JPH07272948A - 編組線及びその編組線を用いた電磁装置 - Google Patents

編組線及びその編組線を用いた電磁装置

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JPH07272948A
JPH07272948A JP5651594A JP5651594A JPH07272948A JP H07272948 A JPH07272948 A JP H07272948A JP 5651594 A JP5651594 A JP 5651594A JP 5651594 A JP5651594 A JP 5651594A JP H07272948 A JPH07272948 A JP H07272948A
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braided wire
braided
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magnet
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JP5651594A
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Hidenori Kakehashi
英典 掛橋
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 編組線の外部磁界に起因した近接効果による
実効抵抗の増加を減少させ、また別の目的は、その編組
線を用いた電磁装置のリーケージインダクタンスと、ス
イッチングサージの低減を図る。 【構成】 絶縁被覆された少なくとも3本以上のマグネ
ットワイヤ素線5aを編んで長尺状に形成した編組線5
であって、そのマグネットワイヤ素線5aのそれぞれ
を、編組線5の軸方向に沿って、編組線5の中心軸に対
する相対位置を変化させながら編み、その編組線の中心
軸に沿って空間を形成させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絶縁被覆された複数の
マグネットワイヤ素線を編んで構成した編組線、及びそ
の編組線を用いた電磁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】20kHz 以上の周波数で動作するスイッ
チング電源や、インバータ点灯装置等のような高周波電
力変換装置には、電磁装置であるスイッチングトランス
が使用されており、このスイッチングトランスの効率
は、そのスイッチングトランスが組み込まれた装置自体
の効率にも影響を与えている。また、スイッチングトラ
ンスの効率には、その構成要素である巻線や磁気コアの
材料特性や構造が大きく影響し、そのようなスイッチン
グトランスの巻線用部材としては、絶縁被覆を有する単
線のマグネットワイヤや、そのようなマグネットワイヤ
を細分化した複数本のマグネットワイヤ素線を束ねて撚
ったリッツ線が使用されている。
【0003】一般に、単線のマグネットワイヤが巻回さ
れて構成された電磁装置のコイルに、特に高周波電流が
流れると、自己の磁界により電流密度が単線のマグネッ
トワイヤの表面に偏る表皮効果が顕在化してくる。この
表皮効果は、結果として巻線の抵抗を増大させ、その電
磁装置の効率低下、及び発熱等を招く。そこで、このよ
うな現象を緩和するために、上述のように単線のマグネ
ットワイヤを細分化して構成したリッツ線が用いられ、
そのようなリッツ線を用いたコイルでは、電流が分岐し
て流れることにより自己の電流に起因した磁界による表
皮効果が抑制されて、抵抗増加、発熱等を抑制し、電磁
装置の効率低下を緩和している。
【0004】しかしながら、このような構成のリッツ線
においては、リッツ線が上述のように複数本のマグネッ
トワイヤ素線を束ねて撚ったものであるために、リッツ
線の外周に位置するマグネットワイヤ素線は常に外周
に、中心付近のマグネットワイヤ素線は常に中心付近に
位置することになり、各マグネットワイヤ素線間には、
その相対的な位置の違いが生じる。そのことにより、外
部からの磁界である、例えば他のマグネットワイヤ素線
からの磁界や磁気コアからの漏れ磁界等の影響にも偏り
を生じ、その影響であるマグネットワイヤ素線の外部か
らの磁界により生ずる近接効果により、電流密度分布が
変化することになる。この近接効果は、表皮効果と同じ
ようにマグネットワイヤ素線内で、うず電流を発生させ
電流を流れにくくし、また、うず電流が周波数の二乗で
増大して主電流に対して逆起電力を生むため、実効的な
巻線抵抗は、高周波になるに従って増大することにな
る。このため、高周波の動作周波数で励磁されるスイッ
チングトランスにおいては、その近接効果による影響が
著しく、スイッチングトランスの効率低下や、そのスイ
ッチングトランスを用いた装置自体の効率低下を招いて
いた。
【0005】また、高周波の動作周波数で励磁されるス
イッチングトランスにおいては、効率とは別に、そのス
イッチングトランスを用いた装置に使用されるトランジ
スタやダイオード等の半導体部品へのストレス、いわゆ
るスイッチングサージを低減させることが要求される。
スイッチングトランスは、その一次側と二次側の間の絶
縁、又は十分な昇圧比を得るために不可欠のものではあ
るが、スイッチングサージが、等価的には一次巻線と二
次巻線のリーケージインダクタンスが主要因として生
じ、そのスイッチングサージによりトランジスタの破壊
や、ダイオードの損傷等につながる恐れがあるため、一
次巻線と二次巻線の結合(カップリング)が十分になさ
れていることが要求され、したがって、そのスイッチン
グトランスの構造には特に注意を要する。
【0006】図10は、第1の従来例を示すもので、こ
の電磁装置であるスイッチングトランスは、磁気コア1
に装着され両端に鍔2aを有するボビン巻枠2に、巻線
用部材としてリッツ線が巻回されてなり、一次巻線3と
二次巻線4とが、ボビン巻枠2の軸方向に垂直な方向に
交互に積層配置されて構成されている。つまり、一次巻
線3は第1の一次巻線P1と第2の一次巻線P2に、二
次巻線4は第1の二次巻線S1と第2の二次巻線S2
に、それぞれ2回に分けて巻回され、まず、ボビン巻枠
2に第1の一次巻線P1が巻回され、その上から第1の
二次巻線S1が、さらに、その上から第2の一次巻線P
2が、最後の最外層に第2の二次巻線S2が巻回されて
いるのである。このような構成のスイッチングトランス
では、一次巻線3と二次巻線4を別々に巻いたものより
も、一次巻線3と二次巻線4が密結合となり、リーケー
ジインダクタンスを減少させることができる。
【0007】図11は、第2の従来例を示すもので、こ
の電磁装置であるスイッチングトランスは、磁気コア1
に装着され両端に鍔2aを有するボビン巻枠2の、その
2つの鍔部2a間に、その鍔部2aに平行な3つの仕切
り部2bを設けて、ボビン巻枠2の軸方向に4つの巻線
用空間を形成し、そのボビン巻枠2に、巻線用部材であ
るリッツ線が巻回されて、一次巻線3と二次巻線4と
が、ボビン巻枠2の軸方向に交互に配置されて構成され
ている。つまり、前記第1の従来例と同様に、一次巻線
3は第1の一次巻線P1と第2の一次巻線P2に、二次
巻線4は第1の二次巻線S1と第2の二次巻線S2に、
それぞれ2回に分けて巻回され、まず、ボビン巻枠1の
一方の鍔部2aと仕切り部2b間に第1の一次巻線P1
を巻回し、それに隣接する巻線用空間には第1の二次巻
線S1を、さらに、その隣の巻線用空間には第2の一次
巻線P2を、そして最後の巻線用空間である他方の鍔部
2aと仕切り部2b間に第2の二次巻線S2を巻回して
いるのである。このような構成のスイッチングトランス
においては、一次巻線3と二次巻線4とを同軸に配置す
ることにより、その結合を密結合とし、リーケージイン
ダクタンスの減少を図っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに構成された従来の巻線用部材であるリッツ線におい
ては、上述のようにその構成から、外部磁界に起因した
近接効果の偏りにより、特に高周波でのリッツ線の巻線
抵抗が増加し、そのリッツ線を巻回して構成した電磁装
置の効率が低下するという問題点があった。
【0009】また、第1の従来例に示す電磁装置である
スイッチングトランスにおいては、昇圧比又は降圧比を
上げると、その電流容量から、一次巻線3又は二次巻線
4のうちの一方の巻線の巻線用部材を線径の太いものと
する必要が生じ、このために、一次巻線3と二次巻線4
の距離が大きくなって、それらの間の結合が弱くなり、
リーケージインダクタンスが増加して、それによりスイ
ッチングサージも増加するという問題点があった。
【0010】本発明は、上記の問題点を改善するために
なされたもので、その目的とするところは、外部磁界に
起因した近接効果による実効抵抗の増加を減少させた編
組線を提供することにあり、また、別の目的とするとこ
ろは、その編組線を用いてリーケージインダクタンスを
低減させ、スイッチングサージを低減させた電磁装置を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の問題点を
解決するため、請求項1記載の発明にあっては、絶縁被
覆された少なくとも3本のマグネットワイヤ素線5aを
編んで長尺状に形成した編組線5であって、前記マグネ
ットワイヤ素線5aのそれぞれが、前記編組線5の軸方
向に沿って、前記編組線5の中心軸に対する相対位置を
変化させながら編まれたことを特徴とするものである。
【0012】また、請求項2記載の発明にあっては、前
記編組線5の中心軸の周りに、該編組線5の中心軸に沿
った空間5bを設け、該空間5bに、絶縁被覆された少
なくとも1本の別のマグネットワイヤ素線5cを挿入し
たことを特徴とするものである。
【0013】また、請求項3記載の発明にあっては、前
記編組線5を偏平としたことを特徴とするものである。
【0014】さらには、請求項4記載の発明にあって
は、前記編組線5を用いた電磁装置であって、前記編組
線5を巻回して多次の巻線3、4を形成したことを特徴
とするものである。
【0015】また、請求項5記載の発明にあっては、前
記多次の巻線3、4に、磁気コア1を装着したことを特
徴とするものである。
【0016】
【作用】以上のように構成したことにより、請求項1乃
至請求項3記載の発明にあっては、絶縁被覆された少な
くとも3本のマグネットワイヤ素線5aを編んで長尺状
に形成した編組線5であって、前記マグネットワイヤ素
線5aのそれぞれが、前記編組線5の軸方向に沿って、
前記編組線5の中心軸に対する相対位置を変化させなが
ら編まれたため、各マグネットワイヤ素線5aは、編組
線5の中心軸に対して常にその位置を変化させ、外部か
らの磁界による各マグネットワイヤ素線5aの近接効果
は、編組線5内の特定のマグネットワイヤ素線5aに偏
ることがなくなって平均化され、近接効果による編組線
5の高周波での実効抵抗の増加を減少させることができ
る。
【0017】また、請求項4及び請求項5記載の発明に
あっては、前記編組線5を用いた電磁装置であって、前
記編組線5を巻回して多次の巻線3、4を形成したた
め、多次の巻線3、4間の距離が短くなって、多次の巻
線3、4間の密結合が図れ、リーケージインダクタンス
が減少して、スイッチングサージを減少させることがで
きると共に、特に高周波での電磁装置の効率の低下が防
げる。
【0018】
【実施例】図1及び図2は、本発明の第1の実施例であ
る編組線5を示すものであり、この編組線5は、絶縁被
覆された300本のマグネットワイヤ素線5aを編んで
長尺状に形成したもので、その中心軸の周りには筒状の
空間5bが形成されたものである。また、300本のう
ち30本は、他のマグネットワイヤ素線5aと識別する
ために、その色を変えて編まれている。
【0019】マグネット素線5aは、直径が 0.1のウレ
タン絶縁被覆を有するマグネットワイヤで、各マグネッ
ト素線5aは糸を編むように編まれ、それぞれのマグネ
ットワイヤ素線5aは、編組線5の軸方向に沿って、編
組線5の中心軸に対する相対位置を変化させて、つま
り、中心軸からの距離を常に変化させるように編まれて
いる。したがって、任意の1本のマグネットワイヤ素線
5aを見ると、そのマグネットワイヤ素線5aは、ある
位置では編組線5の最外層である上端に、また、ある位
置では編組線5の中心軸の近傍である空間5bに隣接す
る位置に、さらに異なる位置では編組線5の最外層であ
る下端に位置するように編まれ、全てのマグネットワイ
ヤ素線5aが、このように編組線5の中心軸からの距離
を常に変化させるように編まれて構成されているのであ
る。したがって、上述の色の異なる30本のマグネット
ワイヤ素線5aは、編組線5の任意の横断面において
は、他の270本のマグネットワイヤ素線5aの間に、
その位置を変えながら点在する形となる。
【0020】図2は、本実施例における編組線5と、従
来の巻線用部材であるリッツ線との特性を比較する実験
データを示すもので、編組線5は、従来のリッツ線に比
べて特に100kHz以上の周波数領域において、実効抵抗の
増加の割合が明らかに少なくなっている。
【0021】このように本実施例における編組線5にお
いては、各マグネットワイヤ素線5aは、編組線5の中
心軸に対して常にその位置を変化させているため、外部
からの磁界による各マグネットワイヤ素線5aの近接効
果は、編組線5内の特定のマグネットワイヤ素線5aに
偏ることがなくなって平均化され、近接効果による編組
線5の高周波での実効抵抗の増加を低減することができ
る。
【0022】図3は、本発明の第2の実施例である編組
線5を示すものであり、この編組線5は、絶縁被覆され
た300本のマグネットワイヤ素線5aを編んで長尺状
とし、その中心軸の周りには中心軸に沿って筒状の空間
5bを形成すると共に、その空間5bに絶縁被覆された
3本の別のマグネットワイヤ5cを挿入して構成したも
のである。
【0023】マグネット素線5aは、第1の実施例と同
様に、直径が 0.1mmのウレタン絶縁被覆を有するマグネ
ットワイヤで、各マグネット素線5aは糸を編むように
編まれ、それぞれのマグネットワイヤ素線5aは、編組
線5の軸方向に沿って、編組線5の中心軸に対する相対
位置を変化させて編まれている。つまり、任意の1本の
マグネットワイヤ素線5aを見ると、第1の実施例と同
様に、そのマグネットワイヤ素線5aは、ある位置では
編組線5の最外層である上端に、また、ある位置では編
組線5の中心軸の近傍である空間5bに隣接する位置
に、さらに異なる位置では編組線5の最外層である下端
に位置するように編まれ、全てのマグネットワイヤ素線
5aが、このように編組線5の中心軸からの距離を常に
変化させるように編まれて構成されているのである。
【0024】また、別のマグネット素線5cは、直径が
0.3mmのウレタン絶縁被覆を有するマグネットワイヤ
で、編組線5の中心軸に沿って設けられた空間5bに、
その中心軸に沿って配設されている。
【0025】本実施例における編組線5を、従来の巻線
用部材であるリッツ線の特性を比較すると、第1の実施
例に示した図2と同様の実験データとなり、編組線5
は、リッツ線に比べて特に100kHz以上の周波数領域にお
いて、実効抵抗の増加の割合が明らかに少なくなる。し
たがって、このような構成によっても、前記第1の実施
例と同様の効果を奏する。
【0026】図4乃至図6は、本発明の第3の実施例で
ある電磁装置を示すもので、この電磁装置であるスイッ
チングトランスは、主としてボビン巻枠2と、巻線であ
る編組線5と、磁気コア1とにより構成されている。
【0027】ボビン巻枠2は、角筒状の巻枠2cの両端
に、巻枠2cと略垂直に外方に突出した鍔部2aを有し
て構成され、その巻枠2cに巻線としての第1の実施例
で示した編組線5を押しつぶして断面を偏平としたもの
が巻回され、そのボビン巻枠2に略U字状の磁気コアで
あるフェライトコア1が、筒状の巻枠2cの略中央部近
傍でギャップ1aを形成するように装着されて構成され
ている。この時、270本のマグネットワイヤ素線5a
は、一次巻線3とされ、30本の異なる色を有するマグ
ネットワイヤ素線5aが二次巻線4とされて、多次の巻
線である2つの巻線3、4が構成されている。一次巻線
3の巻数は12ターン、二次巻線4の巻数は、12ター
ン巻かれた30本のマグネットワイヤ素線5aを10本
ずつ第1、第2、第3の巻線S1、S2、S3の3つに
分けて、それらの巻き終わりと巻き始めを接続して、つ
まり、第1の巻線S1の巻き終わりT4と第2の巻線S
2の巻き始めT5、及び第2の巻線S2の巻き終わりT
6と第3の巻線S3の巻き始めT7とを接続して36タ
ーンとしたもので、したがって、二次巻線4は、マグネ
ットワイヤ素線5aの10本が12ターン並列巻きさ
れ、これを3つ直列に接続したものとされている。
【0028】このように構成されたスイッチングトラン
スを、1次のインダクタンスを15μHとして、図10
に示す従来の積層分割巻きのスイッチングトランスと、
1次−2次リーケージインダクタンスを比較すると、本
実施例におけるスイッチングトランスのリーケージイン
ダクタンスは0.03μHであり、従来のスイッチングトラ
ンスでは 0.1μHで、本実施例におけるスイッチングト
ランスのリーケージインダクタンスは従来のものに比べ
て、およそ30%程度まで減少することが確認された。
【0029】図6は、本実施例のスイッチングトランス
を使用した1つの回路例を示すもので、DC24Vから
DC100Vまで昇圧する機能を持つ昇圧チョッパー回
路を示すものであり、図のように抵抗負荷を接続して本
実施例の効果を確認したところ、この回路においては、
従来のスイッチングトランスを使用したものに比べて、
効率で2%の向上が見られ、トランジスタへのサージで
約50%の低減が見られた。
【0030】このように本実施例における電磁装置であ
るスイッチングトランスにおいては、第1の実施例に示
す編組線5を偏平化したものを巻回して一次巻線3及び
二次巻線4を形成したため、第1の実施例の効果に加え
て、2つの巻線間の距離が短くなって巻線間の密結合が
図れ、リーケージインダクタンスが減少して、スイッチ
ングサージを減少させることができ、スイッチングトラ
ンスが使用された装置のトランジスタやダイオード等が
破壊、損傷することが防げると共に、スイッチングトラ
ンスの効率が向上することにより、スイッチングトラン
スを使用した装置自体の効率を向上させることができ
る。また、編組線5は十分な可撓性を有するため、巻線
作業がし易く、占積率を向上させることもできる。
【0031】図7乃至図9は、本発明の第4の実施例で
ある電磁装置を示すもので、前記第3の実施例と異なる
点は、巻線である編組線5と、磁気コア1であり、他は
前記第3の実施例と同様に構成されている。
【0032】巻線である編組線5は、第2の実施例で示
した編組線5を押しつぶして断面を偏平としたものであ
り、その編組線5がボビン巻枠2に整列巻きで3層に巻
回されると共に、略E字状の磁気コアであるフェライト
コア1が、筒状の巻枠2cの略中央部近傍でギャップ1
aを形成するように装着されて構成されている。この
時、300本のマグネットワイヤ素線5aは、一次巻線
3とされ、編組線5の中央部の空間5bに挿入した3本
の別のマグネットワイヤ素線5cが二次巻線4とされて
おり、一次巻線3の巻数は21ターン、二次巻線4の巻
数は、21ターン巻かれた3本のマグネットワイヤ素線
5cを、その巻き終わりと巻き始めを接続して63ター
ンとしている。
【0033】このように構成されたスイッチングトラン
スを、1次のインダクタンスを80μHとして、図10
に示す従来の積層分割巻きのスイッチングトランスと、
1次−2次リーケージインダクタンスを比較すると、本
実施例におけるスイッチングトランスのリーケージイン
ダクタンスは0.25μHであり、従来のスイッチングトラ
ンスでは 0.6μHで、本実施例におけるスイッチングト
ランスのリーケージインダクタンスは従来のものに比べ
て、およそ40%程度まで減少することが確認された。
【0034】図9は、本実施例のスイッチングトランス
を使用した1つの回路例を示すもので、DC24Vから
DC100Vへ昇圧する機能を持つ一石式フライバック
コンバータ回路を示すものであり、図のように抵抗負荷
を接続して本実施例の効果を確認したところ、この回路
においては、従来のスイッチングトランスを使用したも
のに比べて、効率で2%の向上が見られ、トランジスタ
へのサージで約50%の低減が見られた。
【0035】このように本実施例における電磁装置であ
るスイッチングトランスにおいては、第2の実施例に示
す編組線5を偏平化したものを巻回して一次巻線3及び
二次巻線4を形成したため、第2の実施例の効果に加え
て、2つの巻線間の距離が短くなって巻線間の密結合が
図れ、リーケージインダクタンスが減少して、スイッチ
ングサージを減少させることができ、スイッチングトラ
ンスが使用された装置のトランジスタやダイオード等が
破壊、損傷することが防げると共に、スイッチングトラ
ンスの効率が向上することにより、スイッチングトラン
スを使用した装置自体の効率を向上させることができ
る。
【0036】また、図示はしないが、リーケージインダ
クタンスを減少させて、スイッチングサージを低減させ
るスイッチングトランスの一例としては、巻線用部材と
してリッツ線を用い、リッツ線を巻回してコイルを形成
すると共に、そのマグネットワイヤ素線の一部を、巻き
始めと巻き終わりで、他のマグネットワイヤ素線群から
分離絶縁して、一部のマグネットワイヤ素線と、他のマ
グネットワイヤ素線群とで多次の巻線を形成したものも
考えられる。
【0037】なお、前記第1の実施例においては、編組
線5の中心軸のまわりに空間5bを形成したものを例示
したが、本発明はこれに限らず、空間を設けないもので
あっても良く、また、前記第1及び第2の実施例におい
ては、編組線5の横断面が円形であるものを例示した
が、本発明はこれに限らず、編組線5を押しつぶしたよ
うな偏平な断面を有するものであっても良い。
【0038】さらには、前記第3及び第4の実施例にお
いては、編組線5の横断面を偏平としたものを用いて電
磁装置を構成したものを例示したが、本発明はこれに限
らず、編組線5の断面が前記第1及び第2の実施例に示
した編組線5のように、断面が円形のものを用いて構成
したものであっても良いことは勿論である。
【0039】
【発明の効果】以上のように構成したことにより、請求
項1乃至請求項3記載の発明にあっては、絶縁被覆され
た少なくとも3本のマグネットワイヤ素線を編んで長尺
状に形成した編組線であって、前記マグネットワイヤ素
線のそれぞれが、前記編組線の軸方向に沿って、前記編
組線の中心軸に対する相対位置を変化させながら編まれ
たため、各マグネットワイヤ素線は、編組線の中心軸に
対して常にその位置を変化させ、外部からの磁界による
各マグネットワイヤ素線の近接効果は、編組線内の特定
のマグネットワイヤ素線に偏ることがなくなって平均化
され、近接効果による編組線の高周波での実効抵抗の増
加が減少できる。
【0040】また、請求項4及び請求項5記載の発明に
あっては、前記編組線を用いた電磁装置であって、前記
編組線を巻回して多次の巻線を形成したため、請求項1
乃至請求項3記載の発明の効果に加えて、多次の巻線間
の距離が短くなって多次の巻線間の密結合が図れ、リー
ケージインダクタンスが減少して、スイッチングサージ
を減少させることができると共に、特に高周波での電磁
装置の効率の低下が防げる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の編組線を示すものであ
り、(a) は要部斜視図、(b) は任意の2点のマグネット
ワイヤ素線の相対位置関係を示す断面図である。
【図2】同上の特性比較図である。
【図3】本発明の第2の実施例の編組線を示すものであ
り、(a) は要部斜視図、(b) は任意の2点のマグネット
ワイヤ素線の相対位置関係を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施例である電磁装置の一部断
面平面図である。
【図5】同上の電磁装置の回路図である。
【図6】同上の電磁装置を用いた昇圧チョッパー回路図
である。
【図7】本発明の第4の実施例である電磁装置の一部断
面平面図である。
【図8】同上の電磁装置の回路図である。
【図9】同上の電磁装置を用いた一石式フライバックコ
ンバータの回路図である。
【図10】従来のスイッチングトランス(第1の従来
例)を示す一部断面正面図である。
【図11】従来の別のスイッチングトランス(第2の従
来例)を示す一部断面正面図である。
【符号の説明】
1 磁気コア 3 多次の巻線(一次巻線) 4 多次の巻線(二次巻線) 5 編組線 5a マグネットワイヤ素線 5b 空間 5c 別のマグネットワイヤ素線

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁被覆された少なくとも3本のマグネ
    ットワイヤ素線を編んで長尺状に形成した編組線であっ
    て、前記マグネットワイヤ素線のそれぞれが、前記編組
    線の軸方向に沿って、前記編組線の中心軸に対する相対
    位置を変化させながら編まれたことを特徴とする編組
    線。
  2. 【請求項2】 前記編組線の中心軸の周りに、該編組線
    の中心軸に沿った空間を設け、該空間に絶縁被覆された
    少なくとも1本の別のマグネットワイヤ素線を挿入した
    ことを特徴とする請求項1記載の編組線。
  3. 【請求項3】 前記編組線を偏平としたことを特徴とす
    る請求項1、又は請求項2記載の編組線。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1つの
    請求項記載の編組線を用いた電磁装置であって、前記編
    組線を巻回して多次の巻線を形成したことを特徴とする
    電磁装置。
  5. 【請求項5】 前記多次の巻線に、磁気コアを装着した
    ことを特徴とする請求項4記載の電磁装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008306065A (ja) * 2007-06-08 2008-12-18 Totoku Electric Co Ltd エッジワイズコイル

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