JPH07269453A - 内燃機関の点火時期制御方法 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御方法

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JPH07269453A
JPH07269453A JP6057808A JP5780894A JPH07269453A JP H07269453 A JPH07269453 A JP H07269453A JP 6057808 A JP6057808 A JP 6057808A JP 5780894 A JP5780894 A JP 5780894A JP H07269453 A JPH07269453 A JP H07269453A
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JP
Japan
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ignition timing
basic
engine
correction coefficient
output
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Application number
JP6057808A
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English (en)
Inventor
Isao Takagi
功 高木
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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    • Y02T10/40Engine management systems

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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】点火時期のハンチングを抑制し、内燃機関の出
力トルクの変動を少なくする。 【構成】エンジンの排気温上昇を抑制するための過熱防
止用補正係数FOTPQ が出力増加用補正係数FOTPP よりも
大きくなって、その補正係数FOTPQ を反映した増量補正
係数FOTPにより基本噴射量が増量補正されるとき、エン
ジンの出力トルクを増大させるための出力増加用補正値
θPWR を基本点火時期θBASEに加算して点火時期θを進
角する(ステップ 318〜320)。点火時期θが到来すると
点火装置にて混合気に点火する。補正係数FOTPQ が、ノ
ッキングの発生を回避すべく基本点火時期θBASEを遅角
することによるエンジンの排気温上昇を抑制するための
遅角対応用補正係数FRTDを含み、その値FRTDが補正係数
FOTPP 以上のときには、補正値θPWR を基本点火時期θ
BASEに加算せず、同基本点火時期θBASEを点火時期θと
する(ステップ 317,321) 。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の点火時期制御
方法に係り、より詳しくは、噴射燃料の増量補正が行わ
れると点火時期を進角させるようにした内燃機関の点火
時期制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般的な内燃機関では、吸気通路
を流れる空気に燃料噴射弁から燃料が噴射されて混合気
が生成される。この混合気は、点火プラグにより点火さ
れて燃焼室で燃焼される。燃焼により生じたガスは、排
気通路の触媒で浄化された後、機関外部へ排出される。
【0003】上記内燃機関においては、燃料噴射弁から
噴射される燃料の量(噴射量)が電子制御装置によって
制御される。噴射量の決定に際しては、混合気の空燃比
(空気と燃料との比)を理論空燃比(燃料を完全燃焼さ
せるのに必要な酸素量を過不足なく含んだ混合気の空燃
比であり、ほぼ「14.7」である)とするための基本
噴射量が機関の運転状態に基づき演算される。この基本
噴射量が各種補正係数で補正されることにより、最終の
噴射量が求められる。そして、この噴射量が得られるよ
うに燃料噴射弁の作動が制御される。
【0004】上記補正係数の一つとして、内燃機関が高
負荷で運転されているときや高速で回転されているとき
に、基本噴射量を増量するための増量補正係数FOTP
がある。この補正係数FOTPを決定するために、2つ
の補正係数(出力増加用補正係数FOTPP、過熱防止
用補正係数FOTPQ)が用意されており、このうちの
大きい方の値が選択されて補正係数FOTPとされる。
【0005】より詳しくは、高負荷運転時や高速回転時
には、内燃機関に対しより大きな出力トルクが要求され
る。実験によると、出力トルクが最大となるときの空燃
比はほぼ「12.5」である。このため、高負荷運転時
や高速回転時には、空燃比を「12.5」にするために
基本噴射量が、過熱防止用補正係数FOTPQよりも大
きな出力増加用補正係数FOTPPによって増量補正さ
れる。
【0006】また、空燃比が理論空燃比よりも小さくな
る(混合気が濃くなる)と燃焼温度が低下し、それにと
もない排気ガスの温度(排気温)も低下する。従って、
補正係数FOTPPによって基本噴射量を補正すれば、
出力トルクを増大できるばかりでなく、排気系部品の過
熱をある程度抑制できる。しかし、空燃比を「12.
5」にしても、排気温が排気系部品の許容温度を越える
場合がある。このため、高負荷運転時や高速回転時であ
って排気系部品の過熱のおそれがある場合には、出力ト
ルク増大及び過熱防止の両立のために、出力増加用補正
係数FOTPPよりも大きな過熱防止用補正係数FOT
PQによって基本噴射量が増量補正されるようになって
いる。
【0007】さらに、点火プラグによる混合気の点火時
期は、電子制御装置によって制御される。この点火時期
の決定に際しては、内燃機関の回転速度と負荷とに基づ
き基本噴射時期が演算され、その値が各種補正値で補正
されることにより最終の点火時期が求められる。そし
て、この点火時間が到来すると、電子制御装置から点火
プラグに点火信号が出力されて点火が行われる。
【0008】上記補正値の一つとして出力増加用補正値
θPWR がある。より詳しくは、上記燃料噴射制御に際
し、過熱防止用補正係数FOTPQが出力増加用補正係
数FOTPPよりも大きくなったときには、その補正係
数FOTPQが増量補正係数FOTPとして用いられて
基本噴射量が増量補正される。すると、空燃比が理論空
燃比よりも小さくなり、ノッキングが発生しにくくな
る。このため、基本点火時期を出力増加用補正値θPWR
によって補正して、点火時期を進める(進角する)こと
により、内燃機関の出力トルクを増大させるようになっ
ている。このような燃料増量時に点火時期を進角させる
技術は、例えば特開昭61−108847号公報に開示
されている。
【0009】一方、内燃機関の分野においてはノック制
御が公知である。この制御では、内燃機関の燃焼室でノ
ッキングが発生すると、その強度に応じて点火時期が遅
らされる(遅角される)。ノッキングは、点火プラグに
よって着火された火炎が混合気に伝わる途中で圧力が異
常に高くなった場合に、その混合気が自己着火して一時
に燃焼してしまう現象である。ノック制御では、ノッキ
ングのない状態が続くと徐々に点火時期が進角されて、
ノック限界(ノッキングを生じ始める点火時期)まで近
づけられる。このような点火時期の調整によると、点火
時期の遅角によりノッキングの発生が抑制される反面、
排気温が上昇する問題がある。そこで、ノック制御で
は、この排気温の上昇を抑制するために、遅角対応用補
正係数FRTDが過熱防止用補正係数FOTPQに含め
られ、基本噴射量の増量補正に反映されるようになって
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したノ
ック制御と公報の技術とを組み合わせて用いると、以下
に示す問題が生ずる。
【0011】ノック制御においては、ノッキングの発生
を回避すべく基本点火時期を遅角することによる排気温
上昇を抑制するために、基本噴射量が増量補正される。
すなわち、遅角対応用補正係数FRTDを含んだ過熱防
止用補正係数FOTPQが出力増加用補正係数FOTP
Pよりも大きくなり、この補正係数FOTPQが増量補
正係数FOTPとして基本噴射量に乗算される。
【0012】また、このときには、基本点火時期が出力
増加用補正値θPWR によって補正される。この補正によ
り点火時期が進角され、それにともなって排気温が降下
する。この降下により、過熱防止用補正係数FOTPQ
が出力増加用補正係数FOTPPよりも小さくなり、基
本点火時期に対する出力増加用補正値θPWR の補正が止
められる。また、排気系部品の過熱を防止するための増
量補正がおこなわれなくなるので、燃焼室の温度が上が
り、再びノッキングが発生する。そのため、ノッキング
を抑制するための点火時期の遅角が行われる。
【0013】このように点火時期が進角されたり遅角さ
れたりして、点火時期のハンチングが発生する。そし
て、このハンチングにともない内燃機関の出力トルクが
変動し、内燃機関に不要な振動や異音が発生する。
【0014】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は点火時期のハンチングを抑制し、
そのハンチングにともなう内燃機関の出力トルクの変動
を少なくできる内燃機関の点火時期制御方法を提供する
ことにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に記載の発明は、燃料噴射弁から噴射される
燃料と空気とからなる混合気に点火するための基本点火
時期を内燃機関の運転状態に基づき算出し、該内燃機関
の排気温上昇を抑制するための排気温抑制用補正値が所
定値よりも大きくなり、かつ内燃機関の運転状態に応じ
た燃料噴射弁の基本噴射量が前記排気温抑制用補正値に
より増量補正されるとき、その増量補正に対応して、機
関出力を増大させるための出力増加用補正値により前記
基本点火時期を進角させ、その進角により決定される点
火時期が到来すると、点火装置にて前記混合気に点火す
るようにした内燃機関の点火時期制御方法であって、前
記排気温抑制用補正値が、ノッキングの発生を回避すべ
く基本点火時期を遅角することによる内燃機関の排気温
上昇を抑制するための補正値を含み、かつ該補正値が前
記所定値よりも大きいときには、前記出力増加用補正値
を用いた基本点火時期の進角量を制限するようにしてい
る。
【0016】
【作用】本発明の内燃機関の点火時期制御に際しては、
まず、内燃機関の運転状態に基づき基本点火時期が算出
される。そして、内燃機関の排気温上昇を抑制するため
の排気温抑制用補正値が所定値よりも大きくなり、その
排気温抑制用補正値によって燃料噴射弁の基本噴射量が
増量補正されるとき、基本点火時期は、機関出力を増大
させるための出力増加用補正値により進角される。その
進角により決定される点火時期が到来すると、点火装置
によって混合気に点火される。
【0017】ここで、排気温抑制用補正値が、ノッキン
グの発生を回避すべく基本点火時期を遅角することによ
る排気温上昇を抑制するための補正値を含み、その補正
値が所定値より大きい場合にも、出力増加用補正値によ
って基本点火時期が進角補正されるものと仮定する。す
ると、その進角補正により排気温が降下し、排気温抑制
用補正値による基本噴射量の増量補正が停止され、出力
増加用補正値による基本点火時期の進角補正が停止され
る。また、基本噴射量の増量補正が停止されることか
ら、ノッキングが発生しやすくなり、そのノッキングを
抑制するための基本点火時期の遅角補正が行われる。こ
のように基本点火時期が進角されたり遅角されたりす
る。
【0018】これに対し本発明では、排気温上昇を抑制
するための排気温抑制用補正値であっても、ノッキング
の発生を回避すべく基本点火時期を遅角することによる
排気温上昇を抑制するための補正値であり、しかもその
補正値が所定値より大きい場合には、出力増加用補正値
を用いた基本点火時期の進角量が制限される。換言する
と、ノッキングの発生回避を目的として基本点火時期が
遅角補正されて、排気温上昇のおそれがある場合には、
この上昇を抑制するために補正値によって基本噴射量が
増量補正されるものの、基本点火時期の進角補正が制限
される。この制限により、本来はノッキングの発生を回
避する目的で行っている基本点火時期の遅角補正が進角
補正によって損なわれることがなく、同基本点火時期が
著しく進角されることがなくなる。
【0019】このため、排気温の降下がなく、排気温抑
制用補正値による基本噴射量の増量補正が継続され、ノ
ッキングが発生しにくくなる。従って、基本点火時期の
進角及び遅角が繰り返して行われる現象(点火時期のハ
ンチング)の発生が抑制される。
【0020】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図1〜
図9に従って説明する。図1は、車両に搭載された内燃
機関としてのガソリンエンジン(以下、単にエンジンと
いう)1の概略構成図である。エンジン1のシリンダブ
ロック1aには、紙面の厚み方向へ向けて複数の気筒
(シリンダ、図では1つのみ図示)2が並設されてい
る。各シリンダ2内にはピストン3が上下方向への往復
運動可能に収容されている。ピストン3はコネクティン
グロッド4によってクランクシャフト5に連結されてい
る。
【0021】ピストン3の上方には燃焼室6が形成さ
れ、ここに吸気通路7及び排気通路8が連通している。
燃焼室6と吸気通路7との連通部分は吸気ポート9とな
っている。吸気ポート9は、シリンダヘッド1bに取付
けられた吸気弁11によって開放及び閉塞される。ま
た、燃焼室6と排気通路8との連通部分は排気ポート1
0となっている。排気ポート10は、シリンダヘッド1
bに取付けられた排気弁12によって開放及び閉塞され
る。
【0022】吸気通路7には、上流側から燃焼室6へ向
けて順に、エアクリーナ13、スロットルボディ14、
サージタンク15、吸気マニホルド16が配設されてお
り、これらを介してエンジン1の外部の空気が燃焼室6
に取り込まれる。スロットルボディ14内には、スロッ
トル弁17が軸18により一体回動可能に支持されてい
る。軸18はケーブル等によってアクセルペダル(図示
しない)に連結されている。そして、運転者によりアク
セルペダルが踏み込まれると、その踏み込み動作がケー
ブル等を介して軸18に伝達され、スロットル弁17が
軸18と一体で回動する。スロットル弁17の回動角度
に応じて吸気通路7の流路面積が変化し、その吸気通路
7を流れる空気(吸入空気)の量が調節される。サージ
タンク15は、吸入空気の脈動を平滑化させたり、気筒
間での吸気干渉を防止するためのタンクである。
【0023】吸気マニホルド16には、気筒毎の燃焼室
6に燃料を供給するための電磁式の燃料噴射弁19が取
付けられている。燃料噴射弁19はニードルバルブ、ソ
レノイドコイル等を備え、そのソレノイドコイルが通電
されることによりニードルバルブが移動して、噴射口が
開かれる。噴射口の開放にともない高圧の燃料が噴射さ
れる。そして、噴射された燃料と吸入空気とからなる混
合気は、吸気弁11の開かれる際に吸気ポート9を通じ
て燃焼室6内へ導入される。
【0024】混合気に着火するために、エンジン1には
点火装置20が設けられている。この点火装置20はイ
グナイタ21、イグニションコイル22、ディストリビ
ュータ23及び気筒毎の点火プラグ24を備えている。
【0025】イグナイタ21は外部(後記する電子制御
装置)からの点火信号に基づきイグニションコイル22
の一次側コイルへの通電を許容あるいは遮断する。一次
側コイルへの通電が遮断されると、イグニションコイル
22の二次側コイルに高圧の二次電圧が発生する。この
二次電圧は、ディストリビュータ23によって各点火プ
ラグ24に分配される。すると、点火プラグ24の電極
間に電流が流れ(放電が起こり)、火花が発生する。
【0026】この点火によって燃焼室6内の混合気が燃
焼され、ピストン3が往復運動する。この往復運動がコ
ネクティングロッド4によって回転運動に変換され、ク
ランクシャフト5が回転駆動される。燃焼によって生じ
た燃焼室6内のガス(排気ガス)は、排気弁12が開か
れる際に排気ポート10から排気通路8へ導出される。
【0027】排気通路8には、燃焼室6から下流側へ向
けて順に排気マニホルド25、触媒コンバータ26が配
設されており、これらを通じて排気ガスがエンジン1の
外部へ排出される。触媒コンバータ26は、排気ガス中
の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び酸化窒素
(NOx)を触媒27の作用で浄化させる装置である。
【0028】エンジン1の各部には、その運転状態を検
出するために、エアフロメータ28、吸気温センサ2
9、スロットルセンサ30、水温センサ31、ノックセ
ンサ32、回転速度センサ33、基準位置センサ34、
酸素センサ35等が設けられている。
【0029】エアフロメータ28は吸入空気の量を計測
するための流量計である。本実施例では、このエアフロ
メータ28として、吸入空気が通過するときに生ずる圧
力差によってメジャリングプレート(ベーン)が押し開
かれるタイプが用いられている。吸気温センサ29はエ
アフロメータ28内に取付けられており、内蔵のサーミ
スタの抵抗値の変化により吸入空気の温度変化を検出す
る。
【0030】スロットルセンサ30はスロットルボディ
14に取付けられており、スロットル弁17によって吸
気通路7が閉塞されるときアイドル信号を出力し、吸気
通路7がわずかでも開かれているとき、スロットル弁1
7の回動角度(スロットル開度)を検出する。水温セン
サ31はウォータアウトレットハウジング等に取付けら
れ、エンジン1の冷却水の温度(冷却水温)を検出す
る。
【0031】ノックセンサ32はノッキングを検出する
ためのものであり、シリンダブロック1aに取付けられ
ている。ノッキングは、点火プラグ24によって着火さ
れた火炎が混合気に伝わる途中で圧力が異常に高くなっ
た場合に、その混合気が自己着火して一時に燃焼してし
まう現象である。この場合、急激な燃焼によって生ずる
圧力上昇が燃焼室6内のガスを振動させ、その結果、シ
リンダブロック1aが所定の周波数で振動する。ノック
センサ32は、ノッキングによって生ずるシリンダブロ
ック1aの振動数とほぼ同じ共振周波数を有する振動子
と、その振動子の振動圧力を検出して電気信号(電圧)
に変換する圧電素子とを備えている。
【0032】図3には、ノックセンサ32から出力され
る信号の波形を示す。この出力信号の振幅はシリンダブ
ロック1aからノックセンサ32に伝わる振動の強度に
相当する。この図から明らかなように、圧縮上死点前の
所定の期間(t1〜t2)においては、出力信号の振幅
が小さくかつ安定している。また、圧縮上死点後の所定
の期間(t3〜t4)の期間においては、ノッキングの
発生にともない、出力信号の振幅が大きくなる。
【0033】図1に示すように、回転速度センサ33は
クランクシャフト5の回転速度(エンジン回転速度)を
検出するためのものであり、ディストリビュータ23に
内蔵されている。回転速度センサ33は、自身の外周に
多数の突起を有するタイミングロータと、その外側に配
置されたピックアップコイルとからなる。回転速度セン
サ33は、クランクシャフト5の回転にともないタイミ
ングロータ上の突起がピックアップコイルの前方を通過
する毎に、パルス状の回転速度信号を出力する。
【0034】基準位置センサ34は、特定気筒における
クランクシャフト5の回転角度(クランク角)の基準位
置(例えば圧縮上死点)を検出するためのものであり、
ディストリビュータ23に内蔵されている。クランク角
は°CA(CAはcrank angle の略称である)で表され
る。基準位置センサ34は、自身の外周に1個の突起を
有するタイミングロータと、その外側に配置されたピッ
クアップコイルとからなる。このセンサ34は、クラン
クシャフト5の回転にともないタイミングロータ上の1
個の突起がピックアップコイルの前方を通過する毎に、
パルス状の基準位置信号を出力する。
【0035】酸素センサ35は排気ガス中の酸素濃度を
検出するためのものであり、排気マニホルド25に取付
けられている。酸素センサ35はジルコニア素子に白金
をコーティングすることにより構成されており、酸素の
濃度に応じた電圧を出力する。酸素センサ35は、混合
気の空燃比が理論空燃比(ほぼ14.7)近傍となった
ときに出力電圧が急激に変化する特性を有している。こ
こで、空燃比は空気と燃料との重量比である。また、理
論空燃比は、燃料を完全燃焼させるのに必要な酸素量を
過不足なく含んだ混合気の空燃比である。
【0036】車両には、上記エアフロメータ28及び各
センサ29〜35の検出信号に基づき、燃料噴射弁19
及びイグナイタ21の各作動を制御するために、電子制
御装置(以下ECUという)36が設けられている。
【0037】図2に示すようにECU36は、中央処理
装置(以下CPUという)37、読み出し専用メモリ
(以下ROMという) 38、ランダムアクセスメモリ
(以下RAMという)39、バックアップRAM40、
外部入力回路41、外部出力回路42を備え、これらは
互いにバス43によって接続されている。ROM38
は、後記する「燃料噴射制御ルーチン」、「増量補正係
数算出ルーチン」、「点火時期算出ルーチン」等の制御
プログラムや、点火時期等の制御マップや、初期データ
を予め記憶している。CPU37はその制御プログラム
及び初期データに従って各種演算処理を実行する。RA
M39はCPU37による演算結果を一時的に記憶す
る。バックアップRAM40は、ECU36に対する電
源供給が停止された後にも、RAM39内の各種データ
を保持するためにバッテリ(図示しない)によってバッ
クアップされている。
【0038】エアフロメータ28からの吸入空気量信
号、吸気温センサ29からの吸気温度信号、スロットル
センサ30からのスロットル開度信号及びアイドル信
号、水温センサ31からの冷却水温信号、ノックセンサ
32からのノッキング信号、回転速度センサ33からの
回転速度信号、基準位置センサ34からの基準位置信
号、酸素センサ35からの酸素濃度信号は外部入力回路
41に入力される。CPU37はこれらの信号に基づ
き、吸入空気量Q、吸気温THA、スロットル開度T
A、アイドル信号、冷却水温THW、ノッキング信号、
エンジン回転速度NE、クランク角の基準位置、酸素濃
度等を検出する。
【0039】一方、CPU37は外部出力回路42を介
して燃料噴射弁19及びイグナイタ21を以下のように
して駆動制御する。図4のフローチャートはCPU37
によって実行される各処理のうち、燃料噴射弁19から
噴射される燃料の量(噴射量)を制御するためのルーチ
ンを示している。ここで、噴射量は、燃料噴射弁19の
ニードルバルブが開いている時間、すなわち、ソレノイ
ドコイルへの通電時間によって決定される。そのため、
このルーチンでは、エンジン1の運転状態に応じた基本
噴射量として基本噴射時間TPを求め、これを各種パラ
メータで補正することにより、噴射量として噴射時間T
AUを算出するようになっている。
【0040】また、図5のフローチャートは、基本噴射
時間TPの補正のための増量補正係数FOTPを算出す
るルーチンを示している。増量補正係数FOTPは、エ
ンジン1が高負荷で運転されているときや、エンジン1
のクランクシャフト5が高速で回転されているときに、
噴射量を増量補正するための係数であり、種々の係数
(出力増加用補正係数FOTPP、過熱防止用補正係数
FOTPQ、遅角対応用補正係数FRTD)によって決
定される。これらの係数のうち、補正係数FOTPQ
は、排気温上昇を抑制するための排気温抑制用補正値を
構成し、補正係数FOTPPは、補正係数FOTPQに
よって基本噴射時間TPが増加補正されるときの所定値
を構成している。また、補正係数FRTDは、ノッキン
グの発生を回避すべく基本点火時期を遅角することによ
るエンジン1の排気温上昇を抑制するための補正値を構
成している。
【0041】より詳しくは、高負荷運転時や高速回転時
には、エンジン1に対しより大きな出力トルクが要求さ
れる。出力トルクが最大となるときの空燃比はほぼ1
2.5である。また、理論空燃比は、基本的には基本噴
射時間TPによって実現される。そこで、高負荷運転時
や高回転時には空燃比を12.5にするために、過熱防
止用補正係数FOTPQよりも大きな出力増加用補正係
数FOTPPを反映した増量補正係数FOTPによって
基本噴射時間TPを補正するようになっている。なお、
この補正係数FOTPPは、スロットル開度TAが70
°未満では0であり、70°以上では一定の値(0.1
6)を採る。
【0042】また、一般に、空燃比が理論空燃比よりも
小さくなる(混合気が濃くなる)と燃焼温度が低下し、
それにともない排気ガスの温度(排気温)も低下する。
燃焼温度が下がる原因は、燃料(ガソリン)の気化熱に
よる冷却と、酸素不足による燃焼効率の低下である。従
って、上記のように出力増加用補正係数FOTPPを反
映した増量補正係数FOTPによって基本噴射時間TP
を補正すれば、出力トルクを増大できるばかりでなく、
排気系部品(排気マニホルド25、触媒27等)の過熱
をある程度抑制できる。しかし、空燃比を12.5にし
ても、排気温が触媒27等の許容温度を越える場合があ
る。このため、高負荷運転時や高回転時であって排気系
部品の過熱のおそれがある場合には、出力トルク増大及
び過熱防止のために、出力増加用補正係数FOTPPよ
りも大きな過熱防止用補正係数FOTPQを反映した増
量補正係数FOTPによって基本噴射時間TPを補正す
るようになっている。
【0043】上記過熱防止用補正係数FOTPQには遅
角対応用補正係数FRTDが含まれている。すなわち、
後述する点火時期算出ルーチンにおいては、ノッキング
が発生すると、その強度に応じて直ちに基本点火時期を
遅くし(遅角し)、ノッキングのない状態が続くと徐々
に基本点火時期を進めて(進角させて)、ノック限界
(ノッキングを生じ始める点火時期)まで近づけるよう
にしている。しかし、上記のように基本点火時期を遅角
するとノッキングの発生を抑制できる反面、排気温が上
昇する問題がある。そこで、この排気温の上昇を抑制す
るために、遅角対応用補正係数FRTDを過熱防止用補
正係数FOTPQに含め、基本噴射時間TPの補正に反
映するようになっている。
【0044】さらに、図8及び図9のフローチャート
は、点火時期θを算出するためのルーチンを示してお
り、ノッキングの発生を抑制するための処理を含んでい
る。この点火時期算出ルーチンの処理は、カウンタに基
づいて実行される。カウンタは、ノッキングが発生して
いないときの点火の回数をカウントする。このカウンタ
は、ノッキングが発生したとき、あるいはカウント値n
が所定の値、例えば「10」に達したときリセットされ
る。
【0045】まず、図4の燃料噴射制御ルーチンについ
て説明する。CPU37はまずステップ101におい
て、回転速度センサ33によるエンジン回転速度NE、
及びエアフロメータ28による吸入空気量Qをそれぞれ
読み込む。続いて、CPU37はステップ102におい
て、次式(1)に従って基本噴射時間TPを算出する。
【0046】TP=k・(Q/NE) ……(1) 上記式(1)中、kは空燃比を理論空燃比とするための
係数である。CPU37はステップ103において、次
式(2)に従って噴射時間TAUを算出する。
【0047】 TAU=TP×f×(1+FOTP) ……(2) 上記式(2)中、fは各種係数の和や積によって算出さ
れる補正係数である。各種係数としては、例えば吸気
温、暖機増量、始動後増量、空燃比のフィードバック制
御に関するもの等がある。
【0048】吸気温に関する係数は、吸気温による吸入
空気の密度の差に起因して生ずる空燃比のずれを補正す
るためのものであり、吸気温THAに基づき求められ
る。暖機増量に関する係数は、エンジン1の温度が低い
とき(冷間時)の運転性能を目的として基本噴射時間T
Pを長くするためのものであり、吸気温THAに基づき
求められる。始動後増量に関する係数は、エンジン1の
始動直後のエンジン回転速度NEを安定させるためのも
のであり、冷却水温THWに基づき求められる。
【0049】空燃比のフィードバック制御に関する係数
は、混合気の空燃比が理論空燃比に収束するように基本
噴射時間TPを補正するためのものである。この補正の
ために、CPU37は、酸素センサ35の信号により、
空燃比が理論空燃比よりも小さい(リッチ)か大きい
(リーン)かを判断する。CPU37は、リッチの場合
には基本噴射時間TPを短くし、リーンの場合には基本
噴射時間TPを長くする。
【0050】CPU37は噴射時間TAUを算出する
と、ステップ104へ移行し、その噴射時間TAUに応
じた駆動信号を外部出力回路42を介して燃料噴射弁1
9に出力し、このルーチンを一旦終了する。この信号に
応じて燃料噴射弁19のソレノイドコイルへの通電時間
が制御され、ニードルバルブが開いている時間が調整さ
れ、同噴射弁19から所望の量の燃料が噴射される。
【0051】次に、図5の増量補正係数算出ルーチンに
ついて説明する。CPU37は、まずステップ201で
エンジン回転速度NE及び吸入空気量Qをそれぞれ読み
込み、ステップ202において、両値NE,Qに基づ
き、エンジン1回転当たりの吸入空気量である負荷相当
値GNを算出する。
【0052】CPU37はステップ203で過熱防止用
補正係数FOTPQを算出する。すなわち、ROM38
には、エンジン回転速度NE及び負荷相当値GNをパラ
メータとして補正係数FOTPQを規定したマップが格
納されている。エンジン1の高負荷運転時や高回転時に
は、出力トルクの増大及び排気系部品の過熱防止がとも
に要求されることから、このマップでは、エンジン回転
速度NEが高くなるほど補正係数FOTPQが大きくな
り、負荷相当値GNが大きくなるほど補正係数FOTP
Qが大きくなるような設定がなされている。そして、C
PU37はこのマップを参照し、そのときのエンジン回
転速度NE及び負荷相当値GNに対応する過熱防止用補
正係数FOTPQを求める。
【0053】次に、CPU37はステップ204におい
て点火補正値θkiを読み込む。この点火補正値θkiは、
点火時期をノック限界に近づける際に用いられるもので
あり、図8の点火時期算出ルーチンにて求められる。
【0054】CPU37はステップ205で遅角対応用
補正係数FRTDを算出する。すなわち、ROM38に
は、図7に示すように、点火補正値θkiと遅角対応用補
正係数FRTDとの関係を規定したマップが格納されて
いる。同図から明らかなように、遅角対応用補正係数F
RTDは点火補正値θkiの増加にともない二次関数的に
増加するように設定されている。そして、CPU37は
このマップを参照し、ステップ204で読み込んだ点火
補正値θkiに対応する遅角対応用補正係数FRTDを求
める。
【0055】CPU37はステップ206において、ス
テップ203での過熱防止用補正係数FOTPQにステ
ップ205での遅角対応用補正係数FRTDを加算し、
その加算結果を新たな過熱防止用補正係数FOTPQと
して設定する。従って、この補正係数FOTPQは、排
気系部品の過熱防止のための増量に加え、ノッキング回
避を目的とした点火時期の遅角による排気温上昇を抑え
るための増量が反映されたものとなる。
【0056】CPU37はステップ207において、ス
テップ206での過熱防止用補正係数FOTPQが出力
増加用補正係数FOTPP以上であるか否かを判定す
る。この判定条件が成立している場合(FOTPQ≧F
OTPP)には、CPU37は、仮に出力増加用補正係
数FOTPPを増量補正係数FOTPとして用いると、
高い出力トルクが得られるものの、排気系部品の過熱を
防止するには不十分であると判断し、ステップ208へ
移行する。なお、ステップ207の判定条件が成立する
場合としては種々考えられるが、このなかには、遅角対
応用補正係数FRTDのみで出力増加用補正係数FOT
PP以上となる場合が含まれている。CPU37はステ
ップ208において、過熱防止用補正係数FOTPQを
増量補正係数FOTPとして設定する。
【0057】これに対し、ステップ207の判定条件が
成立していない場合(FOTPQ<FOTPP)には、
CPU37は出力増加用補正係数FOTPPを増量補正
係数FOTPとして用いれば、排気系部品の過熱を防止
しつつ高出力を得ることができると判断し、ステップ2
09へ移行する。CPU37はステップ209におい
て、出力増加用補正係数FOTPPを増量補正係数FO
TPとして設定する。
【0058】このように、ステップ207〜209で
は、2つの補正係数FOTPQ,FOTPPのうちの大
きい方が選択されて増量補正係数FOTPとされる。C
PU37は、ステップ210において、点火時期算出ル
ーチンでの処理に備え、上記した3つの補正係数FRT
D,FOTPP,FOTPをそれぞれRAM39に記憶
し、このルーチンを一旦終了する。
【0059】次に、図8及び図9の点火時期算出ルーチ
ンについて説明する。CPU37はまずステップ301
において、エンジン回転速度NE及び吸入空気量Qをそ
れぞれ読み込み、ステップ302において、両値NE,
Qに基づき負荷相当値GNを算出する。CPU37はス
テップ303で基本点火時期θBASEを算出する。すなわ
ち、ROM38には、エンジン回転速度NE及び負荷相
当値GNをパラメータとして基本点火時期θBASEを規定
したマップが格納されている。CPU37はこのマップ
を参照し、そのときのエンジン回転速度NE及び負荷相
当値GNに対応する基本点火時期θBASEを求める。
【0060】次に、CPU37はステップ304へ移行
し、ノックセンサ32の出力信号の振幅a,bをRAM
39から読み出す。振幅bは、図3に示すように圧縮上
死点前の期間t1〜t2における振幅の最大値であり、
別のルーチンにて求められてRAM39に記憶されてい
る。また、振幅aは、圧縮上死点後の期間t3〜t4に
おける振幅の最大値であり、別のルーチンにて求められ
てRAM39に記憶されている。さらに、CPU37は
前回の制御周期の処理で記憶した点火補正値θkiをRA
M39から読み出す。
【0061】CPU37はステップ305において、前
記振幅aが、定数k1 と振幅bとの積(k1b )以上であ
るか否かを判定する。ここで、k1bは、強度の小さなノ
ッキングの発生を判定するための判定値である。ステッ
プ305の判定条件が成立していると(a≧k1b)、C
PU37はノッキングが発生していると判断し、ステッ
プ306において、点火回数の計数を行うためのカウン
タのカウント値nを「0」にリセットする。
【0062】続いて、CPU37はステップ307にお
いて、前記振幅aが、定数k2 と振幅bとの積(k2b)
以上であるか否かを判定する。ここで、k2bは、強度の
大きなノッキングの発生を判定するための判定値であ
る。定数k2 は定数k1 よりも大きな値であり、例えば
2 =2k1 に設定することができる。
【0063】ステップ307の判定条件が成立している
(a≧k2b)と、CPU37は大きなノッキングが発生
していると判断し、ステップ308へ移行する。CPU
37はステップ308において、前回制御周期での点火
補正値θkiから所定角度、例えば2°CAを減算する。
また、CPU37は、その減算結果を新たな点火補正値
θkiとして設定し、次回の演算に備えてRAM39に記
憶する。そして、CPU37はステップ309におい
て、点火補正値θkiをステップ303での基本点火時期
θBASEに加算し、その加算結果を新たな基本点火時期θ
BASEとして設定する。従って、大きなノッキングが発生
しているときには、基本点火時期θBASEが遅角側へ大き
く補正される。
【0064】また、ステップ307の判定条件が成立し
ていない(a<k2b)と、CPU37は小さなノッキン
グが発生していると判断し、ステップ310へ移行す
る。CPU37はステップ310において、前回制御周
期での点火補正値θkiから、前述の大きなノッキングが
発生した場合よりも小さな所定角度、例えば1°CAを
減算する。また、CPU37は、その減算結果を新たな
点火補正値θkiとして設定し、次回の演算に備えてRA
M39に記憶し、その後、上記ステップ309の処理を
実行する。従って、基本点火時期θBASEの遅角側への補
正量は、大きなノッキングが発生しているときの補正量
よりも少なくなる。
【0065】一方、ステップ305の判定条件が成立し
ていない(a<k1b)と、CPU37はノッキングが発
生していないと判断し、ステップ311へ移行し、カウ
ンタのカウント値nが所定値、例えば「10」以上であ
るか否かを判定する。
【0066】この判定条件が成立していない(n<1
0)と、CPU37はステップ312でカウンタのカウ
ント値nを「1」インクリメントする。そして、CPU
37はステップ313において、前回制御周期での点火
補正値θkiをそのまま新たな点火補正値θkiとして設定
する。CPU37はその値θkiを次回の演算に備えてR
AM39に記憶し、その後、上記ステップ309の処理
を実行する。すなわち、ノッキングの停止後、間もない
ことから点火時期の進角も遅角も行わない。
【0067】また、ステップ311の判定条件が成立し
ている(n≧10)と、CPU37はノッキングが発生
してから相当長い期間にわたりノッキングの発生なしに
点火が行われていると判断し、ステップ314で点火回
数の計数を行うためのカウンタのカウント値nを「0」
にリセットする。CPU37は、ステップ315におい
て前回制御周期での点火補正値θkiに所定の小さな角
度、例えば1°CAを加算する。また、CPU37は、
その加算結果を新たな点火補正値θkiとして設定し、次
回の演算に備えてRAM39に記憶し、その後、上記ス
テップ309の処理を実行する。従って、ステップ30
9で求められる基本点火時期θBASEは進角側へ補正され
る。
【0068】次に、CPU37は図9のステップ316
へ移行し、増量補正係数算出ルーチンで求められた遅角
対応用補正係数FRTD、出力増加用補正係数FOTP
P、増量補正係数FOTPをそれぞれ読み込む。
【0069】CPU37はステップ317で遅角対応用
補正係数FRTDが出力増加用補正係数FOTPPより
も小さいか否か、すなわち、ノッキング回避を目的とし
た点火時期の遅角による排気温上昇を抑えるための増量
補正量が、出力トルク増大のための増量補正量よりも少
ないか否か、を判定する。この判定条件が成立している
(FRTD<FOTPP)と、次にCPU37はステッ
プ318において、増量補正係数FOTPが出力増加用
補正係数FOTPP以上であるか否かを判定する。
【0070】この判定条件が成立している(FOTP≧
FOTPP)と、CPU37は、ノッキング回避を目的
とした点火時期の遅角による排気温上昇を抑えるための
増量補正量と、通常の排気温上昇を抑えるための増量補
正量との合計が、出力トルク増大のための増量補正量よ
りも多いと判断し、ステップ319へ移行する。
【0071】ステップ319において、CPU37はR
OM38に予め格納されているマップを参照して出力増
加用補正値θPWR を求める。この補正値θPWR は、基本
噴射時間TPが過熱防止用補正係数FOTPQによって
増加補正されるとき、その補正に対応してエンジン1の
出力を増大させるために、前記基本点火時期θBASEに加
算される補正値である。図6に示すように、このマップ
にはエンジン回転速度NEの上昇にともない比例して増
大する出力増加用補正値θPWR が規定されている。CP
U37はステップ301でのエンジン回転速度NEに対
応する出力増加用補正値θPWR をこのマップを参照して
求める。
【0072】そして、CPU37は前記ステップ309
で求めた基本点火時期θBASEを進角補正するべく、同基
本点火時期θBASEに出力増加用補正値θPWR を加算し、
その加算結果を点火時期θとして設定し、このルーチン
を一旦終了する。
【0073】一方、ステップ317の判定条件が成立し
ていない(FRTD≧FOTPP)場合、あるいはその
判定条件が成立している(FRTD<FOTPP)もの
の、ステップ318の判定条件が成立していない(FO
TP≧FOTPP)場合、CPU37はステップ321
へ移行する。そして、CPU37は、ステップ309で
求めた基本点火時期θBASEをそのまま最終の点火時期θ
として設定し、このルーチンを一旦終了する。
【0074】その後、前記点火時期θが到来すると、C
PU37は外部出力回路42を介してイグナイタ21へ
点火信号を出力し、点火プラグ24の点火時期を制御す
る。上記したように、本実施例におけるエンジン1の点
火時期制御に際しては、まず、エンジン回転速度NE及
び負荷相当値GNに基づき基本点火時期θBASEが算出さ
れる(ステップ301〜303)。過熱防止用補正係数
FOTPQが出力増加用補正係数FOTPPよりも大き
くなり、その値FOTPQが反映された増量補正係数F
OTPによって基本噴射時間TPが増加補正されると
き、基本点火時期θBASEは、基本的には出力増加用補正
値θPWR によって進角される(ステップ318〜32
0)。
【0075】ここで、ノッキングの発生を回避すべく基
本点火時期θBASEを遅角することによる排気温上昇を抑
制するための基本噴射時間TPの増加補正が行われてい
る場合にも、出力増加用補正値θPWR によって基本点火
時期θBASEが進角されるものと仮定する。すると、この
進角により排気温が降下し、排気温上昇を抑制するため
の過熱防止用補正係数FOTPQによる基本噴射時間T
Pの増加補正が停止され、出力トルクを増大させるため
の出力増加用補正値θPWR による基本点火時期θBASEの
進角が停止される。また、基本噴射時間TPの増加補正
が停止されることから、ノッキングが発生しやすくな
り、そのノッキングを抑制するための基本点火時期θBA
SEの遅角が行われる。このように基本点火時期θBASEが
進角されたり遅角されたりする。
【0076】これに対し、本実施例では、ノッキングの
発生回避を目的として基本点火時期θBASEが遅角され
て、排気温上昇のおそれがある場合には、この上昇を抑
制するために過熱防止用補正係数FOTPQによって基
本噴射時間TPが増加補正されるものの、出力トルクを
増大させるための出力増加用補正値θPWR による基本点
火時期θBASEの進角は制限される。この制限により、本
来ノッキングの発生を回避する目的で行っている基本点
火時期θBASEの遅角が、進角によって損なわれることが
なく、同基本点火時期θBASEが著しく進角されることが
ない。
【0077】このため、排気温の降下がなく、排気温上
昇を抑制するための過熱防止用補正係数FOTPQによ
る基本噴射時間TPの増加補正が継続され、ノッキング
が発生しにくくなる。従って、点火時期の進角及び遅角
が繰り返して行われる現象(点火時期のハンチング)の
発生が抑制される。その結果、ハンチングにともなうエ
ンジン1の出力トルクの変動を抑制し、エンジン1の不
要な振動や異音の発生を防止できる。
【0078】なお、遅角対応用補正係数FRTDの加算
により燃焼室6内が一時的にノッキングの発生しにくい
雰囲気になるため、出力増加用補正値θPWR が加算され
ても点火時期の遅角量は減少する。
【0079】本発明は次に示す別の実施例に具体化する
ことができる。 (1)吸入空気量Qに代えて吸入通路7の圧力(吸気圧
PM)を検出し、その吸気圧PMとエンジン回転速度N
Eとにより基本点火時期θBASEを算出するようにしても
よい。このように変更しても上記実施例と同様の作用及
び効果を奏する。
【0080】(2)出力増加用補正係数FOTPPに代
わる別の値を所定値として設定する。そして、過熱防止
防止用補正係数FOTPQが所定値以上となったとき
に、この補正係数FOTPQによって基本噴射時間TP
を増加補正するとともに、出力増加用補正値θPWR を基
本点火時期θBASEに加算するようにしてもよい。このよ
うにすれば、噴射時間TAUの算出に際し、出力増加用
補正係数FOTPPによって基本噴射時間TPの補正を
行わない場合にも、本発明を適用できる。
【0081】(3)燃料噴射時間TAUの演算方法を前
記実施例以外のものに変更してもよい。例えば、吸気圧
PMとエンジン回転速度NEとから、エンジンの1サイ
クル当たりの吸入空気量を推定し、その値に基づき基本
噴射時間TPを算出するタイプ(スピードデンシティ方
式)に変更してもよい。また、スロットル開度TAとエ
ンジン回転速度NEとから、エンジンの1サイクル当た
りの吸入空気量を推定し、その値に基づき基本噴射時間
TPを算出するタイプ(スロットルスピード方式)に変
更してもよい。いずれの方法で燃料噴射時間TAUを演
算する場合にも、本発明を適用できる。
【0082】(4)ノックセンサとしては、上記実施例
で用いた共振形以外にも、ノッキングによる振動を直接
圧電素子によって検出する非共振形を用いてもよい。ま
た、点火プラグの座金部分に圧電素子を組み込み、燃焼
圧力が点火プラグを押し上げる力を検知し、その燃焼圧
力の状態からノッキングを検出するプラグ座金形のノッ
クセンサを用いてもよい。いずれのタイプのノッキング
センサを用いても、上記実施例の作用及び効果を奏す
る。
【0083】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、内
燃機関の排気温上昇を抑制するための排気温抑制用補正
値が、ノッキングの発生を回避すべく基本点火時期を遅
角することによる内燃機関の排気温上昇を抑制するため
の補正値を含み、かつその補正値が所定値よりも大きい
ときには、出力増加用補正値を用いた基本点火時期の進
角量を制限するようにしている。このため、点火時期の
ハンチングを抑制し、そのハンチングにともなう内燃機
関の出力トルクの変動を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した一実施例におけるエンジン
及びその周辺装置を示す概略構成図である。
【図2】一実施例における電子制御装置(ECU)の内
部構成等を示すブロック図である。
【図3】一実施例において、クランク角に対するノック
センサの出力電圧の変化を示す波形図である。
【図4】一実施例において、ECUの中央処理装置(C
PU)によって実行される燃料噴射制御ルーチンを説明
するフローチャートである。
【図5】一実施例において、CPUによって実行される
増量補正係数算出ルーチンを説明するフローチャートで
ある。
【図6】一実施例において、エンジン回転速度と出力増
加用補正値との関係を規定したマップを示す特性図であ
る。
【図7】一実施例において、点火補正値と遅角対応用補
正係数との関係を規定したマップを示す特性図である。
【図8】一実施例において、CPUによって実行される
点火時期算出ルーチンを説明するフローチャートであ
る。
【図9】同じく、点火時期算出ルーチンを説明するフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関としてのエンジン、19…燃料噴射弁、2
0…点火装置、TP…基本噴射量に相当する基本噴射時
間、θ…点火時期、θBASE…基本点火時期、θPWR …出
力増加用補正値、FOTPQ…排気温抑制用補正値とし
ての過熱防止用補正係数、FOTPP…所定値としての
出力増加用補正係数、FRTD…補正値としての遅角対
応用補正係数。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02D 43/00 301 H B F02P 5/15

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料噴射弁から噴射される燃料と空気と
    からなる混合気に点火するための基本点火時期を内燃機
    関の運転状態に基づき算出し、該内燃機関の排気温上昇
    を抑制するための排気温抑制用補正値が所定値よりも大
    きくなり、かつ内燃機関の運転状態に応じた燃料噴射弁
    の基本噴射量が前記排気温抑制用補正値により増量補正
    されるとき、その増量補正に対応して、機関出力を増大
    させるための出力増加用補正値により前記基本点火時期
    を進角させ、その進角により決定される点火時期が到来
    すると、点火装置にて前記混合気に点火するようにした
    内燃機関の点火時期制御方法であって、 前記排気温抑制用補正値が、ノッキングの発生を回避す
    べく基本点火時期を遅角することによる内燃機関の排気
    温上昇を抑制するための補正値を含み、かつ該補正値が
    前記所定値よりも大きいときには、前記出力増加用補正
    値を用いた基本点火時期の進角量を制限するようにした
    内燃機関の点火時期制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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