JPH0727178A - 歯付ベルトとその製造方法 - Google Patents

歯付ベルトとその製造方法

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JPH0727178A
JPH0727178A JP16721993A JP16721993A JPH0727178A JP H0727178 A JPH0727178 A JP H0727178A JP 16721993 A JP16721993 A JP 16721993A JP 16721993 A JP16721993 A JP 16721993A JP H0727178 A JPH0727178 A JP H0727178A
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belt
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Susumu Onoe
勧 尾上
Keizo Nonaka
敬三 野中
Akinori Fujiwara
章憲 藤原
Yoshihisa Nakano
嘉久 中野
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Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 歯付ベルトAの背部1と歯部2とを熱可塑性
エラストマーで形成し、上記歯部2を構成する熱可塑性
エラストマーの一部を補強帆布4生地面から通過させて
上記補強帆布4生地面を覆うことにより形成される被覆
層2aで歯先部を形成している。 【効果】 歯部の形状精度を補強帆布ではなく、熱可塑
性エラストマーによって出すことができるので、歯部の
形状精度等の優れた歯付ベルトが得られ、特に、歯部が
小ピッチで形成された歯付ベルトが安定して得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、歯付ベルト、特にO
A機器用等に使用される小型の歯付ベルト及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、OA機器用等の精密伝動用に
使用される歯付ベルトとしては、例えばゴムベルト(従
来例1)と注型ウレタンベルト(従来例2)との2種類
が広く知られている。これらのベルトは、いずれも背部
と歯部とこれらの間に埋設される心線とからなり、ただ
背部と歯部とをゴム材で形成するか、或いは注型ウレタ
ンで形成するかの点で相違している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のいず
れのベルトにも種々の不都合がある(後述の表1を参
照)。すなわち、ゴムベルトの場合では、プーリとの噛
合伝動時に歯部の摩耗によりゴム分が擦り取られ、この
ゴム分によって機器のベルト周りを黒く汚損する等、美
観上好ましくない。また、精密伝動に対応できるか否か
について考慮した場合、補強帆布を歯ゴム部に埋設する
構造であるので、歯部の形状を高い精度で出すことがで
きず、OA機器用等の精密伝動用の歯付ベルトとして好
ましいものは得られない。さらに、ゴムの物性上、リサ
イクル設計ができないばかりか、ベルト成形後に形状付
与等の後処理ができないという不具合もある。
【0004】一方、注型ウレタンゴムベルトの場合で
は、大型ベルトの場合は別として、特に小型ベルトの作
製に際して、成形機に補強帆布をセットした場合、ウレ
タンの注型時に上記補強帆布の乱れを生じ、補強帆布が
整然と埋設された良好なベルトを製造することができな
い。したがって、注型ウレタンゴムベルトで小型のもの
といえば、補強帆布がなく、しかもベルト歯底部に心体
が露出したものしか得られない。そして、このベルトを
金型から取り出すときに心線が接触して金型や心体を傷
付ける虞れがあるので、ベルトを取り出し易くするた
め、金型のキャビティ内にはノッチ凸部を形成しておか
ねばならず、金型の構造が複雑となる。また、得られる
ベルトのベルト歯底部にもノッチが存在し、その使用時
には、各ノッチ部位で多角形状に屈曲しがちであり、し
なやかで自然な屈曲性に欠ける等して、プーリとスムー
ズに噛合できない。また、この場合、特に心体としてガ
ラスコードを使用すると、型抜き時に、金型のノッチ凸
部で上記ガラスコードが摩擦損傷して強度が低下するた
め、ガラスコードを使用できない。したがって、使用す
る心体を選択しなければならないという不都合がある。
さらに、ベルト周長精度についてもアラミド繊維(登録
商標;ケブラー)でできたコードを用いると、吸湿によ
り寸法収縮が起こって噛合性が悪くなる等、ベルトの周
長精度の点で劣るという不具合がある。また、歯部表面
の摩擦係数μが高いので、使用時の騒音が大きくなる
等、低騒音性の点でも劣るばかりか、ベルト背面での搬
送機能性の点でも劣り、生産性についてもアフターキュ
アが必要となって生産性が低くなるという不具合があ
る。さらに、ゴムベルトと同様、ゴムの物性上、リサイ
クル設計ができないばかりか、ベルト成形後に形状付与
等の処理ができないという不具合もある。
【0005】この発明は上記の点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、歯付ベルトを構成する背
部と歯部とを、熱可塑性エラストマーで形成した上、歯
部における補強帆布面が上記エラストマーで被覆される
ようにすることで、主に歯部の形状精度を格段に向上さ
せ、歯付部が小ピッチで形成された小型ベルトを容易に
得られるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明では、歯付ベルトの歯部の少なくとも歯先
部表面が熱可塑性エラストマーで覆われるような構成と
した。
【0007】具体的には、請求項1の発明は、背部と該
背部に一体的に設けられた複数の歯部とこれら背部及び
各歯部の間に埋設された心体と上記歯部側に配置された
補強帆布とを備えた歯付ベルトであって、上記背部及び
歯部は熱可塑性エラストマーより成り、上記歯部の歯先
部分は上記補強帆布生地面を通過した上記熱可塑性エラ
ストマーの被覆層により形成された構成としている。
【0008】請求項2の発明では、歯先部分を被覆する
熱可塑性エラストマーの厚みは少なくとも100μ以上
であることを特徴とする構成としている。
【0009】請求項3の発明では、請求項1又は2の発
明における熱可塑性エラストマーがショアーD硬度が3
3°以上のポリアミド系熱可塑性エラストマーである構
成としている。
【0010】請求項4の発明では、請求項1ないし3の
いずれかに記載の発明における補強帆布が伸縮性織布よ
り構成され、上記織布を構成する経糸又は緯糸のうち、
少なくとも一方がポリアミド系のものである構成として
いる。
【0011】請求項5の発明では、請求項1ないし3の
いずれかに記載の発明における補強帆布が連続気泡性を
備えた不織布である構成としている。
【0012】請求項6の発明では、請求項1ないし5の
いずれかに記載の発明における心体がガラス繊維の撚糸
により形成された構成としている。
【0013】請求項7の発明では、請求項1ないし6の
いずれかに記載の発明における熱可塑性エラストマー中
に有機繊維の短繊維が分散された構成としている。
【0014】さらに、請求項8の発明では、円周方向に
所定間隔をおいて設けられ、かつ長手方向に延びるよう
に形成された複数の歯部形成用キャビティを有する円筒
状金型周面上にエンドレス状の補強帆布を被せる第1工
程と、第1工程の後で、上記補強帆布の上に心体をスパ
イラル状に巻回する第2工程と、第2工程の後で、熱可
塑性エラストマーシートを上記金型の周りに巻回する第
3工程と、第3工程の後で、上記金型内部を加熱しつ
つ、この金型の外側を加圧体で加圧する第4工程と、第
4工程の後で、熱可塑性エラストマーが固化するまで冷
却する第5工程とを備えた構成としている。
【0015】
【作用】請求項1の発明によれば、歯付ベルトの背部及
び歯部が熱可塑性エラストマーで形成され、かつ上記歯
部の歯先部分は補強帆布生地面を通過してその上を被覆
する上記熱可塑性エラストマーで形成されているので、
上記歯先部の輪郭形状、つまり歯形状精度が非常に向上
することになる。したがって、例えばOA機器用等の小
型ベルトのように、歯部が小ピッチ(0.5mm、1m
m)で形成された小型の歯付ベルトの製造が可能とな
る。しかも、上記歯先部は熱可塑性エラストマーのみな
らず、補強帆布で補強されているので、熱可塑性エラス
トマー単独で歯部が形成されている場合のように、ベル
ト温度の上昇と共に弾性率が低下し、歯部の剪断変形が
大きくなる虞れがない。したがって、歯部の変形が熱可
塑性エラストマーと補強帆布とによる相乗作用により積
極的に抑制され、高負荷伝動が可能となる。
【0016】また、請求項2の発明によれば、歯先部分
を被覆する熱可塑性エラストマーは少なくとも100μ
以上の厚みとしたので、歯形状の精度を高い精度で出す
ことが可能となる。つまり、100μ以上の厚みとした
理由は、100μ以下であると、歯形状の精度を高い精
度で出すことができないからである。
【0017】請求項3の発明では、熱可塑性エラストマ
ーとしてショアーD硬度33°以上のポリアミド系熱可
塑性エラストマーを用いるので、ベルト走行中に剪断に
よる歯の変形が生じない。つまり、ショアーD硬度33
°以上とした理由は、ショアーD硬度が32°以下であ
ると、ベルト走行中に剪断による歯の変形が生じる虞れ
が高いからである。
【0018】請求項4の発明では、補強帆布として伸縮
性織布を用い、しかも伸縮性織布を構成する経糸又は緯
糸のうち、少なくとも一方がポリアミド系繊維としてあ
るので、ポリアミド系繊維の特性である強度、弾性率及
び耐熱性がベルトの歯先部に付与される。特に熱可塑性
エラストマーとしてショアーD硬度33°以上のポリア
ミド系熱可塑性エラストマーを用いる場合には、上記伸
縮性織布のポリアミド系繊維との接着性が飛躍的に向上
する。
【0019】請求項5の発明では、補強帆布が連続気泡
性を有する不織布で構成されているので、補強帆布生地
面から熱可塑性エラストマーが通過し易く、したがっ
て、上記熱可塑性エラストマーの被覆により形成される
歯先部の形状精度が非常に向上する。
【0020】請求項6の発明では、請求項1の発明から
明らかなように、補強帆布をベルト構成上の必須部材と
しているので、心体が歯底面で露呈することがない。し
たがって、心体としてガラス繊維からなる撚糸を用いる
ことができ、寸法安定性、高弾性率の点で優れている。
【0021】請求項7の発明では、熱可塑性エラストマ
ー中に有機繊維の短繊維を分散させているので、歯部で
の摩擦係数を低下させることができる。したがって、低
騒音を図ったベルトとすることができる。
【0022】さらに、請求項8の発明では、円周方向に
所定間隔をおいて設けられ、かつ長手方向に延びるよう
に形成された複数の歯部形成用キャビティを有する円筒
状金型周面上にエンドレス状の補強帆布を被せ、その
後、上記補強帆布の上に心体をスパイラル状に巻回し、
熱可塑性エラストマーシートを上記金型の周りに巻回し
てから上記金型内部を加熱しつつ、この金型の外側を加
圧体で加圧するようにしている。したがって、まず、加
熱により溶融した熱可塑性エラストマーは加圧によって
金型のキャビティ内に充填されていくが、このときのエ
ラストマー溶融物の流動圧によって補強帆布はキャビテ
ィ内に押し込まれ、エラストマー溶融物は上記補強帆布
生地面の織目を通過してキャビティ内に充填され、隅々
まで行き渡る。この結果、歯部(特に歯先部分)の形状
精度を非常に高い精度で出すことができる。その後、熱
可塑性エラストマーが固化するまで冷却した後、上記金
型から成形物を取り外すようにしているので、製造方法
全体を通じて架橋系ゴムの一般的な成形方法により成形
できる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1はこの発明の第1実施例に係る歯付ベルトA
を示し、この歯付ベルトAは背部1と、該背部1に一体
的に設けられた複数の歯部2と、これらの間に埋設され
る心線3と、上記歯部2側を覆う補強帆布4とで構成さ
れ、各歯部2の歯先部分は、補強帆布4の生地面を歯部
2の構成材(保形エラストマー)が表面側に上記補強帆
布4面を覆う被覆層2aとされている。
【0024】具体的には、上記背部1、歯部2及び被覆
層2aは保形エラストマーとしての熱可塑性エラストマ
ーにより構成され、例えばウレタン系、ポリエステル
系、ポリアミド系、ポリオレフィン系等の殆ど全ての熱
可塑性エラストマーを使用することができ、望ましくは
噛合相手であるプーリ表面(金属又はエンジニアリング
プラスチックで形成されている)との摩擦係数μを単独
の材料で低下させ、低騒音性を実現できる材料であるポ
リアミド系のものがよい。
【0025】また、心体としては、ポリエステル、ポリ
エチレンナフタレート、ガラス、アラミド、スチール等
の撚糸や組紐が使用できるが、吸湿による寸法安定性や
高弾性率の点を考慮すると、特にガラス繊維によるもの
が望ましい。
【0026】さらに、補強帆布4としては、ベルト成形
時の圧力により熱可塑性エラストマーの溶融物が補強帆
布の組織内部を貫通(通過)する空隙(生地の織目の寸
法)と破れない強度とを備え、かつ成形加圧時に伸長は
するが、伸び過ぎて歯部表面覆ってしまわない程度の伸
びを有する布(例えば捲縮加工をした糸をベルト方向に
構成して織った伸縮性織布)を用いる。この他、若干の
伸びを有し、強度に優れる不織布も使用でき、また、平
織りした不伸縮性帆布を予め、歯部形成用キャビティが
長手方向に形成された円筒状金型の所定の歯部位置(キ
ャビティ内)まで予備的に押し入れた後、ベルトを成形
するようにしてもよいが、得られるベルトの品質、製造
性を考慮すると、伸縮性織布の使用が最も望ましい。
【0027】また、歯先部を形成する被覆層2aはその
厚みが100μ以下になると、歯形状を高い精度を出す
ことができないので、望ましくは100μ以上の厚みと
なるようにする。また、熱可塑性エラストマーの硬度も
ショアーD硬度で32°以下であると、成形後のベルト
走行中に剪断による歯の変形が生じるため、望ましくは
ショアーD硬度33°以上のものを用いる。
【0028】また、熱可塑性エラストマーとしてポリア
ミド系のものを用いる場合には、補強帆布についても伸
縮性を備え、かつ経糸もしくは緯糸のうち、少なくとも
いずれか一方をポリアミド製のものとすることで、熱可
塑性エラストマーと補強帆布との接着性が向上するよう
にするのが望ましい。
【0029】また、補強帆布として、例えば連続気泡性
を備えた不織布を用いることができるが、独立気泡性の
場合にはエラストマーの歯先部への流入が生じ難く、ベ
ルトとしての機能を発揮しないので望ましくない。
【0030】さらに望ましくは、上記熱可塑性エラスト
マーの中に有機短繊維を適量分散配合しておくことで、
歯部の摩擦係数を低下させて低騒音のベルトとすること
ができる他、熱可塑性エラストマー材料のリサイクルが
可能となるため、コスト的なメリットも大きい。
【0031】尚、図2及び図3は、いずれもこの実施例
の変形例を示し、図2に示すベルトでは、補強帆布4の
生地面を覆う被覆層2aが図1のものに比べて比較的分
厚く形成されている。また、図3のものでは、覆層2a
がさらに分厚く形成されており、このような被覆層2a
の厚さはベルト成形時の加圧条件の設定により適宜選択
できる。
【0032】次に、上記歯付ベルトAの製造方法につい
て説明すると、まず、第1工程で、円周方向に所定間隔
をおいて設けられ、かつ長手方向に延びるように形成さ
れた複数の歯部形成用キャビティを有する円筒状金型周
面上にエンドレス状の伸縮性織布等の補強帆布を被せ
る。この段階では、補強帆布が単に金型の周面上に添装
されているにすぎない。
【0033】続いて、第2工程で、上記補強帆布の上に
ガラス繊維の撚糸等の心体を金型の周面に所定ピッチで
スパイラル状に巻回する。この段階では、補強帆布の上
にキャビティ形成方向にほぼ交差する状態で心体が巻回
されているにすぎない。
【0034】そして、この後の第3工程で、所定厚の熱
可塑性エラストマーシートを上記金型の周りに巻回す
る。この段階では、金型の周面周りに補強帆布と熱可塑
性エラストマーシートとの間に心体が挟み込まれた状態
となっている。
【0035】そして、第4工程で、上記金型内部を所定
温度に加熱しつつ、この金型の外側を加圧体で周面で均
圧となるように所定圧力で加圧する。この段階では、熱
可塑性エラストマーが成形可能になるまで溶融された
後、キャビティ内に流動状態で押し込まれる。このと
き、まず始めに、流動状態にある熱可塑性エラストマー
の流動圧によって補強帆布が各キャビティ内に押し込ま
れてキャビティの内部形状に添うと略同時に、熱可塑性
エラストマーが補強帆布の織目を通過してキャビティ内
に充填され、被覆層を形成する。この際の加圧体の圧力
が大きいほど補強帆布の織目を通過してキャビティ内に
充填される熱可塑性エラストマーの流入量が多くなる。
つまり、加圧体の圧力が大きくなるほど、図1〜図3に
示すように、被覆層2aの厚みを順次、分厚くすること
ができるので、歯付ベルトとしての用途に応じて適宜加
圧体の圧力を変えておけば、上記被覆層2aの厚みを設
定することができる。但し、加圧体の加圧力があまりに
も小さければ(補強帆布の織目を通過できない程度の圧
力)、所期するところのベルトが得られないので、ベル
ト成形時の加圧条件の設定に留意が必要である。
【0036】しかる後、第5工程で、熱可塑性エラスト
マーが固化するまで冷却する。
【0037】そして、最後の第6工程で、金型から成形
物を取り外し、爾後、必要に応じてエンドレスベルトを
所定幅に裁断し、或いは背面バフする。
【0038】上記製造方法で得られた歯付ベルトは、心
体と補強帆布とを備え、かつ歯部(特に歯先部分)は金
型のキャビティ内部形状によく合致した熱可塑性エラス
トマーによる被覆層で形成されているので、歯部の形状
精度を極めてよくすることができる。したがって、歯付
部が小ピッチで形成された小型の歯付ベルトを確実かつ
安定して得ることができる。尚、この発明に係る熱可塑
性エラストマーを用いたベルトの成形方法としては、押
出成形、射出成形等の熱可塑性樹脂と同じ方法もある
が、これらは共に金型が複雑となる上に、事前に金型に
巻き付けた帆布や心線が乱れ易いことから、上記のよう
な架橋系ゴムの一般的な成形方法を使用するのが望まし
い。
【0039】最後に、上記実施例により得られた歯付ベ
ルト(本発明例)についての伝動能力性、精密伝動性、
低騒音性他、表1に記載に各試験項目についての実験結
果について示す。
【0040】表1の結果より明らかなように、ゴムベル
ト(従来例1)と注型ウレタンベルト(従来例2)に比
べ、歯部の形状精度を出せることから精密伝動に対応で
き、OA機器用等の小型の歯付ベルトとして好適する
他、全ての点で優れていることが判明した。尚、表1に
おける本発明例のものはゴム歯付ベルトと同様の製造方
式で作製したものである(但し、熱可塑性エラストマー
をベルト構成材としているので、加硫操作は不要であ
る)。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の各項に
よれば、以下に列挙するような効果がある。すなわち、
請求項1又は2の発明によれば、歯付ベルトの背部及び
歯部を熱可塑性エラストマーで形成し、かつ上記歯部の
歯先部分が上記熱可塑性エラストマーの被覆層(100
μ以上の厚み)で形成されてように構成した。要する
に、歯付ベルトの歯先部の輪郭が補強帆布ではなく、溶
融によりキャビティ内を隅々までゆきわたらせることが
できる熱可塑性エラストマーによって形成されているの
で、歯形状精度を非常に向上させることができる。した
がって、例えばOA機器用等の小型ベルトのように、歯
部が小ピッチ(0.5mm、1mm)で形成された歯付
ベルトの製造が可能となる。また、熱可塑性エラストマ
ー単独で歯部が形成されていると、ベルト温度の上昇と
共に弾性率が低下し、歯部の剪断変形が大きくなる虞れ
があるが、請求項1又は2の発明による場合には、歯部
の変形が補強効果のある補強帆布と熱可塑性エラストマ
ーとによる相乗作用により積極的に抑制されるので、高
負荷伝動が可能な歯付ベルトとなる。また、歯付ベルト
の背部及び歯部を形成する熱可塑性エラストマーは加硫
が不要であるばかりではなく、カーボン補強も不要であ
り、プーリとの噛合時に黒いゴム落ちがなく、ベルト周
りを汚損する虞れもない上、熱可塑性エラストマーの特
性上、カーボンの添加がなくとも容易に静電防止効果が
得られるという効果がある。さらに、歯底部にノッチが
存在しないので、ベルト使用時に多角形状に屈曲するこ
とがなく、しなやかで自然な屈曲状態で使用できるの
で、プーリとの噛合時に干渉音のないベルトとできる効
果がある。
【0043】請求項3の発明では、歯付ベルトの背部及
び歯部を形成する熱可塑性エラストマーとしてショアー
D硬度33°以上のポリアミド系熱可塑性エラストマー
を用いる構成とした。このことにより、背部及び歯部の
ベルト構成部分の硬度が向上し、ベルト走行中に剪断に
よる歯の変形を生じさせないという効果がある。
【0044】請求項4の発明では、補強帆布として伸縮
性織布を用い、しかも伸縮性織布を構成する経糸又は緯
糸のうち、少なくとも一方がポリアミド系繊維とする構
成とした。このことにより、ポリアミド系繊維の特性で
ある強度、弾性率及び耐熱性がベルトの歯部に付与され
る上、熱可塑性エラストマーとしてショアーD硬度33
°以上のポリアミド系熱可塑性エラストマーを用いる場
合には上記伸縮性織布のポリアミド系繊維との接着性が
向上するので、ベルト寿命を大幅に向上させることがで
きる効果がある。
【0045】請求項5の発明では、補強帆布を連続気泡
性を有する不織布で構成したことにより、補強帆布生地
面から熱可塑性エラストマーが通過し易くなり、上記熱
可塑性エラストマーの被覆層により形成される歯先部の
形状精度をより一層高めることができるという効果があ
る。
【0046】請求項6の発明では、背部及び歯部を熱可
塑性エラストマーで形成するにとどまらず、心体として
ガラス繊維からなる撚糸を用いた構成とした。すなわ
ち、請求項1〜5の発明では、補強帆布をベルト構成上
の必須部材としており、この補強帆布の存在によって心
体が歯底面で露呈することがないことから、ガラス繊維
からなる撚糸を心体として用いても摩擦損傷等の不都合
が全くないばかりか、その特性である寸法安定性、高弾
性率をベルトに付与できることから、ベルト周長精度を
向上させることができる。
【0047】また請求項7の発明では、熱可塑性エラス
トマー中に有機繊維の短繊維を分散させた構成とした。
このことにより、上記熱可塑性エラストマーで形成され
る歯部での摩擦係数を低下させることができ、プーリと
の噛合時に低騒音化が図れるという効果がある。
【0048】さらに、請求項8の発明では、歯部形成用
キャビティが長手方向に形成された円筒状金型周面上に
エンドレス状の補強帆布を被せ、その後、上記補強帆布
の上に心体をスパイラル状に巻回し、熱可塑性エラスト
マーシートを上記金型の周りに巻回してから上記金型内
部を加熱しつつ、この金型の外側を加圧体で加圧するよ
うに構成している。このことにより、加熱により溶融し
た熱可塑性エラストマーは加圧によりキャビティ内に充
填される際、補強帆布の生地面を通過してキャビティ内
の隅々まで行き渡ると同時に補強帆布をキャビティ内に
押し込むので、得られるベルトの歯部(特に歯先部分)
は補強帆布で補強され、しかもキャビティ内の隅々まで
行き渡った熱可塑性エラストマーによってキャビティ内
部形状に合致した輪郭形状を非常に高い精度で出すこと
ができる。また、補強帆布の存在により心体が外部に露
出しない構成であるため、例えば寸法安定性等に優れる
ガラス繊維の撚糸を心体として使用でき、ベルト周長精
度の向上が図れるという効果がある。また、熱可塑性エ
ラストマーを使用していることから、加硫操作が不要で
あり、製造時間の短縮が図れるのみならず、製造方法全
体を通じて架橋ゴムの一般的な成形方法により成形でき
るという効果がある。さらに、ベルト成形後の型抜き時
には、ベルト歯底部に心線が露出していないので、金型
を傷付けたり、心線が摩擦損傷する虞れがないので、金
型には型抜きを容易にするためのノッチ凸部が不要とな
り、金型構造を簡素化できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係る歯付ベルトの断面
図である。
【図2】この発明の第2実施例に係る歯付ベルトの断面
図である。
【図3】この発明の第3実施例に係る歯付ベルトの断面
図である。
【符号の説明】
A 歯付ベルト 1 背部 2 歯部 2a 被覆層 3 心線 4 補強帆布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 309:08 477:00 (72)発明者 中野 嘉久 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15号 バンドー化学株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 背部と、該背部に一体的に設けられた複
    数の歯部と、これら背部及び各歯部の間に埋設された心
    体と、上記歯部側に配置された補強帆布とを備えた歯付
    ベルトであって、 上記背部及び歯部は熱可塑性エラストマーより成り、 上記歯部の歯先部分は上記補強帆布生地面を通過した上
    記熱可塑性エラストマーの被覆層により形成されている
    ことを特徴とする歯付ベルト。
  2. 【請求項2】 歯先部分を被覆する熱可塑性エラストマ
    ーの厚みは少なくとも100μ以上であることを特徴と
    する請求項1記載の歯付ベルト。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマーがショアーD硬度
    33°以上のポリアミド系熱可塑性エラストマーである
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の歯付ベルト。
  4. 【請求項4】 補強帆布が伸縮性織布で構成され、この
    伸縮性織布を構成する経糸又は緯糸の少なくとも一方が
    ポリアミド系繊維より構成されていることを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれかに記載の歯付ベルト。
  5. 【請求項5】 補強帆布が連続気泡を有する不織布で構
    成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れかに記載の歯付ベルト。
  6. 【請求項6】 心体がガラス繊維からなる撚糸で構成さ
    れていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか
    に記載の歯付ベルト。
  7. 【請求項7】 熱可塑性エラストマー中に有機繊維の短
    繊維が分散されていることを特徴とする請求項1ないし
    6のいずれかに記載の歯付ベルト。
  8. 【請求項8】 円周方向に所定間隔をおいて設けられ、
    かつ長手方向に延びるように形成された複数の歯部形成
    用キャビティを有する円筒状金型周面上にエンドレス状
    の補強帆布を被せる第1工程と、 第1工程の後で、上記補強帆布の上に心体をスパイラル
    状に巻回する第2工程と、 第2工程の後で、熱可塑性エラストマーシートを上記金
    型の周りに巻回する第3工程と、 第3工程の後で、上記金型内部を加熱しつつ、この金型
    の外側を加圧体で加圧する第4工程と、 第4工程の後で、熱可塑性エラストマーが固化するまで
    冷却する第5工程とを備えたことを特徴とする歯付ベル
    トの製造方法。
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