が
発生するのを防止するために、調質圧延設備に対して技
術的改良がなされている。
【0003】金属板の調質圧延機の入側にブラシロ−ル
を設け、金属板の上下表面をブラシロ−ルで研掃し、金
属板が調質圧延機のワ−クロ−ルに噛み込まれる前に、
金属板表面に付着した異物を除去する方法が、例えば、
特開昭62−144802号公報(以下、先行技術1と
いう)に開示されている。
【0004】また、調質圧延機のワ−クロ−ルやバック
アップロ−ルの周面にブラシロ−ルを接触させて設け、
金属板の圧下中に調質圧延機内部で発生したり、金属板
の表面に付着して調質圧延機内部へ持ち込まれ、ロ−ル
に付着した異物を研掃する方法が、例えば、特開平2−
290607号公報(以下、先行技術2という)、およ
び特開平2−290608号公報(以下、先行技術3と
いう)に開示されている。
【0005】先行技術1には、金属板のコイルを巻き戻
して調質圧延をする金属板の調質圧延設備において、調
質圧延機の入側前方に、金属板の表面を清浄化するため
の乾式ブラシ装置を設けた調質圧延設備が開示されてい
る。
【0006】図13は、先行技術1に開示された、従来
技術の1実施例を示す模式図である。乾式ブラシ装置3
2は、上側の乾式ブラシロ−ル(以下、上乾式ブラシロ
−ルという)29aと下側の乾式ブラシロ−ル(以下、
下乾式ブラシロ−ルという)29bとで1対をなす2対
の乾式ブラシロ−ル(以下、上下乾式ブラシロ−ル対と
いう)29c,29dを備えており、これによって、金
属板の表面に付着している異物の清浄化を行っている。
【0007】金属ストリップ1が、ペイオフリ−ル2か
ら巻き戻され、入側テンションロ−ル3を介し、デフレ
クタ−ロ−ル31を経由して調質圧延機4へ装入され
る。調質圧延機4の入側には上下乾式ブラシロ−ル対2
9c,29dが設けられ、そのブラシが金属ストリップ
1の上下表面に接触して回転することにより金属ストリ
ップ1の表面に付着した異物を除去する。なお、上下乾
式ブラシロ−ル対を2対設け、その間に電極30を設け
ているのは、上流側の上下乾式ブラシロ−ル対29cに
よる清浄化の際に発生した静電気を電極30で放電さ
せ、下流側の上下乾式ブラシロ−ル対29dで金属スト
リップ1の表面を仕上げ清浄化するためである。 この
ようにして清浄化された金属ストリップ1が調質圧延機
で圧延される。
【0008】先行技術2および3には、金属板の調質圧
延機のワ−クロ−ルおよびバックアップロ−ルに接触す
る乾式ブラシロ−ルを各々に設け、更に、各乾式ブラシ
ロ−ルに近接して集塵ダクトを設けることによって、圧
延機のロ−ルに付着した異物を乾式ブラシロ−ルで研掃
し、集塵ダクトで異物を系外へ排出する調質圧延設備が
開示されている。
【0009】図14は、先行技術2および3に開示され
た、従来技術の他の1実施例を示す模式図である。金属
ストリップ1がデフレクタ−ロ−ル31bを経由して調
質圧延機4へ装入される。調質圧延機4の上下1対のワ
−クロ−ル4aの各々に接触して、乾式ブラシロ−ル2
8a、28bが、上下1対のバックアップロ−ル4bの
各々に接触して、乾式ブラシロ−ル27a、27bが設
けられ、ワ−クロ−ル4aおよびバックアップロ−ル4
bに付着する異物を研掃し、研掃された異物は所定の流
速で吸引する集塵ダクト9を経由して排出される。な
お、乾式ブラシロ−ル28a,28b,27a,27b
およびその各々に近接する集塵ダクト9は、ワ−クロ−
ル4aまたはバックアップロ−ル4bに向けて前後進す
ることができ、調質圧延機4の各ロ−ルの回転停止前に
後退してそのブリッスルが各ロ−ルから離れ、また、そ
の回転始動後に前進してそのブリッスルが各ロ−ルに接
触するように操作することによって、ブリッスルにより
各ロ−ルに疵(ブラシマ−ク)がつくのを防止する。
【0010】先行技術2には、ブラシロ−ルのブリッス
ルの材質を、ナイロンまたはポリプロピレン系とし、ブ
リッスルの断面径を0.2〜0.8mmとし、ワ−クロ−
ルに接触するブラシロ−ルについては、ロ−ルの周表面
におけるブリッスルの植毛密度を55〜85%(面積
%)とし、♯1000以上の細かい粒度の砥粒を混入さ
せたブリッスルまたは砥粒を混入させないブリッスルを
用い、バックアップロ−ルに接触するブラシロ−ルにつ
いては、♯500〜1000の砥粒を混入させたブリッ
スルを用いるように限定することも開示されている。こ
のようにして、ワ−クロ−ルおよびバックアップロ−ル
(以下、圧延ロ−ルという)を効率よく、ムラなく研掃
し、ワ−クロ−ルに比較して軟質のバックアップロ−ル
の摩耗粉等の異物の発生を抑制することができると述べ
られている。
【0011】先行技術3には、ブラシロ−ルのブリッス
ルの材質を、ナイロンまたはポリプロピレン系の単体ま
たはその混紡とし、ブリッスルの断面径を0.15〜
1.0mmとし、ブリッスルに、粒度が♯300〜120
0のアルミナ、チタニアおよびシリケイトのうちから選
ばれた1種以上の砥粒を5〜30容量%含有させるよう
に限定することも開示されている。このようにして、圧
延ロ−ルの研掃能力を高め、しかも研掃による圧延ロ−
ルの摩耗を抑制することができると述べられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先行技術には下記の問題点がある。 〔先行技術1について〕: 鋼ストリップの調質圧延機は、最高速度が300m
/min以上という高速である。このような高速で金属
ストリップ1を調質圧延する場合、先行技術1では、金
属ストリップ1がデフレクタ−ロ−ル31aと入側テン
ションロ−ル3との間で大きく振動し、その間に設けら
れた上下乾式ブラシロ−ル対29cにおける金属ストリ
ップ1のパスラインが上下に振動する。即ち、金属スト
リップ1を上下乾式ブラシロ−ル対29cで研掃中に、
上下のブリッスル間で金属ストリップ1が大きく振動
し、ブリッスルの折れ(以下、ブリッスルの毛折れとい
う)が発生する。ブリッスルの毛折れは、湿式で研掃す
る湿式ブラシロ−ルよりも乾式ブラシロ−ルの場合に特
に発生する。このようなブリッスルの毛折れは、研掃ム
ラや研掃能力の著しい減退を招く。
【0013】なお、湿式ブラシロ−ルで金属板を研掃す
ると、水分の乾燥装置が必要となり、ライン長が長くな
り過ぎ、ライン速度を高速化することが出来なくなるこ
と、洗浄液が金属板のエッジに存在する亀裂に入って、
完全乾燥に多くの時間とエネルギ−を要する等の問題が
あるので、先行技術1では乾式ブラシロ−ルを採用して
いる。従って、乾式ブラシロ−ルを採用し、しかも、ブ
リッスルの毛折れを抑制する技術が必要である。
【0014】 金属板の表面を乾式ブラシロ−ルで研
掃して異物を除去する場合、板表面に生成している酸化
還元膜も同時に除去され、高光沢をうることができる
が、その際、板幅方向に均一に除去されないと光沢ムラ
が発生する。先行技術1では、金属板を乾式ブラシロ−
ルで研掃した場合、ブリッスルの毛折れによって、研掃
に有効なブリッスルの密度分布が不均一になり、板幅方
向の研掃ムラ発生を回避することができず、板幅方向の
表面光沢ムラが発生する。従って、金属板の板幅方向の
研掃ムラをなくす技術が必要である。
【0015】 乾式ブラシ装置32を、調質圧延機の
入側前方に設けるためには、その設置スペ−スを確保す
る必要がある。従って、既設設備にそれを設けようとす
る場合には、先行技術1では、乾式ブラシ装置32を設
備化することは困難である。
【0016】 乾式ブラシロ−ルで金属板の表面を研
掃中のまま、調質圧延機の運転を停止して金属板の動き
を停止させたり、あるいは、金属板の表面にブラシを接
触させたまま、運転を再開して金属板を動かし始める
と、金属板の表面にブラシによる新たな疵(入疵)がつ
く。先行技術1では、金属板の動きの停止時または始動
時に先立って、ブラシを金属板の表面に向けて後退また
は前進させることができないので、入疵の発生を回避す
ることができない。従って、ラインの停止時および始動
時に入疵の発生を回避する技術が必要である。
【0017】〔先行技術2および3について〕: 先行技術2および3によれば、金属板の調質圧延機
のワ−クロ−ル4aおよびバックアップロ−ル4bの各
々に接触した乾式ブラシロ−ル28a,28bによっ
て、各ロ−ルに付着した異物を研掃し、調質圧延時にワ
−クロ−ル4aの表面の異物によって金属板の表面に疵
が発生するのを防止することはできる。このように、調
質圧延機の内部で発生した異物が圧延ロ−ルに付着した
場合には、それを除去することができる。しかしなが
ら、もともと金属板の表面に異物が付着したまま調質圧
延機に装入された場合には、調質圧延時に異物によって
金属板に表面疵が発生したり、あるいは、その異物が極
めて硬い場合には、それによってワ−クロ−ル4aに凹
み疵がつき、それ以降の装入金属板の表面にロ−ルマ−
クや表面粗さの異常等の欠陥が発生する。
【0018】特に、調質圧延の前工程において、金属板
のコイルが、その両耳を上下方向に向けて(所謂、コイ
ルがアップエンド状態で)処理・ハンドリングされるこ
とがあると、ダウンエンド状態の場合と比較して、異物
がコイルの側面(耳部)に挟み込まれる可能性が高い。
例えば、バッチ焼鈍工程において、コイルの側面に接触
させた対流板の破片や対流板に堆積した粉塵等が、コイ
ル自身の重量やその上に積まれた他のコイルの重量、コ
イルハンドリングに使用するリフマグによるコイルの磁
化によって、コイル側面の隙間に埋め込まれ易い。金属
板から調質圧延機に混入する異物にはこのようなものが
ある。先行技術2によっては、調質圧延機へのこのよう
な異物の混入を防止することはできない。
【0019】 先行技術2および3に開示されたブラ
シロ−ルは、調質圧延機の圧延ロ−ルに付着した異物を
研掃することを目的とし、その目的を満たすようにブラ
シロ−ルが具備すべき条件を限定したものである。従っ
て、そのような設備や方法を金属ストリップ1の表面に
付着した異物を除去するために実施した場合、金属スト
リップ1の表面に新たな疵を発生させることなく、板幅
方向で研掃ムラが発生しないように均一に、金属ストリ
ップ1の表面を研掃することは困難である。その理由
は、金属ストリップ1の表面硬さは、圧延ロ−ルの表面
硬さに比較して軟質であるため、金属ストリップ1の方
が疵がつき易いこと、研掃後に要求される表面粗さおよ
び表面性状の均一性について、金属ストリップ1と圧延
ロ−ルとでは著しく異なること等にある。
【0020】上述した問題を解決するために、ブラシロ
−ルの設置位置における金属ストリップ1のパスライン
が上下に振動しないようにすること、および、金属板の
表面に新たな疵を発生させることなく、その表面を均一
にムラなく研掃し、異物を除去する条件を見いだすこと
が重要となる。
【0021】従って、この発明の目的は、金属板の調質
圧延に際し、異物の混入による金属板の表面性状劣化を
防止し、表面が均一で清浄な金属板を効率よく得ること
ができる、金属板の調質圧延設備を提供することにあ
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するために、調質圧延機の入側前方に、金属板のパ
スラインの上下振動を抑制することができ、かつ、金属
板の表面を清浄に、且つ均一に研掃することができるブ
ラシロ−ルを設けたことに特徴を有し、詳細は下記のと
おりである。
【0023】請求項1の金属板の調質圧延設備は、調質
圧延機と、前記調質圧延機の入側前方に、前記調質圧延
機に装入される金属板を間に挟んで設けられた、乾式ブ
ラシロ−ルおよび前記乾式ブラシロ−ルと1対をなす受
ロ−ルと、前記乾式ブラシロ−ルに近接して設けられた
集塵ダクトとを備えており、前記乾式ブラシロ−ルおよ
び前記受ロ−ルの各々のロ−ル周面は、前記金属板の表
面に接触している。更に、前記ブラシロ−ルのブリッス
ルは、エンジニアリングプラスチックまたはポリプロピ
レン系の物質からなり、前記ブリッスルの断面径は、
0.1〜0.8mmの範囲内にあり、前記ブリッスルのロ
−ル周表面における植毛密度は、10〜50面積%の範
囲内にあることに特徴を有するものである。
【0024】請求項2の金属板の調質圧延設備は、調質
圧延機と、前記調質圧延機の入側前方に、前記調質圧延
機に装入される金属板を間に挟んで設けられた、テンシ
ョンロ−ルおよび前記テンションロ−ルと1対をなす乾
式ブラシロ−ルと、前記テンションロ−ルに設けられた
通板ガイドと、前記乾式ブラシロ−ルに近接して設けら
れた集塵ダクトとを備えており、前記乾式ブラシロ−ル
のロ−ル周面は前記金属板の表面に接触しており、前記
通板ガイドは、前記乾式ブラシロ−ルの移動方向に対し
直角方向に移動可能になっており、前記乾式ブラシロ−
ルおよび前記集塵ダクトは、前記金属板の表面に向けて
移動可能になっており、更に、前記ブラシロ−ルのブリ
ッスルは、エンジニアリングプラスチックまたはポリプ
ロピレン系の物質からなり、前記ブリッスルの断面径
は、0.1〜0.8mmの範囲内にあり、前記ブリッスル
のロ−ル周表面における植毛密度は、10〜50面積%
の範囲内にあることに特徴を有するものである。
【0025】請求項3の金属板の調質圧延設備は、請求
項1または請求項2において、前記ブリッスルは、♯1
000以上の細かい粒度の砥粒を35wt%未満含有し
ているか、または、砥粒を含有しないことに特徴を有す
るものである。
【0026】
【作用】本発明においては、調質圧延機の入側前方に、
乾式ブラシロ−ルおよびこれと1対をなす受ロ−ル(以
下、この1対のロ−ルを乾式ブラシロ−ル対という)が
設けられ、調質圧延機で圧延される金属板の表面を乾式
ブラシロ−ル対によって研掃し、このように表面が研掃
された金属板を、調質圧延機に装入し圧延する。従っ
て、金属板の表面に付着した異物が調質圧延機に持ち込
まれることが防止され、その異物による金属板表面の疵
発生の防止に効果がある。
【0027】乾式ブラシロ−ルと受ロ−ルとが1対をな
す、乾式ブラシロ−ル対を直列に2対設け、一方の対の
受ロ−ルと他方の対の受ロ−ルとを、互いに金属板の反
対面に接触して位置させると、圧延する金属板のパスラ
インの振動を抑制することができる。従って、ブラシロ
−ルのブリッスルの毛折れの発生を抑制することがで
き、乾式ブラシロ−ルで金属板表面を研掃しながらでも
高速の調質圧延をすることが可能となる。
【0028】金属板の表面からブリッスルによって除去
された異物は、ブラシロ−ルに近接して設けられた集塵
口から吸引され、集塵ダクトを通って集塵機で系外へ排
出される。
【0029】なお、乾式ブラシロ−ルおよびその受ロ−
ルの各々のロ−ル周面はいずれも、金属板の表面に接触
しているので、ブリッスルは金属板の表面を連続的に、
効率よく、長時間にわたり研掃することができる。
【0030】金属板を乾式ブラシで研掃中に、そのまま
調質圧延機の運転を停止して金属板の動きを停止させた
り、あるいは、金属板の表面にブリッスルを接触させた
まま、運転を再開して金属板を動かし始めると、金属板
の表面にブリッスルによる新たな疵がつく。このような
疵発生を防止するために、ブリッスルが金属板に接触し
ないところまでブラシロ−ルを後退させなければならな
い。また、乾式ブラシロ−ルの交換時にもブラシロ−ル
を退避させなければならない。乾式ブラシロ−ル対の乾
式ブラシロ−ルおよびそれに近接して設置された集塵ダ
クトには、金属板の表面に向けて前後進する移動機構が
設けられているので、このようなブリッスルによる研掃
疵の発生を防止し、またブラシロ−ルの組み替えを容易
にすることができる。
【0031】調質圧延機の入側前方に設けられた乾式ブ
ラシロ−ル対として、テンションロ−ルに受ロ−ルの機
能をも持たせ、テンションロ−ルと1対をなす乾式ブラ
シロ−ルを設けてもよく、この場合には、既設設備には
乾式ブラシロ−ル対を設置するスペ−スがないような場
合でも、テンションロ−ルに改造を加えることによって
乾式ブラシロ−ルを設置することができる。
【0032】このように改造され、乾式ブラシロ−ルを
設けられたテンションロ−ルの通板ガイドは、乾式ブラ
シロ−ルの前後進方向と直角方向に移動可能になってい
る。従って、金属板ストリップの先端が、はじめは、通
板ガイドによってテンションロ−ルの周面に沿って案内
され、巻き回され、テンションロ−ルを通過するまでは
閉の状態となっているが、その通過が確認されると開の
状態とすることができ、引き続き、乾式ブラシロ−ルが
テンションロ−ルに向けて前進し、ブリッスルが金属板
ストリップの表面に対して所定の接触程度(以下、接触
程度をブラシ圧下量という。図5参照)に至った位置で
停止し、金属板の表面を清浄に研掃することができる。
【0033】次に、ブラシロ−ルのブリッスルの具備す
べき条件について述べる。ブリッスルの材質は、金属板
の研掃内容に応じて決めなければならない。ブリッスル
の材質を金属にすると、研掃効果は大きいが、金属板の
表面に研掃疵が発生する。一方、非金属にすると、軟質
のものでは研掃効果を発揮しない。本発明の金属板の研
掃内容と目的から、非金属のうち、ナイロン(ポリアミ
ド系の合成高分子の総称)等、優れた機械的性質、耐摩
耗性および耐久性を備えたエンジニアリングプラスチッ
ク、または、ポリプロピレン系物質が適している。
【0034】ブリッスルの断面径については、その断面
径が0.1mm未満では、金属板の研掃効果が十分発揮さ
れない。しかしながら、断面径が0.8mm超では、研掃
作用が大き過ぎ、金属板の表面に新たに研掃疵を発生さ
せ易い。ブリッスルの断面径が0.5mm超では、金属板
の表面を均一に研掃することができず、研掃ムラが発生
し、光沢ムラが生ずる。しかし、本発明においては、ブ
リッスルによる研掃後、金属板を調質圧延ロ−ルで圧延
する。一般に、金属板を調質圧延ロ−ルで圧延すると、
ワ−クロ−ルのロ−ル粗さが金属板に転写される。従っ
て、本発明においては、ブリッスルの断面径は0.8mm
以下であれば光沢ムラは発生せず、特に問題とはならな
い。以上より、ブリッスルの断面径は0.1〜0.8mm
の範囲内にすべきである。更に、望ましくは0.1〜
0.5mmとすべきである。
【0035】ブラシロ−ルのブリッスルの植毛密度は、
大きい方が金属板表面の研掃効果が大である。また、ブ
リッスルは、金属板を研掃する過程で板幅方向の分布が
不均一になり、板幅方向の研掃にムラが発生するため、
金属板表面の酸化還元膜を均一に除去することができな
い傾向があり、また、ブリッスルによって金属板表面か
ら研掃された酸化還元膜の一部はワ−クロ−ルの表面に
堆積するが、堆積ムラがあると金属板の板幅方向の光沢
ムラ発生の原因となる。ブリッスルの植毛密度が10%
未満になると、このような酸化還元膜の研掃ムラおよび
ワ−クロ−ル表面への酸化還元膜の堆積ムラが発生す
る。
【0036】一方、ブリッスルによって金属板表面から
研掃された酸化還元膜および微細な鉄片等の硬い異物
は、絶えず、ブラシロ−ルに近接した集塵ダクトで吸引
され、系外へ排出されなければならない。そのためにブ
リッスルの植毛密度をある程度低く抑え、異物がブリッ
スルに付着または堆積する空間を確保すると共に、ブリ
ッスル間の雰囲気を集塵ダクトで十分吸引することがで
きる空間を確保する必要がある。ブリッスルの植毛密度
を50%超にすると、上記空間を確保することが困難と
なる。従って、ブラシロ−ルのブリッスルの植毛密度
は、10〜50%の範囲内とすべきである。
【0037】ブリッスル中に砥粒を含有させなくてもよ
いが、アルミナやシリカ等の砥粒を含有させると、金属
板表面の研掃効果を一層高めることができる。しかしな
がら、砥粒の粒度が♯1000以上の細かい場合は、ブ
リッスルの砥粒含有量が35wt%以上になると、ま
た、砥粒の粒度が♯1000未満の粗い場合は、ブリッ
スル中に砥粒が含有されていると、研掃効果が過度にな
り金属板の表面に疵をつけることがある。従って、ブラ
シ中に砥粒を含有させる場合には、砥粒の粒度が♯10
00以上の細かいものであって、しかも、その含有量
は、35wt%未満とすべきである。
【0038】
【実施例】次に、この発明を実施例に基づいて図面を参
照しながら説明する。なお、この実施例において、金属
ストリップとは鋼ストリップを指す。 〔実施例1〕図1は、この発明による金属板の調質圧延
設備の1実施例を示す概略側面図である。図1に示すよ
うに、ペイオフリ−ル2と調質圧延機4との間には、ペ
イオオフリ−ル2によって巻き戻され、調質圧延機4に
装入される金属ストリップ1の通路に沿って、2個の入
側テンションロ−ル3a,3bと、2個の乾式ブラシロ
−ル5a,5bおよびその各々と1対をなす2個の受ロ
−ル6a,6bからなる2対の受ロ−ル付き乾式ブラシ
ロ−ル対7が、この順序で設けられている。乾式ブラシ
ロ−ル5a,5bおよび受ロ−ル6a,6bの胴長は金
属ストリップ1の板幅よりも長く、ロ−ル周面が金属ス
トリップ1の上下面に接触し、各々がロ−ル回転駆動機
構に連結されている。なお、乾式ブラシロ−ル5a,5
bおよび受ロ−ル6a,6bは、金属ストリップ1の板
幅方向に平行な軸線を有していてもよい。
【0039】調質圧延機4に近い下流側の乾式ブラシロ
−ル5aは、金属ストリップ1の上側に、上流側の乾式
ブラシロ−ル5bは、金属ストリップ1の下側に位置し
ている。そして、2個の乾式ブラシロ−ル5a,5bの
各々を覆うように設けられた集塵口8を有する集塵ダク
ト9が、集塵機に連通している。
【0040】金属ストリップ1が調質圧延機4によって
圧延されているとき、乾式ブラシロ−ル5a,5bを、
金属ストリップ1の矢印に示す通板方向と逆方向に、所
定のロ−ル周速で回転駆動させ、一方、受ロ−ル6a,
6bはロ−ル周速が金属ストリップ1の通板速度と同調
して回転する。
【0041】図2は、乾式ブラシロ−ルを、その軸線方
向に往復運動させる振動機構を示す概略平面図である。
台11aに乾式ブラシロ−ル5aおよびチェ−ンベルト
10aを介する回転駆動用のモ−タ−10が設けられて
おり、台11aは、カム12を介してオシレ−ションモ
−タ−13に連結されている。モ−タ−10およびオッ
シ−ションモ−タ−13の駆動によって、乾式ブラシロ
−ル5aは回転および軸線方向にオッシレ−トし、受ロ
−ル6aとの間に挟まれて移動する金属ストリップ1の
表面を研掃する。ブラシロ−ル5aのブリッスルは、オ
ッシレ−ションによって、その幅方向に均一に消耗す
る。
【0042】乾式ブラシロ−ルを、その軸線方向、即
ち、金属板の板幅方向にオッシレ−ションをさせれば、
金属板表面に生成している酸化還元膜を均一に除去する
ことができ、これによって、板幅方向の研掃ムラが一層
改善され、光沢ムラがなくなる。
【0043】以上の構成の調質圧延設備において、ブラ
シロ−ル5a,5bに、表1中の本発明例NO.1〜7に
示す条件のブリッスルを設けた本発明による金属板の調
質圧延設備(以下、本発明設備1という)を使用した場
合、および、表1中の比較例NO.1〜6に示す条件のブ
リッスルを設けた比較用金属板の調質圧延設備(以下、
比較用設備1という)を使用した場合について、金属ス
トリップ1を調質圧延した。その他の条件は、下記の通
りである。 圧延速度:600〜1600m/min、 圧延材料:焼鈍済み冷延鋼板、 圧延条件:ドライ調質圧延、 ダクト吸引力:6m/sec、 植毛密度:植毛後のロ−ル本体の仮想周表面積に対す
る、ブリッスルの総断面積の比率、%(本明細書におい
て同じ)。
【0044】
【表1】
【0045】このように調質圧延して得られた金属スト
リップ1の表面疵を検査し、その結果を金属ストリップ
コイルの格落率で表わし、表1に併記した。表1から明
らかなように、比較例NO.1、2は、ブリッスルの断面
径が本発明の範囲外に細かったので、研掃効果が不十分
であり、コイルの格落率はやや劣り、比較例NO.3は、
ブリッスルの植毛密度が本発明の範囲外に小さかったの
で、板幅方向の研掃ムラが発生したコイルがみられ、比
較例NO.4は、ブリッスルの植毛密度が本発明の範囲外
に大きかったので、研掃されてブリッスル間に溜まった
異物がブリッスル間から排気ダクトによって十分吸引除
去されず、ブリッスルによるすり疵の発生したコイルが
みられ、比較例NO.5は、ブリッスル中の砥粒の粒度が
本発明の範囲外に粗く、ブリッスル中の砥粒含有量が本
発明の範囲外に多すぎたので、コイル全数に疵が発生
し、そして、比較例NO.6は、ブリッスルの材質が本発
明の範囲外のステンレスであったため、コイル全数に疵
が発生した。
【0046】このように、ブラシロ−ルのブリッスルの
条件が、1つでも本発明の範囲外であった場合には、金
属板に発生した表面疵のためにコイルの格落率が高く、
劣っていた。これに対して、ブリッスルの条件がすべて
本発明の範囲内であった本発明例NO.1〜7は、いずれ
も表面疵が発生したとしても軽度のものであったため、
コイルの格落率は低く、優れていた。
【0047】図3は、図1に示した設備において、受ロ
−ル付き乾式ブラシロ−ル対7を設けていない従来の調
質圧延設備(以下、従来型調質圧延設備という)で圧延
した場合の、テンションロ−ル3aとデフレクタ−ロ−
ル31との間における金属ストリップ1の振動量(振幅
の1/2、以下同じ)に及ぼす調質圧延速度の影響を示
すグラフである。図3から明らかなように、圧延速度4
00m/minのとき、振動量は10mmと大きく、ブリ
ッスルの毛折れが著しかった。金属ストリップ1のこの
ような振動量は、図14に示した上下乾式ブラシロ−ル
対29c,29dを設けても殆ど抑制することができな
かった。そして、調質圧延機への装入前金属ストリップ
1に耳波等が発生している場合には、更に大きな振動が
発生した。
【0048】これに対して、図1に示したように、受ロ
−ル付き乾式ブラシロ−ル対7を2対設けた場合には、
金属ストリップ1の振動量をほぼ0mmに抑えることが可
能となった。
【0049】図4は、図1に示した調質圧延設備を使用
して金属ストリップ1を圧延した場合の、乾式ブラシロ
−ル5a,5bによるブラシ圧下量とブリッスルの毛折
れ率との関係を示すグラフである。ここで、ブラシ圧下
量に関し、図5に示すように、乾式ブラシロ−ル5aの
ブリッスル15の先端が金属ストリップ1の表面に接し
た状態のときのロ−ル軸線を基準とし、これからロ−ル
軸線が金属ストリップ1の表面に向かって垂直にδmm
だけ前進した状態を、ブラシ圧下量δmmと定義する。
また、毛折れ率は、ブリッスルが曲がったり、折れたり
して金属ストリップの表面を均一に研掃することができ
ないと判断されたブリッスルの毛折れ発生部分の面積割
合で表わした。
【0050】なお、図4は、乾式ブラシロ−ルの条件が
下記の場合に得られたものである。 ブラシの材質 :ナイロン6、 ブリッスルの断面径:0.5mmφ、 乾式ブラシロ−ルの直径:320mm、 乾式ブラシロ−ルの回転速度:1200rpm、 運転時間 :800Hr。 同図から明らかなように、ブラシ圧下量3mm以下にお
いては毛折れは発生しなかったが、圧下量が3mmを超え
ると、ブラシ圧下量の増加と共に急激に毛折れ率が増大
し、ブラシ圧下量4mmでは毛折れ率は10%超とな
り、連続運転操業では許容できない状態となった。従っ
て、乾式ブラシロ−ルのブラシ圧下量は、3mm以下と
することが必要である。
【0051】上述したように、従来型調質圧延設備およ
び上下乾式ブラシロ−ル対を設けた調質圧延設備の場合
には、調質圧延速度が400m/min以上では、金属
ストリップの振動量が10mm以上と大きく(図3参
照)、そのためにブラシロ−ルの毛折れ率も高かった。
そこで、金属ストリップの振動量を小さく抑制するため
に、調質圧延速度を300m/min以下に制限するこ
とによって、ブラシロ−ルの毛折れ率を低く抑制してい
た。しかしながら、本発明による受ロ−ル付き乾式ブラ
シロ−ル7(図1参照)を設けた場合には、金属ストリ
ップ1の振動量は殆ど発生しないため、調質圧延速度の
上限をなくすことが可能となった。
【0052】表1に示した結果は、このように、高速圧
延であるにもかかわらず、金属ストリップの振動量が殆
ど0mmに抑えられた状態で圧延された金属ストリップコ
イルの表面疵発生による格落率を示したものである。
【0053】〔実施例2〕図6は、この発明による金属
板の調質圧延設備の他の実施例を示す概略側面図であ
る。図6に示すように、ペイオフリ−ル2と調質圧延機
4との間には、ペイオフロ−ル2によって巻き戻され、
調質圧延機4に装入される金属板ストリップ1の通路に
沿って、2個の入側テンションロ−ル3a,3bが設け
られている。2個の入側テンションロ−ル3a,3bの
各々には、これを受ロ−ルとする2個の乾式ブラシロ−
ル5a,5bが設けられて、2対のテンションロ−ル・
乾式ブラシロ−ル対14を構成しており、乾式ブラシロ
−ル5a,5bに近接して集塵ダクト9が設けられてい
る。乾式ブラシロ−ル5a,5bの各々のロ−ル胴長は
金属ストリップ1の板幅よりも長く、そして、そのロ−
ル周面は、金属ストリップ1の表面に接触している。
【0054】2個の乾式ブラシロ−ル5a,5bおよび
その各々に近接した集塵ダクト9は、テンションロ−ル
3a,3bに巻き回された金属ストリップ1に対して、
移動可能になっている。
【0055】図7は、図6における乾式ブラシロ−ル5
aを、テンションロ−ル3aに向けて前後進させる移動
機構を示す概略平面図である。なお、乾式ブラシロ−ル
5bについてもこれと同様である。ブラシロ−ル5aお
よびその駆動用モ−タ−10を設けた台11a、並びに
台11aをオッシレ−トさせて乾式ブラシロ−ル5aを
軸線方向にオッシレ−トさせるオッシレ−ションモ−タ
−13およびカム12を設けた台11bが設けられてい
る。台11bには、スクリュ−ジャッキ17を介してサ
−ボモ−タ−18が連結されている。台11bは、台1
1cに固定されており、台11cには、その中央部にス
クリュ−ジャッキ17と対をなすスクリュ−溝17aが
設けられ、台11cは、その両サイド下面にスクリュ−
ジャキ17の長手方向に平行なカイド受16aが設けら
れ、それを案内するためのガイド16bに案内されて図
7中の矢印方向に移動可能となっている。このようにし
て、乾式ブラシロ−ル5aをサ−ボモ−タ−18によっ
て前後進させているので、乾式ブラシロ−ル5aの位置
を認識することができ、金属ストリップ1の表面に対す
るブラシロ−ル5aの周面(ブラシ先端の位置)をコン
トロ−ルすることもでき、ブラシ圧下量を精度よく制御
することができる。
【0056】通板ガイド19a,19bは、図6に示し
たように、テンションロ−ル3a,3bの各々に近接し
て設けられており、最初にペイオフリ−ル2によって巻
き戻された金属ストリップ1の先端をテンションロ−ル
3a,3bに巻き付けるように案内し、金属ストリップ
1の通板を可能ならしめている。金属ストリップ1が通
板ガイド19a,19bを通過してフォトセンサ−20
によって通板が確認されると、可動ガイド19cの可動
板19dは、水平位置に旋回し(図11参照)、元の場
所から退避する。その結果乾式ブラシロ−ル5a,5b
は、金属ストリップ1の表面に向けて前進し、その周面
は金属ストリップ1の表面に接触することが可能とな
る。
【0057】図8は、図6に示した調質圧延設備におい
て、金属ストリップの先端をテンションロ−ルの通板ガ
イドによって案内するときの、テンションロ−ルを受ロ
−ルとする乾式ブラシロ−ルの退避状態の1実施例を示
す側面図であり、図9は、図8の通板ガイド19aのA
矢視図であり、図10は、本発明例2における、テンシ
ョンロ−ルを受ロ−ルとする乾式ブラシロ−ルによる、
金属ストリップの研掃状態の1実施例を示す側面図であ
り、図11は、図10の通板ガイド19aのA矢視図で
ある。
【0058】図8に示すように、通板ガイド19aは、
テンションロ−ル3aに近接しており、金属ストリップ
1の先端をテンションロ−ル3aの周面に案内すると共
に、金属ストリップ1をこれに巻き回して調質圧延機の
方向へ送り出す作用を有している。また、乾式ブラシロ
−ル5aは、テンションロ−ル3aおよび金属ストリッ
プ1の表面に向けて後退し、退避している。
【0059】金属ストリップ1の先端は、最初に、下側
固定ガイド19fでテンションロ−ル3aの周面に沿っ
て案内され、以下順に、下側の可動板19d,上側の可
動板19d,上側固定ガイド19eによってテンション
ロ−ル3aの周面に沿って案内されて抜け出る。
【0060】このように、金属ストリップ1の先端が通
板ガイド19aで案内されている間、可動板19dは、
図9に示すように閉の状態となっている。可動板19d
は、固定ピン21によって回動ア−ム22に固定され、
回動ア−ム22は、回転ピン23によってア−ム24に
支持され、エア−シリンダ−25のロッド26に連結し
ている。なお、金属ストリップ1としては各種の冷延薄
鋼板を用いたが、例えば、未焼鈍の厚物材(例えば、板
厚2.0mm)が通板したときは、その衝撃により可動板
19dの一部が変形するのを防止するため、ガイド開閉
用のエア−シリンダ−25を側面から押さえるよに設計
した。
【0061】以上のようにして、金属ストリップ1の先
端がテンションロ−ル3a,3bを通過し、フォトセン
サ−20で検出されると、通板ガイド19aの可動板1
9dは、図11に示すようにエア−シリンダ−25の動
作によってロッド26が左に伸び、水平位置に旋回して
開の状態となる。即ち、上下の可動板19dは図10に
示したように、ブラシロ−ル5aの上方または下方に退
避する。従って、乾式ブラシロ−ル5aは金属ストリッ
プ1の表面に向かって前進(図10において左方へ移
動)することができる。かくして、乾式ブラシロ−ル5
aは、金属ストリップ1の表面を、所定量のブラシ圧下
量で研掃することができる。また集塵口8及び集塵ダク
ト9も乾式ブラシロ−ル5aと共に前進する。
【0062】次に、金属ストリップ1の表面を研掃する
に際しては、乾式ブラシロ−ル5a,5bのブラシ圧下
量は常に3mm以下となるように、乾式ブラシロ−ル5
a,5bの駆動モ−タ−10の負荷を検出して制御し
た。なお、運転中のラインを停止する場合は、金属スト
リップ1の表面への入疵を防止するため、その停止前
に、乾式ブラシロ−ル5a,5bを、図8に示したよう
に金属ストリップ1の表面から後退させた。その後退位
置は、ブラシの先端を鋼ストリップ1の表面から5mm離
した位置とした。
【0063】本発明による設備の運転方法について述べ
る。図12は、本発明による金属板の調質圧延設備の運
転方法を説明するフロ−チャ−トである。ペイオフリ−
ルから金属ストリップが巻き戻され、通板が開始される
と、通板ガイドが閉(可動ガイドが閉の状態)となる。
金属ストリップの先端が入側テンションロ−ルを通過し
たことがフォトセンサ−で確認されると、通板ガイドは
開(可動ガイドが開の状態)となる。その際、開限状態
にあれば乾式ブラシロ−ルが金属ストリップに向けてブ
ラシ圧下の待機位置まで前進する。もし、開限状態にな
い場合は再度、通板ガイドが開に戻り、開限状態となる
まで繰り返す。調質圧延速度が30m/min以上であ
れば、金属ストリップ表面を乾式ブラシロ−ルで研掃を
開始し、ブラシ圧下量を3mm以下に制御する。もし、調
質圧延速度が30m/min以上でないときは、鋼スト
リップ表面への入疵を防止するため再度、乾式ブラシロ
−ルはブラシ圧下の待機位置まで戻り、30m/min
以上になるまでこれを繰り返す。このようにして、金属
ストリップ表面の研掃中、金属ストリップの尾端のペイ
フリ−ル通過の制御信号によって確認されたら、乾式ブ
ラシロ−ルを後退位置まで移動させ、通板ガイドが閉と
なり、金属ストリップの尾端の通板が完了となる。
【0064】上述した図6〜図11に示した金属板の調
質圧延設備を使用し、更に、乾式ブラシロ−ル5a,5
bのブリッスルの条件を本発明の範囲内に選定し、且
つ、図12に示した運転方法を含む上述した調質圧延方
法で、金属ストリップ1を調質圧延した。このようにし
て得られた調質圧延後の金属ストリップコイルの格落率
は、いずれも極めて低く、優れたものであった。
【0065】実施例1または実施例2で述べた調質圧延
設備において、調質圧延機のバックアップロ−ルおよび
ワ−クロ−ルに、そのロ−ル周面に接触する乾式ブラシ
ロ−ルを設け、且つ、これに近接して集塵ダクトを設け
ると、調質圧延機内部で発生したり、あるいは金属板等
から偶然持ち込まれてロ−ルに付着する異物を研掃・除
去することができ、異物による圧延ロ−ルへの圧入を防
止することができる。従って、このような原因で金属板
に表面疵が発生したり、あるいは、その異物が極めて硬
い場合には、それによってワ−クロ−ルに凹み疵がつ
き、それ以降の装入金属板の表面にロ−ルマ−クや表面
粗さ異常等の欠陥が発生するが、このような疵の発生原
因を除去することができる。このようにして、表面疵発
生による金属ストリップコイルの格落率は一層低下し、
優れた表面性状の金属板を得ることができる。
【0066】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
金属板を高速で調質圧延する場合でも、乾式ブラシロ−
ルにおける金属板のパスラインの振動は抑制され、ブリ
ッスルの毛折れの発生が著しく低減するので、高速の調
質圧延が可能となる。しかも、調質圧延中の異物による
金属板の表面疵発生を防止すること、および、ブリッス
ルによる金属板表面への新たな疵の発生を防止すること
が可能となる。即ち、高速の調質圧延によっても表面性
状の良好な金属板の製造が可能となる。更に、既設の設
備にスペ−スの余裕がない場合でも、テンションロ−ル
の通板ガイドの改造等によって乾式ブラシロ−ルを設置
することが可能となり、安価に乾式ブラシロ−ル設備を
建設することが可能となる。以上のような工業上、極め
て有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による金属板の調質圧延設備の第1の
実施例を示す概略側面図である。
【図2】この発明における乾式ブラシロ−ルを、その軸
線方向に往復運動させる振動機構を示す概略平面図であ
る。
【図3】従来の調質圧延設備を使用した場合の、金属ス
トリップの調質圧延速度と金属ストリップの振動量(振
幅の1/2)との関係を示すブラフである。
【図4】この発明による金属板の調質圧延設備の第1の
実施例を使用した場合の、ブラシ圧下量とブリッスルの
毛折れ率との関係を示すグラフである。
【図5】乾式ブラシロ−ルの金属板の対するブラシ圧下
量の定義の説明図である。
【図6】この発明による金属板の調質圧延設備の第2の
実施例を示す概略側面図である。
【図7】この発明における、乾式ブラシロ−ルをテンシ
ョンロ−ルに向けて前後進させる移動機構を示す概略平
面図である。
【図8】この発明において、金属ストリップの先端をテ
ンションロ−ルの通板ガイドによって案内するときの、
テンションロ−ルを受ロ−ルとする乾式ブラシロ−ルの
退避位置の1実施例を示す側面図である。
【図9】図8の通板ガイドのA矢視図である。
【図10】この発明における、テンションロ−ルを受ロ
−ルとする乾式ブラシロ−ルで金属ストリップを研掃し
ている状態の1実施例を示す側面図である。
【図11】図10の通板ガイドのA矢視図である。
【図12】この発明による金属板の調質圧延設備の運転
方法を説明するフロ−チャ−トである。
【図13】従来技術の1実施例を示す模式図である。
【図14】従来技術の他の実施例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 金属ストリップ、 2 ペイオフリ−ル、 3,3a,3b 入側テンションロ−ル、 4 調質圧延機、 4a ワ−クロ−ル、 4b バックアップロ−ル、 5a,5b 乾式ブラシロ−ル、 6a,6b 受ロ−ル、 7 受ロ−ル付き乾式ブラシロ−ル対、 8 集塵口、 9 集塵ダクト、 10 モ−タ−、 11a,11b,11c 台、 12 カム、 13 オシレ−ションモ−タ−、 14 テンションロ−ル・乾式ブラシロ−ル対、 15 ブリッスル、 16a,16b ガイド、 17 スクリュ−ジャッキ、 17a スクリュ−溝、 18 サ−ボモ−タ−、 19a,19b 通板ガイド、 19c 可動ガイド、 19d 可動板、 19e 下側固定ガイド、 19f 上側固定ガイド、 20 フォトセンサ−、 21 固定ピン、 22 回動ア−ム、 23 回転ピン、 24 ア−ム、 25 エア−シリンダ−、 26 ロッド、 27a,27b 乾式ブラシロ−ル、 28a,28b 乾式ブラシロ−ル、 29a 上乾式ブラシロ−ル、 29b 下乾式ブラシロ−ル、 29c,29d 上下乾式ブラシロ−ル対、 30 電極、 31,31a,31b デフレクタ−ロ−ル、 32 乾式ブラシ装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 省吾 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 片岡 経明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中尾 展行 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 穂谷 節男 和歌山県海草郡野上町動木1452

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 調質圧延機と、前記調質圧延機の入側前
    方に、前記調質圧延機に装入される金属板を間に挟んで
    設けられた、乾式ブラシロ−ルおよび前記乾式ブラシロ
    −ルと1対をなす受ロ−ルと、前記乾式ブラシロ−ルに
    近接して設けられた集塵ダクトとを備えており、 前記乾式ブラシロ−ルおよび前記受ロ−ルの各々のロ−
    ル周面は、前記金属板の表面に接触しており、 更に、前記ブラシロ−ルのブリッスルは、エンジニアリ
    ングプラスチックまたはポリプロピレン系の物質からな
    り、前記ブリッスルの断面径は、0.1〜0.8mmの範
    囲内にあり、前記ブラシのロ−ル周表面における植毛密
    度は、10〜50面積%の範囲内にあることを特徴とす
    る、金属板の調質圧延設備。
  2. 【請求項2】 調質圧延機と、前記調質圧延機の入側前
    方に、前記調質圧延機に装入される金属板を間に挟んで
    設けられた、テンションロ−ルおよび前記テンションロ
    −ルと1対をなす乾式ブラシロ−ルと、前記テンション
    ロ−ルに設けられた通板ガイドと、前記乾式ブラシロ−
    ルに近接して設けられた集塵ダクトとを備えており、 前記乾式ブラシロ−ルのロ−ル周面は前記金属板の表面
    に接触しており、 前記通板ガイドは、前記乾式ブラシロ−ルの移動方向に
    対し直角方向に移動可能になっており、 前記乾式ブラシロ−ルおよび前記集塵ダクトは、前記金
    属板の表面に向けて移動可能になっており、 更に、前記ブラシロ−ルのブリッスルは、エンジニアリ
    ングプラスチックまたはポリプロピレン系の物質からな
    り、前記ブリッスルの断面径は、0.1〜0.8mmの範
    囲内にあり、前記ブラシのロ−ル周表面における植毛密
    度は、10〜50面積%の範囲内にあることを特徴とす
    る、金属板の調質圧延設備。
  3. 【請求項3】 前記ブリッスルは、♯1000以上の細
    かい粒度の砥粒を35wt%未満含有しているか、また
    は、砥粒を含有しない、請求項1または請求項2記載の
    金属板の調質圧延設備。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100762489B1 (ko) * 2001-11-29 2007-10-02 주식회사 포스코 스트립 빌드 업 삼면 연마 장치
JP2009238938A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 基板処理装置
KR101220646B1 (ko) * 2010-12-21 2013-01-10 주식회사 포스코 이물질 처리 장치
JP5534273B1 (ja) * 2013-04-30 2014-06-25 アース建設コンサルタント株式会社 平板状構造物の清掃方法および清掃装置

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