JPH07267958A - 2−[1−(置換チオ)ビニルチオ−カルバペネム化合物 - Google Patents

2−[1−(置換チオ)ビニルチオ−カルバペネム化合物

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JPH07267958A
JPH07267958A JP6079321A JP7932194A JPH07267958A JP H07267958 A JPH07267958 A JP H07267958A JP 6079321 A JP6079321 A JP 6079321A JP 7932194 A JP7932194 A JP 7932194A JP H07267958 A JPH07267958 A JP H07267958A
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thio
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Sei Tamai
聖 玉井
Chisato Sato
千里 佐藤
Toshio Kumagai
年夫 熊谷
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Pfizer Japan Inc
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Lederle Japan Ltd
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強力な抗菌活性を示し、しかも、β−ラクタ
マーゼ及び腎デヒドロペプチダーゼに対する優れた耐性
を有する化合物、並びに該化合物を有効成分として含有
することを特徴とする抗菌剤の提供。 【構成】 式(I) 【化1】 で示される2−[1−(置換チオ)ビニル]チオ−カル
バペネム化合物およびその薬理学的に許容し得る塩、並
びに当該化合物を有効成分として含有する経口投与用抗
菌剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なカルバペネム系化
合物に関し、更に詳細には、十分な抗菌活性と経口吸収
性を有する新規カルバペネム化合物、および該化合物を
有効成分とした経口投与においても有用な抗菌剤を提供
するものである。
【0002】
【従来の技術】これまでいわゆるカルバペネム骨格を有
する多くの化合物が見出され、その中から優れた抗菌活
性を有するいくつかの化合物が抗菌剤として実用化さ
れ、あるいは実用化のための開発が進められている。例
えば、特開平1−25779号公報には、下式(A):
【0003】
【化2】
【0004】で示される化合物が記載されている。この
化合物は幅広い抗菌スペクトルと強力な抗菌活性を有
し、しかも従来のカルバペネム系抗生物質の欠点とされ
ていた腎デヒドロペプチダーゼに対する不安定性を克服
したものであり、安定化剤等を併用することなく単独で
投与することが可能であるという優れた特徴を有する。
そのため、当該化合物は臨床上極めて有用な抗菌剤とな
ることが期待され、実用化のための開発が進められてい
る。
【0005】しかしながら、上記式(A)の化合物を含
めてこれまでに提案されているカルバペネム化合物のほ
とんどは、消化管からの吸収が乏しいため、臨床上注射
剤として静脈内投与することが考えられているに過ぎな
い。
【0006】一方、臨床の場においては治療目的や患者
の事情等から、薬物の投与に際していくつかの投与経路
を選択し得ることが望ましい。特に、経口剤は注射剤に
比べて投与が容易かつ簡便であり、在宅投与が可能であ
るという点で好ましく、臨床上の有用性は極めて高い。
そのため、幅広い抗菌スペクトルと強力な抗菌活性を有
し、かつ経口投与が可能なカルバペネム化合物の開発が
臨床上強く望まれている。
【0007】なお、経口投与において有用なカルバペネ
ム化合物を提供するものとして、下式(B):
【0008】
【化3】
【0009】で示される化合物を記載する先行技術(特
開平4−282383号公報)があるが、当該先行技術
の記載は、本発明が提供する特徴的な2位置換基を有し
かつ薬理学的に優れた特性を持つ本発明の化合物につい
て、何ら示唆を与えるものではない。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の状
況に鑑みて、経口投与が可能なカルバペネム化合物につ
いて鋭意検討した結果、今回、2位に[1−(置換チ
オ)ビニル]チオ基が導入されたカルバペネム化合物が
強力な抗菌活性を有し、しかも経口吸収性が優れている
ことを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成する
に至った。
【0011】かくして、本発明は下式(I):
【0012】
【化4】
【0013】式中、(1) R1 は低級アルキル基、シクロ
アルキル基、シクロアルケニル基もしくはフェニル基を
表し、R2 は水素原子を表す;または、(2) R1 及びR
2 は一緒になって低級アルキレンもしくは低級アルケニ
レンを表し、硫黄原子を環原子として含有する4〜7員
環を構成する;で示される新規な2−[1−(置換チ
オ)ビニル]チオ−カルバペネム化合物及びその薬理学
的に許容される塩、並びに、該化合物を有効成分とし経
口投与においても有用な抗菌剤を提供するものである。
【0014】以下に本発明の化合物について更に詳細に
説明するが、本明細書中において、「低級」なる語はこ
の語が付された基または化合物の炭素原子数が1〜7
個、好ましくは1〜4個であることを意味する。
【0015】「低級アルキル基」は直鎖状または分枝鎖
状のいずれでもよく、例えばメチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec
−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペン
チル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチル、イ
ソヘプチル等が挙げられるが、好ましくはメチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブ
チル、sec−ブチル、tert−ブチルである。
【0016】「シクロアルキル基」はシクロブチル、シ
クロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチル等で
ある。
【0017】「シクロアルケニル基」はシクロブテニ
ル、シクロペンテニル又はシクロヘキセニル等である。
【0018】「低級アルキレン基」はメチレン、エチレ
ン、プロピレン又はブチレン等である。
【0019】「低級アルケニレン基」はビニレン、プロ
ペニレン、1,3−ブタジエニレン等である。
【0020】本発明により提供される式(I)の化合物
の内、好ましいものの具体例を挙げれば、下記表1及び
表2に示すとおりである。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】なお、本発明には式(I)の化合物の薬理
学的に許容される塩も包含され、このような塩として
は、例えば上記表に示した化合物のナトリウム塩、カリ
ウム塩等が挙げられる。
【0024】本発明の式(I)の化合物は、例えば、模
式的に示した下記反応式に従って合成することができ
る。
【0025】
【化5】
【0026】式中、Ra はアシル基を表し、R’はカル
ボキシル保護基を表し、R1 及びR 2 は前記定義のとお
りである。
【0027】上記Ra によって示される「アシル基」と
しては、単に有機カルボン酸のカルボキシル基からOH
基を除いた残りの原子団のみならず、広義に、有機スル
ホン酸や有機リン酸から誘導されるアシル基が包含さ
れ、具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル等の
低級アルカノイル基;メタンスルホニル、トリフルオロ
メタンスルホニル基等の(ハロ)低級アルキルスルホニ
ル基;ベンゼンスルホニル、p−ニトロベンゼンスルホ
ニル、p−ブロモベンゼンスルホニル、トルエンスルホ
ニル、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニ
ル等の置換もしくは未置換のアリールスルホニル基;ジ
フェニルホスホリル基等が挙げられる。
【0028】また、R’によって示される「カルボキシ
ル保護基」としてはエステル残基を例示することがで
き、かかるエステル残基としては、例えばメチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−、iso−、t
ert−ブチル、n−ヘキシルエステル等の低級アルキ
ルエステル残基;アリルエステル残基;ベンジル、p−
ニトロベンジル、o−ニトロベンジル、m−ニトロベン
ジル、2,4−ジニトロベンジル、p−クロロベンジ
ル、p−ブロモベンジル、p−メトキシベンジル等のア
ラルキルエステル残基;アセトキシメチル、アセトキシ
エチル、プロピオニルオキシメチル、n−、iso−ブ
チリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル等の低級
脂肪族アシルオキシメチル残基等が挙げられる。
【0029】上記反応式において、式(II)の化合物
と式(III)で示される[1−(置換チオ)ビニル]
チオールとの反応は、例えば、式(II)の化合物を、
テトラヒドロフラン、ジクロルメタン、ジオキサン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニ
トリル、ヘキサメチルホスホラミド等の適当な溶媒中
で、約0.5〜約5倍モル量、好ましくは約0.8〜約
3倍モル量の式(III)の化合物と、好ましくは炭酸
水素ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジ
イソプロピルエチルアミンなどの塩基、またはジイソプ
ロピルアミンとn−ブチルリチウムとから要時調製され
るリチウムジイソプロピルアミドの存在下に、約−78
〜約0℃の温度で約30分〜約24時間反応させること
により行うことができる。
【0030】反応は、不活性ガス、例えば窒素ガスまた
はアルゴンガス気流中で行うことが好ましい。
【0031】この反応により式(IV)の化合物が得ら
れ、反応液はそのまま次の工程で用いることができる
が、必要に応じて、反応液を通常行われる精製手段、例
えばろ過、デカンテーション、抽出、洗浄、溶媒留去、
カラム又は薄層クロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇
華等に付すことにより、式(IV)の化合物を単離精製
することもできる。
【0032】なお、上記反応の原料化合物である式(I
II)の化合物として、チオール化合物の互変異性体で
あるチオケトン体を用いても、上記と同様にして式(I
V)の化合物を得ることができる。
【0033】上記の反応により得られる式(IV)の化
合物は、次いで、カルボキシル保護基R’を脱離せしめ
ることにより式(I)の化合物に誘導することができ
る。
【0034】カルボキシル保護基R’の脱離は、ソルボ
リシス又は水素添加分解のようなそれ自体既知の脱保護
基反応により行うことができるが、具体的には、式(I
V)の化合物を、例えば、pH5.5の酢酸緩衝液、p
H5.5のモルホリノプロパンスルホン酸−水酸化ナト
リウム緩衝液、pH5.5のリン酸塩緩衝液、リン酸二
カリウム、重炭酸ナトリウム等を含むテトラヒドロフラ
ン−水、テトラヒドロフラン−エタノール−水、ジオキ
サン−水、ジオキサン−エタノール−水、n−ブタノー
ル−水等の混合溶媒中で、約1〜約4気圧の水素を用
い、酸化白金、パラジウム−活性炭、水酸化パラジウム
−活性炭などの水添触媒の存在下に、約0〜約50℃の
範囲内の温度で約0.25〜約5時間処理することによ
り行うことができる。
【0035】また、保護基R’の脱離は、緩衝液中亜鉛
で処理することにより実施することもできる。例えば、
式(IV)の化合物をpH5〜7の緩衝液、例えばリン
酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、モルホリノプ
ロパンスルホン酸緩衝液、N−メチルモルホリン酸緩衝
液中にて亜鉛で処理することにより行うことができる。
使用し得る亜鉛としては、例えば亜鉛粉末、華状亜鉛、
顆粒亜鉛が挙げられ、その使用量は特に限定されない
が、一般には式(IV)の化合物1重量部に対し約1〜
約10重量部、好ましくは約1〜約5重量部の範囲内と
することができる。また、本脱離反応においては、必要
に応じ、有機溶媒を併用してもよく、そのような溶媒と
しては、エタノール、プロパノール、n−ブタノールな
どのアルコール系溶媒;ジエチルエタノール、テトラヒ
ドロフランなどのエーテル系溶媒;アセトニトリル、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げら
れる。反応は、通常、約−20〜約50℃、好ましくは
室温〜約30℃の温度で、約5分間〜約5時間程度処理
することにより完了させることができる。
【0036】かくして、本発明の目的化合物である式
(I)の2−[1−(置換チオ)ビニル]チオ−カルバ
ペネム化合物を高収率で得ることができ、該化合物は、
必要に応じてイオン交換樹脂または高分子吸着樹脂を用
いて精製することにより、高純度で単離することができ
る。
【0037】また、本発明の目的化合物である式(I)
の化合物は、適当な溶媒中で例えば水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物で処理するこ
とにより、容易に薬理学的に許容しうる塩に変換するこ
とができる。
【0038】以上に述べた製造方法において出発原料と
して使用される前記式(II)の化合物はそれ自体既知
のものであり、例えば特開昭56−123985号公報
に記載の方法によって製造することができ、あるいは好
適には、特開昭63−284176号公報に記載の方法
により高立体選択的に製造することもできる。
【0039】また、上記式(III)の化合物は、それ
自体既知の化合物であって容易に入手可能であり、ある
いは市販の化合物から容易に製造することができる。
【0040】上記の方法によって得られる本発明の化合
物(I)は広い菌種に対して十分な抗菌活性を示し、し
かも経口投与による消化管吸収性が優れている。本発明
化合物のかかる特性は、以下の抗菌試験、薬理試験及び
毒性試験の結果により立証することができる。
【0041】[抗菌試験] 1.試験方法 日本化学療法学会標準法[Chemothrapy, vol29,76
〜79(1981)]に準じた寒天平板希釈法による。
すなわち、被検菌のMueller-Hinton(MH)寒天液体培
地上での37℃、一夜培養液を約106cells/ml になる
ようにBufferedsaline gelatin (BSG)溶液で希釈
し、ミクロプランターを用い試験化合物含有MH寒天培
地に約5μl接種し、37℃で18時間培養後、被検菌
の発育が認められない最小濃度をもってMinimum inhibi
tory concentration(MIC)とした。
【0042】ここで、使用菌株は標準菌株を用いた。
【0043】なお、試験化合物としては後記実施例記載
の化合物(4)、(7)、(11)及び(14)を用い
た。
【0044】2.結果 結果を下記表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】上記の結果から、本発明のカルバペネム化
合物は幅広い菌種に対して優れた抗菌力を有することが
確認された。
【0047】[薬理試験] I in situ ループ法による腸管吸収試験 1.試験方法 一夜絶食したWister系7週齢雄性ラットの十二指
腸下部約30cmの部位を糸で縛る。十二指腸上部から
試験化合物(20mg/kg)を0.2%生理食塩水溶
液として胃ゾンデを用いて注入した後、注入部位直下を
糸で縛り直ちに腸腔内に戻す。試験化合物注入後10、
30、60及び120分経過後に、頸静脈から約0.4
ml採血して、この血漿中の試験化合物の濃度をHPL
C法(日立635A型、カラム;Wakopack)に
より測定した。また、この測定値から、注入後2時間の
試験化合物のAUC(血中濃度曲線下面積)を求めた。
ラットは2匹用い、試験化合物としては後記実施例で製
造された本発明の化合物(11)を用いた。
【0048】2.結果 本試験で得られた試験化合物の最高血中濃度及びAUC
を下記表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】以上の結果を見れば、本発明の化合物の腸
管からの吸収が良好であることが明らかである。
【0051】II 経口投与試験 1.試験方法 一夜絶食した被験動物に、試験化合物を胃ゾンデを用い
て経口投与する。試験化合物投与後0.25、0.5、
1、2及び3時間経過後に、頸静脈から約0.4ml採
血して上記試験と同様の方法で試験化合物の濃度を測定
した。また、この測定値から、投与後一定時間の試験化
合物のAUCを求めた。被験動物としてはWister
系7週齢雄性ラット、およびddY系5週齢雄性マウス
を各試験化合物毎に2匹用い、ラットには0.5%生理
食塩水溶液として20mg/kg、マウスには1%生理
食塩水溶液として100mg/kgの試験化合物をそれ
ぞれ投与した。試験化合物としては後記実施例で製造さ
れた本発明の化合物(4)、(7)、(11)及び(1
4)を用いた。
【0052】2.結果 本試験で得られた各化合物の最高血中濃度及びAUCを
下記表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】以上の結果を見れば、in vivoの経
口投与においても、本発明の化合物の消化管からの吸収
が良好であることが明らかである。
【0055】[毒性試験]体重20〜23gのCrjC
D(SD)系雄性マウスを10匹使用し、後記実施例に
記載の本発明のカルバペネム化合物(4)、(7)、
(11)並びに(14)の各水溶液を皮下投与し、1週
間にわたる観察を行った。その結果、本発明のいずれの
化合物も500mg/kgの投与ですべて異常なく生存
したことが観察された。
【0056】以上のとおり、本発明によって提供される
式(I)のカルバペネム化合物は、幅広い菌種に対して
優れた抗菌活性を示し、かつ高い安全性を有する化合物
であるが、そればかりではなく、経口投与により消化管
からの吸収性が極めて優れている。したがって、本発明
の式(I)で示される化合物は注射剤としてはもちろん
のこと、経口剤としても、種々の病原菌による細菌感染
症の治療、予防等のための有用な抗菌剤となることが期
待される。
【0057】式(I)の化合物またはその薬理学的に許
容し得る塩は、これを抗菌剤として使用するに際して、
その抗菌的有効量を含有する薬剤学的組成物の形で人間
をはじめとする哺乳動物に投与することができる。その
投与量は処置すべき患者の年齢、体重、症状、薬剤の投
与形態、医師の診断等に応じて広い範囲にわたり変える
ことができるが、一般に、成人に対しては1日当たり約
200〜約3,000mgの範囲内の用量が標準的であ
り、通常これを1日1回または数回に分けて経口的、非
経口的または局所的に投与することができる。
【0058】しかして、上記の薬剤学的組成物は、医
薬、特に抗生物質の製剤において慣用されている無機も
しくは有機の固体または液体の製剤用担体または希釈
剤、例えば、でんぷん、乳糖、白糖、結晶セルロース、
リン酸水素カルシウム等の賦形剤;アカシア、ヒドロキ
シプロピルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビ
ニルピロリドン等の結合剤;ステアリン酸、ステアリン
酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、水
添植物油等の滑沢剤;加工でんぷん、カルシウムカルボ
キシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセル
ロース等の崩壊剤;非イオン性界面活性剤、アニオン性
界面活性剤等の溶解補助剤等と共に、経口的、非経口的
または局所的投与に適した剤形に製剤化することができ
る。
【0059】経口投与に適した剤形には、錠剤、コーテ
ィング剤、カプセル剤、トローチ剤、散剤、細粒剤、顆
粒剤、ドライシロップ剤等の固体製剤、あるいはシロッ
プ剤等の液体製剤が挙げられ、非経口投与に適した剤形
としては、例えば注射剤、点滴剤、坐剤等が包含され
る。また、局所投与に適した剤形には軟膏、チンキ、ク
リーム、ゲル等が挙げられる。これらの製剤は製剤学の
分野でそれ自体周知の方法で調製することができる。
【0060】
【実施例】次に、実施例及び製剤例により本発明のカル
バペネム化合物の製造についてさらに詳細に説明する
が、本発明が以下の記載によって何ら限定されるもので
ないことはいうまでもない。
【0061】なお、以下の記載中の各記号は、下記の意
味を有する。
【0062】 Me :メチル Et :エチル Ph :フェニル PNB:p−ニトロベンジル
【0063】実施例1
【0064】
【化6】
【0065】ジイソプロピルアミン535mgを含む無
水テトラヒドロフラン溶液5mlに0°C窒素気流下で
1.63M n−BuLiのn−ヘキサン溶液を10分
間かけて滴下し、その後0°Cで30分間攪拌してLD
A溶液を調製する。この溶液を−78°Cに冷却し、γ
−チオブチロラクトン−1−チオン(2)625mgの
無水テトラヒドロフラン溶液5mlを10分間かけて滴
下した後、同温度で45分間攪拌する。一方、p−ニト
ロベンジル (1R,5S,6S)−2−(ジフェニル
ホスホリルオキシ)−6−[(R)−ヒドロキシエチ
ル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボキ
シレート(1)3.15gの無水テトラヒドロフラン溶
液15mlを−78°Cに冷却しておき、カニューレを
通じて上記反応液中に10分間かけて滴下する。反応液
を−78°Cで1時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウ
ム水溶液100mlを加え、酢酸エチルで抽出する。有
機層を飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を留去し得られる残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶出溶媒:クロロホルム)に付して、p−
ニトロベンジル (1R,5S,6S)−2−(4,5
−ジヒドロチオフェン−2−イル)−6−[(R)−ヒ
ドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−
3−カルボキシレート(3)を黄色固体として2.11
g(収率:86.2%)得た。1 H−NMR(CDCl
3 )δ:1.25(d,3H,J=7.3Hz)、1.
36(d,3H,J=7.3Hz)、2.63(s,1
H)、2.83−2.92(m,2H)、3.27(d
d,1H,J=2.6Hz,6.9Hz)、3.36−
3.43(m,2H)、3.73−3.80(m,1
H)、4.24−4.29(m,2H)、5.25(d
(AB),1H,J=13.9Hz)、5.51(d
(AB),1H,J=13.9Hz)、5.99(t,
1H,J=3.0Hz)、7.65(d,2H,J=
8.9Hz)、8.22(d,2H,J=8.9Hz)
【0066】実施例2
【0067】
【化7】
【0068】上記実施例1で得られた化合物(3)67
mg、亜鉛末530mg、テトラヒドロフラン1ml及
び0.35Mリン酸緩衝液(pH6.0)1.5mlの
混合物を室温で4時間攪拌する。反応液をセライト濾過
しセライトを水で数回洗浄後、濾液を減圧下濃縮する。
得られる残渣をDianion SP−207(三菱化
成工業株式会社製)に付し(溶出溶媒:水、次いで1
%、2%、4%及び10%のアセトニトリル/水)、本
発明の(1R,5S,6S)−2−(4,5−ジヒドロ
チオフェン−2−イル)チオ−6−[(R)−ヒドロキ
シエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カ
ルボキシレート・ナトリウム塩(4)を淡黄色アモルフ
ァスとして12mg(収率:23.7%)得た。1 H−
NMR(D2 O)δ:1.05(d,3H,J=6.8
Hz)、1.15(d,3H,J=6.3Hz)、2.
60−2.84(m,2H)、3.24−3.30
(m,3H)、3.40−3.52(m,1H)、4.
07−4.13(m,2H)、5.97(s,1H)
【0069】実施例3
【0070】
【化8】
【0071】ジイソプロピルアミン303mgを含む無
水テトラヒドロフラン溶液5mlに0°C窒素気流下で
1.63M n−BuLiのn−ヘキサン溶液を10分
間かけて滴下し、その後0°Cで30分間攪拌してLD
A溶液を調製する。この溶液を−78°Cに冷却し、エ
チルジチオアセテート(5)361mgの無水テトラヒ
ドロフラン溶液5mlを10分間かけて滴下した後、同
温度で50分間攪拌する。化合物(1)1.78gの無
水テトラヒドロフラン溶液10mlを−78°Cに冷却
しておき、カニューレを通じて上記反応液中に10分間
かけて滴下する。反応液を−78°Cで1時間攪拌した
後、飽和塩化アンモニウム水溶液80mlを加え、酢酸
エチルで抽出する。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸
マグネシウムで乾燥する。減圧下溶媒を留去して得られ
る残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶
媒:クロロホルム)に付して、p−ニトロベンジル
(1R,5S,6S)−2−[(1−エチルチオ)エテ
ン−1−イル]チオ−6−[(R)−ヒドロキシエチ
ル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボキ
シレート(6)を黄色固体として803mg(収率:5
7.7%)得た。1 H−NMR(CDCl3 )δ:1.
24(d,3H,J=7.3Hz)、1.28(d,3
H,J=7.3Hz)、1.35(t,3H,J=7.
3Hz)、2.69−2.90(m,2H)、3.28
(dd,1H,J=2.6Hz,6.5Hz)、3.7
2−3.78(m,1H)、4.24−4.29(m,
2H)、5.24(d(AB),1H,J=13.9H
z)、5.52(d(AB),1H,J=13.9H
z)、5.60(s,1H)、5.78(s,1H)、
7.66(d,2H,J=8.6Hz)、8.23
(d,2H,J=8.6Hz)
【0072】実施例4
【0073】
【化9】
【0074】上記実施例3で得られた化合物(6)80
0mg、亜鉛末6.4g、テトラヒドロフラン5ml及
び0.35Mリン酸緩衝液(pH6.0)15mlの混
合物を室温で1.5時間攪拌する。攪拌後反応液をセラ
イト濾過し、セライトを水で数回洗浄後、濾液及び洗浄
液を集めて酢酸エチルで洗浄して減圧下濃縮する。得ら
れる残渣をDianion SP−207(三菱化成工
業株式会社製)に付して(溶出溶媒:水、次いで1%、
2%、4%、6%、10%及び15%のアセトニトリル
水)、本発明の(1R,5S,6S)−2−[(1−エ
チルチオ)エテン−1−イル]チオ−6−[(R)−ヒ
ドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−
3−カルボキシレート・ナトリウム塩(7)を淡黄色ア
モルファスとして72mg(収率:11.9%)得た。
1 H−NMR(D2 O)δ:1.18(d,3H,J=
7.3Hz)、1.28(t,3H,J=7.3H
z)、1.29(d,3H,J=7.3Hz)、2.8
1(q,2H,J=7.3Hz)、3.44(dd,1
H,J=2.6Hz,5.9Hz)、3.53−3.6
2(m,1H)、4.21−4.25(m,2H)、
5.67(s,1H)、5.83(s,1H)
【0075】実施例5
【0076】
【化10】
【0077】フェニルチオアセテート(8)1.52g
の無水トルエン30ml溶液にLawesson’s試
薬2.83gを加え、窒素気流下10時間加熱還流す
る。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲル
クロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン−酢酸エ
チル)に付して、ジチオフェネチルアセテート(9)を
黄色油状物として1.51g(収率:90%)得た。1
H−NMR(CDCl3 )δ:2.87(s,3H)、
7.40−7.50(m,5H)
【0078】実施例6
【0079】
【化11】
【0080】上記実施例1の方法で調製したLDAの無
水テトラヒドロフラン5ml溶液(1mmol)を−7
8°Cに冷却し、この溶液に、窒素気流下、上記実施例
5で得られた化合物(9)168mgの無水テトラヒド
ロフラン1ml溶液を加える。反応液を同温度で45分
間攪拌後、−78°Cに冷却した化合物(1)594m
gの無水テトラヒドロフラン5ml溶液をカニューレで
添加する。同温度で10分間攪拌後、反応液に飽和塩化
アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加える。分液後、有
機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、溶媒を減圧下留去する。得られた残渣をシ
ルカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン
−酢酸エチル)に付して、p−ニトロベンジル (1
R,5S,6S)−2−[(1−フェニルチオ)エテン
−1−イル]チオ−6−[(R)−ヒドロキシエチル]
−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボキシレ
ート(10)を淡黄色固体として180mg(収率:3
5%)得た。1 H−NMR(CDCl3 )δ:1.24
(d,3H,J=6.9Hz)、1.36(d,3H,
J=4.6Hz)、2.04(bs,1H)、3.30
(m,1H)、3.82(m,1H)、4.24−4.
34(m,2H)、5.19(d,1H,J=13.9
Hz)、5.43(d,1H,J=13.9Hz)、
5.48(s.1H)、5.74(s,1H)、7.3
0−7.50(m,5H)、7.60(d,2H,J=
7.2Hz)、8.20(d,2H,J=7.2Hz)
【0081】実施例7
【0082】
【化12】
【0083】上記実施例6で得られた化合物(10)5
29mgをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、次い
で0.35Mリン酸緩衝液(pH6.0)20mlを加
える。本溶液に亜鉛末4.24gを加えて室温で2時間
攪拌する。反応液を濾過し、濾液を減圧下約10mlま
で濃縮する。得られた水溶液をDianion HP−
40(三菱化成工業株式会社製)に付して(溶出溶媒:
35%アセトニトリル水)、本発明の(1R,5S,6
S)−2−[(1−フェニルチオ)エテン−1−イル]
チオ−6−[(R)−ヒドロキシエチル]−1−メチル
カルバペン−2−エム−3−カルボキシレート・ナトリ
ウム塩(11)を白色固体として349mg(収率:8
5%)得た。1 H−NMR(D2 O)δ:1.12
(d,3H,J=7.2Hz)、1.29(d,3H,
J=6.6Hz)、3.41(dd,1H,J=2.6
Hz,5.9Hz)、3.56(m,1H)、4.18
−4.30(m,2H)、5.73(s,1H)、5.
83(s,1H)、7.40−7.58(m.5H)
【0084】実施例8
【0085】
【化13】
【0086】化合物(1)594mg及び2−メルカプ
トチオフェン(12)116mgを無水アセトニトリル
10mlに溶解し、窒素気流中氷浴中にてN,N−ジイ
ソプロピルエチルアミン194mgの無水アセトニトリ
ル5ml溶液を滴下する。滴下後同温度で1時間攪拌し
た後、減圧下溶媒を留去する。残渣を酢酸エチルに溶解
し飽和塩化アンモニウム水溶液次いで飽和食塩水にて洗
浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥する。溶媒を減圧
留去後、得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶出溶媒:クロロホルム)に付して、p−ニト
ロベンジル (1R,5S,6S)−6−[(R)−ヒ
ドロキシエチル]−2−(チオフェン−2−イル)チオ
−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボキシレ
ート(13)を淡黄色油状物として340mg(収率:
73.9%)得た。1 H−NMR(CDCl3 )δ:
1.09(d,3H,J=7.3Hz)、1.29
(d,3H,J=7.3Hz)、2.30−2.50
(bs,1H)、3.09−3.16(m,1H)、
3.22(dd,1H,J=2.6Hz,3.6H
z)、4.15−4.23(m,2H)、5.27(d
(AB),1H,J=13.9Hz)、5.53(d
(AB),J=13.9Hz)、7.05(dd,1
H,J=3.6Hz,5.4Hz)、7.30(dd,
1H,J=1.3Hz,3.6Hz)、7.52(d
d,1H,J=1.3Hz,5.4Hz)、7.67
(d,2H,J=8.9Hz)、8.21(d,2H,
J=8.9Hz)
【0087】実施例9
【0088】
【化14】
【0089】上記実施例9で得られた化合物(13)3
40mg、亜鉛末2.70g、テトラヒドロフラン4m
l及び0.35Mリン酸緩衝液(pH6.0)8mlの
混合物を室温にて3時間攪拌する。攪拌後反応液をセラ
イト濾過しセライトを水で数回洗浄した後、濾液を酢酸
エチルで洗浄する。水層を減圧濃縮後得られる残渣をD
ianion SP−207(三菱化成工業株式会社
製)に付して(溶出溶媒:水、次いで1%、2%、3
%、5%及び10%のアセトニトリル/水)、本発明の
化合物(1R,5S,6S)−2−(チオフェン−2−
イル)チオ−6−[(R)−ヒドロキシエチル]−1−
メチルカルバペン−2−エム−3−カルボキシレート・
ナトリウム塩(14)を白色アモルファスとして125
mg(収率:48.7%)得た。1 H−NMR(D2
O)δ:0.94(d,3H,J=7.3Hz)、1.
11(d,3H,J=7.3Hz)、2.83−2.9
5(m,1H)、3.22(dd,1H,J=2.6H
z,6.1Hz)、3.97(dd,1H,J=2.6
Hz,9.1Hz)、4.02−4.12(m,1
H)、7.00(dd,1H,J=3.6Hz,5.3
Hz)、7.27(dd,1H,J=1.0Hz,3.
6Hz)、7.51(dd,1H,J=1.0Hz,
5.3Hz)
【0090】次に、上記実施例で得られた本発明の化合
物を用いた製剤例を示す。
【0091】製剤例1(錠剤) 化合物(4) 25g 乳糖 130g 結晶セルロ−ス 20g とうもろこし澱粉 20g 3%ヒドロキシプロピルセルロ−ス水溶液 100ml ステアリン酸マグネシウム 2g 化合物(4)、乳糖、結晶セルロ−ス及びとうもろこし
澱粉を、60メッシュふるいで篩過し均一に混合したの
ち練合機にいれ、3%ヒドロキシプロピルセルロ−ス水
溶液を注加して練合した。次いで16メッシュふるいで
篩過造粒し、50℃で送風乾燥した。乾燥後、16メッ
シュふるいを通して整粒を行い、ステアリン酸マグネシ
ウムを混合し、打錠機で直径8mm、重量200mgの錠剤
にした。
【0092】製剤例2 (カプセル剤) 化合物(7) 25.0g 乳糖 125.0g コ−ンスタ−チ 48.5g ステアリン酸マグネシウム 1.5g 上記成分を細かく粉末にし、均一な混合物になるよう十
分攪拌したのち、これを0.2gずつゼラチンカプセル
に充填し、経口投与用のカプセル剤を得た。
【0093】製剤例3(錠剤) 化合物(11) 25g 乳糖 130g 結晶セルロ−ス 20g とうもろこし澱粉 20g 3%ヒドロコシプロピルセルロ−ス水溶液 100ml ステアリン酸マグネシウム 2g 化合物(11)に乳糖、結晶セルロ−ス及びとうもろこ
し澱粉を60メッシュふるいで篩過し、均一に混合した
のち練合機にいれ、3%ヒドロキシプロピルセルロ−ス
水溶液を注加して練合した。次いで16メッシュふるい
で篩過造粒し、50℃で送風乾燥した。乾燥後、16メ
ッシュふるいを通して整粒を行い、ステアリン酸マグネ
シウムを混合し、打錠機で直径8mm、重量200mgの錠
剤にした。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 式中、 (1) R1 は低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロ
    アルケニル基もしくはフェニル基を表し、R2 は水素原
    子を表す;または、 (2) R1 及びR2 は一緒になって低級アルキレンもしく
    は低級アルケニレンを表し、硫黄原子を環原子として含
    有する4〜7員環を構成する;で示される2−[1−
    (置換チオ)ビニル]チオ−カルバペネム化合物及びそ
    の薬理学的に許容される塩。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の式(I)で示されるカル
    バペネム化合物を有効成分として含有することを特徴と
    する抗菌剤。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の式(I)で示されるカル
    バペネム化合物を有効成分として含有することを特徴と
    する経口投与用抗菌剤。
JP6079321A 1994-03-28 1994-03-28 2−[1−(置換チオ)ビニルチオ−カルバペネム化合物 Pending JPH07267958A (ja)

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