JPH07280733A - ラマンスペクトル測定装置 - Google Patents
ラマンスペクトル測定装置Info
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- JPH07280733A JPH07280733A JP6747594A JP6747594A JPH07280733A JP H07280733 A JPH07280733 A JP H07280733A JP 6747594 A JP6747594 A JP 6747594A JP 6747594 A JP6747594 A JP 6747594A JP H07280733 A JPH07280733 A JP H07280733A
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- laser
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 異なる赤外領域に対応する吸収線を有する各
種の分子の動的な振動状態を測定できるラマンスペクト
ル測定装置を提供する。 【構成】 本実施例のラマンスペクトル測定装置は、設
置台701に設置される試料700から発生するラマン
光を光検出装置800で測定するものである。このラマ
ンスペクトル測定装置は、レーザ光発生装置100(例
えば、単一のレーザ光源と高調波発生器)、レーザ光分
離器200、波長可変装置300(光パラメトリック発
振器、色素レーザ、チタン・サファイヤレーザまたはク
ロム・フォルステライトレーザ)、第1の光学系40
0、第2の光学系500、レーザ光合成器600とを備
えている。
種の分子の動的な振動状態を測定できるラマンスペクト
ル測定装置を提供する。 【構成】 本実施例のラマンスペクトル測定装置は、設
置台701に設置される試料700から発生するラマン
光を光検出装置800で測定するものである。このラマ
ンスペクトル測定装置は、レーザ光発生装置100(例
えば、単一のレーザ光源と高調波発生器)、レーザ光分
離器200、波長可変装置300(光パラメトリック発
振器、色素レーザ、チタン・サファイヤレーザまたはク
ロム・フォルステライトレーザ)、第1の光学系40
0、第2の光学系500、レーザ光合成器600とを備
えている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、測定試料に励起光を照
射するとともに、この照射により発生したラマン散乱光
を測定するラマンスペクトル測定装置に関する。
射するとともに、この照射により発生したラマン散乱光
を測定するラマンスペクトル測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ラマンスペクトル測定装置は、レーザ光
を分子や電子材料に照射するとともに、この照射により
発生したラマン光のスペクトルを検出することでその性
質を同定する測定装置として知られている。このような
装置の中で、試料の分子の特定振動準位を励起しつつラ
マンスペクトルを計測する(レーザ)ラマンスペクトル
測定装置として、「V.N.Bagratashvi
li et al.,Appl.Phys.22,10
1−105,1980“Raman Spectros
copy of Infrared Multipul
e−PhotonExcited Molecule
s”」および「V.N.Bagratashvili
et al.,Opt.Lett.Vol.6,No
3,1981,“Observation of no
nequilibrium vibrational
distribution”」に記載されているものが
ある。一般に振動準位励起を引き起こす赤外線領域の吸
収断面積は、電子励起の場合と異なり3桁以上小さい。
そのため、励起される分子の濃度をラマンスペクトルが
計測できるまでに高めるためには、高強度の光パルスが
必要である。上記およびのラマンスペクトル測定装
置では、炭酸ガスレーザの高強度性を利用するととも
に、このパルス炭酸ガスレーザを用いて分子の振動準位
を励起し(この励起を行うレーザ光を振動準位励起光と
する)、パルスルビーレーザの第2高調波を励起光(ラ
マン計測光)として、SF6 およびCF3 I分子のラマ
ンスペクトルを観察している。この測定により、分子の
振動励起にともなう過渡的な情報が得られている。
を分子や電子材料に照射するとともに、この照射により
発生したラマン光のスペクトルを検出することでその性
質を同定する測定装置として知られている。このような
装置の中で、試料の分子の特定振動準位を励起しつつラ
マンスペクトルを計測する(レーザ)ラマンスペクトル
測定装置として、「V.N.Bagratashvi
li et al.,Appl.Phys.22,10
1−105,1980“Raman Spectros
copy of Infrared Multipul
e−PhotonExcited Molecule
s”」および「V.N.Bagratashvili
et al.,Opt.Lett.Vol.6,No
3,1981,“Observation of no
nequilibrium vibrational
distribution”」に記載されているものが
ある。一般に振動準位励起を引き起こす赤外線領域の吸
収断面積は、電子励起の場合と異なり3桁以上小さい。
そのため、励起される分子の濃度をラマンスペクトルが
計測できるまでに高めるためには、高強度の光パルスが
必要である。上記およびのラマンスペクトル測定装
置では、炭酸ガスレーザの高強度性を利用するととも
に、このパルス炭酸ガスレーザを用いて分子の振動準位
を励起し(この励起を行うレーザ光を振動準位励起光と
する)、パルスルビーレーザの第2高調波を励起光(ラ
マン計測光)として、SF6 およびCF3 I分子のラマ
ンスペクトルを観察している。この測定により、分子の
振動励起にともなう過渡的な情報が得られている。
【0003】また、レーザ光を可変照射することができ
るレーザラマンスペクトル測定装置として、「特開平
3−67155号公報」に記載されたものがあり、この
装置ではチタン・サファイヤレーザを波長可変装置とし
て用いることにより、ラマンスペクトルあるいは共鳴ラ
マンスペクトルを選択的かつ安定した状態で測定するこ
とが可能であることが示されている。
るレーザラマンスペクトル測定装置として、「特開平
3−67155号公報」に記載されたものがあり、この
装置ではチタン・サファイヤレーザを波長可変装置とし
て用いることにより、ラマンスペクトルあるいは共鳴ラ
マンスペクトルを選択的かつ安定した状態で測定するこ
とが可能であることが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】分子(試料)の振動準
位は、分子の同定のために赤外吸収スペクトルが多用さ
れることからに分かるように、一般に1〜100μmの
赤外領域に対応する吸収線を持ち、分子の種類や状態に
固有のものである。そのため、測定したい試料の吸収波
長に対して振動準位励起光の波長を正確に調整する必要
があるが、上記およびのラマンスペクトル装置では
炭酸ガスレーザを用いているため、波長の可変範囲が狭
く、対象とする分子が非常に限定され、任意の分子の測
定を行うことはできない。そこで、上記およびのラ
マンスペクトル測定装置と上記のラマンスペクトル装
置とを組み合わせれば、レーザ光の波長を可変して高強
度のラマンスペクトルを計測することができるはずであ
る。
位は、分子の同定のために赤外吸収スペクトルが多用さ
れることからに分かるように、一般に1〜100μmの
赤外領域に対応する吸収線を持ち、分子の種類や状態に
固有のものである。そのため、測定したい試料の吸収波
長に対して振動準位励起光の波長を正確に調整する必要
があるが、上記およびのラマンスペクトル装置では
炭酸ガスレーザを用いているため、波長の可変範囲が狭
く、対象とする分子が非常に限定され、任意の分子の測
定を行うことはできない。そこで、上記およびのラ
マンスペクトル測定装置と上記のラマンスペクトル装
置とを組み合わせれば、レーザ光の波長を可変して高強
度のラマンスペクトルを計測することができるはずであ
る。
【0005】しかしながら、これらの〜のラマンス
ペクトル装置を組み合わせた場合においても、分子の振
動緩和時間は一般にサブピコ秒〜10ナノ秒程度とされ
ており、上記およびのラマンスペクトル測定装置で
は、2台の別々のレーザ光源を電気的に同期させている
ので、ナノ秒より短い時間領域で両者の同期を取ること
は困難であり、振動緩和時間が特に長い一部の分子の特
定の振動準位についてしか動的な振動状態を測定するこ
とはできない。
ペクトル装置を組み合わせた場合においても、分子の振
動緩和時間は一般にサブピコ秒〜10ナノ秒程度とされ
ており、上記およびのラマンスペクトル測定装置で
は、2台の別々のレーザ光源を電気的に同期させている
ので、ナノ秒より短い時間領域で両者の同期を取ること
は困難であり、振動緩和時間が特に長い一部の分子の特
定の振動準位についてしか動的な振動状態を測定するこ
とはできない。
【0006】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであり、異なる赤外領域に対応する吸収線を有する
各種の分子の動的な振動状態を測定できるラマンスペク
トル測定装置に関する。
ものであり、異なる赤外領域に対応する吸収線を有する
各種の分子の動的な振動状態を測定できるラマンスペク
トル測定装置に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、試料(70
0)から発生するラマン散乱光を光検出装置(800)
で測定するラマンスペクトル測定装置を対象とするもの
である。そして、上記の問題を解決するために、本発明
のラマンスペクトル測定装置は、(A)試料の設置され
る設置台(701)と、(B)単一のレーザ光源(10
0a)から出力されたレーザ光を第1波長を有する第1
レーザ光と第2波長を有する第2レーザ光とに変換して
出力するレーザ光発生装置(100)と、(C)この第
1レーザ光と第2レーザ光とを分離するレーザ光分離器
(200)と、第1レーザ光の波長を変化させる波長可
変装置(300)と、(D)波長可変装置(300)か
ら出射された第1レーザ光が入射されるように配置され
た第1の光学系(400)と、(E)レーザ光分離器
(200)で分離された第2レーザ光が入射されるよう
に配置され、光路長が可変である第2の光学系(50
0)と、(F)第1の光学系から出射された第1レーザ
光と前記第2の光学系から出射された第2レーザ光とが
設置台方向に照射されるように配置されたレーザ光合成
器(600)とを具備することとした。
0)から発生するラマン散乱光を光検出装置(800)
で測定するラマンスペクトル測定装置を対象とするもの
である。そして、上記の問題を解決するために、本発明
のラマンスペクトル測定装置は、(A)試料の設置され
る設置台(701)と、(B)単一のレーザ光源(10
0a)から出力されたレーザ光を第1波長を有する第1
レーザ光と第2波長を有する第2レーザ光とに変換して
出力するレーザ光発生装置(100)と、(C)この第
1レーザ光と第2レーザ光とを分離するレーザ光分離器
(200)と、第1レーザ光の波長を変化させる波長可
変装置(300)と、(D)波長可変装置(300)か
ら出射された第1レーザ光が入射されるように配置され
た第1の光学系(400)と、(E)レーザ光分離器
(200)で分離された第2レーザ光が入射されるよう
に配置され、光路長が可変である第2の光学系(50
0)と、(F)第1の光学系から出射された第1レーザ
光と前記第2の光学系から出射された第2レーザ光とが
設置台方向に照射されるように配置されたレーザ光合成
器(600)とを具備することとした。
【0008】
【作用】本発明のラマンスペクトル測定装置は、まず、
設置台に試料を設置する。次に、レーザ光発生装置(例
えば、単一のレーザ光源と高調波発生器)から第1レー
ザ光と第2レーザ光とを出力し、レーザ光分離器でこの
第1レーザ光と第2レーザ光とを分離する。第1レーザ
光は、波長可変装置(光パラメトリック発振器、色素レ
ーザ、チタン・サファイヤレーザまたはクロム・フォル
ステライトレーザ等)に入力されてその波長が変化させ
られる。そして、波長可変装置から出射された第1レー
ザ光は、第1の光学系に入射する。一方、レーザ光分離
器で分離された第2レーザ光は第2の光学系に入射さ
れ、第1の光学系から出射された第1レーザ光と前記第
2の光学系から出射された第2レーザ光とはレーザ光合
成器により、試料の設置された試料台方向に照射され
る。ここで、第1および第2レーザ光は、単一のレーザ
光源から出射されるとともに、第2の光学系は、その光
路長が可変であるので、第1レーザ光と第2レーザ光と
の試料への照射タイミングをナノ秒オーダーで制御・同
期させることができる。照射のタイミングをナノ秒オー
ダーで制御できれば、あるパルス幅を有する第1および
第2レーザ光の照射のタイミングを変化させて試料の振
動準位の解析を行うことも可能であり、この振動準位の
解析が現在よりさらに進めば、試料のあらたな物性を同
定することも可能であろう。また、これは第2の光学系
の光路長ではなく第1の光学系(400)の光路長が可
変であることとしてもよい。
設置台に試料を設置する。次に、レーザ光発生装置(例
えば、単一のレーザ光源と高調波発生器)から第1レー
ザ光と第2レーザ光とを出力し、レーザ光分離器でこの
第1レーザ光と第2レーザ光とを分離する。第1レーザ
光は、波長可変装置(光パラメトリック発振器、色素レ
ーザ、チタン・サファイヤレーザまたはクロム・フォル
ステライトレーザ等)に入力されてその波長が変化させ
られる。そして、波長可変装置から出射された第1レー
ザ光は、第1の光学系に入射する。一方、レーザ光分離
器で分離された第2レーザ光は第2の光学系に入射さ
れ、第1の光学系から出射された第1レーザ光と前記第
2の光学系から出射された第2レーザ光とはレーザ光合
成器により、試料の設置された試料台方向に照射され
る。ここで、第1および第2レーザ光は、単一のレーザ
光源から出射されるとともに、第2の光学系は、その光
路長が可変であるので、第1レーザ光と第2レーザ光と
の試料への照射タイミングをナノ秒オーダーで制御・同
期させることができる。照射のタイミングをナノ秒オー
ダーで制御できれば、あるパルス幅を有する第1および
第2レーザ光の照射のタイミングを変化させて試料の振
動準位の解析を行うことも可能であり、この振動準位の
解析が現在よりさらに進めば、試料のあらたな物性を同
定することも可能であろう。また、これは第2の光学系
の光路長ではなく第1の光学系(400)の光路長が可
変であることとしてもよい。
【0009】これらの第1レーザ光と第2レーザ光とが
試料に照射される場合においては、波長可変装置は、第
1レーザ光の波長を、第1振動準位にある試料を第2振
動準位に励起するエネルギーの第3の波長に変換すると
ともに、レーザ光発生装置は、第3の波長を有する第1
レーザ光の照射によって第2振動準位に励起される試料
に、第2レーザ光を照射することにより、この試料を中
間準位(第3振動準位)に励起するエネルギーの波長を
有する第2レーザ光を発生するように成されていること
が望ましい。
試料に照射される場合においては、波長可変装置は、第
1レーザ光の波長を、第1振動準位にある試料を第2振
動準位に励起するエネルギーの第3の波長に変換すると
ともに、レーザ光発生装置は、第3の波長を有する第1
レーザ光の照射によって第2振動準位に励起される試料
に、第2レーザ光を照射することにより、この試料を中
間準位(第3振動準位)に励起するエネルギーの波長を
有する第2レーザ光を発生するように成されていること
が望ましい。
【0010】すなわち、第1レーザ光と第2レーザ光と
が試料を構成する特定の分子に照射される場合におい
て、準位と状態密度を示した図9から明らかなように、
初期状態では、第1振動準位にあったこの分子が、第3
の波長(一般にこの波長は分子に固有の赤外吸収スペク
トルに対応する)を有する第1レーザ光の照射によって
第2振動準位に励起され、第2振動準位における状態密
度は高くなる。よって、この第2振動準位に励起された
分子に第2レーザ光を照射すれば、この分子は中間準位
と呼ばれる第3振動準位に励起され、第3振動準位から
第1振動準位への遷移によって発生するアンチストーク
ス光(反ストークス光)の強度は高くなる(同図
(2))。なお、同図(1)は、第1レーザ光が照射さ
れない場合であり、第2振動準位における状態密度は第
1レーザ光を照射した場合と比較して低くなっている。
が試料を構成する特定の分子に照射される場合におい
て、準位と状態密度を示した図9から明らかなように、
初期状態では、第1振動準位にあったこの分子が、第3
の波長(一般にこの波長は分子に固有の赤外吸収スペク
トルに対応する)を有する第1レーザ光の照射によって
第2振動準位に励起され、第2振動準位における状態密
度は高くなる。よって、この第2振動準位に励起された
分子に第2レーザ光を照射すれば、この分子は中間準位
と呼ばれる第3振動準位に励起され、第3振動準位から
第1振動準位への遷移によって発生するアンチストーク
ス光(反ストークス光)の強度は高くなる(同図
(2))。なお、同図(1)は、第1レーザ光が照射さ
れない場合であり、第2振動準位における状態密度は第
1レーザ光を照射した場合と比較して低くなっている。
【0011】しかしながら、上記のように単一の光源か
らのレーザ光を分岐して照射タイミングを高精度に制御
する場合、分岐させた第1および第2レーザ光を合成さ
せなければならないが、レーザ光合成器に入射されるレ
ーザ光の波長は異なるので、このレーザ光合成器から出
射されるレーザ光の方向や焦点がこのレーザ光合成器の
色収差によってずれ、第1および第2レーザ光が試料の
同一領域に照射されないこととなってしまう。そこで、
本発明のラマンスペクトル測定装置は、第1の光学系の
光路上とレーザ光合成器の光路上とのそれぞれに光軸の
一致する2つのレンズ(400g,600b)が設けら
れていることとして、これらレンズを通過する第1レー
ザ光と第2レーザ光の集光点の位置を正確に一致させ
た。すなわち、本発明に係るラマンスペクトル測定装置
では、異なる波長を有する第1レーザ光と第2レーザ光
とをレーザ光分離器により分離した後に、レーザ光合成
器を用いてこれらの光を合成することとしてあるので、
レーザ光合成器を通過して試料に照射されるそれぞれの
レーザ光の波長が異なり、したがって、それぞれのレー
ザ光の集光点は異なることになる。そこで、本発明に係
る単一のレーザ光源を用いたラマンスペクトル測定装置
は、レーザ光合成器の試料の反対側にこのような色収差
を補正するレンズ(400g)を設置することとした。
らのレーザ光を分岐して照射タイミングを高精度に制御
する場合、分岐させた第1および第2レーザ光を合成さ
せなければならないが、レーザ光合成器に入射されるレ
ーザ光の波長は異なるので、このレーザ光合成器から出
射されるレーザ光の方向や焦点がこのレーザ光合成器の
色収差によってずれ、第1および第2レーザ光が試料の
同一領域に照射されないこととなってしまう。そこで、
本発明のラマンスペクトル測定装置は、第1の光学系の
光路上とレーザ光合成器の光路上とのそれぞれに光軸の
一致する2つのレンズ(400g,600b)が設けら
れていることとして、これらレンズを通過する第1レー
ザ光と第2レーザ光の集光点の位置を正確に一致させ
た。すなわち、本発明に係るラマンスペクトル測定装置
では、異なる波長を有する第1レーザ光と第2レーザ光
とをレーザ光分離器により分離した後に、レーザ光合成
器を用いてこれらの光を合成することとしてあるので、
レーザ光合成器を通過して試料に照射されるそれぞれの
レーザ光の波長が異なり、したがって、それぞれのレー
ザ光の集光点は異なることになる。そこで、本発明に係
る単一のレーザ光源を用いたラマンスペクトル測定装置
は、レーザ光合成器の試料の反対側にこのような色収差
を補正するレンズ(400g)を設置することとした。
【0012】さらに、第1または第2光学系を伝搬する
光の偏光方向が調整可能であれば、ラマン散乱光の偏光
に関する情報を得ることができ、また、波長可変装置が
差周波発生器をさらに備えていることとすれば、さらに
波長の可変範囲を広くすることができる。
光の偏光方向が調整可能であれば、ラマン散乱光の偏光
に関する情報を得ることができ、また、波長可変装置が
差周波発生器をさらに備えていることとすれば、さらに
波長の可変範囲を広くすることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明に係るラマンスペクトル測定装
置の一実施例を添付図面に基づいて説明する。なお、同
一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は
省略する。
置の一実施例を添付図面に基づいて説明する。なお、同
一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は
省略する。
【0014】図1は、本発明に係るラマンスペクトル測
定装置の一実施例の構成図である。
定装置の一実施例の構成図である。
【0015】本実施例のラマンスペクトル測定装置は、
設置台701に設置される試料700から発生するラマ
ン光を光検出装置800で測定するものである。このラ
マンスペクトル測定装置は、レーザ光発生装置100
(例えば、単一のレーザ光源と高調波発生器)、レーザ
光分離器200、波長可変装置300(光パラメトリッ
ク発振器、色素レーザ、チタン・サファイヤレーザまた
はクロム・フォルステライトレーザ)、第1の光学系4
00、第2の光学系500、レーザ光合成器600とを
備えている。
設置台701に設置される試料700から発生するラマ
ン光を光検出装置800で測定するものである。このラ
マンスペクトル測定装置は、レーザ光発生装置100
(例えば、単一のレーザ光源と高調波発生器)、レーザ
光分離器200、波長可変装置300(光パラメトリッ
ク発振器、色素レーザ、チタン・サファイヤレーザまた
はクロム・フォルステライトレーザ)、第1の光学系4
00、第2の光学系500、レーザ光合成器600とを
備えている。
【0016】レーザ光発生装置100は、単一のレーザ
光源から出力されたレーザ光を第1波長を有する第1レ
ーザ光と第2波長を有する第2レーザ光とに変調して出
力する。そして、レーザ光分離器200は、この第1レ
ーザ光と第2レーザ光が入射されるように配置されてい
るので、このレーザ光分離器200により、これらのレ
ーザ光は分離される。なお、第2レーザ光はこの試料7
00を第3振動準位に励起する程度のエネルギーの波長
を有している。
光源から出力されたレーザ光を第1波長を有する第1レ
ーザ光と第2波長を有する第2レーザ光とに変調して出
力する。そして、レーザ光分離器200は、この第1レ
ーザ光と第2レーザ光が入射されるように配置されてい
るので、このレーザ光分離器200により、これらのレ
ーザ光は分離される。なお、第2レーザ光はこの試料7
00を第3振動準位に励起する程度のエネルギーの波長
を有している。
【0017】第1レーザ光は、波長可変装置300に入
射されてその波長を変化させられる。波長可変装置30
0では、第1レーザ光の波長を、試料700を第2振動
準位に励起するエネルギーを有する第3の波長に変換す
る。波長可変装置300から出射された第1レーザ光は
第1の光学系400に入射される。また、第2の光学系
500はレーザ光分離器200で分離された第2レーザ
光が入射されるように配置されている。ここで、第2の
光学系500はその光路長が可変である。レーザ光合成
器600は、第1の光学系400から出射された第1レ
ーザ光と第2の光学系から出射された第2レーザ光とが
試料700の設置される試料台701方向に照射される
ように配置されている。ここで、第2の光学系500
は、その光路長が可変であるので、第1レーザ光と第2
レーザ光との試料への照射タイミングをナノ秒オーダー
で制御・同期させることができる。なお、これは第1の
光学系400の光路長が可変であることとしてもよい。
射されてその波長を変化させられる。波長可変装置30
0では、第1レーザ光の波長を、試料700を第2振動
準位に励起するエネルギーを有する第3の波長に変換す
る。波長可変装置300から出射された第1レーザ光は
第1の光学系400に入射される。また、第2の光学系
500はレーザ光分離器200で分離された第2レーザ
光が入射されるように配置されている。ここで、第2の
光学系500はその光路長が可変である。レーザ光合成
器600は、第1の光学系400から出射された第1レ
ーザ光と第2の光学系から出射された第2レーザ光とが
試料700の設置される試料台701方向に照射される
ように配置されている。ここで、第2の光学系500
は、その光路長が可変であるので、第1レーザ光と第2
レーザ光との試料への照射タイミングをナノ秒オーダー
で制御・同期させることができる。なお、これは第1の
光学系400の光路長が可変であることとしてもよい。
【0018】このような構成とすることにより、試料7
00には異なった波長の第1および第2レーザ光が照射
されることになる。これらのレーザ光が試料700に照
射されると、試料700からはラマン散乱光が励起され
る。そして、このラマン光は光検出装置800で検出・
測定される。
00には異なった波長の第1および第2レーザ光が照射
されることになる。これらのレーザ光が試料700に照
射されると、試料700からはラマン散乱光が励起され
る。そして、このラマン光は光検出装置800で検出・
測定される。
【0019】このラマンスペクトル装置を用いて試料7
00を測定する場合、まず、レーザ光を照射しない状態
では、試料700は第1振動準位にあるとする。この試
料700に第3の波長を有する第1レーザ光が照射され
ることによりこの試料700は第2振動準位に励起され
る。そして、この第2振動準位に励起された試料700
に第2レーザ光を照射することにより、試料は第3振動
準位に励起され、この試料が第3振動準位から第1振動
準位に遷移する際にラマン散乱光(アンチストークス
光)が放出され、光検出装置800では、主としてこの
アンチストークス光を検出する。
00を測定する場合、まず、レーザ光を照射しない状態
では、試料700は第1振動準位にあるとする。この試
料700に第3の波長を有する第1レーザ光が照射され
ることによりこの試料700は第2振動準位に励起され
る。そして、この第2振動準位に励起された試料700
に第2レーザ光を照射することにより、試料は第3振動
準位に励起され、この試料が第3振動準位から第1振動
準位に遷移する際にラマン散乱光(アンチストークス
光)が放出され、光検出装置800では、主としてこの
アンチストークス光を検出する。
【0020】以上、図1に示したラマンスペクトル測定
装置によれば、まず、波長可変装置300を用いて異な
る赤外領域に対応する吸収線を有する試料700にこの
吸収線に対応した第1レーザ光(振動準位励起光)を照
射して試料700を第1振動準位から第2振動準位に励
起するとともに、この励起された試料700に第2レー
ザ光(ラマンスペクトル計測光)を照射することによ
り、この試料700を第3振動準位に励起する。そし
て、試料700の振動準位は第3振動準位から第1振動
準位に遷移するので、主としてアンチストークス光が試
料700から発生する。そして、第2の光学系500は
その光路長が調整可能であるので、試料700の動的な
振動状態を測定することができる。
装置によれば、まず、波長可変装置300を用いて異な
る赤外領域に対応する吸収線を有する試料700にこの
吸収線に対応した第1レーザ光(振動準位励起光)を照
射して試料700を第1振動準位から第2振動準位に励
起するとともに、この励起された試料700に第2レー
ザ光(ラマンスペクトル計測光)を照射することによ
り、この試料700を第3振動準位に励起する。そし
て、試料700の振動準位は第3振動準位から第1振動
準位に遷移するので、主としてアンチストークス光が試
料700から発生する。そして、第2の光学系500は
その光路長が調整可能であるので、試料700の動的な
振動状態を測定することができる。
【0021】次に、図1に示したラマンスペクトル装置
のさらに詳細な構成について図2を用いて説明する。
のさらに詳細な構成について図2を用いて説明する。
【0022】図2は、図1に示したラマンスペクトル測
定装置のさらに詳細な構成を説明するための構成図であ
る。なお、各光学部材は、レーザ光の入射する面を入射
面とし、レーザ光が透過して出射する面を出射面と定義
する。
定装置のさらに詳細な構成を説明するための構成図であ
る。なお、各光学部材は、レーザ光の入射する面を入射
面とし、レーザ光が透過して出射する面を出射面と定義
する。
【0023】レーザ光発生装置100は、レーザ光源1
00a、レーザ光源100aから出射されたレーザ光が
入射されるように配置された第2高調波発生器100b
および第2高調波発生器100bから出射されたレーザ
光が入射されるように配置された第3高調波100c発
生器から構成されている。ここで、レーザ光源100a
は、QスイッチNd:YAGレーザである。このレーザ
光源100aは波長1064nmの基本波(繰り返し周
波数10Hz、パルス幅7ns(FWHM)程度)を発
生する。そして、この基本波は第2高調波発生器100
aおよび第3高調波発生器100bを介することによっ
て、第3高調波発生器100bの出力面からは波長10
64nmの基本波、この基本波の第2高調波532nm
(第2レーザ光)および第3高調波355nm(第1レ
ーザ光)が同軸上に出射される。
00a、レーザ光源100aから出射されたレーザ光が
入射されるように配置された第2高調波発生器100b
および第2高調波発生器100bから出射されたレーザ
光が入射されるように配置された第3高調波100c発
生器から構成されている。ここで、レーザ光源100a
は、QスイッチNd:YAGレーザである。このレーザ
光源100aは波長1064nmの基本波(繰り返し周
波数10Hz、パルス幅7ns(FWHM)程度)を発
生する。そして、この基本波は第2高調波発生器100
aおよび第3高調波発生器100bを介することによっ
て、第3高調波発生器100bの出力面からは波長10
64nmの基本波、この基本波の第2高調波532nm
(第2レーザ光)および第3高調波355nm(第1レ
ーザ光)が同軸上に出射される。
【0024】なお、ここで基本波と第1レーザ光の偏光
方向と第2レーザ光の偏光方向とは直行している。すな
わち、基本波と第1レーザ光の電界ベクトルは紙面に平
行であり、第2レーザ光の電界ベクトルは紙面に垂直で
ある。なお、このレーザ光発生装置は、レーザ光源10
0aと光パラメトリック発振器、色素レーザ、チタン・
サファイヤレーザまたはクロム・フォルステライトレー
ザとから構成してもよい。
方向と第2レーザ光の偏光方向とは直行している。すな
わち、基本波と第1レーザ光の電界ベクトルは紙面に平
行であり、第2レーザ光の電界ベクトルは紙面に垂直で
ある。なお、このレーザ光発生装置は、レーザ光源10
0aと光パラメトリック発振器、色素レーザ、チタン・
サファイヤレーザまたはクロム・フォルステライトレー
ザとから構成してもよい。
【0025】レーザ光分離器200は、ダイクロイック
ミラー200a、ダイクロイックミラー200bおよび
光減衰器200cとから構成されている。そして、ダイ
クロイックミラー200aはその表面が第3高調波発生
器100cの出力面に対向して配置されており、ダイク
ロイックミラー200aの裏面にはダイクロイックミラ
ー200bの表面が対向して配置されている。ダイクロ
イックミラー200aは、1064nmの波長の光を反
射し、532nmおよび355nmの波長の光を透過す
る。ダイクロイックミラー200bは532nmの波長
の光を反射し、355nmの波長の光を透過する。よっ
て、第3高調波発生器100bの出力面からダイクロイ
ックミラー200aに入射したレーザ光の内、基本波は
このダイクロイックミラー200aで反射されて減衰器
200cに入射して吸収され、第1および第2レーザ光
は、ダイクロイックミラー200aを透過する。そし
て、この第2レーザ光はダイクロイックミラー200b
で反射されて第2の光学系500に入射され、第1レー
ザ光はダイクロイックミラー200bを透過して波長変
換装置500内に入射される。
ミラー200a、ダイクロイックミラー200bおよび
光減衰器200cとから構成されている。そして、ダイ
クロイックミラー200aはその表面が第3高調波発生
器100cの出力面に対向して配置されており、ダイク
ロイックミラー200aの裏面にはダイクロイックミラ
ー200bの表面が対向して配置されている。ダイクロ
イックミラー200aは、1064nmの波長の光を反
射し、532nmおよび355nmの波長の光を透過す
る。ダイクロイックミラー200bは532nmの波長
の光を反射し、355nmの波長の光を透過する。よっ
て、第3高調波発生器100bの出力面からダイクロイ
ックミラー200aに入射したレーザ光の内、基本波は
このダイクロイックミラー200aで反射されて減衰器
200cに入射して吸収され、第1および第2レーザ光
は、ダイクロイックミラー200aを透過する。そし
て、この第2レーザ光はダイクロイックミラー200b
で反射されて第2の光学系500に入射され、第1レー
ザ光はダイクロイックミラー200bを透過して波長変
換装置500内に入射される。
【0026】波長可変装置300は、入射した光の波長
を変換して出射する装置であり、本実施例では波長可変
装置300に光パラメトリック発振器(Optical
Parametric Oscillation:以
下OPOとする)を用いている。波長変換装置300
(OPO)は、レンズ300a、レンズ300b、ミラ
ー300c、回転ステージ300d、BBO結晶300
e、ミラー300f、フィルタ300gおよびOPOコ
ントローラ300hから構成されている。
を変換して出射する装置であり、本実施例では波長可変
装置300に光パラメトリック発振器(Optical
Parametric Oscillation:以
下OPOとする)を用いている。波長変換装置300
(OPO)は、レンズ300a、レンズ300b、ミラ
ー300c、回転ステージ300d、BBO結晶300
e、ミラー300f、フィルタ300gおよびOPOコ
ントローラ300hから構成されている。
【0027】レンズ300aおよびレンズ300bは、
ダイクロイックミラー200bの裏面に対向して設置さ
れており、ビーム径変換器(コリメータ)を構成してい
る。
ダイクロイックミラー200bの裏面に対向して設置さ
れており、ビーム径変換器(コリメータ)を構成してい
る。
【0028】ミラー300cおよび300fは、共に波
長355nmの光を透過し、波長400nm〜700n
mの可視光を反射し、700nm以上の赤外光を透過す
るようにコーティングされている。
長355nmの光を透過し、波長400nm〜700n
mの可視光を反射し、700nm以上の赤外光を透過す
るようにコーティングされている。
【0029】BBO結晶300eはβ相硼酸バリウム
(β−Ba2 BO4 )の結晶であり、z軸は紙面に平行
になるように切り出してあり、励起光である355nm
は異常光として入射する。このとき、355nmのパワ
ー密度が発振閾値を越えると光パラメトリック発振が生
じ、あらたな2つの波長の光(シグナル光とアイドラー
光)が発生する。この場合、2つの波長は常光であり、
偏光方向は垂直となる。また、その波長は、 1/λp=1/λs+1/λi …(式1) ne(λp,θ)/λp=no(λs)/λs+no(λi)/λi…(式2) の2つの条件を満たすように定まる。但し、λp,λ
s,λiはそれぞれ第1レーザ光(励起光:λp=35
5nm)、シグナル光(λs≦710nm)、アイドラ
ー光(λi≧710nm、例えば1〜2μm)の波長で
あり、no(λ)は波長λにおけるBBO結晶300e
の常光に対する屈折率、ne(λp,θ)は、z軸に対
して波数ベクトルがθの角度をなして進む波長λの光に
対する異常光に対する屈折率である。
(β−Ba2 BO4 )の結晶であり、z軸は紙面に平行
になるように切り出してあり、励起光である355nm
は異常光として入射する。このとき、355nmのパワ
ー密度が発振閾値を越えると光パラメトリック発振が生
じ、あらたな2つの波長の光(シグナル光とアイドラー
光)が発生する。この場合、2つの波長は常光であり、
偏光方向は垂直となる。また、その波長は、 1/λp=1/λs+1/λi …(式1) ne(λp,θ)/λp=no(λs)/λs+no(λi)/λi…(式2) の2つの条件を満たすように定まる。但し、λp,λ
s,λiはそれぞれ第1レーザ光(励起光:λp=35
5nm)、シグナル光(λs≦710nm)、アイドラ
ー光(λi≧710nm、例えば1〜2μm)の波長で
あり、no(λ)は波長λにおけるBBO結晶300e
の常光に対する屈折率、ne(λp,θ)は、z軸に対
して波数ベクトルがθの角度をなして進む波長λの光に
対する異常光に対する屈折率である。
【0030】回転ステージ300dは、BBO結晶30
0eをその上に固定して設置しており、水平面内で回転
する。この回転は、回転ステージ300dの回転軸に固
定されたステッピングモータを駆動することにより行う
ことができ、回転ステージ300dは減速器をさらに備
えている。そして、回転ステージ300dは1/100
度以上の高い精度で回転し、BBO結晶300eの励起
光に対する角度を走査することができる。なお、この回
転ステージ300dはOPOコントローラ300hによ
り制御されている。BBO結晶300eの励起光に対す
る角度が変化すると、上記(式1)および(式2)を満
たすλsおよびλiが変化するので、この波長可変装置
から出力されるレーザ光の波長が連続的に可変となる。
0eをその上に固定して設置しており、水平面内で回転
する。この回転は、回転ステージ300dの回転軸に固
定されたステッピングモータを駆動することにより行う
ことができ、回転ステージ300dは減速器をさらに備
えている。そして、回転ステージ300dは1/100
度以上の高い精度で回転し、BBO結晶300eの励起
光に対する角度を走査することができる。なお、この回
転ステージ300dはOPOコントローラ300hによ
り制御されている。BBO結晶300eの励起光に対す
る角度が変化すると、上記(式1)および(式2)を満
たすλsおよびλiが変化するので、この波長可変装置
から出力されるレーザ光の波長が連続的に可変となる。
【0031】フィルタ300gは、OPOから出力され
る光のうち、波長λpとλsとを有するレーザ光を吸収
して、赤外波長λiを有するレーザ光を透過させる。本
実施例では、この波長λi(第3の波長)を振動準位励
起光(第3の波長を有する第1レーザ光)として用い
た。
る光のうち、波長λpとλsとを有するレーザ光を吸収
して、赤外波長λiを有するレーザ光を透過させる。本
実施例では、この波長λi(第3の波長)を振動準位励
起光(第3の波長を有する第1レーザ光)として用い
た。
【0032】OPOコントローラ300hは図示しない
記憶領域、入力装置、制御装置、演算装置および出力装
置を備えており、この記憶領域には予め測定されたBB
O結晶300eの角度と出力される第1レーザ光(振動
準位励起光)の波長(第3の波長)との関係が記憶され
ている。そして、OPOコントローラ300hの入力装
置に出力したい波長を入力すると、この入力により記憶
領域から波長に対応した角度を読み出して、BBO結晶
300eを回転(回動)させるステッピングモータの回
動角度に対応した信号を出力装置から出力して、このス
テッピングモータをBBO結晶300eが所定の回動角
度になるように駆動する。そして、このような動作をす
るOPOコントローラ300hは、コンピュータにより
構成することができる。なお、本実施例では、波長可変
装置300としてOPOを用いたが、これは、後述する
色素レーザ、チタン・サファイヤレーザまたはクロム・
フォルステライトレーザなどの波長可変レーザと分光器
で代用することも可能である。
記憶領域、入力装置、制御装置、演算装置および出力装
置を備えており、この記憶領域には予め測定されたBB
O結晶300eの角度と出力される第1レーザ光(振動
準位励起光)の波長(第3の波長)との関係が記憶され
ている。そして、OPOコントローラ300hの入力装
置に出力したい波長を入力すると、この入力により記憶
領域から波長に対応した角度を読み出して、BBO結晶
300eを回転(回動)させるステッピングモータの回
動角度に対応した信号を出力装置から出力して、このス
テッピングモータをBBO結晶300eが所定の回動角
度になるように駆動する。そして、このような動作をす
るOPOコントローラ300hは、コンピュータにより
構成することができる。なお、本実施例では、波長可変
装置300としてOPOを用いたが、これは、後述する
色素レーザ、チタン・サファイヤレーザまたはクロム・
フォルステライトレーザなどの波長可変レーザと分光器
で代用することも可能である。
【0033】第1の光学系400は、プリズム400a
〜400d、フィルタ400e、波長板400fおよび
レンズ400g(焦点距離500nm)とから構成され
ている。
〜400d、フィルタ400e、波長板400fおよび
レンズ400g(焦点距離500nm)とから構成され
ている。
【0034】プリズム400aは、波長可変装置300
のフィルタ300gの出射面に対向して設置されてお
り、波長可変装置300から出射された第3の波長を有
する第1レーザ光が入射するように配置されている。プ
リズム400b〜400dは、プリズム400aから出
力された光が順次入射されるように配置されている。フ
ィルタ400e、波長板400fおよびレンズ400g
は、プリズム400d出射面に対向して配置されてい
る。
のフィルタ300gの出射面に対向して設置されてお
り、波長可変装置300から出射された第3の波長を有
する第1レーザ光が入射するように配置されている。プ
リズム400b〜400dは、プリズム400aから出
力された光が順次入射されるように配置されている。フ
ィルタ400e、波長板400fおよびレンズ400g
は、プリズム400d出射面に対向して配置されてい
る。
【0035】フィルタ400eは、このフィルタ400
eを透過する第1レーザ光の強度を調整する。
eを透過する第1レーザ光の強度を調整する。
【0036】波長板400fは、この波長板400fを
透過する第1レーザ光の偏光方向を変化させるための赤
外用のフレネルロム1/2波長板であり、垂直偏光を出
射する。レンズ400gは、このレンズ400gを透過
する第1レーザ光を集光する。ここで、プリズム400
bおよび400cは、このプリズム400bおよび40
0cに入射および出射する第1レーザ光の進行方向を変
化させないように図の矢印1で示される方向に移動させ
ることができる。従って、第1の光学系400は、その
光路長が変化させることができる構成としてある。
透過する第1レーザ光の偏光方向を変化させるための赤
外用のフレネルロム1/2波長板であり、垂直偏光を出
射する。レンズ400gは、このレンズ400gを透過
する第1レーザ光を集光する。ここで、プリズム400
bおよび400cは、このプリズム400bおよび40
0cに入射および出射する第1レーザ光の進行方向を変
化させないように図の矢印1で示される方向に移動させ
ることができる。従って、第1の光学系400は、その
光路長が変化させることができる構成としてある。
【0037】レーザ光合成器600は、ダイクロイック
ミラー600aとレンズ600b(焦点距離260m
m)を備えている。そして、レーザ光合成器600のダ
イクロイックミラー600aは、第1の光学系400の
レンズ400gの出射面に対向して配置されており、波
長532nm(第2の波長)のレーザ光(第2レーザ
光)を反射し、波長1〜2μm(第3の波長)の赤外光
(第1レーザ光)を透過させる。レンズ400gから出
力された第3波長を有する第1レーザ光は、ダイクロイ
ックミラー600aに入射されるが、第1レーザ光は第
3波長を有しているので、第1レーザ光はダイクロイッ
クミラー600aを透過してレンズ600bに入射され
る。レンズ600bの出射面側には試料700が設置さ
れるので、ダイクロイックミラー600aからレンズ6
00bに入射されたレーザ光は試料700照射されるこ
とになる。
ミラー600aとレンズ600b(焦点距離260m
m)を備えている。そして、レーザ光合成器600のダ
イクロイックミラー600aは、第1の光学系400の
レンズ400gの出射面に対向して配置されており、波
長532nm(第2の波長)のレーザ光(第2レーザ
光)を反射し、波長1〜2μm(第3の波長)の赤外光
(第1レーザ光)を透過させる。レンズ400gから出
力された第3波長を有する第1レーザ光は、ダイクロイ
ックミラー600aに入射されるが、第1レーザ光は第
3波長を有しているので、第1レーザ光はダイクロイッ
クミラー600aを透過してレンズ600bに入射され
る。レンズ600bの出射面側には試料700が設置さ
れるので、ダイクロイックミラー600aからレンズ6
00bに入射されたレーザ光は試料700照射されるこ
とになる。
【0038】一方、このレーザ光合成器600には、第
2の光学系500を介して第2レーザ光が入射される。
2の光学系500を介して第2レーザ光が入射される。
【0039】第2の光学系500は、プリズム500
a、500b、フィルタ500cおよび波長板500d
を備えている。プリズム500aは、レーザ光分離器2
00のダイクロイックミラー200bの入射面に対向し
て配置されている。そして、ダイクロイックミラー20
0bで反射された第2の波長を有する第2レーザ光は、
プリズム500aに入射されて、このプリズム500a
の出射面に対向して配置されたプリズム500bに出射
される。プリズム500bの出射面には、フィルタ50
0cおよび波長板500dを介してレーザ光合成器60
0のダイクロイックミラー600aが対向して配置して
あり、従って、第2レーザ光は、第2の光学系500と
レーザ光合成器600とを順次介して試料700に照射
される。
a、500b、フィルタ500cおよび波長板500d
を備えている。プリズム500aは、レーザ光分離器2
00のダイクロイックミラー200bの入射面に対向し
て配置されている。そして、ダイクロイックミラー20
0bで反射された第2の波長を有する第2レーザ光は、
プリズム500aに入射されて、このプリズム500a
の出射面に対向して配置されたプリズム500bに出射
される。プリズム500bの出射面には、フィルタ50
0cおよび波長板500dを介してレーザ光合成器60
0のダイクロイックミラー600aが対向して配置して
あり、従って、第2レーザ光は、第2の光学系500と
レーザ光合成器600とを順次介して試料700に照射
される。
【0040】なお、フィルタ500cは、このフィルタ
500cを透過する第2レーザ光の強度を調整する。
500cを透過する第2レーザ光の強度を調整する。
【0041】波長板500dは、この波長板500dを
透過する第2レーザ光の偏光方向を変化させるための波
長532nm用の1/2波長板であり、垂直偏光を出射
する。また、プリズム500aおよび500bは、この
プリズム500aおよび500bに入射および出射する
第2レーザ光の進行方向を変化させないように図の矢印
2で示される方向に移動させることができる。従って、
第2の光学系500は、その光路長が変化させることが
できる構成としてある。
透過する第2レーザ光の偏光方向を変化させるための波
長532nm用の1/2波長板であり、垂直偏光を出射
する。また、プリズム500aおよび500bは、この
プリズム500aおよび500bに入射および出射する
第2レーザ光の進行方向を変化させないように図の矢印
2で示される方向に移動させることができる。従って、
第2の光学系500は、その光路長が変化させることが
できる構成としてある。
【0042】なお、レーザ光合成器600は、試料70
0に照射される第1および第2レーザ光の光軸が一致す
るように配置されているので、これらの第1および第2
レーザ光は、試料700の同一部分に照射されることに
なる。
0に照射される第1および第2レーザ光の光軸が一致す
るように配置されているので、これらの第1および第2
レーザ光は、試料700の同一部分に照射されることに
なる。
【0043】ここで、第1レーザ光と第2レーザ光との
波長は大きく異なっているため、レンズ600bでは色
収差が生じ、また、波長可変装置500(OPO)から
の出力光(振動準位励起光:第3の波長を有する第1レ
ーザ光)は、このビームの広がり角が大きくなっている
ので、第1のレンズ第1レーザ光の光路の第1の光学系
400は、レンズ400gを備えることとして、レンズ
600bと400gとの集光点の位置を正確に一致させ
てある。すなわち、本実施例では、異なる波長を有する
第1レーザ光と第2レーザ光とをレーザ光分離器200
により分離した後に、レーザ光合成器600を用いてこ
れらの光を合成することとしてあるので、レーザ光合成
器600を通過して試料700に照射されるそれぞれの
レーザ光の波長が異なり、したがって、それぞれのレー
ザ光の集光点は異なることになる。そこで、本実施例に
係る単一の光源100を用いたラマンスペクトル測定装
置は、レーザ光合成器600の試料700の反対側にこ
のような色収差を補正するレンズ400gを設置するこ
ととした。また、本実施例の場合には、波長可変装置3
00からの出力される第1レーザ光のビーム広がり角が
第2レーザ光の広がり角よりも大きいので、この凸レン
ズ400gを設置することによって色収差と合わせてこ
れらのレーザ光の集光点を一致させることができる。な
お、このレンズ400gは、場合により凹レンズを代用
することとしてもよい。また、このレンズ400gをレ
ーザ光の光軸に対して平行移動可能であれば、様々な波
長のレーザ光に対して、集光点を一致させることができ
る。なお、このレンズ400gをレーザ光の光軸に対し
て垂直に移動可能であれば、試料700上の任意の点に
レーザ光を集光する位置合わせ調整手段としても機能さ
せることができる。
波長は大きく異なっているため、レンズ600bでは色
収差が生じ、また、波長可変装置500(OPO)から
の出力光(振動準位励起光:第3の波長を有する第1レ
ーザ光)は、このビームの広がり角が大きくなっている
ので、第1のレンズ第1レーザ光の光路の第1の光学系
400は、レンズ400gを備えることとして、レンズ
600bと400gとの集光点の位置を正確に一致させ
てある。すなわち、本実施例では、異なる波長を有する
第1レーザ光と第2レーザ光とをレーザ光分離器200
により分離した後に、レーザ光合成器600を用いてこ
れらの光を合成することとしてあるので、レーザ光合成
器600を通過して試料700に照射されるそれぞれの
レーザ光の波長が異なり、したがって、それぞれのレー
ザ光の集光点は異なることになる。そこで、本実施例に
係る単一の光源100を用いたラマンスペクトル測定装
置は、レーザ光合成器600の試料700の反対側にこ
のような色収差を補正するレンズ400gを設置するこ
ととした。また、本実施例の場合には、波長可変装置3
00からの出力される第1レーザ光のビーム広がり角が
第2レーザ光の広がり角よりも大きいので、この凸レン
ズ400gを設置することによって色収差と合わせてこ
れらのレーザ光の集光点を一致させることができる。な
お、このレンズ400gは、場合により凹レンズを代用
することとしてもよい。また、このレンズ400gをレ
ーザ光の光軸に対して平行移動可能であれば、様々な波
長のレーザ光に対して、集光点を一致させることができ
る。なお、このレンズ400gをレーザ光の光軸に対し
て垂直に移動可能であれば、試料700上の任意の点に
レーザ光を集光する位置合わせ調整手段としても機能さ
せることができる。
【0044】以上のようにして、試料700に第1およ
び第2レーザ光が照射されることになるが、本実施例で
は、第1の光学系400および第2の光学系500の光
路長が可変であるので、これらのレーザ光を同時に試料
700に照射することができる。すなわち、同期をとる
ためにレーザ光を単一光源100aから出射することに
しても、波長可変装置300であるOPOでの立ち上が
り時間(第1レーザ光の第1波長を第3波長に変換する
のに要する時間:本実施例の場合は約3ns)分だけ遅
れてしまうので、本実施例では第1の光学系400また
は第2の光学系500の光路長を変化させて試料700
に到達するレーザ光のタイミングを調整することとし
た。
び第2レーザ光が照射されることになるが、本実施例で
は、第1の光学系400および第2の光学系500の光
路長が可変であるので、これらのレーザ光を同時に試料
700に照射することができる。すなわち、同期をとる
ためにレーザ光を単一光源100aから出射することに
しても、波長可変装置300であるOPOでの立ち上が
り時間(第1レーザ光の第1波長を第3波長に変換する
のに要する時間:本実施例の場合は約3ns)分だけ遅
れてしまうので、本実施例では第1の光学系400また
は第2の光学系500の光路長を変化させて試料700
に到達するレーザ光のタイミングを調整することとし
た。
【0045】第1および第2のレーザ光が照射される
と、試料700からはラマン散乱光が発生するが、この
ラマン散乱光は光検出装置800で測定する。以下、詳
説する。
と、試料700からはラマン散乱光が発生するが、この
ラマン散乱光は光検出装置800で測定する。以下、詳
説する。
【0046】光検出装置800は、レンズ800a(焦
点距離50mm)、フィルタ800b、偏光板800
c、レンズ800d(焦点距離50mm)、光ファイバ
800e、分光器800f、ストリークカメラ800
g、冷却CCDカメラ800h、フレームメモリ800
i、CRT800j、YAGレーザコントローラ800
kおよびディレイユニット800mから構成されてい
る。
点距離50mm)、フィルタ800b、偏光板800
c、レンズ800d(焦点距離50mm)、光ファイバ
800e、分光器800f、ストリークカメラ800
g、冷却CCDカメラ800h、フレームメモリ800
i、CRT800j、YAGレーザコントローラ800
kおよびディレイユニット800mから構成されてい
る。
【0047】試料700から発生したラマン散乱光は、
レンズ800aで集光された後、フィルタ800b、偏
光板800c、レンズ800dを介して光ファイバ80
0eに入射される。試料700から発生する光の中には
レイリー散乱光(例えば、波長532nm)も含まれる
ので、フィルタ800bでレイリー散乱光を除去し、ラ
マン散乱光のみを透過させる。
レンズ800aで集光された後、フィルタ800b、偏
光板800c、レンズ800dを介して光ファイバ80
0eに入射される。試料700から発生する光の中には
レイリー散乱光(例えば、波長532nm)も含まれる
ので、フィルタ800bでレイリー散乱光を除去し、ラ
マン散乱光のみを透過させる。
【0048】また、偏光板800cは、この偏光板80
0cに入射するラマン散乱光の特定の偏光成分を透過さ
せ、この散乱光の偏光に関する情報が得られる構成とし
てある。光ファイバ800eを通過したラマン散乱光
は、回折格子800fやプリズムなどの分光器800f
を介して波長ごとに分解されてストリークカメラ800
gの出力面に対向して配置された冷却CCD800hで
撮像される。
0cに入射するラマン散乱光の特定の偏光成分を透過さ
せ、この散乱光の偏光に関する情報が得られる構成とし
てある。光ファイバ800eを通過したラマン散乱光
は、回折格子800fやプリズムなどの分光器800f
を介して波長ごとに分解されてストリークカメラ800
gの出力面に対向して配置された冷却CCD800hで
撮像される。
【0049】ストリークカメラ800gは入射した光を
ストリークカメラ800gの入射面に備えられた光電面
で電子に変換するとともに、この電子の軌道を囲むよう
に設けられた偏向電極を備えており、この偏向電極に掃
引電圧を印加することにより、この電子の軌道を掃引し
て、出力面に配置された蛍光面でこの電子を光に再変換
して出射する装置である。よって、冷却CCDカメラ8
00hでは、ラマン散乱光の時間分解されたスペクトル
を検出することができる。
ストリークカメラ800gの入射面に備えられた光電面
で電子に変換するとともに、この電子の軌道を囲むよう
に設けられた偏向電極を備えており、この偏向電極に掃
引電圧を印加することにより、この電子の軌道を掃引し
て、出力面に配置された蛍光面でこの電子を光に再変換
して出射する装置である。よって、冷却CCDカメラ8
00hでは、ラマン散乱光の時間分解されたスペクトル
を検出することができる。
【0050】冷却CCDカメラ800hからの信号電荷
は、A/D変換されてフレームメモリ800iに記憶さ
れる。そして、フレームメモリ800iに記憶されらラ
マンスペクトルに対応した信号は、CRT800j上に
出力することができる。なお、ストリークカメラ800
gの動作は、ディレイユニット800mにより、レーザ
光源100aの駆動時に遅れて動作させられる構成とし
てあり、これらのレーザ光源100aおよびストリーク
カメラ800gの動作タイミングはYAGレーザコント
ローラ800kにより制御されている。
は、A/D変換されてフレームメモリ800iに記憶さ
れる。そして、フレームメモリ800iに記憶されらラ
マンスペクトルに対応した信号は、CRT800j上に
出力することができる。なお、ストリークカメラ800
gの動作は、ディレイユニット800mにより、レーザ
光源100aの駆動時に遅れて動作させられる構成とし
てあり、これらのレーザ光源100aおよびストリーク
カメラ800gの動作タイミングはYAGレーザコント
ローラ800kにより制御されている。
【0051】そして、ラマンスペクトルの形状を測定す
る場合には、フレームメモリ800iでストリーク像を
時間軸のある程度の幅で積算し、あるスペクトル線の強
度を測定する場合には、波長軸のある程度の幅で積算す
る。なお、この光検出装置800ではストリークカメラ
800gを用いたが、これはストリークカメラ800g
に代えてゲート機能を有するゲート付イメージインテン
シファイアや位置検出型光電子増倍管、光電子増倍管ア
レイなどのマルチチャンネル受光素子から構成すること
としてもよい。
る場合には、フレームメモリ800iでストリーク像を
時間軸のある程度の幅で積算し、あるスペクトル線の強
度を測定する場合には、波長軸のある程度の幅で積算す
る。なお、この光検出装置800ではストリークカメラ
800gを用いたが、これはストリークカメラ800g
に代えてゲート機能を有するゲート付イメージインテン
シファイアや位置検出型光電子増倍管、光電子増倍管ア
レイなどのマルチチャンネル受光素子から構成すること
としてもよい。
【0052】次に、このラマンスペクトル測定装置を用
いて実際に試料を測定した。以下、この測定実験につい
て説明する。
いて実際に試料を測定した。以下、この測定実験につい
て説明する。
【0053】測定試料には、ベンゼンを用いた。この測
定結果を図4〜図6に示す。なお、図3は、従来のアル
ゴンレーザ(波長514.5nm)励起の場合のラマン
スペクトルを示しており、YAGレーザを用いた場合に
もこれと同様の結果が得られた。
定結果を図4〜図6に示す。なお、図3は、従来のアル
ゴンレーザ(波長514.5nm)励起の場合のラマン
スペクトルを示しており、YAGレーザを用いた場合に
もこれと同様の結果が得られた。
【0054】測定実験に際しては、まず、図2のプリズ
ム500aおよび500bをダイクロイックミラー20
0bおよび600aに最も近づけたときに、第2レーザ
光(ラマン計測光)が第1レーザ光(振動準位励起光)
より8ns早く試料に到達するようにプリズム400a
〜400dの位置を調整しておき、しかる後にプリズム
500aおよび500bのみをダイクロイックミラー2
00bおよび600aから遠ざけながら、ラマン散乱計
測光の試料への照射タイミングを変化させた。
ム500aおよび500bをダイクロイックミラー20
0bおよび600aに最も近づけたときに、第2レーザ
光(ラマン計測光)が第1レーザ光(振動準位励起光)
より8ns早く試料に到達するようにプリズム400a
〜400dの位置を調整しておき、しかる後にプリズム
500aおよび500bのみをダイクロイックミラー2
00bおよび600aから遠ざけながら、ラマン散乱計
測光の試料への照射タイミングを変化させた。
【0055】また、振動準位励起光は、試料700中で
吸収されて急速に減衰するので、試料700に光が入射
する部分になるべく近い位置からのラマン散乱光が光フ
ァイバ800eに集光されるように調整した。また、こ
の光を分光器800fに導いて、2400本/mmのグ
レーティングで分光を行い、冷却CCDカメラ800h
でラマンスペクトルを測定した。
吸収されて急速に減衰するので、試料700に光が入射
する部分になるべく近い位置からのラマン散乱光が光フ
ァイバ800eに集光されるように調整した。また、こ
の光を分光器800fに導いて、2400本/mmのグ
レーティングで分光を行い、冷却CCDカメラ800h
でラマンスペクトルを測定した。
【0056】また、ストリークカメラ800gは、YA
Gレーザコントローラ800kからのトリガ信号をディ
レイユニット800mにおいて適切な時間で電気的に遅
延さて、この遅延されたトリガ信号により動作させた。
ラマン散乱光は、ラマン散乱計測光(第2レーザ光)の
照射と同時に発生するため、ストリークカメラ800g
の掃引時間はそのパルス幅よりやや広めに設定した。ま
た、光強度は、ラマン散乱計測光(第2レーザ光)3m
J、振動準位励起光(第1レーザ光)2mJとして、1
mm2 程度に集光した。また、計測は3000パルスま
たは1000パルスの積算を行った。
Gレーザコントローラ800kからのトリガ信号をディ
レイユニット800mにおいて適切な時間で電気的に遅
延さて、この遅延されたトリガ信号により動作させた。
ラマン散乱光は、ラマン散乱計測光(第2レーザ光)の
照射と同時に発生するため、ストリークカメラ800g
の掃引時間はそのパルス幅よりやや広めに設定した。ま
た、光強度は、ラマン散乱計測光(第2レーザ光)3m
J、振動準位励起光(第1レーザ光)2mJとして、1
mm2 程度に集光した。また、計測は3000パルスま
たは1000パルスの積算を行った。
【0057】一般に振動励起された分子からのラマン散
乱光の強度は、振動励起された分子の割合に応じてスト
ークス光が減少し、アンチストークス光が増大すると考
えられる。そこで、アンチストークスラマン散乱光、特
に、−992cm-1に注目し、振動準位励起光の波長を
ベンゼンに吸収のある波長1650〜1700nmに可
変して、その強度変化を測定した。
乱光の強度は、振動励起された分子の割合に応じてスト
ークス光が減少し、アンチストークス光が増大すると考
えられる。そこで、アンチストークスラマン散乱光、特
に、−992cm-1に注目し、振動準位励起光の波長を
ベンゼンに吸収のある波長1650〜1700nmに可
変して、その強度変化を測定した。
【0058】まず、ラマン散乱計測光(第2レーザ光)
と振動準位励起光(第1レーザ光)とを、同時刻にベン
ゼン試料700に照射した。第1レーザ光の波長は16
68nmであり、積算回数は3000パルスである。図
4は、このようにして測定されたラマンスペクトルであ
る。横軸はアンチストークス領域のラマンシフトを示
し、縦軸はその波数に対して検出されたラマン強度であ
る。実線は、第1レーザ光を照射した場合であり、点線
は第1レーザ光を照射しなかった場合のラマンスペクト
ルである。同図より明らかなように、赤外光(波長16
68nm)を照射することにより、−992cm-1のア
ンチストークスラマン強度が1.4倍に増強されること
が判定した。波長1670nm付近の赤外光はベンゼン
の振動準位の倍音(結合音)による吸収が起きる波長で
ある。したがって、この波長の光を照射することによっ
て、ベンゼンの振動準位が励起されて熱的平衡状態にあ
るボルツマン分布が乱され、アンチストークス部分の散
乱強度が増大することが確認された。
と振動準位励起光(第1レーザ光)とを、同時刻にベン
ゼン試料700に照射した。第1レーザ光の波長は16
68nmであり、積算回数は3000パルスである。図
4は、このようにして測定されたラマンスペクトルであ
る。横軸はアンチストークス領域のラマンシフトを示
し、縦軸はその波数に対して検出されたラマン強度であ
る。実線は、第1レーザ光を照射した場合であり、点線
は第1レーザ光を照射しなかった場合のラマンスペクト
ルである。同図より明らかなように、赤外光(波長16
68nm)を照射することにより、−992cm-1のア
ンチストークスラマン強度が1.4倍に増強されること
が判定した。波長1670nm付近の赤外光はベンゼン
の振動準位の倍音(結合音)による吸収が起きる波長で
ある。したがって、この波長の光を照射することによっ
て、ベンゼンの振動準位が励起されて熱的平衡状態にあ
るボルツマン分布が乱され、アンチストークス部分の散
乱強度が増大することが確認された。
【0059】さらに、赤外光の波長(第3の波長)を可
変にして、それぞれの波長に対して−992cm-1の強
度を観察した。この場合もラマン散乱計測光と赤外光の
照射は同時刻であり、1000パルスの積算を行った。
図5は、これをプロットしたグラフである(〇はプロッ
トが実測値)。横軸は振動準位励起光として照射した赤
外光の波長、縦軸はそのときの−992cm-1のアンチ
ストークスラマン線の強度を示している。さらに図5で
は、この波長領域に対するベンゼンの吸収スペクトルも
同時に示している。−992cm-1のアンチストークス
線の強度を測定したプロットを回帰した曲線(図5では
点線で示してある)と、吸収スペクトルとを比較するこ
とにより、ラマン散乱光の増強は対応する波長のベンゼ
ンの吸収とよい一致を示していることがわかる。このよ
うにアンチストークス線の強度増強に効果を与える第2
振動準位への励起は、ベンゼンの振動準位励起に共鳴す
る波長の赤外光を照射することが必要であることがわか
る。
変にして、それぞれの波長に対して−992cm-1の強
度を観察した。この場合もラマン散乱計測光と赤外光の
照射は同時刻であり、1000パルスの積算を行った。
図5は、これをプロットしたグラフである(〇はプロッ
トが実測値)。横軸は振動準位励起光として照射した赤
外光の波長、縦軸はそのときの−992cm-1のアンチ
ストークスラマン線の強度を示している。さらに図5で
は、この波長領域に対するベンゼンの吸収スペクトルも
同時に示している。−992cm-1のアンチストークス
線の強度を測定したプロットを回帰した曲線(図5では
点線で示してある)と、吸収スペクトルとを比較するこ
とにより、ラマン散乱光の増強は対応する波長のベンゼ
ンの吸収とよい一致を示していることがわかる。このよ
うにアンチストークス線の強度増強に効果を与える第2
振動準位への励起は、ベンゼンの振動準位励起に共鳴す
る波長の赤外光を照射することが必要であることがわか
る。
【0060】図6は、第2の光学系500の光路長を調
整して、ラマン散乱計測光(第2レーザ光)と振動準位
励起光(第1レーザ光)との照射タイミングを変化させ
た場合のアンチストークス線の強度比の変化を示すグラ
フである。図6の縦軸は任意定数であり、振動準位を照
射しない場合からどれだけ増強するかの割合を示してい
る。すなわち、同図から明らかなように、本実施例の場
合、ラマン散乱計測光の遅延時間を1〜2nsに設定す
ることによって最大強度比が得られることが判明した。
整して、ラマン散乱計測光(第2レーザ光)と振動準位
励起光(第1レーザ光)との照射タイミングを変化させ
た場合のアンチストークス線の強度比の変化を示すグラ
フである。図6の縦軸は任意定数であり、振動準位を照
射しない場合からどれだけ増強するかの割合を示してい
る。すなわち、同図から明らかなように、本実施例の場
合、ラマン散乱計測光の遅延時間を1〜2nsに設定す
ることによって最大強度比が得られることが判明した。
【0061】以上、本発明の実施例によれば、第1の光
学系400または第2の光学系500の光路長は調整可
能であるので、異なる赤外領域に対応する吸収線を有す
る各種の試料700の動的な振動状態を測定することが
できる。また、第1の光学系400または第2光学系5
00を伝搬する光の波長板400fまたは500dを用
いることにより第1または第2レーザ光の偏光方向およ
びこれらとラマン散乱光観測方向との相対的な関係を任
意に選択することができるので、ラマン散乱光の偏光に
関する情報を得ることができる。
学系400または第2の光学系500の光路長は調整可
能であるので、異なる赤外領域に対応する吸収線を有す
る各種の試料700の動的な振動状態を測定することが
できる。また、第1の光学系400または第2光学系5
00を伝搬する光の波長板400fまたは500dを用
いることにより第1または第2レーザ光の偏光方向およ
びこれらとラマン散乱光観測方向との相対的な関係を任
意に選択することができるので、ラマン散乱光の偏光に
関する情報を得ることができる。
【0062】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではない。すなわち、上記実施例では波長可変装置3
00としてBBO結晶をもちいたOPOを用いたが、こ
の方式では実用的な強度の光は波長2.6μm程度の赤
外光までしか得られないので、このOPOに代えて波長
532nmまたは1064nmのレーザ光で励起するニ
オブ酸リチウム結晶(LiNbO3 、以下LN結晶と略
記する)を用いたOPOを用いることも可能である。こ
れにより、より本実施例よりも長波長のレーザ光を得る
ことができる。また、本実施例のOPOの後に、本実施
例では使用しなかった波長1064nmのレーザ光とO
POからの出力光から2.6μm以上の光を発生するL
N結晶から構成される差周波発生器をさらに設けること
とすることも可能である。このような差周波発生器を設
けることとすれば、可変波長の範囲をさらに広く設定す
ることができる。すなわち、差周波発生器を設けること
によって、レーザ光発生装置100は、長波長側におい
て波長2〜5μm程度の赤外光までを出力することがで
きる。
のではない。すなわち、上記実施例では波長可変装置3
00としてBBO結晶をもちいたOPOを用いたが、こ
の方式では実用的な強度の光は波長2.6μm程度の赤
外光までしか得られないので、このOPOに代えて波長
532nmまたは1064nmのレーザ光で励起するニ
オブ酸リチウム結晶(LiNbO3 、以下LN結晶と略
記する)を用いたOPOを用いることも可能である。こ
れにより、より本実施例よりも長波長のレーザ光を得る
ことができる。また、本実施例のOPOの後に、本実施
例では使用しなかった波長1064nmのレーザ光とO
POからの出力光から2.6μm以上の光を発生するL
N結晶から構成される差周波発生器をさらに設けること
とすることも可能である。このような差周波発生器を設
けることとすれば、可変波長の範囲をさらに広く設定す
ることができる。すなわち、差周波発生器を設けること
によって、レーザ光発生装置100は、長波長側におい
て波長2〜5μm程度の赤外光までを出力することがで
きる。
【0063】なお、本発明は、図2に示した構成に限定
されるものではなく、図1に示したラマンスペクトル測
定装置は、そのレーザ光の波長可変機構を図7および図
8に示すような構成とすることもできる。
されるものではなく、図1に示したラマンスペクトル測
定装置は、そのレーザ光の波長可変機構を図7および図
8に示すような構成とすることもできる。
【0064】すなわち、図7は、図1に示したラマンス
ペクトル測定装置のレーザ光発生装置100、レーザ光
分離器200および波長可変装置300を図2とは異な
る要素を用いて実現した構成図である。なお、同図中で
は、図1の符号400〜800で示される要素は省略し
て記載してあるが、これらの要素は図2に記載したもの
と同様である。
ペクトル測定装置のレーザ光発生装置100、レーザ光
分離器200および波長可変装置300を図2とは異な
る要素を用いて実現した構成図である。なお、同図中で
は、図1の符号400〜800で示される要素は省略し
て記載してあるが、これらの要素は図2に記載したもの
と同様である。
【0065】同図では、レーザ光発生装置100をレー
ザ光源100aおよびレーザ光源100aから出射され
たレーザ光(基本波1064nm)が入射されるように
配置された第2高調波発生器100b(第2高調波53
2nmを発生する)から構成することとしている。ま
た、レーザ光分離器200は、ダイクロイックミラー2
00a、ハーフミラー200hおよび光減衰器200c
とから構成されている。そして、ダイクロイックミラー
200aはその表面が第2高調波発生器100cの出力
面に対向して配置されており、ダイクロイックミラー2
00aの裏面にはハーフミラー200hの表面が対向し
て配置されている。ここで、ダイクロイックミラー20
0aは図2に示したものと同様のであり、また、ハーフ
ミラー200hは波長532nmの一部を反射してラマ
ン計測光とし、波長532nmの反射しなかった光を透
過して色素レーザ励起光とするものである。
ザ光源100aおよびレーザ光源100aから出射され
たレーザ光(基本波1064nm)が入射されるように
配置された第2高調波発生器100b(第2高調波53
2nmを発生する)から構成することとしている。ま
た、レーザ光分離器200は、ダイクロイックミラー2
00a、ハーフミラー200hおよび光減衰器200c
とから構成されている。そして、ダイクロイックミラー
200aはその表面が第2高調波発生器100cの出力
面に対向して配置されており、ダイクロイックミラー2
00aの裏面にはハーフミラー200hの表面が対向し
て配置されている。ここで、ダイクロイックミラー20
0aは図2に示したものと同様のであり、また、ハーフ
ミラー200hは波長532nmの一部を反射してラマ
ン計測光とし、波長532nmの反射しなかった光を透
過して色素レーザ励起光とするものである。
【0066】すなわち、第2の光学系500および波長
可変装置300には、波長532nmのレーザ光がそれ
ぞれ入射する。ここで、波長可変装置300は、ミラー
300k、レンズ300L、色素セル300m、色素レ
ーザ共振器ミラー300n,300p、回折格子300
qおよび色素レーザコントローラ300rから構成され
ており、ハーフミラー200hを透過したレーザ光の波
長を可変して出力する色素レーザを構成している。な
お、色素セル300mは、色素溶液を入れる透明容器で
あり、この容器内には色素が封入または循環されること
としてある。そして、この色素レーザは、色素にLDS
−698のDMSO溶液を用いれば、波長700〜74
0nmの近赤外光を発生させることができる。
可変装置300には、波長532nmのレーザ光がそれ
ぞれ入射する。ここで、波長可変装置300は、ミラー
300k、レンズ300L、色素セル300m、色素レ
ーザ共振器ミラー300n,300p、回折格子300
qおよび色素レーザコントローラ300rから構成され
ており、ハーフミラー200hを透過したレーザ光の波
長を可変して出力する色素レーザを構成している。な
お、色素セル300mは、色素溶液を入れる透明容器で
あり、この容器内には色素が封入または循環されること
としてある。そして、この色素レーザは、色素にLDS
−698のDMSO溶液を用いれば、波長700〜74
0nmの近赤外光を発生させることができる。
【0067】ミラー300kは、ハーフミラー200h
を透過したレーザ光を集光レンズ300Lを介して色素
セル300m方向に反射するように配置され、色素セル
300m内に導入されたレーザ光によって励起された光
は色素レーザ共振器ミラー300n,300pで構成さ
れる共振器で発振し、この色素レーザ共振器ミラー30
0nの角度を色素レーザコントローラ300rで調整す
ることにより、色素レーザ共振器ミラー300pを透過
して第1の光学系400に導入されるレーザ光の波長を
可変する。また、色素レーザ共振器ミラー300n,3
00pは発生したい振動準位励起光にて適切な反射率を
有するようにコーティングされている。
を透過したレーザ光を集光レンズ300Lを介して色素
セル300m方向に反射するように配置され、色素セル
300m内に導入されたレーザ光によって励起された光
は色素レーザ共振器ミラー300n,300pで構成さ
れる共振器で発振し、この色素レーザ共振器ミラー30
0nの角度を色素レーザコントローラ300rで調整す
ることにより、色素レーザ共振器ミラー300pを透過
して第1の光学系400に導入されるレーザ光の波長を
可変する。また、色素レーザ共振器ミラー300n,3
00pは発生したい振動準位励起光にて適切な反射率を
有するようにコーティングされている。
【0068】なお、色素レーザ共振器ミラー300nお
よび300pで構成される共振器の光路上には回折格子
300qが配置されており、これによって波長可変装置
300から出射されるレーザ光の発振スペクトル幅を狭
くし、ラマンスペクトルを精密に検知できる構成として
ある。
よび300pで構成される共振器の光路上には回折格子
300qが配置されており、これによって波長可変装置
300から出射されるレーザ光の発振スペクトル幅を狭
くし、ラマンスペクトルを精密に検知できる構成として
ある。
【0069】また、図8も図1に示したラマンスペクト
ル測定装置のレーザ光発生装置100、レーザ光分離器
200および波長可変装置300を図2とは異なる要素
を用いて実現した構成図である。なお、同図中では、図
1の符号400〜800で示される要素は省略して記載
してあるが、これらの要素は図2に記載したものと同様
である。同図では、レーザ光発生装置100およびレー
ザ光分離器200は図7に示したものと同一であり、波
長可変装置300はチタン・サファイアレーザとしてあ
る。すなわち、この波長可変装置300は、レンズ30
0s、共振器ミラー300t,300w、チタン・サフ
ァイア結晶300u、複屈折フィルタ300vおよびチ
タン・サファイアレーザコントローラ300xから構成
されており、レーザ光分離器200からこの波長可変装
置300に導入されたレーザ光の波長を変換して第1の
光学系400に出力する構成としてある。
ル測定装置のレーザ光発生装置100、レーザ光分離器
200および波長可変装置300を図2とは異なる要素
を用いて実現した構成図である。なお、同図中では、図
1の符号400〜800で示される要素は省略して記載
してあるが、これらの要素は図2に記載したものと同様
である。同図では、レーザ光発生装置100およびレー
ザ光分離器200は図7に示したものと同一であり、波
長可変装置300はチタン・サファイアレーザとしてあ
る。すなわち、この波長可変装置300は、レンズ30
0s、共振器ミラー300t,300w、チタン・サフ
ァイア結晶300u、複屈折フィルタ300vおよびチ
タン・サファイアレーザコントローラ300xから構成
されており、レーザ光分離器200からこの波長可変装
置300に導入されたレーザ光の波長を変換して第1の
光学系400に出力する構成としてある。
【0070】すなわち、ハーフミラー200hを透過し
たレーザ光は、レンズ300Lを介してチタン・サファ
イア結晶300uに集光される。チタン・サファイア結
晶300u内に導入されたレーザ光は共振器ミラー30
0t,300wで構成される共振器で発振する。そし
て、この共振器ミラー300t,300w内に配置され
た複屈折フィルタ300vをチタン・サファイアレーザ
コントローラ300xで回転制御することにより、共振
器ミラー300wを透過して第1の光学系400に導入
されるレーザ光の波長を可変する。なお、この 波長可
変装置300は、共振器ミラー300t,300wに適
切な反射率を有するようにコーティングすることによ
り、例えば波長700〜900nmの近赤外光を発生さ
せることができる。
たレーザ光は、レンズ300Lを介してチタン・サファ
イア結晶300uに集光される。チタン・サファイア結
晶300u内に導入されたレーザ光は共振器ミラー30
0t,300wで構成される共振器で発振する。そし
て、この共振器ミラー300t,300w内に配置され
た複屈折フィルタ300vをチタン・サファイアレーザ
コントローラ300xで回転制御することにより、共振
器ミラー300wを透過して第1の光学系400に導入
されるレーザ光の波長を可変する。なお、この 波長可
変装置300は、共振器ミラー300t,300wに適
切な反射率を有するようにコーティングすることによ
り、例えば波長700〜900nmの近赤外光を発生さ
せることができる。
【0071】
【発明の効果】以上、本発明によれば、単一の光源から
出射されたレーザ光を用いるとともに、第1または第2
の光学系は、その光路長が可変であるので、第1レーザ
光と第2レーザ光との試料への照射タイミングをピコ〜
ナノ秒オーダーで制御・同期させることができるので、
異なる赤外領域に対応する吸収線を有する各種の分子の
動的な振動状態を測定できる。
出射されたレーザ光を用いるとともに、第1または第2
の光学系は、その光路長が可変であるので、第1レーザ
光と第2レーザ光との試料への照射タイミングをピコ〜
ナノ秒オーダーで制御・同期させることができるので、
異なる赤外領域に対応する吸収線を有する各種の分子の
動的な振動状態を測定できる。
【0072】また、第1または第2光学系を伝搬する光
の偏光方向が調整可能であれば、ラマン散乱光の偏光に
関する情報を得ることができ、波長可変装置が差周波発
生器をさらに備えていることとすれば、さらに波長の可
変範囲を広くすることができるので、測定可能な試料の
種類を増加させることができる。
の偏光方向が調整可能であれば、ラマン散乱光の偏光に
関する情報を得ることができ、波長可変装置が差周波発
生器をさらに備えていることとすれば、さらに波長の可
変範囲を広くすることができるので、測定可能な試料の
種類を増加させることができる。
【図1】本発明に係るラマンスペクトル測定装置の一実
施例の構成図である。
施例の構成図である。
【図2】図1に示したラマンスペクトル測定装置のさら
に詳細な構成を説明するための構成図である。
に詳細な構成を説明するための構成図である。
【図3】従来のラマンスペクトル測定装置で測定したベ
ンゼンのラマンスペクトルを示したグラフである。
ンゼンのラマンスペクトルを示したグラフである。
【図4】図2に示したラマンスペクトル測定装置で測定
したベンゼンのラマンスペクトルを示したグラフであ
る。
したベンゼンのラマンスペクトルを示したグラフであ
る。
【図5】図2に示したラマンスペクトル測定装置を用
い、赤外光を同時に照射したときのベンゼンの−992
cm-1ラマン強度の変化および赤外光吸収スペクトルを
示すグラフである。
い、赤外光を同時に照射したときのベンゼンの−992
cm-1ラマン強度の変化および赤外光吸収スペクトルを
示すグラフである。
【図6】従来のラマンスペクトル測定装置で測定したベ
ンゼンのラマンスペクトルのアンチストークス線の強度
比の遅延時間依存性を示したグラフである。
ンゼンのラマンスペクトルのアンチストークス線の強度
比の遅延時間依存性を示したグラフである。
【図7】図1に示したラマンスペクトル測定装置のさら
に詳細な構成を説明するための構成図である。
に詳細な構成を説明するための構成図である。
【図8】図1に示したラマンスペクトル測定装置のさら
に詳細な構成を説明するための構成図である。
に詳細な構成を説明するための構成図である。
【図9】第1レーザ光を照射することによるアンチスト
ークス線の増加作用を説明するための説明図である。
ークス線の増加作用を説明するための説明図である。
100…レーザ光発生装置、200…レーザ光分離器、
300…波長可変装置、400…第1光学系、500…
第2光学系、600…レーザ光合成器、700…試料、
701…設置台、800…光検出器。
300…波長可変装置、400…第1光学系、500…
第2光学系、600…レーザ光合成器、700…試料、
701…設置台、800…光検出器。
Claims (8)
- 【請求項1】 試料から発生するラマン散乱光を光検出
装置で測定するラマンスペクトル測定装置において、 試料を設置する設置台と、 単一のレーザ光源から出力されたレーザ光を、第1波長
を有する第1レーザ光と第2波長を有する第2レーザ光
とに変換して出力するレーザ光発生装置と、 この第1レーザ光と第2レーザ光とを分離するレーザ光
分離器と、 前記第1レーザ光の波長を変化させる波長可変装置と、 前記波長可変装置から出射された第1レーザ光が入射さ
れるように配置された第1の光学系と、 前記レーザ光分離器で分離された第2レーザ光が入射さ
れるように配置され、光路長が可変である第2の光学系
と、 前記第1の光学系から出射された第1レーザ光と前記第
2の光学系から出射された第2レーザ光とが入射され、
前記設置台方向に照射されるように配置されたレーザ光
合成器と、を備えることを特徴とするラマンスペクトル
測定装置。 - 【請求項2】 試料から発生するラマン散乱光を光検出
装置で測定するラマンスペクトル測定装置において、 試料を設置する設置台と、 単一のレーザ光源から出力されたレーザ光を、第1波長
を有する第1レーザ光と第2波長を有する第2レーザ光
とに変換して出力するレーザ光発生装置と、 この第1レーザ光と第2レーザ光とを分離するレーザ光
分離器と、 前記第1レーザ光の波長を変化させる波長可変装置と、 前記波長可変装置から出射された第1レーザ光が入射さ
れるように配置され、光路長が可変である第1の光学系
と、 前記レーザ光分離器で分離された第2レーザ光が入射さ
れるように配置された第2の光学系と、 前記第1の光学系から出射された第1レーザ光と前記第
2の光学系から出射された第2レーザ光とが入射され、
前記設置台方向に照射されるように配置されたレーザ光
合成器と、を備えることを特徴とするラマンスペクトル
測定装置。 - 【請求項3】 前記波長可変装置は、前記第1レーザ光
の波長を、第1振動準位にある前記試料を第2振動準位
に励起するエネルギーの第3の波長に変換するととも
に、 前記レーザ光発生装置は、前記第3の波長を有する第1
レーザ光の照射によって第2振動準位に励起される前記
試料に、前記第2レーザ光を照射することにより、この
試料を中間準位に励起するエネルギーの波長を有する第
2レーザ光を発生するように成されていることを特徴と
する請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のラ
マンスペクトル測定装置。 - 【請求項4】 前記第1の光学系の光路上と前記レーザ
光合成器の光路上とのそれぞれに光軸の一致する2つの
レンズが設けられていることを特徴とする請求項1また
は請求項2のいずれか1項に記載のラマンスペクトル測
定装置。 - 【請求項5】 前記レーザ光発生装置は、単一のレーザ
光源と高調波発生器とを備えていることを特徴とする請
求項1または請求項2のいずれか1項に記載ラマンスペ
クトル測定装置。 - 【請求項6】 前記第1または第2光学系を伝搬する光
の偏光方向が調整可能であることを特徴とする請求項1
または請求項2のいずれか1項に記載のラマンスペクト
ル測定装置。 - 【請求項7】 前記波長可変装置は、光パラメトリック
発振器、色素レーザ、チタン・サファイヤレーザおよび
クロム・フォルステライトレーザのいずれか1つを備え
ることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか
1項に記載のラマンスペクトル測定装置。 - 【請求項8】 前記波長可変装置は、前記光パラメトリ
ック発振器、前記色素レーザ、前記チタン・前記サファ
イヤレーザおよび前記クロム・フォルステライトレーザ
のいずれか1つと前記レーザ光合成器との間に差周波発
生器を備えていることを特徴とする請求項7に記載のラ
マンスペクトル測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6747594A JPH07280733A (ja) | 1994-04-05 | 1994-04-05 | ラマンスペクトル測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6747594A JPH07280733A (ja) | 1994-04-05 | 1994-04-05 | ラマンスペクトル測定装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07280733A true JPH07280733A (ja) | 1995-10-27 |
Family
ID=13346034
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6747594A Pending JPH07280733A (ja) | 1994-04-05 | 1994-04-05 | ラマンスペクトル測定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07280733A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002021109A1 (fr) * | 2000-09-04 | 2002-03-14 | Hamamatsu Photonics K.K. | Appareil d'imagerie |
JP2013224969A (ja) * | 2013-08-05 | 2013-10-31 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | ガス分析装置 |
JPWO2020245999A1 (ja) * | 2019-06-06 | 2020-12-10 |
-
1994
- 1994-04-05 JP JP6747594A patent/JPH07280733A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002021109A1 (fr) * | 2000-09-04 | 2002-03-14 | Hamamatsu Photonics K.K. | Appareil d'imagerie |
JPWO2002021109A1 (ja) * | 2000-09-04 | 2004-01-15 | 浜松ホトニクス株式会社 | 撮像システム |
US7139073B1 (en) | 2000-09-04 | 2006-11-21 | Hamamatsu Photonics K.K. | Imaging apparatus |
JP4540931B2 (ja) * | 2000-09-04 | 2010-09-08 | 浜松ホトニクス株式会社 | 撮像システム |
JP2013224969A (ja) * | 2013-08-05 | 2013-10-31 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | ガス分析装置 |
JPWO2020245999A1 (ja) * | 2019-06-06 | 2020-12-10 | ||
WO2020245999A1 (ja) * | 2019-06-06 | 2020-12-10 | 日本電信電話株式会社 | 光源 |
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