JPH0728413Y2 - 磁性粒子式トルクリミッタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は一対の連結主体間の伝達トルクの限界を磁性
粒子による結合力によって定めるようにした磁性粒子式
トルクリミッタの改良に関するものである。

〔従来技術〕

従来一般に知られているこの種の装置として、例えば実
開昭59-86426号公報に示された磁性粒子式トルクリミッ
タを第２図に示す。図において、（１）は磁性体よりな
る外側連結主体、（２）は外側連結主体（１）の内側に
同心的に配置された内側連結主体であり、非磁性体から
成るシャフト（2a）とシャフト（2a）の外周に固着され
た環状の永久磁石（2b）と、永久磁石（2b）の両側に各
々、密接装着された磁性体より成る環状の磁極部材（2
c）とで構成されている。（３）は外側連結主体（１）
と内側連結主体（２）との間隙に充填された磁性粒子で
ある。

上記のように構成されたものにおいては、永久磁石（2
b）による磁束（Φ）が図中、点線で示す磁路に発生
し、磁化された磁性粒子（３）を介して外側連結主体
（１）と内側連結主体（２）とが連結されており、外側
連結主体（１）と内側連結主体（２）との間に限界値以
上のトルクが加えられると磁性粒子（３）と外側連結主
体（１）あるいは内側連結主体（２）とがスリップして
伝達トルクを制限する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の磁性粒子式トルクリミッタは以上のように、内側
連結主体における磁気回路として永久磁石（2b）並びに
一対の磁極部材（2c）が設けられている。このため、永
久磁石（2b）と磁極部材（2c）との接触部には大きな磁
気抵抗が存在し、磁気効率が低下すると共に、部品点数
が多く組立工程が繁雑となる。また、更に永久磁石（2
b）と磁極部材（2c）との接触部の磁気抵抗を減少させ
るために双方を密接させねばならず、接触面を高精度に
加工する必要がある等、加工、組立工程が繁雑で生産性
が悪く、高価となる欠点があった。

この考案は上記のような問題点を改善するためになされ
たもので、構造が簡単で、磁気効率、生産性の優れた磁
性粒子式トルクリミッタを得ることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案にかかる磁性粒子式トルクリミッタは、Ｎ極Ｓ
極一対の円環状の磁極部を有しこの各磁極部が外側連結
主体の連結部の内周面と径方向に間隙を設けて対向する
ように連結部の内側に連結部と同軸に配設され上記磁極
部と上記連結部との間に上記間隙を径方向に通過する磁
束を発生するように着磁された等方性の永久磁石を内側
連結主体に設けたものである。

〔作用〕

この考案においては、永久磁石の磁極部は外側連結主体
の連結部と間隙を設けて対向しており、この永久磁石に
より間隙を径方向に通過する磁束を発生させるので、部
品点数を削減できる。また、等方性の永久磁石は磁気特
性上の方向性がないので、磁気効率も向上する。

〔実施例〕

以下、この考案の一実施例を第１図に示す。図におい
て、（２）は内側連結主体であり、非磁性体から成るシ
ャフト（2a）と、シャフト（2a）の外周に固着された環
状で、かつ断面凹字形状の永久磁石（2d）とで構成され
ている。なお、永久磁石（６）は例えば鉄−クロム−コ
バルト等の等方性磁石から成る。その他の符号は従来装
置と同様につき、その説明を省略する。

上記のように構成されたものにおいては、内側連結主体
（２）の磁気回路を永久磁石（2d）のみで形成し、従来
の磁極部材（2c）を不要としたので、永久磁石（2d）と
磁極部材との接合が不要である。このため、磁気抵抗が
減少すると共に、接触面を高精度に加工する必要がな
く、また、組立工程も簡略化される。

なお、上記一実施例のように永久磁石（2d）として等方
性磁石を用いると、磁気特性上の方向性がなく磁石形
状、磁束通路に制限を受けない。

〔考案の効果〕

以上のように、Ｎ極Ｓ極一対の円環状の磁極部を有しこ
の各磁極部が上記外側連結主体の連結部の内周面と径方
向に間隙を設けて対向するように上記連結部の内側に上
記連結部と同軸に配設され上記磁極部と上記連結部との
間に上記間隙を径方向に通過する磁束を発生するように
着磁された等方性の永久磁石を内側連結主体に設けたの
で、加工、組立工程が簡単で生産性、磁気効率の優れた
磁性粒子式トルクリミッタが得られるという実用上顕著
な効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す半断面図、第２図は
従来装置を示す半断面図である。 図において、（１）は外側連結主体、（２）は内側連結
主体、（2d）は永久磁石、（３）は磁性粒子である。 なお、各図中同一符号は同一、または相当部分を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 山田 雅也 兵庫県姫路市千代田町840番地 菱電エン ジニアリング株式会社姫路事業所内 (56)参考文献 実開 昭59−86426（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭29−1106（ＪＰ，Ｂ１) 実公 昭44−4034（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒状の内周面を有する磁性材料製の連結
   部が設けられた外側連結主体、Ｎ極Ｓ極一対の円環状の
   磁極部を有しこの各磁極部が上記内周面と径方向に間隙
   を設けて対向するように上記連結部の内側に上記連結部
   と同軸に配設され上記磁極部と上記連結部との間に上記
   間隙を径方向に通過する磁束を発生するように着磁され
   た等方性の永久磁石が設けられた内側連結主体、上記間
   隙に介装され上記径方向に通過する磁束により磁化され
   て上記連結部および上記永久磁石を介して上記外側連結
   主体と上記内側連結主体とを所定の連結力を超えないよ
   うに連結する磁性粉体を備えた磁性粒子式トルクリミッ
   タ。