JPH07278048A - 芳香族カルボン酸の製造方法および装置 - Google Patents

芳香族カルボン酸の製造方法および装置

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JPH07278048A
JPH07278048A JP6530294A JP6530294A JPH07278048A JP H07278048 A JPH07278048 A JP H07278048A JP 6530294 A JP6530294 A JP 6530294A JP 6530294 A JP6530294 A JP 6530294A JP H07278048 A JPH07278048 A JP H07278048A
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JP
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reactor
oxygen
gas
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carboxylic acid
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JP6530294A
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Norio Murashige
憲生 村重
Etsuro Okamoto
悦郎 岡本
Chikafumi Suzuki
史文 鈴木
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高品質、特に製品粉体の色相およびアルカリ
水溶液に溶解したときの光線透過率の良い芳香族カルボ
ン酸を、反応溶媒の分解を増大させることなく、しかも
爆発の危険性を回避して安全に製造する。 【構成】 低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒、アルキル
ベンゼンおよび触媒を原料導入路6から、また空気より
も高い濃度で分子状酸素を含む高濃度酸素含有ガスを高
濃度酸素含有ガス供給路3から反応器1に導入し、アル
キルベンゼンを液相酸化する。反応器より蒸気抜出路5
を通して蒸気を抜き出し、熱交換器11において冷却
し、分離器12において凝縮液と凝縮性成分を除去した
排ガスとに分離する。凝縮液は凝縮液循環路7から反応
器1に循環する。排ガスの一部はガス循環路8から反応
器1の液相部に循環する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低級脂肪族カルボン酸を
含む溶媒中で、アルキルベンゼンを分子状酸素によって
液相酸化して芳香族カルボン酸を製造する芳香族カルボ
ン酸の製造方法および装置、特に溶媒である低級脂肪族
カルボン酸の分解を増大させることなく高品質の芳香族
カルボン酸を安全に製造することが可能な芳香族カルボ
ン酸の製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、テレフタル酸等の芳香族カルボン
酸を大規模に工業的に製造する方法として、酢酸等の低
級脂肪族カルボン酸を含む溶媒中で、コバルト、マンガ
ンおよび臭素等の触媒の存在下に、p−キシレン等のア
ルキルベンゼンを分子状酸素によって液相酸化する方法
が採用されている。
【0003】このような製造方法により芳香族カルボン
酸を製造した場合、反応中間体や副次反応によって生成
する物質等が不純物として芳香族カルボン酸に混入する
ため、芳香族カルボンの品質、特に芳香族カルボン酸粉
末の色相や芳香族カルボン酸を塩基水溶液に溶解させた
ときの光線透過率等が大きく悪化する。このため、反応
温度を上げる、触媒濃度を上げるなど、厳しい反応条件
を採用して、品質を悪化させる不純物の混入量が少なく
なるように制御が行われている。
【0004】しかし、このような反応条件の厳しい製造
方法では、溶媒である低級脂肪族カルボン酸の一部が反
応中に炭酸ガス、一酸化炭素、その他の副生物に変換さ
れて失われる。低級脂肪族カルボン酸の分解する割合
は、通常反応条件が厳しいほど激しい。したがって、高
品質の芳香族カルボン酸を製造しようとして反応条件を
厳しくするほど、溶媒である低級脂肪族カルボン酸の分
解が激しくなり、製造コストが高くなるという問題点が
ある。
【0005】一方、分子状酸素含有ガスとして純酸素ガ
ス等の高濃度酸素含有ガスを用いる場合は、品質に悪影
響を及ぼす不純物の生成量が少なくなるので、高品質の
芳香族カルボン酸を製造できるが、反応器気相部の酸素
分圧を保つためにこの気相部の酸素濃度が高くならざる
を得ず、溶媒に含まれる低級脂肪族カルボン酸や原料の
アルキルベンゼン等の可燃性物質による爆発の危険性が
増大するため、運転条件が制限されるという問題があっ
た。
【0006】このように従来の方法では、分子状酸素含
有ガスとして高濃度酸素含有ガスを用いない場合は、低
コストで高品質、特に色相や光線透過率の良い芳香族カ
ルボン酸を製造することは困難であり、また高濃度酸素
含有ガスを用た場合は、可燃性物質の爆発範囲を避けた
反応条件を選択する必要があった。
【0007】ところで、芳香族カルボン酸の製造におい
て排ガスを反応器に循環させる方法が提案されている
(例えば、特開昭60−36439号公報、特開昭63
−83046号公報等)。しかし、特開昭60−364
39号公報の方法では、反応器に導入するガスとして空
気を用いているので、酸素濃度が空気より高いガスを用
いることによる、品質に悪影響を及ぼす不純物の生成低
減効果を求めることは難しい。また特開昭63−830
46号公報の方法では、排ガスを反応器の気相部へ循環
しているため、高濃度酸素含有ガスを用いる場合は爆発
の危険性を低減できないという問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の芳香
族カルボン酸の製造における上記問題点を解決するため
になされたものであって、反応溶媒の分解を増大させる
ことなく、高品質の芳香族カルボン酸を安全に製造する
ことができる芳香族カルボン酸の製造方法および装置を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は次の芳香族カル
ボン酸の製造方法および装置である。 (1)低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒中で、アルキル
ベンゼンを分子状酸素含有ガスと接触させて液相酸化
し、芳香族カルボン酸を製造する方法において、前記分
子状酸素含有ガスとして、空気よりも高い濃度で分子状
酸素を含む高濃度酸素含有ガスを反応器に供給し、反応
器より抜き出した蒸気から凝縮性成分を除去して得た排
ガスの一部を反応器の液相部に循環することを特徴とす
る芳香族カルボン酸の製造方法。 (2)高濃度酸素含有ガスとして、分子状酸素を23〜
100容量%の濃度で含むガスを使用する上記(1)記
載の方法。 (3)排ガスを、反応器液相部の静止液面から液深の3
/4より上部の位置に循環する上記(1)または(2)
記載の方法。 (4)芳香族カルボン酸がテレフタル酸である上記
(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。 (5)低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒中で、アルキル
ベンゼンを分子状酸素含有ガスと接触させて液相酸化す
る反応器、この反応器から抜き出される蒸気から凝縮性
成分を除去する凝縮器、この凝縮器で凝縮性成分を除去
して得た排ガスを反応器の液相部に循環するガス循環系
路、および空気よりも高い濃度で分子状酸素を含む高濃
度酸素含有ガスを反応器に供給する高濃度酸素含有ガス
供給路を備えていることを特徴とする芳香族カルボン酸
の製造装置。
【0010】本発明において、原料として用いるアルキ
ルベンゼンは、液相酸化により芳香族モノカルボン酸、
芳香族ジカルボン酸または芳香族トリカルボン酸などの
芳香族カルボン酸に変換されるモノ、ジまたはトリアル
キルベンゼンなどのアルキルベンゼンであり、その一部
のアルキル基が酸化されたものも含む。本発明の方法は
テレフタル酸の製造に適用するのが好ましく、この場合
原料となるアルキルベンゼンとしては、例えばp−キシ
レン、p−トルイル酸またはこれらの混合物などがあげ
られる。
【0011】本発明において用いる反応溶媒は、低級脂
肪族カルボン酸を含む溶媒であり、炭素数6以下の低級
脂肪族カルボン酸を含む溶媒が好ましい。このような低
級脂肪族カルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン
酸、酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、トリメチル酢酸、カ
プロン酸、またはこれらのカルボン酸と水との混合物な
どがあげられる。これらの中では酢酸、または酢酸と水
との混合物が好ましい。水を含む場合、溶媒中の水の含
有量は20重量%以下とするのが好ましい。このような
低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒の使用量は、原料とな
るアルキルベンゼンの濃度が溶媒に対して1〜50重量
%となる割合で用いるのが好ましい。
【0012】本発明における酸化反応においては、酸化
触媒を用いるのが好ましい。酸化触媒としては、例えば
遷移金属および臭素を含む触媒、特にコバルト、マンガ
ンおよび臭素を含む可溶性の触媒が好ましいが、他のも
のでも良い。このような触媒に用いられるコバルト、マ
ンガン化合物としては、コバルト、マンガンの臭素塩、
安息香酸塩、ナフテン酸塩、酢酸等のカルボン酸塩、ア
セチルアセトナートなどが、また臭素化合物としてはマ
ンガン、コバルト等の遷移金属の臭素塩、臭化水素酸、
ジブロモエチレン、テトラブロモエタンなどがあげられ
る。触媒の使用量は、低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒
に対して、コバルト原子として10〜5000重量pp
m、マンガン原子として10〜5000重量ppm、臭
素原子として10〜10000重量ppmとするのが好
ましい。
【0013】本発明の方法では、反応器中で、アルキル
ベンゼンを反応溶媒中において分子状酸素含有ガスと接
触させて液相酸化し、芳香族カルボン酸を製造する。こ
のとき分子状酸素含有ガスとして、空気よりも高い濃度
で分子状酸素を含む高濃度酸素含有ガスを使用し、この
ガスを高濃度酸素含有ガス供給路から反応器に供給し、
かつ排ガスをガス循環系路から反応器の液相部に循環す
る。上記高濃度酸素含有ガスとしては、純酸素、酸素リ
ッチ空気、純酸素と不活性ガスとの混合物などがあげら
れる。高濃度酸素含有ガス中の酸素濃度は空気より高い
濃度、好ましくは23〜100容量%、特に好ましくは
50〜100容量%であるのが望ましい。
【0014】アルキルベンゼンと高濃度酸素含有ガスと
の接触方法は特に制限されず、アルキルベンゼンを含む
溶媒中に高濃度酸素含有ガスを吹き込む方法などが採用
できる。高濃度酸素含有ガスは、分子状酸素がアルキル
ベンゼンの酸化に必要な反応当量より過剰となるように
供給する。例えば、p−キシレンを酸化してテレフタル
酸を製造する場合は、p−キシレン1kgに対して0.
1〜3Nm3(0℃、1気圧としたときの換算値)の酸素
が供給されるように高濃度酸素含有ガスを送気するのが
好ましい。
【0015】本発明における酸化反応の温度は通常16
0〜260℃、好ましくは170〜220℃とするのが
望ましく、圧力は少なくとも反応温度において反応混合
物が液相を保持できる圧力以上であり、通常4〜50k
g/cm2Gとするのが望ましい。反応時間は装置の大
きさ等にもよるが、通常滞留時間として10〜200分
間程度とするのが望ましい。
【0016】本発明の方法では、反応器より蒸気を抜き
出し、この蒸気を冷却し、蒸気中に含まれている水蒸気
などの凝縮性成分を凝縮させ、分離器において凝縮液と
排ガスとに分離する。凝縮液は反応器に循環するが、こ
のとき一部を系外に排出し、この排出量によって反応器
中の溶媒中の水分濃度を調整する。一方凝縮性成分を除
去した排ガスの一部を循環ガスとして反応器の液相部に
循環する。循環するガスの量は、反応器に導入する高濃
度酸素含有ガスの量、酸素濃度等によって異なるが、系
外へ排出するガスの量に対して、0.01〜500容量
倍程度、好ましくは0.03〜200容量倍とするのが
望ましい。なお凝縮液は反応器の液相部に還流する代わ
りに、全部または一部を気相部に還流してもよい。
【0017】このような量でガスを循環することによ
り、気相部または系外に排出する排ガス中の酸素濃度
を、分子状酸素含有ガスとして空気を用いた場合と同等
にまで低下させることができるので、爆発の危険を回避
することができる。すなわち、空気よりも分子状酸素の
濃度が高い高濃度酸素含有ガスを用いた場合、反応器内
の気相の酸素分圧の制御値によっては、気相部や反応器
より抜き出される蒸気、およびこの蒸気を冷却して凝縮
性成分を除いた排ガス等の酸素濃度が高くなり、溶媒で
ある低級脂肪族カルボン酸や原料であるアルキルベンゼ
ン等の揮発性のある可燃物による爆発の危険が生ずるこ
とがあるが、排ガスの一部を反応器液相部に循環するこ
とにより、排ガス中の分子状酸素が消費されて気相部の
酸素分圧が下がるため、爆発の危険を回避できる。
【0018】循環ガスは、反応器液相部の静止液面から
液深の3/4より上部の位置に循環するのが好ましく、
特に3/4から静止液面の位置に循環するのが好まし
い。ここで静止液面とは、反応器に高濃度酸素含有ガス
および循環ガスを吹き込むことなく、しかも撹拌も行わ
ない状態における反応液の液面をいう。なお反応時の液
面は、ガスホールドアップのために静止液面よりも上部
に到達する。液面の上昇程度は主として反応器に吹き込
むガスの量によって変わる。上記好ましい範囲の位置に
循環すると、高濃度酸素含有ガスを導入することにより
高品質のテレフタル酸が製造できる効果と、気相部の酸
素濃度を低下させて爆発の危険を回避する効果とのバラ
ンスがよくなり、より高品質のテレフタル酸をより安全
に製造することができる。
【0019】本発明の方法においては、空気よりも分子
状酸素の濃度が高い高濃度酸素含有ガスを反応器に直接
導入するため、反応器内部に導入された高濃度酸素含有
ガスの気泡内の酸素濃度は空気を用いた場合よりも高
く、気相から液相(反応液)への分子状酸素の移動速度
は空気を用いた場合よりも速くなる。このため、酸素供
給不足の場合に生成する芳香族カルボン酸の品質に悪影
響を与える不純物の生成量は低減し、高品質、特に製品
粉体の色相やアルカリ水溶液に溶解したときの光線透過
率等の良い芳香族カルボン酸を製造することができる。
【0020】この場合、反応温度を上げたり、触媒濃度
を上げるなどの、溶媒である低級脂肪族カルボン酸が炭
酸ガス、一酸化炭素、その他の副生物に変換される厳し
い反応条件を選択しなくても高品質の芳香族カルボン酸
が得られる。このため、低級脂肪族カルボン酸が失われ
る割合は、分子状酸素含有ガスとして空気を用いた場合
と同等にすることができ、効率よく高品質の芳香族カル
ボン酸を製造できる。しかも反応温度を上げたり、触媒
濃度を上げるなどの必要がないため、操作面での経済的
な不利もなく、低コストで該芳香族カルボン酸を製造で
きる。
【0021】また、系内に導入する高濃度酸素含有ガス
の量や酸素濃度、および循環ガスの循環量を調節するこ
とによって、反応器内気相部の酸素分圧を容易にコント
ロールできるので、得られる芳香族カルボン酸の品質を
容易に制御できる。また排ガスの一部を反応器液相部に
循環することによって、排ガスに含まれる酸素を再度消
費させるため、酸素の利用が有効に行え、しかも反応器
から排ガス路および循環路に至る部分での酸素濃度を低
減することができる。
【0022】本発明の方法においては、排ガスを高濃度
酸素含有ガスと混合することなく、直接反応器の液相
部、好ましくは前記のような位置に循環することが重要
である。すなわち、反応器底部から導入した高濃度酸素
含有ガスの気泡中の酸素は、反応器液相部を上昇するに
伴って液相側へ移動してアルキルベンゼンを酸化し、同
時に反応器内で発生した炭酸ガスや一酸化炭素等の副生
ガスが液相より気相へ移動するため、気泡中の酸素濃度
は気泡の上昇に伴って次第に低下する。したがって、分
子状酸素含有ガスとして空気より分子状酸素濃度の高い
高濃度酸素含有ガスを用いる効果は反応器底部で最も高
く、反応器液相の上部になるに従って次第に小さくな
る。このため、循環ガスを高濃度酸素含有ガスと混合す
ることなく直接反応器液相、好ましくは前記のような位
置に循環することにより、高品質の芳香族カルボン酸を
爆発の危険を回避して安全に製造することができる。
【0023】反応器に循環しない排ガスの残部は系外へ
排出する。排出するガスの量は、導入した高濃度酸素含
有ガスに含まれる不活性ガス、未反応の酸素、反応器で
発生した炭酸ガス、一酸化炭素、その他の副生物等の量
の総和に相当する量である。
【0024】以上のようにして得られた反応混合物は、
反応器から取出し、ろ過、遠心分離等の通常の方法で固
液分離する。ここで分離した芳香族カルボン酸は洗浄、
乾燥の後、必要に応じて公知の方法で精製できる。
【0025】
【実施例】次に本発明を図面の実施例により説明する。
図1は実施例の芳香族カルボン酸の製造装置を示す系統
図である。図において、1は反応器であり、内部に撹拌
器2aおよび2枚の邪魔板2bを備え、底部には高濃度
酸素含有ガス供給路3および反応生成物取出路4、頂部
には蒸気取出路5、中間部に原料導入路6および凝縮液
循環路7が接続している。そして反応器液相部の静止液
面から液深の約2.5/4の位置(反応液の静止液面か
ら反応器底部までの深さの上から約2.5/4の位置)
にガス循環路8が接続している。撹拌器2aは撹拌軸が
中間の二箇所(図示していない)および底部で支持され
ている。
【0026】蒸気取出路5は熱交換器11を介して分離
器12に接続し、分離器12中の凝縮液が凝縮液循環路
7から反応器1に循環され、また凝縮性成分が除去され
た排ガスがガス循環路8から反応器1の液相部に循環さ
れるように構成されている。熱交換器11および分離器
12が凝縮器を構成している。分離器12の頂部には排
ガス路13が接続している。凝縮液循環路7には排凝縮
液路14が接続している。16はコンプレッサー、17
は循環ポンプである。上記装置において、撹拌器2aお
よび邪魔板2bは省略することもできる。また熱交換器
11の代わりに、または熱交換器11とともに蒸留塔
(図示していない)を設けることもできる。
【0027】上記のような装置により芳香族カルボン酸
を製造するには、まず溶媒および触媒を反応器1に張り
込み、この反応器1にアルキルベンゼン、溶媒および触
媒を原料導入路6から導入し、また空気よりも高い濃度
で分子状酸素を含む高濃度酸素含有ガスを高濃度酸素含
有ガス供給路3から導入して、撹拌器2aにより撹拌し
ながら溶媒中でアルキルベンゼンに分子状酸素を接触さ
せ、液相酸化する。反応器1内には邪魔板2bが設けら
れているので、撹拌器2a駆動時の回転渦による中央液
面の低下が防止され、効率よく接触が行われる。
【0028】蒸気は蒸気取出路5から抜き出し、熱交換
器11において冷却し、蒸気中に含まれている水蒸気な
どの凝縮性成分を凝縮させ、分離器12において凝縮液
と凝縮性成分を除去した排ガスとに分離する。分離した
凝縮液の一部は循環ポンプ17を駆動して凝縮液循環路
7から反応器1の反応液中に循環する。凝縮液の残部は
排凝縮液路14から排出する。凝縮性成分を除去した排
ガスの一部は循環ガスとしてコンプレッサー16により
ガス循環路8から反応器1の反応液中に循環する。
【0029】蒸気から凝縮性成分を凝縮させて、凝縮液
を反応器1に循環する際、凝縮液の一部を系外に排出し
て凝縮液の循環量を調節することにより、溶媒中の水分
濃度が容易に調節される。
【0030】凝縮性成分を除去した排ガス中には、高濃
度酸素含有ガス供給路3から供給した高濃度酸素含有ガ
ス中に含まれている不活性ガス、未反応の酸素、溶媒で
ある低級脂肪族カルボン酸が反応の過程で分解して生じ
た炭酸ガス、一酸化炭素およびその他の副生物等が含ま
れている。各成分の濃度は反応条件によって異なるが、
主たる成分は高濃度酸素含有ガス中に含まれている不活
性ガス、炭酸ガスおよび一酸化炭素である。
【0031】上記のような方法では、排ガスを循環する
ことにより、酸素濃度の高いガスを高濃度酸素含有ガス
供給路3から導入しても、空気を用いた場合と同様の条
件で反応を進めることができるので、爆発の危険性を回
避して、高品質の芳香族カルボン酸を製造できる。
【0032】従来の方法のように、排ガスを循環するこ
となく酸素濃度の高いガスを反応器に導入すると、反応
器気相部の酸素分圧を保つためにこの気相部の酸素分圧
が高くならざるを得ず、あるいは高濃度酸素含有ガスを
一過式で使用して反応器気相部を空気を用いたときと同
じ酸素分圧にすると、排ガス中の酸素濃度が増大し、低
級脂肪族カルボン酸やアルキルベンゼン等の可燃性物質
による爆発の危険が大きくなる。このため爆発の危険を
避けるべく反応条件が制限される。しかし本発明では上
記のような制限は解消され、爆発の危険性も最も小さく
なる。
【0033】循環するガスの量は、高濃度酸素含有ガス
供給路3より導入される高濃度酸素含有ガスの量、酸素
濃度等によって異なるが、前記のような範囲とするのが
望ましい。
【0034】排ガスの残部は排ガス路13を通じて系外
へ排出する。このようにして製造した反応生成物は反応
生成物取出路4から取り出し、ろ過、遠心分離等の通常
の方法により芳香族カルボン酸と溶媒とに固液分離す
る。得られた芳香族カルボン酸は洗浄、乾燥などの公知
の後処理を行った後、必要に応じて公知の方法で精製す
る。なお上記製造方法において、凝縮液は反応器1の液
相部に還流する代わりに、全部または一部を気相部に還
流してもよい。
【0035】以下、図1の装置を用いたテレフタル酸の
製造例について説明する。各実施例において、排ガス中
の炭酸ガス、一酸化炭素の濃度は赤外線ガス分析計によ
り、酸素の濃度は磁気風式酸素分析計により測定した。
テレフタル酸中の4−カルボキシベンズアルデヒド(4
CBA)の濃度は液体クロマトグラフィー法によって測
定した。テレフタル酸の光線透過率はテレフタル酸を1
3%の濃度で含有する2規定水酸化カリウム水溶液の3
40nmでの光線透過率(%)で示した。テレフタル酸
粉末の色相(b値)はスガ試験機(株)製カラーテスタ
ーによって測定した。b値は(+)が黄色味、(−)が
青味を表し、数値が小さい方が色相が良好であることを
示す。反応器気相の酸素分圧は、反応圧力、反応温度に
おける溶媒の蒸気圧および排ガス中の酸素濃度より求め
た。また、溶媒である酢酸の分解は排ガス中に排出され
る炭酸ガス、一酸化炭素の総量(以下、COx量とい
う)を指標とした。これらのガスの排出量が多いほど酢
酸の分解は多いことを示す。
【0036】実施例1 図1に示す装置を用いてテレフタル酸を製造した。反応
器1としては2枚の邪魔板2bおよび3段の撹拌翼を備
えた容積60 literの攪拌槽を用いた。製造方法は、ま
ず酢酸19kgおよび水1kgと、酢酸コバルト50.
0g、酢酸マンガン24.0gおよびテトラブロモエタ
ン34.0gとを張り込み、反応器を温度187℃、圧
力11.1kg/cm2ゲージに保持し、パラキシレン
3.3kg/hr、酢酸13.8kg/hr、水0.7
2kg/hr、酢酸コバルト36.6g/hr、酢酸マ
ンガン17.4g/hr、テトラブロモエタン24.9
g/hrからなる混合物を連続的に送り込みながら、空
気に酸素を加えて酸素濃度を25容量%に調製した酸素
リッチ空気を高濃度酸素含有ガス供給路3から通気し、
攪拌下で連続酸化反応を行った。
【0037】この際、分離器12より排出される排ガス
の一部をガス循環路8からコンプレッサー16により反
応器1の液相部に循環した。導入位置は、反応器液相部
の静止液面から液深の約2.5/4の位置(反応液の静
止液面から反応器底部までの深さの上から約2.5/4
の位置)とした。排ガス(循環ガス)の酸素濃度は3容
量%、排ガスの循環量は排出量に対して0.14倍であ
った。このときに得られたテレフタル酸の収率、4CB
A含量、光線透過率、色相(b値)、副生したCOx量
を表1に示す。なお、表1における排ガスの循環比は、
系外に排出する量に対する循環量の容量比である。
【0038】実施例2〜3 実施例1の条件で、空気に酸素を加えてそれぞれ酸素濃
度を30容量%、50容量%とした酸素リッチ空気を反
応器に通気し、排ガスの循環量を排出量に対し0.67
倍、2.9倍としてテレフタル酸を製造した。結果を表
1に示す。
【0039】比較例1 実施例1の条件で、空気を通気して反応を行い、かつ排
ガスの循環を行わないでテレフタル酸を製造した。結果
を表1に示す。
【0040】実施例4 実施例1の条件で、空気に酸素を加えて酸素濃度を30
容量%とし、排ガス中の酸素濃度を5容量%、排ガスの
循環量を排出量の0.74倍としてテレフタル酸を製造
した。結果を表1に示す。
【0041】比較例2 実施例4の条件で、空気を通気して反応を行い、かつ排
ガスの循環を行わないでテレフタル酸を製造した。結果
を表1に示す。
【0042】実施例5〜6 実施例1の条件で、それぞれ空気に酸素を加えて酸素濃
度を25容量%、50容量%とし、排ガスの循環量を排
出量の0.92倍、4.9倍としてテレフタル酸を製造
した。結果を表2に示す。
【0043】比較例3 実施例1の条件で、空気を通気して反応を行い、排ガス
を排出量の0.50倍に相当する量だけ循環してテレフ
タル酸を製造した。結果を表2に示す。
【0044】実施例7〜8 実施例1の条件で、それぞれ空気に酸素を加えて酸素濃
度を25容量%、30容量%とし、排ガスの循環量を排
出量の1.8倍、2.7倍としてテレフタル酸を製造し
た。結果を表2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】表1および2の結果から、各実施例の光線
透過率およびb値は比較例に比べて良好であり、光線透
過率および色相の優れた高品質のテレフタル酸が得られ
ていることがわかる。また、各実施例の炭酸ガスおよび
一酸化炭素の総量(COx量)は比較例と同等であり、
酸素濃度を高くしても溶媒である酢酸の分解は抑制され
ていることがわかる。
【0048】
【発明の効果】本発明の方法によれば、空気よりも高い
濃度で分子状酸素を含む高濃度酸素含有ガスを反応器に
供給し、排ガスの一部を反応器の液相部に循環するよう
にしたので、反応溶媒の分解を増大させることなく、高
品質、特に製品粉体の色相やアルカリ水溶液に溶解した
ときの光線透過率等の優れた芳香族カルボン酸を、爆発
の危険性を回避して安全かつ低コストで製造することが
できる。
【0049】排ガスを、反応器液相部の静止液面から液
深の3/4より上部の位置、特に3/4から静止液面ま
での位置に循環すると、高濃度酸素含有ガスを導入する
ことにより高品質のテレフタル酸を製造できる効果と、
気相部の酸素濃度を低下させて爆発の危険を回避する効
果とのバランスがよくなり、より高品質のテレフタル酸
をより安全に製造することができる。
【0050】本発明の装置によれば、反応器から抜き出
される蒸気から凝縮性成分を除去する凝縮器、この凝縮
器で凝縮性成分を除去して得た排ガスを反応器の液相部
に循環するガス循環系路、および空気よりも高い濃度で
分子状酸素を含む高濃度酸素含有ガスを反応器に供給す
る高濃度酸素含有ガス供給路を備えているので、上記方
法により、反応溶媒の分解を増大させることなく、高品
質の芳香族カルボン酸を爆発の危険性を回避して安全に
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例の芳香族カルボン酸の製造装置を
示す系統図である。
【符号の説明】
1 反応器 2a 撹拌器 2b 邪魔板 3 高濃度酸素含有ガス供給路 4 反応生成物取出路 5 蒸気取出路 6 原料導入路 7 凝縮液循環路 8 ガス循環路 11 熱交換器 12 分離器 13 排ガス路 14 排凝縮液路 16 コンプレッサー 17 循環ポンプ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒中で、
    アルキルベンゼンを分子状酸素含有ガスと接触させて液
    相酸化し、芳香族カルボン酸を製造する方法において、 前記分子状酸素含有ガスとして、空気よりも高い濃度で
    分子状酸素を含む高濃度酸素含有ガスを反応器に供給
    し、反応器より抜き出した蒸気から凝縮性成分を除去し
    て得た排ガスの一部を反応器の液相部に循環することを
    特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 高濃度酸素含有ガスとして、分子状酸素
    を23〜100容量%の濃度で含むガスを使用する請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 排ガスを、反応器液相部の静止液面から
    液深の3/4より上部の位置に循環する請求項1または
    2記載の方法。
  4. 【請求項4】 芳香族カルボン酸がテレフタル酸である
    請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 低級脂肪族カルボン酸を含む溶媒中で、
    アルキルベンゼンを分子状酸素含有ガスと接触させて液
    相酸化する反応器、 この反応器から抜き出される蒸気から凝縮性成分を除去
    する凝縮器、 この凝縮器で凝縮性成分を除去して得た排ガスを反応器
    の液相部に循環するガス循環系路、および空気よりも高
    い濃度で分子状酸素を含む高濃度酸素含有ガスを反応器
    に供給する高濃度酸素含有ガス供給路を備えていること
    を特徴とする芳香族カルボン酸の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008500946A (ja) * 2003-06-13 2008-01-17 テレフタラトス メキシカノス エス.エー. デ シー.ヴイ. アルキル芳香族化合物の効率的酸化のための方法および装置
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