JPH0728392Y2 - 面格子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、火災等の緊急時に開放できる面格子に関す
る。

（従来の技術） 一般に面格子は防犯目的で窓開口部の屋外側に固定して
取付けるのが普通であるが、固定式では火災等の緊急時
に窓からの脱出が阻まれるために古来より多くの惨事を
招いている。

そこで、このような惨事を防止する手段として、面格子
自体を屋外側へ開放回動する扉型に構成し、平常時には
開放不能とする錠を設けると共に、その解錠操作を屋内
側からのみ行えるようにした構造が提案されている（特
公昭51-4355号、実開昭59-13557号、同60-10088号
等）。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、前記の扉型の面格子では、窓開口部の屋
外側に面格子を開放回動させる広いスペースを必要とす
ることから場所的な制約が大きく、塀、壁、樹木等に近
接する窓には適用できないという問題があった。また、
これら面格子のように開閉式である場合でも、普段は面
格子を開放する機会がないため、一旦火災等の緊急事態
が発生すると動転してしまい、錠の存在に思い至らなか
ったり解錠に手間取ることが多く、ましてや外来者には
面格子が開放式であることも判らず無理にこじ開けよう
として果たせない事態も危惧される。

本考案は、上記従来の問題点に鑑み、平常時は窓開口部
に固定され、緊急時には容易に開放でき、しかも避難梯
子となる面格子を提供することを目的としている。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は、建物躯体２の窓
開口部３の屋外側端縁に沿って一対の固定桟1a,1aを固
設し、上下複数段状に配列した可動面格子部材1bを左右
一対のスライドレール6,6により一体連結すると共に、
両スライドレール6,6を上記両固定桟1a,1aに沿って昇降
可能に支持し、上記スライドレール６を固定桟1aにロッ
クするロック装置15を設けると共に、該ロック装置15の
ロックを解除し、上記可動面格子部材1bを下降させたと
きに、その可動面格子部材1bが建物躯体２の外壁面に沿
う避難梯子を形成するようにしてなる構成を採用するも
のである。

（作用） 本考案によれば、可動面格子部材を一体連結するスライ
ドレールがロック装置によって固定桟にロックされてい
るから、防犯効果を確実に保持することができる。ま
た、火災等の緊急時には、上記ロック装置のロックを解
除すると、スライドレールが固定桟に沿って下降し、こ
のスライドレールと共に可動面格子部材が下降して、窓
開口部を瞬時に開放させることができ、しかも下降した
可動面格子部材は建物躯体の外壁面に沿う避難梯子を形
成するようになっているから、窓開口部が高所に設けら
れている場合でも、可動面格子部材を伝って地上まで安
全且つ迅速に避難することができる。

（実施例） 第１図（ａ）（ｂ）は本考案の一実施例たる面格子１を
建物躯体２の窓開口部３に取付けた状態を示すものであ
って、上記面格子１は、窓開口部３の左右屋外側端縁に
沿って配設されたアルミ押出型材からなる一対の固定桟
1a,1aと、該両固定桟1a,1a間に配設されたアルミ押出型
材からなる多数の可動面格子部材1bとからなり、上記各
固定桟1a,1aは面格子支持金具４を介して建物躯体２に
固定され、また該固定桟1a,1aにその長手方向に沿って
凹設された凹溝５内にスライドレール6,6が昇降自在に
嵌挿され、その各スライドレール6,6に前記可動面格子
部材1bが固着されている。従って該可動面格子部材1bは
スライドレール6,6を介して固定桟1a,1aに昇降自在に支
持されている。さらに一方の固定桟1aには可動面格子部
材1bをロックすると共に、該可動面格子部材1bが下降し
たときに警報を発するロック警報装置７が設けられてい
る。

第２図に示すように、最上段の可動面格子部材1bには、
窓開口部３内に突入するストッパ板９を固着してあり、
第３図（ａ）（ｂ）に示すように、可動面格子部材1bを
下降させて、窓開口部３を開放したときに、該ストッパ
板９が窓開口部３の下縁部に当接して、可動面格子部材
1bが建物躯体２の外壁面に沿う避難梯子を形成するよう
になっている。従って窓開口部３が高所に設けられてい
る場合でも、可動面格子部材1bを伝って地上まで安全且
つ迅速に避難することができる。

第４図に示すように、前記ロック警報装置７は、一方の
固定桟1aの室内側の側壁に開設された開口部11から該固
定桟1a内に組込まれており、上記開口部11を閉塞し、且
つ固定桟1aにビス10により固定された合成樹脂等からな
る円弧状化粧板12の裏面に突設した絶縁板13上に警報部
14が設けられ、その下側にロック部15が設けられてい
る。

上記ロック部15は、前記化粧板12及び固定桟1aの凹溝側
壁部17を貫通し、且つその一端部がスライドレール６に
固着された係止ブロック18の係合孔19に嵌入することに
よって、可動面格子部材1bを固定桟1aにロックするロッ
クピン20と、該ロックピン20をロック解除方向に付勢す
るロック解除ばね21と、該ばね21に抗してロックピン20
の他端部に圧接し、且つ化粧板12の表面にビス止めされ
た略半球状のロック保持キャップ22とからなっている。
また該キャップ22は薄肉状の硬質合成樹脂等により形成
され、ハンマーによる打撃等の外部圧力により容易に破
壊されるようになっており、該キャップ22が破壊される
と、ロックピン20の一端部がばね21の付勢力により係合
孔19から抜出され、ロックが解除される（第４図仮想線
状態）。従って、そのロック解除後、可動面格子部材1b
を下降させることによって、窓開口部３を開放すること
ができる。

さらに上記キャップ22を透明または半透明の合成樹脂等
により形成し、ロックピン20の他端部を赤色蛍光塗料等
で着色してもよい。これによって上記キャップ22を通し
てロックピン20を目視することができ、該キャップ22を
破壊すれば、ロックを解除することができることを一目
瞭然に確認することができる。

前記警報部14は、第４図に示すように、検知レバー24a
の先端部がスライドレール６に固着された検知ブロック
25に当接することによってオフ状態を保持するリミット
スイッチ24と、該リミットスイッチ24がオン状態になっ
たときに作動する警報器26と、該警報器26を作動させる
ための乾電池27と、室内側から警報器26を作動させるこ
とができる押釦式のアラームスイッチ28と、上記リミッ
トスイッチ24に直列に接続された通常はオン状態のスラ
イド式の切換スイッチ29とからなり、第４図実線状態か
らロックピン20によるロックを解除し、可動面格子部材
1bを同図仮想線に示すように、下降させると、検知ブロ
ック25がリミットスイッチ24の検知レバー24aから外れ
ることによって、該リミットスイッチ24がオン状態とな
り、警報器26が作動して緊急事態発生の警報を発する。
またアラームスイッチ28を押してオン状態にすることよ
り警報器26を作動させることができ、これによって室内
で突発的な事故等が発生して室外へ脱出できない場合等
にその異常事態を周辺に告知することができる。さらに
第２図に示すように、前記化粧板12を固定桟1aから取外
すと、リミットスイッチ24がオン状態となり、警報器26
が作動するから、秘密裡に化粧板12を取外してロックを
解除しようとする行為を防止することができる。なお切
換スイッチ29をオフ状態にすることによって警報器26の
作動を停止し、乾電池27の消耗を防ぐことができる。な
お第４図の31は固定桟1aの端部に被冠させられた保護キ
ャップであって、そのスライドレール対向部分31aがス
ライドレール６によって簡単に破断させられるようにな
っている。

上記実施例では、可動面格子部材1bのみによって窓開口
部３を塞ぐ面格子タイプを示したが、第５図に示すよう
に、昇降自在な可動面格子部材1bと建物躯体２に固定さ
れた固定面格子部材1cとで窓開口部３を塞ぐ面格子タイ
プにも適用することができる。

（考案の効果） 本考案によれば、可動面格子部材を一体連結するスライ
ドレールがロック装置によって固定桟にロックされるか
ら、平常時には、可動面格子が不測に下降させられるお
それがなく、防犯効果を確実に保持することができる。
また、上記ロック装置のロックを解除するだけで、直ち
に可動面格子部材が建物躯体の外壁面に沿って窓開口部
の下方へ下降して、瞬時に窓開口部を開放させることが
できるから、火災等の緊急事態発生時には、窓開口部か
らの脱出を容易且つ迅速に行うことができる。しかも、
下降した可動面格子部材が建物躯体の外壁面に沿う避難
梯子を形成するから、窓開口部が高所に設けられている
場合でも、可動面格子部材を伝って地上まで安全且つ迅
速に避難することができる。

さらに本考案は、建物躯体側に固設される一対の固定桟
と、複数の可動面格子部材と、該可動面格子部材を一体
連結すると共に両固定桟に昇降可能に支持される一対の
スライドレールをによって面格子を形成するため、部品
点数が少なく構造が簡単となって、製作コストの低廉化
を図ることができると共に、緊急時の窓開放操作を容易
に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）（ｂ）は本考案の一実施例たる面格子によ
り窓開口部を閉塞している状態の正面図及び縦断面図、
第２図は同面格子の要部の斜視図、第３図（ａ）（ｂ）
は窓開口部が開放され、同面格子の可動面格子部材が避
難梯子を形成している状態の正面図及び縦断面図、第４
図は同面格子の要部の縦断面図、第５図は同面格子の変
形タイプを示す正面図である。 １……面格子、1a……固定桟、1b……可動面格子部材、
２……建物躯体、３……窓開口部、９……ストッパ板、
15……ロック部（ロック装置）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】建物躯体の窓開口部の屋外側端縁に沿って
   左右一対の固定桟を固設し、上下複数段状に配列した可
   動面格子部材を左右一対のスライドレールにより一体連
   結すると共に、両スライドレールを上記両固定桟に沿っ
   て昇降可能に支持し、上記スライドレールを固定桟にロ
   ックするロック装置を設けると共に、該ロック装置のロ
   ックを解除し、上記可動面格子部材を下降させたとき
   に、その可動面格子部材が建物躯体の外壁面に沿う避難
   梯子を形成するようにしてなる面格子。