JPH07277860A - セラミック強化膜の製造方法 - Google Patents

セラミック強化膜の製造方法

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JPH07277860A
JPH07277860A JP6066275A JP6627594A JPH07277860A JP H07277860 A JPH07277860 A JP H07277860A JP 6066275 A JP6066275 A JP 6066275A JP 6627594 A JP6627594 A JP 6627594A JP H07277860 A JPH07277860 A JP H07277860A
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psz
ceramic
molded body
compact
zirconia
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JP6066275A
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Satoru Fujizu
悟 藤津
Kenichi Kawamura
賢一 河村
Masahiro Sawai
昌廣 澤井
Tetsuo Yamaguchi
哲生 山口
Fumitaka Ishimori
史高 石森
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C04B41/50Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements with inorganic materials
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 セラミック成形体上に、窒素含有雰囲気中に
てレーザー光を照射して、その照射部位に上記セラミッ
ク成形体に含有される金属の窒化物を有する強化膜を形
成する方法。 【効果】 上記強化膜とセラミック成形体との間の界面
では、深さに伴って窒化物の含量が低下するので、上記
強化膜とセラミック成形体とが一体化されて、上記両者
が剥離することを抑制できる。したがって、上記強化膜
の膜強度を向上させることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミック成形体にお
ける摺動部位等の表面特性の改善に用いられるセラミッ
ク強化膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、セラミック成形体としてのジ
ルコニア(ZrO2) 成形体、特にカルシアやイットリア等
の安定化剤を添加した部分安定化ジルコニア(以下、P
SZという)成形体は、高いじん性と高い耐熱性とによ
って高温における機械強度が優れていることや、耐熱衝
撃性に優れているところから大きな注目を集め、ガスタ
ービンのロータ、ディーゼルエンジンのシリンダ、その
他の高温用機械部品として数多く研究されている。
【0003】さらに、上記PSZ成形体では、摺動特性
など改善するために、必要な表面部位を改質することが
考えられた。このような改質としては、室温にて立方晶
となり、上記PSZより硬い窒化ジルコニウム(以下、
ZrNという)を有する強化膜を形成することが考えら
れた。
【0004】このようなZrNを有する強化膜の形成方
法としては、CVD法が考えられた。上記CVD法は、
低温で気化するZrハロゲン化物の気体と高温に加熱し
た基体との接触による高温不均一系反応によって目的と
するZrNを基体上に均一に析出させてZrN膜を形成
する方法であるので、1000℃前後という高温を必要と
し、また、Zrハロゲン化物の毒性と、その後処理とい
う問題を有している。
【0005】そこで、特開平2-274867号公報では、上記
問題を回避するために、窒素ガスまたはアンモニアガス
が導入された真空容器内にて、ジルコニウム金属を蒸発
させると共に直流放電等により上記窒素ガス等とジルコ
ニウム金属とをイオン化してプラズマ化することにより
ZrNを生成し、基体上にZrN膜を形成する方法が開
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
形成方法では、PSZ形成体上に形成されたZrN膜
と、上記PSZ成形体との間に明確な界面が生じるの
で、上記ZrN膜が剥離し易く、ZrN膜の膜強度が小
さいという問題を生じている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
セラミック強化膜の製造方法は、以上の課題を解決する
ために、セラミック成形体上に、窒素含有雰囲気中に
て、レーザー光を照射して、その照射部位に上記セラミ
ック成形体に含有される金属の窒化物を有する強化膜を
形成することを特徴としている。
【0008】本発明の請求項2記載のセラミック強化膜
の製造方法は、請求項1記載のセラミック強化膜の製造
方法において、上記セラミック成形体は部分安定化ジル
コニアを主成分とし、上記窒化物は窒化ジルコニウムで
あることを特徴としている。
【0009】
【作用】本発明のセラミック強化膜の製造方法によれ
ば、レーザー光の照射によって、セラミック成形体にお
けるレーザー光照射部位が加熱され、かつ励起されるこ
とにより、上記セラミック成形体の金属成分が活性化さ
れ、このように活性化された金属が、窒素含有雰囲気に
おける窒素と反応することにより、窒化物を有する強化
膜がセラミック成形体の表面上に形成されると想定され
る。
【0010】また、上記方法では、表面から深部に向か
って深さが大きくなるに伴って上記レーザー光の強度が
低下するので、上記強化膜は、セラミック成形体におけ
るレーザー光の照射部位から所定深さより深くなると、
窒化物の含量が深さに応じて順次小さくなる。
【0011】すなわち、上記強化膜では、所定深さより
深くなると上記セラミック成形体の成分が増加すること
になる。これにより、上記強化膜とセラミック成形体と
の間の界面が不明瞭となって、上記強化膜とセラミック
成形体とが一体化されるので、上記両者が剥離すること
を抑制できる。
【0012】
【実施例】本発明の一実施例について図1ないし図4に
基づいて説明すれば、以下の通りである。セラミック強
化膜の製造方法では、部分安定化ジルコニア(Partiall
y Stabilized Zirconia 、以下、PSZという)成形体
の表面に、空気、窒素ガスおよびアンモニアガス等の窒
素含有雰囲気中にて、波長1.06μmのレーザー光を、所
定のエネルギー密度にて照射して、上記PSZ成形体の
表面に窒化ジルコニウム(以下、ZrNと略す)を有す
る強化膜を形成し、上記強化膜によって表面が改質され
た改質PSZ成形体が得られる。
【0013】上記PSZ成形体は、正方晶のジルコニア
と、立方晶ジルコニアとを混合し焼成したもので、立方
晶ジルコニアマトリックス中に正方晶のジルコニアがほ
ぼ均一に分散したものである。
【0014】まず、上記PSZ成形体の製造方法につい
て説明する。PSZ〔秩父セメント株式会社製、組成式
((ZrO20.95(Y2O30.05)〕の粉末を、ポリビニル
アルコールを主成分とした水系バインダー(ライオン株
式会社製、商品名:AQ−2258)を3%加え、蒸留水で混
合した後、攪拌しながら脱水して混合物を得た。
【0015】さらに、上記混合物を乾燥機にて乾燥させ
た後、乳鉢を用いて粉砕した。上記混合物を造粒した
後、金型を用いて成形した。成形した試料をビニール袋
に入れ真空パックした後、CIPにて2000気圧1分間加
圧して成形物を得た。
【0016】続いて、上記成形物を、ジルコニア粉末を
敷き詰めたるつぼ上で焼成してPSZ成形体を得た。上
記の焼成は、大気中にて 600℃2時間加熱して上記水系
バインダーを蒸散させて除去し、続いて1450℃4時間加
熱して行った。このようにして得られたPSZ成形体
は、相対密度98%以上であった。また、上記PSZ成形
体は、レーザー光を照射する表面が鏡面研磨されて用い
られた。
【0017】前記レーザー光を発生するレーザー装置と
しては、例えばYAG(Yttrium Alminum Garnet) レー
ザー装置(宮地レーザーシステム株式会社製、型番:M
L−2101A型)を用いた。レーザー光の照射条件は、上
記レーザー装置を用いた場合、ランプ電圧 600V、パル
ス長さを 500μsec として1パルス当り平均2Jのレー
ザー光をスポット径 0.8mmとし、1ヶ所に対して 1.5秒
間隔で2回ずつ照射した。
【0018】次に、上記レーザー光をPSZ成形体に照
射するときの雰囲気をそれぞれ代えて、各窒素含有雰囲
気にて上記レーザー光をそれぞれ照射したものを実施例
1〜4、窒素を含有しない各雰囲気にてレーザー光をそ
れぞれ照射したものを比較例1、2として説明する。
【0019】〔実施例1〕上記レーザー光を、PSZ成
形体における鏡面仕上げされた表面全体に、大気中にて
照射して改質PSZ成形体を得た。上記レーザー光は、
上記表面に非常によく吸収された。また、上記表面を光
学顕微鏡にて観察すると、その照射部分の表面が金色を
含んだ黒色に変色していた。
【0020】〔実施例2〕上記実施例1における大気中
に代えて、窒素ガス雰囲気にて上記実施例1と同様にレ
ーザー光を照射して改質PSZ成形体を得た。上記レー
ザー光は、上記表面に非常によく吸収された。
【0021】〔実施例3〕上記実施例1における大気中
に代えて、6%水素ガス含有窒素ガス雰囲気にて上記実
施例1と同様にレーザー光を照射して改質PSZ成形体
を得た。上記レーザー光は、上記表面に非常によく吸収
された。
【0022】〔実施例4〕上記実施例1における大気中
に代えて、アンモニアガス雰囲気にて上記実施例1と同
様にレーザー光を照射して改質PSZ成形体を得た。上
記レーザー光は、上記表面に非常によく吸収された。
【0023】〔比較例1〕上記実施例1における大気中
に代えて、ヘリウムガス雰囲気にて上記実施例1と同様
にレーザー光を照射して改質PSZ成形体を得た。上記
レーザー光は、上記表面に非常によく吸収された。
【0024】〔比較例2〕上記実施例1における大気中
に代えて、酸素ガス雰囲気にて上記実施例1と同様にレ
ーザー光を照射して改質PSZ成形体を得た。上記レー
ザー光は、上記表面に非常によく吸収された。
【0025】上記各実施例2〜4では、各改質PSZ成
形体における照射部位が肉眼でも識別できるほど鮮やか
な金色にそれぞれ着色されていた。すなわち、上記金色
は、ZrNが有する色であるので、上記各改質PSZ成
形体における照射部位にZrNを有する強化膜が形成さ
れているものと想定された。また、上記各改質PSZ成
形体をダイヤモンドカッタにて切断したところ、金色に
着色された上記強化膜の厚さは、約 100μm程度であっ
た。
【0026】一方、上記比較例1では、得られた改質P
SZ成形体の照射部位が光沢を有した黒色に着色されて
いた。また、上記比較例2では、得られた改質PSZ成
形体の照射部位が光沢のある白色であるシルバーに着色
されていた。
【0027】次に、上記各実施例1〜4および比較例
1、2の照射部位に生成した物質を、分析、同定するた
めに、X線回折により上記照射部位をそれぞれ分析し
た。X線回折では、X線回折装置(理学社製、RTP 3
00型)を用いた。X線回折の分析条件としては、ターゲ
ットとして銅(Kα約1.54Å)を用い、スキャンスピー
ドを4 Deg/min、電流を 100mA、電圧を40kVにてそ
れぞれ分析した。
【0028】これらの結果を図1ないし図3に示した。
上記各結果と、JCPDSカードとの比較から、前記の
照射条件でのレーザー光の照射によって、上記各実施例
1〜4の各照射部位ではZrNの回折ピークが観察され
た。
【0029】すなわち、図1(a)、図1(b)、図2
(b)、図3(b)に示すように、上記各図におけるd
=1.38に現れたピークがZrNのピークとそれぞれ一致
した。また、図2(a)、図3(a)に示すように、上
記各図では、上記ZrNのピークが観察されなかった。
なお、比較として、図1〜3には、各図(c)にPSZ
単体の成形体のX線回折図を示した。
【0030】これらのことから、大気中、窒素ガス雰囲
気、6%水素含有窒素ガス雰囲気、アンモニアガス雰囲
気中にて、PSZ成形体に対して上記レーザー光をそれ
ぞれ照射すると、それらの照射部位にZrNを有する強
化膜が生成されることが確認された。これにより、上記
照射部位に形成された金色の強化膜は、ZrNの生成に
起因することが判る。
【0031】また、上記各実施例1〜4のZrNのピー
ク値から、生成した強化膜におけるZrO2 に対するZ
rNの含量比が判る。これらの結果を表1に示した。こ
の結果から、雰囲気中における窒素の存在量が多くなる
にしたがって、強化膜におけるZrNの含量が増加する
ことが判る。
【0032】次に、窒素ガス雰囲気中にて、PSZ成形
体に対してレーザー光を照射して貫通孔を上記PSZ成
形体に形成した。上記PSZ成形体の貫通孔の内表面を
X線回折した結果を図4(a)に示した。比較として、
実施例2による改質PSZ成形体の表面のX線回折図を
図4(b)、強化膜を形成していないPSZ成形体の表
面のX線回折図を図4(c)を示した。これらの結果か
ら、上記内表面には、ZrNを含む強化膜の生成は観察
されなかった。
【0033】このことにより、強化膜は、PSZ成形体
の内部まで形成されることはなく、上記PSZ成形体の
照射部位にのみ形成されることが判る。また、強化膜の
形成には、内表面にZrNを含む強化膜の生成は観察さ
れなかったことから、レーザー光による加熱だけではな
くレーザー光による励起が必要であることが判る。
【0034】次に、さらに、強化膜におけるZrNの生
成を確認するために、上記実施例3において得られた改
質PSZ成形体の強化膜を、SIMSによってそれぞれ
分析した。
【0035】上記SIMSとは、各改質PSZ成形体の
照射部位に、酸素分子(SIMSイオンビーム)を高速
にて衝突させ、上記酸素分子によって上記照射部位の分
子が弾き出され、このように弾き出された分子を検出す
ると共に、上記分子の濃度を測定するものである。上記
SIMSでは、SIMS装置(日立株式会社製、IMA
−2型)を用いた。また、各試料は、10mmφに成形した
ものを用いた。
【0036】この結果を表1に合わせて示した。また、
上記表1には、レーザー光照射後の各PSZ成形体にお
ける表面の色変化と、X線回折によるZrNの代表的な
ピーク(d=2.28)とZrO2 の代表的なピーク(d=
2.96)の強度比も示した。
【0037】なお、表1では、比較としてZrO2 単体
の測定結果を、H2-N2 は6%水素含有窒素ガスを、色
変化における I-Wはivory-white を、 B-Gはblack-gold
を、Ini/Iox(%)は、X線回折によるZrNの代表的な
ピーク(d=2.28)とZrO2 の代表的なピーク(d=
2.96)の強度比を、14H/12H(%)は、SIMS測定によ
る窒素と炭素との強度比を示した。
【0038】
【表1】
【0039】このような表1の結果から、PSZ成形体
にレーザー光を照射することにより、加熱および励起に
よって解離したジルコニウムが酸素分子と再結合すると
同時に、解離したジルコニウムの一部は加熱および励起
によって解離した窒素と再結合することにより、ZrN
となるものと考えられた。
【0040】このようなZrNの生成におけるジルコニ
ウムの解離は、熱励起だけではなく、特定波長のレーザ
ー光による4光子吸収過程による励起も寄与しているも
のと考えられた。
【0041】なお、ZrO2 単体やHeガス雰囲気の改
質PSZ成形体における各SIMS測定結果において、
窒素が検出されているのは、SIMS測定では避けられ
ないCH3 + に起因するものと考えられた。
【0042】このように上記実施例の方法では、もろさ
を改善して高い強度、高いじん性(toughness)を有する
セラミックとしてのPSZ形成体の表面に、PSZより
硬いZrNを有する強化膜を任意の表面位置に形成して
改質PSZ成形体を得ることができる。したがって、上
記改質PSZ成形体では、PSZより硬い強化膜によっ
て摺動特性を改善できる。
【0043】また、上記強化膜は、PSZ成形体の上に
レーザー光の照射によって形成されるので、表面から深
部に向かって所定厚さまではZrNの含量は、ほぼ一定
と考えられるが、さらに深部では、深さに応じて到達す
るレーザー光の強度が小さくなるため、ZrNの含量が
深さに応じて順次小さくなる。
【0044】これにより、改質PSZ成形体におけるP
SZと強化膜との間に明確な界面が形成されず、上記両
者が一体化されることから、上記強化膜では、改質PS
Z成形体に対する密着性を従来より高くでき、上記強化
膜の膜強度を向上させることができる。
【0045】また、上記レーザー光の波長が1.06μmで
あるので、上記レーザー光を光ファイバーによって伝達
して任意のPSZ成形体上の位置に照射することができ
るので、複雑な形状を有するPSZ成形体に対しても、
任意の表面に強化膜を容易に形成することができる。ま
た、上記方法は、複雑な形状の際に生じ易い段差部分等
に対する強化膜の均一な形成に関しても極めて有効であ
る。
【0046】これにより、上記方法では、セラミック成
形体の中でも強度高い上に粘り強い、つまりじん性が大
きい材料として知られ、種々の用途が期待されているP
SZ成形体が有する用途範囲をさらに拡大できる改質P
SZ成形体を得ることができる。
【0047】上記用途としては、じん性、強度、硬さを
利用した刃物、工具、耐磨耗性、じん性、比重を利用し
たボールミル、硬さ、じん性、強度、低摩擦係数を利用
したダイス、エミッタ、ノズル、摺動部品等が挙げられ
る。上記エミッタとは、衝突形素子において、主噴流を
供給するノズルである。
【0048】なお、上記実施例の方法では、レーザー光
の波長としては1.06μmを用いた例を挙げたが、基体と
して用いたセラミック成形体の成分を励起できるもので
あればよく、上記PSZ成形体の場合、例えば 0.9〜1.
4 μmの波長を有するレーザー光を用いることができ
る。
【0049】ただし、上記のYAGレーザー装置を用い
る場合、波長1.06μmのレーザー光が最も強く発生でき
ることから、波長1.06μmのレーザー光が好ましい。ま
た、上記実施例では、パルスのレーザー光を用いた例を
挙げたが、特に上記に限定されることはなく、所定のエ
ネルギー密度を発生できるのであれば、連続的に発生さ
れるレーザー光を用いることも可能である。
【0050】また、上記実施例では、基体として分散型
のPSZ成形体に用いた例を挙げたが、他のジルコニア
を含むセラミック成形体、例えば、析出型のPSZや、
他の分散型のPSZを基体として用いることも可能であ
る。
【0051】上記析出型のPSZとは、いったん高温で
焼成してすべて立方晶からなるセラミックとし、それを
所定温度でアニールして立方晶ジルコニアマトリックス
中に正方晶のジルコニアをコヒーレントに析出させたも
のである。
【0052】上記の他の分散型のPSZとは、前記立方
晶ジルコニアに代えて、アルミナ(Al2O3)、ムライト、
窒化ケイ素(Si3N4 )、酸化チタン(TiO2)等のセラミ
ックと、正方晶のジルコニアとを混合し焼成したもの
で、上記セラミックマトリックス中に正方晶のジルコニ
アがほぼ均一に分散したものである。
【0053】このように上記実施例の方法では、このよ
うに正方晶のジルコニアを含み、強化されたセラミック
であるジルコニア強化セラミックの表面にZrNを有す
る強化膜を形成することができて、改質ジルコニア強化
セラミックを得ることが可能となる。
【0054】さらに、上記実施例の方法は、安定化ジル
コニアに対して強化膜を形成することも可能である。上
記安定化ジルコニアとは、ジルコニア(ZrO2)に対し
て、CaO 、MgO 、Y2O3、CeO2等のZrと陽イオン半径の近
い酸化物を固溶させたものであって、室温においてもジ
ルコニアの高温安定相である蛍石型立方晶を有するもの
である。
【0055】つまり、ジルコニアは融点が2715℃と高
く、化学的に安定な酸化物であるが、高純度のものは著
しい体積変化を伴う単斜晶と正方晶の変態点が存在する
欠点がある。
【0056】ジルコニアに対し、CaO 、MgO 、Y2O3、Ce
O2等のZrと陽イオン半径の近い酸化物を固溶させると、
ジルコニアの高温安定相である蛍石型立方晶が室温まで
変態せずに安定化されるため、異常膨張収縮を示さなく
なる。これを、安定化ジルコニアと呼ぶ。安定化に必要
な添加量は、CaO とMgO とが16 mol%以上、Y2O3が8mo
l%以上である。
【0057】このようにアイボリー色である安定化ジル
コニア成形体に、金色のZrNを有する膜を形成するこ
とにより、恒久的な文字や図柄などを安定化ジルコニア
成形体の表面に描くことができて、装飾的な効果も上記
安定化ジルコニア成形体に付与することができる。
【0058】また、上記実施例の方法では、ジルコニア
を含むセラミック成形体を用いた例を挙げたが、他のセ
ラミック成形体、例えばアルミナや酸化チタン、および
それらの混合物のセラミック成形体も同様に用いること
ができる。
【0059】さらに、上記実施例の方法では、セラミッ
ク成形体の表面全体にレーザー光を照射した例を挙げた
が、必要な部位にのみ照射して強化膜をセラミック成形
体に対して部分的に形成してもよく、また、例えば摺動
方向に沿った線状にレーザー光を互いに平行にそれぞれ
照射して、縞状の強化膜をセラミック成形体に形成する
ことも容易に可能である。
【0060】その上、上記実施例の方法では、セラミッ
ク成形体として焼成体を用いた例を挙げたが、他のセラ
ミック成形体、例えばセラミック粉体を圧縮成形して得
られた圧粉体(グリーン体ともいう)を同様に用いるこ
とができる。
【0061】
【発明の効果】本発明のセラミック強化膜の製造方法
は、以上のように、セラミック成形体上に、窒素含有雰
囲気中にてレーザー光を照射して、その照射部位に上記
セラミック成形体に含有される金属の窒化物を有する強
化膜を形成する方法である。
【0062】それゆえ、上記方法は、表面から深部に向
かって深さが大きくなるに伴って上記レーザー光の強度
が低下するので、上記強化膜は、セラミック成形体にお
けるレーザー光の照射部位から所定深さより深くなる
と、窒化物の含量が深さに応じて順次小さくなる。すな
わち、上記強化膜では、所定深さより深くなると上記セ
ラミック成形体の成分が順次増加することになる。
【0063】これにより、上記強化膜とセラミック成形
体との間の界面が不明瞭となるので、上記強化膜とセラ
ミック成形体とが一体化されて、上記両者が剥離するこ
とを抑制できる。
【0064】したがって、上記方法は、上記強化膜の膜
強度を向上させることが可能となるので、摺動部品等へ
の用途をさらに拡大したセラミック成形体を得ることが
できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック強化膜の製造方法における
実施例1および実施例2で得られた改質PSZ成形体の
レーザー光照射部位のX線回折図であり、(a)は実施
例2であり、(b)は実施例1であり、(c)は比較の
ためのPSZである。
【図2】上記セラミック強化膜の製造方法における実施
例3および比較例1で得られた改質PSZ成形体のレー
ザー光照射部位のX線回折図であり、(a)は比較例1
であり、(b)は実施例3であり、(c)は比較のため
のPSZである。
【図3】上記セラミック強化膜の製造方法における実施
例4および比較例2で得られた改質PSZ成形体のレー
ザー光照射部位のX線回折図であり、(a)は比較例2
であり、(b)は実施例4であり、(c)は比較のため
のPSZである。
【図4】上記セラミック強化膜の製造方法における実施
例2の方法にて得られた改質PSZ成形体に形成された
レーザー光による貫通孔の内表面のX線回折図であり、
(a)は内表面であり、(b)はレーザー光照射部位で
あり、(c)は比較のためのPSZである。
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【手続補正書】
【提出日】平成6年8月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック強化膜の製造方法における
実施例1および実施例2で得られた改質PSZ成形体の
レーザー光照射部位の物性をそれぞれ中段および上段に
て示すX線回折図である。
【図2】上記セラミック強化膜の製造方法における実施
例3および比較例1で得られた改質PSZ成形体のレー
ザー光照射部位の物性をそれぞれ中段および上段にて示
すX線回折図である。
【図3】上記セラミック強化膜の製造方法における実施
例4および比較例2で得られた改質PSZ成形体のレー
ザー光照射部位の物性をそれぞれ中段および上段にて示
すX線回折図である。
【図4】上記セラミック強化膜の製造方法における実施
例2の方法にて得られた改質PSZ成形体に形成された
レーザー光による貫通孔の内表面の物性、および上記貫
通孔を形成する際のレーザー光照射部位の物性をそれぞ
れ上段および中断にて示すX線回折図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック成形体上に、窒素含有雰囲気中
    にて、レーザー光を照射して、その照射部位に上記セラ
    ミック成形体に含有される金属の窒化物を有する強化膜
    を形成することを特徴とするセラミック強化膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】上記セラミック成形体は部分安定化ジルコ
    ニアを主成分とし、上記窒化物は窒化ジルコニウムであ
    ることを特徴とする請求項1記載のセラミック強化膜の
    製造方法。
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