JPH07279088A - きのこから得られる繊維状物及びその製造方法 - Google Patents

きのこから得られる繊維状物及びその製造方法

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JPH07279088A
JPH07279088A JP6123094A JP6123094A JPH07279088A JP H07279088 A JPH07279088 A JP H07279088A JP 6123094 A JP6123094 A JP 6123094A JP 6123094 A JP6123094 A JP 6123094A JP H07279088 A JPH07279088 A JP H07279088A
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mushroom
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dye
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Takeshi Yamaguchi
山口  剛
Hironobu Kawakatsu
博伸 川勝
Tokio Ichimatsu
時生 一松
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Fukuoka Prefecture
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FUKUOKA PREF GOV
Fukuoka Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は食品廃棄物の利用とこれを原
料として安価に微生物繊維を得ることにある。即ち、従
来用いられてきたシート原料を得るための微生物菌体生
産は高価な設備を必要とする割りには、収率が悪く、し
かも手間のかかる人工液体培養法による微生物菌体生産
の欠点を克服しようとするもので、食品廃棄物として大
量に副生しているきのこの足から簡単な操作で、安価に
繊維を生産し、この特徴を生かしたシートの製造方法を
提供することにある。 【構成】 きのこを機械的せん断力により離解し、酵
素、アルカリあるいは酸から選ばれた少なくとも一種で
処理して得た繊維よりなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、きのこの繊維を分離精
製し、この繊維を利用し、各種のシート状成形物を得る
ことに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シートの抄造に微生物菌体を用い
た例としては、人工培養基や工場廃水を利用して培養し
た糸状菌体を洗浄して増量の目的でパルプに加えて抄造
した例(特公昭57−10280号公報)や人工培養し
て得た糸状菌体をアルカリ処理により、キチン・キトサ
ンを繊維表面に露出させ、その特徴を生かした傷病用不
織布やイオン交換体としての利用例(イギリス公開特許
第2165865号公報)あるいは淡水性藻類を漂白
し、これを抄造原料の増量材としての利用例(特公昭6
4−520号公報)及び、培地に繊維を加え、これを培
養し、糸状菌を繊維上に増殖させ、繊維と糸状菌体の複
合化により、繊維の強度と風合い改良を図る方法例(特
公平3−27279号公報)や更に、人工培養により得
た糸状菌体を用いることによるバインダー効果や強度増
強効果をうたってのシートやその製造方法例(特公平3
−27279号、平3−234891、平3−2348
89、平4−126892、平4−126893、平4
−202890号公報)が開示されている。
【0003】これらの特許に示された微生物菌体は、す
べて液体人工培養によって生産されたものであり、これ
を原料として用いられている。
【0004】又、きのこの繊維を用いたシートの製造例
としては、椎茸の足を熱湯処理して粉砕し、これを食用
結着材を用いてシート化し、シート状食品としての製造
例(特公昭62−19063号公報)があるが、これ
は、きのこ繊維はシート化材として利用しておらず、単
に、食物繊維の補充に用いているにすぎない。
【0005】以上のように、きのこから分離精製した繊
維やそのシート化機能を利用してのシートやその製造方
法に関する方法は知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、食品
廃棄物の利用とこれを原料として安価に微生物繊維を得
ることにある。すなわち、従来用いられてきたシート原
料を得るための微生物菌体生産は、高価な設備を必要と
する割りには、収率が悪く、しかも手間のかかる人工液
体培養法による微生物菌体生産の欠点を克服しようとす
るもので、食品廃棄物として大量に副生しているきのこ
の足から簡単な操作で、安価に繊維を生産し、この特徴
を生かしたシートの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の欠
点を解決するため、鋭意研究を行った。その結果、食用
資源として大量に生産されているきのこの廃棄物に着目
し、この廃棄物中に含まれる繊維を簡単に安価に取り出
す方法に成功し、この繊維を構成するキチン・キトサン
・グルカンあるいはキシラン複合体の持つ化学組成や繊
度が細く透光性のあるこれらの特徴を生かしたシートの
製造方法を発明したものである。
【0008】即ち、きのこ繊維をシート化に応用した場
合の利点は、形状的には繊度が細いことや、化学構造上
ではアミノ基、水酸基、アミド基等の水素結合部位が多
いことで、これらの特性によるバインダー効果、強度増
強効果があり、これを用いることによる新規なシートの
製造や強度の高いシートの製造、あるいはアミノ基、ア
ミド基を有することによるセルロース系繊維では染色不
可能であった酸性染料、塩基性染料、含金属酸性染料等
による染色が適用できることや透光性効果により高級感
のある着色シートの製造に成功したものである。
【0009】この発明は、きのこを機械的せん断力によ
り離解し、酵素、アルカリあるいは酸から選ばれた少な
くとも一種で処理して得た繊維よりなるきのこから得ら
れる繊維状物きのこの足を離解する上記発明記載のきの
こから得られる繊維状物上記繊維を酸性染料、酸性媒染
染料、直接染料、塩基性染料、含金属酸性染料、反応性
染料あるいは植物性染料の少なくとも一種の染料で、常
法により染色した上記第1又は第2発明記載のきのこか
ら得られる繊維状物上記繊維を含有したシート状成形物
よりなる上記第1〜第3発明にそれぞれ記載のきのこか
ら得られる繊維状物天然繊維又は天然物より製造したパ
ルプ又は有機繊維、無機繊維、金属繊維から選ばれた少
なくとも一種の繊維を含有したシート状成形物よりなる
上記第1〜第4発明にそれぞれ記載のきのこから得られ
る繊維状物きのこを機械的せん断力により離解し、酵
素、アルカリあるいは酸から選ばれた少なくとも一種で
処理して得た繊維と、その他の繊維とに液体を加えて液
状スラリーを調製し、湿式抄紙法を用いて抄造しシート
状成形物とすることを特徴とするきのこから得られる繊
維状物の製造方法きのこを処理して得た上記繊維が上記
第2発明記載の常法により染色されている上記第6発明
記載のきのこから得られる繊維状物の製造方法によって
構成される。
【0010】
【作用】本発明の第一段階である、きのこから繊維を取
り出す操作としては、きのこの足には、糖、蛋白質、グ
アニル酸等の水溶性物質が30−40%含有しており、
キチン・キトサン・グルカンあるいはキシラン複合体が
アルカリに安定な性質を利用し、まず、これを抽出し、
この残りの繊維分を利用することになるが、ディスクリ
ファイナー等を用いて機械的なせん断力により、きのこ
の繊維を細かくほぐし、薬液との接触面積を増加させ
て、アルカリ剤等を作用させ、蛋白質、脂質、核酸、糖
質等の不純物を可溶化し取り除くことにより、乾物原料
に対して40−55%の安定なきのこ繊維を取り出すこ
とができる。
【0011】このきのこ繊維はキトサンやキチンを含
み、アミノ基やアミド基を持つため、セルロース系繊維
は染色できない酸性染料や含金属酸性染料でも、やや染
色性は落ちるが絹や羊毛と同様な染色性を示し、又、き
のこ繊維は水酸基も多く、しかもパルプや木綿よりも繊
維が細く、結晶部分が少ないため、直接染料や反応性染
料に対しても木綿やパルプより良好な染色性を示すとい
う両作用を有する。
【0012】このきのこ繊維は繊維の太さが非常に細
く、又、水酸基やアミノ基、アミド基等の親水基が多い
ため、フィブリル化繊維と同様に、これをシートに利用
した場合、繊維間の接触面積が大きく、水素結合部位も
多いため、乾燥や湿潤状態のいかんに拘わらず、繊維間
の接着が強くパルプを併用することなく、シート強度の
増強作用のみでなく、有機繊維や無機繊維のように、そ
れ自体では繊維間の接着性のない繊維のシート化を可能
にする作用がある。
【0013】
【実施例】本発明で用いられるきのこは椎茸、えのきた
け、まいたけ、ひらたけ、しめじたけ等が利用できる
が、これに限定されるものでなく、繊維が得られるきの
こ全般をさす。きのこの繊維が得られるのは足とか茎と
か柄とか呼ばれる部分で、通常食用に適さない部分(廃
棄率例:椎茸生30%、しめじ生25%、えのきたけ生
20%−日本食品栄養分析表より)として廃棄されてい
るものを用いるため経済的に生産できる。
【0014】まず、きのこの足のつけねの石付部分に残
っている培養基や石付の硬い部分が付着していればこれ
を除去する。次に、生ものはそのまま、乾燥物は一夜間
程度、水に浸漬して十分吸水させておく。これを機械的
なせん断力を与えるビーター、リファイナー等の回転式
の離解機あるいはパルパー、ミキサー、ホモジナイザー
等で十分離解させておく。この状態でシートに用いるこ
ともできるが、シート成形後に変色やかびの発生がおこ
り好ましくないので、通常、繊維以外の物質の除去が望
ましい。一例を揚げると、これを熱湯で処理し水溶性物
質を除去し、次いで、アルカリ処理により繊維以外の不
純物の除去を行うが、アルカリ処理の場合、アルカリ剤
としては特に限定されないが、通常安価なカセイソーダ
を使用する。この時の濃度は1−20wt%/対物で、
温度は常温でも差し支えないが、速やかに処理するため
には温度は高い方が良い。具体例としては2%カセイソ
ーダで100℃の場合30分間の処理を行う。処理後、
固液の分離を行うが、通常の木材パルプより、繊度が細
く分離が悪いので、200メッシュ程度の布袋に入れ、
手作業で水洗できるが、効率的には遠心脱水機や加圧脱
水機を用いて固液の分離を行う。この後、アルカリ剤を
酸で中和し、十分水洗する。これにより乾物に対して5
0%程度のきのこ繊維を得る。又、処理工程は用途によ
っては繊維束が部分的に残る方が良い場合もあるので、
アルカリ処理後に離解処理を行っても差し支えない。こ
の分離した繊維は乾燥しにくく、完全に乾燥させるには
コストがかかるため、脱水機で十分脱水させて保存して
おく。又、場合によっては繊維を構成するキチン・キト
サン・グルカンあるいはキシラン複合体に作用しないプ
ロテアーゼ、ペクチナーゼ等の酵素により繊維以外の不
純物を取り除くこともできる。通常のシート化ではこの
きのこ繊維で十分であるが医療用材料、分析用材料ある
いはその他高度な精度が必要なハイテク材料等では、更
に、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ等の酵素や酸処理や次
亜鉛素酸による漂白あるいは溶剤処理を行い、カルシウ
ム等の無機物や有色物質、蝋質あるいは繊維を構成する
グルカンやキシラン等の有機物を除去し、より安定なキ
チン・キトサン繊維のみとする。
【0015】工芸紙や包装紙等の着色紙の場合には、き
のこ繊維の染色を行ってもよい。きのこ繊維はキチン・
キトサン・グルカンあるいはキシラン複合体で、レーヨ
ン、綿等のセルロース系や絹、羊毛等の蛋白質繊維に適
用できる染料で染色でき、染色方法も常法でよい。しか
し、きのこ繊維は水酸基が多く、アミノ基、アミド基等
のカチオン部分が少ないため、酸性染料ではやや染着性
が悪いため、濃色に染色する場合には染着性のよい直接
染料や反応性染料での染色が望ましい。一例をあげる
と、きのこ繊維2%を含む水溶液に、きのこ繊維に対し
て2%の直接染料及び硫酸ナトリウム20%を加え、室
温から緩やかに温度を上げ、染料の吸収を進め、更に温
度を上げ、沸騰点近くで30分間染色する。染着性が同
一である木材パルプのようなセルロース系繊維や、絹等
の蛋白質繊維とでは、別浴で染色しても差し支えない。
【0016】きのこ繊維と各種繊維からシート状成形物
を製造するには、通常の湿式抄造方法が適用できるが、
きのこ繊維は木材パルプより極めて 繊維の太さが細
く、保水性が大きく、ろ水度が低いため、きのこ繊維が
70%以上では、抄造を迅速に進めるためには減圧抄造
方法が好ましい。また、抄造補助剤として、防かび剤、
分散剤、サイズ剤、糊料あるいは炭酸カルシウム、タル
ク、アルミナ等の無機充填剤等の少なくとも一種を用い
ても良い。
【0017】本発明のきのこ繊維(しいたけ)の特徴を
顕微鏡下で見ると繊維の枝分かれ構造を若干混えた太さ
5−15μm、繊維長0・5−1・5ミリの繊維で、木
材パルプ(パインパルプで太さ20−50μm、繊維長
2・7−4・0ミリ)に比べかなり細く、液体培養糸状
菌体(太さ2−5μm、繊維長1・0−1・5ミリ:特
公平4−202890)よりやや太い。性状としては木
材パルプのように乱反射する繊維束でなく、分離しやす
い繊維集合体を形成しており、繊維は菌体自体であり、
結晶部分がないため乱反射が少なく透光性があり、従っ
て、これらの物性の特徴に由来した、抄造強度の増強、
接着性、透光性、光沢等を付与することができ、これら
の特徴を生かしたシートが安価に製造可能となった。
【0018】本発明のきのこ繊維の含有量は、特に限定
されるものでなく、合成バインダー繊維のように乾燥状
態での繊維間強度が弱く、繊維がバラバラになることも
なく湿潤、乾燥状態に拘らず、繊維を絡めシート状を保
持できるため、1%−100%の範囲で利用できる。き
のこ繊維は繊維が細く親水性のため、添加量が増えると
硬さや透光性が大きくなり、逆に透気性が小さくなるた
め、目的に応じて添加量を変える方が望ましい。通常バ
インダー効果や強度増強効果を狙うには10−70%が
望ましく、染色性等の特徴を持たせるためにはきのこ繊
維の含有量は10%以上とする方が望ましい。繊維単独
では湿式抄造でシート化が困難な有機繊維、無機繊維、
金属繊維では、5%以上のきのこ繊維を必要とする。
【0019】本発明で用いる繊維としては、天然繊維と
しては木材パルプやこうぞ、みつまた等の靭皮繊維ある
いは木綿パルプ等、パルプ化できるセルロース系繊維全
般をさし、更に、絹、羊毛等の蛋白質系繊維あるいはレ
ーヨン、コーデラン、アルギン酸繊維等の再生繊維も含
む。無機繊維としてはセラミックス繊維、炭素繊維、ガ
ラス繊維、ウイスカー、セピオライト、アスベスト等が
適用できる。金属繊維としては、ステンレス鋼繊維、鉄
合金繊維、銅繊維等があげられる。有機繊維としてはポ
リエステル繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリビ
ニールアルコール系繊維、ポリアミド系繊維、ポリイミ
ド系繊維、アセテート繊維、ポリアラミド系繊維等が例
示される。
【0020】(実験例1)生のしいたけの足100グラ
ム(乾物量)を20倍量の水に浸し、90−93℃で1
時間処理を行った。処理液中の固形分は33.8グラム
であった。更に、この処理物に20倍量の2%カセイソ
ーダを加え、90−93℃で1時間処理を行ったとこ
ろ、更に12.0グラム減少し、54.2グラムの未離
解物を含む繊維が得られた。
【0021】(実験例2)乾燥しいたけの足265.8
グラム(乾物量)を10倍量の水で室温で一夜間浸した
後、ディスクリファイナー{KRK(商標)高濃度リフ
ァイナー;熊谷理工機}で、クリアランスを4ミリで叩
解し、更に2ミリ、1.5ミリと順次小さくし離解し
た。これを乾物に対して10倍量の水を加え、乾物に対
し1%のカセイソーダを添加し、オートクレーブで12
1℃で30分間処理した後、これを200メッシュの紗
製の袋に入れ、中性になるまで十分に水洗した。これに
よりきめの細かいスラリー状繊維1,994グラム(乾
物量換算135.2グラム、収率50.8%)を得た。
この一部を採り灰分を測定したところ0.37%であっ
た。更に、この繊維の一部を取り、乾物に対して1%の
硫酸溶液で90−93℃で1時間処理し、前記と同様の
条件で後処理したところ、重量が更に1.4%減少し、
灰分0.21%のやや膨潤したきのこ繊維が得られた。
【0022】(実験例3)実験例2で調整したカセイソ
ーダ処理繊維を用いて染色を行った。条件は下記のとお
りである。
【0023】記 染色時間:室温から10分間で95℃に上げ、95℃で
15分間染色。 浴比 :1:100(繊維:染色浴比) 染料濃度:2%(乾物繊維に対して) 助剤 :直接染料は繊維に対して硫酸ソーダ50%を
添加。酸性染料、酸性含金属染料は酢酸酸性下で。 染料 :酸性染料;カヤノール ミリング ブルー
2RW 直接染料;カヤラス スープラ レット 6BL 酸性含金属染料;カヤカラン オレンジ RL 結果は表1のとおりとなった。
【0024】表1のように、しいたけ繊維の染色性は、
直接染料をよく吸着し、その染色物はセルロース系繊維
であるパルプより濃色に染色できた。又、酸性染料、含
金属酸性染料による染色ではパルプでは全く染色できな
いが、しいたけ繊維では液中にかなり染料が残ったもの
の、淡色の染色物が得られた。
【0025】
【表1】
【0026】(実験例4−7)実験例2と同様の方法で
アルカリ処理したしいたけ繊維と絹及びこうぞを乾物重
量比で3:7(トータル坪量で約60g/m2 になるよ
うに調製)で混合した後、後記条件で抄造したシートと
それぞれの繊維を単独に染色した後、同様に乾物比3:
7の比に配合し、シート化を行った。
【0027】抄造方法はこうぞ及びこうぞ配合以外の繊
維(こうぞ又はこうぞ配合繊維は繊維を水に入れ撹拌棒
でゆるやかに撹拌し分散)は家庭用ミキサーに1リット
ルの水を入れ、これに繊維を加え1分間ミキシング処理
し、繊維を分散させた後25cm×25cm(金網80
メッシュ上に100メッシュのポリエステル製紗を置
く)角型シートマシン(テスト産業製)で抄造し、これ
をろ紙に移し平板プレスでウエットプレスを行った後、
更にシリンダードライヤーで乾燥し、染色紙を得た。
【0028】染色条件は下記のとおりである。 記 染色時間:60℃で20分間(助剤は繊維に対して硫酸
ソーダ10%) 染料を吸着させた後更に繊維に対して2%の炭酸ソーダ
を加え20分間処理し染料を反応させた。 浴比: 1:20 染料: A;ミカシオン ルビン BS 2%(繊維
に対して) B;ミカシオン ブリリアント ブルー 2%(同様) 染色紙の色価は表2に示すように実験例4−7のとおり
で比較例3−4に示す従来の染色紙と比べるとこうぞ配
合染色紙では、しいたけ繊維を配合することにより、や
や色が深く濃色となり紙質も高級感のある製品が得られ
た。しかし、しいたけ繊維と絹配合紙に比べ染色濃度は
うすいものとなった。
【0029】
【表2】
【0030】(実験例8)原料は市販の生のきのこを用
い、きのこの非可食部分であるきのこの生の足を分離
し、足のつけねに残っている培養基や石付の硬い部分を
取り除き、その100グラムを秤り取り、20倍量の水
を加え98−100℃で1時間処理を行い、熱湯及び水
で十分水洗し、この処理物を用いて酵素処理を行った。
条件及び結果は表3−5のとおりである。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】熱湯処理により得られたきのこを用い各種
の酵素で処理を行った。処理条件は酵素濃度0.5wt
%、液量5倍量(生のきのこ原料に対し)、温度50℃
で5時間処理を行い、十分水洗した。
【0034】
【表5】
【0035】酵素処理によりきのこ繊維の不純物である
水溶性成分あるいは不溶性蛋白質等の除去を行い、更に
繊維を構成する成分であるグルカンあるいはキシラン等
の炭水化物の除去を行い、キチン・キトサン純度の高い
きのこ繊維を得た。
【0036】(実験例9−14)実験例2と同様にアル
カリ処理したしいたけ繊維と表3のように各種繊維を配
合し、抄造した。抄造方法は実験例4の方法と同様であ
る。
【0037】表6に示すように、しいたけ繊維を配合し
た実験例9−14のシートは、比較例5−6のシートに
比べ、しいたけ繊維を配合することにより、いずれの繊
維を用いてもシート強度が強いものが得られたが、しい
たけ繊維60%を越えるとやや強度の減少がみられた
が、シート密度や透光性が増加し、逆に、伸び率や透気
度が減少し、それぞれの配合繊維により特徴あるシート
が得られた。
【0038】
【表6】
【0039】パルプ;NBKP 未叩解パルプ こうぞ;福岡県八女和紙原料 レーヨン;1.5d×5mm アクリル系;1.2d×6mm ビニロン;2d×5mm 絹;家蚕糸3−5mmカット 透気度;通気度試験機(東洋精機製) 100mlの気体が78.5平方mmを通す時間 不透明度;(黒背景z値/白背景z値)×100(色差
計による測色値) (実験例15−17)生のえのきたけの足の下部の不食
部464グラム(固形分57.1グラム)を10倍量の
水で100℃で30分間処理し、熱湯可溶性分を取り除
いたところ固形残留分は24.4グラムとなり、更に、
最初の原料に対し5倍量の1%カセイソーダで100℃
で30分間処理を行ったところ、固形残留分15.2グ
ラムとなった。即ち、収率26.6%の繊維が得られ
た。このえのきたけ繊維を用い、前記実験例9と同様の
操作、試験を行ったところ、しいたけ繊維とほぼ同様の
特性をもつシートを得た。
【0040】
【表7】
【0041】
【発明の効果】本発明により次の効果を奏する。 (1) 現在大量に廃棄されている、しいたけ、えのきたけ
等の食用きのこの非可食部を有効利用できる。 (2) 食品廃棄物の利用法であり、どこでも簡単に繊維を
生産でき、従来の人工液体培養法による糸状菌体生産よ
りも、ランニングコストや設備的にも経済的で、工業的
に安価な微生物繊維を得ることができる。 (3) 既存の着色した工芸紙や包装紙の染色濃度の向上や
色の深みを与え、高級感のある紙製品を提供できる。 (4) 湿式抄造で絹、レーヨン、アクリル系繊維等、それ
自体ではシート化できない有機繊維のシート化が可能と
なり、又、無機や金属繊維等へのバインダー効果によ
り、各種の特性を有するシート材料を提供できるように
なる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 きのこを機械的せん断力により離解し、
    酵素、アルカリあるいは酸から選ばれた少なくとも一種
    で処理して得た繊維よりなるきのこから得られる繊維状
    物。
  2. 【請求項2】 きのこの足を離解する請求項(1) 記載の
    きのこから得られる繊維状物。
  3. 【請求項3】 上記繊維を酸性染料、酸性媒染染料、直
    接染料、塩基性染料、含金属酸性染料、反応性染料ある
    いは植物性染料の少なくとも一種の染料で、常法により
    染色した請求項(1) 又は(2) 記載のきのこから得られる
    繊維状物。
  4. 【請求項4】 上記繊維を含有したシート状成形物より
    なる請求項(1) 〜(3) にそれぞれ記載のきのこから得ら
    れる繊維状物。
  5. 【請求項5】 天然繊維又は天然物より製造したパルプ
    又は有機繊維、無機繊維、金属繊維から選ばれた少なく
    とも一種の繊維を含有したシート状成形物よりなる請求
    項(1) 〜(4) にそれぞれ記載のきのこから得られる繊維
    状物。
  6. 【請求項6】 きのこを機械的せん断力により離解し、
    酵素、アルカリあるいは酸から選ばれた少なくとも一種
    で処理して得た繊維と、その他の繊維とに液体を加えて
    液状スラリーを調製し、湿式抄紙法を用いて抄造しシー
    ト状成形物とすることを特徴とするきのこから得られる
    繊維状物の製造方法。
  7. 【請求項7】 きのこを処理して得た上記繊維が請求項
    (2) 記載の常法より染色されている請求項(6) 記載のき
    のこから得られる繊維状物の製造方法。
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JP (1) JPH07279088A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023090387A1 (ja) * 2021-11-18 2023-05-25 株式会社伯耆のきのこ キノコシート及びその製造方法

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WO2023090387A1 (ja) * 2021-11-18 2023-05-25 株式会社伯耆のきのこ キノコシート及びその製造方法

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