JPH07292366A

JPH07292366A - コークス炉の炉壁煉瓦

Info

Publication number: JPH07292366A
Application number: JP10753794A
Authority: JP
Inventors: Yasushi Tanaka; 靖田中
Original assignee: Sumitomo Metal Industries Ltd
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1994-04-21
Filing date: 1994-04-21
Publication date: 1995-11-07

Abstract

(57)【要約】【目的】炉壁煉瓦の目地開き、縦方向亀裂の抑制と発
生防止および炉体締付け力伝達の円滑化を図る。【構成】コークス炉の炉壁煉瓦において、煉瓦形状を
五角形以上の多角形柱状煉瓦とする。【効果】炉体締付け力の伝達不足から生じる目地開
き、煉瓦縦亀裂の抑制、防止を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、コークス炉を構成し
ている耐火物のうち、炭化室と燃焼室とを隔離する炉壁
煉瓦に関する。

【０００２】

【従来の技術】室炉式コークス炉は、過半数が珪石煉瓦
で、残部が粘土質煉瓦と少量の断熱煉瓦、赤煉瓦により
構築されている。室炉式コークス炉の炭化室と燃焼室と
を隔離する炉壁煉瓦は、炭化室中央部が、熱伝導率が比
較的高く、１０００℃以上の高温領域で機械的強度が大
きく、体積変化が少なく、材料が安価に大量入手できる
珪石煉瓦を、また、窯口付近が、炉蓋を取外してコーク
スを押出す場合の外気による急激な冷却に対して収縮の
小さい粘土質煉瓦を使用するのが一般的である。

【０００３】炉壁煉瓦は、燃焼室の各フリューの隔壁部
を除き、図８に示すとおり、上下敷目地部および縦目地
部に凹凸条８１、８２を有する直方体形状の煉瓦８３か
ら構成されている。また、燃焼室の各フリューの隔壁部
の炉壁煉瓦は、各フリューの隔壁の一部が燃焼室側に突
出したものと、各フリューの隔壁の一部が嵌合う切欠き
部を有している。炉壁煉瓦の積み方は、図９に示すとお
り、縦目地９１が炉高方向に連続するのを避けるため、
一段毎に縦目地９１を交互にずらせ、敷目地９２は水平
方向に連続させて積むのが一般的な方法である。

【０００４】上記室炉式コークス炉の炉壁煉瓦は、図１
０、図１１に示すとおり、窯出し回数の累積による急
冷、急加熱や、カーボンの浸炭焼失、コークス押出し時
の機械的負荷に加え、炉締め力の伝達不足が加わって、
炭化室１０１中央部で目地開き、亀裂１０２の発生・拡
大が起こり、図１２に示すとおり、亀裂１０２発生部の
炉壁煉瓦１０３の角欠け１０４が発生し、炉体の老朽化
が進行する。この炉壁煉瓦１０３の損傷に対しては、モ
ルタル吹付けや耐火物溶射等の炉体補修を行って対処し
ているが、その場しのぎの対応に過ぎず、根本的な対策
が迫られている。

【０００５】炉壁煉瓦の根本的対策としては、煉瓦材質
に関し数々の提案が行われている。例えば、煉瓦表面に
有機物層をコーティングして膨張の吸収機能を付与した
煉瓦（特開平１−１７２２８６号公報）、煉瓦母材中に
炭素長繊維を埋設させ、耐機械的熱的衝撃性および耐ス
ポーリング性を付与した煉瓦（特開昭５９−１５６９７
０号公報）、ノボラック樹脂組成物・界面活性剤を含有
し、成型、硬化、焼成させた充填密度、強度が大きい耐
火煉瓦（特開平３−４８１４９号公報）、アルミナ系煉
瓦とマグネシア系材料のモルタル目地を適正条件で使用
することによって、目地部でアルミナ・マグネシアのス
ピネル構造を形成した煉瓦壁構造（特開平４−１０６３
９１号公報）等が提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記炉壁煉瓦の材質に
関する提案は、いずれも煉瓦強度の向上、目地強度の向
上を目的としたもので、炉壁煉瓦の形状や積み方に関す
る提案は皆無に等しい。

【０００７】この発明の目的は、コークス炉の炉体老朽
化に伴って進行する炉壁煉瓦の目地開き、縦方向亀裂の
抑制と発生防止および炉体締付け力伝達の円滑化を煉瓦
形状および積み方からはかるコークス炉の炉壁煉瓦を提
供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた。その結果、炉壁煉瓦の
形状を五角形以上の柱状煉瓦となし、五角形以上の柱状
煉瓦で炉壁煉瓦を構築することによって、煉瓦体積当た
りの目地代の減少により目地開き箇所の減少、縦目地開
きからの煉瓦への亀裂伝播の抑制、ならびに炉体締付け
力の上下方向への分散による炉体締付け状態の円滑化を
一度に達成できるとの結論に至り、この発明に到達し
た。

【０００９】すなわちこの発明は、コークス炉の炉壁煉
瓦において、煉瓦形状を五角形以上の多角形柱状煉瓦と
することを特徴とするコークス炉の炉壁煉瓦である。

【００１０】

【作用】この発明においては、煉瓦形状を五角形以上の
多角形柱状煉瓦としたことによって、例えば、正六角形
柱状煉瓦を例に説明すると、図４（ａ）に示すとおり、
従来の煉瓦４１の積み方では敷目地４２が水平方向に連
続しているのに対し、図４（ｂ）に示すとおり、正六角
形柱状煉瓦４５では、敷目地４６が１／３に減少し、ま
た、連続していないため、敷目地切れ自身が起こり難
く、また、仮に敷目地切れが発生しても、前後位置への
伝播が起こり難い。また、縦目地については、図５
（ａ）に示すとおり、従来の直方体の煉瓦４１の積み方
では縦目地４３が連続しないよう一段毎にずらせて積ん
でいるため、ある位置で縦目地開きが発生するとその影
響が上下煉瓦４１に達し、縦方向の長い亀裂発生に至
る。縦目地開きによる亀裂発生は、炉壁煉瓦の上下方向
の厚さが比較的薄いため、縦目地開きによる前後方向へ
の荷重に耐えられず、長い縦亀裂が発生しているものと
考えられる。一方、図５（ｂ）に示すとおり、正六角形
柱状煉瓦４５では、直立の縦目地がなく、縦目地４７も
一定間隔で方向が変化しているため、ある位置で発生し
た目地開きの他の目地への伝播が起こり難く、また、正
六角形柱状煉瓦４５自身の上下方向の厚みが比較的厚い
ため、正六角形柱状煉瓦４５への亀裂の伝播も起こり難
い状態となっている。

【００１１】さらに、目地の大きさは、図６に示すとお
り、一辺ｘが６．２ｃｍ、厚さｗが１０ｃｍの正六角形
柱状煉瓦４５と同体積、同厚さの辺ｙ、ｚが１０ｃｍの
立方体の煉瓦４１では、目地と接触する側面４４、４８
の全表面積を比較すると、正六角形柱状煉瓦４５は１０
ｃｍ×６．２ｃｍ×６＝３７２ｃｍ²であるのに対し、
立方体煉瓦４１は１０ｃｍ×１０ｃｍ×４＝４００ｃｍ
²で、約１９：２０となり、明らかに正六角形柱状煉瓦
４５の方が目地代が減少しており、目地開きの起こる範
囲が減少する。なお、上記計算は、図６からもわかるよ
うに、１煉瓦当たりの稼働面積が１００ｃｍ²の場合の
計算例である。さらにまた、炉長方向の炉体締付け力の
伝達は、図７（ａ）に示すとおり、従来の煉瓦４１の積
み方では、炉体締付け力Ｐの伝わり方が水平方向一直線
となるため、仮に一部で炉体締付け力Ｐの差異１Ｐ、
０．５Ｐが生じた場合、目地に負荷がかかり、目地切
れ、目地開きが生じ易い状況にある。これに対し図７
（ｂ）に示すとおり、正六角形柱状煉瓦４５の場合は、
炉体締付け力Ｐが水平方向一直線に伝わるのではなく、
煉瓦面の角度によって力のベクトルが変わるため、仮に
炉体締付け力Ｐの差異が生じてもランダムに分散され、
炉体締付け力Ｐによる負荷のかかり具合が緩和され、ま
た、特定位置への負荷もなくなり、炉壁煉瓦における炉
長方向炉体締付け力の伝達の改善に寄与することができ
る。

【００１２】多角形柱状煉瓦は、角が多い分各角の角度
が鈍角になるため、角欠けも起こり難く、通常の立方体
煉瓦よりも形状面から丈夫であると云える。多角形角形
柱状煉瓦としては、五角形柱状煉瓦、六角形柱状煉瓦、
あるいは七角形以上の縦長あるいは横長の柱状煉瓦でも
よく、また、正五角形柱状煉瓦、正六角形柱状煉瓦、あ
るいは正七角形以上の柱状煉瓦でもよいが、正六角形柱
状煉瓦や正八角形柱状煉瓦を用いるのが、煉瓦積みの容
易さから推奨される。多角形柱状煉瓦の材質としては、
従来と同様、炭化室中央部を珪石煉瓦、窯口近傍を粘土
質煉瓦とすることもできるが、前記特開平１−１７２２
８６号公報、特開昭５９−１５６９７０号公報、特開平
３−４８１４９号公報、特開平４−１０６３９１号公報
等に開示の材質を採用することもできる。

【００１３】

【実施例】以下にこの発明の詳細を実施の一例を示す図
１ないし図３に基づいて説明する。図１はこの発明の炉
壁煉瓦として用いる正六角形柱状煉瓦の斜視図、図２は
正六角形柱状煉瓦で構築した炉壁の一部を示す正面図、
図３は五角形柱状煉瓦で構築した炉壁の一部を示す正面
図である。図１および図２において、１は炉壁煉瓦とし
て用いる正六角形柱状煉瓦、２は正六角形柱状煉瓦１の
目地との接触面に設けた凹条、３は正六角形柱状煉瓦１
の目地との接触面に設けた凸条で、互いに敷目地４、縦
目地５を介して凹条２と凸条３とが嵌合うように積み付
け、炉壁を構成する。

【００１４】図３において、１１は炉壁煉瓦として用い
る短い五角形柱状煉瓦、１２は炉壁煉瓦として用いる長
い五角形柱状煉瓦で、五角形柱状煉瓦１１と１２を組合
せ互いに敷目地１３、直立縦目地１４および傾斜縦目地
１５を介して図示しない目地との接触面に設けた凹条と
凸条とが嵌合うように積み付け、炉壁を構成する。

【００１５】上記のとおり構成したことによって、図１
および図２に示す正六角形柱状煉瓦１からなる炉壁は、
敷目地４が非連続となると共に、長さが１／３に減少し
ており、敷目地４の目地開きの伝播が発生し難く、しか
も敷目地４の目地開きが減少する。また、縦目地５は、
直立縦目地がなく、一定間隔で方向が変更しているか
ら、縦目地５の目地開きが分散されて伝播が発生し難
く、正六角形柱状煉瓦１の亀裂が発生し難くなる。ま
た、炉長方向の炉体締付け力は、前記したとおり、正六
角形柱状煉瓦１を水平方向へ一直線に伝播するのではな
く、正六角形柱状煉瓦１の角度により力のベクトルが変
わるため、仮に炉体締付け力の差異が発生しても、ラン
ダムに分散されて負荷のかかり具合が緩和され、特定方
向への負荷もなくなり、炉壁煉瓦内における炉体締付け
力の伝達が改善される。

【００１６】さらに、短い五角形柱状煉瓦１１と長い五
角形柱状煉瓦１２からなる炉壁は、正六角形柱状煉瓦１
からなる炉壁と同様に、敷目地１３が非連続となると共
に、長さが減少しており、敷目地１３の目地開きの伝播
が発生し難く、しかも敷目地１３の目地開きが減少す
る。また、縦目地は、直立縦目地１４および傾斜縦目地
１５からなり、傾斜縦目地１５では一定間隔で方向が変
更し、縦目地の目地開きが分散されて伝播が発生し難
く、五角形柱状煉瓦１１、１２の亀裂発生が抑制され
る。また、炉長方向の炉体締付け力は、短い五角形柱状
煉瓦１１および長い五角形柱状煉瓦１２を水平方向へ一
直線に伝播するのではなく、短い五角形柱状煉瓦１１お
よび長い五角形柱状煉瓦１２の角度により力のベクトル
が変わるため、仮に炉体締付け力の差異が発生しても、
ランダムに分散されて負荷のかかり具合が緩和され、特
定方向への負荷もなくなり、炉壁煉瓦内における炉体締
付け力の伝達が改善される。

【００１７】

【発明の効果】以上述べたとおり、この発明のコークス
炉の炉壁煉瓦は、窯出し回数の累積および炉体締付け力
の伝達不足から生じる目地開き、煉瓦縦亀裂の抑制、防
止を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の炉壁煉瓦として用いる正六角形柱状
煉瓦の斜視図である。

【図２】この発明の正六角形柱状煉瓦で構築した炉壁の
一部を示す正面図である。

【図３】この発明の五角形柱状煉瓦で構築した炉壁の一
部を示す正面図である。

【図４】従来の炉壁煉瓦とこの発明の炉壁煉瓦との敷目
地の比較を示す説明図で、（ａ）図は従来の炉壁煉瓦、
（ｂ）図はこの発明の炉壁煉瓦である。

【図５】従来の炉壁煉瓦とこの発明の炉壁煉瓦との縦目
地の比較を示す説明図で、（ａ）図は従来の炉壁煉瓦、
（ｂ）図はこの発明の炉壁煉瓦である。

【図６】従来の炉壁煉瓦とこの発明の炉壁煉瓦の形状を
示す説明図で、（ａ）図は従来の炉壁煉瓦、（ｂ）図は
この発明の炉壁煉瓦である。

【図７】従来の炉壁煉瓦とこの発明の炉壁煉瓦との炉締
め力の伝達の比較を示す説明図で、（ａ）図は従来の炉
壁煉瓦、（ｂ）図はこの発明の炉壁煉瓦である。

【図８】従来の炉壁煉瓦の形状を示す斜視図である。

【図９】従来の炉壁煉瓦の積み付けを示す正面図であ
る。

【図１０】目地開き等炉壁煉瓦損傷要因分析と対策を示
す説明図である。

【図１１】コークス炉炭化室の損傷状況の全体説明図で
ある。

【図１２】コークス炉炭化室の損傷状況の部分拡大斜視
図である。

【符号の説明】

１、４５正六角形柱状煉瓦２、８１凹条３、８２凸条４、１３、４２、４６、９２敷目地５、４３、４７、９１縦目地１１短い五角形柱状煉瓦１２長い五角形柱状煉瓦１４直立縦目地、１５傾斜縦目地４１、８３煉瓦４４、４８側面１０１炭化室１０２亀裂１０３炉壁煉瓦１０４角欠け

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】コークス炉の炉壁煉瓦において、煉瓦形
状を五角形以上の多角形柱状煉瓦とすることを特徴とす
るコークス炉の炉壁煉瓦。
【請求項２】五角形以上の多角形柱状煉瓦が六角形柱
状煉瓦である請求項１記載のコークス炉の炉壁煉瓦。