JPH07266377A - 射出成形用金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期間繰り返し連続的に成形を行っても、安
定して良好な成形品を得ることができる射出成形用金型
に関する。 【構成】 加圧流体圧入ノズル９の加圧流体通路１６、
１７に２箇以上の逆流防止機構１０、１０’を設け、か
つその近傍に加熱装置１３を設けたことを特徴とする中
空成形品製造用射出成形用金型。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、射出成形用金型に関
し、詳しくは、中空部を有する成形品を製造するのに適
した射出成形用金型に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、熱可塑性樹脂は、ＯＡ機器、テレ
ビ等家電機器や自動車部品に広く使用されている。上記
成形品を製造する方法の１つとして、射出成形金型のキ
ャビティ内に溶融樹脂を射出しつつ、または射出した
後、その溶融樹脂の内部に加圧流体を注入して成形品の
内部に中空部を形成させる中空射出成形方法が知られて
いる。

【０００３】この方法において、溶融樹脂の内部に加圧
流体を圧入するにあたっては、（１）溶融樹脂をキャビ
ティに注入した後引き続き同じ口から圧入する方法（例
えば特公昭５７ー１４９６８号公報、特公昭６１ー５３
２０８号公報参照）と、（２）溶融樹脂の流入口とは別
に設けた加圧流体圧入ノズルから圧入する方法（例えば
特公昭４８ー４１２６４号公報、特公平３ー４７１７１
号公報参照）がある。

【０００４】上記（２）の方法によるときは、溶融樹脂
は加圧下にキャビティ内に注入されるので上記加圧流体
圧入ノズルにまで達するが、ここまで達する間に溶融樹
脂は金型に熱を奪われ、ノズルに達してからはノズルか
らも熱を奪われて冷却固化し、ノズルを閉塞してしまい
加圧流体を圧入することができない場合がある。この課
題を解決するものとして、例えば特開昭６４ー１４０１
２号公報に記載の技術が提案されている。この技術で
は、キャビティに対するノズルの前進、後退と加圧ガス
体の供給用弁の動作により加圧流体の圧入、排出がなさ
れ、また、ノズルの中心孔の出口端にはプラスチック材
料とガスが逆流することがないように、逆止弁が設けら
れている。しかしこの場合でも、ノズル先端の逆止弁付
近で溶融樹脂の冷却固化が起こり、逆止弁が正常に作動
しない欠点は免れなかった。

【０００５】この技術課題に応えるために、特開平４ー
３１０１５号公報、特開平４ー３１０１６号公報におい
て、逆止弁を含む加圧流体注入ノズル先端を加熱装置又
は溶融樹脂の熱により加熱して、ノズル先端部分での樹
脂の冷却固化を抑える技術が提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の改良技術においても、長期間繰り返し成形を行ってい
ると、高温状態になった溶融樹脂がノズル先端の逆止弁
と加圧流体通路との隙間から侵入し、さらには加圧流体
通路の上流側にまで達し、そのため通路が閉塞されて加
圧流体を圧入できず良品が得られなかったり、加圧流体
供給手段が故障に至ることもあった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解消するため鋭意検討を重ねた結果、加圧流体圧入ノズ
ルの加圧流体通路に２箇以上の逆流防止機構を設け、か
つその近傍に加熱装置を設けることにより、長期間繰り
返し成形を行っても、溶融樹脂の流入に伴うノズル及び
加圧流体通路の閉塞が起こらずに良好な製品が得られ、
また加圧流体供給手段の故障が全く起こらないことを見
い出し、本発明を完成した。

【０００８】すなわち、本発明は、射出成形金型のキャ
ビティ内に溶融樹脂を射出しつつ、または射出した後、
この溶融樹脂内部に加圧流体を注入して中空部を有する
成形品を製造する射出成形用金型において、ノズルの先
端が前記キャビテイに開口し、後端が加圧流体供給手段
に接続された加圧流体通路を有する加圧流体圧入ノズル
を装備してなり、加圧流体通路に少なくとも２箇以上の
逆流防止機構が配設され、かつ逆流防止機構近傍であっ
て、加圧流体通路の外側に加熱装置が設けられてなる射
出成形用金型に存する。

【０００９】以下、本発明方法の実施態様を図面に基づ
いて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以
下の例の説明に限定されるものではない。図１は本発明
に係る射出成形金型の縦断側面図であり、図２は加圧流
体圧入ノズルの縦断側面図である。図１において、１は
射出シリンダ、２は射出ノズル、２ａは射出口、３はキ
ャビティ、４は固定側金型、５は可動側金型、６はスプ
ルー、７はランナー、８はゲート、９は加圧流体圧入ノ
ズル、９は圧入ノズル先端部、１０、１０’は逆流防止
機構、１０ａ、１０ｂはボール、１１ａ、１１ｂは空隙
部、１２ａ、１２ｂは突起、１３は加熱装置、１４は油
圧シリンダー、１５は加圧流体吐出口、１６、１７は加
圧流体通路、１８は電磁切換弁、１９、２０は逆止弁、
２１は加圧流体タンク、２２はシリンダ、２３はピスト
ン、２４は加圧流体室、２５、２６、２７は導通管、２
８は圧入ノズル接続口、２９は加圧流体供給手段をそれ
ぞれ示す。

【００１０】図１の例において、射出シリンダ１内で溶
融された樹脂は射出ノズル２の射出口２ａから固定側金
型４と可動側金型５とによって構成される射出成形金型
のキャビティ３内に射出される。キャビティ３の形状、
構造、大きさなどは製造しようとする成形品に応じて決
められる。固定側金型４には、前記射出ノズル２の射出
口２ａと当接する部分に、スプルー６、ランナー７、ゲ
ート８が形成されており、それぞれを介してキャビティ
３に連通されている。ゲートとしては、例えば、サイド
ゲートが採用される。

【００１１】可動側金型５は、型締、型開きの際に固定
側金型４に対して前進、後退可能な金型である。固定側
金型４には、図示されていないが金型キャビティの容積
を拡大可能な可動入子を組み込んでいてもよい。このよ
うに可動入子を組み込んでおくことによりキャビティ３
に溶融樹脂を射出しつつ、又は射出後、加圧流体を注入
する際または注入後に必要に応じて前進、後退できる。

【００１２】本発明に係る射出成形金型には、キャビテ
ィ３内に充填された溶融樹脂内に加圧流体を注入するた
めの加圧流体圧入ノズル（圧入ノズル）１０が設けられ
ている。加圧流体圧入ノズル９は図１に示した例では可
動側金型に設けられているが、この例に限られるもので
はなく、固定側金型に設けてもよい。加圧流体圧入ノズ
ル９は、図２に示すように円柱状に形成されており、先
端部９ａ，逆流防止機構１０、１０’、加圧流体通路１
６、１７、加熱装置１３、油圧シリンダ１４、圧入ノズ
ル接続口２８などにより構成される。

【００１３】圧入ノズルの先端部９ａは例えば球面状に
加工されており、加圧流体吐出口１５を通じてキャビテ
ィ３に開口されている。また、必要に応じて、油圧シリ
ンダ１４の油圧により、先端部９ａは加圧流体吐出口１
５に接触、離隔可能にすることができる。圧入ノズルの
後端は、圧入ノズル接続口２８を介して加圧流体供給手
段２９に接続されている。圧入ノズル９は、その長さ方
に沿って中央部に貫通した加圧流体通路１６、１７を有
しており、加圧流体供給手段２９より供給された加圧流
体は、加圧流体通路１７、１６を通過して先端部９ａよ
りキャビティ内に導かれるような構造とされている。

【００１４】圧入ノズル９の加圧流体通路１６、１７の
途中には、逆流防止機構１０、１０’が設けられてい
る。逆流防止機構は、溶融樹脂が通路１６、１７ひいて
は加圧流体供給手段２９へ流入するのを防止する機能を
果たすものである。逆流防止機構は通路に空隙部１１
ａ、１１ｂを設けて、その空隙部にそれぞれ通路１６、
１７の直径より大きい直径のボール１０ａ、１０ｂを遊
挿した構造のものがよく、樹脂圧力及び流体圧力によっ
て移動可能とされている。

【００１５】溶融樹脂が射出されているときは溶融樹脂
の圧力により、ボール１０ａ、１０ｂがともにそれぞれ
の空隙部１１ａ、１１ｂ内で通路１６、１７の圧入ノズ
ル接続口２７の方向に位置して加圧流体通路１６を塞
ぐ。加圧流体が注入されるときは、、加圧流体通路１
７、１６を圧入ノズル先端部方向に通過する加圧流体の
圧力により、それぞれの空隙部内で次々と先端部９ａ方
向に移動し、突起１２ｂ，１２ａに当たりここで動きを
止められる。加圧流体は空隙部の隙間を通って加圧流体
吐出口１５からキャビティ内の溶融樹脂に達する。

【００１６】本発明者らの実験によれば、本発明の目的
を効果的に達成するためには、この逆流防止機構は少な
くとも２箇以上設けられることが必要である。その設置
位置は、先端部９ａ及び先端部９ａと圧入ノズル接続口
２７との間にするのが好ましい。逆流防止機構が１箇の
み、例えば１０のみであると、加圧流体圧入ノズル９の
先端部の空隙部１１ａと逆流防止機構１０の後ろとのク
リアランスよりキャビティ内の溶融樹脂が加圧流体通路
１６、１７ひいては加圧流体供給手段２９へ侵入するの
で好ましくない。

【００１７】また、加圧流体圧入ノズル９には、逆流防
止機構１０、１０’の近傍であって加圧流体通路１６、
１７の外側に加熱装置１３が設置されており、加熱装置
１３は通路１６に侵入した溶融樹脂を加熱し、溶融樹脂
を固化させないように機能する。これにより、溶融樹脂
が通路１６内に侵入しても加熱装置で加熱されるので冷
却固化せず、また第２の逆流防止機構１０’があるため
に通路の奥にまで達することはなく、加圧流体供給手段
２９より加圧流体が供給された際に、加圧流体によって
押圧されて加圧流体吐出口１５を介してキャビティ３に
戻される。この加熱装置１３は、樹脂の溶融温度以上に
加熱できるものであれば制約なく使用でき、例えばバン
ドヒーター、コイルヒーター等が使用される。

【００１８】接続口２８に接続されている加圧流体供給
手段２９は、加圧流体を加圧流体圧入ノズル９に供給す
るための手段であり、加圧流体タンク２１、シリンダー
２２、ピストン２３、加圧流体室２４、電磁切換弁１
８、逆止弁１９、２０、導通管２５、２６、２７などに
より構成される。加圧流体タンク２１内には加圧流体が
貯えられ、逆止弁１９を介し、シリンダ２２内の加圧流
体室２４に導通管２５で接続されており、タンク２１か
ら適量の加圧流体を加圧流体室２４に供給される。

【００１９】加圧流体室２４内には、図示されていない
モーターや油圧機構により作動するピストン２３が摺動
自在に嵌入され、このピストン２３によって加圧流体室
２４内の加圧流体を圧縮して、逆止弁２０、電磁切換弁
１８を介し、導通管２６、２７を通過させて接続部２８
から加圧流体圧入ノズル９に供給される。この際、逆止
弁２０は加圧流体が加圧流体室に逆流しないように機能
する。電磁切換弁１７は、それを切り換えることによ
り、加圧流体室２４から加圧流体圧入ノズル９への加圧
流体の供給を制御する。加圧流体としては、通常、空気
や不活性ガスが挙げられ、中でも窒素が好ましい。

【００２０】加圧流体圧入後は、キャビティ内の溶融樹
脂が固化するまでその圧力を保持する。溶融樹脂が固化
したら、油圧シリンダ１４で加圧流体ノズルの先端部９
ａと加圧流体吐出口１５とを離隔させ、隙間を形成させ
ることにより成形品の中空部に残る加圧流体を大気に放
出させる。この後、型開きして成形された中空成形品を
金型から取り出す。

【００２１】

【作用】本発明に係る射出成形用金型は、加圧流体圧入
ノズルに樹脂逆流防止機構を２箇以上設けているので、
樹脂が逆流防止機構１０を超えて加圧流体通路１６に侵
入してきても第２の逆流防止機構１０’によって樹脂は
遮断され、それ以上奥に侵入することはない。また、こ
れら逆流防止機構近傍を加熱装置１３によって保温して
いるので、通路１６に侵入してきた樹脂は冷却固化する
ことがなく、従って加圧流体通路１６が閉塞されること
なく、いつも良好な状態でキャビティ３内に加圧流体を
安定して供給することができ、長期間繰り返し成形を行
っても安定して中空成形品が製造できる。

【００２２】また、樹脂逆流防止機構は流体圧力及び樹
脂圧力を利用し開閉動作をするように構成されているた
め、構造が簡単である。

【００２３】

【実施例】

（実施例）図１に基づいて、実施例を説明する。可動側
金型５に油圧シリンダ１４によって前進、後退する加圧
流体圧入ノズル９を設けた。圧入ノズルの先端部９ａは
圧力流体吐出口を介してキャビティ３に開口しており、
後端は圧力流体供給手段２９と接続されており、このノ
ズルの加圧流体通路には２つの逆流防止機構１０、１
０’を設けた。

【００２４】耐衝撃性ポリスチレン（三菱化成（株）製
ダイヤレックスＨＴ６０）を原料とし、図１に示された
射出成形機のシリンダー１内で樹脂温度２２０℃に溶
融、可塑化し、射出圧力６００ｋｇ／ｃｍ２で射出ノズ
ル２からキャビティ３（底面１００ｍｍ×１５０ｍｍ，
外枠３０ｍｍ，厚さ２０ｍｍの箱型形状）内にスプルー
６、ランナー７、ゲート８を通じて射出、注入した。キ
ャビティ３内に適量充填させた後、シリンダ２２で計量
されピストン２３で２００ｋｇ／ｃｍ２に圧縮された窒
素ガスを加圧流体ノズル９から、溶融樹脂内に圧入し
た。

【００２５】溶融樹脂は、窒素ガス圧力によってキャビ
ティ３の内壁面に高圧で押しつけ、保圧した状態で成形
品を冷却固化した。油圧シリンダー１４で加圧流体圧入
ノズル９の先端部９ａを可動側金型５に設けた加圧流体
吐出口１５とを離隔させ、隙間を形成させることにより
成形品内部の加圧流体を大気に放出させ、型開きして中
空部を有する板状の成形品を金型から取り出した。

【００２６】このような成形操作を５００回連続的に繰
り返し行ったところ、全てがひけや反りが全く見られな
い外観が極めて良好な中空部を有する製品であった。 （比較例）加圧流体圧入ノズル９の加圧流体供給通路１
６、１７内に逆流防止機構を１０一箇しか設けなかった
以外は実施例に記載されたのと同様の操作を行った。

【００２７】その結果、この成形操作を２９０回繰り返
し行った時点で、得られた製品の厚肉部にひけが見ら
れ、反りが生じていた。この原因を調べたところ、金型
冷却後圧入ノズル内に侵入した樹脂は逆流防止機構１０
を通過して加圧流体通路の奥１７にまで達しており、そ
こで固化して通路を閉塞したため圧縮窒素ガスのキャビ
ティ内への圧入が良好に行われなかったことが原因であ
ることがわかった。

【００２８】

【発明の効果】本発明に係る射出成形用金型は次のよう
な有利な効果を奏し、その工業的利用価値は極めて大で
ある。 １.本発明の金型は、逆流防止機構を２箇以上備えてい
るので、溶融樹脂が加圧供給手段にまで侵入することが
なく、長期間、繰り返し連続的に成形を行っても安定し
て目的とする成形品を得ることができる。

【００２９】２.本発明の金型に備えられた逆流防止機
構は、流体圧力及び樹脂圧力を利用し開閉動作をするよ
うに構成されているため、構造が簡単である。 ３.本発明の金型は、逆流防止機構近傍であって加圧流
体通路の外側に加熱装置を備えているため、キャビティ
内の溶融樹脂が１箇目の逆流防止機構を通過して加圧流
体通路に侵入しても、そこで冷却固化して通路を閉塞す
ることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る射出成形用金型の一例の縦断側面
図

【図２】圧入ノズルの縦断側面図

【符号の説明】

１ ：射出シリンダ ２ ：射出ノズル ２ａ：射出口 ３ ：キャビティ ４ ：固定側金型 ５ ：可動側金型 ６ ：スプルー ７ ：ランナー ８ ：ゲート ９ ：加圧流体圧入ノズル ９ａ：圧入ノズル先端部 １０、１０’：逆流防止機構 １０ａ、１０ｂ：ボール １１ａ、１１ｂ：空隙部 １２ａ、１２ｂ：突起 １３：加熱装置 １４：油圧シリンダー １５：加圧流体吐出口 １６、１７：加圧流体通路 １８：電磁切換弁 １９、２０：逆止弁 ２１：加圧流体タンク ２２：シリンダー ２３：ピストン ２４：加圧流体室 ２５、２６、２７：導通管 ２８：圧入ノズル接続口 ２９：加圧流体供給手段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】射出成形金型のキャビティ内に溶融樹脂を
   射出しつつ、または射出した後、この溶融樹脂内部に加
   圧流体を注入して中空部を有する成形品を製造する射出
   成形用金型において、ノズルの先端が前記キャビティに
   開口し、後端が加圧流体供給手段に接続された加圧流体
   通路を有する加圧流体圧入ノズルを装備してなり、加圧
   流体通路に少なくとも２箇以上の逆流防止機構が配設さ
   れ、かつ逆流防止機構近傍であって、加圧流体通路の外
   側に加熱装置が設けられてなることを特徴とする射出成
   形用金型。