JPH0726717B2 - フロート弁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は気体と液体の比重差を利用してフロートで弁手
段を駆動し、気液混合系から液体を自動的に排出するフ
ロート弁の構造に関する。

上記フロート弁は、気体と液体が混在する系から液体を
選択的に自動的に排出するときに用いる。蒸気配管系に
発生する復水を自動的に排出するスチームトラップ、圧
縮空気配管系に発生する凝縮水を自動的に排出するエア
ートラップ、等である。

比重の小さい気体は比重の大きい液体の上方に位置す
る。液面は液体と気体の量的割合の変化に応じて上下動
する。フロートはこれに作用する浮力と自重の釣合いで
液面に浮き、液面と共に上下に移動する。フロート弁は
これらの自然法則を利用したもので、弁室に於いて気液
を分離し、弁室の下部に弁口を配置し、弁室内に収容し
たフロートの上下移動で弁手段を駆動して弁口を開閉
し、液体を選択的に自動的に排出するものである。

従来の技術 フロートで弁手段を駆動し弁口を開閉する、従来のフロ
ート弁は、レバーの一端にフロートを取付け、レバーの
他端を支点として弁室に取付け、支点の近くに弁口を開
閉する弁体を取付けたものである。あるいは、レバーの
一端にフロートを取付け、レバーの他端に弁口を開閉す
る弁体を取付け、弁体の近くを支点として弁室に取付け
たものである。

本発明が解決しようとする課題 上記のものに於いて、排出容量を大きくするためには、
即ち大きな弁口を開弁するための大きな開弁力を得るた
めには、フロートを大きくして浮力や自重を大きくした
り、レバーを長くして弁体に作用する浮力や自重の拡大
比を大きくしなければならず、ケーシングが大きくなっ
てしまう問題があった。

また、排出容量を大きくするための機構として、フロー
ト弁をパイロット弁として用いて大きな主弁口を開閉す
るパイロット弁機構があるが、構造が複雑となり、弁部
のひっかかり現象などによる作動不良を起こし易い問題
があった。

従って、本発明の技術的課題は、フロートを大きくした
りレバーを長くせずに大きな開弁力が得られ排出容量を
大きくすると共に弁部のひっかかり現象を無くして確実
な作動を行うフロート弁を得ることである。

課題を解決するための手段 上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術
的手段は、弱磁性体もしくは常磁性体の弁ケーシングで
入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口を連通する弁口
を形成し、弁室内に中空フロートを自由状態で配置し
て、中空フロートの外表面または内部にマグネット部材
を設け、弁口を開閉する弁体を取付けたレバーを、フロ
ートの開弁方向の変位に対して鋭角に傾斜せしめて弁室
に取付け、上記フロートが弁ケーシングに接近する位置
に、またはフロートが弁ケーシングとレバーに接近する
位置に、上記フロートのマグネット部材と反発し合う１
個あるいは複数のマグネットを設けたものである。

作用 弁室内に自由状態で配置したフロートは弁室内の液面と
共に上下に移動する。浮上して開弁方向に変位するフロ
ートは弁ケーシング内壁とレバーに接近する。フロート
の弁ケーシングあるいはレバーとの接近部にはフロート
のマグネット部材と反発し合うマグネットを設けたこと
により、フロートと弁ケーシングあるいはレバーとは接
近はするが磁力によって接触することはない。フロート
の開弁方向の変位に対してレバーは鋭角に傾斜せしめて
いるので、フロートの浮力がレバーに対して楔力として
拡大されて働く。従って、同じ大きさのフロート、同じ
長さのレバーを用いたものであっても、開弁力を大きく
することができる。

フロートには開弁力の反力として拡大された楔力が作用
するが、フロートと弁ケーシングあるいはレバーの接近
部は磁力によって接触することはなく、従って、フロー
トが上昇する際の摩擦抵抗はゼロとなる。

発明の効果 楔力として、浮力あるいは自重を拡大して利用すること
により、フロートを大きくしたり、レバーを長くするこ
となしに大きな開弁力を得ることができケーシングを小
型にすることができる。

また、フロートが上昇する際の弁ケーシングあるいはレ
バーとの間の摩擦抵抗がゼロとなり、フロートの浮力を
全て開弁力として利用することにより更に大きな開弁力
を得ることができると共に、フロートがひっかかるよう
なことはなく、作動が確実となる。

実施例 上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する。
（第１図参照） 本実施例は密閉フロート式スチームトラップに適用した
ものである。

本体１に蓋２をボルト（図示せず）で締結して内部に弁
室４を有する弁ケーシングを形成する。本体１と蓋２の
間にはガスケット５を介在せしめて両者の気密を保つ。

蓋２の上部に入口６を、下部に出口７を形成する。入口
６は弁室４の上部に連通し、蒸気使用機器（図示せず）
等に接続して、復水を弁室４内に導入する。蓋２の下部
に弁座部材８をねじ結合し、弁座部材８に形成した弁口
９を通して弁室４と出口７を連通し、弁室４の復水を出
口７に導き出す。入口６と出口７は水平方向に開口し、
それぞれ配管用の雌ねじを形成している。弁座部材８と
蓋２の間の気密をガスケット10で保つ。

弁室４にステンレス鋼薄板で作った中空の球形フロート
11を自由状態で収容する。フロート11の内部下方に平板
状で半球状のマグネットを取付けてマグネット部材３を
形成する。マグネット部材３は図示するような平板状以
外のリング状等であっても良い。また、フロート11の外
表面に形成しても良い。フロート11は弁室４に溜る復水
に浮き、液面と共に浮上降下する。

蓋２にレバー取付部材12をビス（図示せず）で取付け
る。レバー取付部材12にレバー13をピン14で取付ける。
レバー13に弁口９を開閉する弁体15を取付ける。従っ
て、レバー13はピン14を支点にして回転できる。レバー
13の上方は鉛直線からαの角度でフロート11の斜上方に
延び、更に上部はβの角度で屈曲している。レバー13の
上面に、平板状のレバー用マグネット16を、レバー13と
一体に形成したマグネット取付板13aで取付ける。この
場合、フロート11のマグネット部材３とレバー用マグネ
ット16は互いに反発し合うように同極を対向して取付け
る。弁室４内の本体１内壁部に、フロート11を介してレ
バー13と対向して本体用マグネット17を設ける。マグネ
ット17は保護カバー18を介して取付ける。この本体用マ
グネット17も、フロート11のマグネット部材３とは反発
するように取付ける。参照番号19はフロート11を上下方
向に案内するリブであり、紙面の手前側と合計２箇所形
成され、フロート11との間に僅かな隙間が形成されてい
る。

蓋２にバイメタル20をビス21で取り付ける。バイメタル
20はほぼＵ字状で低温時に拡がってレバー13を押し上げ
て開弁できる力を発揮し、高温時に狭まってレバー13に
関与しない形状（第１図に示す状態）に変化する。

上記スチームトラップの作動は次の通りである。

入口６は蒸気使用機器等の復水発生箇所に接続する。復
水と蒸気が弁室４に流入し、復水が下部に蒸気が上部に
分離して溜る。フロート11は弁室４内の液面の上昇と共
に浮上し、レバー13と保護カバー18に接近する。しかし
この場合、マグネット3,16,17の反力により接触するこ
とはない。更に液面が上昇するとフロートの浮力が大き
くなり、浮力が楔力として、接触することなくレバー13
に作用する。従って、摩擦抵抗をゼロとすることがで
き、フロート11の浮力を全て利用することができると共
にひっかかりを防止することもできる。この楔力によ
り、レバー13が開弁方向（第１図で時計回り方向）に回
転して弁体15が弁口９を開き弁室４の復水を弁口９から
出口７に排出する。排出により液面が下がると、それと
共にフロート11が降下しレバー13が閉弁方向に回転して
弁体15が弁口９を塞ぎ、蒸気の流出を防ぐ。この様な動
作を自動的に繰り返して行う。

尚、上記の実施例に於ては、本体用マグネット17とレバ
ー用マグネット16の２個を用いた例が示したが、レバー
13を摩擦係数の小さい材料で形成した場合には、本体用
マグネット17のみでも良い。また更に、リブ19部に本体
用マグネット17と同様のものを配しても良い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のフロート弁の実施例のフロート式スチ
ームトラップの断面図である。 1:本体、2:蓋 3:マグネット部材、4:弁室 6:入口、7:出口 8:弁座部材、9:弁口 11:フロート、13:レバー 15:弁体、16:レバー用マグネット 17:本体用マグネット、18:保護カバー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】弱磁性体もしくは常磁性体の弁ケーシング
   で入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口を連通する弁
   口を形成し、弁室内に中空フロートを自由状態で配置し
   て、中空フロートの外表面または内部にマグネット部材
   を設け、弁口を開閉する弁体を取付けたレバーを、フロ
   ートの開弁方向の変位に対して鋭角に傾斜せしめて弁室
   に取付け、上記フロートが弁ケーシングに接近する位置
   に、またはフロートが弁ケーシングとレバーに接近する
   位置に、上記フロートのマグネット部材と反発し合う１
   個あるいは複数のマグネットを設けたフロート弁。