JPH07301566A - 輻射熱センサ - Google Patents

輻射熱センサ

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JPH07301566A
JPH07301566A JP6114937A JP11493794A JPH07301566A JP H07301566 A JPH07301566 A JP H07301566A JP 6114937 A JP6114937 A JP 6114937A JP 11493794 A JP11493794 A JP 11493794A JP H07301566 A JPH07301566 A JP H07301566A
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heat
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temperature
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Takeshi Kakigi
健史 柿木
Shigeki Fujii
茂喜 藤井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】輻射熱ガイド等の温度上昇に起因する測定誤差
を小さく抑えて、被測定物の輻射熱を高い精度で測定す
ることができる輻射熱センサを提供する。 【構成】検出用熱感知素子3aは被測定物1からの輻射
熱を検出し、補正用熱感知素子3bはセンサ周囲温度に
よる測定誤差を補正する。素子3aは平面状セラミック
基板の一方の面上に、素子3bは他方の面上に接触配置
されている。基準輻射熱放射体5は被測定物1からの輻
射熱の影響を受けずセンサ周囲温度と同一温度にある。
輻射熱ガイド2は、熱伝導率,比熱が大きく、被測定物
1からの輻射熱を素子3bに導く検出側輻射熱ガイド部
2aと基準輻射熱放射体5からの輻射熱を素子3bに導
く補正側輻射熱ガイド部2bとで一体的に構成されてい
る。ガイド2に対する熱的位置関係は素子3aと3bと
で相対的に同一になっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子レンジ等に用いら
れる輻射熱センサに関するものである。更に詳しくは、
測定精度を向上させたボロメータタイプの輻射熱センサ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】輻射熱センサは、半導体の光電効果を利
用して輻射熱を測定する量子型センサと,光の輻射熱を
吸収し温度が上昇することを利用して輻射熱を測定する
熱効果型センサとの2つに大きく分類される。量子型セ
ンサは、測定精度が高く応答性も良い反面、測定できる
光の波長域が狭いことや常温で使用できないこと等の欠
点を有している。これに対し熱効果型センサは、感度,
応答性共に量子型センサよりも劣るが、広い範囲の波長
を感知し常温での使用が可能であるという利点を有して
いる。代表的な熱効果型センサには、熱電対(サーモパ
イル)を用いたタイプ,圧電体の焦電効果を利用した焦
電タイプ,放射エネルギーを吸収して生ずる熱による抵
抗変化を利用するボロメータタイプがある。
【0003】一般的なボロメータタイプの輻射熱センサ
は、サーミスタを用いた検出用熱感知素子と,被測定物
の輻射熱を検出用熱感知素子に導く輻射熱ガイドと,セ
ンサ周囲温度による測定誤差を補正するための補正用熱
感知素子と,被測定物から補正用熱感知素子に向かう輻
射熱を遮断する熱遮断部材とから成っている。
【0004】このタイプの輻射熱センサには、被測定物
からの輻射熱によって加熱された検出用熱感知素子と,
被測定物の輻射熱から熱的影響を受けないように熱遮断
された補正用熱感知素子との温度差を、それらの素子に
接続された電気的手段によって電圧差に変換し、その結
果から被測定物の表面温度を測定するという測定原理が
採用されている。このような測定原理によれば構成の簡
素化が可能であるため、ボロメータタイプの輻射熱セン
サには潜在的なコストダウンの可能性がある。
【0005】実公平4−50519号で開示されている
輻射熱センサは、輻射熱ガイドを熱遮断部材に兼用する
構成となっている。つまり、輻射熱ガイドを検出用熱感
知素子に接触させることによって、被測定物の輻射熱を
伝導熱として検出用熱感知素子に導き、輻射熱ガイドで
補正用熱感知素子を覆うことによって、被測定物から補
正用熱感知素子に向かう輻射熱を遮断する構成となって
いる。
【0006】また、特開平4−353728号で開示さ
れている輻射熱センサは、検出用熱感知素子が輻射熱ガ
イドと接する部分以外を断熱材で覆った構成となってい
る。本来測定すべき輻射熱(即ち、被測定物からの輻射
熱)以外の阻害輻射熱は、断熱材によって熱遮断される
ため、阻害輻射熱に起因する測定誤差は軽減される。
【0007】一方、特開平5−52659号に開示され
ている輻射熱センサは、平面基板の片面上に、輻射熱吸
収部材付きの検出用熱感知素子と,熱遮断部材付きの補
正用熱感知素子とを配置した構成となっている。輻射熱
吸収部材は輻射熱ガイドとして被測定物からの輻射熱を
検出用熱感知素子に導き、熱遮断部材は被測定物から補
正用熱感知素子に向かう輻射熱を遮断する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように輻射熱ガ
イドや熱遮断部材を用いた従来技術においては、輻射熱
ガイドや熱遮断部材の温度上昇によって発生する輻射熱
が、測定誤差を生じさせて、測定精度の低下を招くとい
う問題がある。以下、この点について、更に詳細に説明
する。
【0009】まず、従来の輻射熱センサの測定原理をモ
デル化して、伝達される輻射熱エネルギーを図12に示
す。同図中、11は被測定物、12は輻射熱ガイド、1
3aは検出用熱感知素子、13bは補正用熱感知素子、
14は熱遮断部材である。輻射熱ガイド12は、被測定
物11の測定したいエリアからの輻射熱を集めることに
よって、被測定物11の測定したいエリアからの輻射熱
を検出用熱感知素子13aに導く役目をする。
【0010】このモデルにおいて、被測定物11から放
射される輻射熱エネルギーをW0とし、そのうち、検出
用熱感知素子13aに直接伝達される熱エネルギーをW
1とし、輻射熱ガイド12に直接伝達される熱エネルギ
ーをW2とし、熱遮断部材14に直接伝達される熱エネ
ルギーをW10とする。理想的な輻射熱センサでは、輻射
熱ガイド12と熱遮断部材14の輻射熱エネルギーに対
する反射率を100%としている。従って、検出用熱感
知素子13aに伝達される熱エネルギーW3は、W2と等
しくなるため、検出用熱感知素子13aの受ける輻射熱
エネルギーはW1+W2となる。また、熱遮断部材14か
ら補正用熱感知素子13bに伝達される輻射熱エネルギ
ーW11は0となる。
【0011】ここで、初期条件として被測定物11,輻
射熱ガイド12,各熱感知素子13a,13b,熱遮断
部材14の温度を、センサ周囲温度T0と等しく一定と
する。このとき、各部相互の輻射熱エネルギーの伝達は
ないので、W0=W1=W2=W3=W10=W11=0であ
る。その後、被測定物11の温度のみがT0から△Tだ
け上昇すると、被測定物11からの輻射熱エネルギーW
0は△Wだけ増加し、W0=△Wとなる。上記と同様、輻
射熱ガイド12と熱遮断部材14の反射率を100%と
した場合、W1=ΔW1,W2(=W3)=ΔW2となるの
で、検出用熱感知素子13aが受ける熱エネルギーW1
+W3は、ΔW1+ΔW2となる。一方、補正用熱感知素
子13bが受ける輻射熱エネルギーW11の増加ΔW11
ないので、W11=ΔW11=0のままである。結果とし
て、検出用熱感知素子13aの温度のみが、温度△t
13aだけ上昇してT0+△t13aとなる。
【0012】この検出用熱感知素子13aと補正用熱感
知素子13bとの温度差△tと、被測定物11の真の輻
射熱エネルギー量△Wとは、図13中のラインMに示す
ように比例的な関係となる。従って、この温度差Δtか
ら被測定物11の真の輻射熱エネルギー量ΔWを測定す
ることができる。
【0013】しかし、現実的には輻射熱ガイド12と熱
遮断部材14の反射率が100%ではないので、それぞ
れ被測定物11からの輻射熱エネルギーW2(=ΔW2),
10(=ΔW10)を一部吸収して温度上昇することにな
る。輻射熱ガイド12及び熱遮断部材14の温度上昇に
よって、輻射熱ガイド12から検出用熱感知素子13a
に輻射熱エネルギーΔW4の伝達が生じ、熱遮断部材1
4から補正用熱感知素子13bに輻射熱エネルギーW11
(=ΔW11)の伝達が生じる。
【0014】輻射熱エネルギー量ΔW4はもともとΔW2
に起因するものであるが、時間的な遅れを伴って生じる
ため、検出用熱感知素子13aで検出されると測定誤差
の原因となる。また、輻射熱エネルギー量W11は本来0
でなければならないので、補正用熱感知素子13bでΔ
11が検出されると測定誤差の原因となる。このよう
に、検出用熱感知素子13aと補正用熱感知素子13b
との双方が受ける輻射熱エネルギー量に、輻射熱ガイド
12や熱遮断部材14の温度上昇によって発生する不要
な輻射熱エネルギー量ΔW4,ΔW11が含まれているこ
とが、被測定物11の真の輻射熱エネルギー量ΔWを測
定する際の主な阻害要因となっている。
【0015】上記輻射熱エネルギー量ΔW4とΔW11
が同一であれば(図13中のラインM)、ΔW4とΔW11
とが相殺されるため、それによって生じる検出用熱感知
素子13aと補正用熱感知素子13bとの温度差に起因
する測定誤差は生じない。しかし、実際には、輻射熱ガ
イド12と熱遮断部材14との材質,形状等の相違によ
り熱容量,反射率等が相違するため、輻射熱エネルギー
ΔW4とΔW11とは時間的にも量的にも異なったものと
なる。従って、輻射熱エネルギーΔW4,ΔW11を同一
とすることは困難である。
【0016】輻射熱エネルギー量ΔW4とΔW11との大
小関係によって本来の比例関係(図3中のラインMに示
す相関関係)がくずれると、測定誤差が生じてしまう。
例えば、ΔW4>ΔW11の場合(図13中のラインL)、
温度差Δtが実際より大きくなるので、見かけ上被加熱
物11の輻射熱エネルギー量ΔWが大きく測定されてし
まう。また、ΔW4<ΔW11の場合(図13中のライン
N)、温度差Δtが実際より小さくなるので、見かけ上
被加熱物11の輻射熱エネルギー量が小さく測定されて
しまう。
【0017】以上のように、測定される輻射熱が被測定
物の真の輻射熱でなければ、被測定物の温度を正確に測
定することはできない。また、検出用・補正用熱感知素
子の出力特性はセンサ周囲温度の影響を受けるため、被
測定物の温度を算出するには、検出用・補正用熱感知素
子で検出された被測定物の輻射熱エネルギー量をセンサ
周囲温度で補正してやらなければならない。しかし、こ
の補正を低コストで正確に行う輻射熱センサは、未だ知
られていない。
【0018】本発明は、これらの点に鑑みてなされたも
のであって、輻射熱ガイド等の温度上昇に起因する測定
誤差を小さく抑えて、被測定物の輻射熱を高い精度で測
定することができる輻射熱センサを提供することを目的
とする。さらに、被測定物の温度を高い精度で測定する
ことができる低コストの輻射熱センサを提供することを
目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る輻射熱センサは、被測定物からの輻射
熱を検出する検出用熱感知素子と,センサ周囲温度によ
る測定誤差を補正するための補正用熱感知素子と,前記
検出用熱感知素子が一方の面上に接触配置され、前記補
正用熱感知素子が他方の面上に接触配置された基板と,
前記被測定物からの輻射熱の影響を受けることなくセン
サ周囲温度と同一温度になるように設けられた基準輻射
熱放射体と,前記被測定物からの輻射熱を前記検出用熱
感知素子に導く検出側輻射熱ガイド部と,前記基準輻射
熱放射体からの輻射熱を前記補正用熱感知素子に導く補
正側輻射熱ガイド部とで一体的に構成され、該検出側輻
射熱ガイド部及び補正側輻射熱ガイド部に対する熱的位
置関係が、前記検出用熱感知素子と補正用熱感知素子と
で相対的に同一になるように、前記基板が取り付けられ
た輻射熱ガイドと,から成ることを特徴とする。
【0020】また、平面状を成す前記基板を、熱伝導率
及び比熱が比較的大きい材料から成る前記輻射熱ガイド
の内部に、金属細線で固定した構成とするのが好まし
い。
【0021】また、本発明に係る輻射熱センサは、被測
定物からの輻射熱を検出する検出用熱感知素子と,セン
サ周囲温度による測定誤差を補正するための補正用熱感
知素子と,前記被測定物からの輻射熱の影響を受けるこ
となくセンサ周囲温度と同一温度になるように設けられ
た基準輻射熱放射体と,前記被測定物からの輻射熱を前
記検出用熱感知素子に導く空間部を内部に有するパイプ
形状の検出側輻射熱ガイド部と,前記基準輻射熱放射体
からの輻射熱を該基準輻射熱放射体で閉塞された端部か
ら前記補正用熱感知素子に導く空間部を内部に有するパ
イプ形状の補正側輻射熱ガイド部とで一体的に構成さ
れ、輻射熱の進行方向に対して垂直方向の断面につい
て、肉厚部分の断面積が空間部分の断面積以上の大きさ
となった厚肉部分を少なくとも一部に有する輻射熱ガイ
ドと,から成ることを特徴とする。
【0022】前記輻射熱ガイドは、輻射熱の進行方向に
対して垂直方向の断面について、肉厚部分の断面積が空
間部分の断面積未満の大きさとなった薄肉部分を、前記
被測定物側の端部に有する構成とするのが好ましい。ま
た、前記基準輻射熱放射体と補正側輻射熱ガイドとを一
体化させ、熱的に結合させたり、前記基準輻射熱放射体
に、赤外線放射率を向上させるような表面処理を施した
りするのが好ましい。
【0023】本発明に係る輻射熱センサは、更に、被測
定物の輻射熱エネルギー量を、前記検出用熱感知素子と
補正熱感知素子との電圧差として出力する電圧差出力手
段と,前記基準輻射熱放射体の温度を測定する温度測定
手段と,予め測定しておいた基準となるセンサ周囲温度
での前記電圧差出力手段からの出力値と被測定物の温度
との関係に基づいて被測定物の温度に相当する出力値が
得られるように、前記温度測定手段で測定された基準輻
射熱放射体の温度と基準となるセンサ周囲温度との差分
だけ、前記電圧差出力手段からの出力値をシフトさせる
制御手段と,を設けたことを特徴とする。
【0024】また、本発明に係る輻射熱センサは、更
に、被測定物の輻射熱エネルギー量を、前記検出用熱感
知素子と補正熱感知素子との電圧差として出力する電圧
差出力手段と,前記検出用熱感知素子及び補正用熱感知
素子の各出力信号の電圧値から得られた前記検出用熱感
知素子及び補正用熱感知素子の各抵抗値を用いて、前記
検出用熱感知素子及び補正用熱感知素子の温度の平均値
を算出する演算手段と,予め測定しておいた基準となる
センサ周囲温度での前記電圧差出力手段からの出力値と
被測定物の温度との関係に基づいて被測定物の温度に相
当する出力値が得られるように、前記演算手段で算出さ
れた平均値と基準となるセンサ周囲温度との差分だけ、
前記電圧差出力手段からの出力値をシフトさせる制御手
段と,を設けたことを特徴とする。
【0025】
【作用】検出側輻射熱ガイド部と補正側輻射熱ガイド部
とは一体的に構成されているので、被測定物からの輻射
熱によって検出側輻射熱ガイド部の温度が上昇すると、
熱伝導によって、補正側輻射熱ガイド部の温度も上昇
し、検出側輻射熱ガイド部と補正側輻射熱ガイド部の温
度が均一化される。そして、検出側輻射熱ガイド部及び
補正側輻射熱ガイド部に対する熱的位置関係が、検出用
熱感知素子と補正用熱感知素子とで相対的に同一になっ
ているので、輻射熱ガイドから検出用熱感知素子に放射
される輻射熱エネルギー量と,輻射熱ガイドから補正用
熱感知素子に放射される輻射熱エネルギー量とが等しく
なる。従って、それらの輻射熱エネルギー量は相殺され
るため、測定誤差の原因にはならなくなる。
【0026】基板の一方の面上に接触配置された検出用
熱感知素子が被測定物の輻射熱を受けると、他方の面上
に接触配置された補正用熱感知素子への被測定物の輻射
熱は、検出用熱感知素子及び基板によって熱遮断される
ことになる。このとき、検出用熱感知素子及び基板の温
度は輻射熱を吸収することにより上昇するが、接触状態
にある検出用熱感知素子,基板及び補正用熱感知素子は
熱伝導可能であるため、検出用熱感知素子に加えられた
輻射熱は、温度上昇した検出用熱感知素子及び基板から
の輻射熱としてではなく、検出用熱感知素子から基板を
介して補正用熱感知素子へと移動する伝導熱として、補
正用熱感知素子の温度を上昇させることになる。そのた
め、被測定物からの輻射熱を遮断する検出用熱感知素子
及び基板からの輻射熱が測定誤差となることはなく、検
出用熱感知素子と補正用熱感知素子との間に生じた温度
差から、被測定物の輻射熱測定が可能となる。
【0027】また、前記輻射熱ガイドを熱伝導率が比較
的大きい材料で構成すれば、被測定物から検出側輻射熱
ガイド部に加えられた輻射熱は、伝導熱として補正側輻
射熱ガイド部へ速やかに移動するので、輻射熱ガイドか
ら検出用熱感知素子に放射される輻射熱エネルギー量
と,輻射熱ガイドから補正用熱感知素子に放射される輻
射熱エネルギー量とが、高い応答性で等しくなる。
【0028】前記輻射熱ガイドを比熱が比較的大きい材
料で構成すると、熱容量が大きい分だけ輻射熱ガイドの
温度上昇が小さく抑えられるので、輻射熱ガイドから検
出用熱感知素子に放射される輻射熱エネルギー量と,輻
射熱ガイドから補正用熱感知素子に放射される輻射熱エ
ネルギー量とが、共に小さく抑えられる。従って、双方
の熱感知素子に放射される輻射熱エネルギー量が一致し
ていなくても、これらの輻射熱エネルギー量の差が小さ
く抑えられる結果、前記測定誤差が軽減される。しか
も、その熱エネルギー量の差に起因する悪影響の現出時
期が遅延するため、より一層測定誤差が軽減されること
になる。
【0029】輻射熱ガイドの内部に前記基板を金属細線
で固定すると、輻射熱ガイドから検出用熱感知素子及び
補正用熱感知素子への熱伝導が抑えられるので、輻射熱
ガイドからの伝導熱による測定誤差が軽減される。
【0030】輻射熱ガイドを、輻射熱の進行方向に対し
て垂直方向の断面について、肉厚部分の断面積がパイプ
内空間部分の断面積以上の大きさとなった部分を少なく
とも一部に有する構成とすると、その部分では輻射熱ガ
イドの熱容量が大きくなる。熱容量が大きいと、被測定
物からの輻射熱を受けても輻射熱ガイドは温度が上昇し
にくいため、輻射熱ガイドからの不要な輻射熱量の発生
が軽減される。
【0031】輻射熱ガイドを、輻射熱の進行方向に対し
て垂直方向の断面について、肉厚部分の断面積が空間部
分の断面積未満の大きさとなった薄肉部分を、前記厚肉
部分よりも被測定物側に有する構成とすると、被測定物
に近く相対する輻射熱ガイドの表面の面積が小さくな
る。従って、被測定物からの輻射熱の影響を受けにく
く、輻射熱ガイドは温度が上昇しにくいため、輻射熱ガ
イドからの不要な輻射熱量の発生が軽減される。
【0032】基準輻射熱放射体と補正側輻射熱ガイドと
を一体化させ、熱的に結合させると、基準輻射熱放射体
と補正側輻射熱ガイドとの間には構造的にも熱的にも隙
間が生じることはないので、補正用熱感知素子からの出
力はふらつきのない安定したものとなる。
【0033】前記基準輻射熱放射体に、赤外線放射率を
向上させるような表面処理、例えば黒体塗料の塗布を施
すことによって、赤外線放射率をなるべく1に近づける
ようにすると、基準輻射熱放射体の温度は速やかにセン
サ周囲温度と同一温度になって安定化される。
【0034】温度測定手段によって測定された前記基準
輻射熱放射体の温度は、センサ周囲温度と極めて近いた
め、測定された基準輻射熱放射体の温度をセンサ周囲温
度として用いることができる。電圧差出力手段によって
出力される検出用熱感知素子と補正熱感知素子との電圧
差は、被測定物の輻射熱エネルギー量に相当するので、
予め測定しておいた基準となるセンサ周囲温度での前記
電圧差出力手段によって出力される電圧差と被測定物の
温度との関係に基づいて被測定物の温度に相当する出力
値が得られるように、基準となるセンサ周囲温度と基準
輻射熱放射体の温度との差分だけ、前記電圧差出力手段
からの出力値を制御手段で(例えば、マイコンソフト制
御によって)シフトさせれば、そのシフト後の出力値か
ら被測定物の温度が得られる。
【0035】演算手段によって、検出用熱感知素子及び
補正用熱感知素子の各出力信号の電圧値から得られた検
出用熱感知素子及び補正用熱感知素子の各抵抗値を用い
て算出された、検出用熱感知素子及び補正用熱感知素子
の温度の平均値は、センサ周囲温度と極めて近いため、
この平均値をセンサ周囲温度として用いることができ
る。電圧差出力手段によって出力される検出用熱感知素
子と補正熱感知素子との電圧差は、被測定物の輻射熱エ
ネルギー量に相当するので、予め測定しておいた基準と
なるセンサ周囲温度での、前記電圧差出力手段によって
出力される電圧差と被測定物の温度との関係に基づいて
被測定物の温度に相当する出力値が得られるように、基
準となるセンサ周囲温度と前記平均値との差分だけ、電
圧差出力手段からの出力値を制御手段で(例えば、マイ
コンソフト制御によって)シフトさせれば、そのシフト
後の出力値から被測定物の温度が得られる。
【0036】
【実施例】以下、本発明に係る輻射熱センサの実施例
を、図面を参照しつつ説明する。図2は、第1実施例の
概略構成をモデル的に示しており、図3及び図4は、そ
れぞれ第1実施例の基本的な組み立て状態の外観及び断
面内部構造を示している。第1実施例は、図2に示すよ
うに、主として輻射熱ガイド2,熱感知部3,電気回路
部4及び基準輻射熱放射体5から成っており、本実施例
の輻射熱センサに向けて輻射熱を放射する被測定物1の
輻射熱エネルギーを測定するように配置されている。こ
の被測定物1は、例えば本実施例を電子レンジに使用し
た場合には被加熱物に相当するものである。
【0037】ところで、被測定物1の輻射熱を高い精度
で測定するためには、先に図12に基づいて説明したよ
うに、輻射熱ガイド12や熱遮断部材14の温度上昇に
起因する測定誤差を小さく抑える必要がある。そこで、
まず本実施例がこれを実現するための輻射熱エネルギー
の関係を、図12に基づいて説明する。
【0038】第1に、輻射熱ガイド12に伝達される輻
射熱エネルギー量W2(=ΔW2)を小さくすることによっ
て、輻射熱ガイド12の温度上昇を抑える。つまり、輻
射熱エネルギーW2が、輻射熱エネルギーW1(=ΔW1)
よりもはるかに小さくなる輻射熱エネルギーの関係を実
現する(ΔW1>>ΔW2)。
【0039】第2に、輻射熱ガイド12が輻射熱エネル
ギーW2(=ΔW2)を受けても温度が上がりにくい輻射熱
ガイド12を用いることによって、輻射熱ガイド12の
温度上昇を抑える。つまり、輻射熱エネルギーΔW
4が、輻射熱エネルギーΔW1(=W1)よりもはるかに小
さくなる輻射熱エネルギーの関係を実現する(ΔW1>>
ΔW4)。
【0040】第3に、輻射熱エネルギーΔW4と同量の
輻射熱エネルギーを補正用熱感知素子13bへ伝達する
ことによって、輻射熱エネルギーΔW4が素子13a,
13bの温度差Δtに影響しないようにする。つまり、
輻射熱エネルギーΔW4が相殺されるような輻射熱エネ
ルギーの関係を実現する。
【0041】第4に、補正用熱感知素子13bに放射さ
れる輻射熱を熱遮断しても、熱遮断する部分から輻射熱
エネルギーW11(=ΔW11)が生じないようにする。つま
り、熱遮断する部分から補正用熱感知素子3bへは、輻
射熱として熱伝達されないような輻射熱エネルギーの関
係を実現する。
【0042】以上の点から、本実施例の構成及びその機
能を説明する。輻射熱ガイド2(図2〜図4)は、検出側
輻射熱ガイド部2aと補正側輻射熱ガイド部2bとで一
体的に構成されている。熱感知部3(図2,図4)は、図
5に示すように平面状のセラミック基板3dと,セラミ
ック基板3d上に形成した平面状の検出用熱感知素子3
a及び補正用熱感知素子3bと,素子3a,3bの電極
3cとから成っている。
【0043】電気回路部4(図2,図3)は、図7に示す
ように、検出用熱感知素子3aと補正用熱感知素子3b
の温度を電気信号としてとらえ、更に差動増幅回路7に
より被加熱物1の輻射熱エネルギー量を電圧信号に変換
する回路である。この電気回路部4は、図3に示すよう
に孔10を通って補正側輻射熱ガイド部2bの内外をつ
なぐ電線9で、図4に示すように輻射熱ガイド2内部に
設置されている熱感知部3と接続されている。電線9と
熱感知部3との接続は、図6に示す熱感知部固定用の基
板6上の配線(不図示)を介して行われている。つまり、
電線9と接続している基板6上の配線(不図示)が、検出
用熱感知素子3a及び補正用熱感知素子3bの電極3c
と、金属細線(リード線)6cで接続されている。基準輻
射熱放射体5(図2,図3)は、被測定物1からの輻射熱
の影響を受けることなくセンサ周囲温度T0と同一温度
になるように設けられている。
【0044】前述の検出側輻射熱ガイド部2aと補正側
輻射熱ガイド部2bとは、図4に示すようにネジ構造2
sで一体的に構成されている。個別の検出側輻射熱ガイ
ド部2aと補正側輻射熱ガイド部2bとが機械的に接触
しているため、ガイド部2a,2bは熱的にも一体化し
て熱伝導可能である。従って、被測定物1からの輻射熱
によって検出側輻射熱ガイド部2aの温度が上昇する
と、補正側輻射熱ガイド部2bへの熱伝導によって、補
正側輻射熱ガイド部2bの温度も上昇する。これによ
り、検出側輻射熱ガイド部2aと補正側輻射熱ガイド部
2bとは、温度が均一化されて同一温度になる。
【0045】一方、検出側輻射熱ガイド部2aと補正側
輻射熱ガイド部2bとの間には、図4に示すように熱感
知部固定用の基板6(厚さ:1.6mm,紙フェノール製)が固
定されている。基板6の固定は、基板6の4つの固定部
6a(図6)を、ネジ構造2s(図4)で挟み締め付けるこ
とにより行われる。基板6の中央には穴6bが形成され
ており、穴6b内に配置されたセラミック基板3dが、
電極3cと接続された2本の金属細線6cで、基板6上
の配線(不図示)と接続固定されている。このようにし
て、輻射熱ガイド2の内部には、検出側輻射熱ガイド部
2a及び補正側輻射熱ガイド部2bに対する熱的位置関
係が、検出用熱感知素子3aと補正用熱感知素子3bと
で相対的に同一になるように、セラミック基板3dが取
り付けられた状態となっている。
【0046】上記のように検出側輻射熱ガイド部2a及
び補正側輻射熱ガイド部2b(つまり、輻射熱ガイド2)
に対する熱的位置関係を、検出用熱感知素子3aと補正
用熱感知素子3bとで相対的に同一にするため、本実施
例では、熱感知部3を中心とする輻射熱ガイド2の検出
側と補正側との形状を同一とし、さらに、ガイド部2
a,2bを後述するように同一材料で構成している。な
お、輻射熱ガイド2の材質が検出側輻射熱ガイド部2a
と補正側輻射熱ガイド部2bとで異なっていても、それ
に応じた形状とすることによって、上記熱的位置関係を
相対的に同一にしてもよい。
【0047】上記のように検出側輻射熱ガイド部2a及
び補正側輻射熱ガイド部2bに対する熱的位置関係は、
検出用熱感知素子3aと補正用熱感知素子3bとで相対
的に同一になっており、また、検出側輻射熱ガイド部2
aと補正側輻射熱ガイド部2bは速やかに同一温度に均
一化されるため、輻射熱ガイド2から検出用熱感知素子
3aに放射される輻射熱エネルギー量(図1中のΔW4)
と、輻射熱ガイド2から補正用熱感知素子3bに放射さ
れる輻射熱エネルギー量(図1中のΔW9)とは、高い応
答性で等しくなる。従って、これらの輻射熱エネルギー
量ΔW4,ΔW9が相殺される結果、前述の輻射熱エネル
ギーΔW4は、検出用熱感知素子3aと補正用熱感知素
子3bとの温度差Δtに影響しないことになる。よっ
て、輻射熱エネルギーΔW4に起因する測定誤差が軽減
されて、測定精度が向上する。
【0048】上記輻射熱ガイド2(図2〜図4)は、アル
ミニウム製の円筒管状構造(厚さ1mm,Φ20mm程
度)を有している。このように輻射熱ガイド2が、比較
的熱伝導率の大きい材料であるアルミニウムで構成され
ているため、被測定物1から検出側輻射熱ガイド部2a
に伝達された輻射熱は、伝導熱として補正側輻射熱ガイ
ド部2bへ速やかに移動する。従って、上述した輻射熱
ガイド2から検出用熱感知素子3aに放射される輻射熱
エネルギー量と輻射熱ガイド2から補正用熱感知素子3
bに放射される輻射熱エネルギー量とは、高い応答性で
等しくなる。また、本実施例では、後述するようにセン
サの検出応答性を向上させる目的から、熱感知部3の熱
容量を極めて小さくしている。従って、熱伝導率の大き
い材料で輻射熱ガイド2を構成することは、センサの検
出応答性を向上させるためにも有効である。
【0049】輻射熱ガイド2は、他の金属と比較して比
熱の大きい材料であるアルミニウムで構成されているた
め、輻射熱ガイド2の熱容量を熱感知部3の熱容量より
も充分に大きくすることができる。輻射熱ガイド2の熱
容量が大きいと、輻射熱エネルギーW2(=ΔW2)を受け
ても(図2)、輻射熱ガイド2の温度上昇が小さく抑えら
れる。輻射熱ガイド2の温度上昇が小さく抑えられれ
ば、輻射熱ガイド2から検出用熱感知素子3a,補正用
熱感知素子3bに放射される不要な輻射熱エネルギー量
ΔW4,ΔW9が、共に小さく抑えられるため、上述した
輻射熱エネルギーΔW4,ΔW9が輻射熱エネルギーΔW
1(=W1)よりもはるかに小さい輻射熱エネルギーの関係
(ΔW1>>ΔW4,ΔW9)が実現される。
【0050】その結果、輻射熱エネルギー量ΔW4とΔ
9とが一致していなくても、これらの熱エネルギー量
の差が小さく抑えられ、輻射熱エネルギーΔW4,ΔW9
に起因する測定誤差が軽減される。しかも、その熱エネ
ルギー量の差に起因する悪影響の現出時期も遅延するた
め、より一層測定誤差が軽減される。従って、測定精度
は向上することになる。また、本実施例では、後述する
ようにセンサの検出応答性を向上させる目的から、熱感
知部3の熱容量を極めて小さくしている。従って、比熱
の大きい材料で輻射熱ガイド2を構成することは、セン
サの検出応答性を向上させるためにも有効である。
【0051】従来より、筒状,半球状,半放物面状等の
形状を有するミラーで構成された輻射熱ガイドが知られ
ているが、凹面鏡等によって被測定物1の測定したいエ
リアから輻射熱を集める場合には、検出用熱感知素子と
補正用熱感知素子との双方に対する焦点の位置合わせを
行うのが難しいといった問題がある。これに対し、円筒
管状構造を有する輻射熱ガイド2では焦点が生じないた
め、このような問題は生じない。そして、被測定物1の
測定したいエリアの外からの輻射熱は、検出側輻射熱ガ
イド部2aで遮られるので、被測定物1の測定したいエ
リアからの輻射熱のみが、検出用熱感知素子3aに導か
れる。被測定物1の測定したいエリアからの輻射熱は、
略平行に平面状の検出用熱感知素子3aに照射されるこ
とになるため、輻射熱ガイド2には、所定の熱的条件を
容易に満足させることができるという構造上のメリット
がある。
【0052】また、管状構造を有する輻射熱ガイド2
は、測定したいエリアから輻射熱を集める機能を持たな
いため、輻射熱ガイド2に伝達される輻射熱エネルギー
量W2(=ΔW2)を小さくすることができる(図1)。その
結果、輻射熱ガイド2の温度上昇が抑えられるため、輻
射熱エネルギーW2が輻射熱エネルギーW1(=ΔW1)よ
りもはるかに小さい輻射熱エネルギーの関係(ΔW1>>
ΔW2)が実現される。従って、輻射熱エネルギーΔW4
に起因する測定誤差を軽減して、測定精度を向上させる
ことが可能となる。
【0053】輻射熱ガイド2と熱感知部3との接続部の
熱伝導は、輻射熱ガイド2から熱感知部3への不要な熱
伝達経路を構成し、測定誤差を生じさせる。そこで、本
実施例ではこれを解決するために、輻射熱ガイド2から
熱感知部3への熱伝導が生じにくい2つの構造を採って
いる(図6)。
【0054】第1に、輻射熱ガイド2と基板6との固定
を小さい面積で接触する4つの固定部6aで行うことに
よって、輻射熱ガイド2から基板6への熱伝導を固定部
6aのみで行う構造を採っている。輻射熱ガイド2と基
板6との間の4つの空間部6dでは熱伝導が生じないの
で、輻射熱ガイド2から基板6への熱伝導を小さく抑え
ることができる。第2に、セラミック基板3dと基板6
との固定を小さい面積で接触する2本の金属細線6cで
行うことによって、基板6から熱感知部3への熱伝導を
金属細線6cのみで行う構造を採っている。基板6と熱
感知部3との間の穴6bでは熱伝導が生じないので、基
板6から熱感知部3への熱伝導が小さく抑えられる。
【0055】上記のように輻射熱ガイド2から基板6へ
の熱伝導と基板6から熱感知部3への熱伝導を小さく抑
えることによって、熱感知部3の熱容量を大きくするこ
となく、輻射熱ガイド2から熱感知部3への熱伝導を小
さく抑えて、その不要な伝導熱エネルギーを、熱感知素
子3a,3bが被測定物1から直接受ける輻射熱エネル
ギーW1(図1)よりもはるかに小さくする。これによ
り、この熱伝導に起因する測定誤差の低減及び応答性の
向上を図ることが可能である。なお、本実施例では、後
述するようにセンサの検出応答性を向上させる目的か
ら、熱感知部3の熱容量を極めて小さくしているので、
前記接続部での熱伝導性を低くすることは、センサの検
出応答性を向上させるためにも有効である。
【0056】セラミック基板3dは、厚さ100μmm
程度の平面状のアルミナ製基板であって、図5に示すよ
うに、一方の面上には検出用熱感知素子3aが接触配置
され、他方の面上には補正用熱感知素子3bが接触配置
されている。検出用熱感知素子3aは、被測定物1から
の輻射熱を検出する検出用の薄膜サーミスタから成って
おり、補正用熱感知素子3bは、センサ周囲温度T0
よる測定誤差を補正するための補正用の薄膜サーミスタ
から成っている。
【0057】このように検出用熱感知素子3a,補正用
熱感知素子3bとして平面状のサーミスタを用いれば、
一対のサーミスタとしての電気的・熱的特性の均一化を
図るのが容易になるというメリットがある。つまり、厚
さの均一なセラミック基板3d上に、同時に一対の薄膜
サーミスタを形成すれば、各薄膜サーミスタの厚さも均
一になるため、電気的・熱的特性も均一な一対のサーミ
スタが得られるのである。
【0058】図5に示すように、熱感知部3は、検出用
熱感知素子3aと補正用熱感知素子3bとがセラミック
基板3dに対して表裏一体となった構造を採っており、
図4に示すように輻射熱ガイド2内に配置されている。
これにより、検出用熱感知素子3a及びセラミック基板
3dが、補正用熱感知素子3a用の熱遮断部材14(図
12)として共用されることになる。従って、熱遮断部
材14を用いなくても、補正用熱感知素子3bへの不要
な輻射熱エネルギーを遮断することができる。
【0059】更に詳しく説明する。セラミック基板3d
の一方の面上に接触配置された検出用熱感知素子3aが
被測定物1の輻射熱を受けると、他方の面上に接触配置
された補正用熱感知素子3bへの被測定物1の輻射熱
は、検出用熱感知素子3a及びセラミック基板3dによ
って遮断されることになる。このとき、検出用熱感知素
子3a及びセラミック基板3dの温度は輻射熱を吸収す
ることにより上昇するが、接触状態にある補正用熱感知
素子3a,セラミック基板3d及び補正用熱感知素子3
bは熱伝導可能であるため、検出用熱感知素子3aに加
えられた輻射熱は、温度上昇した検出用熱感知素子3a
及びセラミック基板3dからの輻射熱としてではなく、
検出用熱感知素子3aからセラミック基板3dを介して
補正用熱感知素子3bへと移動する伝導熱として、補正
用熱感知素子3bの温度を上昇させることになる。その
ため、被測定物1からの輻射熱を遮断する検出用熱感知
素子3a及びセラミック基板3dからの輻射熱が測定誤
差となることはなく、検出用熱感知素子3aと補正用熱
感知素子3bとの間に生じた温度差から、被測定物1の
輻射熱測定が可能となる。
【0060】以上のように補正用熱感知素子3bに放射
される輻射熱を熱遮断しても、熱遮断する検出用熱感知
素子3a及びセラミック基板3dからは測定誤差の原因
となる輻射熱が放射されず、補正用熱感知素子3bへは
輻射熱として熱伝達されないような輻射熱エネルギーの
関係が実現される。従って、その温度上昇に起因する測
定誤差を小さく抑えて、検出用熱感知素子3aと補正用
熱感知素子3bとの間に生じた温度差Δtから、被測定
物1の輻射熱エネルギーを高い精度で測定することが可
能となる。
【0061】輻射熱センサの応答性を向上させるため、
セラミック基板3dを輻射熱ガイド2よりも比熱がきわ
めて小さいアルミナ材料で構成することによって、熱感
知部3の熱容量を小さくしている。検出用熱感知素子3
a,補正用熱感知素子3bは、セラミック基板3dの表
面に密着しているため、セラミック基板3dの熱容量の
大小によって、素子3a,3bの温度の上がり易さが左
右されるからである。つまり、セラミック基板3dの熱
容量が小さいと、検出のゲインは下がるが、輻射熱セン
サの応答性が向上し、逆に、熱容量が大きいと、検出用
熱感知素子3aと補正用熱感知素子3bとの温度差Δt
が大きくなるので、検出のゲインは上がるが、測定精度
が低下することになる。なお、従来の輻射熱センサでは
時間的な出力ドリフトが問題となっていたが、本実施例
の輻射熱センサは、従来の輻射熱センサと比べて、応答
性,安定性共に優れているため、かかる出力ドリフトに
ついても大幅な改善を図ることができる。
【0062】検出側輻射熱ガイド部2aは、輻射熱の測
定対象である被測定物1側に向けられているため、被測
定物1からの輻射熱は、検出用熱感知素子3aに導かれ
る。一方、輻射熱ガイド2を構成する補正側輻射熱ガイ
ド部2bは、被測定物1からの輻射熱の影響を受けない
基準輻射熱放射体5側に向けられているため、基準輻射
熱放射体5からの輻射熱は、補正用熱感知素子3bに導
かれる。
【0063】従来、被測定物1以外の方向からの輻射熱
を積極的に補正用熱感知素子に導く輻射熱センサは知ら
れていない。例えば、凹面鏡から成る輻射熱ガイドの焦
点位置に熱感知素子が配置された従来例は、検出用・補
正用熱感知素子を共に被測定物に向けた構成となってい
る。これに対して本実施例は、上記のように熱遮断部材
(図12)を介して補正側熱感知素子13bを被測定物1
1に向けるのではなく、補正用熱感知素子3bを被測定
物1の反対方向に位置する基準輻射熱放射体5に向ける
構成となっている。
【0064】一方、上述したように検出用熱感知素子3
a及びセラミック基板3dが熱遮断部材として共用され
るため、従来必要とされていた補正用熱感知素子用の熱
遮断部材14(図12)は不要となる。従って、不要な輻
射熱エネルギーW11(図12)は生じず、輻射熱W11(図
12)で熱感知素子3bの温度が上昇することもない。
これにより、温度補正を容易に行うとともに、検出用熱
感知素子3aと補正用熱感知素子3bとの温度差Δtを
大きくすることが可能となる。
【0065】基準輻射熱放射体5は、黒体塗料が塗布さ
れたアルミニウム製のブロック構造を成しており、セン
サ周囲温度T0に基づいた測定誤差補正に用いられる。
基準輻射熱放射体5にはフィン5aが形成されており、
これにより放熱面積が大きくなるため、被加熱物1から
基準輻射熱放射体5への輻射熱による影響はきわめて少
なくなる。その結果、高い応答性で輻射熱センサ周囲温
度T0と同じ温度に保つことが可能となる。
【0066】従来の輻射熱センサでは、補正用熱感知素
子に対して基準となる輻射熱を与える構成は採られてい
ない。これに対し本実施例では、基準輻射熱放射体5に
輻射熱センサの周囲温度T0を代表させる構成となって
いるので、センサ周囲温度T0が変動しても、基準輻射
熱放射体5の温度がセンサ周囲温度T0と同等に変動す
る結果、補正用熱感知素子3bに対する輻射熱エネルギ
ーもセンサ周囲温度T0と対応して変動することにな
る。従って、センサ周囲温度T0の変動による測定精度
の劣化を防止して、センサ出力を適正に補正することが
可能となる。なお、基準輻射熱放射体5を用いるかわり
に、全体に黒体塗料が塗布され、被測定物1側にのみ開
口を有し、基準輻射熱放射体5と一体化された筒状体構
造を有する輻射熱ガイドを用いてもよく。そのような輻
射熱ガイドを用いた場合でも、同様の効果を得ることが
できる。
【0067】次に、図1に基づいて、輻射熱エネルギー
伝達の観点から本実施例の機能を更に詳細に説明する。
初期条件において、輻射熱センサ全体及び被測定物1の
温度が、被測定物1の周囲温度(つまり、センサ周囲温
度)T0と同一であるとすると、被測定物1の表面から放
射される単位面積・単位時間あたりの輻射熱エネルギー
量W0は、次の式(1)で表される。
【0068】W0=ε・σ(T0/100)4 ……(1) ただし、式(1)中、 ε:被測定物の放射率, σ:ステファン・ボルツマン定数, T0:被測定物の周囲温度(絶対温度) である。
【0069】また、2つの物体P,Qがあり、その各々
の絶対温度TP,TQでの放射率がε1,ε2であるとき、
一般的にその間で伝達される輻射熱エネルギー量Eは、
次の式(2)で表される。
【0070】 E=ε1・ε2・σ{(TP/100)4−(TQ/100)4}・APQ ……(2) ただし、式(2)中、 APQ:2つの物体P,Q間の形態係数であって、例えば
2つの物体P,Q間の距離が短くなったりお互いの相対
する面積が広くなったりすると大きくなる係数である。
【0071】式(1),式(2)から明らかなように、初期条
件では被加熱物1からはW0の輻射熱エネルギーが放射
されているが、この被加熱物1と輻射熱センサ全体の温
度とは同一であるので、輻射熱の伝達はない。
【0072】ここで、被加熱物1の表面温度がT0から
+△T上昇し、被加熱物1からの輻射熱エネルギー量W
0=△Wとなると、被加熱物1から輻射熱センサへの輻
射熱の伝達が発生する。この輻射熱は、輻射熱エネルギ
ーW2(=ΔW2)によって輻射熱ガイド2の温度T2をT0
+△t2に上昇させ、輻射熱エネルギーW1(=ΔW
によって検出用熱感知素子3aの温度T3aをT0+△
3に上昇させる。
【0073】前述したように、輻射熱ガイド2は円筒構
造を有しているので、従来の放物面や半球面形状を有す
る輻射熱ガイドと比べて、輻射熱ガイド2の被測定物1
との相対面積は極めて小さく、また、検出用熱感知素子
3aが被測定物1に相対する平面構造を有している。従
って、被測定物1と輻射熱ガイド2との形態係数A12
検出用熱感知素子3aとの形態係数A13aよりきわめて
小さくなっているため、検出用熱感知素子3aの温度上
昇△t3aは、輻射熱ガイド2の温度上昇△t2よりも極
めて大きくなる(△t3a>>△t2)。
【0074】さらに、輻射熱ガイド2の温度上昇△t2
によって、輻射熱ガイド2から検出用熱感知素子3bへ
の輻射熱エネルギーΔW4の熱伝達が発生するが、上記
関係(△t3a>>△t2)からそのエネルギー量W4は極
めて小さいものとなる。また、検出側輻射熱ガイド2a
と補正側輻射熱ガイド2bとは、熱良伝導体であるアル
ミから成り、構造的にも熱的にも一体的に結合された状
態となっているので、ΔW9とΔW4とは同一の大きさと
なる。結果的には、検出側輻射熱ガイド部2aから検出
用熱感知素子3aへの輻射熱伝達エネルギー量ΔW
4と、補正側輻射熱ガイド部2bから補正用熱感知素子
3bへの輻射熱伝達エネルギー量ΔW9とは相殺される
ことになる。
【0075】一方、基準輻射熱放射体5は、フィン5a
によって放熱面積を大きくした黒体アルミブロック構造
となっており、また、被測定物1からの輻射熱を直接受
けない位置にあるので、被加熱物1から基準輻射熱放射
体5への輻射熱による影響はきわめて少なく、結果とし
て、基準輻射熱放射体5の温度はセンサ周囲温度T0
まま保たれる。従って、温度T0の基準輻射熱放射体5
からの輻射熱エネルギーW5は、輻射熱ガイド2の温度
及び補正用熱感知素子3bの温度に影響を与えないの
で、輻射熱エネルギー量W6〜W8の増加はない。
【0076】なお、補正用熱感知素子3bの温度T
3bは、補正側輻射熱ガイド部2bの温度上昇に伴って生
じる輻射熱エネルギーΔW9によって、センサ周囲温度
0よりも少し高くなるが、先に述べたように輻射熱エ
ネルギーΔW4と相殺されるので、測定誤差の原因とは
ならない。
【0077】以上ように、本実施例の輻射熱センサによ
ると、検出用熱感知素子3aに伝達される輻射熱エネル
ギーには検出側輻射熱ガイド2aからの輻射熱エネルギ
ーΔW4が含まれるため、検出用熱感知素子3aの温度
3aは余分に上昇することになるが、輻射熱エネルギー
量ΔW4と同一量の輻射熱エネルギーΔW9が補正用熱感
知素子3bの温度T3bを上昇させるため、検出用熱感知
素子3aと補正用熱感知素子3bとの温度差Δtには測
定誤差が含まれないことになる。
【0078】図8に、第1実施例(ラインJ)と従来例
(ラインK)との特性比較結果を示す。まず、輻射熱セン
サの前面の開口位置(図4中のFP)から20cm前方
(開口位置FPと熱検知部3との間隔は5cm)に、20
°Cの黒体板を配置した。そして、100°Cの黒体板
と瞬時に入れ換えて、センサ出力の経時変化を測定し
た。なお、ここでは作動増幅回路7の増幅率を約100
倍とした。
【0079】図8のグラフの結果から明らかなように、
第1実施例の輻射熱センサは、従来の輻射熱センサと比
べて、応答性,安定性共に優れており、特に、従来の輻
射熱センサでは課題となっていた時間的な出力ドリフト
が大幅に改善されていることが分かる。
【0080】図9は、冷却装置8を有する第2実施例の
外観図である。第2実施例は、被加熱物1からの輻射熱
エネルギーのうち輻射熱ガイド2に吸収される分を冷却
装置8のファンによって強制冷却する構成となっている
ほかは、前記第1実施例と同一構成となっている。
【0081】第1実施例のセンサ構造では輻射熱ガイド
2が円筒状になっているため、従来の半球状や半放物面
状の輻射熱ガイドに比べて、被測定物1と相対する面積
が小さくなっている。そのため、被測定物1から輻射熱
ガイド2に伝達される輻射熱エネルギー量(つまり、本
質的に不要な輻射熱エネルギー量)も少なくなってい
る。しかし、被加熱物1が高温であるほど、被測定物1
から輻射熱ガイド2に対して過大な輻射熱エネルギーが
伝達されることになり、輻射熱ガイド2の温度が大きく
上昇する結果、熱感知部3に熱伝達されことになる。こ
れは、本来必要とされる被測定物1からの輻射熱エネル
ギーを検出する上で阻害要因となる。
【0082】第2実施例によれば、冷却装置8で輻射熱
ガイド2を冷却する構成と成っているので、被測定物1
が高温状態にある場合でも、輻射熱ガイド2の温度上昇
を極力小さく抑えて、輻射熱ガイド2の温度をセンサ周
囲温度T0に近づけることができる。これによって、セ
ンサの測定精度を向上させることができる。また、この
構成は、第1実施例による補正効果が不足する場合にも
効果的である。
【0083】また、第2実施例においては、冷却装置8
からの冷却風が直接熱感知部3にあたらないようにする
必要がある。そこで、冷却風の方向を輻射熱ガイド2の
開口面と平行にするのが好ましい。冷却風が熱感知部3
にあたらないようにすることによって、熱感知部3の不
要な冷却による測定精度の低下を防止することができ
る。
【0084】図10は、第3実施例の輻射熱ガイド2A
の断面構造を示している。第3実施例は、輻射熱ガイド
2Aが被測定物1からの輻射熱を反射する内面部2d
と,その内面部2dと熱的に分離された外周部2cとの
二重構造を有し、双方の間に空気層2eが形成された構
成となっているほかは、前記第1実施例と同一構成とな
っている。
【0085】輻射熱センサが受ける不要な輻射熱には、
被測定物1側から輻射熱ガイドの前面側に向けて受ける
ものほかに、輻射熱センサの横方向から輻射熱ガイドの
側面側に向けて受けるものがある。輻射熱ガイドを高熱
容量化したり、冷却したりするのが困難な場合には、輻
射熱ガイドの温度が大きく上昇すると、熱感知部3に熱
伝達されて、これが本来必要とされる被測定物1からの
輻射熱エネルギーを検出する上で阻害要因となってしま
う。
【0086】そこで、第3実施例では上記二重構造を有
する輻射熱ガイド2Aを用いることによって、円筒管状
輻射熱ガイドの法線方向の熱伝導率を下げて、外周部2
cから内面部2dへの熱伝達を小さく抑えている。これ
により、輻射熱ガイド2Aが横方向から不要な輻射熱を
受けても、内面部2dの不要な温度上昇が防止されるた
め、これに起因する測定誤差を低減して、測定精度の低
下を防ぐことができる。また、上記二重構造を有する輻
射熱ガイド2Aを用いれば、輻射熱センサ全体を小型・
薄型化,センサの軽量・低コスト化を図ることもでき
る。
【0087】図11は、第4実施例の輻射熱ガイド2B
の断面構造を示している。輻射熱ガイド2Bの外周部2
fが樹脂材料から成り、その内面部2gが金属材料から
成っているほかは、前記第1実施例と同一構成となって
いる。この輻射熱ガイド2Bは、外周部2fを構成する
樹脂製円筒管の内側に、輻射熱反射率の高い円筒状の金
属管を嵌入させたり、輻射熱反射率の高い金属コーティ
ングを施したりすることによって得られる。
【0088】樹脂材料は金属材料に比べて熱伝導率が低
いため、前記第3実施例において空気層2eによって外
周部2cから内面部2dへの熱伝達を小さく抑えた輻射
熱ガイド2Aを用いた場合と、同様の理由により同様の
効果を得ることができる。しかも、輻射熱ガイド2B
は、第3実施例の輻射熱ガイド2Aよりも構造が簡単で
あるため、構成の簡素化及びコストダウンを図ることが
できるという効果もある。
【0089】外周部2fを構成する樹脂製円筒管の内側
に円筒状の輻射熱反射率の高い金属管を嵌入させて成る
輻射熱ガイド2Bを用いた場合には、輻射熱ガイド2B
の検出側輻射熱ガイド部から補正側輻射熱ガイド部への
熱伝達性を向上させることができ、更に耐熱性の向上を
図ることもできる。外周部2fを構成する樹脂製円筒管
の内側に輻射熱反射率の高い金属コーティングを施して
成る輻射熱ガイド2Bを用いた場合には、輻射熱センサ
の軽量化と、より一層のコストダウンを図ることができ
る。なお、センサ周囲温度T0が高温でない場合や前記
冷却装置8を用いた場合には、金属コーティングによる
輻射熱ガイド2Bでも充分な耐熱性を得ることができ
る。
【0090】図14及び図15は、第5実施例の外観構
成及び内部構造をそれぞれ示しており、図16は輻射熱
ガイド22の断面構造を示している。図14〜図16に
示すように、第5実施例は、輻射熱ガイド22を除け
ば、前記第1実施例と同一の構成を採っている。この輻
射熱ガイド22は、検出側輻射熱ガイド部22aと補正
側輻射熱ガイド部22bとで一体的に構成されている。
検出側輻射熱ガイド部22aは、被測定物1からの輻射
熱を検出用熱感知素子3aに導く空間部Iaを内部に有
するパイプ形状を成しており、補正側輻射熱ガイド部2
2bは、基準輻射熱放射体5からの輻射熱を基準輻射熱
放射体5で閉塞された端部から補正用熱感知素子3bに
導く空間部Ibを内部に有するパイプ形状を成してい
る。
【0091】図15に示すように、輻射熱ガイド22の
肉厚部Oa,Obは、全体にわたって等しい厚みを有し
ているが、前記輻射熱ガイド2(図2)と異なり、輻射熱
の進行方向に対して垂直方向の断面について、図16に
示すように、肉厚部分Oa,Obの断面積A1は、空間
部分Ia,Ibの断面積A2以上の大きさ(A1≧A2)
になっている。そのため、その分前記輻射熱ガイド2よ
りも熱容量が大きくなっている。被測定物1と検出用熱
感知素子3aとの間隔が広すぎると検出される輻射熱エ
ネルギー量が少なくなるため、第5実施例ではこのよう
に輻射熱ガイド22の肉厚部分Oa,Obの断面積A1
を大きくすることによって、肉厚部分Oa,Obの体積
を大きくし、これによって輻射熱ガイド22の熱容量を
大きくしている。
【0092】肉厚部分Oa,Obの断面積A1が大きい
ほど輻射熱ガイド22の熱容量が大きくなるため、輻射
熱ガイド22は温度が上昇しにくくなり、これにより輻
射熱ガイド22からの不要な輻射熱量の発生が軽減さ
れ、前述のΔW1>>ΔW4の関係が実現される。なお、
輻射熱ガイド22は、その肉厚部分Oa,Ob全体が厚
肉部分で構成されているが、これに限らず、厚肉部分を
少なくとも一部に有する構成とすることによって、その
体積分の熱容量について輻射熱ガイド22の温度上昇を
抑えることができる。以上のように、第5実施例による
と、輻射熱ガイド22の温度上昇に起因する測定誤差を
小さく抑えて、被測定物1の輻射熱を高い精度で測定す
ることが可能となる。
【0093】図17は、第6実施例に用いる輻射熱ガイ
ド32の外観を示している。この輻射熱ガイド32は、
輻射熱の進行方向に対して垂直方向の断面について、肉
厚部分Oaの断面積A3が空間部分Iaの断面積A4未
満の大きさとなった薄肉部分を、被測定物1側の端部に
有する構造となっている。輻射熱ガイド32は、輻射熱
ガイド部22と同様、先端から終端まで同一断面積A4
の空間部分Ia,Ibを有し、先端部分のみを絞った形
状を成しているが、検出側輻射熱ガイド部32aは、機
能的には前述した検出側輻射熱ガイド部2a(図4)と同
じ構造を採っている。
【0094】輻射熱ガイド32の構造によれば、被測定
物1に近く相対する検出側輻射熱ガイド部32aの表面
の面積が小さくなっているため、被測定物1からの輻射
熱の影響は小さいものとなる。そのため、輻射熱ガイド
32は温度が上昇しにくくなり、これにより輻射熱ガイ
ド32からの不要な輻射熱量の発生が軽減され、前述の
ΔW1>>ΔW2の関係が実現される。しかも、被測定物
1側の端部から離れるほど薄肉部分の肉厚は増大し、前
記輻射熱ガイド22と同様の厚肉となっていくため、被
測定物1からの輻射熱を受けても輻射熱ガイド32は温
度が上昇しにくく、輻射熱ガイド32からの不要な輻射
熱量の発生が軽減される。以上のように、第6実施例に
よると、輻射熱ガイド22の温度上昇に起因する測定誤
差を更に小さく抑えて、被測定物1の輻射熱をより高い
精度で測定することが可能となる。
【0095】図18に、比較例(ラインL3),第5実施
例(ラインL2)及び第6実施例(ラインL1)の特性比較
結果を示す。まず、輻射熱センサの前面の開口位置(図
15中のFP)から12cm前方(開口位置FPと熱検知
部3との間隔は5cm)に、25°Cの黒体板を配置し
た。そして、100°Cの黒体板と瞬時に入れ換えて、
センサ出力の経時変化を測定した。なお、ここでは作動
増幅回路7の増幅率を約100倍とした。
【0096】図18のグラフの結果から明らかなよう
に、熱容量の小さい金属パイプを輻射熱ガイドとして用
いた比較例では、ラインL3に示すようにゆっくりと出
力上昇していることが分かる。断面積A1,A2がほぼ
等しい金属パイプを輻射熱ガイドとして用いた第5実施
例では、ラインL2に示すように、比較例と比べて応答
性,安定性共に優れており、時間的な出力ドリフトが大
幅に改善されていることが分かる。第6実施例では、ラ
インL1に示すように、この効果が更に大きいことが分
かる。
【0097】また、前述したように、被測定物1側にの
み開口を有し、基準輻射熱放射体5と一体化された筒状
体構造を有する輻射熱ガイドを用いると、補正側輻射熱
ガイド部22bと,その先端を閉塞している基準輻射熱
放射体5とが、熱的に結合するため、構造的にも熱的に
も補正側輻射熱ガイド部22bと基準輻射熱放射体5と
の間に隙間が生じず、その結果、補正用熱感知素子3b
の出力にふらつきがなくなり、安定した出力値を得るこ
とが可能となる。例えば、図18中のラインL1に近づ
く方向の出力−時間特性を得ることが可能となる。
【0098】前述したように、基準輻射熱放射体5には
黒体塗料が塗布されているが、このように赤外線放射率
を向上させるような表面処理を施すことによって、赤外
線放射率をなるべく1に近づけるようにすると、基準輻
射熱放射体5の温度を速やかにセンサ周囲温度と同一温
度にし、安定化させることができる。なお、基準輻射熱
放射体5としては、表面積が比較的大きく、温度分布の
一様な放熱板等から成るアルミ製の筐体を用いるのが好
ましい。
【0099】第1〜第6実施例によれば、被測定物1の
輻射熱エネルギー量が電気回路部4(図2等)からの出力
値として得られるが、先に述べたように検出用・補正用
熱感知素子3a,3bの出力特性はセンサ周囲温度の影
響を受けるため、被測定物1の温度を得るには、検出用
・補正用熱感知素子3a,3bで検出された被測定物1
の輻射熱エネルギー量を、センサ周囲温度で補正してや
らなければならない。以下に説明する第7,第8実施例
によれば、被測定物1の温度を高精度で測定することが
可能である。
【0100】まず、図22に基づいて第7実施例を説明
する。第7実施例は、前述した第1〜第6実施例に加え
て、更に、マイコン(microcomputer)40,電圧差出力
回路部42,加減算回路部44,表示装置46及び熱電
対48を設けた構成となっている。
【0101】電圧差出力回路部42は、前述した電気回
路部4と同一の回路構成(図7)となっており、被測定物
1の輻射熱エネルギー量を、検出用熱感知素子3aと補
正熱感知素子3bとの電圧差として出力する。図20
に、検出用・補正用熱感知素子3a,3bと電圧差出力
回路部42との回路構成を示す。図20中、R1,R2
分圧抵抗(R1=R2)、Vaは検出側出力信号の電圧値、
bは補正側出力信号の電圧値である。
【0102】熱電対48は、基準輻射熱放射体5の温度
を測定する温度測定手段として用いられる。熱電対48
によって測定された基準輻射熱放射体5の温度は、セン
サ周囲温度と極めて近いため、測定された基準輻射熱放
射体5の温度をセンサ周囲温度として用いることができ
る。
【0103】加減算回路部44及びマイコン40は、予
め測定しておいた基準となるセンサ周囲温度(以下「基
準センサ周囲温度」という。)での電圧差出力回路部4
2からの出力値と被測定物1の温度との関係に基づいて
被測定物1の温度に相当する出力値が得られるように、
熱電対48で測定された基準輻射熱放射体5の温度と基
準センサ周囲温度との差分だけ、電圧差出力回路部42
からの出力値をシフトさせる制御手段として用いられ
る。図21に、加減算回路部44の回路構成を示す。
【0104】図19は、被測定物温度を測定するための
センサ周囲温度補正を行わずに、センサ周囲温度をパラ
メータとして、電圧差出力回路部42(図20)からの出
力値と被測定物1の温度との関係を示すグラフである。
図19中、ラインM1,M2,M3は、それぞれセンサ
周囲温度が−10℃,25℃,100℃のときの出力−
被測定物温度特性を表している。ここで、基準センサ周
囲温度を25℃とすれば、ラインM2で表される関係
が、予め測定しておいた基準センサ周囲温度での電圧差
出力回路部42からの出力値と被測定物1の温度との関
係となる。
【0105】この関係(ラインM2)に基づいて被測定物
温度に相当する出力値が得られるように、この基準セン
サ周囲温度25℃と,熱電対48で測定された基準輻射
熱放射体5の温度との差分だけ、電圧差出力回路部42
からの出力値をシフトさせる。出力値のシフトは、加減
算回路44(図21)を電圧差出力回路部42(図20)の
出力端子以降に加え、マイコン40のソフト制御で抵抗
値R7を変化させることによって行う。この場合、入力
端子INの電位(IN電位)と出力端子OUTの電位(O
UT電位)との関係は、次の式(3)で表される。但し、R
7<<R3=R4=R5=R6である。 OUT電位=IN電位±可変電位 ……(3)
【0106】図19に示すように、上記出力値のシフト
量は、例えば、熱電対48で測定された基準輻射熱放射
体5の温度が−10℃の場合、温度差35℃分に相当す
る−ΔV1であり、熱電対48で測定された基準輻射熱
放射体5の温度が100℃の場合、温度差75℃分に相
当する+ΔV3である。なお、前記関係(ラインM2)並
びに温度差とシフト量との関係は、予め測定した際にマ
イコン40内にデータとして貯えられているものとす
る。
【0107】マイコン40は、ラインM2で表される基
準センサ周囲温度25℃での出力−被測定物温度の関係
に基づいて、加減算回路部44から出力されるシフト後
の出力値から被測定物1の温度を算出し、表示装置46
に温度表示させる。
【0108】電圧差出力回路部42によって出力される
検出用熱感知素子3aと補正熱感知素子3bとの電圧差
は、被測定物1の輻射熱エネルギー量に相当するので、
上記のように予め測定しておいた前記関係(ラインM2)
に基づいて被測定物温度に相当する出力値が得られるよ
うに、熱電対48で測定された基準輻射熱放射体5の温
度をセンサ周囲温度として用い、電圧差出力回路部42
からの出力値をマイコンソフト制御によってシフトさせ
れば、センサ周囲温度が大きく変動して素子3a,3b
の出力特性に影響が出たとしても、そのシフト後の出力
値から被測定物1の温度を高い精度で得ることができ
る。しかも、構成が簡単であるため、低コストで実現可
能である。
【0109】次に、図23に基づいて第8実施例を説明
する。第8実施例は、上記第7実施例において熱電対4
8によって測定された基準輻射熱放射体5の温度をセン
サ周囲温度として用いる代わりに、検出用・補正用熱感
知素子3a,3bの出力信号の電圧値から、マイコン4
0で算出された検出用・補正用熱感知素子3a,3bの
温度の平均値をセンサ周囲温度として用いる構成となっ
ている。
【0110】つまり、第8実施例では、マイコン40
を、検出用熱感知素子3a及び補正用熱感知素子3bの
各出力信号の電圧値Va,Vb(図20)から得られた検出
用・補正用熱感知素子3a,3bの各抵抗値R3a,R3b
を用いて、検出用・補正用熱感知素子3a,3bの温度
3a,T3bの平均値(T3a+T3b)/2を算出する演算手
段としても用いるのである。マイコン40によって算出
された平均値(T3a+T3b)/2で表される温度は、セン
サ周囲温度と極めて近いため、この平均値(T3a+T3b)
/2をセンサ周囲温度として用いることができる。
【0111】また、加減算回路部44及びマイコン40
は、予め測定しておいた基準センサ周囲温度での電圧差
出力回路部42からの出力値と被測定物1の温度との関
係に基づいて被測定物1の温度に相当する出力値が得ら
れるように、前記平均値(T3a+T3b)/2と基準センサ
周囲温度との差分だけ、電圧差出力回路部42からの出
力値をシフトさせる制御手段として用いられる。
【0112】平均値(T3a+T3b)/2は、以下のように
して求められる。ただし、第7実施例と同様、基準セン
サ周囲温度を25℃とし、基準センサ周囲温度での電圧
差出力回路部42(図20)からの出力値と被測定物1の
温度との関係をラインM2とする。まず、検出側出力信
号の電圧値Va(図20)から、検出用熱感知素子3aの
抵抗値R3aを、次の式(4)で求める。 R3a(Ω)=(R1×VDD/Va)−R1 ……(4)
【0113】そして、得られた抵抗値R3aを用いて、検
出用熱感知素子3aの温度T3aを、次の式(5)で求め
る。 T3a(℃)=1/{(1/298.15)+(1/B)ln(R3a/R25)}−273.15 ……(5) 但し、 VDD:電源電圧 R25:サーミスタの抵抗値(25℃時) B :サーミスタのB常数 である。
【0114】同様に、補正用熱感知素子3bの温度T3b
を求め、その平均値(T3a+T3b)/2を算出する。被測
定物1からの輻射熱量が少ないときには、T3aとT3b
はほぼ等しい値となるが、そのような場合でも支障な
く、上記方法で得られた平均値(T3a+T3b)/2をセン
サ周囲温度として用いることができる。
【0115】前記関係(ラインM2)に基づいて被測定物
温度に相当する出力値が得られるように、平均値(T3a
+T3b)/2と基準センサ周囲温度25℃との差分だ
け、電圧差出力回路部42からの出力値を第7実施例と
同様にシフトさせる。そのシフト量は、例えば図19に
示すように、(T3a+T3b)/2=−10℃の場合、温度
差35℃分に相当する−ΔV1であり、(T3a+T3b)/
2=100℃の場合、温度差75℃分に相当する+ΔV
3である。そして、第7実施例と同様、マイコン40
は、ラインM2で表される基準センサ周囲温度25℃で
の出力−被測定物温度の関係に基づいて、加減算回路部
44から出力されるシフト後の出力値から被測定物1の
温度を算出し、表示装置46に温度表示させる。
【0116】電圧差出力回路部42によって出力される
検出用熱感知素子3aと補正熱感知素子3bとの電圧差
は、被測定物1の輻射熱エネルギー量に相当するので、
上記のように予め測定しておいた前記関係(ラインM2)
に基づいて被測定物温度に相当する出力値が得られるよ
うに、素子3a,3bの温度の平均値をセンサ周囲温度
として用い、電圧差出力回路部42からの出力値をマイ
コンソフト制御によってシフトさせれば、センサ周囲温
度が大きく変動して素子3a,3bの出力特性に影響が
出たとしても、そのシフト後の出力値から被測定物1の
温度を高い精度で得ることができる。しかも、上記第7
実施例で用いたような熱電対48等の温度測定手段は不
要なので、より一層のコストダウンを図ることができ
る。
【0117】以上説明した各実施例は、熱応答性,再現
性共に優れているため、電子レンジ,エアコン,電子ジ
ャー等の熱感知を要する様々な民生機器に好適に応用可
能である。
【0118】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、検
出側輻射熱ガイド部と補正側輻射熱ガイド部とは一体的
に構成されており、検出側輻射熱ガイド部及び補正側輻
射熱ガイド部に対する熱的位置関係が、検出用熱感知素
子と補正用熱感知素子とで相対的に同一になっているの
で、輻射熱ガイドからの輻射熱エネルギー量が相殺され
る結果、輻射熱ガイドの温度上昇に起因する測定誤差を
小さく抑えて、被測定物の輻射熱を高い精度で測定する
ことができる。また、基板の一方の面上には検出用熱感
知素子が接触配置され、他方の面上には補正用熱感知素
子が接触配置されているので、被測定物からの輻射熱を
遮断する検出用熱感知素子及び基板からは測定誤差の原
因となる輻射熱が放射されず、その温度上昇に起因する
測定誤差を小さく抑えて、検出用熱感知素子と補正用熱
感知素子との間に生じた温度差から、被測定物の輻射熱
を高い精度で測定することができる。
【0119】また、前記輻射熱ガイドを熱伝導率が比較
的大きい材料で構成し、前記輻射熱ガイドを比熱が比較
的大きい材料で構成することによって、輻射熱ガイドの
温度上昇に起因する測定誤差を更に小さく抑えて、被測
定物の輻射熱をより一層高い精度で測定することができ
る。また、輻射熱ガイド内部に基板を金属細線で固定す
ることによって、輻射熱ガイドからの伝導熱によって生
じる測定誤差を軽減して、被測定物の輻射熱をより一層
高い精度で測定することができる。
【0120】輻射熱ガイドが、輻射熱の進行方向に対し
て垂直方向の断面について、肉厚部分の断面積が空間部
分の断面積以上の大きさとなった厚肉部分を少なくとも
一部に有する構成とすることによって、その肉厚部分で
熱容量が大きくなった分だけ輻射熱ガイドの温度が上昇
しにくくし、これにより、輻射熱ガイドの温度上昇に起
因する測定誤差を小さく抑えて、被測定物の輻射熱を高
い精度で測定することができる。また、熱容量の輻射熱
ガイドを用いた場合と比べて、時間的な出力ドリフトを
大幅に改善することができる。
【0121】輻射熱ガイドを、輻射熱の進行方向に対し
て垂直方向の断面について、肉厚部分の断面積が空間部
分の断面積未満の大きさとなった薄肉部分を、前記被測
定物側の端部に有する構成とすることによって、被測定
物に近く相対する輻射熱ガイドの表面の面積を小さく
し、これにより、輻射熱ガイドの温度上昇に起因する測
定誤差を更に小さく抑えて、被測定物の輻射熱をより一
層高い精度で測定することができる。また、熱容量の小
さい輻射熱ガイドを用いた場合と比べて、時間的な出力
ドリフトをより大幅に改善することができる。
【0122】基準輻射熱放射体と補正側輻射熱ガイドと
を一体化させ、熱的に結合させることによって、検出側
出力信号の基準となる補正側出力信号の出力値が安定化
するため、被測定物の輻射熱をより一層高い精度で測定
することが可能である。
【0123】基準輻射熱放射体に、赤外線放射率を向上
させるような表面処理、例えば黒体塗料の塗布を施すこ
とによって、検出側出力信号の基準となる補正側出力信
号の出力値が速やかに高い精度で得られるようになるの
で、被測定物の輻射熱をより一層高い精度で測定するこ
とが可能である。
【0124】本発明に係る輻射熱センサによれば、更
に、前記基準輻射熱放射体の温度を測定する温度測定手
段を設けることによって、得られた基準輻射熱放射体の
温度をセンサ周囲温度として用い、そして、被測定物の
輻射熱エネルギー量を検出用熱感知素子と補正熱感知素
子との電圧差として出力する電圧差出力手段と,予め測
定しておいた基準となるセンサ周囲温度での前記電圧差
出力手段からの出力値と被測定物の温度との関係に基づ
いて被測定物の温度に相当する出力値が得られるよう
に、前記温度測定手段で測定された基準輻射熱放射体の
温度と基準となるセンサ周囲温度との差分だけ、電圧差
出力手段からの出力値をシフトさせる制御手段とを設け
ることによって、被測定物の温度を高い精度で測定しう
る低コストの輻射熱センサを実現することができる。
【0125】また、前記検出用熱感知素子及び補正用熱
感知素子の各出力信号の電圧値から得られた検出用熱感
知素子及び補正用熱感知素子の各抵抗値を用いて、検出
用熱感知素子及び補正用熱感知素子の温度の平均値を算
出する演算手段を設けることによって、得られた平均値
をセンサ周囲温度として用い、そして、被測定物の輻射
熱エネルギー量を前記検出用熱感知素子と補正熱感知素
子との電圧差として出力する電圧差出力手段と,予め測
定しておいた基準となるセンサ周囲温度での前記電圧差
出力手段からの出力値と被測定物の温度との関係に基づ
いて被測定物の温度に相当する出力値が得られるよう
に、前記演算手段で算出された平均値と基準となるセン
サ周囲温度との差分だけ、前記電圧差出力手段からの出
力値をシフトさせる制御手段とを設けることによって、
被測定物の温度を高い精度で測定しうる低コストの輻射
熱センサを実現することができる。しかも、基準輻射熱
放射体の温度を測定する温度測定手段等を用いる必要が
ないため、コストダウンにより一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例における輻射熱の伝達経路
を示す説明図。
【図2】本発明の第1実施例の概略構成をモデル的に示
す斜視図。
【図3】本発明の第1実施例の組み立て状態の外観を示
す斜視図。
【図4】本発明の第1実施例の組み立て状態の内部構造
を示す断面図。
【図5】本発明の第1実施例に用いられる熱感知部の概
略構成を示す断面図。
【図6】本発明の第1実施例を構成する熱感知素子の輻
射熱ガイドに対する取り付け状態を示す要部断面図。
【図7】本発明の第1実施例の回路構成を示す電気回路
図。
【図8】本発明の第1実施例と従来例との特性比較を示
すグラフ。
【図9】本発明の第2実施例の概略構成をモデル的に示
す斜視図。
【図10】本発明の第3実施例に用いられる輻射熱ガイ
ドを示す要部断面図。
【図11】本発明の第4実施例に用いられる輻射熱ガイ
ドを示す要部断面図。
【図12】従来例の輻射熱の伝達経路を示す説明図。
【図13】従来例における被測定物の真の輻射熱エネル
ギー量と検出用・補正用熱感知素子の温度差との関係を
示すグラフ。
【図14】本発明の第5実施例の概略構成をモデル的に
示す斜視図。
【図15】本発明の第5実施例の組み立て状態の内部構
造を示す断面図。
【図16】本発明の第5実施例に用いられる輻射熱ガイ
ドの断面を示す図。
【図17】本発明の第6実施例に用いられる輻射熱ガイ
ドを示す斜視図。
【図18】本発明の第5実施例,第6実施例における輻
射熱ガイドの形状と出力−時間特性との関係を示すグラ
フ。
【図19】本発明の第1実施例〜第6実施例におけるセ
ンサ周囲温度と電気回路部からの出力−被測定物温度特
性との関係を示すグラフ。
【図20】本発明の第7実施例,第8実施例に用いられ
る電圧差出力回路部の構成を示す電気回路図。
【図21】本発明の第7実施例,第8実施例に用いられ
る加減算回路部を示す電気回路図。
【図22】本発明の第7実施例の概略構成を示すブロッ
ク図。
【図23】本発明の第8実施例の概略構成を示すブロッ
ク図。
【符号の説明】
1 被測定物 2 輻射熱ガイド 2a 検出側輻射熱ガイド部 2b 補正側輻射熱ガイド部 3 熱感知部 3a 検出用熱感知素子 3b 補正用熱感知素子 3c 電極 3d セラミック基板 4 電気回路部 5 基準輻射熱放射体 22 輻射熱ガイド 22a 検出側輻射熱ガイド部 22b 補正側輻射熱ガイド部 32 輻射熱ガイド 32a 検出側輻射熱ガイド部 32b 補正側輻射熱ガイド部 40 マイコン 42 電圧差出力回路部 44 加減算回路部 46 表示装置 48 熱電対

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被測定物からの輻射熱を検出する検出用熱
    感知素子と,センサ周囲温度による測定誤差を補正する
    ための補正用熱感知素子と,前記検出用熱感知素子が一
    方の面上に接触配置され、前記補正用熱感知素子が他方
    の面上に接触配置された基板と,前記被測定物からの輻
    射熱の影響を受けることなくセンサ周囲温度と同一温度
    になるように設けられた基準輻射熱放射体と,前記被測
    定物からの輻射熱を前記検出用熱感知素子に導く検出側
    輻射熱ガイド部と,前記基準輻射熱放射体からの輻射熱
    を前記補正用熱感知素子に導く補正側輻射熱ガイド部と
    で一体的に構成され、該検出側輻射熱ガイド部及び補正
    側輻射熱ガイド部に対する熱的位置関係が、前記検出用
    熱感知素子と補正用熱感知素子とで相対的に同一になる
    ように、前記基板が取り付けられた輻射熱ガイドと,か
    ら成ることを特徴とする輻射熱センサ。
  2. 【請求項2】平面状を成す前記基板が、熱伝導率及び比
    熱が比較的大きい材料から成る前記輻射熱ガイドの内部
    に、金属細線で固定されていることを特徴とする請求項
    1に記載の輻射熱センサ。
  3. 【請求項3】被測定物からの輻射熱を検出する検出用熱
    感知素子と,センサ周囲温度による測定誤差を補正する
    ための補正用熱感知素子と,前記被測定物からの輻射熱
    の影響を受けることなくセンサ周囲温度と同一温度にな
    るように設けられた基準輻射熱放射体と,前記被測定物
    からの輻射熱を前記検出用熱感知素子に導く空間部を内
    部に有するパイプ形状の検出側輻射熱ガイド部と,前記
    基準輻射熱放射体からの輻射熱を該基準輻射熱放射体で
    閉塞された端部から前記補正用熱感知素子に導く空間部
    を内部に有するパイプ形状の補正側輻射熱ガイド部とで
    一体的に構成され、輻射熱の進行方向に対して垂直方向
    の断面について、肉厚部分の断面積が空間部分の断面積
    以上の大きさとなった厚肉部分を少なくとも一部に有す
    る輻射熱ガイドと,から成ることを特徴とする輻射熱セ
    ンサ。
  4. 【請求項4】前記輻射熱ガイドは、輻射熱の進行方向に
    対して垂直方向の断面について、肉厚部分の断面積が空
    間部分の断面積未満の大きさとなった薄肉部分を、前記
    被測定物側の端部に有することを特徴とする請求項1又
    は請求項3に記載の輻射熱センサ。
  5. 【請求項5】前記基準輻射熱放射体と補正側輻射熱ガイ
    ドとを一体化させ、熱的に結合させることを特徴とする
    請求項1又は請求項3に記載の輻射熱センサ。
  6. 【請求項6】前記基準輻射熱放射体に、赤外線放射率を
    向上させるような表面処理を施したことを特徴とする請
    求項1又は請求項5に記載の輻射熱センサ。
  7. 【請求項7】更に、 被測定物の輻射熱エネルギー量を、前記検出用熱感知素
    子と補正熱感知素子との電圧差として出力する電圧差出
    力手段と,前記基準輻射熱放射体の温度を測定する温度
    測定手段と,予め測定しておいた基準となるセンサ周囲
    温度での前記電圧差出力手段からの出力値と被測定物の
    温度との関係に基づいて被測定物の温度に相当する出力
    値が得られるように、前記温度測定手段で測定された基
    準輻射熱放射体の温度と基準となるセンサ周囲温度との
    差分だけ、前記電圧差出力手段からの出力値をシフトさ
    せる制御手段と,を設けたことを特徴とする請求項1又
    は請求項6に記載の輻射熱センサ。
  8. 【請求項8】更に、 被測定物の輻射熱エネルギー量を、前記検出用熱感知素
    子と補正熱感知素子との電圧差として出力する電圧差出
    力手段と,前記検出用熱感知素子及び補正用熱感知素子
    の各出力信号の電圧値から得られた前記検出用熱感知素
    子及び補正用熱感知素子の各抵抗値を用いて、前記検出
    用熱感知素子及び補正用熱感知素子の温度の平均値を算
    出する演算手段と,予め測定しておいた基準となるセン
    サ周囲温度での前記電圧差出力手段からの出力値と被測
    定物の温度との関係に基づいて被測定物の温度に相当す
    る出力値が得られるように、前記演算手段で算出された
    平均値と基準となるセンサ周囲温度との差分だけ、前記
    電圧差出力手段からの出力値をシフトさせる制御手段
    と,を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項6に
    記載の輻射熱センサ。
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