JPH07277770A - 水素誘導損の増加に対し、不活性化されたガラス光導波路 - Google Patents

水素誘導損の増加に対し、不活性化されたガラス光導波路

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JPH07277770A
JPH07277770A JP7065409A JP6540995A JPH07277770A JP H07277770 A JPH07277770 A JP H07277770A JP 7065409 A JP7065409 A JP 7065409A JP 6540995 A JP6540995 A JP 6540995A JP H07277770 A JPH07277770 A JP H07277770A
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waveguide
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fiber
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Paul Joseph Lemaire
ジョセフ レマイアー ポール
Kenneth Lee Walker
リー ウォーカー ケネス
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AT&T Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、水素誘導損の増加に対し、不活性
化されたガラス光導波路を提供する。 【構成】 出願人は、水素誘導損失増を起すガラス光導
波路は、ガラスを重水素中で処理することにより、不活
性化できることを、発見した。重水素処理されたガラス
は、H2 を含む雰囲気に露出された時、損失の増加速度
が低いだけでなく、重水素加熱処理後には、1.55及
び1.31ミクロン波長領域において、光の高い伝送を
保持する。この方法はEr−ドープファイバ、伝送ファイ
バ及びプレーナ導波路に、あてはまる。条状によって
は、水素を重水素の代りとすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ファイバ及びプレーナ
導波路のようなガラス光導波路、特に水素誘導損失の増
加に対して不活性化された導波路に係る。
【0002】
【従来の技術】光ファイバのような光導波路は、中継局
間の非常に長い距離に渡り、光信号を運ぶが、そのよう
なファイバは損失が長期間に増加し、特に1.55及び
1.31ミクロン波長領域における光の伝送において、
増加することが観測されている。1つの型の損失は、Na
及びLiのようなアルカリ不純物を含むGeO2−ドープ導波
路中の欠陥と、水素との反応による。別の型は、H2
アンドープシリカ領域中の欠陥位置で反応する時、起
る。後者の型の損失増加速度は、引張りプロセス中、水
素でファイバを処理することにより、減すことができ
る。(1991年10月22日、エム・ジー・ブランケ
ンシップ(M.G.Blankenship)らに承認された米国特許第
5,059,229号)しかし、この速度減少は、最初
の損失を増加させることによってのみ、実現される。そ
のような損失増加は、長距離伝送のような、多くの高動
作特性を必要とする用途には、望ましくない。
【0003】水素誘導損失は、エルビウム−ドープ(Er
−ドープ)増幅器ファイバにおいて、特に問題である。
加速水素経年試験は、Er−ドープ増幅器は極微量のH2
とすら、急速に反応し、スペクトルが広がる損失を起
し、それは信号波長及びポンピング波長に、影響を及ぼ
しうることを示している。たとえば、ピー・ジェイ・ル
メーラ(P.J.Lemaire)ら、Er−ドープ増幅器ファイバ中
の長期間水素誘導損失増加の予測、5,アイ・イーイー
イー・フォトニクス・テクノロジー・レターズ(IEEE
Photonics Technology Letters ) 214(1993
年2月)及びピー・ジェイ・ルメーラ(P.J.Lemaire)
ら、水素導入損失はエルビウムドープ増幅器ファイバで
増加する:修正予言、オーエフシー・テクニカル・ダイ
ジェスト(OFC Technical Digest) 、2月20−2
5日(1994)論文FF1.従って、水素誘導損失の
増加に対して不活性化された改善されたガラス導波路に
対する要求がある。
【0004】
【本発明の要約】出願人は、水素誘導損失が増加したガ
ラス光導波路は、重水素でガラスを処理することによ
り、不活性化できることを、発見した。重水素処理ガラ
スは、H2を含む雰囲気に露出された時、損失の増加速
度が低下するだけでなく、重水素加熱処理直後、1.5
5及び1.31μm波長領域における光の高伝送を保持
する。この方法は、Er−ドープファイバ、伝送ファイバ
及びプレーナ導波路に、適用される。いくつかの条件下
で、水素は重水素に置きかえられる。
【0005】
【詳細の記述】本記述は、3つの部分に分割される。第
I部では重水素の処理により、不活性化する好ましい方
法について述べる。第II部では水素が重水素に置きかえ
られる雰囲気について述べ、第III 部ではここで述べた
結果を拡張する理論的な物理モデルについて、述べる。
【0006】I 重水素不活性化 導波路を形成し、水素が低活性化エネルギー欠陥位置と
反応する前に、重水素(D)の存在下で、導波路を加熱
し、重水素が水素(H)より高反応性低エネルギー位置
を占めるようにすることにより、ガラス光導波路は、本
質的に水素誘導損失に対して、不活性化される。重水素
は水素より質量が大きいから、ODはOHより長波長で
吸収する。具体的には、ODは対象とする1.55及び
1.31μm波長領域で、吸収が非常に低い。
【0007】図面を参照すると、図1は水素誘導損失増
加に対し、ガラス光ファイバを不活性化する好ましい方
法の工程を、ブロックダイヤグラムで示す。図1のブロ
ックAで示されるように、第1の工程は、光ファイバを
引くための適当なプリフォームを形成することである。
従来の実施例に従うと、プリフォームは典型的な場合、
GeO2トープシリカでよい中心コア領域とシリカの同心状
の外部クラッドを有する合成ガラスロッドを含む。典型
的なEr−ドープファイバの場合、コアは約14−18モ
ル%のGeO2、約1.0モル%のAl2O3 、及び100−2
000ppm のErがドープされる。
【0008】次の工程は、ブロックBで示されるよう
に、プリフォームからファイバを引張ることである。Er
−ドープファイバは典型的な場合、当業者には周知の方
法に従い、2.5−4.5μmコア径に引かれる。
【0009】ブロックCで示されるように、第3の工程
は、従来技術でよく、保護ポリマでファイバを被覆する
ことである。典型的なポリマは、ウレタン−アクリレー
ト被膜である。被膜は典型的な場合、ファイバが引かれ
る時、連続したプロセスで、形成され、紫外光で焼きな
まされる。
【0010】次の工程は、ブロックDで示され、ファイ
バを重水素を含む雰囲気中に置き、それを熱処理するこ
とである。この工程はファイバ形成直後、ファイバが水
素を含む雰囲気中で用いられる前に始めるのが、好まし
い。この工程は、糸巻きポリマ被覆ファイバを、重水素
で満したオーブン中で、加熱することにより行うのが便
利である。不活性化のために好ましい加熱時間は、温
度、重水素の分圧及びファイバの意図する用途に依存す
る。ポリマ被覆への損傷を避けるためには、140℃又
はそれ以下が好ましいが、約200℃までの高温被覆も
使用できる。200℃を越える温度は、そのような温度
ではGeO2ドープ導波路が新しい型の吸収損(電子的)を
発生させるため、推められない。好ましい重水素分圧は
10気圧以下で、高価な圧力容器の使用を避けるため、
1気圧が有利である。しかし、100気圧までの高圧
も、もし不活性化時間を最小にすることが望ましいな
ら、使用できる。
【0011】以下の表1は、25年間で、20mファイ
バにおいて、指示された1.55μm損に許容されるフ
ァイバの、好ましい処理を示す。
【0012】
【表1】
【0013】異なる不活性化条件による同じプロセス
が、光伝送ファイバに適用できる。そのようなファイバ
は典型的な場合、GeO2ドープ・ガラスコアとアンドープ
SiO2又はF、GeO2及びP2O5ドーパントのいくつかの組合
せをドープしたSiO2から成るクラッド層を有するプリフ
ォームから、典型的な場合、引かれる。そのようなファ
イバもまた、アルカリ種(たとえばNa、Li及びK)を含
むことがあり、それらは極微量のH2 不純物と反応する
傾向のある反応性欠陥位置を導入する。これらの反応
は、長波長損失端とともに、1.41μm領域中に、O
H含有量を増加させる。実験により、反応性欠陥は、あ
る範囲の活性化エネルギーをもつことが、示される。最
低の活性化エネルギーを有する位置は、長期間の水素誘
導損を増す原因となる。これらの位置をあらかじめ重水
素と反応させることにより、システムの動作条件におけ
るそれ以上の損失劣化を、避けることができる。更に、
不活性化のために、H2 の代りにD2 を用いることによ
り、1.55μm領域中の著しい損失劣化を起すことな
く、ファイバは不活性化できる。
【0014】下の表2は25年の期間で、1.55μm
における許容損失増が、0.002dB/kmを越えないこ
とが期待されるシングルモード光伝送ファイバについて
の、好ましい処理を示す。
【0015】
【表2】
【0016】図2は上述のように不活性化された典型的
な伝送ファイバを示し、剥離された端部11はクラッド
領域14によって囲まれたコア領域13を含むガラスフ
ァイバ12を含むように、示されている。ファイバはシ
ングルモード又はマルチモード光ファイバでよいが、典
型的な場合6−10μm(ミクロン)程度のコア径と、
数十ミクロン厚の周囲クラッドを有するシングルモード
・シリカファイバが好ましい。
【0017】剥離されていないファイバ15は焼きなま
されたポリマ被覆16を含み、それは基本(内部)被覆
17及び二次(外部)被覆18を含む二重被覆である。
ポリマ被覆は、炭化水素ポリマ、ポリエーテル、ポリ炭
酸エステル、ポリエステル及びシリコーンを含む各種ポ
リマの、任意の1つでよい。基本被覆は、ゴム状の組織
を避けるような化学式をもつのが有利で、一方二次被覆
はより高度に交差結合したガラス状組織をもつことが、
有利である。
【0018】上述のように重水素中で加熱することによ
り、不活性化した時、ファイバは長期間の水素誘導損の
増加を、あまり感じなくなり、その損失増は、ファイバ
が不活性化されないと、生じる可能性がある。ファイバ
の不活性化に対し、重水素の代りに水素が使用でき、長
期間の損失増は防止できるが、この水素不活性化は、不
活性化プロセス中、損失増を起しうる。このことは、図
3を参照するとわかる。この図はD2 処理ファイバ(曲
線2)及びH2 処理ファイバ(曲線1)の両方につい
て、波長に対する損失増Δαをプロットしたものであ
る。図からわかるように、D2 処理は本質的にΔα曲線
を、長波長領域にシフトさせ、対象とする1.55及び
1.31μm領域中で、不活性化により導入される損失
増を、防止している。
【0019】プレーナ導波路デバイスは、コンパクトな
薄膜デバイスになる傾向がある。そのようなデバイス
は、典型的には50℃ないし200℃の範囲の温度にお
いて、オーブン中の重水素雰囲気中で加熱することによ
り、処理できる。
【0020】Erファイバ及び伝送ファイバの両方の場合
のすべての不活性化条件は、予想される動作条件に依存
する。水素分圧、温度又は動作時間といったシステムパ
ラメータのいずれかの増加は、より積極的な不活性化条
件を、必要とする。
【0021】II 水素不活性化 図3に示されるように、D2 不活性化は一般に、H2
活性化より優れている。しかし、上述の不活性化プロセ
スにおいて、H2 がD2 に置き代えられるいくつかの条
件がある。たとえば、Er増幅器ファイバのような短距離
ファイバの場合、ファイバの安定性に基本的な関心があ
り、ファイバ損ではない。そのような場合、H2 はD2
の代りになり、ファイバの長さは不活性化アニール中生
じうる損失増を補うよう、調整できる。同様の条件は、
導波路長が典型的な場合短いプレーナ導波路構造にも、
あてはまる。
【0022】III 不活性化条件決定のための理論 一般的に、もし反応位置が活性化エネルギーの分布をも
つなら、導波路を不活性化することが、可能である。非
常に反応性である位置から、非常に非反応性である位置
までの範囲の位置が存在するということは、最も反応性
の位置を除去するなら、デバイスのその後の反応性は、
許容レベルまで減せるということを、示唆する。以下の
議論で、OHの形成は、ファイバの信頼性に影響を与え
うる損失の多い欠陥の典型的な例と、考えられるであろ
う。OHの倍音は、シリカファイバの約1.4μmに中
心があり、システムの波長に影響を与える可能性があ
り、1.48μmEr増幅器ポンピング波長にも中心があ
る。反応性の欠陥は、それらを重水素と反応させること
により除去でき、それはシステム波長に振動損を発生さ
せない。場合によっては、わずかな不活性化誘導損が許
容できる限り、ファイバを不活性化させるために、H2
を用いることが可能である。
【0023】不活性化のための適切な条件をいかに決定
するかを理解するために、最初に特定の活性化エネルギ
ーEをもつ分布内の欠陥を考える。欠陥位置におけるH
2 の反応速度が、エネルギーEの未反応欠陥の濃度と、
2 の濃度に比例すると仮定すると、簡単な解析によ
り、形成されるOHの濃度は、次式で与えられる。
【0024】 COH(E)=Cd.O (E)〔1−exp(−t/τ(E))〕 (1) ここで、Cd.O (E)はエネルギーEの反応位置の最初
の濃度、τ(E)は特性時定数で、次式で与えられる。
【0025】
【数1】 ここで、kはボルツマン定数、ν0 は振動周波数の記号
である。CH2はppm で表わされたファイバコアにおける
分子状水素濃度である。CH2の値は以下の関係で表わさ
れるシリカ中へのH2 (又はD2 )の溶解度のデータに
基き、与えられた時間、温度及び水素圧に対して、計算
できる。 CH2=PH2H2 (3) SH2はシリカ中の分子状水素の溶解度で、重水素に対す
る場合と同様、文献から容易に得られる。PH2はファイ
バ周囲の圧力である。
【0026】異なるEを有する位置に分布があるから、
任意の時刻におけるOHの全濃度は、次式で与えられ
る。
【0027】
【数2】 ここで、Nd.O (E)はエネルギーの関数として、反応
位置の濃度を記述する関数で、Ed はkTln(CH2ν
0t) で与えられる“限界”エネルギーである。式(4)
の第2の部分の近似は、非常に高い活性化エネルギーE
>Ed を有する欠陥は、反応性が無視でき、OH増加に
重要な働きをしないことに基く。即ち、高いEにおい
て、1−exp(−t/τ(E))の値は、ほぼゼロであ
る。低いEにおいて、表式1−exp(−t/τ(E))は
値1に近づく。
【0028】一般に、関数Nd.O (E)の性質は先験的
には、わからないが、そうであっても、Ed (すなわち
kTln(CH2ν0t) の値が一定である限り、COHについ
て、同じ値を得るであろう。
【0029】ファイバを不活性化するためには、すべて
の反応性欠陥、すなわち何らかの臨界値Ecritより小さ
なEを有する欠陥を、あらかじめ反応させたいと思う。
一度Ecritを決めたなら、必要な時間、CD2及び不活性
化のための温度を、以下の式に基いて、指定すること
が、可能である。
【数3】 ここで、passという添え字は、不活性化に用いるべき条
件をさす。(tpassは不活性化反応に必要な時間で、以
下で述べるように、ファイバの外側からコアへD2 又は
2 が拡散するのに必要な時間をさしているのではな
い。)
【0030】Ecritを決めるためには、加速試験から得
た実験データに依存しなければならず、その場合、高温
において比較的高いレベルのH2 に露出されるファイバ
又は導波路中の、対象とするいくつかの波長における損
失増を通常測定する。kTln(CH2ν0t) に対してC0H
をプロットすることにより、容易に“マスター”曲線を
作ることができる。C0H、T、CH2はすべて実験的に測
定されるパラメータである。(OH損が増す例では、濃
度C0Hは1.4μm付近のOH倍音吸収の増加から、決
定できる。)ν0 の値は、異なる条件(たとえば異なる
温度)で得た実験データが、すべてなめらかな曲線上に
のるように、反復により見い出せる。図4及び5は、そ
れぞれ典型的なEr増幅ファイバ及びアルカリを含むシン
グルモード伝送ファイバについての、加速劣化試験のデ
ータを示す。たとえば、CH2に対して、時間の関数とし
て、OH増を決めるため、及び実験のシステムの特性と
なることであろう温度を決めるために、“マスター”曲
線を使うことができる。時間に対し、OHをプロットす
ることにより、OHの増加により生じるtcritないしt
crit+tsys 間の損失増が、システムの考察から予測さ
れる許容OH損より小さくなるように、臨界時間tcrit
が簡単に見い出せる。Ecritの値は、次式で与えられ
る。
【数4】 以下の式を満す温度、時間及び水素圧の実際的な条件
は、いずれも不活性化に使用できる。
【数5】 不活性化に用いられる温度及びD2 圧が与えられると、
必要な不活性化時間は、次式で与えられる。
【0031】
【数6】 2 分子がファイバコアに拡散するのに十分な時間をと
るために、アニール条件を微調整することが、時々必要
となる。拡散時間は、おおよそ次式で見積ることができ
る。
【数7】 ここで、aはファイバの半径(標準的な光ファイバで
は、しばしば62.5μm)、DD2はシリカ中の重水素
(又は水素)の拡散係数で、よく知られた値である。不
活性化アニールに必要な時間は、次式のようになる。 tanneal=tpass+tdiffn (10) アニールに必要な全時間を決定するより正確な方法は、
式(11)で示される式を、tannealについて、解くこ
とである。しかし、ほとんどの実際的な用途では、式
(10)は解くことが幾分容易になり、アニーリング時
間の適切な見積りは、次式で行える。
【0032】
【数8】 先に議論したように、不活性化に用いられる最高温度
は、しばしばファイバのポリマ被覆の熱劣化により、予
測されるが、実際的な最大のCH2は、不活性化アニール
中、ファイバ又は導波路を保持するために用いる容器で
扱える圧力によって、制限されるであろう。
【0033】これらの原理の応用は、以下の例を考察す
ることによって、理解できる。
【0034】〔実施例1〕 Erドープファイバ Erドープファイバの場合について、図4はkTln(ν0
H2t)に対し、倍音ピーク(1.42μm)における
OH損増加を、プロットしたものである。ν0の値は、
5×109 hr-1と決められた。75℃、0.01気圧H
2 、25年という仮定したシステム条件に対し、20m
ファイバ長に対し、0.1dBの許容1.55μm損失増
を仮定すると、Ecritの値は、約1.07eVに決る。も
し不活性化温度を125℃に選び、不活性化を1気圧の
2 中で行うとすると、必要な時間(tpass)は約7.
5日と計算される。この温度における拡散時間tdiffn
は、比較的短く、約2時間である。従って、全アニール
時間は、約7.6日である。
【0035】式(8)で示されるように、不活性化時間
は、不活性化圧力を増すことにより減すことができ、た
とえば10気圧では0.76日で、tdiffn は不変であ
るから、全アニール時間は約0.86日である。
【0036】20mファイバ長に対する許容1.55μ
m損失増が0.1dBで、40℃、P H2=0.001気
圧、25年間動作するシステムの場合、Ecritの値は
0.76eVであることが、わかった。(これはシステム
条件の厳しさがゆるいため、上の値1.07eVより低
い。)やはり、式(7)が満されるように、条件を選ぶ
ことが、可能である。60℃のアニール温度、1気圧D
2 の不活性化圧力の場合、必要な不活性化時間t
passは、0.8時間である。しかし、拡散時間tdiffn
は、著しく長く、式(10)を用いて見積られた値は約
20時間で、tannealは約21時間となる。式(11)
を用いたtannealのより正確な見積りにより、14時間
のアニールが得られる。
【0037】式(8)で示唆されるように、不活性化の
ための重水素圧力を、10分の1下げ、0.1気圧とす
ると、不活性化反応時間は10倍増加し、8時間とな
る。式(10)により見積られる拡散時間は不変である
から、28時間というアニール時間が得られる。
【0038】 〔実施例2〕 アルカリを含む伝送ファイバ 図5はコアは約3%のGeO2を含み、P2O5及びFをドープ
したクラッドを有するアルカリを含むシングルモードフ
ァイバについての、マスター曲線を示す。ν0の値は、
この型のファイバの場合108 hr-1である。40℃、
0.001気圧H2 及びシステム寿命25年で、1.5
5μmにおける許容損失増が0.002dB/kmのシステ
ム条件の場合、Ecritの必要な値は、0.85eVであ
る。もし、不活性化を85℃において、1気圧のD2
で行うなら、反応に必要な時間tpassは6.6日であ
る。拡散時間tdiffn は7.5時間であるから、全アニ
ール時間約7日が得られる。
【0039】25℃、0.001気圧、システム寿命2
5年、1.55μmにおける許容損失増0.002dB/
kmのシステム条件の場合、Ecritの必要な値は、0.8
08eVである。もし、不活性化を65℃の温度におい
て、1気圧のD2 中で行うなら、反応に必要な時間t
passは6.2日である。拡散時間tdiffn は16時間
で、約7日の全アニール時間となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素誘導損失増加に対して、ガラス光ファイバ
を不活性化する好ましい方法の工程をブロックダイヤグ
ラムで示す図である。
【図2】不活性化されたガラス光ファイバの概略図であ
る。
【図3】重水素不活性化導波路の吸収スペクトルを、水
素不活性化導波路と比較するグラフを概略的に示す図で
ある。
【図4】本発明の理論を理解するのに有用なグラフのプ
ロットを示す図である。
【図5】本発明の理論を理解するのに有用なグラフのプ
ロットを示す図である。
【符号の説明】
11 端部 12 ガラスファイバ 13 コア領域 14 クラッド領域 15 ファイバ 16 ポリマ被覆 17 基本(内部)被覆 18 二次(外部)被覆
フロントページの続き (72)発明者 ケネス リー ウォーカー アメリカ合衆国 07974 ニュージャーシ ィ,ニュープロヴィデンス,セントラル アヴェニュー 1003

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス光導波路を形成する工程;及び導
    波路を水素を含む雰囲気中で使用する前に、水素誘導損
    を減すために、前記導波路を、10気圧かそれ以下の分
    圧の重水素を含む重水素含有雰囲気中に置き、50℃な
    いし200℃の範囲の温度に加熱することにより、前記
    導波路を不活性化する工程を含む水素含有雰囲気中で使
    用するためのガラス光導波路作製方法。
  2. 【請求項2】 前記重水素含有雰囲気は、大気圧の重水
    素を含み、前記加熱は少くとも12時間行う請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 前記重水素含有雰囲気は、1気圧をこえ
    る分圧の重水素を含み、前記加熱は12時間以内の時間
    行われる請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記導波路は、前記水素含有雰囲気中に
    おいて、25年間で20m長のファイバの1.55μm
    波長における損失変化が、0.1dBより小さくなるよう
    な、時間及び重水素分圧で、重水素中において加熱され
    る請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記20m長のファイバは、1.55μ
    mの波長において、0.04dB以下の損失変化しか起さ
    ない請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記導波路はGeO2ドープシリカ光ファイ
    バである請求項1、2、3、4又は5記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記加熱温度は140℃かそれ以下であ
    る請求項1、2、3、4又は5記載の方法。
  8. 【請求項8】 導波路エルビウム増幅器を形成する工
    程;及び前記増幅器を水素含有雰囲気中で使用する前
    に、使用中の水素誘導損を減すために、前記増幅器を重
    水素又は水素を含む雰囲気中に置き、50℃ないし20
    0℃の範囲の温度に加熱することにより、不活性化する
    工程を含む水素含有雰囲気中で使用するためのガラス光
    導波路エルビウム増幅器の作製方法。
  9. 【請求項9】 前記導波路エルビウム増幅器は、GeO2
    Al2O3 及びエルビウムをドープしたシリカコアを有する
    光ファイバを含む請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記導波路は、1キロメートル長のフ
    ァイバが、25年間に、前記水素含有雰囲気中で、1.
    55μm波長における損失変化が0.002dB以下とな
    るような時間及び重水素分圧において、重水素中で加熱
    される請求項1記載の方法。
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