JPH07301622A - 圧延材の結晶性測定及び物性評価方法及びそれらの装置 - Google Patents

圧延材の結晶性測定及び物性評価方法及びそれらの装置

Info

Publication number
JPH07301622A
JPH07301622A JP6094118A JP9411894A JPH07301622A JP H07301622 A JPH07301622 A JP H07301622A JP 6094118 A JP6094118 A JP 6094118A JP 9411894 A JP9411894 A JP 9411894A JP H07301622 A JPH07301622 A JP H07301622A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolled material
crystallinity
ultrasonic wave
incident
measuring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6094118A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Suzuki
紀生 鈴木
Hiroyuki Takamatsu
弘行 高松
Toshiyuki Yanai
敏志 柳井
Gakuo Ogawa
岳夫 小川
Katsuya Takaoka
克也 高岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP6094118A priority Critical patent/JPH07301622A/ja
Publication of JPH07301622A publication Critical patent/JPH07301622A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 迅速に,客観的にしかも信頼性のある圧延材
の結晶性測定及び物性評価を行い得る圧延材の結晶性測
定及び物性評価方法及びそれらの装置。 【構成】 本方法は,まず集束された超音波を圧延材に
相当する熱延板2の表面に所定角度傾けて入射し,次に
上記入射された超音波により発散され,熱延板2の表裏
面間で多重反射しながら伝搬する超音波に含まれる所定
の屈折角の多重反射波を受信し,そして上記受信された
多重反射波の伝搬時間に基づいて熱延板2の結晶性を測
定するように構成されている。さらに,上記測定された
結晶性に基づいて熱延板2の物性を評価するように構成
してもよい。上記構成により,迅速に,客観的にしかも
信頼性のある圧延材の結晶性測定及び物性評価を行うこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,圧延材の結晶性測定及
び物性評価及びそれらの装置に係り,例えば熱延板の再
結晶の完了度合いを非破壊測定し,物性評価を行う方法
及びそれらの装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えばアルミニウム缶の原材料である冷
延板は,熱延板を冷間圧延して製作される。この冷間圧
延により薄板を製作するためには,熱延板が再結晶して
いることが必要である。しかし,熱延時の温度が低く,
または熱処理が不十分な場合,結晶中に転位が残存する
未再結晶状態となる。この場合,変形が難しくなり,冷
間圧延中に割れが発生しやすくなる。そこで,熱延板の
再結晶の完了を判定する必要がある。このため,従来は
人間が圧延材の断面を研磨し,腐食液でエッチングし,
結晶の粒形状を顕微鏡で観察していた。その場合,未再
結晶材では,圧延により結晶粒が針状に伸びた組織とな
るが,再結晶が進むと板厚方向に厚さをもつ結晶粒形状
となる。これを利用し,未再結晶粒である針状の結晶の
数を求め,再結晶の良否を判定していた。従来は,この
ようにして圧延材の結晶性測定を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
圧延材の結晶性測定方法では,以下のような問題点があ
った。 (1)破壊検査であるため,迅速な測定が困難であっ
た。 (2)未再結晶の程度を人間が判断していたため,客観
的判断ができなかった。 (3)顕微鏡で見える小さな領域での判断であるため,
測定結果の信頼性が十分ではなかった。 本発明は,上記事情に鑑みてなされたものであり,迅速
に,客観的でかつ信頼性のある結晶性測定をおこない得
る圧延材の結晶性測定方法及びその装置を提供すること
を第1の目的とし,また,圧延材の結晶性測定結果を用
いて物性評価を行い得る圧延材の物性評価方法及びその
装置を提供することを第2の目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために第1の発明は,集束された超音波を圧延材の表
面に所定角度傾けて入射し,上記入射された超音波より
発散され,上記圧延材の表裏面間で多重反射しながら伝
搬する超音波に含まれる所定の屈折角の多重反射波を受
信し,上記受信された多重反射波の伝搬時間に基づいて
上記圧延材の結晶性を測定する圧延材の結晶性測定方法
として構成されている。さらには,上記圧延材と同一板
厚の標準材について予め求めておいた多重反射波の波形
と上記受信された多重反射波の波形とを比較することに
より,上記伝搬時間を求める圧延材の結晶性測定方法で
ある。さらには,上記入射される超音波の上記圧延材の
表面での反射波を該圧延材と略平行に配置された再反射
面により再反射することによって上記受信点にて受信さ
せ,上記受信させられた再反射波を用いて上記入射点と
上記再反射面との間隔の変化による上記多重反射波の伝
搬時間の変化分を補正する圧延材の結晶性測定方法であ
る。第2の発明は,集束された超音波を圧延材の表面に
所定角度傾けて入射する超音波発信手段と,上記入射さ
れた超音波より発散され,上記圧延材の表裏面間で多重
反射しながら伝搬する超音波に含まれる所定の屈折角の
多重反射波を受信する超音波受信手段と,上記受信され
た多重反射波の伝搬時間に基づいて上記圧延材の結晶性
を測定する結晶性測定手段とを具備してなる圧延材の結
晶性測定装置である。さらには,上記結晶性測定手段
に,上記圧延材と同一板厚の標準材について予め求めて
おいた多重反射波の波形と上記受信された多重反射波の
波形とを比較することにより,上記伝搬時間を求める伝
搬時間演算手段を設けた圧延材の結晶性測定装置であ
る。
【0005】さらには,上記結晶性測定手段に,上記入
射される超音波の上記圧延材の表面での反射波を該圧延
材と略平行に配置された再反射面により再反射すること
によって上記受信点にて受信させ,上記受信させられた
再反射波を用いて上記入射点と上記再反射面との間隔の
変化による上記多重反射波の伝搬時間の変化分を補正す
る補正手段を設けた圧延材の結晶性測定装置である。ま
た,上記第2の目的を達成するために第3の発明は,集
束された超音波を圧延材の表面に所定角度傾けて入射
し,上記入射された超音波より発散され,上記圧延材の
表裏面間で多重反射しながら伝搬する超音波に含まれる
所定の屈折角の多重反射波を受信し,上記受信された多
重反射波の伝搬時間に基づいて上記圧延材の結晶性を測
定し,上記測定された圧延材の結晶性に基づいて該圧延
材の物性を評価する圧延材の物性評価方法として構成さ
れている。第4の発明は集束された超音波を圧延材の表
面に所定角度傾けて入射する超音波発信手段と,上記入
射された超音波より発散され,上記圧延材の表裏面間で
多重反射しながら伝搬する超音波に含まれる所定の屈折
角の多重反射波を受信する超音波受信手段と,上記受信
された多重反射波の伝搬時間に基づいて上記圧延材の結
晶性を測定する結晶性測定手段と,上記測定された圧延
材の結晶性に基づいて該圧延材の物性を評価する物性評
価手段とを具備してなる圧延材の物性評価装置である。
【0006】
【作用】第1,第2の発明によれば,先ず集束された超
音波が圧延材の表面に所定角度傾けて入射される。上記
入射された超音波より発散され,上記圧延材の表裏面間
で多重反射しながら伝搬する超音波に含まれる所定の屈
折角の多重反射波が受信される。上記受信された多重反
射波の伝搬時間に基づいて上記圧延材の結晶性が測定さ
れる。圧延材のように集合組織のある材料では,結晶性
がランダムに配向した等方的な結晶粒群と,集合組織で
決まる特定の配向を持つ単結晶粒群との混合体と考えら
れる。この内等方的な結晶粒群の材料中では超音波の伝
搬速度は超音波の伝搬方向によらず一定である。一方,
特定の配向を持つ単結晶粒群の材料中では,超音波の伝
搬方向により音速が変化する。この音速の方向依存性か
ら,材料の結晶性を測定することができる。さらに,上
記圧延材と同一板厚の標準材について予め求めておいた
多重入射波の波形と,上記受信された多重反射波波形と
を比較することにより,上記伝搬時間が求められる。超
音波の音速を正確に測定する手法として,所定の基準波
形との相関を用いる方法は一般に知られているが,波形
が異なると伝搬時間の測定精度が低下する。そこで,上
記標準材によって得られる基準波形を用いることによ
り,測定精度の低下を防止することができる。さらに,
上記入射される超音波の上記圧延材の表面での反射波を
該圧延材と略平行に配置された再反射面により再反射す
ることによって,上記受信点にて受信され,上記受信さ
せられた再反射波を用いて上記入射点を上記再反射面と
の間隔の変化による,上記多重反射波の伝搬時間の変化
分が補正される。これにより測定する圧延材のそり等に
より生じる測定誤差をなくすことができる。また,第
3,第4の発明によれば,上記第1,第2の発明によっ
て測定された上記圧延材の結晶性に基づいて該圧延材の
物性が評価される。すなわち,上記圧延材の結晶性は当
該材料の集合組織の違いを表すため,この違いにより物
性の評価を容易に行うことができる。その結果,迅速に
客観的にしかも信頼性のある圧延材の結晶性測定及びそ
の物性評価を行い得る方法及びそれらの装置を得ること
ができる。
【0007】
【実施例】以下添付図面を参照して,本発明を具体化し
た実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以
下の実施例は本発明を具体化した一例であって,本発明
の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここに,
図1は本発明の一実施例に係る結晶性測定及び物性評価
装置の概略構成を示す模式図,図2は超音波の拡散を示
す説明図,図3は探触子部の配置図,図4は検出された
多重反射エコー群を示す図,図5は再結晶材と未再結晶
材との極点図,図6はアルミニウム板で生じ得る集合組
織の(111)極点図,図7は音速の異方性を示す説明
図,図8は破壊試験の評価値と測定値との比較結果を示
す図,図9は水距離と遅延時間との関係を示す図,図1
0は鉄の単結晶についての音速の異方性計算結果を示す
図である。第1の発明に係る結晶性測定方法は,集束さ
れた超音波を圧延材の表面に所定角度傾けて入射し(工
程1),上記入射された超音波より発散され,上記圧延
材の表裏面間で多重反射しながら伝搬する超音波に含ま
れる所定の屈折角の多重反射波を受信し(工程2),上
記受信された多重反射波の伝搬時間に基づいて上記圧延
材の結晶性を測定する(工程3)ように構成されてい
る。さらに,上記工程3において上記圧延材と同一板厚
の標準材について予め求めておいた多重反射の波形と,
上記受信された多重反射波の波形とを比較することによ
り,上記伝搬時間を求める(工程4)ようにしてもよ
い。さらに,上記工程3において上記入射される超音波
の上記圧延材の表面での反射波を該圧延材と略平行に配
置された再反射面により再反射することにより,上記受
信点にて受信させ,上記受信させられた再反射波を用い
て上記入射点と上記再反射面との間隔の変化による上記
多重反射波の伝搬時間の変化分を補正する(工程5)よ
うにしてもよい。
【0008】第3の発明は,上記第1の発明により測定
された圧延材の結晶性に基づいて該圧延材の物性を評価
する(工程6)ように構成されている。第2,第4の発
明は,それぞれ上記第1,第3の発明による装置であ
り,これによれば上記各工程の内,工程1は超音波発信
手段により,工程2は超音波受信手段により,工程3は
結晶性測定手段により,工程4は伝搬時間演算手段によ
り,工程5は補正手段により,工程6は物性評価手段に
よりそれぞれ実行される。以下,本実施例では上記第1
〜第4の発明について上記工程1,2,…の順に方法を
詳述し,図1を参照して装置構成をさらに具体化すると
共に,それらの基本原理についても説明する。 〔工程1〕図1において,まず線集束型の超音波探触子
1(第2,第4の発明における超音波発信手段に相当)
を使用し,周知の水浸法により超音波の集束点で熱延板
2(圧延材に相当)のX−Y断面内に超音波を入射す
る。水浸法で集束型探触子1の焦点を入射点に一致さ
せ,図中のY軸に対し20度程度(所定角度に相当)の
斜入射の条件を選定すると,ビーム状の超音波の入射角
は,入射点から超音波探触子1の振動子の端部を見込む
角度分の広がりを持つ。これは,十分遠方で観察する
と,熱延板2中には入射点から発散した横波が伝搬した
ように観察される。この現象は異種材料に入射する超音
波の屈折関係を記述するものとして知られているスネル
の法則から容易に理解される(図2参照)。このよう
に,材料表面に焦点を一致させると材料中に超音波が入
射した点の位置を限定することができるため,超音波の
入射の位置が特定され,音速に換算するときの距離の情
報の特定が可能となる。
【0009】ところで音速を厳密に測定することにより
材料の特性を測定する場合,一般に測定精度を上げるた
めには材料中の伝搬距離を長くし,距離の不確定による
誤差を小さくする方法が採用される。しかし,本実施例
では,例えば,アルミニウム板のように板厚が薄い熱延
板2を対象とし,かつ斜めに伝搬する超音波の速度を計
測するため距離をかせぐことが困難である。このため,
超音波の入射点の位置を特定し焦点を入射点に一致させ
ることが特に重要である。 〔工程2〕次に,入射点から発散的に放射された超音波
は,熱延板2の表裏面間で多重反射しながら伝搬する
が,これを上記と同等な線集束型の超音波探触子3(超
音波受信手段に相当)を用いて受信する。 〔工程3〕そして,多重反射の次数の異なる複数の横波
の多重反射エコーの中から屈折角45度に近い反射波
(所定の屈折角の多重反射波に相当)を抽出し,その伝
搬時間を測定する。すなわち,超音波探触子1,3の超
音波の焦点を図3に示すように熱延板2の表面に一致す
るように配置する。受信の場合も焦点を材料の表面に一
致させることにより,受信点の位置が特定できることは
送信の場合と全く同様である。すると,多重反射の回数
によって決まるビーム路程を音速で割ることにより求め
られる時間だけ遅延した複数の超音波エコーが観察され
る。この観察されたエコーを図4に示す。図中それぞれ
のエコーは測定する板である熱延板2に対して異なる角
度で伝搬した超音波に対応するため(表1参照),伝搬
角度方向で音速に異方性がある場合,その音速の異方性
を反映した遅延時間後にエコーが観察されることにな
る。
【0010】
【表1】 ちなみに,アルミニウム熱延板の場合,再結晶すると,
材料に含まれる結晶粒の方位分布を示す極点図上で(1
00)<001>の集合組織が優勢となるが,未再結晶
状態では(110)<001>の集合組織が優勢であ
る。このことは図5に示す再結晶前後の材料に対し,X
線で測定された(111)極点図と,図6に示す単一の
集合組織の材料であるアルミニウム板に対する極点図と
から容易に理解される。集合組織のある材料は,結晶粒
がランダムに配向した等方的な結晶粒(等方体)群と,
集合組織で決まる特定の配向をもつ単結晶群との混合体
と考えてその結晶性又は物性を評価することができる。
等方体群の材料では,超音波の伝搬速度は超音波の伝搬
方向によらない。一方,特定の配向をもつ結晶群の材料
では,単結晶のアルミニウム板中の音速の異方性を反映
し,伝搬方向で音速が変化する。この単結晶中の超音波
の伝搬速度の方向依存性の計算結果を利用し,アルミニ
ウム板の再結晶及び未再結晶の集合組織に現れる上記方
位に単結晶が配向した場合で,かつX−Y方向の断面内
に超音波が伝搬する時の板の法線に対する伝搬角度と超
音波音速とを極点図で表した結果を図7に示す。ただ
し,横波は振動方向で2種の音速を持つ超音波が存在す
るが,ここでは超音波探触子1,3を水浸法で励起した
時に材料中に励起される成分についてのみ記載してい
る。また,上記のような集合組織を有する材料では,こ
の単結晶の速度異方性と等方体の音速分布とが集合組織
の集積の程度で混合した異方性を示すと考えられる。
【0011】そこで,再結晶した場合をまず考えるが,
この場合は極点図上(110)<001>の集合組織を
持ち,それを(110)<001>の方位を持つ結晶が
ある割合だけ,均質体中にばらまかれていると仮定す
る。するとアルミニウム板内のある方向の音速は等方多
結晶の音速と(110)<001>成分の注目する方向
の音速との中間の値を示すことになる。その値は混合比
で加算平均したものとして近似できる。従って,超音波
をX−Y方向の断面内を伝搬させた場合,板面と伝搬方
向との角度をパラメータとして音速を表現するとすれ
ば,絶対値は混合比により変化する。この場合,図7
(a)と同様な異方性を示すはずである。次に,未再結
晶材の場合の音速の異方性は,同様にして図7(b)の
ように表現される。両図から両端結晶に対する屈折角毎
の音速差を算出した結果を図7(c)に示す。図中,4
5度方向で最も大きな音速差を示すが,±10度程度の
角度差の中では音速の変化は小さいことが分かる。従っ
て,屈折角がほぼ45度となる方向の音速差を利用し,
熱延板2のX−Y方向に伝搬させたY軸に対し45度方
向の多重反射波の遅延時間を測定すると,未再結晶性の
程度を精度よく評価できることが分かる。上記遅延時間
差と破壊検査により抽出した未再結晶率との関係を図8
に示す。同図に示すように,従来破壊検査で未再結晶率
を判定していたときの判定値と遅延時間との間には相関
があり,これより遅延時間1.7μsec以下の場合は
再結晶していると判定することができる。また,この測
定では,超音波が多重反射をしながら伝搬する領域での
音速の異方性の平均値を用いて評価することになるた
め,測定のバラツキが小さいことも特徴である。
【0012】この時実際に受信された波形は前記を図4
に示した通りであるが,さらに詳しく説明する。図中そ
れぞれのエコーに対する反射の次数を示している。ここ
で反射の次数が1〜3であるものは,反射の次数による
伝搬距離の差が小さいため,分離計測できていない。し
かし,4次以降の次数のものは分離計測されている。ま
た,7次以降は観測されていないが,これは小さい屈折
角で入射する超音波の送受効率が低いためである。 〔工程4〕また,上記図4において,波形が次数によっ
て変化していることが分かる。ちなみに音速を正確に測
定する方法として,所定の基準波形との相関を用いる方
法が知られているが,波形が異なると伝搬の遅延時間の
測定精度は低下する。そこで,基準とする波形として,
再結晶が済んだ同じ厚さの標準試験品4(基準板に相
当)のY軸に対し45度方向に伝搬する波形を用い,相
関法により遅延時間を求める方法を採用する。この方法
により遅延時間を求め未再結晶の度合いとの比較をした
結果を前記図8に示した。このように,伝搬時間を測定
において標準試験品4での超音波の伝搬波形を予め設定
しておき,その波形と測定波形との相関を用いることに
より,精度良く伝搬時間を測定できる。 〔工程5〕さらに図9には測定対象に同一材料(熱延板
2)を用い,熱延板2と超音波探触子1との間隔を変化
させて測定した時の反射板5(再反射面に相当)からの
エコーの遅延時間の変化を示している。図より反射板5
からの遅延時間は熱延板2と超音波探触子1との間隔と
は直線関係にあることが分かる。この関係を利用し,測
定する板の反り等で生じる誤差を補正することができ
る。すなわち,超音波探触子1と熱延板2との間の距離
の変化による遅延時間の差を反射板5からの遅延時間か
ら求め,これにより材料中を伝搬するエコーの遅延時間
の変化を補正することができる。反射板5からの遅延時
間は,具体的には,平坦な板の場合の反射板5からの遅
延時間を基準として,測定する板の場合の遅延時間を求
めている。この場合,入射超音波は,一部,板面で反射
されるがその反射波を再度圧延板2の方向に反射する反
射板5を,圧延板2と平行に探触子1と一体関係で配置
する。このように,超音波探触子1と熱延板2との間隔
の変化に起因する入射点と反射点との間隔の変化による
多重反射波の遅延時間の変化を補正することによって,
より精度よく遅延時間を測定することができる。
【0013】本実施例では,超音波探触子1の発信周波
数としては10MHzの高帯域の探触子を使用した。こ
れは探触子の発信周波数が低くなると,波長が長くなる
ため,次数の異なる多重反射のエコー分離が悪くなるた
めである。一方,周波数が高くなりすぎると超音波の減
衰が大きくなり,伝搬距離の長い,高次のエコーが観測
しがたくなる。また,周波数が低く波長が長い場合に
は,板波が効率良く励起されるようになり,多重反射が
観測しがたくなる。このような観点から,波長が板厚と
同程度でかつ減衰が小さい周波数を用いる必要があった
ためである。次に,受信された超音波を超音波探触子3
で電気信号に変換し,その信号をデジタルオシロ6によ
りデジタル化してメモリ7に記憶し用いる。メモリ7に
記憶された信号を計算機8に入力し,注目する屈折角4
5方向に伝搬するエコーを抽出し,再結晶の終了した標
準試験品4についての同一屈折角で伝搬してきたエコー
との相関演算を行う。これにより,遅延時間を算出し,
予め求めた未再結晶率と遅延時間との関係から未再結晶
率を演算する。こののようにして熱延板の結晶性測定を
行うことができた。 〔工程6〕さらに上記熱延板2の結晶性測定結果に基づ
いて計算機8により予めファイル9に記憶しておいた各
種物性データと比較することにより熱延板2の物性を評
価することができた。以上の操作命令等の入力と,結果
の出力とは計算機に接続された入出力装置10により行
った。尚,上記実施例では,超音波波形の収集にデジタ
ルオシロ6を使用し,また計算機8により遅延時間を演
算等するとしたが,実使用に際しては,専用の信号処理
回路を使用することも考えられる。さらに,上記実施例
は,熱延板であるアルミニウム板の未再結晶率の計測だ
けでなく例えば鋼板の集合組織の違いを測定することに
も応用できるものと考えられる。このことは,1つの単
結晶の音速の異法性についての計算結果を示す図10よ
り容易に理解される。
【0014】
【発明の効果】本発明に係る圧延材の結晶性測定及び物
性評価方法及びそれらの装置は,上記したように構成さ
れているため,以下の効果を奏する。 (1)圧延材のように集合組織のある材料では,結晶性
がランダムに配向した等方的な結晶粒群と,集合組織で
決まる特定の配向を持つ単結晶粒群との混合体と考えら
れる。この内等方的な結晶粒群の材料中では超音波の伝
搬速度は超音波の伝搬方向によらず一定である。一方,
特定の配向を持つ単結晶粒群の材料中では,超音波の伝
搬方向により音速が変化する。第1,第2の発明によれ
ば,この音速の方向依存性から,圧延材料の結晶性を測
定することができる。さらに,上記圧延材と同一板厚の
標準材によって得られる基準波形と測定波との相関を用
いることにより,測定精度の低下を防止することができ
る。さらに,上記入射される超音波の上記圧延材の表面
での反射波を該圧延材と略平行に配置された再反射面に
より再反射することによって,上記受信点にて受信さ
せ,上記受信させられた再反射波を用いて上記入射点を
上記再反射面との間隔の変化による,上記多重反射波の
伝搬時間の変化分を補正されることにより測定する圧延
材のそり等により生じる測定誤差をなくすことができ
る。 (2)また,上記第1,第2の発明によって測定された
上記圧延材の結晶性は当該材料の集合組織の違いを表
す。第3,第4の発明によればこの違いにより物性の評
価を容易に行うことができる。その結果,迅速に客観的
にしかも信頼性のある圧延材の結晶性測定及び物性評価
を行い得る方法及びそれらの装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る結晶性測定及び物性
評価装置の概略構成を示す模式図。
【図2】 超音波の拡散を示す説明図。
【図3】 探触子部の配置図。
【図4】 検出された多重反射エコー群を示す図。
【図5】 再結晶材と未再結晶材との極点図。
【図6】 アルミニウム板で生じ得る集合組織の(11
1)極点図。
【図7】 音速の異方性を示す説明図。
【図8】 破壊試験の評価値と測定値との比較結果を示
す図。
【図9】 水距離と遅延時間との関係を示す図。
【図10】 鉄の単結晶についての音速の異方性計算結
果を示す図。
【符号の説明】
1…集束型超音波探触子(超音波発信手段に相当) 2…熱延板(圧延材に相当) 3…集束型超音波探触子(超音波受信手段に相当) 4…標準試験品(基準材に相当) 5…反射板(再反射面に相当) 8…計算機(結晶性測定手段,伝搬時間演算手段,補正
手段,物性評価手段等に相当)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 岳夫 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 高岡 克也 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集束された超音波を圧延材の表面に所定
    角度傾けて入射し,上記入射された超音波より発散さ
    れ,上記圧延材の表裏面間で多重反射しながら伝搬する
    超音波に含まれる所定の屈折角の多重反射波を受信し,
    上記受信された多重反射波の伝搬時間に基づいて上記圧
    延材の結晶性を測定する圧延材の結晶性測定方法。
  2. 【請求項2】 上記圧延材と同一板厚の標準材について
    予め求めておいた多重反射波の波形と上記受信された多
    重反射波の波形とを比較することにより,上記伝搬時間
    を求める請求項1記載の圧延材の結晶性測定方法。
  3. 【請求項3】 上記入射される超音波の上記圧延材の表
    面での反射波を該圧延材と略平行に配置された再反射面
    により再反射することによって上記受信点にて受信さ
    せ,上記受信させられた再反射波を用いて上記入射点と
    上記再反射面との間隔の変化による上記多重反射波の伝
    搬時間の変化分を補正する請求項1又は2記載の圧延材
    の結晶性測定方法。
  4. 【請求項4】 集束された超音波を圧延材の表面に所定
    角度傾けて入射する超音波発信手段と,上記入射された
    超音波より発散され,上記圧延材の表裏面間で多重反射
    しながら伝搬する超音波に含まれる所定の屈折角の多重
    反射波を受信する超音波受信手段と,上記受信された多
    重反射波の伝搬時間に基づいて上記圧延材の結晶性を測
    定する結晶性測定手段とを具備してなる圧延材の結晶性
    測定装置。
  5. 【請求項5】 上記結晶性測定手段に,上記圧延材と同
    一板厚の標準材について予め求めておいた多重反射波の
    波形と上記受信された多重反射波の波形とを比較するこ
    とにより,上記伝搬時間を求める伝搬時間演算手段を設
    けた請求項4記載の圧延材の結晶性測定装置。
  6. 【請求項6】 上記結晶性測定手段に,上記入射される
    超音波の上記圧延材の表面での反射波を該圧延材と略平
    行に配置された再反射面により再反射することによって
    上記受信点にて受信させ,上記受信させられた再反射波
    を用いて上記入射点と上記再反射面との間隔の変化によ
    る上記多重反射波の伝搬時間の変化分を補正する補正手
    段を設けた請求項4記載の圧延材の結晶性測定装置。
  7. 【請求項7】 集束された超音波を圧延材の表面に所定
    角度傾けて入射し,上記入射された超音波より発散さ
    れ,上記圧延材の表裏面間で多重反射しながら伝搬する
    超音波に含まれる所定の屈折角の多重反射波を受信し,
    上記受信された多重反射波の伝搬時間に基づいて上記圧
    延材の結晶性を測定し,上記測定された圧延材の結晶性
    に基づいて該圧延材の物性を評価する圧延材の物性評価
    方法。
  8. 【請求項8】 集束された超音波を圧延材の表面に所定
    角度傾けて入射する超音波発信手段と,上記入射された
    超音波より発散され,上記圧延材の表裏面間で多重反射
    しながら伝搬する超音波に含まれる所定の屈折角の多重
    反射波を受信する超音波受信手段と,上記受信された多
    重反射波の伝搬時間に基づいて上記圧延材の結晶性を測
    定する結晶性測定手段と,上記測定された圧延材の結晶
    性に基づいて該圧延材の物性を評価する物性評価手段と
    を具備してなる圧延材の物性評価装置。
JP6094118A 1994-05-06 1994-05-06 圧延材の結晶性測定及び物性評価方法及びそれらの装置 Pending JPH07301622A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6094118A JPH07301622A (ja) 1994-05-06 1994-05-06 圧延材の結晶性測定及び物性評価方法及びそれらの装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6094118A JPH07301622A (ja) 1994-05-06 1994-05-06 圧延材の結晶性測定及び物性評価方法及びそれらの装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07301622A true JPH07301622A (ja) 1995-11-14

Family

ID=14101519

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6094118A Pending JPH07301622A (ja) 1994-05-06 1994-05-06 圧延材の結晶性測定及び物性評価方法及びそれらの装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07301622A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011099723A (ja) * 2009-11-05 2011-05-19 Hitachi Cable Ltd 超音波検査方法
CN114324586A (zh) * 2021-12-21 2022-04-12 北京星航机电装备有限公司 一种超声检测金属材料织构方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011099723A (ja) * 2009-11-05 2011-05-19 Hitachi Cable Ltd 超音波検査方法
CN114324586A (zh) * 2021-12-21 2022-04-12 北京星航机电装备有限公司 一种超声检测金属材料织构方法
CN114324586B (zh) * 2021-12-21 2023-12-26 北京星航机电装备有限公司 一种超声检测金属材料织构方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7900516B2 (en) Ultrasonic flaw detection apparatus and ultrasonic flaw detection method
US6532821B2 (en) Apparatus and method for evaluating the physical properties of a sample using ultrasonics
US9423380B2 (en) Ultrasonic inspection method, ultrasonic test method and ultrasonic inspection apparatus
JP4166222B2 (ja) 超音波探傷方法及び装置
US20230061816A1 (en) Air-coupled Ultrasonic Detection Method and Device Based on Defect Probability Reconstruction Algorithm
Arguelles et al. Mode-converted ultrasonic scattering in polycrystals with elongated grains
US9046469B2 (en) Ultrasonic testing method
JP3535417B2 (ja) 超音波による欠陥高さ測定装置及び欠陥高さ測定方法
WO2019111381A1 (ja) 超音波探傷装置
JPH07301622A (ja) 圧延材の結晶性測定及び物性評価方法及びそれらの装置
JP2912159B2 (ja) アルミニウム圧延材の耳率測定方法並びにその装置
JPH04323553A (ja) 超音波共振探傷方法および装置
JP2010266414A (ja) フェーズドアレイ開口合成処理方法
JP3018936B2 (ja) 繊維複合材の異方性評価方法及びその装置
JP4982603B2 (ja) 超音波検査方法
Titov et al. Measurements of velocity and attenuation of leaky waves using an ultrasonic array
JPH1164309A (ja) 圧延材の材料特性測定方法及び装置
Kim et al. Technique for measurements of elastic wave velocities and thickness of solid plate from access on only one side
US6393917B1 (en) System and method for ultrasonic image reconstruction using mode-converted Rayleigh wave
JP4982604B2 (ja) 超音波検査方法
CN116626167A (zh) 一种超声横波衰减系数的测量装置及工作方法
Gust et al. Material characterization with the ultrasonic microscope
Hobæk et al. Scattering from spheres and cylinders-revisited
JPH0658915A (ja) 物性測定装置
JPH09257766A (ja) 金属材料の脆化度評価方法及び評価装置