JPH07273036A - 化合物半導体結晶の形成方法 - Google Patents

化合物半導体結晶の形成方法

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JPH07273036A
JPH07273036A JP6060794A JP6060794A JPH07273036A JP H07273036 A JPH07273036 A JP H07273036A JP 6060794 A JP6060794 A JP 6060794A JP 6060794 A JP6060794 A JP 6060794A JP H07273036 A JPH07273036 A JP H07273036A
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Hiroshi Ono
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 常圧法により化合物半導体基板上に層厚及び
結晶品質が均一な化合物半導体層を成長させることがで
きる化合物半導体結晶の形成方法を提供する。 【構成】 結晶成長室1の高温部用ヒータ31により加
熱される高温領域と低温部用ヒータ3により加熱される
低温領域の配置方向を、重力加速度方向(結晶成長室1
の長手方向)と同一にし、その主面が重力加速度方向と
直交するように結晶成長室1内の低温領域に化合物半導
体基板2を配置し、結晶成長室1の高温領域に多量の原
料ガスを導入して、結晶成長室1の内圧が1気圧以上に
なるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は化合物半導体結晶の形
成方法に関し、特に、化合物半導体基板の主面の全域に
均一な厚みの化合物半導体層を成長させることができる
化合物半導体結晶の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】化合物半導体材料を用いた半導体レーザ
素子,受光素子等の半導体装置では、その性能を優れた
ものとするために、基板上に形成された化合物半導体層
の結晶品質,層厚等がこの化合物半導体層の全域にわた
って均一であることが必要である。
【0003】近年、基板上に化合物半導体結晶を結晶成
長させる方法としては気相成長法が一般的である。この
うち、減圧成長法は、中間反応生成物の形成を抑制で
き、不純物含有量の少ない結晶が得られるという点で優
れているが、結晶成長室内を減圧するための複雑な減圧
機構を必要とし、装置構成が大がかりで複雑になるとい
う欠点がある。これに対し、常圧成長法(以下、単に常
圧法と称す。)は装置構成が簡単で、作業性及び製造コ
ストの面で有利である。この常圧法としては、一般にハ
ライドVPE(Vapor phase epitaxy )法が知られてお
り、この方法は、結晶成長室内の重力加速度方向と直交
する方向に高温領域と低温領域を形成し、結晶成長室内
の高温領域に外部から原料ガスを導入し、この原料ガス
を該高温領域にて熱分解し、この加熱分解された原料ガ
スを、結晶成長室内の低温領域に配置された基板(ウエ
ハ)の主面上に供給して、該基板(ウエハ)の主面上に
化合物半導体結晶を結晶成長させることにより、化合物
半導体層を得る方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなハライドVPE法に代表される常圧法では、原料ガ
ス濃度が低濃度の場合は得られる化合物半導体層の層厚
及び結晶品質が基板の全域にわたって均一となるが、効
率よく化合物半導体層を得ることができるよう、結晶成
長室内の原料ガス濃度を高く(成長室の内圧を高く)し
て、化合物半導体結晶の成長速度を速くすると、得られ
る化合物半導体層の層厚及び結晶品質の不均一性が増大
するといった問題点を生ずる。
【0005】本発明は、このような常圧法における問題
点の原因を究明すべく,米国スペースシャトルを用いた
微少重力環境(宇宙空間)と地上とで行った閉管法によ
る化合物半導体結晶の結晶成長実験に基づいてなされた
もので、常圧法により基板上に均一な厚み及び結晶品質
を有する化合物半導体層を成長させることができる化合
物半導体結晶の形成方法を提供することを目的とするも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる化合物
半導体結晶の形成方法は、外部から結晶成長室内の高温
領域に導入された原料ガスを、該高温領域にて熱分解
し、この熱分解された原料ガスを上記結晶成長室内の低
温領域に配置された化合物半導体基板の主面上に供給し
て、該主面上に化合物半導体結晶を結晶成長させる化合
物半導体結晶の形成方法であって、上記結晶成長室にお
ける高温領域と低温領域の配置方向を重力加速度方向と
同一にし、上記化合物半導体基板を、その主面が重力加
速度方向と直交するよう配置し、上記原料ガスの上記結
晶成長室への導入量を、該結晶成長室の内圧が1気圧以
上になる量にしたものである。
【0007】更に、この発明にかかる化合物半導体結晶
の形成方法は、上記結晶成長室の壁面を金属製にしたも
のである。
【0008】更に、この発明にかかる化合物半導体結晶
の形成方法は、外部から結晶成長室内の高温領域に導入
された原料ガスを、該高温領域にて熱分解し、この熱分
解された原料ガスを上記結晶成長室内の低温領域に配置
された化合物半導体基板の主面上に供給して、該主面上
に化合物半導体結晶を結晶成長させる化合物半導体結晶
の形成方法であって、上記結晶成長室内の高温領域に、
該高温領域に導入される上記原料ガスを複数の互いに異
なる方向へ分岐させて放出させる原料ガス分岐放出手段
を設けたものである。
【0009】更に、この発明にかかる化合物半導体結晶
の形成方法は、外部から結晶成長室内の高温領域に導入
された原料ガスを、該高温領域にて熱分解し、この熱分
解された原料ガスを上記結晶成長室内の低温領域に配置
された化合物半導体基板の主面上に供給して、該主面上
に化合物半導体結晶を結晶成長させる化合物半導体結晶
の形成方法であって、上記結晶成長室における高温領域
と低温領域の配置方向を重力加速度方向と直交させ、上
記化合物半導体基板を、その上記主面の上記結晶成長室
内の高温領域から遠い側が重力加速度方向における高い
位置となり,その上記結晶成長室内の高温領域に近い側
が重力加速度方向における低い位置となるよう、配置し
たものである。
【0010】更に、この発明にかかる化合物半導体結晶
の形成方法は、外部から結晶成長室内の高温領域に導入
された原料ガスを、該高温領域にて熱分解し、この熱分
解された原料ガスを上記結晶成長室内の低温領域に配置
された化合物半導体基板の主面上に供給して、該主面上
に化合物半導体結晶を結晶成長させる化合物半導体結晶
の形成方法であって、上記結晶成長室における高温領域
と低温領域の配置方向を重力加速度方向と直交させ、上
記化合物半導体基板を、その上記主面が重力加速度方向
と直交し、かつ、該主面の中心点を回転軸として回転す
るよう配置したものである。
【0011】
【作用】この発明においては、上記構成としたことによ
り、上記結晶成長室内の高温領域で加熱分解された上記
原料ガスは、上記結晶成長室内の温度勾配により生じた
熱対流と重力の作用より、乱流状態でもって高温領域か
ら低温領域に導かれることとなる。従って、上記化合物
半導体基板の主面上における原料ガス濃度を常に均一に
することができ、該主面の全域にわたって均一な成長速
度でもっで化合物半導体結晶が結晶成長し、その結果、
均一な厚み及び結晶品質を有する化合物半導体層が形成
されることとなる。
【0012】更に、この発明においては、上記結晶成長
室の壁面を金属製にしたので、上記結晶成長室における
原料ガスの濃度を高めて、上記結晶成長室の内圧をより
一層高めることができ、その結果、所望の層厚を有し、
該層厚及び結晶品質が均一な化合物半導体層を短時間で
形成することができる。
【0013】更に、この発明においては、上記構成とし
たことにより、上記原料ガスは、上記原料ガス分岐放出
手段により上記高温領域内の複数の方向に放出されるこ
ことなり、乱流状態で低温領域に導かれることになる。
従って、上記化合物半導体基板の主面上における原料ガ
ス濃度を常に均一にすることができ、該主面の全域にわ
たって均一な成長速度でもっで化合物半導体結晶が結晶
成長することとなり、その結果、均一な厚み及び結晶品
質の化合物半導体層が形成されることとなる。
【0014】更に、この発明においては、上記構成とし
たことにより、上記化合物半導体基板の主面の上記結晶
成長室内の高温領域に近い側では上記原料ガスの流路が
広く、上記化合物半導体基板の主面の上記結晶成長室内
の高温領域に遠い側では上記原料ガスの流路が狭くな
る。従って、化合物半導体基板の主面の上記結晶成長室
内の高温領域に近い側に化合物半導体結晶が結晶成長し
た後、上記化合物半導体基板の主面の上記結晶成長室内
の高温領域から遠い側へ流れる原料ガスは、上記結晶成
長に寄与した分だけそのガス量が減少して、その濃度が
低下することになるが、上記のようにガス流路が狭くな
ることにより、上記原料ガスが濃縮され、その濃度の低
下が抑制されることとなる。従って、上記化合物半導体
基板の主面上における原料ガスの濃度の変化を小さくで
き、該主面の全域にわたって均一な成長速度でもっで化
合物半導体結晶が結晶成長することとなり、その結果、
均一な厚みの化合物半導体層が形成されることとなる。
【0015】更に、この発明においては、上記構成とし
たことにより、化合物半導体基板(ウェハ)2の主面上
に供給された原料ガスは、該主面の回転により乱流を形
成し、該主面上における原料ガス濃度が均一化されるこ
ととなる。また、該主面上における原料ガス濃度の均一
化が不十分な場合でも、該化合物半導体基板の主面が回
転しているので、該主面の全域において平均的に化合物
半導体結晶が成長することとなり、均一な厚みの化合物
半導体層が形成されることとなる。
【0016】
【実施例】実施例1 .図1はこの発明の実施例1による化合物半導
体結晶の成長方法に使用する装置の構成を示す概略断面
図であり、図において、100は石英からなる結晶成長
反応管、1は結晶成長室、2はInPからなる化合物半
導体基板(ウエハ)、3は低温部用ヒータ、31は高温
部用ヒータ、4は原料ガス導入口、5は排出ガス量制御
オリフィス、6は使用済みガス排出口、7は化合物半導
体エピタキシャル層である。ここで、この結晶成長反応
管100の長手方向が重力加速度方向であり、結晶成長
室1内の高温部用ヒータ31により温められ高温領域
と、低温部用ヒータ3により温められ低温領域との配置
方向が、重力加速度方向と同一になっている。
【0017】次に、動作について説明する。結晶成長室
(以下、単に成長室とも言う。)1内の上方領域が、高
温部用加熱ヒータ31により、例えば700℃の高温に
温められ、下方領域が低温部用加熱ヒータ3により例え
ば660℃に温められ、成長室1内の高温領域(上方領
域)から低温領域(下方領域)に温度勾配が形成され
る。原料ガス(InP結晶を成長する場合、例えば、I
nClとPH3 )が水素等のキャリアガスとともに原料
ガス導入口4より成長室1内の高温領域(上方領域)に
導入されて、加熱分解される。この分解された原料ガス
は、成長室1内の低温領域(下方領域)に配置された化
合物半導体基板(ウェハ)2の主面上に輸送され、化合
物半導体基板(ウェハ)2の主面にエピタキシャル成長
層7が析出する(形成される)。ここで、原料ガスは、
原料ガズ導入口4より過剰に導入され、使用済みガスが
使用済みガス排出口6より排出されるが、使用済みガス
排出口6の直前に設けられた排出ガス量制御用オリフィ
ス5によって、排出されるガス量が制限され、成長室1
の内圧は常に1気圧以上に保たれている。
【0018】以下、かかる本実施例方法の構成を得るた
めに行った実験例及び本実施例方法の作用,効果につい
て説明する。図7は、所謂、閉管法により化合物半導体
結晶をエピタキシャル成長する際に使用する結晶成長用
アンプルを示した図であり、図において、1は結晶成長
室、2,21はInP基板(ウエハ)、20a,20b
は基板(ウエハ)固定用ホルダ、11は結晶成長反応外
管、12は気相エッチング用薬剤、13は真空封止融着
部、111は結晶成長反応内管、112は封止用内管で
ある。
【0019】この結晶成長用アンプルは以下のようにし
て作製される。石英からなる結晶成長反応外管11内の
底部に、結晶成長の原料源となるInP基板(ウエハ)
21を基板(ウエハ)固定用ホルダ20bで固定し、次
に、気相エッチング用薬剤を収容した結晶成長反応内管
111をその一端がInP基板(ウエハ)21に接触す
るよう挿入し、次に、結晶成長反応内管111の他端に
これが接触するように結晶成長用基板となるInP基板
(ウエハ)2を配置し、これを(ウエハ)固定用ホルダ
20aで固定し、次に、封止用内管112を挿入し、結
晶成長反応外管11の内部を真空にした状態で、この封
止用内管112の側壁の所定部分に結晶成長反応外管1
1の内壁を融着して、真空封止する。
【0020】結晶成長は以下のようにして行われる。上
記結晶成長用アンプルに、温度勾配電気炉中にて例え
ば、原料部を700℃とし、成長部を650℃とする温
度勾配を印加して、一定時間保持すると、基板(ウェ
ハ)2上にInPエピタキシャル結晶層が成長する。こ
こで、結晶成長の原料源となるInP基板(ウエハ)2
1は単結晶または多結晶の何れでもよいが、結晶成長用
基板となるInP基板(ウエハ)2は単結晶であること
が必要である。これは、結晶成長用基板となるInP基
板(ウエハ)2上に成長するInP結晶の結晶方位が、
単結晶からなるInP基板(ウエハ)2表面の結晶方位
を反映したものとなり、結晶方位が揃った良好な結晶品
質のInP結晶が成長するようにするためである。上記
気相エッチング用薬剤12としてはInCl3 等の塩化
物が用いられる。温度勾配による高温部においてこのI
nCl3 等塩化物はInP基板(ウエハ)21を気相エ
ッチングし、InClガスとP4 ガスを発生する。この
ようにして発生したInClガスとP4 ガスは、高温部
では濃度が高く、低温部ではその濃度が低いため,この
濃度差をドライビングフォースとする拡散と、これらガ
ス(InClガスとP4 ガス)の比重差で生ずる対流の
2つの異なるメカニズムによって、低温部へ供給され、
該低温部において、高温部と逆の現象がおこり、InC
lとP4 が化合してInP結晶が成長する。
【0021】次に、結晶成長用アンプルの重力方向に対
する配置方向とエピタキシャル層の膜厚分布の関係につ
いて説明する。図11は重力方向とアンプルの長手方向
が垂直となるようアンプルを配置して(つまり、InP
基板(ウェハ)2の表面が重力加速度方向と平行となる
よう配置して)結晶成長を行った時のアンプルの内部状
態を示す模式図と、アンプルの長手方向の位置とアンプ
ル内部の温度との関係を示した図である。図において、
図7と同一符号は同一または相当する部分を示し、50
はInP結晶のエピタキシャル成長層である。図8はこ
のようにしてInP基板(ウェハ)2に形成されたIn
Pエピタキシャル成長層の層厚と、InP基板(ウェ
ハ)2内の位置との関係を示した図である。図中の数値
は成長時の気相エッチング用薬剤(InCl3 )の量を
示している。
【0022】図8からわかるように、気相エッチング用
薬剤の量が約5mg(4.9mg)と比較的少ない場
合、エピタキシャル成長層の層厚は基板(ウェハ)2の
全域にわたって均一である。しかし、気相エッチング用
薬剤の量が多くなるにつれて基板(ウェハ)2上に成長
するエピタキシャル成長層の基板2の上部に成長する部
分ほど層厚が増大することがわかる。この現象は以下の
理由による生ずるものと考えられる。
【0023】即ち、気相エッチング用薬剤の量が比較的
多い場合は、図11に示すように、高温部の結晶成長の
原料源となるInP基板(ウエハ)21から発生した原
料ガスが、熱対流効果により、図中の太い矢印で示すよ
うな,InP基板(ウエハ)21の表面において上昇
し、結晶成長用のInP基板(ウェハ)2の表面で下降
する、旋回流を形成する。従って、このInP基板(ウ
ェハ)2の上部ではガス濃度は高く、InP基板(ウェ
ハ)2の下部になるに従って、ガスが結晶成長に寄与す
ることからガス濃度は低くなり、その結果、エピタキシ
ャル層50の層厚の分布は基板の上部に対応する部分で
は厚く、下部に対応する部分では薄いものとなる。一
方、気相エッチング用薬剤の量が比較的少ない場合は、
このような熱対流現象は起こらず、原料ガスの高濃度か
ら低濃度への拡散による原料ガスの輸送現象が起き、基
板2表面に到達する原料ガスの濃度が基板2の全域にわ
たってほぼ一定になり、これによって、エピタキシャル
層50の層厚及び結晶品質がほぼ均一になるものと考え
られる。また、図12は重力方向とアンプルの長手方向
が平行で、アンプルにおける高温部が下方となり、低温
部が上方となるように、アンプルを配置して結晶成長を
行った時のアンプルの内部状態を示す模式図と、アンプ
ルの長手方向の位置とアンプルの内部温度との関係を示
した図である。図において、図11と同一符号は同一ま
たは相当する部分を示している。図9はこのようにして
InP基板(ウェハ)2に形成されたInPエピタキシ
ャル成長層の層厚と、基板(ウェハ)2内の位置との関
係を示した図である。図中の数値は成長時の気相エッチ
ング用薬剤(InCl3 )の量を示している。
【0024】図9からわかるように、気相エッチング用
薬剤の量が約5mg(4.9mg)と比較的少ない場
合、エピタキシャル成長層の層厚はInP基板(ウェ
ハ)2の全域にわたり均一である。しかし、気相エッチ
ング用薬剤の量が多くなるにつれてInP基板(ウェ
ハ)2上に成長するエピタキシャル成長層50の基板2
の中央部に成長する部分ほど層厚が増大することがわか
る。この現象は以下の理由による生ずるものと考えられ
る。
【0025】即ち、気相エッチング用薬剤の量が比較的
多い場合は、図12に示すように、高温部の結晶成長の
原料源となるInP基板(ウエハ)21から発生した原
料ガスは熱対流効果により、図中の太い矢印で示すよう
な、InP基板(ウェハ)2の中央部に向かって上昇
し、InP基板(ウェハ)2の周辺部から下降する、旋
回流を形成し、その結果、エピタキシャル層50の層厚
の分布は基板2の中央部で厚く、基板2の周辺部で薄く
なるものと考えられる。一方、気相エッチング用薬剤の
量が比較的少ない場合は、このような熱対流現象は起こ
らず、原料ガスの高濃度から低濃度への拡散による原料
ガスの輸送現象が起き、基板ウェハ表面に到達する原料
ガスの濃度がウェハ全域にわたってほぼ一定になり、こ
れによって、エピタキシャル層50の層厚及び結晶品質
がほぼ均一になるものと考えられる。
【0026】更にまた、図13は、重力方向とアンプル
の長手方向が平行で、アンプルにおける高温部が上方と
なり、低温部が下方となるように、アンプルを配置して
結晶成長を行った時のアンプルの内部状態を示す模式図
と、アンプルの長手方向の位置とアンプルの内部温度と
の関係を示した図である。図において、図11と同一符
号は同一または相当する部分を示している。図10はこ
のようにしてInP基板(ウェハ)2に形成されたIn
Pエピタキシャル成長層の層厚と基板(ウェハ)2内の
位置との関係を示した図である。図中の数値は成長時の
気相エッチング用薬剤(InCl3 )の量を示してい
る。
【0027】図10からわかるように、この成長条件で
は、上記の2つの場合とは異なり、気相エッチング用薬
剤の量の多少にかかわらず、InP基板(ウェハ)2の
全域にわたり、成長膜厚がほぼ均一になる。これは、こ
の成長条件においても、原料ガスの輸送は、気相エッチ
ング用薬剤の量が比較的少ない場合は拡散により、気相
エッチング用薬剤の量が比較的多い場合は熱対流現象に
よるものと考えられるが、熱対流が先の2つの成長条件
で行う場合と異なり、高温部で発生した原料ガスである
InClガスとP4 ガスが明確な流れを形成せず、互い
に混合されながら、乱流状態で下部の低温部へ輸送さ
れ、これによって、基板ウェハ表面に到達する原料ガス
の濃度がInP基板(ウェハ)2の全域にわたりほぼ一
定となり、エピタキシャル層の層厚及び結晶品質ががほ
ぼ均一になるものと考えられる。
【0028】なお、同様の結晶成長実験を米国スペース
シャトルにより宇宙の微小重力環境下で行った。図14
はInP基板(ウェハ)2に形成されたInPエピタキ
シャル成長層の層厚と基板(ウェハ)2内の位置との関
係を示した図である。図中の数値はアンプル作製時に封
入した気相エッチング薬剤InCl3 の量を示す。
【0029】この図14より、微小重力環境下において
は、気相エッチング剤の量の多少にかかわらずアンプル
内において均一な層厚のエピタキシャル層が得られるこ
とがわかる。これは、前記の実験例のような重力が作用
しない環境では、原料ガスを輸送は、反応管内における
原料ガス濃度差で起こる拡散現象が支配的であり、特定
のガスの流れを形成することなく、極めて静かな状態で
原料ガスが基板の主面上に運ばれるためであると考えら
れる。
【0030】以上の実験結果により、地上で行う実際の
常圧法による気相成長では、重力がエピタキシャル層の
層厚及び結晶品質に影響を与え、均一な層厚及び結晶品
質からなるエピタキシャル層を得るためには、結晶成長
室内の温度勾配の方向と重力加速度方向との関係に応じ
て、何らかの手段を講ずる必要があることがわかる。
【0031】本実施例方法は、図13に示す成長環境と
同様の成長環境を実際の結晶成長室において実現したも
のであり、結晶成長室の内圧が1気圧以上となるよう原
料ガスを結晶成長室に導入し、結晶成長室における高温
領域と低温領域の配置方向(温度勾配の方向)を重力加
速度方向と同一にし、低温領域に化合物半導体基板2を
その主面が重力加速度方向と直交するよう配置したもの
である。
【0032】かかる本実施例の化合物半導体結晶の成長
方法では、成長室1にその内圧が1気圧以上に保たれる
よう高濃度の原料ガスが供給され、この高濃度の原料ガ
スは高温領域(上方領域)において熱分解し、成長室1
内の温度勾配により生ずる熱対流と,重力とにより、明
確な流れを形成することのない乱流を形成して、低温領
域(下方領域)に配置された化合物半導体基板(ウェ
ハ)2の主面上に輸送される。従って、化合物半導体基
板(ウェハ)2の主面上における原料ガスの濃度は、該
主面の全域で均一となり、該主面に成長するエピタキシ
ャル層7の厚み及び結晶品質は該主面の全域にわたって
均一なものとなる。また、原料ガスを高濃度にするの
で、化合物半導体結晶の結晶の成長速度が速く、短時間
で所望の厚みのエピタキシャル層7が得られることとな
る。
【0033】なお、以上の説明では、化合物半導体基板
上に化合物半導体結晶を結晶成長してエピタキシャル成
長層を得る方法を説明したが、図2に示すように、本実
施例の化合物半導体結晶の成長方法は、エピタキシャル
成長用基板(化合物半導体基板)そのものを作製する際
の化合物半導体結晶のバルク成長にも適用可能である。
図2において、22は半導体種結晶22、77は化合物
半導体バルク結晶である。この化合物半導体結晶のバル
ク成長においても、半導体種結晶22の近傍に供給され
る原料ガスの濃度はその全域において均一になり、得ら
れる化合物半導体バルク結晶77はその全域にわたって
均一な結晶品質を有するものとなる。
【0034】実施例2.図3はこの発明の実施例2によ
る化合物半導体結晶の形成方法に使用する装置の構成を
示す概略断面図であり、図において、図1と同一符号は
同一または相当する部分を示し、100aはステンレス
製の結晶成長反応管である。
【0035】本実施例の化合物半導体結晶の形成方法
は、上記実施例1と基本的に同じであるが、結晶成長室
1内をより高い圧力(即ち、原料ガス濃度をより高濃
度)にして結晶成長が行えるように、ステンレス製の結
晶成長反応管100aを用い、高温部用ヒータ31と低
温部用ヒータ3をステンレスの結晶成長反応管100a
の結晶成長室1内に配置したものである。
【0036】このような本実施例の化合物半導体結晶の
形成方法においても、上記実施例1と同様の効果を得る
ことができ、しかも、上記実施例1に比して結晶成長室
1内をより高い圧力にすることができるので、即ち、上
記実施例1に比して結晶成長室1内に導入する原料ガス
の濃度をより一層高くすることができるので、結晶成長
速度を高めることができ、その結果、所望の厚みの化合
物半導体層を短時間で成長させることができる。
【0037】実施例3.図4はこの発明の実施例3によ
る化合物半導体結晶の形成方法に使用する装置の構成を
示す概略断面図であり、図において、図1と同一符号は
同一または相当する部分であり、40は原料ガス分岐放
出手段、41は原料ガス放出口、100bは石英製の結
晶成長反応管である。ここで、結晶成長反応管100b
は、その短手方向の一方の側壁に原料ガス導入口4が設
けられ、その短手方向の他方の側壁に使用済ガス排出口
6が設けられている。原料ガス導入口4から導入された
原料ガスは、結晶成長室1の長手方向に流れ、使用済ガ
ス排出口6から自然排出される。結晶成長室1内の高温
領域と低温領域は、結晶成長室1の長手方向に並ぶよう
に形成されている。外部から導入された原料ガスは、高
温領域に設けられた原料ガス分岐放出手段40の複数の
原料ガス放出口41によって、該高温領域内の複数の異
なる方向に放出される。
【0038】以下、この図4に基づいて本実施例の化合
物半導体結晶の形成方法を説明する。原料ガス導入口4
から導入された原料ガスは、原料ガス分岐放出手段40
により結晶成長室1の高温領域において複数の方向に分
岐して放出され、該高温領域で熱分解する。この時、原
料ガスは原料ガス分岐放出手段40により複数の方向に
分岐して放出されることから、乱流を形成する。このよ
うにして熱分解され、乱流を形成する原料ガスは、低温
領域に配置された化合物半導体基板(ウェハ)2の主面
に輸送されるが、これが乱流を形成しているので、化合
物半導体基板(ウェハ)2の主面上における原料ガスの
濃度は、基板(ウェハ)2の主面の全域で均一になり、
成長するエピタキシャル層7の厚み及び結晶品質は基板
(ウェハ)2の全域にわたって均一なものとなる。
【0039】このように本実施例の化合物半導体結晶の
形成方法においても、上記実施例1と同様に、外部より
結晶成長室1内に導入された原料ガスが、化合物半導体
基板(ウエハ)2の主面上に乱流状態でもって供給され
るので、化合物半導体基板(ウエハ)2の主面上に該主
面の全域において層厚及び結晶品質が均一な化合物半導
体層を形成することができる。
【0040】なお、本実施例においても、上記実施例1
と同様に、結晶成長反応管100bの使用済ガス排出口
6の手前に排出ガス量制御用オリフィス5を設け、結晶
成長室1における原料ガス濃度を高くして、結晶成長室
1を内圧を1気圧以上の高圧に保つようにすれば、上記
乱流の乱れの程度がより大きくなり、化合物半導体基板
(ウェハ)2の主面上における原料ガスの濃度が、基板
(ウェハ)2の全域においてより均一なものとなり、化
合物半導体基板(ウェハ)2の主面上に成長するエピタ
キシャル層7の層厚及び結晶品質をより均一なものにす
ることができる。
【0041】実施例4.図5はこの発明の実施例4によ
る化合物半導体結晶の形成方法に使用する装置の構成を
示す概略断面図であり、図において、図1,4と同一符
号は同一または相当する部分であり、8は石英からなり
その上面(基板の載置面)が所定角度傾斜した基板(ウ
エハ)用台座である。ここで、結晶成長反応管100b
は、その短手方向の一方の側壁に原料ガス導入口4が設
けられ、その短手方向の他方の側壁に使用済ガス排出口
6が設けられている。結晶成長反応管100bの結晶成
長室1へ原料ガス導入口4より原料ガスが導入され、こ
の原料ガスはそれ自体の流れと、結晶成長室1内の温度
勾配により生じた熱対流とにより、結晶成長室1の長手
方向に流れていき、使用済ガス排出口6から自然排出さ
れる。また、結晶成長反応管100bの短手方向が重力
加速度方向と一致している。
【0042】以下、この図5に基づいて化合物半導体結
晶の形成方法を説明する。原料ガス導入口4から結晶成
長室1の高温領域に導入された原料ガスは、該高温領域
で熱分解する。そして、この熱分解した原料ガスは、ガ
ス自体がもつ流れと結晶成長室1内の温度勾配により形
成された熱対流とにより、低温領域に設けられたその上
面が傾斜面からなる基板(ウエハ)用台座8の上面に載
置されている化合物半導体基板(ウェハ)2の主面に輸
送される。原料ガスは化合物半導体基板(ウエハ)2の
主面上における高温領域に近い側から遠い側へと流れて
いき、この化合物半導体基板の主面の高温領域に近い側
から遠い側へ流れる過程で、化合物半導体結晶の結晶成
長にその一部が寄与し、この結晶成長に寄与する分だけ
その濃度が順次減少することになる。このため、化合物
半導体基板(ウエハ)2の主面上における原料ガス濃度
は、高温領域から遠くに位置する部分ほど、減少してい
くこととなるが、化合物半導体基板(ウエハ)2は基板
(ウエハ)用台座8の高温領域に近い側へ傾斜している
上面に載置されており、化合物半導体基板(ウエハ)2
の主面とこれに対向する結晶成長室1の内壁との間にお
ける原料ガスの流路が、化合物半導体基板(ウエハ)2
の主面の高温領域から遠い側ほど狭くなるので、化合物
半導体基板(ウエハ)2の主面上における原料ガスは、
高温領域から遠い側へ行くにつれて濃縮され、これによ
り、上述した原料ガス濃度の減少が実質的に補償される
こととなる。
【0043】従って、単位時間あたりM個の原料ガス
〔個/s〕が面積S〔cm2 〕のチャネル(流路の入口
側)に導入され、化合物半導体基板(ウエハ)2の主面
上を通過して、単位時間あたりM’個の原料ガス〔個/
s〕が面積S’〔cm2 〕のチャネル(流路の出口側)か
ら出る場合、M/S=M’/S’の関係の成立がするよ
う原料ガス濃度と基板(ウエハ)用台座8の上面の傾斜
角度を調整すれば、化合物半導体基板(ウエハ)2の主
面上を流れる原料ガスの濃度を該主面の全域において均
一化されることとなる。
【0044】このように本実施例の化合物半導体結晶の
形成方法では、結晶成長室1内の化合物半導体基板(ウ
エハ)2の主面上を流れる原料ガスの流路を、化合物半
導体基板(ウエハ)2の主面の高温領域に近い側から遠
い側へ(上流側から下流側へ)と狭くなるようにしたの
で、原料ガスの一部が結晶成長によって消費されていく
と、これとは逆に原料ガスは流路の体積減少により濃縮
されていくので、化合物半導体基板(ウエハ)2の主面
上における原料ガスの濃度が変動することを防止するこ
とができる。従って、化合物半導体基板(ウェハ)2の
主面上における原料ガスの濃度は、基板(ウェハ)2の
全域においてより均一化されることとなり、化合物半導
体基板(ウェハ)2の主面上に成長するエピタキシャル
層7の厚み及び結晶品質をより均一なものにすることが
できる。
【0045】実施例5.図6はこの発明の実施例5によ
る化合物半導体結晶の形成方法に適用する装置の構成を
示す概略断面図であり、図において、図1,4と同一符
号は同一または相当する部分であり、8aは石英からな
る基板(ウエハ)用台座、9はモータ、10は基板(ウ
エハ)用台座8aとモータ9間を連結し、モータ9の回
転により回転して基板(ウエハ)用台座8を回転させる
シャフトである。ここで、結晶成長反応管100bは、
その短手方向の一方の側壁に原料ガス導入口4が設けら
れ、その短手方向の他方の側壁に使用済ガス排出口6が
設けられている。結晶成長反応管100bの結晶成長室
1へ原料ガス導入口4より原料ガスが導入され、この原
料ガスはそれ自体の流れと、結晶成長室1内の温度勾配
により生じた熱対流とにより、結晶成長室1の長手方向
に流れていき、使用済ガス排出口6から自然排出され
る。また、結晶成長反応管100bの短手方向が重力加
速度方向と一致している。
【0046】以下、この図6に基づいて化合物半導体結
晶の形成方法を説明する。原料ガス導入口4から結晶成
長室1の高温領域に導入された原料ガスは、該高温領域
で熱分解する。そして、この熱分解した原料ガスは、ガ
ス自体がもつ流れと結晶成長室1内の温度勾配により形
成された熱対流とにより、基板(ウエハ)用台座8aの
上面に載置された化合物半導体基板(ウェハ)2の主面
上に輸送される。ここで、基板(ウエハ)用台座8a
は、モータ9とシャフト10からなる回転機構により、
シャフト9を回転軸として回転しており、この回転する
基板(ウエハ)用台座8aの上面に載置された化合物半
導体基板(ウェハ)2の主面は該主面の中心を軸にして
回転している。結晶成長室1内の高温領域で熱分解した
上記原料ガスは、該結晶成長室1内の温度勾配の方向と
重力加速度方向との関係により、該結晶成長室1内にお
いて上記図11に示すガスの流れに類似の流れを形成す
ることとなり、化合物半導体基板(ウェハ)2の主面上
の全域に均一な濃度をもって供給され難いが、上記のよ
うに、化合物半導体基板(ウェハ)2の主面が回転して
いるので、化合物半導体基板(ウェハ)2の主面の近傍
においてはガスが乱流を形成することになり、該主面上
のガス濃度がその全域にわたってほぼ均一になる。ま
た、この主面上における原料ガス濃度の均一化が不十分
であっても、該主面が回転しているので、該主面の全域
において平均的に化合物半導体結晶が成長することとな
る。従って、本実施例方法においても、化合物半導体基
板(ウェハ)2の主面上に成長するエピタキシャル層7
の厚み及び結晶品質を均一なものにすることができる。
【0047】尚、上記何れの実施例においても、InP
結晶を形成する実施例についいて説明したが、本発明
が、GaAs,GaP,InGaAs,InGaAs
P,及びInGaP等の他のIII −V 族化合物半導体結
晶を形成する場合に適用できることは言うまでもない。
【0048】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、外部
から結晶成長室内の高温領域に導入された原料ガスを、
該高温領域にて熱分解し、この熱分解された原料ガスを
上記結晶成長室内の低温領域に配置された化合物半導体
基板の主面上に供給して、該主面上に化合物半導体結晶
を結晶成長させる化合物半導体結晶の形成方法であっ
て、上記結晶成長室における高温領域と低温領域の配置
方向を重力加速度方向と同一にし、上記化合物半導体基
板を、その主面が重力加速度方向と直交するよう配置
し、上記原料ガスの上記結晶成長室への導入量を、該結
晶成長室の内圧が1気圧以上になる量にしたので、上記
結晶成長室内の高温領域で加熱分解された上記原料ガス
は、上記結晶成長室内の温度勾配により生じた熱対流と
重力の作用より、乱流状態でもって高温領域から低温領
域に導かれることとなり、その結果、化合物半導体基板
の主面上における原料ガス濃度を均一にすることがで
き、該主面の全域にわたって、均一な厚み及び結晶品質
を有する化合物半導体層を形成することができる効果が
ある。
【0049】更に、この発明によれば、上記結晶成長室
の壁面を金属製にしたので、上記結晶成長室における原
料ガス濃度を高くして、上記結晶成長室の内圧をより一
層高くすることができ、その結果、上記均一な厚み及び
結晶品質を有する化合物半導体層を短時間で形成するこ
とができ、化合物半導体層を得るためのコストを低減で
きる効果がある。
【0050】更に、この発明によれば、外部から結晶成
長室内の高温領域に導入された原料ガスを、該高温領域
にて熱分解し、この熱分解された原料ガスを上記結晶成
長室内の低温領域に配置された化合物半導体基板の主面
上に供給して、該主面上に化合物半導体結晶を結晶成長
させる化合物半導体結晶の形成方法であって、上記結晶
成長室内の高温領域に、該高温領域に導入される上記原
料ガスを複数の互いに異なる方向へ分岐させて放出させ
る原料ガス分岐放出手段を設けたので、上記原料ガス
は、上記原料ガス分岐放出手段により、乱流状態で低温
領域に導かれることになり、その結果、化合物半導体基
板の主面上における原料ガス濃度を均一にすることがで
き、該主面の全域にわたって、均一な厚み及び結晶品質
を有する化合物半導体層を形成することができる効果が
ある。
【0051】更に、この発明によれば、外部から結晶成
長室内の高温領域に導入された原料ガスを、該高温領域
にて熱分解し、この熱分解された原料ガスを上記結晶成
長室内の低温領域に配置された化合物半導体基板の主面
上に供給して、該主面上に化合物半導体結晶を結晶成長
させる化合物半導体結晶の形成方法であって、上記結晶
成長室における高温領域と低温領域の配置方向を重力加
速度方向と直交させ、上記化合物半導体基板を、その上
記主面の上記結晶成長室内の高温領域から遠い側が重力
加速度方向における高い位置となり,その上記結晶成長
室内の高温領域に近い側が重力加速度方向における低い
位置となるよう、配置したので、上記化合物半導体基板
の主面の上記結晶成長室内の高温領域に近い側では上記
原料ガスの流路が広く、上記化合物半導体基板の主面の
上記結晶成長室内の高温領域に遠い側では上記原料ガス
の流路が狭くなる。従って、上記化合物半導体基板の主
面を流れる原料ガスは、結晶成長に寄与した分だけその
ガス量が減少して、その濃度が低下することになるが、
上記のようにガス流路が狭くなることから、上記原料ガ
スが濃縮されて、その濃度の低下が抑制されることにな
り、その結果、化合物半導体基板の主面上における原料
ガス濃度が均一になり、該主面の全域にわたって、均一
な厚み及び結晶品質を有する化合物半導体層を形成する
ことができる効果がある。
【0052】更に、この発明によれば、外部から結晶成
長室内の高温領域に導入された原料ガスを、該高温領域
にて熱分解し、この熱分解された原料ガスを上記結晶成
長室内の低温領域に配置された化合物半導体基板の主面
上に供給して、該主面上に化合物半導体結晶を結晶成長
させる化合物半導体結晶の形成方法であって、上記結晶
成長室における高温領域と低温領域の配置方向を重力加
速度方向と直交させ、上記化合物半導体基板を、その上
記主面が重力加速度方向と直交し、かつ、該主面の中心
点を回転軸として回転するよう配置したので、上記化合
物半導体基板の主面上に不均一な濃度をもって原料ガス
が供給されても、該化合物半導体基板の主面が回転して
いるので、該主面の全域において平均的に化合物半導体
結晶が成長させることができ、また、化合物半導体基板
(ウェハ)の主面の近傍においては該主面の回路により
ガスが乱流を形成するため、主面上における原料ガス濃
度を均一化されることとなり、その結果、均一な厚み及
び結晶品質を有する化合物半導体層を形成することがで
きる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1による化合物半導体結晶の
形成方法に使用する装置の構成を示す概略断面図であ
る。
【図2】この発明の実施例1の化合物半導体結晶の形成
方法により化合物半導体バルク結晶を成長した状態を説
明するための図である。
【図3】この発明の実施例2による化合物半導体結晶の
形成方法に使用する装置の構成を示す概略断面図であ
る。
【図4】この発明の実施例3による化合物半導体結晶の
形成方法に使用する装置の構成を示す概略断面図であ
る。
【図5】この発明の実施例4による化合物半導体結晶の
形成方法に使用する装置の構成を示す概略断面図であ
る。
【図6】この発明の実施例5による化合物半導体結晶の
形成方法に使用する装置の構成を示す概略断面図であ
る。
【図7】閉管法により化合物半導体結晶をエピタキシャ
ル成長する際に使用する結晶成長用アンプルの内部構成
を示した図である。
【図8】図11に示す成長条件で結晶成長用アンプル内
のInP基板(ウェハ)上に成長したエピタキシャル層
の層厚のInP基板(ウェハ)内分布図である。
【図9】図12に示す成長条件で結晶成長用アンプル内
のInP基板(ウェハ)上に成長したエピタキシャル層
の層厚のInP基板(ウェハ)内分布図である。
【図10】図13に示す成長条件で結晶成長用アンプル
内のInP基板(ウェハ)上に成長したエピタキシャル
層の層厚のInP基板(ウェハ)内分布図である。
【図11】重力方向とアンプルの長手方向が垂直となる
ようアンプルを配置して結晶成長を行った時のアンプル
の内部状態を示す模式図と、アンプルの長手方向の位置
とアンプル内部の温度との関係を示した図である。
【図12】重力方向とアンプルの長手方向が平行で、ア
ンプルにおける高温部が下方となり、低温部が上方とな
るように、アンプルを配置して結晶成長を行った時のア
ンプルの内部状態を示す模式図と、アンプルの長手方向
の位置とアンプルの内部温度との関係を示した図であ
る。
【図13】重力方向とアンプルの長手方向が平行で、ア
ンプルにおける高温部が上方となり、低温部が下方とな
るように、アンプルを配置して結晶成長を行った時のア
ンプルの内部状態を示す模式図と、アンプルの長手方向
の位置とアンプルの内部温度との関係を示した図であ
る。
【図14】宇宙の微小重力環境下で結晶成長用アンプル
内のInP基板(ウェハ)上に成長したエピタキシャル
層の層厚のInP基板(ウェハ)内分布図である。
【符号の説明】
1 結晶成長室 11 結晶成長反応管 111 結晶成長反応内管 112 真空封止用内管 2,21 化合物半導体基板ウェハ 22 化合物半導体種結晶 3 低温部用ヒータ 31 高温部用ヒータ 4 原料ガス導入口 40 原料ガス分岐放出手段 41 原料ガス分岐放出口 5 排出ガス量制御オリフィス 6 使用済みガス排出口 7 化合物半導体エピタキシャル層 77 化合物半導体バルク結晶 8,8a 基板(ウェハ)用台座 9 モータ 10 シャフト 12 気相エッチング用薬剤 13 真空封止融着部 20a,20b 基板(ウェハ)固定用ホルダ 100,100b 石英製の結晶成長反応管 100a ステンレス製の結晶成長反応管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高宮 三郎 東京都江東区豊洲3丁目1番15号 株式会 社宇宙環境利用研究所内 (72)発明者 小野 博 東京都江東区豊洲3丁目1番15号 株式会 社宇宙環境利用研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部から結晶成長室内の高温領域に導入
    された原料ガスを、該高温領域にて熱分解し、この熱分
    解された原料ガスを上記結晶成長室内の低温領域に配置
    された化合物半導体基板の主面上に供給して、該主面上
    に化合物半導体結晶を結晶成長させる化合物半導体結晶
    の形成方法であって、 上記結晶成長室における高温領域と低温領域の配置方向
    を重力加速度方向と同一にし、上記化合物半導体基板
    を、その主面が重力加速度方向と直交するよう配置し、
    上記原料ガスの上記結晶成長室への導入量を、該結晶成
    長室の内圧が1気圧以上になる量にしたことを特徴とす
    る化合物半導体結晶の形成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の化合物半導体結晶の形
    成方法において、 上記結晶成長室の壁面を金属製にしたことを特徴とする
    化合物半導体結晶の形成方法。
  3. 【請求項3】 外部から結晶成長室内の高温領域に導入
    された原料ガスを、該高温領域にて熱分解し、この熱分
    解された原料ガスを上記結晶成長室内の低温領域に配置
    された化合物半導体基板の主面上に供給して、該主面上
    に化合物半導体結晶を結晶成長させる化合物半導体結晶
    の形成方法であって、 上記結晶成長室内の高温領域に、該高温領域に導入され
    る上記原料ガスを複数の互いに異なる方向へ分岐させて
    放出させる原料ガス分岐放出手段を設けたことを特徴と
    する化合物半導体結晶の形成方法。
  4. 【請求項4】 外部から結晶成長室内の高温領域に導入
    された原料ガスを、該高温領域にて熱分解し、この熱分
    解された原料ガスを上記結晶成長室内の低温領域に配置
    された化合物半導体基板の主面上に供給して、該主面上
    に化合物半導体結晶を結晶成長させる化合物半導体結晶
    の形成方法であって、 上記結晶成長室における高温領域と低温領域の配置方向
    を重力加速度方向と直交させ、上記化合物半導体基板
    を、その上記主面の上記結晶成長室内の高温領域から遠
    い側が重力加速度方向における高い位置となり,その上
    記結晶成長室内の高温領域に近い側が重力加速度方向に
    おける低い位置となるよう、配置したことを特徴とする
    化合物半導体結晶の形成方法。
  5. 【請求項5】 外部から結晶成長室内の高温領域に導入
    された原料ガスを、該高温領域にて熱分解し、この熱分
    解された原料ガスを上記結晶成長室内の低温領域に配置
    された化合物半導体基板の主面上に供給して、該主面上
    に化合物半導体結晶を結晶成長させる化合物半導体結晶
    の形成方法であって、 上記結晶成長室における高温領域と低温領域の配置方向
    を重力加速度方向と直交させ、上記化合物半導体基板
    を、その上記主面が重力加速度方向と直交し、かつ、該
    主面の中心点を回転軸として回転するよう配置したこと
    を特徴とする化合物半導体結晶の形成方法。
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