JPH07267994A - 新規蛋白質及びその製造法 - Google Patents

新規蛋白質及びその製造法

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JPH07267994A
JPH07267994A JP6085335A JP8533594A JPH07267994A JP H07267994 A JPH07267994 A JP H07267994A JP 6085335 A JP6085335 A JP 6085335A JP 8533594 A JP8533594 A JP 8533594A JP H07267994 A JPH07267994 A JP H07267994A
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JP
Japan
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protein
present
cell proliferation
proliferation activity
milk
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JP6085335A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Uchida
俊昭 内田
Isahiro Kawasaki
功博 川崎
Shunichi Dosemari
俊一 堂迫
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 次のアミノ酸配列を含有し、SDS−PAG
Eで見かけの分子量が約13kDaであり、細胞増殖活
性を示す蛋白質。 Lys−Thr−His−Arg−Lys−Gly−P
ro−X−X−Asp (Xは天然に存在する23種のアミノ酸のうちのいずれ
かを示す) ウシ尿等を陽イオン交換樹脂処理して上記蛋白質を得る
方法。 【効果】 腸管成熟促進作用、発育促進作用その他の細
胞増殖作用を有し、食品、飼料、医薬品等に利用するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細胞増殖活性を有する
新規蛋白質(サイトカイン)およびその製造法に関す
る。さらに、本発明はこの蛋白質を配合した生理活性組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】上皮細胞増殖活性を持つ物質としては上
皮細胞増殖因子(以下、EGFと略記する)、腫瘍細胞
増殖因子(以下、TGFαと略記する)〔Teixido,J.,
J.Biol.Chem., 265:6410-6415,1990〕、アンフィレギュ
リン〔Shoyab,M.,Proc.Patl.Acad.Sci.USA,85:6528-653
2,1988〕、ワクシニア増殖因子〔Strobant,P.,Cell,42:
383-393,1980〕、ショープ繊維増殖因子〔Hang,W.,Mol.
Cell.Biol.,7:535-540,1987 〕、ミクソーマ増殖因子
〔Upton,C.,J.Viol.,61:1271-1275,1987〕などが知られ
ている。この中で特にEGFは多くの研究がなされてお
り、ヒトでは乳、尿の他に、ほとんどの器官に存在する
ことが報告されている〔小口学、日本小児科学会誌、9
2:1920-1927,1988 〕。EGFの生理活性は、上皮細胞
の増殖促進効果〔Cohen, S.and Elliott,G.A.,J.inves
t.Dermatol.,40,1-5:1963〕表皮細胞の増殖促進効果〔B
arrandon,Y.,Cell,50:1131-1137,1987 〕などの細胞増
殖活性が知られている。また、ラットによる胃潰瘍治癒
促進効果〔Konturek,S.J.,Gastroenterol,81:438,1981
〕、ヒト胃潰瘍に対する臨床試験により被験者の82
%に効果が認められたとする報告〔伊藤誠、消化性潰瘍
−基礎と臨床、8:178,1989〕、ラット腎臓組織の修復作
用〔Nathaue,J. et al.,Am.J.Physiol.,263:806-811,19
92〕、ラット腸管内のラクターゼ活性低下、DNA合成
促進、カルシウムイオン輸送増加促進効果および小腸重
量の増加〔Oka,Y. et al.,Endocrinology,112:940-944,
1983〕、幼若マウス小腸のグルコアミラーゼ、アルカリ
フォスファターゼ活性の増加〔Christiane,M.and Menar
d,D.,Gastroenterology,83:28-35,1982 〕、EGFを産
生する主要な器官である顎下腺を除去した雌マウスを用
いた試験で、乳腺の未発達、乳の分泌量減少が見られた
こと〔Okamoto,S. et al.,Natl.Acad.Sci.USA,81:6059-
6063,1984 〕、マウスにおける同様な実験で、妊娠後期
に流産が多くなるが EGF投与により正常になることを示
したこと〔Tstsumi,O. et al.,Am.J.Obstet.Gynecol.,1
56:241-244,1987 〕、ウサギ胎児の肺成熟にEGFが関
与する報告〔Catterton,W. et al.,Pediatr.Res.,13:10
4-108,1979〕及び羊胎児における各上皮組織の成熟にE
GFが関与していることを示唆する報告〔Sundell,H. e
t al.,Pediatr.Res.,9:371-376,1975 〕などが知られて
いる。以上のように、EGFの生理効果は多種多様であ
ることが知られている。一方、ウシでは初乳に上皮細胞
増殖活性があること〔Browm,K.D.and Blakeley,D.M.,Br
itish Veterinary J.,139:68-78,1983〕、ウシEGF様
物質があることが示唆されて〔Byatt,J.C.,Biochem.Int
ernational,20:1179-1187,1990〕いるが、未だにはっき
りしたことは解明されていない。そこで、我々は同上の
EGFに似た作用を持つ新規な物質がウシに存在してい
る可能性が高いと考え、鋭意検討した結果、本発明を成
すに至った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は細胞増殖活性
を持つウシ由来の新規蛋白質を見出したものである。本
発明の新規蛋白質は、細胞増殖、特に、上皮、表皮及び
線維芽細胞に関わる種々の疾患の治療、予防に効果があ
る。さらに腸管成熟を促進する効果も存在し、特に、乳
幼児、幼若動物に対して発育促進効果が期待できる。本
発明の新規蛋白質は、乳、尿、血液及び臓器より得るこ
とができ、食品、飼料及び化粧品などに使用でき、また
さらに精製することで試薬、医薬品などへ使用できる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、細胞増殖活性
を有し、次の (1)〜(3) の性質を示す蛋白質(サイトカ
イン)である。 (1)Lys−Thr−His−Arg−Lys−Gly
−Pro−X−X−Aspの配列を含有し(ただし、式
中Xは、天然に存在する23種のアミノ酸のうちのいず
れかを示す)、(2) この蛋白質を5%メルカプトエタノ
ールで還元し、10%SDS存在下で20%のポリアク
リルアミドゲル電気泳動を行った時に得られる、みかけ
の分子量が約13kDaであり、(3) この蛋白質の細胞
増殖活性が上皮細胞増殖活性、線維芽細胞増殖活性及び
表皮細胞増殖活性である。本発明で使用するアミノ酸の
略号は慣用の三文字表記で示されている。また、本発明
はこの蛋白質をイオン交換樹脂を用いて分離精製する方
法に関する。
【0005】本発明で得られた蛋白質は上皮細胞増殖活
性を持つので、小腸の成熟促進効果の他、上皮、線維芽
及び表皮細胞増殖に関わる種々の器官の成熟及び疾患の
予防、治療などにも効果が期待できる。
【0006】さらに、本発明は、この蛋白質をその他の
配合成分と配合し、食品、飼料、化粧品、試薬、医薬品
などの生理活性組成物として利用することに関する。
【0007】本蛋白質の調製方法及び性質についての詳
細を以下に示す。なお、以下で用いる精製蛋白質とは純
度がSDS−PAGEにより90%以上のものを示す。
原料はウシ尿、乳、血液または腎臓、顎下腺などを使用
することができる。この中でも、尿、乳及び血液は比較
的大量に入手できるので原料とし易い。尿は特に本発明
の物質を多く含むので使用し易い。また、乳からは、初
乳、生乳、脱脂乳、チーズホエー、酸ホエーなどの乳原
料、また脱脂粉乳、ホエー粉、ホエー蛋白濃縮物(WP
C)やホエー蛋白分離物(WPI)などの粉末化原料な
どが原料として適している。血液はそのまま、あるいは
血清などから調製できる。
【0008】本研究では新規細胞増殖活性をもつ物質を
探索するために、実施例1に記載したBALB/c3T
3を用い、チミジンの取り込みを見る方法を用いて、細
胞増殖活性が認められる物質を検索した。また、抗体を
作製後はイムノブロッティングで検出を行った。
【0009】本発明の蛋白質を精製するには以下の様に
行う。原料は前もってクラリファイヤーや遠心分離機、
MF膜などで前処理を行うことが好ましい。これによ
り、原料中の不溶物を除去し、カラムへの通液を容易に
する。本発明の蛋白質は、イオン交換法、アフィニティ
ークロマト法、ゲルろ過法、逆層クロマト法、疎水クロ
マト法など通常の分離、精製法で精製できるが、イオン
交換法が特にすぐれている。具体的には、まず、陽イオ
ン交換樹脂に本発明蛋白質を吸着させる。使用できる陽
イオン交換樹脂としては、CM−トヨパール650(東
ソー社)、CM−セファロース(ファルマシア社)、C
M−セファデックス(ファルマシア社)、SP−トヨパ
ール550(東ソー社)、SP−セファロース(ファル
マシア社)、SP−セルロファイン(生化学工業社)、
S−セファシル(IBF社)、マクロプレップSサポー
ト(BIO−RAD社)、スルホン化キトパール(富士
紡績社)など特に制限なくどれでも使用できる。カラム
はpH10以下の緩衝液あるいは水で平衡化する。pH
が10を越えると本発明の蛋白質が十分吸着されない。
原料と樹脂は充填層型カラム、回転型カラム(特開平2-
138295号公報、特開平3- 83573号公報)及びバッチ式な
ど、一般に用いられる方法で吸着する。樹脂と原料の比
率は特に制限ないが、樹脂/原料が1/15(W/V)
以下がコスト及び回収率の点で好ましい。樹脂と原料と
の接触温度は特に制限はないが、プロテアーゼ、微生物
汚染などの影響を考慮して、10℃以下が好ましい。接
触時間もプロテアーゼの影響および微生物汚染などの影
響を少なくするため、20時間以内が好ましいが、特に
制限はない。原料を通液したのち、pH10以下の緩衝
液あるいは水で十分洗浄を行う。
【0010】溶出は塩濃度が0.05Mから1.1Mで
行う。0.05Mより低いと本発明の蛋白質が十分に溶
出されず1.1Mを越える塩濃度では他の不純物が多く
溶出される。pHは特に制限はないが、pH10を越え
ると蛋白質が変性する可能性があるので好ましくない。
好ましい溶出条件としては、pHが3から8で、塩濃度
が0.3Mから1Mである。
【0011】このようにして溶出した蛋白質は濃縮、脱
塩を行う。脱塩にはゲル濾過、脱塩用イオン交換樹脂、
限外濾過膜、ナノフィルトレーション用の膜、逆浸透
膜、電気透析法、透析膜などを用いて脱塩し、限外濾過
膜、ナノフィルトレーション用の膜、凍結乾燥あるいは
噴霧乾燥などにより濃縮、粉体とすることができる。得
られた本発明蛋白質画分は陰イオン交換樹脂によりさら
に濃縮する。陰イオン交換樹脂として、DEAE−トヨ
パール650(東ソー社)、DEAE−セファロース
(ファルマシア社)、DEAE−セファデックス(ファ
ルマシア社)、DEAE−セルロファイン(生化学工業
社)、QAE−トヨパール550(東ソー社)、Q−セ
ファロース(ファルマシア社)、QAE−セファシル
(IBF社)、マクロプレップQサポート(BIO−R
AD社)など特に制限なくどれでも使用できる。カラム
はpH2.0以上の緩衝液あるいは水で平衡化する。p
H2.0を下回る場合には本発明の蛋白質の吸着量が少
なくなる。使用する本発明蛋白質画分は陰イオン交換樹
脂を平衡化した緩衝液または水に溶解または置換する。
原料と樹脂は充填層型カラム、回転型カラム(特開平2-
138295号公報、特開平3- 83573号公報)及びバッチ式な
ど、一般に用いられる方法で吸着する。樹脂と原料の比
率は特に制限ないが、樹脂/原料が1/15(W/V)
以下がコスト及び回収率の点で好ましい。樹脂と原料と
の接触温度は特に制限はないが、プロテアーゼ、微生物
汚染などの影響を考慮して、10℃以下が好ましい。接
触時間もプロテアーゼの影響及び微生物汚染などの影響
を少なくするため、20時間以内が好ましいが、特に制
限はない。原料を通液したのち、pH2.0以上の緩衝
液あるいは水で十分洗浄を行う。溶出は塩濃度が0.0
5Mから1Mで行う。0.05Mより低いと本発明の蛋
白質が十分に溶出されず1Mを越えると他の不純物が多
く溶出される。pHは特に制限はないが、pH10を越
えると蛋白質が変性する可能性があるので好ましくな
い。好ましい溶出条件としては、pHが4.0から9.
0で、塩濃度が0.1Mから0.5Mである。このよう
にすると、本発明の蛋白質を濃縮することができる。こ
のように濃縮または粉体とした本発明蛋白質画分は本蛋
白質濃縮物として使用できる。
【0012】さらに精製する場合には以下の方法を用い
る。粉体の本発明蛋白質はゲル濾過カラムにより分画す
る。使用するゲル濾過用樹脂としては、バイオゲルP6
0(BIO−RAD社)、セファデクスG200(ファ
ルマシア社)、TSKgelトヨパールHW(東ソー
社)、ウルトラゲルAcA54(IBF社)などを使用
できるが、分子量分画範囲1kDaから1,000kD
aの範囲であれば使用可能である。pHは特に制限はな
く、樹脂の使用範囲内で使用する。好ましいpH範囲は
pHが2から10である。pHが2より低いと本発明の
蛋白質が変性する可能性がある。また、pH10を越え
ると同様に変性する可能性がある。溶出緩衝液及び塩濃
度共に特に制限はない。また、有機溶媒たとえばアセト
ニトリル、n−プロパノールを添加した溶液でもかまわ
ない。有機溶媒は容易に除去できるので後に本発明蛋白
質を濃縮する際に有利である。塩濃度は樹脂との非特異
的吸着を抑えるために、0.1Mから1Mで使用するこ
とが好ましい。添加する試料を溶解する溶液は特に制限
はないが、ゲル濾過カラムと同様な組成のものが好まし
い。
【0013】細胞増殖活性あるいは本発明蛋白質に対す
る抗体を用いたイムノアッセイ法などで陽性の画分(分
子量5kDaから20kDaの範囲)を分取し、上記の
方法で濃縮を行う。さらにゲル濾過により精密に分取を
行う。このためには通常のゲルろ過カラムによる分離の
他、バイオパイロット、FPLCシステム(ファルマシ
ア社)やHPLCを用いることがよい。樹脂はスーパー
ロース12または6(ファルマシア社)、TSKgel
G2000SW、TSKgelG3000SW(東ソ
ー)などが使用でき、特にゲル濾過樹脂を限定せずどれ
でも使用可能である。以上の操作は2度以上行うことが
好ましい。これにより、不純物の多くを除去できる。得
られた本発明蛋白質画分は上記の方法で濃縮、脱塩を行
う。得られた本発明蛋白質は好ましくは粉体として、逆
層クロマトグラフィーに使用する溶液に溶解する。使用
する逆層クロマトグラフィー用の樹脂は化学結合基の結
合炭素鎖がC1からC18のもの、フェニル基などを導
入したものなど通常の逆層クロマトグラフィー用樹脂が
使用できる。これには例えばTSKgel Ether
トヨパール650(東ソー社)、バイオシルODS10
(BIO−RAD社)、Inertsil C8(GC
サイエンス社)、アサヒパックGS−320HQ(昭和
電工社)、フェニルスーパーロース(ファルマシア社)
などを使用できるが特に限定するものでない。また使用
する樹脂を平衡化する溶液も広い範囲のものが使用で
き、特に限定するものではない。例えば、0.01%〜
0.5%のトリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ヘプタ
フルオロブチル酸、0.01M〜0.4Mのピリジンフ
ォルメートなどの酸を含む水溶液、または20%以下の
アセトニトリル、n−プロパノールなど、溶離液を含み
上記酸を含む水溶液、その他リン酸−リン酸ナトリウム
緩衝液(中性)などが使用可能である。また、溶離液を
添加する際には30%以下とする。20%を越えると本
発明蛋白質は十分にカラムに吸着せず、回収率が低下す
る。溶液には塩化ナトリウムなどの塩を添加することも
できる。溶離液としては通常用いられるアセトニトリ
ル、n−プロパノールなどが使用できる。溶離液による
グラジュエント溶出または段階溶出法で得られた本発明
蛋白質は有機溶媒を除去し、脱塩濃縮を行う。通常はこ
れで90%以上の純度の本発明蛋白質が得られる。純度
が低い場合には再度逆層クロマトグラフィーにより精製
する。以上の精製方法は精製度合いに応じて一部を削除
したり、同じ操作を繰り返したりしても良い。また一
部、手順の順序を変更してもかまわない。
【0014】本発明の蛋白質を粗画分として濃縮する場
合には上記の方法、すなわち陽イオン交換クロマトグラ
フィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、
逆層クロマトグラフィーの一部を用いることができる。
これらに使用する樹脂は一般に市販されているもので特
に制限はない。この他にも本発明の蛋白質を濃縮する方
法として、よく用いられる有機溶媒による分別回収、硫
安等塩類による分別回収法、限外濾過膜を用いた分子量
分画法などを用いることができる。
【0015】また、陰イオン交換樹脂あるいは陽イオン
交換樹脂を用いると効率的に濃縮画分を得ることができ
る。陰イオン交換樹脂を用いる場合には上記精製法に示
した方法と同様に行うことができる。すなわち、陰イオ
ン交換樹脂として、DEAE−トヨパール650(東ソ
ー社)、DEAE−セファロース(ファルマシア社)、
DEAE−セファデックス(ファルマシア社)、DEA
E−セルロファイン(生化学工業社)、QAE−トヨパ
ール550(東ソー社)、Q−セファロース(ファルマ
シア社)、QAE−セファシル(IBF社)、マクロプ
レップQサポート(BIO−RAD社)など特に制限な
くどれでも使用できる。カラムはpH2.0以上の緩衝
液あるいは水で平衡化する。pH2.0を下回る場合に
は本発明の蛋白質の吸着量が少なくなる。また、使用す
る原料のpHが2.0を下回る時はpHを2.0以上に
調製する。原料と樹脂は充填層型カラム、回転型カラム
(特開平2-138295号公報、特開平3- 83573号公報)及び
バッチ式など、一般に用いられる方法で吸着する。樹脂
と原料の比率は特に制限ないが、樹脂/原料が1/15
(W/V)以下がコスト及び回収率の点で好ましい。樹
脂と原料との接触温度は特に制限はないが、プロテアー
ゼ、微生物汚染などの影響を考慮して、10℃以下が好
ましい。接触時間もプロテアーゼの影響及び微生物汚染
などの影響を少なくするため、20時間以内が好ましい
が、特に制限はない。原料を通液したのち、pH2.0
以上の緩衝液あるいは水で十分洗浄を行う。溶出は塩濃
度が0.05Mから1Mで行う。0.05Mより低いと
本発明の蛋白質が十分に溶出されず1Mを越えると他の
不純物が多く溶出される。pHは特に制限はないが、p
H10を越えたりあるいはpH2より低いと蛋白質が変
性する可能性があるので好ましくない。好ましい溶出条
件としては、pHが4.0から9.0で、塩濃度が0.
1Mから0.5Mである。このようにすると、より本発
明の蛋白質を濃縮することができる。
【0016】陽イオン交換樹脂を使用する場合は本蛋白
質の精製法で示した方法とほぼ同様に行うことができ
る。すなわち、陽イオン交換樹脂としては、CM−トヨ
パール650(東ソー社)、CM−セファロース(ファ
ルマシア社)、CM−セファデックス(ファルマシア
社)、SP−トヨパール550(東ソー社)、SP−セ
ファロース(ファルマシア社)、SP−セルロファイン
(生化学工業社)、S−セファシル(IBF社)、マク
ロプレップSサポート(BIO−RAD社)、スルホン
化キトパール(富士紡績社)など特に制限なくどれでも
使用できる。カラムはpH10以下の緩衝液あるいは水
で平衡化する。pHが10を越えると本発明の蛋白質が
変性する可能性がある。原料と樹脂は充填層型カラム、
回転型カラム(特開平2-138295号公報、特開平3- 83573
号公報)及びバッチ式など一般に用いられる方法で吸着
する。樹脂と原料の比率は特に制限ないが、樹脂/原料
が1/15(W/V)以下がコスト及び回収率の点で好
ましい。樹脂と原料との接触温度は特に制限はないが、
プロテアーゼ、微生物汚染などの影響を考慮して、10
℃以下が好ましい。接触時間もプロテアーゼの影響およ
び微生物汚染などの影響を少なくするため、20時間以
内が好ましいが、特に制限はない。原料を通液したの
ち、pH10以下の緩衝液あるいは水で十分洗浄を行
う。溶出は塩濃度が0.05Mから1.1Mで行う。
0.05Mより低いと本発明の蛋白質が十分に溶出され
ず1.1Mを越えると他の不純物が多く溶出される。p
Hは特に制限はないが、pH10を越えると蛋白質が変
性する可能性があるので好ましくない。好ましい溶出条
件としては、pHが3から8で、塩濃度が0.1Mから
0.9Mである。このようにすると、より本発明の蛋白
質を濃縮することができる。以上のような本発明の濃縮
物はゲル濾過、脱塩用イオン交換樹脂、限外濾過膜、ナ
ノフィルトレーション用の膜、逆浸透膜、電気透析法、
透析膜などを用いて脱塩し、凍結乾燥あるいは噴霧乾燥
などにより粉体とすることができる。これにより本濃縮
物中に1ppm以上の本発明の蛋白質を含有させること
ができる。
【0017】本発明の蛋白質の分子量は5%メルカプト
エタノール存在下、10%SDS(W/V)を含む20
%ポリアクリルアミドゲルを用いたスラブ電気泳動によ
り、見かけ上約13kDaの分子量をもつ蛋白質である
(図1参照)。部分アミノ酸配列の決定はアプライドバ
イオシステムズ社の476Aプロテインシーケンサーを
用いた。アミノ酸配列の決定は通常の方法によりPVD
F膜に本発明蛋白質を転写後、上記プロテインシーケン
サーで決定した。これにより得られたアミノ酸配列は次
のとおりであった(配列表配列番号1)。 Lys−Thr−His−Arg−Lys−Gly−P
ro−X−X−Asp (ただし式中、Xは天然に存在する23種のアミノ酸の
うちいずれかを示す) また、本発明蛋白質はウシ乳、尿、血液及び臓器などよ
り精製されるものであるため、プロテアーゼなどで分解
されている可能性が十分考えられる。したがって、得ら
れたアミノ酸配列が必ずしもアミノ基末端にあるとは限
らずいくつかのアミノ酸が切断されている可能性があ
る。したがって、本アミノ酸配列はかならずしもアミノ
基末端にあるとは限らず、アミノ基末端以外に本アミノ
酸配列を含む蛋白質であることも考えられる。本発明で
は、アミノ基末端以外にも上記アミノ酸配列を持ち、細
胞増殖活性を示すものであれば全て本発明の蛋白質に含
まれる。
【0018】本発明蛋白質は体重1kgに対して2μg
/日以上投与することで腸管成熟の向上に効果が認めら
れる(実施例14)。本発明蛋白質の投与量は2μg/
kg/日以上の投与を行うことが望ましい。しかし、動
物種によってこの値は変動すると思われるため、これ以
下でも投与できる場合もあると考えられる。また、投与
に際しては、その他の細胞増殖活性のある物質、たとえ
ばEGF、TGFα、ラクトフェリン、IGF−1(イ
ンシュリン様増殖因子I)、NGF(神経成長因子)、
FGF(線維芽細胞成長因子)およびこれらの物質の分
解物などと併用することもできる。本発明蛋白質の濃縮
物は飲食品、化粧品、飼料などに添加し、使用する。ま
た本発明蛋白質の精製品は医薬品、化粧品、飲食品、飼
料、試薬などに使用する素材として使用される。これら
の本発明蛋白質を含有させた組成物は生理活性組成物と
して有用である。
【0019】以下実施例を上げて説明をするが、これら
は本発明を制限するものではない。
【実施例1】ウシ尿50lは、氷酢酸によりpHを3.
0になるように調整する。次に、陽イオン交換樹脂BI
O−REX70(BIO−RAD社)を1kg添加し、
4℃で一晩攪拌しながら接触させた。吸着後、BIO−
REX70は充填層型カラム(10cm×13cm)に
充填し、30mM塩酸水溶液で十分洗浄し、1M酢酸ア
ンモニウム溶液(pH8.0)で吸着物を溶出した。得
られた溶出物は分子量分画1000の透析膜(スペクト
ラム メディカル インダストリー社)により4℃で二
晩、脱イオン水で透析した。透析膜中の溶液を凍結乾燥
し、約1.9gの粉末を得た。粉末は0.5M塩化ナト
リウムを含む0.05Mイミダゾール塩酸緩衝液(pH
6.0)に溶解し、同緩衝液で平衡化したバイオゲルP
−10(BIO−RAD社)を充填したカラム(0.8
cm×90cm)に2mlを添加した。流速は2ml/
時で行った。本クロマトグラフィーで得られた溶出パタ
ーンでは5つの主なピークが認められ、このうち細胞増
殖活性の強かった第3番目のピークを分取した。得られ
た画分は脱イオン水に対して透析し、凍結乾燥した。こ
の試料は500μlの0.1%トリフルオロ酢酸を含む
50%アセトニトリル溶液に溶解し、0.1%トリフル
オロ酢酸を含む50%アセトニトリル溶液で平衡化した
TSKgelG3000PW(東ソー社)に50μl添
加し、分画した。これによりさらに7ピークが得られ
た。得られたピークの中で細胞増殖活性の特に強く認め
られたピーク3および4(リテンションタイム40〜5
0分)を分取し、再度TSKgelG3000PWによ
り精製した。細胞増殖活性の強かったピーク4(リテン
ションタイム50分)を分取し、アセトニトリルを除去
し、凍結乾燥を行った。さらに0.2%トリフルオロ酢
酸を含む水で平衡化したTSKgel Etherトヨ
パール650(東ソー社)、凍結乾燥粉末を200μl
の0.2%トリフルオロ酢酸を含む水に溶解したものを
50μl添加した。得られた画分はアセトニトリルを除
去した後、凍結乾燥し、上皮細胞増殖活性の測定を行っ
た。凍結乾燥品は100μlのリン酸緩衝液(pH7.
4)に溶解し、第3番目のピークを1μl培地に添加し
たところ、ネガティブコントロールの3.9倍量のチミ
ジン取り込みの増加が検出された。この画分を20%の
SDS−PAGEゲル(テフコ社)を用いて電気泳動を
行ったところ、分子量約13kDaにバンドが検出され
た。この他に特にバンドは認められず電気泳動的に単一
であった。本蛋白質のアミノ酸配列の決定には476A
プロテインシーケンサー(アプライドバイオシステムズ
社)を用いた。アミノ基末端の配列は配列表配列番号1
に示されるように次の通りであった。 Lys−Thr−His−Arg−Lys−Gly−P
ro−X−X−Asp (Xは天然に存在する23種のアミノ酸のうちのいずれ
かを示す)
【0020】
【実施例2】ウシ初乳20lを遠心分離機により脱脂し
た。次にpH4.6に塩酸を用いて調整し、カゼインを
除去しウシ初乳ホエーを作製した。陽イオン交換樹脂S
P−セファロースFF(ファルマシア社)を500g充
填したカラム(7×18cm)に、ウシ初乳ホエーを流
速30ml/分で4℃にて一晩通液した。0.1M塩化
ナトリウムを含む50mMの酢酸−酢酸ナトリウム緩衝
液(pH5.5)でカラムを洗浄し、0.5M塩化ナト
リウムを含む同緩衝液で吸着物を溶出した。得られた溶
出物は透析膜により4℃で二晩、脱イオン水で透析し
た。これを凍結乾燥し、約9gの粉末を得た。粉末は
0.05Mイミダゾール塩酸緩衝液(pH6.0)40
0mlに溶解し、同緩衝液で平衡化した60gのDEA
E−セファロース(ファルマシア社)を充填したカラム
(4cm×6cm)に7ml/分で添加した。同緩衝液
で洗浄した後、0.6M塩化ナトリウムを含む同緩衝液
によりグラジュエント溶出を行い、0.22Mに溶出し
てくる画分を分取した。得られた画分は脱イオン水に対
して透析し、凍結乾燥し、0.8gの粉末を得た。粉末
は6mlの0.5m塩化ナトリウムを含む0.05M酢
酸緩衝液(pH4.0)に溶解し、同緩衝液で平衡化し
たセファデックスG75(ファルマシア社)を充填した
カラム(0.8cm×90cm)に2mlを添加した。
流速は3ml/時で行った。得られた本発明の蛋白質は
透析膜で脱イオン水に対して透析し、凍結乾燥した。こ
の試料は1mlの0.1%トリフルオロ酢酸を含む50
%アセトニトリル溶液に溶解し、0.1%トリフルオロ
酢酸を含む50%アセトニトリル溶液で平衡化したTS
KgelG2000PW(東ソー社)に50μl添加
し、分画した。得られたピークのうちリテンションタイ
ムが40〜50分で溶出したものを分取し、再度TSK
gelG2000PWにより精製した。同様に本発明の
蛋白質を分取し、アセトニトリルを除去し、凍結乾燥を
行った。さらに0.1Mトリエチルアンモニウムフォス
フェートを含む水で平衡化したフェニルスーパーロース
(ファルマシア社)に凍結乾燥粉末を400μlの0.
1%ヘプタフルオロブチル酸を含む水に溶解したものを
50μl添加した。溶離液としてn−プロパノールを用
い、グラジュエント溶出を行った。得られた本発明の蛋
白質はn−プロパノールを除去した後、凍結乾燥した。
凍結乾燥品は100μlのリン酸緩衝液(pH7.4)
に溶解し、1μl培地に添加したところ、ネガティブコ
ントロールの2.5倍量のチミジン取り込みの増加が検
出された。この画分を4〜20%のSDS−PAGEゲ
ル(テフコ社)を用いて電気泳動を行ったところ、分子
量約13kDaにバンドが検出された。この他に特にバ
ンドは認められず電気泳動的に単一であった。この蛋白
質のN末端のアミノ酸配列を分析したところ、配列番号
1に示したアミノ酸配列と同一であった。
【0021】
【実施例3】ウシ血清10lは、陽イオン交換樹脂スル
ホン化キトパール(富士紡績社)を500g添加し、4
℃で一晩撹拌しながら接触させた。吸着後、スルホン化
キトパールは充填層型カラムに充填し、100mM炭酸
水素ナトリウム水溶液で十分洗浄し、0.4M塩化ナト
リウムを含む同水溶液で吸着物を溶出した。得られた溶
出物は分画分子量1kDaの限外濾過膜(ミリポア社)
により濃縮、脱塩後、凍結乾燥し、約1gの粉末を得
た。粉末は20mlの0.5M塩化ナトリウムを含む
0.05Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に溶解し、
同緩衝液で平衡化したウルトラゲルAcA54(IBF
社)を充填したカラム(2.0cm×90cm)に5m
lを添加した。流速は3ml/時で行った。本クロマト
グラフィーで得られた溶出パターンでは6つの主なピー
クが認められ、このうち細胞増殖活性の強かった第4番
目のピークを分取した。得られた画分は脱イオン水に対
して透析し、凍結乾燥した。この試料は100μlの
0.2M塩化ナトリウムを含む酢酸緩衝液(pH4.
0)に溶解し、同NaClを含む同緩衝液で平衡化したスー
パーロース12(ファルマシア社)に50μlずつ添加
した。溶出した本発明蛋白質画分は分画分子量5kDa
のモルカットII(ミリポア社)で濃縮し、脱イオン水に
対して透析した後、0.3Mになるようにピリジンフォ
ルメートを添加した。さらに0.3Mピリジンフォルメ
ート水溶液で平衡化したInertsil C8(GL
サイエンス社)に試料を30μl添加した。さらに40
%アセトニトリル水溶液を溶離液として本発明蛋白質を
溶出した。得られた画分はアセトニトリルを除去した
後、超純水に対して透析し、凍結乾燥した。凍結乾燥品
は100μlのリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解し、
Intestin407を用いた細胞増殖活性測定系に
本発明蛋白質1μlを添加したところ、ネガティブコン
トロールの1.8倍量のチミジン取り込みの増加が検出
された。この画分を20%のSDS−PAGEゲル(テ
フコ社)を用いて電気泳動を行ったところ、分子量約1
3kDaにバンドが検出された。この他に特にバンドは
認められず電気泳動的に単一であった。
【0022】
【実施例4】未殺菌チーズホエー1,000l(pH
6.1)を、脱イオン水で充分洗浄したスルホン化キト
パール(富士紡績社)2,500gを充填した回転型カ
ラム(直径65cm×長さ120cm)に、5℃、1.
5l/分で通液した。さらに脱イオン水で十分に洗浄
後、0.2M塩化ナトリウムを溶解した脱イオン水で吸
着した蛋白質を溶出した。得られた溶液は分子量分画約
13kDaの限外濾過膜UF10(アドバンテック社)
で濃縮、脱塩し、凍結乾燥を行った。この結果、105
gの本発明の蛋白質濃縮物を得た。イムノブロッティン
グにより検出を行った結果から、本発明蛋白質が11p
pm含有されていた。
【0023】
【実施例5】ウシ血清10lをpH7.5に水酸化ナト
リウムを用いて調整し、10mMトリス塩酸緩衝液(p
H7.5)で平衡化した200gのQ−セファロースF
F(ファルマシア社)を充填したカラム(5cm×10
cm)に4℃、15ml/分で通液した。10mMトリ
ス塩酸緩衝液(pH7.5)で充分洗浄した後、0.4
M塩化カリウムを含む同緩衝液で吸着蛋白質を溶出し
た。溶液は脱塩用イオン交換樹脂(アンバーライトMB
3、オルガノ社)を用いて脱塩し、次いで凍結乾燥を行
った。得られた粉末中の本発明蛋白質の濃度は29pp
mであった。
【0024】
【実施例6】酢酸を添加しpHを4.5としたウシ尿
1,000lに50mM酢酸緩衝液(pH4.5)で平
衡化した2,000gのCM−トヨパール650(東ソ
ー社)を混合し、4℃、一晩バッチ法で吸着した。樹脂
は吸引濾過により回収し、カラム(15cm×12c
m)に充填した。50mM酢酸緩衝液(pH4.5)で
十分に洗浄した後、0.6M塩化ナトリウムを含む同緩
衝液で蛋白質を溶出した。得られた蛋白質は分画分子量
5,000の限外濾過膜(ミリポア社)で濃縮、脱塩
し、凍結乾燥した。これより31gの凍結乾燥粉末を
得、イムノブロッティングにより、90ppm濃度の本
発明蛋白質を得た。
【0025】
【実施例7】ホエー蛋白分離物(WPI)200gを4
0lの脱イオン水に溶解し(pH5.9) 、10mMク
エン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で平
衡化した2,000gのマクロプレップDEAEサポー
ト(BIO−RAD社)を充填したカラム(15cm×
12cm)に4℃、450ml/分で通液した。10m
Mクエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)
で十分洗浄した後、0.2M塩化ナトリウムを含む同緩
衝液で吸着蛋白質を溶出した。溶液は電気透析法を用い
て脱塩し、次いで凍結乾燥を行った。これにより20g
の粉末が得られ、粉末中の本発明蛋白質の濃度は16p
pmであった。
【0026】
【実施例8】実施例6で得られた濃縮物を精製するため
に以下の操作を行った。得られた濃縮物30gを600
mlの10mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.5)
に溶解した。この試料を10mM酢酸アンモニウム緩衝
液(pH5.5)で平衡化した600gのQAE−トヨ
パール550(東ソー社)を充填したカラム(5cm×
30cm)に4℃で流速20ml/分で通液した。同緩
衝液で十分洗浄を行い、1M酢酸アンモニウム緩衝液
(pH5.5)でグラジュエント溶出を行った。イムノ
ブロッティングで反応した画分(酢酸アンモニウム濃度
が約0.3M)を分取し、限外濾過膜により濃縮5ml
まで濃縮した。次に、10mM酢酸緩衝液(pH3.
0)で平衡化したP−10(BIO−RAD社)を充填
したカラム(1cm×90cm)に2mlの試料を添加
し、4℃で、流速2ml/分でゲル濾過を行った。得ら
れた溶出画分のうち、イムノブロッティングで反応の認
められた画分を脱イオン水に対して透析し、凍結乾燥し
た。これにより、100mgの粉末を得た。次に0.1
%トリフルオロ酢酸を含む60%アセトニトリル溶液1
mlに粉末を溶解し、同溶液で平衡化したTSKgel
G3000PW(東ソー社)に100μl添加し、分画
した。これにより得られたピークの中でイムノブロッテ
ィングで反応の認められたメインピークを分取し、再度
TSKgelG3000PWにより精製した。イムノブ
ロッティングで反応のあるピーク(リテンションタイム
10分)を分取し、アセトニトリルを除去し、凍結乾燥
を行った。さらに0.25Mトリエチルアンモニウムフ
ォスフェートを含む超純水で平衡化したTSKgel
Octyl−80T(東ソー社)に凍結乾燥粉末を20
0μlの0.25Mトリエチルアンモニウムフォスフェ
ートを含む超純水に溶解したものを50μl添加した。
溶離液はn−プロパノールを用いた。イムノブロッティ
ングで反応が認められたピークを分取し、凍結乾燥し
た。この結果SDS−PAGEで純度96%の本発明蛋
白質18mgが得られた。
【0027】
【実施例9】BALB/c3T3を用いた細胞増殖活性
の測定培養上皮ガン細胞株(BALB/c3T3)を9
6穴の平底細胞培養プレートに分注し、0.3%ウシ血
清を含むα−MEM(Flow Laboratori
es社製)で18時間培養した。なお、培養に際して
は、培地100μlに対し、終濃度150ng/mlの
実施例1で調製した精製本発明蛋白質を添加した。培養
後、トリチウムでラベルしたチミジンを添加し、2時間
後に細胞に取り込まれたチミジンの放射活性を測定する
ことにより細胞増殖活性を求めた。結果を表1に示す。
【0028】
【実施例10】ヒト腸管上皮細胞(Intestin4
07)及びヒト表皮癌細胞(A431)を用いて増殖活
性を実施例4に従い測定した。この結果を表1に示す。
試料は終濃度150ng/mlの精製した本発明蛋白質
を用いて行った。
【0029】
【表1】 *(本発明蛋白質を添加しない場合を1として相対値を
示した。)
【0030】
【実施例11】 本発明蛋白質に対する抗体の作製 雌ウサギ(白色和種)に通常の方法により免疫を行い本
発明蛋白質の抗体を作製した。すなわち、4週令のウサ
ギに200μgの精製蛋白質を完全アジュバントと混合
し、背部に皮下注射した。1週間後、さらに200μg
を生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)に溶解し、静
脈注射を行った。この操作を4回繰り返し、この間にウ
サギ耳より40ml採血を3回行った。最後に全採血を
行い総量140mlの血清を得た。これをプロテインG
セファロース(ファルマシア社)を充填したカラムに通
液し、10mMリン酸緩衝液(pH7.4)で洗浄後、
0.5M塩化ナトリウムを含む10mM酢酸緩衝液(p
H3.5)で吸着した抗体を溶出した。得られた抗体は
10mMリン酸緩衝液(pH7.4)で透析し、凍結乾
燥した。この結果、26mgの本発明蛋白質に対する抗
体を得た。
【0031】
【実施例12】 イムノブロッティングによる本発明蛋白質の検出 ニトロセルロース膜(0.2μm、BIO−RAD社)
に50μlから200μlの試料を添加し、ニトロセル
ロース膜に蛋白質を固定した。脱イオン水で軽く洗浄
後、1/4に希釈したブロックエース(大日本製薬社)
に2時間浸漬し、ブロッキングを行った。続いて、実施
例6で作製した本発明蛋白質に対する抗体を5μg/m
lの濃度になるように1/10希釈したブロックエース
(大日本製薬社)で調製した。溶解した抗体とニトロセ
ルロース膜を1時間室温下で反応させた。次に、0.0
1%Tween20を含む50mMリン酸緩衝液(pH
7.4)で10分間3回洗浄した。さらに1/10希釈
したブロックエース(大日本製薬社)でパーオキシダー
ゼ標識したヤギ抗ウサギIgG抗体(TAGO社)を1
/1000に希釈し、ニトロセルロース膜と室温下1時
間反応させた。0.01%Tween20を含む50m
Mリン酸緩衝液(pH7.4)で10分間6回洗浄した
後、コニカイムノステインHRP(コニカ社)で発色し
た。
【0032】
【実施例13】実施例8で得られた濃縮物2mgを50
μlの10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、
トリプシン(シグマ社)を20μg添加されるように加
えた。37℃、1時間反応を行った後、90℃、10分
間加熱処理を行い反応を停止した。これを凍結乾燥し
た。
【0033】
【実施例14】実施例8より得られた本発明蛋白質を用
いて生後16日で離乳したウィスター系ラットを用いて
腸管内酵素の活性変化を検討した。一群3匹として、5
日間強制投与を行い効果を見た。A群は本発明蛋白質を
投与しなかった群、B群は本発明蛋白質0.1μg/日
を強制投与した群、C群は本発明蛋白質を10μg/日
を強制投与した群、D群は本発明蛋白質分解物(実施例
9)10μg/日を投与したものを作製した。なお、こ
の試験ではカゼイン20重量%、セルロース5重量%、
コーンスターチ15重量%、シュークロース45重量
%、ビタミン類1重量%、ミネラル類3.5重量%、重
酒石酸コリン0.2重量%、DL−メチオニン0.3重
量%及び大豆油10重量%に調製した食餌を投与した。
水は自由摂取とした。酵素活性は以下のとおり測定し
た。ラット小腸を開き、粘膜をカバーガラスでかき取っ
た。これをホモジュナイズし、生理食塩水を加え、0.
5g/10ml程度になるように調製し試料とした。
【0034】小腸粘膜の蛋白質量はプロテインアッセイ
キット(ピアス社)を用いた。酵素活性は試料50μl
と基質(0.056Mシュークロース、ラクトースまた
はマルトース)50μlを混合し、37℃、30分間イ
ンキュベートした。このうち20μlを取り、グルコー
ス測定用キット(和光純薬社)で発色により測定した。
開始及び終了時のシュークラーゼ、マルターゼ及びラク
ターゼの酵素活性の変化を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】以上の結果から、C群及びD群では小腸の
未成熟中に多く見られるラクターゼは減少し、小腸の成
熟とともに活性が増加するといわれているシュークラー
ゼおよびマルターゼの活性〔Buts J.P. et al.,Digesti
ve Diseases and Sciences.38.1091-1098.1993〕はコン
トロール群(A群)よりも明らかに増加していることが
わかった。D群でも活性が認められることから、分解物
にも作用はあると考えられた。また、B群でもややC及
びD群と同様な傾向が見られるので僅かながら効果があ
ると考えられた。このことから、本発明蛋白質は腸管成
熟を促進する物質であることが示された。
【0037】
【実施例15】脱脂乳598g、ホエー粉95g、実施
例4で得た本発明濃縮物10g、植物油59g、ビタミ
ン・ミネラル類2.5g、ウシラクトフェリン500m
g、ヒトEGF50μgを配合して乳児用の発育促進効
果を付与した育児用粉乳765gを製造した。
【0038】
【実施例16】脱脂粉乳60g、実施例7で調製した本
発明蛋白濃縮物14g、脂肪17.2g、グルコース
5.0g、ビタミン・ミネラル類2.5gを配合して幼
若動物用の配合試料を製造した。
【0039】
【発明の効果】本発明の蛋白質は新規な上皮細胞増殖活
性を持つ蛋白質であり、腸管の成熟など、細胞増殖作用
に関わる生理効果を提供できるものである。本蛋白質は
ウシ乳あるいは尿中より分離できるので、大量に供給が
可能であり、医薬品、飲食品、飼料、化粧品などに使用
できる。
【0040】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:10 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリアルクリルアミドゲル電気泳動による本発
明の蛋白質のパターンを示す。
【符号の説明】
レーン1:マーカー レーン2:本発明の蛋白質

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞増殖活性を示し、次の性質を示す蛋
    白質; 1)Lys−Thr−His−Arg−Lys−Gly−
    Pro−X−X−Asp (Xは天然に存在する23種のアミノ酸のうちのいずれ
    かを示す)で示されるアミノ酸配列をその分子内に有す
    る。 2)5%メルカプトエタノールで還元し、10%SDS
    (W/V)存在下で、20%ポリアクリルアミドゲル電
    気泳動を行った際のみかけの分子量が約13kDaであ
    る。
  2. 【請求項2】 細胞増殖活性が上皮細胞増殖活性、線維
    芽細胞増殖活性または表皮細胞増殖活性である請求項1
    記載の蛋白質。
  3. 【請求項3】 Lys−Thr−His−Arg−Ly
    s−Gly−Pro−X−X−Asp (Xは天然に存在する23種のアミノ酸のうちのいずれ
    かを示す)で示されるアミノ酸配列がN末端に存在する
    請求項1記載の蛋白質。
  4. 【請求項4】 ウシの尿、乳、血液あるいは臓器由来の
    請求項1記載の蛋白質。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の蛋白質を含有する材料を
    pH10以下で陽イオン交換樹脂に吸着させ、塩濃度
    0.05〜1.1Mの溶出液で溶出させ、細胞増殖活性
    を示す画分を採取することを特徴とする請求項1記載の
    細胞増殖活性を示す蛋白質の製造法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の蛋白質を含有する材料を
    pH2〜10で陰イオン交換樹脂に吸着させ、塩濃度
    0.05〜1Mの溶出液で溶出させ、細胞増殖活性を示
    す画分を採取することを特徴とする請求項1記載の細胞
    増殖活性を示す蛋白質の製造法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の細胞増殖活性を示す蛋白
    質を含む生理活性組成物。
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