JPH07294498A - 超音波探傷方法及び装置 - Google Patents

超音波探傷方法及び装置

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JPH07294498A
JPH07294498A JP6091936A JP9193694A JPH07294498A JP H07294498 A JPH07294498 A JP H07294498A JP 6091936 A JP6091936 A JP 6091936A JP 9193694 A JP9193694 A JP 9193694A JP H07294498 A JPH07294498 A JP H07294498A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 超音波探傷における同期加算平均処理での最
適な平均回数を自動的に求め、SN比を改善する。 【構成】 予め有効ビーム幅検出装置19により有効ビ
ーム幅Dを求めておき、走査速度検出装置16により検
出した走査速度Vと、パルス繰り返し周波数検出装置1
5により検出したパルス繰り返し周波数PRF とから、パ
ルス密度算出装置18でパルス密度Pd =V/PRF を求
め、求められたパルス密度と有効ビーム幅とから平均回
数算出装置20で平均回数N=D/Pd (但し、D>4
mmのときはN=4/Pd とする)を求め、この平均回
数を同期加算平均処理装置13に設定することにより、
同期加算平均を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波パルス反射法に
より溶接部などを走査探傷する超音波探傷方法及び装置
に関し、特に反射波信号の同期加算平均において、SN
比を改善する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】溶接部の探傷検査は、溶接鋼管や建築構
造物の製造において、溶接部の品質保証に欠かせないも
のである。検出能に優れている点から、一般的に超音波
探傷が用いられている。探傷上の問題点はノイズであ
る。ノイズには2種類あり、工場内の他の設備などから
飛来する飛来電気ノイズと溶接部の粒界散乱に起因する
材料ノイズとがある。これらのノイズがあると、欠陥エ
コーがノイズ信号中に埋もれてしまうので、欠陥エコー
を識別することが困難になる。従って、反射エコーの信
号中からノイズ信号を低減し、SN比を改善することが
重要になってくる。
【0003】ノイズ信号の低減には同期加算平均処理が
有効である。これは、繰り返し到来する超音波信号のエ
コー高さの加算平均をとるものであり、ノイズの強度を
1/N1/2 (N=平均回数)にすることができる(例え
ば、特開昭52−14169号公報、特開昭58−16
9055号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術には
以下の問題がある。例えば溶接鋼管のオンライン探傷の
ように、被検体を移動させながら溶接線を探傷する場
合、欠陥が超音波ビームを横切る時間は限られている。
このため、平均回数が多すぎると、平均処理後の欠陥エ
コー強度が低下し、欠陥を見落とすことが多くなる。一
方、欠陥を見落とさないように平均回数を少なくする
と、SN比の改善効果が低くなる。以上のように、平均
回数には最適値が存在するが、従来技術では最適な平均
回数は試行錯誤により求めなければならなかった。この
ため、ライン速度や探触子などの探傷条件が変更される
と、その都度試行錯誤が必要であり、手間がかかり、コ
スト高の要因となっていた。
【0005】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、超音波探傷において、試行錯誤なしに、同
期加算平均処理のための最適な平均回数を容易かつ速や
かに決定することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る超音波探傷
方法は、超音波パルス反射法により被検体を走査探傷
し、検出された反射波信号を同期加算平均することによ
りSN比を改善する方法において、あらかじめ有効ビー
ム幅Dを検出しておき、パルス繰り返し周波数と走査速
度から、パルス密度Pd を算出し、N=D/Pd より算
出した平均回数Nで前記反射波信号の同期加算平均を行
うことを特徴とする。
【0007】有効ビーム幅Dの検出は、あらかじめ人工
的に作られた試験体上のピンホールのような微小欠陥孔
に対する超音波探傷試験で、平均回数は1としておき、
有効ビーム幅Dを求めておく。実際の被検体における有
効ビーム幅DR は、少なくともDR ≧Dとなる。
【0008】また、本発明は、前記の有効ビーム幅が4
mmより狭いときは、平均回数NをN=D/Pd より求
め、有効ビーム幅が4mmより広いときは、平均回数N
をN=4/Pd より求めることとする。
【0009】本発明方法に使用する超音波探傷装置は、
超音波探触子に送信するパルスの繰り返し周波数を検出
する手段(パルス繰り返し周波数検出手段)と、前記超
音波探触子と被検体との相対的な走査速度を検出する手
段(走査速度検出手段)と、前記の両手段により検出さ
れたパルス繰り返し周波数及び走査速度から、パルス密
度を算出する手段(パルス密度算出手段)と、前記超音
波探触子の有効ビーム幅を検出する手段(有効ビーム幅
検出手段)と、前記の後二者の手段(パルス密度算出手
段と有効ビーム幅検出手段)によりそれぞれ算出、検出
されたパルス密度及び有効ビーム幅から平均回数を算出
し、その平均回数を反射波信号の同期加算平均処理手段
に設定する手段(平均回数算出手段)とを備えたことを
特徴とする。
【0010】
【作用】同期加算平均処理後の欠陥エコーの低下は、欠
陥エコーが現れる回数以上に平均回数を設定した場合に
発生する。そこで、欠陥エコーの現れる回数を求めるこ
とにより最適な平均回数を求めることができる。
【0011】本発明においては、まず、有効ビーム幅検
出手段により、人工的に作られた微小欠陥孔などのエコ
ー信号から有効ビーム幅を求める。有効ビーム幅とは、
エコー強度の分布幅をいい、例えば、最大エコー強度よ
り−3dBだけ低下した値に基準レベルを設定したとき
のエコー強度分布幅である。この基準となる有効ビーム
幅は、前述のように人工的に作られた微小欠陥孔などに
対する超音波探傷試験で求めておく。従って、この範囲
に微小欠陥孔の大きさ以上の欠陥があれば欠陥エコーが
現れる。
【0012】一方、パルス密度算出手段によりパルス密
度Pd を算出する。パルス密度算出手段はパルス繰り返
し周波数検出手段と走査速度検出手段とで構成されてい
るので、これらの手段により検出されたパルス繰り返し
周波数PRF と走査速度Vにより、Pd =V/PRF よりパ
ルス密度Pd を求める。そして、前記の有効ビーム幅を
パルス密度で割った値が欠陥エコーの現れる回数とな
る。平均回数をこの値に設定すれば、平均処理後の欠陥
エコーは低下せず、かつSN比をより適切に改善するこ
とができる。
【0013】溶接鋼管のようにオンラインで行う溶接部
の超音波探傷では、実験によると有効ビーム幅が4mm
を境に、最適な平均回数が頭打ちになることが判明し
た。これは、有効ビーム幅が4mm以上になると、欠陥
が超音波ビームを横切っていく際に各点において、欠陥
エコーのビーム路程がわずかに変化し、ビーム路程がず
れた波形同士を加算平均すると欠陥エコーは低下してし
まうためである。そこで、有効ビーム幅が4mm以上の
場合は、平均回数は4/パルス密度とする。このずれ方
は波長によって異なるが、公称周波数が2MHzから1
0MHzの範囲では上記結果を適用することができる。
【0014】
【実施例】図1は本発明の一実施例に係る超音波探傷装
置のブロック構成図である。同図において、100は被
検体であり、ここでは電縫管の場合を示している。10
1は溶接部、102は溶接部における溶け込み不足など
による欠陥である。鋼管100は、図中、上方に向かっ
て速度Vで直進している。
【0015】本実施例の超音波探傷装置10は、以下の
要素11〜20より構成されている。
【0016】超音波探触子11は、公称周波数5MH
z、振動子幅10mmのものを用いている。超音波は屈
折角45°の横波として鋼管100に入射され、溶接部
100を探傷するようにしている。
【0017】超音波送受信装置12は、電気パルスを探
触子11に送信して超音波を発生させ、溶接部101か
ら反射した超音波を探触子11で捉えこれを電気信号に
変換して検出する。
【0018】同期加算平均処理装置13は、超音波送受
信装置12より繰り返し到来する超音波の電気信号(図
2に示す平均処理前の電気信号)を位相を揃えて加算平
均するものである。ちなみに図2では平均回数4の場合
を示している。
【0019】欠陥判定装置14は、ある強度以上の欠陥
が現れた場合に、欠陥の検出を知らせるものである。
【0020】パルス繰り返し周波数検出装置15は、超
音波送受信装置12の超音波パルス発生のためのクロッ
ク信号の設定周波数を検出することにしている。
【0021】走査速度検出装置16は、例えば、鋼管1
00に接触させたセンサロール17の回転速度から走査
速度Vを検出するようにしている。
【0022】パルス密度算出装置18は、パルス密度P
d を、Pd =V/PRF の式から算出する。ここで、Vは
走査速度検出装置16により検出された走査速度、PRF
はパルス繰り返し周波数検出装置15により検出された
パルス繰り返し周波数である。
【0023】有効ビーム幅検出装置19は、図3に示す
ように、あらかじめ試験鋼管110に設けた針状の欠陥
孔111からのエコー列を測定し、その欠陥エコーの最
大強度から、例えば−3dBだけ低下する値を基準レベ
ルとして、その基準レベル上におけるエコー強度分布幅
を有効ビーム幅と規定して求めるものである。なお、こ
の測定の際は、平均回数は1としておく。
【0024】平均回数算出装置20は、後述するごと
く、D<4mmの場合はN=D/Pd、D>4mmの場
合はN=4/Pd より平均回数Nを算出するものであ
る。
【0025】次に、平均回数算出の根拠について実験結
果を交えて説明する。図4は、最適な平均回数を、平均
処理後のエコー強度低下が−1dBにとどまる回数を平
均回数と規定して、有効ビーム幅との関係を求めた結果
である。ここでは、パルス密度Pd =0.1mm/p、
0.25mm/p、0.5mm/pの場合が例示されて
いる。エコー強度の低下を−1dBに規定したのは、探
傷の再現性の範囲であり、この程度のエコー強度の低下
では欠陥エコーの見逃しにはつながらないためである。
また、有効ビーム幅は、斜角探傷におけるスキップ数を
変化させることにより、変化させた。
【0026】図4に示されているように、有効ビーム幅
が4mmより狭い場合、最適な平均回数は少なくなる。
その関係は、およそN=D/Pd となっている。一方、
有効ビーム幅が4mmより広い場合、最適な平均回数は
およそ4mmを境に頭打ちとなり、その関係は、およそ
N=4/Pd となっている。この理由は、欠陥が超音波
ビームを横切っていく際に各点において、欠陥エコーの
ビーム路程がわずかに変化し、ビーム路程がずれた波形
同士を加算平均すると欠陥エコーは低下してしまうため
であり、4mm以上移動させた場合において、このビー
ム路程のずれが顕著になるためである。
【0027】図5は、有効ビーム幅が4mm以上の場合
について、平均回数とエコー強度低下量との関係を示し
た実験結果である。図のように、パルス密度が小さいほ
ど、平均回数を多くしてもエコー強度は低下しない。ま
た、図中にはノイズ強度の低下量も示しており、平均回
数が多いほど、ノイズ強度は低くなっている。この図か
ら、それぞれのパルス密度ごとに、エコー強度の低下量
が−1dBに対応する平均回数がわかる。従って、上記
の方法により平均回数を決めることにより、SN比を最
適に改善できることが実証されている。
【0028】本実施例の超音波探傷では、まず、試験鋼
管110をライン速度Vで搬送し、そのときのピンホー
ル111からの反射エコー信号から、図3に示すような
方法で有効ビーム幅Dを求めておく。
【0029】次に、実際の溶接鋼管100について超音
波探傷を行う。パルス繰り返し周波数検出装置15で超
音波探触子11に送信される超音波パルスの繰り返し周
波数PRF を検出し、また走査速度検出装置16でセンサ
ロール17から送られてくる回転速度に基づき、溶接鋼
管100の移動速度Vを検出し、これらをパルス密度算
出装置18に送り、パルス密度Pd をPd =V/PRF よ
り算出する。この求められたパルス密度Pd は平均回数
算出装置20に送られ、この装置20で、D<4mmの
ときは、N=D/Pd とし、D>4mmのときは、N=
4/Pd として、その平均回数Nを同期加算平均処理装
置13に設定する。このように最適な平均回数Nで欠陥
エコー信号の同期加算平均処理を行うことにより、欠陥
エコーの低下がなく、SN比を最高の状態に改善するこ
とができる。従って、溶接部に欠陥があれば、欠陥判定
装置14が見逃すことなく欠陥を知らしめる。
【0030】次に、鋼管の造管速度すなわちライン速度
を変化させ、同時に平均回数も変化させて探傷した具体
例について説明する。図6に示す例では、すべてPRF =
2kHz、鋼管:外径219.1mm、厚さ8.2m
m、探触子:5Z10×10A45、スキップ数:2と
したものである。
【0031】まず、図6(a)に示したものは、平均回
数を1にして探傷した例で、外径3.2mmのドリルホ
ールからのエコーが捉えられていることが示されてい
る。また、ノイズが一様に発生していることも示されて
いる。次に、図6(b)は平均回数を8に固定して探傷
した例である。ノイズは(a)のものに比べて約1/3
になっているが、ライン速度が速いためパルス密度が大
きい場合では、欠陥エコーの低下が起こっていることが
わかる。
【0032】図6(c)は本発明の実施例であり、平均
回数はライン速度に応じて変化させている。このため、
ライン速度が変わっても欠陥エコーの低下はなく、ノイ
ズは最適に低減されていることがわかる。
【0033】本発明は、金属材料の溶接部の欠陥検出に
限られるものではなく、複合材料やラミネート鋼板のよ
うな接合部の欠陥検出にも応用できるものである。超音
波探触子には電磁超音波探触子のような非接触式のもの
も使用することができ、また被検体を固定し、探触子の
ほうを移動させる走査形式でも良いものである。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、超音波
の反射波信号の同期加算平均処理における平均回数を自
動的かつ最適に設定するようになっているので、ライン
速度などの探傷条件が変わっても、容易かつ速やかに平
均回数を設定することができ、欠陥の見落としを防ぎつ
つ最高のSN比改善を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による超音波探傷装置の構成図
である。
【図2】同期加算平均処理装置の動作を示す図である。
【図3】有効ビーム幅検出装置の動作を示す図である。
【図4】有効ビーム幅と最適平均回数との関係を示す図
である。
【図5】平均回数と平均処理後の信号強度との関係を示
す図である。
【図6】ライン速度を変化させて探傷した例を示す図で
ある。
【符号の説明】
11 超音波探触子 12 超音波送受信装置 13 同期加算平均処理装置 14 欠陥判定装置 15 パルス繰り返し周波数検出装置 16 走査速度検出装置 18 パルス密度算出装置 19 有効ビーム幅検出装置 20 平均回数算出装置 100 被検体 101 溶接部 102 欠陥

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波パルス反射法により被検体を走査
    探傷し、検出された反射波信号を同期加算平均すること
    によりSN比を改善する方法において、 あらかじめ有効ビーム幅Dを検出しておき、 パルス繰り返し周波数と走査速度から、パルス密度Pd
    を算出し、 N=D/Pd より算出した平均回数Nで前記反射波信号
    の同期加算平均を行うことを特徴とする超音波探傷方
    法。
  2. 【請求項2】 金属材料の検査部位に沿って走査探傷し
    たときの有効ビーム幅が4mmより狭い場合には、平均
    回数NをN=D/Pd より求め、有効ビーム幅が4mm
    より広い場合には、平均回数NをN=4/Pd より求め
    ることを特徴とする請求項1記載の検査部位の超音波探
    傷方法。
  3. 【請求項3】 超音波探触子に送信するパルスの繰り返
    し周波数を検出する手段と、 前記超音波探触子と被検体との相対的な走査速度を検出
    する手段と、 前記の両手段により検出されたパルス繰り返し周波数及
    び走査速度から、パルス密度を算出する手段と、 前記超音波探触子の有効ビーム幅を検出する手段と、 前記の後二者の手段によりそれぞれ算出、検出されたパ
    ルス密度及び有効ビーム幅から平均回数を算出し、その
    平均回数を反射波信号の同期加算平均処理手段に設定す
    る手段とを備えたことを特徴とする超音波探傷装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6691576B1 (en) 1999-08-04 2004-02-17 Asahi Engineering Co., Ltd. Thickness measuring device for cylindrical tank bottom plate
JP2010230692A (ja) * 2008-11-19 2010-10-14 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶接部の超音波探傷方法及び装置
JP2013246046A (ja) * 2012-05-25 2013-12-09 Nippon Steel & Sumitomo Metal 電磁超音波検査装置及び鋼材の電磁超音波検査方法
JP2019090682A (ja) * 2017-11-14 2019-06-13 日本製鉄株式会社 超音波探傷方法

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