JP2723201B2 - 光学応答速度測定器 - Google Patents

光学応答速度測定器

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JP2723201B2
JP2723201B2 JP24027092A JP24027092A JP2723201B2 JP 2723201 B2 JP2723201 B2 JP 2723201B2 JP 24027092 A JP24027092 A JP 24027092A JP 24027092 A JP24027092 A JP 24027092A JP 2723201 B2 JP2723201 B2 JP 2723201B2
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勉 柳川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学材料及び素子の応
答時間の測定器に関するものであり、広い波長範囲にわ
たって動作を可能とし、光源のパルス幅より格段に短い
時間分解能を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】非線形光学材料をはじめとして、光学材
料及び素子の応答時間(キャリヤ寿命、エネルギー緩和
時間T1、位相緩和時間T2等)は、その応答時間より高
速な短パルスレーザを用いて測定される。これまで安定
で波長可変なピコ秒、サブピコ秒光源といえば、Arイ
オンレーザやNd3+:YAGレーザのモード同期レーザ
に同期励起された複合モード同期色素レーザに限られて
いた。最近では、波長可変サブピコ秒、フェムト秒光源
としてTi:Al23レーザが用いられるようになって
きた。
【0003】しかしながら、使用可能な発振波長の範囲
Δλは、色素レーザでΔλ〜10[nm]程度、Ti:
Al23レーザでΔλ〜100[nm]程度である。ま
た、発振の中心波長も色素レーザではゲイン媒質、可飽
和吸収体の取り替えと共に、ミラー等の光学部品も変え
なければならず、発振波長の変更は手間のいる作業であ
る。Ti:Al23レーザといえども、非パルスの時間
幅を一定に保つために、レーザ共振器内の分散が変化し
ないようにせねばならず、700[nm]≦λ≦100
0[nm]の発振波長の範囲に限り、Δλ〜100[n
m]の程度で、光学部品は変更せざるを得ない。
【0004】一方、光のコヒーレンスが保てない状態で
は、インコヒーレント光が得られる。このインコヒーレ
ント光では、パルス幅がナノ秒パルスレーザのように長
くても、光のスペクトル幅が広くなっているため、コヒ
ーレンス時間が短い。このため、パルス幅がかなり異な
るインコヒーレント光パルスと極短光パルスにおいて
も、干渉効果を利用する場合には、コヒーレンス時間の
観点から、等価に扱うことができるとされている(T.Ya
jima, N.Morita, “Method of Laser Spectroscopy”,
Y.Prior, A.Ben-Reuven, and M.Rosenbluh, eds. (Plen
um, New York, 1986),pp.75-85)。このインコヒーレ
ント光を用いた緩和時間の測定は、インコヒーレント分
光とよばれている。特に、超高速光パルスが必要な、位
相緩和時間の測定に用いられ、石田、矢島らによっては
じめて報告された(Y.Ishida and T.Yajima, Rev. Phy
s. Appl. 22, 1629(1987))。
【0005】実際には、ナノ秒レーザよりむしろピコ秒
レーザ光を用いた報告例の方が多く、例えば、光ファイ
バ等にピコ秒、サブピコ秒パルスを入射すると、自己位
相変調効果によってスペクトル幅が増加する。このチャ
ープパルスを光源として利用した例には中野らの報告が
ある(H.Nakano, Y.Ishida, and T.Yanagawa, Appl.Phy
s.Lett. 59, 3090(1991))。
【0006】このインコヒーレント分光の手法は、これ
まで困難を極めた極短光パルスの発生に要する労力をか
なり緩和するものとなったが、それでも得られるスペク
トル幅は、ピコ秒、サブピコ秒レーザの出力光を励起光
として採用したとしても、高々数10[nm]程度であ
り、このスペクトル幅に対応する時間分解能は最短でも
数10[fs]程度までである。
【0007】以上から、従来から用いられている光学応
答速度測定器は、光源と利用する光学部品で制限される
波長範囲、及び時間分解能の範囲でしか用いることがで
きず、それぞれピコ秒、サブピコ秒光源を用いたとして
も、高々100[nm]、数10[fs]から100
[fs]程度であり、ナノ秒光源を用いた場合の時間分
解能はさらに長い時間にすぎなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた如く、従来
の光学応答速度測定法、及び測定器は、ピコ秒、サブピ
コ秒光源を用いたとしても、高々100[nm]のスペ
クトル幅、数10[fs]程度の時間分解能である。パ
ルス幅が2〜3[ns]程度のナノ秒光源を用いるに至
っては、インコヒーレント分光法を用いても、スペクト
ル幅は0.02〜0.2[nm]であり、時間分解能は数
[ps]であることが森田らによって報告された(N.Mo
rita, T.Tokizaki, and T.Yajima, J. Opt. Soc. Am.B
4, 1269(1987))。しかも光源として使用できる発振波
長の範囲は100[nm]以下である。
【0009】本発明の目的は、使用可能波長を可視域か
ら近赤外域まで拡張し、同時に時間分解能を[ps]か
ら10[fs]程度以下を実現できる光学応答速度測定
器を提供することにある。
【0010】本発明の前記ならびにその他の目的及び新
規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明ら
かにする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の(1)の手段の光学応答速度測定器は、レ
ーザと、該レーザの出力光が入射される光パラメトリッ
ク発振器、或いは光パラメトリック増幅器、或いは光パ
ラメトリック蛍光発生器のいずれか1つからなる光パラ
メトリック変換器と、該光パラメトリック変換器の出力
光を複数に分波するビームスプリッタと、ミラー或いは
プリズムと、分波された光の光路長を調節するマウント
と、分波された光を集光するレンズと分波された光すべ
て、或いはその一部、或いは分波された光以外に発生す
る新たな信号光を受光して電気信号に変換する受光器
と、その受光器の出力を光路長の調節に用いた該マウン
トの位置に応じて記憶、或いはプロットする波形測定器
とを有することを特徴とする。
【0012】本発明の(2)の手段の光学応答速度測定
器は、レーザ或いは蛍光を発する物質と、レーザの場合
には共振器を構成しない状態で得られる蛍光を出力光と
して、蛍光を発する物質の場合にはその蛍光を出力光と
して、それらの出力光が入射される光増幅器と、該光増
幅器の出力光を複数に分波するビームスプリッタと、ミ
ラー或いはプリズムと、分波された光の光路長を調節す
るマウントと、分波された光を集光するレンズと分波さ
れた光すべて、或いはその一部、或いは分波された光以
外に発生する新たな信号光を受光して電気信号に変換す
る受光器と、その受光器の出力を光路長の調節に用いた
該マウントの位置に応じて記憶或いはプロットする波形
測定器とを有することを特徴とする。
【0013】
【作用】前述の手段によれば、光パラメトリック変換を
利用する場合においては、短波長側までは450[n
m]以下、長波長側では1700[nm]以上の波長が
容易に得られ、Δλ〜1250[nm]以上の広範囲な
波長可変光源が実現でき、ナノ秒光源を励起光源として
用いても、時間分解能が数[ps]以下となる。ピコ秒
光源を用いれば、10[fs]以下の時間分解能も可能
となる光学応答速度測定法、及びその測定器が実現でき
る。レーザ、或いは蛍光を発する物質と、光増幅器を共
に用いる場合、例えば、ナノ秒パルス色素レーザのAS
E(Amplified Spontaneous Emission)を色素を用いた
光増幅器で発生すると、330[nm]〜950[n
m]の範囲で時間分解能が数[ps]〜数10[fs]
が得られる。
【0014】前記の広範囲な波長可変領域と極短時間分
解能は、光パラメトリック変換器(光パラメトリック発
振器(OPO)、光パラメトリック増幅器(OPA)、
光パラメトリック蛍光発生器(OPF))とインコヒー
レント分光の手法を同時に用いることによって実現でき
る。例えば、光パラメトリック発振器を考えると、励起
光の角周波数をω3、光パラメトリック効果によって発
生するシグナル光の角周波数をω1、アイドラ光の角周
波数をω2とすると、ω3=ω1+ω2が成立している。こ
のとき、例えば、BBO(β−BaB24)のような負
の一軸性結晶では、
【0015】
【数1】
【0016】が満たされる。ただし、e,oはそれぞれ
異常光線,常光線を表し、n3は励起光の屈折率、n2
アイドラ光の、n1はシグナル光の屈折率を表す。ま
た、このときの利得幅δωは、
【0017】
【数2】
【0018】で表される。ここで、Lは結晶長、cは光
速である。結晶内での光の位相変化φは、光の伝搬定数
をkとして、φ=knLと表せる。このとき群遅延時間
τgは、
【0019】
【数3】
【0020】となる。従って、式(2),式(3)より δω=2π/|τ1g−τ2g| ………(4) が得られる。単位長さ当たりの群遅延時間をそれぞれ
【0021】
【数4】
【0022】とすると、
【0023】
【数5】
【0024】が得られる。
【0025】
【数6】
【0026】はセルマイヤ方程式のλ微分と、式(3)
から求められる。セルマイヤ方程式とそのλ微分を、そ
れぞれ次の式(6),式(7)に示す。
【0027】
【数7】
【0028】
【数8】
【0029】例えば、BBO(β−BaB24)を用い
て、Nd3+:YAGレーザの第3高調波(355[n
m])励起を行うと、488[nm]付近の波長でシグ
ナル光を得るには、位相整合角θmがおよそ30°とな
る。このときシグナル光、アイドラ光間の群遅延時間差
は式(3),式(6),式(7)式を用いて算出でき、
215[fs/mm]が得られる。BBO結晶の長さを
12[mm]とするとδν=4[THz]という大きな
値になる。この値は、インコヒーレント分光の手法を用
いた場合、200[fs]程度の時間分解能が得られる
ことを意味している。
【0030】光学応答時間(キャリヤ寿命、エネルギー
緩和時間T1、位相緩和時間T2)を測定するには、フォ
トルミネッセンスの発光強度を時間分解分光して、その
減衰時間を観測したり、試料に入射するレーザ光を2ビ
ーム、或いは3ビームとして、トランジェントグレーテ
ィングを構成し、その回折光強度や、ポンプ・プローブ
法での透過光強度の減衰時間を観測する。これらの減衰
時間とT1、T2の間の関係は、光パルスのパルス幅tp
とコヒーレンス時間tc、それに、T1、T2の大小関係
と試料の励起光波長における光学遷移のスペクトル幅
が、均一か不均一かによって決定されている。
【0031】レーザからの蛍光(後方ミラーをはずし共
振器を構成しない状態で得られる出力光)、或いは蛍光
を発する物質からの出力光を種として光増幅器に入射す
ると、先に述べたASEが得られる。このASEを利用
すると、光パラメトリック変換を用いた場合と同様な効
果が得られる。但し一種の色素では、光パラメトリック
変換のような広い波長領域にわたる光源は得られない。
【0032】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。
【0033】(実施例1)図1は、本発明の実施例1の
光学応答時間測定器の概略構成を示すブロック構成図で
あり、ボックスカー配置の3ビーム入射型トランジェン
トグレーティングの手法を用いた、縮退4光波混合によ
るT1、T2測定系を示すものである。
【0034】図1において、1はレーザ(Q−YAG)
であり、パルスエネルギーは600[mJ]、パルス幅
が15[ns]、繰り返し周波数は10[Hz]であ
る。
【0035】2は第2高調波発生器(SHG)であり、
レーザ(Q−YAG)1の第2高調波(SH波)のパル
スエネルギーは140[mJ]、パルス幅は12[n
s]程度である。
【0036】3は第3高調波発生器(THG)であり、
レーザ(Q−YAG)1の第3高調波(TH波)のパル
スエネルギーは90[mJ]、パルス幅は10[ns]
程度である。
【0037】4は光パラメトリック発振器(OPO)で
あり、シグナル光、アイドラ光の出力の和は15[m
J]、パルス幅は8[ns]程度である。
【0038】5は波長フィルタ(光強度可変減衰器を含
む)であり、シグナル光、アイドラ光のどちらを用いる
かで最適なものを選択し、1波長のみが縮退4光波混合
系8に入射するようにする。波長フィルタの代わりに分
散プリズム等の波長選択機能を有する光学部品を用いて
もよい。
【0039】6,7,11〜16は45°入射全反射ミ
ラー、8は縮退4光波混合系であり、ここでは3ビーム
入射の前方型ボックスカー配置を用いているが、2ビー
ム入射でも、後方型でもよい。9,10はビームスプリ
ッタ(BS)、17,18はコーナーリフレクタ(C
R)である。用いる時間分解能により、プリズムでもよ
い。
【0040】19,26はレンズ、20は試料、21,
22はパルスステージ(PS)、23は光電子増倍管
(PMT)、24は半波長板、25は分光器、27はボ
ックスカー積分器或いはプロッタ、28は計算機であ
る。
【0041】本実施例1で用いるレーザ1には、Qスイ
ッチNd3+(YAGレーザ:Q−YAG)をはじめ、高
出力モード同期Nd3+(YAGレーザ:ML−YAG)
が考えられる。パルス光出力を増幅するシステムを用い
れば、チタンサファイヤレーザ(Ti:Al23)、衝
突パルスモード同期色素レーザ(CPM)等も考えられ
る。
【0042】ここでは、数[MW]以上のピークパワー
が確保されているものと考え、最も保守作業が簡便なQ
−YAGを使用することとする。レーザ1の出力光(基
本波)をCD*A等の非線形光学結晶を用いた第2高調
波発生器(SHG)2に入射する。出力される第2高調
波(SH波)と該基本波の透過光をKD*P等の非線形
光学結晶を用いた第3高調波発生器(THG)3に入射
し、和周波発生により第3高調波(TH波)を得る。得
られたTH波のみをBBO等の非線形光学結晶を用いた
光パラメトリック発振器(OPO)4に入射し、シグナ
ル光、アイドラ光をOPO出力の光子対として得る。
【0043】該OPO出力の光子対は、波長フィルタ5
で一方を選択し、プリズム(p)或いはミラー(M)
6,7で全反射され、縮退4光波混合の系8に入射す
る。OPO出力はビームスプリッタ(BS)9,10に
よって3ビームA,B,Cに分割され、それぞれM11
〜16、或いはコーナーリフレクタ(CR)17,18
で反射され、レンズ(L)19で試料20に集光され
る。ここで、コーナーリフレクタ(CR)17,18は
パルスステージ(PS)21,22で位置制御が行わ
れ、B及びCのAに対する遅延時間が調整できる。
【0044】図2は、光ビーム配置図であり、光パラメ
トリック発振器(OPO)4の出力のうちのシグナル
光、アイドラ光の一方を選択した後の光ビームを3本に
分割する。分割後の各光ビームをA,B,Cと表す。特
にBはS/N向上のために偏光を他のビームに直交でき
るようにしてある。但し、異方性を有する試料では注意
を有する。
【0045】図2では、縮退4光波混合系の出力として
発生する回折光Sがこの測定器の信号光となっている。
但し、この図2では中心に配置された試料を2枚のレン
ズ(ここでは正方形で表した)が挟むようになっている
が、後方のレンズは縮退4光波混合系8には用いられて
いない。信号光Sは光電子増倍管(PMT)23で検出
される。該信号光の信号対雑音比(S/N)の向上に
は、半波長板24や、分光器25及び該分光器25にS
を入射するためのレンズ26を用いる。光電子増倍管
(PMT)23の出力はボックスカー積分器(BCI)
27やプロッタに入力され、信号光Sの強度変化を記録
する。該ボックスカー積分器(BCI)27やパルスス
テージ(PS)21,22は、計算機28で制御され
る。ここで、OPO出力は上述したようにインコヒーレ
ント光として利用できるので、ピコ、サブピコ秒の
1、T2測定が比較的簡単に実行できる。T1はパルス
ステージ(PS)22を制御して、入射光ビームCの光
路遅延時間に対する信号光Sの強度を観測し、信号光S
強度の減衰曲線の時定数から算出する。T2はパルスス
テージ(PS)21を制御して、光ビームBの光路遅延
に対する信号光S強度を観測し、この信号光S強度の減
衰曲線の時定数から算出する。
【0046】図3にインコヒーレント分光の手法を用い
た場合の色ガラスフィルタのT2測定例を示す。光ビー
ムBの光路遅延時間を横軸にとって信号光S強度の減衰
を観測し、時定数を求める。色ガラスフィルタは不均一
広がりの大きな試料であるため、減衰曲線の時定数の4
倍の値がT2になる。従ってこの場合はバックグラウン
ドを差し引くと、T2〜2[ps]となる。但し、図1
の配置の実験では、実際には図3の横軸が反転する。図
4に同じく色ガラスフィルタを用いた場合の、T1の測
定例を示す。コヒーレントパルスの実験では減衰曲線の
時定数の2倍の値がT1になるのに対し、減衰曲線の時
定数がそのままT1になる。従って、図4がコヒーレン
トパルス、インコヒーレントパルスでそれぞれ得られた
とすると、コヒーレントパルスではT1=100[p
s]、インコヒーレントパルスではT1=50[ps]
となる。
【0047】図5にBBO−OPOのスペクトル幅の測
定例を示す。ここに示したスペクトル幅δλは、例えば
比較的狭いスペクトル幅を示す488[nm]において
でさえ、0.3[nm]程度であり、δν=0.4[TH
z]となる。上述の値より1桁小さいこの値は、OPO
の共振器ミラーの反射率で決まる光子寿命によって決定
されている。光が共振器中を数往復しているために、バ
ンド幅が狭くなっている。このため、共振器構造を廃
し、進行波型にする場合は上述の結果となり、時間分解
能は短くできる。しかし、時間分解能と光パラメトリッ
ク変換光の出力パワーとの間では、トレードオフの関係
が成立するため、共振器を組むか、進行波型にするか
は、試料や測定器に課せられた条件を満たすように、選
択すればよい。
【0048】(実施例2)図6は、本発明の実施例2の
2ビーム入射の縮退4光波混合の系を示す模式構成図で
あり、PD1、PD2のどちらか一方が受光する信号光
強度の遅延時間に対する減衰曲線から、実施例1と同様
にT2が求められる。また、PD1、PD2の出力を同
時に観測すれば、遅延時間0[ps]を中心に左右がほ
ぼ対称な波形が得られ、ピーク値の位置にズレが生じ
る。このズレからもT2が求められるものである。
【0049】図1にはT1、T2が同一の測定系で計測で
きる3本の光ビーム入射のトランジェントグレーティン
グの例を示したが、この他にも、光学応答時間の測定系
を構成できる例がある。光パラメトリック変換後の出力
光を2分し、入射光パルスとする場合、図1では光路
A,Bのみを使用すればよいことになる。3ビームを用
いた場合、3本の光ビームの配置は立体的であったが、
2ビームの場合は、図1のように立体的にする必要はな
く、図6に示したような平面的な配置が簡便である。但
し、2本の入射光のうち一方には、時間遅延τdが調節
できる必要性がある。
【0050】また、信号光も図6に示したように2本発
生し、それらの波数ベクトルksiが、ks1=2kA
B、或いはks2=2kB−kAを満たす方向に発生する
ので、試料透過後のkA、kBが決定する平面上で、ksi
はkA、kBがなす角の間には発生せず、その外側に現れ
る。T2の値は、ks1、ks2方向に回折される信号光強
度の、Bの光路遅延時間に対する減衰曲線の時定数か
ら、実施例1と同様に算出される(図3参照)。
【0051】また、ks1、及びks2方向に回折される信
号光強度の、Bの光路遅延時間に対する変化を受光器P
D1、PD2で同時に測定すると、遅延時間0[ps]
を中心として、ほぼ左右対称な波形が得られ(図6右端
にも波形の概形を示した)、それぞれの強度ピーク値が
得られる光ビームBの遅延時間に差が生じる。この遅延
時間差からもT2が求められる。不均一広がりを有する
2準位モデルを仮定すると、ks1、ks2方向に回折され
る信号光強度のピーク値が得られる光ビームBの遅延時
間差τABがT2になる。
【0052】(実施例3)図7は、本発明をAl23
ーザを用いた時間分解分光系(Ti)に適用した実施例
3の概略構成を示すブロック構成図であり、71はAl
23レーザ(CW−Arイオンレーザで励起される)、
72はAl23増幅器(例えば、CW−QスイッチNd
3+:YAGレーザのSH波励起が用いられる)、73は
SHG、74はビームスプリッタ、75,76,82は
45°入射全反射ミラー、77はOPAであり、BBO
或いはLBO(LiB35)結晶が使用できる。
【0053】78は波長フィルタであり、シグナル光、
アイドラ光のどちらを用いるかで最適なものを選択し、
1波長のみが縮退4光波混合系8に入射するようにす
る。波長フィルタの代わりに分散プリズム等の波長選択
機能を有する光学部品を用いてもよい。
【0054】79はコーナーリフレクタ(CR)であ
り、用いる時間分解能によっては、プリズムでもよい。
80はパルスステージ(PS)であり、プローブ光の遅
延時間を調節する。81は光強度可変減衰器、83,8
5はレンズ、84は試料、86は分光器であり、スペク
トロメータ、ポリクロメータ等を用い、広い波長範囲を
同時観測する。
【0055】87はオプティカルマルチチャンネルアナ
ライザ(OMA)であり、広い波長範囲の出力光強度を
同時計測する。88は計算機、89はプロッタ、90は
半波長板である。
【0056】前記実施例2では2ビーム法を用いたT2
測定について述べた。ここではポンプ・プローブ法を用
いたキャリヤ寿命の測定について述べる。基本的には実
施例2で述べたように、一方の光路に時間遅延を設けた
2ビーム法でキャリヤ寿命が測定できる。この場合、図
4に示したT1測定の結果例と同様な観測波形が、透過
率変化ΔTとして得られる。透過光強度を計測するの
で、ポンプ光非入射時の背景透過率T0の上に、ポンプ
光入射時のプローブ光透過率変化ΔTが重畳される。
【0057】実施例1,2に述べたような、光パラメト
リック変換を利用することによって得られるインコヒー
レント光を2分して、上述の如くポンプ・プローブ法を
用いると、T1が測定できる。また、ポンプ光にコヒー
レントなレーザパルスを用い、時間遅延を設けるプロー
ブ光にスペクトル幅の広い光パラメトリック変換光出力
を用いる場合、プローブ光の試料透過後の強度を測定す
ることによって、時間分解分光が可能になる。この場
合、広いスペクトル幅をもつプローブ光の試料透過光を
観測するので、広い波長領域にわたるキャリヤ緩和過程
のプローブ光遅延時間依存性が一望できる。例えば、図
7に示すように、Al23レーザ71の出力光をAl2
3増幅器72で増幅し、この増幅後の出力光を2分す
る。一方をポンプ光とし、他方は第2高調波発生器に入
射し、得られるSH波で、光パラメトリック変換を行
う。この光パラメトリック変換光をプローブ光とする
と、時間分解分光が可能になり、広い波長範囲におよぶ
キャリヤ緩和過程が一望できることになる。
【0058】(実施例4)前記実施例1〜3で用いる光
パラメトリック変換をASEに置き換えて光学応答時間
測定器を構成する。ASEを得る有効な例は、ナノ秒パ
ルス色素レーザの後方ミラーに光遮蔽板を挿入し、レー
ザ媒質として用いる色素からの蛍光を種として光増幅器
(例えば色素増幅器)に入射することである。例えば、
QスイッチNd3+(YAGレーザのSH波:パルス幅1
5[ns]、エネルギー100[mJ]、繰り返し10
[Hz])でパルス色素レーザ(レーザ媒質DCM)を
励起し、色素レーザ共振器の後方ミラーを遮蔽すると、
色素光増幅器から、エネルギー10[mJ]程度のAS
Eが得られる。このASEのコヒーレンス長をマイケル
ソン干渉計を用いて測定すると、30[μm]が得られ
た。これは、時間分解能〜100[fs]が可能である
ことを示している。この手法は、チタンサファイヤレー
ザ(Ti:Al23)、及び光増幅器の組み合わせを同
時に使用する場合に代表されるような固体レーザシステ
ムでも実現できる。勿論チタンサファイヤ等の固体蛍光
体だけを用いて、出力蛍光を光増幅器に入射して、イン
コヒーレント光源として用いてもよい。
【0059】以上、本発明を実施例に基づき具体的に説
明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものでは
なく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更し得
ることはいうまでもない。
【0060】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、450[nm]から1700[nm]にもわたる広
い波長範囲で光学応答時間の測定ができるようになっ
た。しかも、ナノ秒レーザを用いても、12[mm]程
度のBBO結晶を用いるだけで、時間分解能が、ピコ秒
からサブピコ秒以下と非常に短いものが実現できる。
【0061】さらに、結晶長を短くしたり、共振器構造
をやめて、進行波タイプにすれば、さらに高速な現象の
応答時間が測定できる。
【0062】このように簡便で、広い波長領域の光が連
続的に使用でき、時間分解能が充分短い光学応答時間測
定器は、これまでに例がない。また、最近では高出力で
パルス幅の短いパルスレーザが精力的に開発されてお
り、チタンサファイヤレーザ(Ti:Al23)のよう
なフェムト秒レーザまでが実用化されるに至っている。
【0063】特に、Ti:Al23はSH波でOPOが
可能であるばかりでなく、パルス幅が短いため、わずか
な増幅で高いピークパワーが得られ、時間分解能の飛躍
的な向上が可能である。今後、本発明は、高速光現象の
解明や高速光現象を利用した様々な応用分野において、
大きな貢献を果たすものと期待される。
【0064】特に、H.M.Gibbsらによって提案された光
双安定デバイス(H.M.Gibbs, G.R.bright, N.Peyghanba
rian, H.E.Schmidt, S.W.Koch, and H.Haug, Phys. Re
v. A 32, 692(1985))、光Kerr効果を利用した高
速光スイッチ、位相共役波を利用した光学像の歪補正
(R.K.Jain and R.C.Lind, J.Opt. Soc.Am. 73, 647(1
983))、可飽和吸収特性を利用した超短光パルスの生
成、光のスクイージングによる量子雑音の抑圧(R.E. S
lusher, L.W.Hollberg, B.Yurke, J.C.Mertz, and J.F.
Valley, Phys. Rev. Lett. 55, 2409(1985))等をはじ
めとする、非線形光学、量子光学の応用上不可欠な、高
速で、かつ大きな非線形光学効果をもたらす材料や、E
−Oサンプリング材料等の探索には、試料の光学応答速
度を測定することが重要であるため、サブピコ秒程度の
高速な応答時間が、可視域から近赤外域までの広い波長
範囲にわたって1つの測定系だけを用いて連続的に測定
できることが切望されている。
【0065】これには、極短光パルスレーザ光が簡便に
利用できればよいわけであるが、実際には、極短光パル
スの発生、応用には、かなり熟練した技術者の多大なる
時間と労力が要求されることになる。本発明によれば、
ほとんどメンテナンスフリーであるQスイッチ(ナノ
秒)レーザ光であっても、ピコ秒程度からサブピコ秒程
度、さらにはフェムト秒領域にまで及ぶ高速の応答時間
が、可視域から近赤外域までの広い波長範囲にわたって
1つの測定系だけを用いて連続的に測定できることにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の光学応答時間測定器の概
略構成を示すブロック構成図、
【図2】 光ビーム配置図、
【図3】 インコヒーレント分光の手法を用いた場合の
色ガラスフィルタのT2測定例を示すインコヒーレント
分光によるT2測定例を示す図、
【図4】 インコヒーレント分光の手法を用いた場合の
色ガラスフィルタのT2測定例を示すインコヒーレント
分光によるT1測定例を示す図、
【図5】 BBO−OPOのシグナル光のスペクトル幅
測定例を示す図、
【図6】 本発明の実施例2の2ビーム入射の縮退4光
波混合の系を示す模式構成図、
【図7】 本発明をAl23レーザを用いた時間分解分
光系(Ti)に適用した実施例3の概略構成を示すブロ
ック構成図。
【符号の説明】
1…レーザ(Q−YAG)、2…第2高調波発生器(S
HG)、3…第3高調波発生器(THG)、4…光パラ
メトリック発振器(OPO)、5…波長フィルタ(光強
度可変減衰器を含む)、6,7,11〜16…45°入
射全反射ミラー、8…縮退4光波混合系、9,10…ビ
ームスプリッタ(BS)、17,18…コーナーリフレ
クタ(CR)、19,26…レンズ、20…試料、2
1,22…パルスステージ(PS)、23…光電子増倍
管(PMT)、24…半波長板、25…分光器、27…
ボックスカー積分器或いはプロッタ、28…計算機、7
1…Al23レーザ、72…Al23増幅器、73…S
HG、74…ビームスプリッタ、75,76,82…4
5°入射全反射ミラー、77…OPA、78…波長フィ
ルタ、79…コーナーリフレクタ(CR)、80…パル
スステージ(PS)、81…光強度可変減衰器、83,
85…レンズ、84…試料、86…分光器、87…オプ
ティカルマルチチャンネルアナライザ(OMA)、88
…計算機、89…プロッタ、90…半波長板。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザと、該レーザの出力光が入射され
    る光パラメトリック発振器、或いは光パラメトリック増
    幅器、或いは光パラメトリック蛍光発生器のいずれか1
    つからなる光パラメトリック変換器と、該光パラメトリ
    ック変換器の出力光を複数に分波するビームスプリッタ
    と、ミラー或いはプリズムと、分波された光の光路長を
    調節するマウントと、分波された光を集光するレンズと
    分波された光すべて、或いはその一部、或いは分波され
    た光以外に発生する新たな信号光を受光して電気信号に
    変換する受光器と、その受光器の出力を光路長の調節に
    用いた該マウントの位置に応じて記憶、或いはプロット
    する波形測定器とを有することを特徴とする光学応答速
    度測定器。
  2. 【請求項2】 レーザ或いは蛍光を発する物質と、レー
    ザの場合には共振器を構成しない状態で得られる蛍光を
    出力光として、蛍光を発する物質の場合にはその蛍光を
    出力光として、それらの出力光が入射される光増幅器
    と、該光増幅器の出力光を複数に分波するビームスプリ
    ッタと、ミラー或いはプリズムと、分波された光の光路
    長を調節するマウントと、分波された光を集光するレン
    ズと分波された光すべて、或いはその一部、或いは分波
    された光以外に発生する新たな信号光を受光して電気信
    号に変換する受光器と、その受光器の出力を光路長の調
    節に用いた該マウントの位置に応じて記憶或いはプロッ
    トする波形測定器とを有することを特徴とする光学応答
    速度測定器。
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