JPH07275379A - 温熱シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量で嵩張らず、携帯が可能な安価な温熱シ
ートを提供することである。 【構成】 遠赤外線輻射シート１の前面の上部にマジッ
クテープ２を構成する一方のテープ２１が貼着され、パ
ンティストッキング４等の衣服にマジックテープ２を構
成する他方のテープ２２が貼着される。遠赤外線輻射シ
ート１の裏面の上部には電池ケース３０が取付けられ、
電池ケース３０に充電式電池３が装着される。遠赤外線
輻射シート１は炭素繊維混抄紙からなる面状発熱体によ
り形成される。充電式電池３により遠赤外線輻射シート
１の面状発熱体に通電すると、その面状発熱体の表面か
ら遠赤外線が輻射され、その輻射エネルギーにより人体
の内部が暖められる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、身体の部分の凝りま
たは痛みを治療するための温熱シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より腰、肩、首、関節等の身体の部
分の凝りまたは痛みを治療するために、温熱治療器が用
いられている。この温熱治療器は、例えば赤外線ランプ
を用いて患部に赤外線を照射することによりその部分を
暖めるものである。それにより、患部の血行がよくな
り、凝りまたは痛みが取り除かれ、あるいは緩和され
る。

【０００３】一般的な温熱治療器では、電源回路、タイ
マー、スイッチ等を内蔵した操作ボックスに支持アーム
を介して赤外線ランプが取り付けられている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の温熱治療器は上
記のような構成を有するため、重量が重く、嵩が大き
く、しかも高価である。そのため、このような温熱治療
器は病院に設置されているのが通常であり、患者が個人
的に購入して家庭等で使用することは困難であった。

【０００５】また、身体の部分の凝りまたは痛みを効果
的に治療するためには、毎日継続的に温熱治療を施す必
要がある。しかしながら、職業を持つ人にとって、病院
の診療時間内に毎日通院することは困難である。また、
日曜日、祝日等の休日に凝りまたは痛み激しくなった場
合、温熱治療を施すことはできず、がまんするより他に
方法はなかった。

【０００６】それゆえに、この発明の目的は、軽量で嵩
張らず、携帯が可能であり、しかも安価な温熱シートを
提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明に係る温熱シー
トは、炭素繊維混抄紙からなる遠赤外線輻射シートに、
その遠赤外線輻射シートを衣服に着脱自在に取り付ける
ための取付け手段（あタッチメント）およびその遠赤外
線輻射シートに通電するための充電式電池を設けたもの
である。

【０００８】

【作用】この発明に係る温熱シートにおいては、取付け
手段により遠赤外線輻射シートを衣服に着脱自在に取り
付けることができる。充電式電池により遠赤外線輻射シ
ートに通電すると、その遠赤外線輻射シート自体の温度
が上昇するとともに、その遠赤外線輻射シートの発熱面
から前方に遠赤外線が輻射される。それによって、遠赤
外線輻射シートから衣服を介して伝導される熱が衣服に
よる吸収および放出を繰り返して人体に与えられるとと
もに、遠赤外線の輻射エネルギーが直進して人体の内部
に到達し、分子運動を活発化させる。その結果、人体の
部分が効率よく暖められる。

【０００９】遠赤外線輻射シートに用いられる炭素繊維
混抄紙は、人体および衣服により最も吸収されやすい波
長の遠赤外線のみを効率良く輻射することができるの
で、体温に極めて近い低い発熱温度で患部を効果的に暖
めることができる。そのため、遠赤外線輻射シートの電
源として充電式電池を用いることができる。

【００１０】また、炭素繊維混抄紙からなる遠赤外線輻
射シートは、厚さが薄く軽量であるので、持ち運びが容
易である。そのため、取付け手段により遠赤外線輻射シ
ートを衣服の所定の部分に取り付けることにより温熱シ
ートをあらゆる場所に携帯することができる。さらに、
この温熱シートは構造が簡単であり、高価な部品も必要
としないので、安価に製造することができる。

【００１１】

【実施例】図１はこの発明の一実施例による温熱シート
の前方斜視図であり、図２は図１の温熱シートの後方斜
視図である。以下の説明では、この実施例の温熱シート
を一例としてパンティストッキングに取付ける場合を説
明する。

【００１２】図１および図２の温熱シートは、主とし
て、後述する炭素繊維混抄紙からなる遠赤外線輻射シー
ト１、いわゆるマジックテープ２および充電式電池３か
らなる。図１に示すようにマジックテープ２は、面と面
を結合するためのファスナであり、１組のテープ２１，
２２からなる。一方のテープ２１の表面には例えば合成
繊維からなる多数のフックまたはループが形成され、他
方のテープ２２の表面には例えば合成繊維からなる多数
のループまたはフックが形成されている。フックの代わ
りにキノコ型小片が形成されている場合もある。一方の
テープ２１は遠赤外線輻射シート１の前面の上部に貼着
され、他方のテープ２２はパンティストッキング４の腰
部に貼着されている。

【００１３】図２に示すように、遠赤外線輻射シート１
の後面の上部中央には電池ケース３０が取り付けられ、
その電池ケース３０に充電式電池３が装着されている。
電池ケース３０には、電源をオン・オフするための電源
スイッチ３１および発熱温度を調整するための温度調節
スイッチ３２が設けられている。

【００１４】図３は遠赤外線輻射シート１の構造の一例
を示す断面図であり、図４は遠赤外線輻射シート１の構
造の他の例を示す断面図である。

【００１５】図３の例では、面状発熱体１１の表面およ
び裏面に植毛仕上げが施された布１２，１３がそれぞれ
接着剤を用いて被着されている。図４の例では、面状発
熱体１１の裏面に反射板１４および断熱材１５が順に積
層され、面状発熱体１１の表面には植毛仕上げが施され
た布１６が接着剤を用いて被着されており、断熱材１５
の裏面にも植毛仕上げが施された布１７が接着剤を用い
て被着されている。

【００１６】反射板１４は面状発熱体１１の裏面から輻
射された遠赤外線を前方に反射させるために設けられて
いる。この反射板１４としては、例えば鏡面仕上げが施
されたアルミニウム箔が用いられる。また、断熱材１５
は遠赤外線輻射シート１の後面の過熱防止および保温の
ために設けられている。この断熱材１５としては、例え
ば、独立気泡を有するウレタン等の独立気泡ゴムが用い
られる。

【００１７】図５に図３に示される面状発熱体１１の模
式的な平面図を示し、図６にその面状発熱体１１の端部
の断面図を示す。この面状発熱体１１は、炭素繊維混抄
紙１００およびその炭素繊維混抄紙１００の両面にラミ
ネートされた樹脂層１０１，１０２からなる。樹脂層１
０１，１０２は、例えばエポキシ樹脂により形成され
る。この面状発熱体１１は次のようにして製造される。

【００１８】和紙の原料となるコウゾ、ミツマタ、また
はガンピ等の靱皮繊維に水を加えてパルプ液を作るとと
もに、所定の寸法、例えば５ｍｍ程度にカッティングさ
れた炭素繊維をその中に混入し、分散させる。そのパル
プ液を抄紙用の網上に流し、ウエットシートを形成す
る。そのウエットシートを搾水用のロールを用いて機械
的に搾水し、乾燥させた後、所定の寸法に裁断する。こ
のようにして、厚さ０．１ｍｍ前後の炭素繊維混抄紙１
００が形成される。

【００１９】そして、この炭素繊維混抄紙１００の表面
に、対向する２辺に沿って幅約１ｃｍの帯状に銀ペース
ト１０４を印刷し、銀ペースト１０４上に導電性の接着
剤が塗布された銅箔テープ１０３を貼着する。このよう
にして、炭素繊維混抄紙１００の縁部に１対の電極が形
成される。

【００２０】さらに、例えば、生乾き状態のエポキシ樹
脂で炭素繊維混抄紙１００を挟み、ホットプレスするこ
とにより、エポキシ樹脂を熱硬化させる。この際、図６
に示すように、各銅箔テープ１０３の端部の領域におい
て、エポキシ樹脂層に導線取り付け用の穴を形成してお
く。このようにして、炭素繊維混抄紙１００の両面に樹
脂層１０１，１０２がラミネートされる。最後に、各銅
箔テープ１０３の一端部にはんだ付け等により導線１０
５を接続する。このようにして、厚さ０．５ｍｍ前後の
面状発熱体１１が製造される。

【００２１】このように、炭素繊維混抄紙からなる面状
発熱体１１は、厚さが薄く軽量で、かつ柔軟性および可
撓性を有し、しかも遠赤外線を効率よく輻射することが
できる。

【００２２】なお、樹脂層１０１，１０２は、炭素繊維
混抄紙１００の表面に安全のため絶縁性を付与し、かつ
炭素繊維混抄紙１００をシート状に成型するために設け
られているので、樹脂層１０１，１０２の材料として
は、このような機能を有し、かつ柔軟性を有する種々の
材料を用いることができる。また、炭素繊維混抄紙１０
０に樹脂層１０１，１０２をホットプレスする代わりに
炭素繊維混抄紙１００の表面に絶縁性を有する樹脂を塗
布してもよい。

【００２３】導線１０５を介して面状発熱体１１の１対
の銅箔テープ１０３に電圧を印加すると、炭素繊維混抄
紙１００内に分散された炭素繊維に電流が流れ、それら
の炭素繊維が発熱して炭素繊維混抄紙１００の両面から
それぞれ前方に遠赤外線が輻射される。

【００２４】なお、面状発熱体１１の発熱量および設定
温度は、炭素繊維混抄紙１００に混入する炭素繊維の量
および印加電圧または供給電流により調整される。この
実施例の温熱シートでは、充電式電池３が例えば１２Ｖ
程度の出力電圧を有し、面状発熱体１１の表面温度が０
〜数十℃、消費電力が０〜数Ｗの範囲で調整されるよう
に電子機能を設定しておく。

【００２５】図１において、遠赤外線輻射シート１に貼
着された一方のテープ２１をパンティストッキング４に
貼着された他方のテープ２２に密着させると、それらの
テープ２１，２２に形成された多数のフックおよび多数
のループが互いに係合し、遠赤外線輻射シート１がパン
ティストッキング４に取り付けられる。その状態で、電
池ケース３０に設けられた温度調節スイッチ３２を所定
の温度に設定し、電源スイッチ３１をオンにすると、充
電式電池３により遠赤外線輻射シート１内の面状発熱体
１１（図５参照）に電流が供給される。

【００２６】それにより、面状発熱体１１の温度が上昇
し、その表面から遠赤外線が輻射される。その結果、遠
赤外線輻射シート１自体の温度が上昇するとともに、遠
赤外線がパンティストッキング４を介して人体の腰部に
照射される。このようにして、遠赤外線輻射シート１の
表面からの伝導熱および遠赤外線の輻射エネルギーによ
り腰部が効率的に暖められる。また、炭素繊維混抄紙は
太陽光と同様の遠赤外線を輻射するので、人体に快適さ
を与えることができる。

【００２７】この実施例の温熱シートは、パンティスト
ッキング４に限らず、パンツ、シャツ等の下着にマジッ
クテープ２を構成する一方のテープ２２を貼着すること
により、それらの下着にも取り付けることができる。

【００２８】また、下着に限らず、ズボン、セーター、
つなぎ服等の衣服に取り付けることもできる。この場合
でも、遠赤外線は衣服に良く吸収され、衣服の温度を上
昇させるとともに、遠赤外線の輻射エネルギーが衣服を
通して人体の内部に到達する。したがって、衣服の上に
この温熱シートを取り付けた場合でも人体の内部を十分
に暖めることができる。

【００２９】図７はこの発明の他の実施例による温熱シ
ートの前方斜視図である。以下の説明では、この実施例
の温熱シートを一例としてパンティストッキングに取付
ける場合を説明する。

【００３０】図７の温熱シートは、遠赤外線輻射シート
１、２つのフック２０および充電式電池３からなる。遠
赤外線輻射シート１の構成は図１および図２の実施例に
おける遠赤外線輻射シート１と同様である。また、充電
式電池３は図１および図２の実施例と同様に、遠赤外線
輻射シート１の後面の上部中央に取り付けられた電池ケ
ース３０に装着される。２つのフック２０は、遠赤外線
輻射シート１の前面の上部に所定間隔をあけて取り付け
られている。

【００３１】遠赤外線輻射シート１に取り付けられた２
つのフック２０を、例えばパンティストッキング４の上
部の縁部に引っ掛けることにより、遠赤外線輻射シート
１をパンティストッキング４の腰部に取り付けることが
できる。そして、充電式電池３により遠赤外線輻射シー
ト１に含まれる面状発熱体１１（図５参照）に電流を供
給することにより、遠赤外線輻射シート１からの伝導熱
および遠赤外線の輻射エネルギーにより腰部を暖めるこ
とができる。

【００３２】この温熱シートは、パンティストッキング
４に限らず、パンツ、シャツ等の他の下着、ズボン、セ
ーター、つなぎ服等の衣服の上に掛止することもでき
る。

【００３３】このように、上記実施例の温熱シートは、
あらゆる衣服のあらゆる箇所に取り付けることができる
ので、人体のあらゆる部分を温熱治療することができ
る。また、温熱シートを衣服に取り付けてあらゆる場所
に携行することができる。

【００３４】なお、上記実施例では、取り付け手段とし
てマジックテープ２およびフック２０を用いているが、
取り付け手段はこれに限定されず、例えば、スナップ、
スナップテープ等を用いてもよい。

【００３５】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、軽量で嵩
張らず、携帯が容易であり、人体のあらゆる部分を遠赤
外線の輻射エネルギーにより有効的に温熱治療すること
ができる温熱シートが得られる。しかも、構造が簡単で
あり、高価な部品を必要としないので、安価に製造する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例による温熱シートの前方斜
視図である。

【図２】この発明の一実施例による温熱シートの後方斜
視図である。

【図３】遠赤外線輻射シートの構造の一例を示す断面図
である。

【図４】遠赤外線輻射シートの構造の他の例を示す断面
図である。

【図５】遠赤外線輻射シートに用いられる面状発熱体の
模式的な平面図である。

【図６】図５の面状発熱体の端部断面図である。

【図７】この発明の他の実施例による温熱シートの斜視
図である。

【符号の説明】

１ 遠赤外線輻射シート ２ マジックテープ ３ 充電式電池 ４ パンティストッキング １１ 面状発熱体 ２０ フック ３０ 電池ケース １００ 炭素繊維混抄紙 １０１，１０２ 樹脂層 １０３ 銅箔テープ なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炭素繊維混抄紙からなる遠赤外線輻射シ
   ートに、その遠赤外線シートを衣服に着脱自在に取り付
   けるための取付け手段および前記遠赤外線輻射シートに
   通電するための充電式電池を設けたことを特徴とする温
   熱シート。