JPH07272268A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH07272268A
JPH07272268A JP6271794A JP6271794A JPH07272268A JP H07272268 A JPH07272268 A JP H07272268A JP 6271794 A JP6271794 A JP 6271794A JP 6271794 A JP6271794 A JP 6271794A JP H07272268 A JPH07272268 A JP H07272268A
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protective layer
lubricant
magnetic
vacuum
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JP6271794A
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Inventor
Kenichi Nishimori
賢一 西森
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Hoya Corp
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Hoya Corp
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 保護層とその上に形成される潤滑層との間に
不要な吸着物等が介在しないようにすることにより、潤
滑層の保護層への付着を確実なものとすると同時に、耐
食性低下の要因を排除し、かつ、製造工程のより簡略化
を可能にする磁気記録媒体の製造方法を提供する。 【構成】 スパッタリング装置1の真空容器14内に設
けられた4個のターゲット取付部2,3,4,5のうち
の3つには、下地層、磁性層及び保護層形成用のターゲ
ットを取り付け、残り1つに、表面に潤滑剤を塗布・乾
燥した潤滑剤塗布プレート10を取り付け、このスパッ
タリング装置1によってガラス基板22に順次下地層、
磁性層及び保護層を形成した後、真空容器14内の雰囲
気ガスを排気して、104 〜10-7Paの範囲の真空に
し、開閉シャッター12を開くとともに、加熱ヒータ1
8によって潤滑剤塗布プレートを加熱して潤滑剤を飛散
させて保護層26の上に潤滑層27を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、情報の記録又は再生を
行う磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種コンピュータの外部記憶装置の中核
をなす磁気記録装置は、その主たる構成要素である磁気
ヘッドスライダー及び磁気記録媒体が、相対運動しなが
ら情報の読み書きを行う方式を採用しており、その原理
上、両者の間欠的あるいは完全接触摺動回避できない。
そのため、そこから派生する様々なトライボロジー現象
が、装置自体の情報記録再生機能を著しく左右し、その
信頼性を低下させているのが現状である。
【0003】その中でも特に憂慮すべき問題として位置
付けられるものに、ヘッドスライダー/媒体間(Head M
edia Interface、以下HMIと記す)における接触摺動
状態下で発生する摩擦力が、媒体などに機械的な摩耗損
傷を与え、その結果磁性層に記録されている情報が破壊
されてしまう“ヘッドクラッシュ現象”がある。このト
ライボロジー問題の発生を抑制するために、従来より次
のような工夫が磁気記録媒体に対し、施されてきた。
【0004】すなわち、例えば、固定磁気記録媒体(ハ
ードディスク)においては、非磁性基板上に下地層及び
磁性層を、真空中におけるスパッタリング法などにより
順次形成した後、この磁性層上にカーボン、金属酸化
物、炭化物、窒化物等からなる保護層を連続して成膜
し、その保護層上にフロロカーボン系あるいはハイドロ
カーボン系などの液体潤滑剤をスピンコート法などによ
り塗布して潤滑層を形成することにより、磁性層自体が
ヘッドスライダーと直接摺動することを防止し、媒体の
耐摩耗性・耐腐食性向上を図ることが行われている(特
開平4ー109427号公報参照)。
【0005】上記したように、磁性層上に保護層を設
け、その保護層の上に潤滑層を設ける技術は、媒体の耐
ヘッドクラッシュ特性を向上させる一手段として従来よ
り多く用いられていることは当業者間では公知である
が、これ以外にも、例えば保護層を設けず磁性層上に直
接潤滑層を設ける方法、あるいは保護層だけを設けて磁
気記録媒体として使用する手法などが存在する。但し、
前者はHMIにおけるスペーシング損失を少なくできる
という磁気特性上の利点があるものの、耐久性が十分で
なく、保護層を設けた場合に比べ、走行中ヘッドスライ
ダーと磁性層が直接的に接触しやすい状態にあるため、
ヘッドクラッシュ問題を起こしやすい。一方、後者にお
いては、保護層及びその相手材となるヘッドスライダー
は比較的機械的強度が高い材料が用いられる場合が多
く、高速摺動環境下での両者の固体接触は、そのどちら
かを摩耗損傷させる可能性を高くしてしまう。そのた
め、現状で最も有効なヘッドクラッシュ防止のための解
決策は、まず磁性層上に保護層を設けて滑性を良好にす
るとともに、両者の直接的な接触摺動を緩和させる潤滑
剤を塗布することであるといわれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、近年におけ
る媒体の高記録密度化・高速アクセス化の要求は、より
高い相対速度環境下で、しかも耐ヘッドクラッシュ特性
に優れた媒体を必要としてきているが、上述の従来の方
法で製造した磁気記録媒体はこの要求を十分に満たすも
のとはいい難くなってきた。
【0007】そこで、本発明者等が上述の従来の方法の
各工程を検討し、各工程にトライボロジー特性に影響を
与える要素がないか否かを検討・実験した結果、以下の
事実が判明した。
【0008】上述の従来技術は、磁性層から保護層まで
の形成については、真空中で一括して成膜するが、潤滑
層の塗布・形成は、保護層形成後に、大気中に媒体を暴
露し、その環境下で行っている。
【0009】すなわち、潤滑剤塗布方法としては、ディ
ッピング法(浸漬法)あるいはスピンコート法に代表さ
れる湿式法が一般的であるが、それらの手法は、媒体上
に塗布する潤滑剤を溶媒(フロン系の溶媒が比較的多く
用いられている)に希釈して後、その希釈液中に媒体を
浸漬、あるいはその希釈液を媒体上に滴下し、その溶媒
を乾燥させて潤滑層を形成するものであり、いずれも大
気中での成膜プロセスとなる。
【0010】この潤滑層の形成を大気中で行うことが、
トライボロジー特性に次のような悪影響を与えているこ
とがわかった。
【0011】すなわち、保護層形成後の媒体を大気中に
開放することにより、その保護層表面には、大気中に存
在する水分やハイドロカーボン等が不可避的に吸着する
が、それらの吸着層がHMIでのトライボロジー特性を
著しく不安定にしてしまうという問題である。その具体
例の一つとしては、それらの吸着層が潤滑剤の保護層へ
の付着強度を著しく低下させるため、ヘッドスライダー
との接触摺動中に潤滑剤の剥離が生じてその剥離部分の
滑性が損なわれるという、媒体の耐摩耗性劣化に関する
問題がある。また、これ以外にも前記の各種吸着物の中
で、特に水分などは潤滑層形成後も保護層と潤滑層の間
に中間層として存在すると、媒体の耐腐食特性をも低下
させてしまう要因となっていた。
【0012】本発明は、上述の解明結果に基づいてなさ
れたものであり、保護層とその上に形成される潤滑層と
の間に不要な吸着物等が介在しないようにすることによ
り、潤滑層の保護層への付着を確実なものとすると同時
に、耐食性低下の要因を排除し、かつ、製造工程のより
簡略化を可能にする磁気記録媒体の製造方法を提供する
ことを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明における磁気記録媒体の製造方法は、(構
成1) 真空背圧のもとでの雰囲気下において、被磁性
基体上に、少なくとも磁性層及び保護層を順次成膜した
後、この保護層の上に潤滑層を形成して磁気記録媒体を
製造する磁気記録媒体の製造方法において、前記潤滑層
の形成を、前記保護層形成後において、前記磁性層及び
保護層が形成された非磁性基体を大気にさらすことなく
行うことを特徴とした構成とし、この構成1の態様とし
て、(構成2) 構成1の磁気記録媒体の製造方法にお
いて、前記潤滑層の形成を、前記保護層形成後におい
て、前記磁性層及び保護層が形成された非磁性基体を大
気にさらすことなく、真空圧力雰囲気のもとで行うこと
を特徴とした構成とし、この構成2の態様として、(構
成3) 構成2の磁気記録媒体の製造方法において、前
記真空圧力雰囲気の真空度を、104 〜10-7Paの範
囲とすることを特徴とした構成とした。
【0014】
【作用】本発明において、構成1及び2によれば、潤滑
剤の保護層への吸着を阻害する水分その他の吸着物が保
護層上に存在する量を、大気中での場合に比べ遥かに少
なくすることができるため、潤滑剤と保護層との密着性
を飛躍的に高めることが可能となり、その効果、HMI
における高速摺動環境下でも潤滑剤が保護層から剥離す
る確率が小さくなり、良好な活性を長期間に渡って保持
できる。また、保護層と潤滑層との間に存在する水分量
が低減されるため、媒体の耐腐食性低下を防止できる。
加えて、磁性層から潤滑層形成までを一貫したプロセス
で製造することを可能にして製造工程の単純化を可能に
する。
【0015】また、構成3によれば、前記保護層まで形
成された磁気記録媒体が設置されている真空容器内の真
空度を、104 〜10-7Paとすることで、構成1で得
られる機能がより効果的に発現されることとなる。すな
わち、104 Paより低い真空度の場合、真空容器内に
吸着種となるハイドロカーボン、あるいは水分などの存
在量が多くなり、それらが潤滑層形成前の保護層表面に
吸着し、潤滑剤の保護層への密着性を劣化させてしま
う。一方、10-7Paより高い真空度では、潤滑剤の蒸
気圧よりも真空容器内の真空度が大幅に高くなり、それ
によって潤滑剤が飛散してしまうことで潤滑層形成の制
御が困難となるため、結果的にHMIでのトライボロジ
ー特性に悪影響を及ぼすこととなる。
【0016】
【実施例】以下、本発明における磁気記録媒体の製造方
法をハードディスクの製造に適用した場合を実施例1〜
12として掲げ、次に、この実施例によって製造したハ
ードディスクのトライボロジー特性と従来技術による製
造方法によって製造したハードディスクのトライボロジ
ー特性と比較した結果を示す。なお、以下の説明では、
まず、実施例1〜12に共通する手順を説明し、次い
で、各実施例で異なる部分のみを説明する。
【0017】図1ないし図3は実施例の方法を実施する
ための装置の概略構成を示す図、図5は実施例の方法に
よって製造されるハードディスクの構成を示す部分断面
図である。
【0018】この実施例の方法によって製造されるハー
ドディスクは、図5に示されるように、ガラス基板22
の表面にメカニカルテクスチャー23を施し、その上
に、下地層24、磁性層25、保護層26及び潤滑層2
7を順次形成したものである。
【0019】メカニカルテクスチャー23は、直径65
mm、厚さ0.889mmのガラス基板22にラッピン
グテープにより同心円状のメカニカルテクスチャーを施
して形成したものである。その際、ダイヤモンド砥粉タ
イプ(D#8000、平均砥粉径:1μm)のラッピン
グテープを使用し、テクスチャリング装置に取り付けた
ガラス基板22の回転速度を200rpm、テープ送り
速度を50cm/min、テープ圧力を1.0kgf/
cm2 に設定して、テクスチャー加工を行った。本テク
スチャリングによって作製した表面凹凸は、RMS(自
乗平均粗さ)で5nmであった。
【0020】メカニカルテクスチャー23の上に設けら
れる下地層24、磁性層25、保護層26及び潤滑層2
7の形成は、図1ないし図3に示されるスパッタリング
装置1によって一貫して連続的によって行われる。
【0021】このスパッタリング装置1は、RFマグネ
トロンスパッタリング装置であり、真空容器14内に
は、電子銃その他のスパッタリングに必要な装置(図示
省略)、主排気口20及び雰囲気ガス流入口21(図
3)、4つのターゲット取付部2,3,4,5等を有
し、また、この真空容器14の上部開口部を、上蓋開閉
装置19によって開閉自在とする上蓋15を有し、この
上蓋15の内側には、成膜対象たるガラス基板22を保
持する円板状のサンプルホルダー16が設けられてい
る。このサンプルホルダー16は、上蓋16に回転自在
に取り付けられており、これを回転することにより、円
板の中心からずれた位置に保持したガラス基板22を、
所望のターゲット取付部に対向する位置、すなわち、成
膜位置まで移動できるようになっている。なお、サンプ
ルホルダー16には、該サンプルホルダー16に保持し
たガラス基板22を覆ったり、その覆いを解除したりし
て成膜を制御する開閉シャッター17が設けられてい
る。
【0022】また、このスパッタリング装置1は、通常
は、主排気口20を通じて真空容器内14内を真空にし
た後、雰囲気ガス流入口21を通じて所望の雰囲気ガス
を導入して所定のガス雰囲気にし、ターゲット取付部
2,3,4,5に所望のターゲットを取り付けてこれを
順次スパッタし、サンプルホルダー16に固定したガラ
ス基板22に順次薄膜を成膜していく装置である。
【0023】本発明の方法を実施するために、ターゲッ
ト取付部2,3,4には、それぞれ下地層24を形成す
るためのCrターゲット6、磁性層25を形成するため
のCoNiCrターゲット7、保護層26を形成するた
めのCターゲット8が取り付けられるが、ターゲット取
付部5には、ターゲットの代わりに潤滑剤塗布プレート
9が取り付けられる。このターゲット取付部5は、ここ
に取り付けた潤滑剤塗布プレート9を加熱できる加熱ヒ
ータ18が設けられ、また、下地層等を成膜している間
にはこの潤滑剤塗布プレート9にプラズマが照射されな
いように潤滑剤塗布プレート9を覆うとともに、潤滑剤
塗布の際にはその覆いを解放する開閉シャッター12を
備えたプラズマ防止カバー13が設けられている。
【0024】この潤滑剤塗布プレート9(図4参照)
は、次のような方法で製作したものである。すなわち、
まず、材質がアルミノシリケート系のガラスからなる直
径101.6mm、厚さ2mmのプレート10を、純度
99.9%以上のイソプロピルアルコール(IPA)内
で20min間超音波洗浄し、プレート表面をクリーニ
ングする。次に、この洗浄後のプレート10を洗浄器よ
り取り出し、温度が24℃、湿度が10%R.H、清浄
度がクラス100の環境下で潤滑剤希釈液をそのプレー
ト10上に滴下し、希釈液中の溶媒を乾燥させて潤滑剤
塗布層11を形成する。
【0025】この場合、潤滑剤希釈溶液は、まず、潤滑
剤にPEPE(パーフルオロポリエーテル、Fombl
in AM2001)を、そしてその溶媒にHCFC
(旭ガラス製AK−225)を使用し、潤滑剤濃度を
1.0vol%(溶媒中に、潤滑剤を混入した時点での
濃度)に調整し、22℃の液温に保持しながらテフロン
製撹拌棒で3min間撹拌下後、3min間放置したも
のである。そして、前記条件での撹拌及び放置を終えた
潤滑剤希釈液をプレート10全面に8mlマイクロピペ
ットにより塗布し、温度:24℃、湿度10%R.H、
清浄度:クラス100の環境下で1min放置し、その
後60℃で5min加熱して潤滑剤希釈溶液中の溶媒を
蒸発させ、潤滑剤塗布層11を形成したものを、潤滑剤
塗布プレート9とする。
【0026】上述のスパッタリング装置によって、以下
の手順により磁気記録媒体を製造する。
【0027】まず、サンプルホルダー16にはテクスチ
ャリングまでが施されたガラス基板22を取り付け、タ
ーゲット取付部2,3,4,5には、それぞれ下地層2
4を形成するためのCrターゲット6、磁性層25を形
成するためのCoNiCrターゲット7、保護層26を
形成するためのCターゲット8、潤滑剤塗布プレート9
を取り付ける。
【0028】次に、上蓋15を閉じ、真空容器14内を
主排気口20を通じて排気し、該真空容器14内の到達
真空度(一般に、「背圧」と呼ぶ)を10-7Paにす
る。
【0029】次に、雰囲気ガス流入口21を通じて雰囲
気ガスを所定量流入させ、真空容器14内をスパッタガ
ス雰囲気にする。この実施例では、下地層24、磁性層
25のスパッタリング条件は同一とし、雰囲気ガスとし
て、純度99.9%のアルゴンガスを用い、ガス圧を5
mTorr、ガス流量を10SCCM(Ar)とし、投
入電力を100Wにして、ガラス基板22の加熱がなし
の条件で成膜を行う。
【0030】これら各膜の成膜は、サンプルホルダー1
6を回転させ、ターゲット取付部2に設置してある下地
層ターゲット6(Cr)上にガラス基板22を設置し、
開閉シャッター17を開け、ガラス基板22上に下地層
24を100nmの厚さに積層する。次いで、サンプル
ホルダー16を回転させ、同様にして該下地層24上に
磁性層25を50nmの厚さに積層する。
【0031】上記下地層24と磁性層25の成膜が終了
したら、雰囲気ガスを、純度99.9%のアルゴンガス
とCH4 ガスとの混合ガスに変えて保護層26の成膜を
行う。この場合、ガス圧を5mTorr、ガス流量を、
10SCCM(Ar)、5SCCM(CH4 )、投入電
力:100W、基板加熱なしの条件で成膜を行う。保護
層26の膜厚は20nmとする。
【0032】上記保護層26の成膜が終了したら、スパ
ッタリングの雰囲気ガスを排気して真空容器14内を所
定の真空度にし、以下に説明するような潤滑層27の形
成を行う。なお、この場合、上記真空度を種々変えたも
のが実施例1〜12、比較例1〜2として後で掲げられ
るものである。
【0033】潤滑層27の形成は、保護層26まで成膜
を完了したガラス基板22を、ターゲット取付部5に設
置されてある潤滑剤塗布プレート9の上側まで移動さ
せ、プラズマ防止カバー13に装備されている開閉シャ
ッター12を開ける。そして、加熱ヒータ18によって
潤滑剤塗布プレート9の温度を100℃まで徐々に上昇
させ、潤滑剤塗布プレート9上の潤滑剤塗布層11を蒸
発させる。そして反対側に位置しているガラス基板22
上の保護層26の上にその潤滑剤を吸着させ、平均膜厚
で2nm(エリプソメータで評価)の潤滑層27を形成
してハードディスクを得る。
【0034】上述した方法を用い、保護層26の成膜
後、潤滑層27形成前の真空容器14内の真空度を種々
変えてディスクサンプルを作成し、この真空度を背圧と
同じになる10-7Paとして作製したディスクサンプル
を実施例1とした。
【0035】同様にして、上記真空度を10-6Paとし
たものを実施例2とし、以下、同様に、10-5Paを実
施例3とし、10-4Paを実施例4とし、10-3Paを
実施例5とし、10-2Paを実施例6とし、10-1Pa
を実施例7とし、100 Paを実施例8とし、101
aを実施例9とし、102 Paを実施例10とし、10
3 Paを実施例11とし、104 Paを実施例12と
し、10-8 Paを比較例1とし(但し、潤滑層膜厚は
エリプソメータによる評価で0.5nm)、大気中に解
放し、その環境下で潤滑層27を形成したものを比較例
2とした。
【0036】なお、比較例2におけるディスクサンプル
上での潤滑層27の形成は、温度:24℃、湿度40%
R.H、清浄度:クラス100の環境下でのディッピン
グ法により、行っている。その際、まず潤滑剤にPEP
E(パーフルオロポリエーテル、Fomblin AM
2001)を、そしてその溶媒にHCFC(旭ガラス製
AK−225)を使用し、潤滑剤濃度が0.01vol
%(溶媒中に、潤滑剤を混入した時点での濃度)となる
潤滑剤希釈溶液を作製した。同潤滑剤希釈溶液は、溶液
中に潤滑剤を混入後、22℃の液温に保持し、テフロン
製撹拌棒で3min間撹拌した後、3min間放置した
ものを使用している。そして、3min間の撹拌、3m
in間の放置を終えた潤滑剤希釈液中にディスクサンプ
ルを1min間浸漬した後、1.4mm/sの引上げス
ピードで徐々に潤滑剤希釈液から引上げ、潤滑剤を保護
層26上に塗布し、平均膜厚で2nm(エリプソメータ
で評価)の潤滑層27を形成した。
【0037】次に、前記実施例及び比較例につき、連続
摺動試験を行った結果を図6に示す。本連続摺動試験
は、下記のような方法で実施している。
【0038】まず、ディスクサンプルを1.5kgfc
mの締め付けトルクで、市販の摩擦・摩耗試験器の回転
スピンドルに装着後、ヘッドスライダーの媒体に対し内
周側のエアベアリング面(ABS面)の中心が、媒体中
心より17.5mmになるようにヘッドスライダーを媒
体上に設置する。そして、ヘッドスライダーとディスク
間の相対速度を0.834m/sに設定し、両者を連続
的に摺動させ、その間歪ゲージ式の摩擦力センサーより
出力されるHMIでの摩擦力をX−Tレコーダによりモ
ニターし、その摩擦力をヘッド荷重により除した値(以
下、摩擦係数と記す)が1.0を越えたところの摺動試
験回数をディスク耐久回数と定義した。本測定に用いた
ヘッドは、IBM3370タイプのインライン型ヘッド
であり、ヘッド荷重は6.5gf、ヘッドスライダー材
質はAl2 3 ーTiCを使用している。また、本測定
は、クリーン清浄度100のクリーンルーム内で行い、
その際の室温は24℃、湿度は40%R.Hであった。
【0039】その結果、潤滑層27形成前(保護層26
の成膜後)の真空容器14内の真空度が所定の範囲内で
は高くなるほど、ディスク耐久回数が増加しており、従
来技術において作製された比較例2に比べても、優れた
摺動特性が得られている。これは、保護層形成後のディ
スクを、大気中よりも潤滑剤の吸着を阻害する吸着物の
存在量が少ない環境に保持することで、それらの吸着物
の保護層表面への吸着が低減され、結果的に潤滑剤と保
護層との密着性が高められたことによるものであり本発
明の効果を実証するものである。
【0040】但し、比較例2の結果に示されるように1
-8Pa付近の高真空度になると、潤滑剤の蒸気圧(2
×10-4Pa程度)よりも真空容器内の真空度が大幅に
高くなり、それによって潤滑剤塗布プレート上の潤滑剤
が実施例1〜8に比べて比較的早期に飛散してしまう。
そのため、潤滑層形成の制御が困難となり、保護層上に
形成される潤滑層の膜厚をある一定の厚さ以上にするこ
とが出来なくなるため、結果的にHMIでのトライボロ
ジー特性を向上させることが難しくなる。
【0041】本実施例においては、潤滑層27形成前
(保護層26の成膜後)の真空容器14内の真空度を所
定の範囲内で高くすることで、保護層への潤滑剤の吸着
を阻害する吸着物の存在裡量を低減し、ディスク耐久性
向上の効果を得ているが、それら吸着物の含有が少ない
環境下(例えば真空容器内での潤滑層形成前の環境をN
2 雰囲気とする)において潤滑層を形成しても同様の効
果が得られる。
【0042】本実施例においては、従来技術において開
示されている下地層、中間層、磁性層、保護層、そして
潤滑剤を構成する各種材料を適用することが可能であ
る。また、磁性層上に潤滑剤を直接塗布する場合におい
ても、製造技術的には何等問題はなく、その適用を排除
するものではない。
【0043】また、本実施例においては、実験用のスパ
ッタリング装置(バッチ方式)により磁気記録媒体を製
造しているが、本製造方法は実際の磁気記録媒体の生産
に用いられるような、複数枚のディスクを同時に成膜す
るような生産プロセスにおいても使用できることはいう
までもない。例えば複数枚のディスクを一枚のパレット
上に配置し、反りパレットを真空容器中で通過させなが
ら成膜を行うスパッタリング装置などにおいては、前記
実施例において使用した潤滑剤塗布プレートの大きさ、
材質、そして潤滑剤厚さなどを、パレット上に配置され
た各ディスク上に良好な潤滑層が形成できるような大き
さに調整し、かつ潤滑層の下地となる層(保護層、ある
いは磁性層など)を成膜する成膜用ターゲットの隣に配
置することで、基本的には本実施例における効果と同様
のものが得られる。
【0044】また、本実施例においては、スパッタリン
グ法により下地層から保護層までの成膜を行っており、
その装置へ潤滑層成膜プロセスを設けているが、他の真
空環境下での成膜方法、例えば真空蒸着法、各種CVD
法等とも併用できる。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明における磁
気記録媒体の製造方法は、潤滑層の形成を、保護層形成
後において、磁性層及び保護層が形成された非磁性基体
を大気にさらすことなく行うことを特徴としたものであ
り、これにより、潤滑剤の吸着を阻害する吸着物の保護
層上における存在量を、大気中での場合に比べ遥かに少
なくして潤滑剤と保護層との密着性を飛躍的に高めるこ
とを可能とし、良好な滑性を長期間に渡って保持するこ
とを可能にし、さらに、保護層と潤滑層との間に存在す
る水分量を低減して媒体の耐腐食性低下の防止を可能に
し、さらには、磁性層から潤滑層形成までを一貫して連
続した製造プロセスで作製することを可能にして工業生
産を容易にすることを可能にしたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の方法を実施するための装置の概略構成
を示す図である。
【図2】実施例の方法を実施するための装置の概略構成
を示す図である。
【図3】実施例の方法を実施するための装置の概略構成
を示す図である。
【図4】潤滑剤塗布プレートを示す図である。
【図5】実施例の方法によって製造されるハードディス
クの構成を示す部分断面図である。
【図6】実施例及び比較例のディスクの耐久回数を示す
図である。
【符号の説明】
1…スパッタリング装置、2,3,4,5…ターゲット
取付部、6…下地層ターゲット、7…磁性層ターゲッ
ト、8…保護層ターゲット、9…潤滑剤塗布プレート、
10…プレート、11…潤滑剤塗布層、12…開閉シャ
ッター、13…プラズマ防止カバー、14…真空容器、
15…上蓋、16…サンプルホルダー、17…開閉シャ
ッター、18…加熱ヒータ、19…上蓋開閉装置、20
…主排気口、1…雰囲気ガス流入口、22…ガラス基
板、23…メカニカルテクスチャー、24…下地層、2
5…磁性層、26…保護層、27…潤滑層。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空背圧のもとでの雰囲気下において、
    被磁性基体上に、少なくとも磁性層及び保護層を順次成
    膜した後、 この保護層の上に潤滑層を形成して磁気記録媒体を製造
    する磁気記録媒体の製造方法において、 前記潤滑層の形成を、前記保護層形成後において、前記
    磁性層及び保護層が形成された非磁性基体を大気にさら
    すことなく行うことを特徴とした磁気記録媒体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方
    法において、 前記潤滑層の形成を、前記保護層形成後において、前記
    磁性層及び保護層が形成された非磁性基体を大気にさら
    すことなく、真空圧力雰囲気下で行うことを特徴とした
    磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の磁気記録媒体の製造方
    法において、 前記真空圧力雰囲気の真空度を、104 〜10-7Paの
    範囲とすることを特徴とした磁気記録媒体の製造方法。
JP6271794A 1994-03-31 1994-03-31 磁気記録媒体の製造方法 Pending JPH07272268A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008269787A (ja) * 2008-07-28 2008-11-06 Canon Anelva Corp 磁気記録ディスク製造方法及び磁気記録ディスク製造装置

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