JPH07280977A - 高速炉の炉心支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、エントランスノズルの底面
の圧力を下げるとともにエントランスノズル下端の誤装
荷防止構造を簡略化し、炉心支持構造を取り外し可能と
する高速炉の炉心支持構造を提供することにある。 【構成】 本発明は、上部炉心支持構造物２と下部炉心
支持構造物３とが連結管５により接続され、前記連結管
５内に燃料集合体４のエントランスノズル６が上部嵌合
部14と下部嵌合部15を介して挿入され、前記燃料集合体
４が直立保持される高速炉の炉心支持構造において、前
記燃料集合体４の上部嵌合部14と下部嵌合部15の外径を
等しくし、下部嵌合部15には多段のシールリング21を設
けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は炉心支持構造物の装着部
に下端嵌合部を係合させて燃料集合体を直立保持する高
速炉の炉心支持構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】高速炉の炉心支持構造の従来例を図３か
ら図４を参照しながら説明する。図３は典型的な高速増
殖炉における燃料集合体等の支持部を示す炉心支持構造
の要部縦断面図である。図３において部分的に示した原
子炉容器１内には上下一対の炉心支持構造物２，３が配
置され、この上，下部炉心支持構造物２，３の間に燃料
集合体４を装着する連結管５が上，下部炉心支持構造物
２，３に溶接され前記燃料集合体４に対応する数だけ設
けられている。この連結管５は挿入孔５ａが設けられて
おり、この挿入孔５ａ内に燃料集合体４のエントランス
ノズル６部を挿入することにより、燃料集合体４が上，
下部炉心支持構造物２，３上に直立して保持される。

【０００３】燃料集合体４を冷却する冷却材は原子炉容
器１の下部に連接された冷却材入口配管７から原子炉容
器１内に流入し、さらに上部炉心支持構造物２及び下部
炉心支持構造物３により形成された高圧室８に流入し、
連結管５の側壁部に穿設された冷却材入口９及びエント
ランスノズル６に設けられた開口10を経て燃料集合体４
内に流入する。その後、冷却材は燃料集合体４内で温度
上昇しながら、燃料集合体４の上端から流出して、図示
のない冷却材出口配管から原子炉容器１外に導出され
る。一方、冷却材入口９から流入した冷却材の内、一部
は漏れ流量として連結管５の底に設けられた細径の流路
孔11を通じて低圧室12に流入する。

【０００４】図４は上記上，下部炉心支持構造物２，３
に装着された燃料集合体４のエントランスノズル６と
上，下部炉心支持構造物２，３のＢ部を拡大して示す図
である。

【０００５】燃料集合体４はエントランスノズル付け根
部を球面の一部となる様に加工した球面座13の部分で下
部炉心支持構造物２に接触し、垂直方向に支持されてい
る。冷却材は球面座13の接触部でシールされ、漏れ出る
冷却材は流路孔11を通じて低圧室12に流出する。エント
ランス下部にはラビリンス20が設けられ前記の漏れ冷却
材が流れると圧力損失が生じる。この場合エントランス
ノズル部底面は流路孔11で連結された低圧室12の圧力の
近傍まで挿入されている為、燃料集合体４の流体圧によ
る垂直方向の浮上力を小さくすることができる。

【０００６】エントランスノズル６の付け根部は上部嵌
合部14、下端は下部嵌合部15と呼ばれる。上部嵌合部14
と下部嵌合部15の断面積の差があると高圧室の圧力がそ
の差分だけかかる為、上部嵌合部14と下部嵌合部15を外
径とほぼ等しくし、垂直方向の浮上力を小さくしてい
る。

【０００７】エントランスノズル６の下端には下面から
上方に向けてくり貫いて形成した同心円状の円環状凹部
16及び円柱状凹部17を有している。そして凹部16，17に
は各々連絡するためのガス抜き孔30，31を形成してい
る。下部炉心支持構造物３にはそれぞれに嵌合する円柱
状凸部18と円環状凸部19が形成されている。この嵌合の
組み合わせを燃料の種類だけ設定し、燃料の誤装荷を防
止している。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】従来例では流路孔11は
円環状凸部19外周近傍に形成されている。この為エント
ランスノズル底面とのギャップを通過する際の圧力損失
分がエントランスノズル底面に上乗せされ垂直方向の浮
き上がりが大きくなるためそれを低減することが望まし
い。

【０００９】地震時の上下加速度により燃料集合体４が
浮き上がった場合、流路孔11からの冷却材の流入より浮
き上がり抑制効果が働くが現状考慮されているのはこの
流体抵抗の効果だけであり、さらに地震時に燃料集合体
４を浮き上がりにくくする事が要求されている。エント
ランスノズル下面にはガスが溜まると上下動の場合、ダ
ンパー効果が小さくなるためガス抜き孔30，31の形成が
必要である。しかしながら、ガス抜き孔30，31を形成す
るとエントランスノズル６の低面の圧力が連通開放位置
の圧力と均しくなるため圧力が低いエントランスノズル
下面を連通する必要がある。

【００１０】また誤装荷防止のためのエントランスノズ
ル下端の構造が複雑化しており簡略化が望まれている。
さらに連結管５は炉心支持構造物２と接合されている
が、メンテナンスの点から炉心支持構造物２を取り外し
可能とすることが望まれている。

【００１１】本発明の目的は上記課題を解決する為にな
されたもので、エントランスノズルの底面の圧力を下げ
るとともにエントランスノズル下端の誤装荷防止構造を
簡略化し炉心支持構造物を取り外し可能とする高速炉の
炉心支持構造を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１に係る本発明は、上部炉心支持構造物と下
部炉心支持構造物とが連結管により接続され、前記連結
管内に燃料集合体のエントランスノズルが上部嵌合部と
下部嵌合部を介して挿入され、前記燃料集合体が直立保
持される高速炉の炉心支持構造において、前記燃料集合
体の上部嵌合部と下部嵌合部の外径を等しくし、下部嵌
合部には多段のシールリングを設けたことを特徴とする
高速炉の炉心支持構造を提供し、さらに請求項２に係る
本発明は、前記上部嵌合部の上部に設置された球面座の
上面に円筒状の嵌合部を設け、それと係合可能となる環
状体を上部炉心支持構造物に設置し、円筒状の外径と環
状体の内径を装荷位置により異なる様にしたことを特徴
とする高速炉の炉心支持構造を提供し、さらに請求項３
に係る本発明は、前記環状体は連結管とネジにより結合
され上部炉心支持板を挟み込む構造としたことを特徴と
する高速炉の炉心支持構造を提供する。

【００１３】

【作用】この様に構成された請求項１に係る本発明にお
いては、シール性能が良いシールリングを多段に設置す
ることにより、シールリングと連結管内面の摩擦によ
り、上下加速度による浮き上がりが防止される。また、
請求項２に係る本発明においては、誤装荷防止を球面座
より上に嵌合部を設置することにより、エントランスノ
ズル底部の誤装荷防止の円柱状凸部を削除できる。さら
に、請求項３に係る本発明においては、球面座を受ける
環状体を設けこれを連結管とネジで結合可能とし、それ
に支持板を挟み込むことで上部支持構造物を取り外し可
能とできる。よって、上下加速度に対し浮き上がりにく
く、上部支持構造物を取り外し可能な構造を提供でき
る。

【００１４】

【実施例】図１に本発明による高速炉の炉心支持構造の
実施例を説明する。また図２は炉心支持構造のＡ−Ａ矢
視図を示す。なお、図１において図４と同一部分には同
一符号を付し、その部分の構成の説明は省略する。

【００１５】図１において燃料集合体４を構成するエン
トランスノズル６の下部側面には多段の円環状の凹部32
が形成されており、この凹部32にはシールリング21が配
設されている。

【００１６】エントランスノズル６下端面には上方に向
けてくり貫いて円環状凹部23が形成されている。下部炉
心支持構造物３にはそれぞれの円環状凹部23に嵌合する
円環状凸部24が形成されている。シールリング設置面の
下部には円環状凹部23に連通するガス抜き孔22が穿設さ
れている。流路孔11は図２に示すように下部嵌合部15と
連結管５のギャップ部33の円周上に設置される。なお、
上部嵌合部14と下部嵌合部はその外径を同一にしてい
る。

【００１７】上部炉心支持構造物２には環状体25が設置
される。環状体25の下部外側面にはネジ26が形成されて
おり、連結管５に形成されたネジ５ａにより上部炉心支
持構造物２を挟んで固定される。上部炉心支持構造物２
と環状体25の間には軟金属（軟鋼等）27が組み込まれて
おり、軟金属27は環状体25に一体となるよう組み込まれ
ている。これにより環状体25を取り外すと軟金属27も一
諸に取り外せる構造となっている。また環状体25は内面
に形成された球面座13の上部に形成された燃料集合体４
の円柱部28と嵌合するようになっている。

【００１８】以上の構成において、冷却材流路孔11を下
部嵌合部15の円周上に設置することにより、エントラン
スノズル６の底面と下部炉心支持構造物３の間のギャッ
プを冷却材が通過しないため、その部位で発生する圧力
損失分だけ底面にかかる圧力が小さくなる。さらに、ラ
ビリンスに代えて、シール性能が良いシールリング21を
多段に設置することにより、シールリング21と連結管５
内面の摩擦により、上下加速度による浮き上がりが防止
される。また、誤装荷防止の円環状凹部23、ガス抜き孔
22を多段シールリング21の設置位置の下方に設置するこ
とにより、圧力は多段シールリング21でほぼ完全に低圧
室12の圧力と同一となる。さらに、誤装荷防止を環状体
25の球面座13より上に嵌合部を設置することにより、従
来例で示されたエントランスノズル底部の誤装荷防止の
円柱状凸部を削除できる。また、球面座13を受ける環状
体25を設けこれを連結管５とネジで結合し、それに上部
炉心支持構造物２を挟み込むことで上部炉心支持構造物
２を取り外し可能とできる。そして、上部炉心支持構造
物２と環状体25にはシールのため上部炉心支持構造物２
より軟らかい軟合金27をはめ込み連結管部のシールを完
全としている。さらに、上部嵌合14と下部嵌合部15の外
径を同一としたので、垂直方向の浮上力を小さくするこ
とができる。

【００１９】よって、従来よりもエントランスノズルの
底面の圧力を小さくできるとともに、流体抵抗の他にシ
ールリングの抵抗が期待できるため上下加速度に対し浮
き上がりにくくなる。またガス抜き孔を底部の圧力を上
げることなく設置できるため底部のダンパー効果の信頼
性が高まる。また下部の加工を単純化し、加工コストを
低減化することができる。上部炉心支持構造物を取り外
し可能となりメンテナンスが容易となる。

【００２０】

【発明の効果】本発明にかかる高速炉の炉心支持構造に
おいては、地震による上下加速度に対し浮き上がりにく
く、底部の加工を簡略化し、かつ容易になり、上部炉心
支持構造を取り外し可能でメンテナンスを容易にするこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る高速増殖炉の炉心支持構造の一実
施例を示す要部縦断面図。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視断面図。

【図３】高速炉の炉心支持構造の従来例を説明するため
の原子炉容器内を部分的に示す縦断面図。

【図４】図３におけるＢ部拡大図。

【符号の説明】

１…原子炉容器 ２…上部炉心支
持構造物 ３…下部炉心支持構造物 ４…燃料集合体 ５…連結管 ６…エントラン
スノズル ７…入口配管 ８…高圧室 ９…冷却材入口 10…開口 11…流路孔 12…低圧室 13…球面座 14…上部嵌合部 15…下部嵌合部 21…シールリン
グ 22…ガス抜き孔 23…円環状凹部 24…円環状凸部 25…環状体 26…ネジ 27…軟金属 28…円柱部 32…凹部 33…ギャップ部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部炉心支持構造物と下部炉心支持構造
   物とが連結管により接続され、上記連結管内に燃料集合
   体のエントランスノズルが上部嵌合部と下部嵌合部を介
   して挿入され、前記燃料集合体が直立保持される高速炉
   の炉心支持構造において、前記燃料集合体の上部嵌合部
   と下部嵌合部の外径を等しくし、下部嵌合部には多段の
   シールリングを設けたことを特徴とする高速炉の炉心支
   持構造。
2. 【請求項２】 上部炉心支持構造物と下部炉心支持構造
   物とが連結管により接続され、前記連結管内に燃料集合
   体のエントランスノズルが上部嵌合と下部嵌合部を介し
   て挿入され、前記燃料集合体が直立保持される高速炉の
   炉心支持構造において、上部嵌合部の上部に設置された
   球面座の上面に円筒状の嵌合部を設け、それと係合可能
   となる環状体を上部炉心支持構造物に設置し、円筒状の
   外径と環状体の内径を装荷位置により異なる様にしたこ
   とを特徴とする高速炉の炉心支持構造。
3. 【請求項３】 請求項２の環状体は、連結管とネジによ
   り結合され、上部炉心支持構造物を挟み込む構造とした
   ことを特徴とする高速炉の炉心支持構造。