JPH07263407A - ラジカル発生装置、ラジカル照射方法、半導体装置の製造方法、電子装置の製造方法およびドライエッチング方法 - Google Patents

ラジカル発生装置、ラジカル照射方法、半導体装置の製造方法、電子装置の製造方法およびドライエッチング方法

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JPH07263407A
JPH07263407A JP6046720A JP4672094A JPH07263407A JP H07263407 A JPH07263407 A JP H07263407A JP 6046720 A JP6046720 A JP 6046720A JP 4672094 A JP4672094 A JP 4672094A JP H07263407 A JPH07263407 A JP H07263407A
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plasma
radical
radicals
voltage
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JP6046720A
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English (en)
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信一郎 ▲高▼谷
Shinichiro Takatani
Takeshi Kikawa
健 紀川
Tetsuo Ono
哲郎 小野
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】原料をプラズマ化してラジカルを発生させこれ
を試料に照射するラジカル照射方法において、荷電粒子
が試料に照射されるのを防ぐ。 【構成】プラズマから試料までの間に、プラズマの電位
より高い電位の場所と低い電位の場所とが存在するよう
な電位分布にして、ラジカルを発生をさせる。 【効果】プラズマ中に含まれる正と負の荷電粒子が上記
電位分布により阻止されるので、ラジカルのみ効率良く
試料に照射することができる。これにより、試料にあた
える損傷を低減することができる。ラジカルを照射する
工程を有する半導体装置や電子装置の製造工程に用いれ
ば、特性の良好な半導体装置や電子装置を製造すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原料をプラズマ化してラ
ジカルを発生させるラジカル発生装置とこれを用いる半
導体装置の製造方法、電子装置の製造方法、及びドライ
エッチング方法に関し、特に試料に与える損傷を低減す
ることが可能なラジカル発生装置と、試料の受ける損傷
の少ないラジカル照射方法、半導体装置の製造方法、電
子装置の製造方法、及びドライエッチング方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】本発明において、ガスのプラズマ中に存
在する電気的に中性な活性種をラジカルと呼ぶ。図15
に従来知られているラジカル発生装置の一例を示す(パ
トリック オキーフェ他、 ジャパニーズ ジャーナル
オブ アプライド フィジクス 30巻 1991年
3164ページ)。マイクロ波導入端子1から導入さ
れるマイクロ波は内導体2、外導体3および石英管4よ
り構成される同軸導波路を通してアンテナ5よりプラズ
マ室6に放射される。プラズマ室6にガス導入配管7を
通して導入された原料ガスがマイクロ波を吸収し、プラ
ズマとなる、この際プラズマ中の電子は磁石8の発生す
る磁場で加速されガス分子と高頻度で衝突するため、高
密度のプラズマが得られる。ラジカルはプラズマ中でイ
オンや電子とともに発生する。プラズマ中のラジカルは
オリフィス9よりラジカル発生装置の取付けてある真空
容器内に噴出し、前方に配置した半導体基板等に到達す
る。プラズマ室6と磁石8は冷却水導入配管10より水
槽11に導入される冷却水で冷却される。12はラジカ
ル発生装置を真空容器に取付けるためのフランジであ
る。
【0003】最近、上記のような装置により発生させた
ラジカルを用いるプロセスが半導体装置や超伝導薄膜の
製造に用いられている。例えば、半導体装置の製造にお
いて、ガリウムヒ素等のIIIーV族化合物半導体表面の清
浄化に水素ラジカルや塩素ラジカルが用いられている。
またセレン化亜鉛等のIIーVI族半導体にドナーである窒
素(N)を高濃度にドープするため分子線エピタキシー
法等による薄膜成長中に窒素ラジカルを照射する方法が
用いられている。また超伝導薄膜の製造においては酸化
物超伝導薄膜の成長に必要な酸素を酸素ラジカルで供給
し薄膜を形成する方法が知られている。
【0004】また半導体装置の製造において反応性ガス
のプラズマ中に発生するイオンを用いて半導体、絶縁
膜、金属膜等をエッチングするドライエッチング方法が
知られている(ジャーナル オブ バキューム サイエ
ンス アンド テクノロジーB3巻 0985年 40
2ページ)。またプラズマ中に発生するラジカルを用い
てエッチングするドライエッチング方法も知られている
(スガタ他、ジャーナル オブ バキューム サイエン
ス アンド テクノロジー B5巻 1987年 89
4ページ)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のラジカル発
生装置では、プラズマ中に含まれるイオン、電子がラジ
カルとともにオリフィスより噴出し基板に到達してしま
う。イオンや電子等の荷電粒子はラジカルと異なり電荷
を有するので電場や磁場により加速されて大きな運動エ
ネルギーや運動量を持つ。従ってこれらの荷電粒子が試
料に照射されると、試料内部に損傷が発生し、電気的な
特性が劣化する。例えば半導体ではこれらの損傷により
新たな電子準位が発生し、伝導電子や正孔の濃度が変化
したり、これら電子・正孔の移動度が小さくなる。また
超伝導薄膜の形成に用いる場合、超伝導薄膜が損傷を受
け超伝導転移温度が低くなる。
【0006】プラズマ中のイオンを用いるドライエッチ
ング方法では、被加工物がイオンや電子の照射による損
傷を受ける問題がある。前出のスガタ他による文献に
は、試料をプラズマと反対の方向に向けてエッチングす
る方法が開示されている。この場合イオン試料表面に照
射されなくなり、裏側に回り込んでくるラジカルで試料
をエッチングすることができる。しかし、この場合ごく
一部のラジカルしか裏側に回り込んでこないため、エッ
チング速度が遅くなる。また、回り込んでくるラジカル
には方向性がないため異方性のエッチングができない問
題もある。
【0007】本発明の第一の目的は、荷電粒子の試料、
基板への照射を低減することが可能なラジカル発生装置
を提供することにある。
【0008】本発明の第二の目的は、荷電粒子の試料、
基板への照射の少ないラジカル照射方法を提供すること
にある。
【0009】本発明の第三の目的は、荷電粒子の照射に
よる損傷の少ない半導体装置の製造方法を提供すること
にある。
【0010】本発明の第四の目的は、荷電粒子の照射に
よる損傷の少ない電子装置の製造方法を提供することに
ある。
【0011】本発明の第五の目的は、荷電粒子の照射に
よる損傷の少ないドライエッチング方法を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記第一の目的は、開口
部を有するプラズマ室で原料をプラズマ化し、該プラズ
マ中のラジカルを上記開口部から取り出して利用するラ
ジカル発生装置において、プラズマ室の開口部から取り
出されたラジカルの通過部を有しかつ電圧の印加が可能
な第1の手段と、プラズマに電圧を供給可能な第2の手
段を設けることにより達成される。
【0013】上記第二の目的は、原料をプラズマ化して
ラジカルを発生させ、これを試料に照射するラジカル照
射方法において、上記プラズマから上記試料までの間
に、上記プラズマの電位より高い電位の場所と低い電位
の場所とが存在するような電圧分布にして上記ラジカル
を発生をさせることにより達成される。
【0014】上記第三の目的は、水素もしくは塩素を含
む原料をプラズマ化して水素ラジカルもしくは塩素ラジ
カルを発生させ、これを半導体表面に照射して該表面を
清浄化する工程を有する半導体装置の製造方法におい
て、上記第二の目的を達成する手段に記載のラジカル発
生方法を用いて上記ラジカルを発生させることにより達
成される。
【0015】上記第三の目的はまた、n型もしくはp型
不純物を含む原料をプラズマ化してn型もしくはp型不
純物のラジカルを発生させ、これを成長中の半導体層に
ドープする工程を有する半導体装置の製造方法におい
て、上記第二の目的を達成する手段に記載のラジカル発
生方法を用いて上記ラジカルを発生させることにより達
成される。
【0016】上記第三の目的はまた、プラズマ中に存在
するラジカルを用いるドライエッチング方法を用いて半
導体、金属、絶縁体の少なくとも1つをエッチングする
工程を有する半導体装置の製造方法において、上記第二
の目的を達成する手段に記載のラジカル発生方法を用い
て上記ラジカルを発生させることにより達成される。
【0017】上記第四の目的は、酸素を含む原料をプラ
ズマ化して酸素ラジカルを発生させ、これを成長中の酸
化物超伝導薄膜の酸素供給源として用いて酸化物超伝導
薄膜を形成する工程を有する電子装置の製造方法におい
て、上記第二の目的を達成する手段に記載のラジカル発
生方法を用いて上記ラジカルを発生させることにより達
成される。
【0018】上記第五の目的は、プラズマ中に存在する
ラジカルを用いて半導体、金属、または絶縁体をエッチ
ングするドライエッチング方法において、上記第二の目
的を達成する手段に記載のラジカル発生方法を用いて上
記ラジカルを発生させることにより達成される。
【0019】
【作用】以下本発明の基本概念を図1と図2を用いて説
明する。上記第二の手段である電圧端子等で構成される
電圧供給手段120によりプラズマの電位を固定するこ
とができる。さらに同図には示されていないが第一の手
段によりプラズマと試料の間にプラズマより電位の高い
場所と低い場所が設けられている。これにより、プラズ
マから試料に向かう方向に正の成分を有する電界10
2、106と、試料からプラズマに向かう方向に正の成
分を有する電界103、107を発生させることができ
る。このうち電界102と106はプラズマ中の負の荷
電粒子を阻止し、一方電界103と107はプラズマ中
の正の荷電粒子を阻止する。これによりプラズマ中に存
在する正負の荷電粒子がいずれも試料に照射されなくな
り、荷電粒子による損傷を防ぐことができる。
【0020】プラズマを捕捉するプラズマ室の内壁が導
電性の場合、電圧供給手段120をプラズマ室の内壁と
電気的に接続すればよい。プラズマ室以外の真空容器の
主要部分は安全性の点から通常接地する必要がある。こ
の場合はプラズマ室をプラズマ室以外の真空容器の主要
部分から電気的に絶縁すればプラズマの電位を自由に調
節することができる。
【0021】プラズマ室の内壁が絶縁性の場合は、プラ
ズマの接する位置に導電性の部分を設け、この導電性の
部分の電位でプラズマの電位を調節してもよい。
【0022】図3は電圧分布を発生させる第一の手段と
して開口電極110をプラズマと試料の間に設けた場合
の一例を示す概念図である。開口電極には導電性の材料
からなるグリッド状の電極を用いれば良い。あるいはス
トライプ状の電極を用いても良い。あるいは導電性の板
に穴を設けたものを用いてもよい。これにより、電気的
に中性なラジカルやガス分子は通過するが荷電粒子は外
部より供給される電圧で阻止することができる。
【0023】例えば、試料の電位をプラズマより高く
し、プラズマよりラジカルを取り出す部分に設けた第一
の開口電極の電位をプラズマより低くすれば、プラズマ
と第一の開口電極の間の電界により負の荷電粒子が阻止
され、第一の開口電極と試料の間の電界により正の荷電
粒子が阻止される。
【0024】図4は電圧分布を発生させる第一の手段と
して二つの開口電極110、111をプラズマと試料の
間に設けた場合の一例を示す概念図である。例えば、試
料の電位をプラズマより高くし、プラズマよりラジカル
を取り出す部分に設けた第一の開口電極の電位をプラズ
マより低くし、さらに第二の開口電極の電位が試料と等
しいかあるいは試料より高くすれば、プラズマと第一の
開口電極の間の電界により負の荷電粒子が阻止され、正
の荷電粒子は第一の開口電極と第二の開口電極の間の電
界により阻止される。これにより、一つの開口電極を用
いる場合に比べより完全に荷電粒子の照射を防ぐことが
できる。
【0025】図3及び図4では試料の電位をプラズマよ
り高くしているが、これとは逆に、試料の電位をプラズ
マより低くしてもよい。この場合、第一の開口電極の電
位をプラズマより高くすれば、プラズマと第一の開口電
極の間の電界により正の荷電粒子が阻止され、負の荷電
粒子は第一の開口電極と試料、あるいは第一の開口電極
と第二の開口電極の間の電界により阻止される。しか
し、プラズマ中では通常負の荷電粒子である電子がもっ
とも大きい運動エネルギーを有するため、第一の開口電
極からもれる正の荷電粒子は負の荷電粒子を阻止する為
の大きな電圧で逆に加速され、高速で試料照射される。
このため試料のうける損傷が大きい。一方、図3と4で
示した通り第一の開口電極で負の荷電粒子を阻止する場
合は第一の開口電極からもれる負の荷電粒子が得る余分
の運動エネルギーは小さく、試料に与える損傷は小さ
い。
【0026】第一の開口電極をプラズマより低くし、さ
らに第二の開口電極の電位をプラズマより高くすれば、
試料の電位の如何にかかわらず試料への荷電粒子の照射
を防ぐことが可能である。これにより、試料の導電性が
小さく帯電しやすい、試料が電気的に絶縁されている等
の理由で試料の電位を制御できない場合でも荷電粒子の
試料への照射を防ぐことができる。なお、第一の開口電
極をプラズマより高くし、第二の開口電極の電位をプラ
ズマより低くしてもよい。ただし、この場合開口電極か
ら漏れる正の荷電粒子が高速で試料に照射されやすい問
題がある。
【0027】試料が配置された真空容器が導電性である
場合、真空容器の電位をプラズマより高くし、第一の開
口電極の電位をプラズマより低くしてもよい。この場
合、真空容器が真空容器の内部に作る電位分布により、
プラズマより電位の高い場所がプラズマと試料の間にで
きる。これにより真空容器内部へ荷電粒子が侵入できな
くなり、試料に照射されるのを阻止できる。この場合
も、試料の電位に関わらず荷電粒子の試料への照射を防
ぐことができる。さらにプラズマに対置して第一の開口
電極の前方に設けた第二の開口電極の電位を真空容器と
等しいかあるいは真空容器より高くすれば、真空容器内
部への荷電粒子の侵入をさらに完全に防ぐことができ
る。なお、真空容器の電位をプラズマより低くし、第一
の開口電極の電位をプラズマより高くしてもよいが、こ
の場合開口電極から漏れる正の荷電粒子が高速で試料に
照射されやすい問題がある。
【0028】プラズマより電位の高い場所と低い場所の
プラズマに対する電位差(電圧)はプラズマ中でのそれ
ぞれの荷電粒子の運動エネルギに従って調節する。プラ
ズマの発生をマイクロ波で行なった場合、負の荷電粒子
である電子の運動エネルギーがもっとも大きい。通常の
条件では負の荷電粒子を阻止する電圧は150ボルト以
上必要である。正の電荷をもつイオンのエネルギーはこ
れに比べて小さく、正の荷電粒子を阻止する電圧は40
ボルト以上であればよく、かつ負の荷電粒子を阻止する
電圧より小さい値でよい。
【0029】以上の方法によれば、プラズマ中の荷電粒
子の試料への照射を防ぐことができ、ラジカルを用いる
プロセスにおいて試料に与えられる損傷を低減すること
ができる。例えば半導体装置の製造工程のうち、水素ラ
ジカルや塩素ラジカルを用いて半導体表面をクリーニン
グする工程では、水素イオンや塩素イオンの照射により
新たな電子準位が発生し、伝導電子や正孔の濃度が変化
したり、これら電子・正孔の移動度が小さくなる問題が
なくなる。
【0030】半導体層を成長する際のn型もしくはp型
不純物をラジカル化して半導体層にドープさせる半導体
装置の製造方法において上記のラジカル発生方法を用い
れば、イオンや電子による損傷の導入を防ぐことがで
き、より高濃度のn型もしくはp型不純物層を成長する
ことができる。
【0031】超伝導薄膜を形成する際、酸化物超伝導薄
膜の構成元素である酸素を酸素ラジカルで供給する電子
装置の製造方法において、上記ラジカルの発生方法を用
いれば、酸素イオンや電子の照射による結晶損傷の導入
が阻止され、超伝導転移温度の高い超伝導薄膜が得られ
る。
【0032】従来の反応性ガスのプラズマ中に発生する
イオンを用いるエッチングにおいてはイオンや電子の照
射による試料への損傷の導入が避けられなかった。また
試料表面をプラズマと反対の方向に向けてイオンの照射
を防ぎ、裏面に周り込むラジカルでエッチングする方法
ではエッチング速度や異方性の低下が問題であった。し
かし、本発明によるラジカル発生方法を用いれば、イオ
ンの照射を防ぎながらラジカルの効率良く照射すること
ができるので、試料への損傷の導入が少なく、かつエッ
チング速度の高いエッチングが実現できる。しかも、プ
ラズマから試料に飛来するラジカルの方向性を利用して
異方性の高いエッチングも可能である。
【0033】前出のアサカワ等による文献およびスガタ
等の文献に開示されているように、従来、プラズマ中の
イオンを用いるドライエッチング方法でグリッドを設け
る場合があった。しかしこのグリッドはプラズマからイ
オンを引き出すために設けられたものである。一方本発
明の開口電極はイオンや電子等の荷電粒子を阻止するた
めのものであり、機能は従来例におけるグリッドとは全
く異なる。
【0034】
【実施例】
<実施例1>本発明の実施例1のラジカル発生装置を図
5に示した断面図を用いて説明する。本実施例のラジカ
ル発生装置はタングステンのグリッドからなる1つの開
口電極を有する。図中の符号1から11までは図15の
従来例と同等である。電圧端子23は導電性材料からな
るガス導入配管7および冷却水導入配管10を介してプ
ラズマ室6の内壁と電気的に接続している。この電圧端
子23はプラズマ室6の内部で発生させるプラズマの電
位を調節するのに用いる手段である。25はタングステ
ンのグリッドからなる開口電極である。開口電極25は
電圧供給手段である電圧導入端子27に電気的に接続さ
れており、この電圧導入端子より開口電極25に電圧を
供給することができる。21はラジカル発生装置本体を
真空容器に取付ける際のフランジである。22は絶縁体
であり、これによりラジカル発生装置の本体が真空容器
と電気的に絶縁され、端子23からプラズマへの電圧印
加が可能となっている。
【0035】図6はラジカル発生装置の使用方法を説明
する図であり、上記のラジカル発生装置を真空容器に取
付けた時の構成を示している。ラジカル発生装置本体は
フランジ21により真空容器32に取付けられている。
34は本実施例のラジカル発生装置の一部であり図5を
簡略化して示している。23、27、25は図5で説明
した通りである。電圧導入端子27と電圧端子23には
電源29が接続されている。試料の電位を固定する手段
である電圧導入端子37は導線38、試料固定治具31
を通して試料に電気的に接続している。この電圧導入端
子37と電圧端子23には電源24が接続されている。
【0036】次に、以上の装置を用いてラジカルを発生
させる方法を説明する。まずプラズマを発生させるが、
その方法は従来例で説明したとおりである。つぎに、電
源24を用い電圧端子37に比べ負である電圧を電圧導
入端子23に印加する。これにより試料の電位はプラズ
マより高くなり、プラズマから発生する正の荷電粒子を
阻止することができる。さらに、電源29を用い電圧端
子23に比べ負である電圧を電圧導入端子27に印加す
る。これにより開口電極25の電位はプラズマより低く
なり、プラズマから発生する負の荷電粒子を阻止するこ
とができる。これにより試料に照射される荷電粒子を低
減することができる。
【0037】言うまでもないが、各端子間の電圧が同じ
であれば、電源29及び24の接続方法は上述の通りで
なくてもよい。
【0038】以上の方法により、水素ラジカル、塩素ラ
ジカル、フッソラジカル、窒素ラジカル、酸素ラジカル
等さまざまなラジカルを発生させることができる。原料
ガスとして、所望のラジカルを発生しうるガスを用いれ
ばよい。
【0039】次に、本実施例の装置により発生させる水
素ラジカルをGaAs表面のクリーニングに用いる場合につ
いて説明する。試料であるGaAs基板を真空容器32内の
試料固定治具31に固定する。GaAs表面は酸化シリコン
等の絶縁膜でパターニングしてあってもよい。つぎに試
料を200℃乃至500℃に加熱して、本実施例の装置
を用いて発生させた水素ラジカルを試料表面に照射す
る。これにより表面の酸化物やその他の汚染物が除去さ
れる。電子や水素イオンが表面に照射されないので、半
導体に損傷を与えることなく表面のクリーニングを行う
ことができる。
【0040】本実施例の装置で発生させる塩素ラジカル
を用いて表面のクリーニングを行なってもよい。塩素ラ
ジカルを半導体表面に照射すると表面の汚染物が除去さ
れるだけでなく、表面の半導体がエッチングされる。こ
れにより以前の工程で導入された表面の欠陥層が除去さ
れ、その上に成長する半導体との界面の高品質化ができ
る。しかも本実施例によれば荷電粒子の照射がないので
新たに欠陥が導入される心配はない。
【0041】次に、本実施例の装置を用い、半導体表面
のクリーニングに引き続いて別の半導体層を成長させる
場合について説明する。この場合、図6の装置で半導体
表面のクリーニングを前記の通り行なった後、引き続い
て原料供給手段35及び36を用いて半導体層を成長す
れる。これにより同一真空容器で表面のクリーニングと
半導体層の成長を行なうことができる。例えば、GaAsを
成長する場合、35を単体ガリウムを原料とする分子線
セル、36を単体ヒ素を原料とする分子線セルとすれば
よい。あるいは、35及び36によりガス状の原料を供
給してもよく、例えば、トリメチルガリウム、アルシン
を供給してもよい。後者の場合は、絶縁膜でパターニン
グした表面に選択的にGaAsを成長することができる。ク
リーニングにおいて本実施例によるラジカル発生装置を
用いればクリーニングによる半導体基板への損傷がない
ので、良好な再成長界面が得られる。
【0042】図6の装置を用いて半導体層を成長する間
に同時に水素ラジカルを照射しても良い。水素ラジカル
照射下で半導体層を成長すると、水素が半導体層の欠陥
準位に作用して不活性化する効果がある。さらに半導体
層の原料として固体原料から得られる分子線を用いる場
合、絶縁膜によるパターニングを施した場合半導体表面
にのみ選択的に半導体層を成長させることができる。こ
こで、本実施例のラジカル発生装置を用いた場合は電子
やイオンの照射による新たな欠陥の発生がないので、良
好な半導体結晶を成長することができる。
【0043】<実施例2>つぎに本発明の実施例2のラ
ジカル発生装置を図7及び図8を用いて説明する。図7
に示したように本実施例では実施例1で説明したラジカ
ル発生装置(図5)にさらに第二の開口電極26、およ
びこの第二の開口電極に電圧を供給するための電圧導入
端子28が付加されている。その他の符号のうち符号1
から11は図15で説明した通りである。また符号2
1、22、23、25、27は図5で説明した通りであ
る。
【0044】図8は本実施例のラジカル発生装置の使用
方法を説明する図であり、図7のラジカル発生装置を真
空容器に取付けた時の構成を示している。図6の構成図
との主な違いは電源24が電圧導入端子28にも接続さ
れている点である。
【0045】次に以上の装置を用いてラジカルを発生さ
せる方法を説明する。まずプラズマを発生させるが、そ
の方法は従来例で説明したとおりである。つぎに、電源
24を用い電圧導入端子37と28に比べ負である電圧
を電圧端子23に印加する。これにより試料30と第二
の開口電極26の電位はプラズマより高くなり、プラズ
マから発生する正の荷電粒子を阻止することができる。
さらに、電源29を用い電圧端子23に比べ負である電
圧を電圧導入端子27に印加する。これにより開口電極
25の電位はプラズマより低くなり、プラズマから発生
する負の荷電粒子を阻止することができる。これにより
電気的に中性なラジカルのみ効率良く取り出され、含ま
れる荷電粒子を大幅に低減することができる。さらに、
第二の開口電極26と試料38は同電位であるのでこれ
らの間には電界が発生しない。従って、第一もしくは第
二の開口電極から漏れる荷電粒子が試料に引き寄せられ
る心配もない。
【0046】言うまでもないが、各端子間の電圧が同じ
であれば、電源29及び24の接続方法は上述の通りで
なくてもよい。
【0047】ここで、本実施例による装置を用いて水素
ラジカルを発生させた場合の測定結果を説明する。図1
2はプラズマ電圧を0Vおよび−60Vとした場合の発
生する荷電粒子線の電流密度のグリッド電圧依存性を示
す。ここでプラズマ電圧とは図8において電圧導入端子
28と電圧端子23の間の電圧(試料と電圧端子23の
間の電圧と同等)であり、電源24で供給される。また
グリッド電圧とは図8において電圧導入端子27と電圧
端子23の間の電圧であり、電源29で供給される。原
料ガスとして水素を用い、流量を約1sccmとした。
またマイクロ波の周波数は2.45GHz、電力は60
Wとした。プラズマ電圧、グリッド電圧ともにゼロでは
荷電粒子線の電流密度は負である。これはおもに電子線
による電流であり電流密度は400μA/cm2以上で
ある。グリッドに負の電圧を印加すると電子線が阻止さ
れ負の電流は小さくなる。プラズマ電圧が−60Vの場
合も同様である。図13はプラズマ電圧を0Vから−6
0Vまで10V刻みで変えた時の荷電粒子線の電流密度
のグリッド電圧依存性を示す。縦軸は図12より拡大し
てある。プラズマ電圧がゼロの場合、グリッド電圧<−
100Vでは荷電粒子線の電流密度は正の値(3μA/
cm2程度)となるのがわかる。これは開口電極で電子
が阻止されるが正電荷をもつ水素イオンは通過するため
である。この水素イオンによる電流はプラズマ電圧を印
加することにより小さくできる。グリッド電圧≦−15
0、プラズマ電圧≦−40Vでは電流密度はほとんどゼ
ロとなり、電子とイオンがともに除去されていることが
わかる。この条件では、プラズマからは電気的に中性で
ある水素ラジカルのみ取り出される。
【0048】以上では第二の開口電極は試料と同電位と
したが、試料より電位を高くしてもよい。この場合新た
な電源を用い試料に比べ正である電圧を第二の開口電極
に印加すればよい。
【0049】以上、水素ラジカルを発生させる場合につ
いて説明したが、その他のラジカルを発生させる場合も
同様である。例えば、塩素ラジカル、フッソラジカル、
窒素ラジカル、酸素ラジカル等を発生させることもでき
る。原料ガスとして、所望のラジカルを発生しうるガス
を用いればよい。いずれの場合も含まれる荷電粒子の少
ないラジカルを得ることができる。水素を原料ガスに用
いる場合、負のイオンはほとんど発生しないが、塩素、
フッ素ガス等を原料ガスに用いる場合、負のイオンも発
生する。しかし、マイクロ波で発生させるプラズマ中で
の負のイオンの運動エネルギーは電子の運動エネルギー
より小さいので、電子線を阻止するのに必要なグリッド
電圧で負のイオンを阻止するのに十分であり、負のイオ
ンが試料に照射される問題はない。
【0050】本実施例の装置を用いて半導体表面のクリ
ーニングを行なう場合、半導体成長中に水素ラジカルを
照射する場合については実施例1で説明した通りであ
る。
【0051】<実施例3>次に本発明の実施例3のラジ
カル発生方法を図9を用いて説明する。図9は二つの開
口電極を有する図7のラジカル発生装置を真空容器に取
付けた時の構成を示している。実施例2(図8)と本実
施例の違いは、本実施例ではプラズマや開口電極の電位
を試料に対して特定しない点である。
【0052】図9の装置を用いてラジカルを発生させる
方法を説明する。まずプラズマを発生させるが、その方
法は従来例で説明したとおりである。つぎに、電源29
を用い電圧端子23に比べ負である電圧を電圧導入端子
27に印加する。これにより開口電極25の電位はプラ
ズマより低くなり、プラズマから発生する負の荷電粒子
を阻止することができる。さらに、電源24を用い電圧
端子23に比べ正である電圧を電圧導入端子28に印加
する。これにより第二の開口電極26の電位はプラズマ
より高くなり、プラズマから発生する正の荷電粒子を阻
止することができる。これにより電気的に中性なラジカ
ルのみ効率良く取り出され、含まれる荷電粒子を大幅に
低減することができる。
【0053】言うまでもないが、各端子間の電圧が同じ
であれば、電源29及び24の接続方法は上述の通りで
なくてもよい。
【0054】本実施例に従えば、試料の電位の固定が困
難な場合、例えば試料の導電性が小さい場合でもラジカ
ル中に含まれる荷電粒子を低減することができる。
【0055】本実施例の装置を用いて半導体表面のクリ
ーニングを行なう場合、半導体成長中に水素ラジカルを
照射する場合については実施例1で説明した通りであ
る。
【0056】<実施例4>次に本発明の実施例4のラジ
カル発生方法を図10を用いて説明する。本実施例は、
プラズマや開口電極の電位の基準を真空容器にした場合
の一実施例である。
【0057】図10は一つの開口電極を有する図5のラ
ジカル発生装置を真空容器に取付けた時の構成を示して
いる。以下、図10を用いてラジカルを発生させる方法
を説明する。まずプラズマを発生させるが、その方法は
従来例で説明したとおりである。つぎに、電源24を用
い真空容器32とに電気的に接続した電圧端子70に対
し負である電圧を電圧端子23に印加する。これにより
真空容器32の電位がプラズマより高くなり、プラズマ
から発生する正の荷電粒子が真空容器内部の試料位置ま
で侵入するのを阻止することができる。さらに、電源2
9を用い電圧端子23に比べ負である電圧を電圧導入端
子27に印加する。これにより開口電極25の電位がプ
ラズマより低くなり、プラズマから発生する負の荷電粒
子を阻止することができる。これにより電気的に中性な
ラジカルのみ効率良く試料に照射することができる。
【0058】図10に示したように、ラジカル発生部が
に真空容器32の内壁に近接するようにラジカル発生装
置を取付けると、荷電粒子が真空容器中心部に侵入する
のを効率良く阻止することができる。
【0059】言うまでもないが、各端子間の電圧が同じ
であれば、電源29及び24の接続方法は上述の通りで
なくてもよい。
【0060】通常真空容器は接地されているが、本実施
例で用いている図5のラジカル発生装置では、真空容器
に取付けるためのフランジ21が電圧端子23と絶縁体
22で電気的に分離されている。従ってプラズマは真空
容器に対し電気的に絶縁されるので、真空容器とプラズ
マの間に電圧を印加することができる。
【0061】本実施例では試料31の電位の如何によら
ず荷電粒子が試料に照射されるのを防ぐことができる。
【0062】本実施例の装置を用いて半導体表面のクリ
ーニングを行なう場合、半導体成長中に水素ラジカルを
照射する場合については実施例1で説明した通りであ
る。
【0063】<実施例5>次に本発明の実施例5のラジ
カル発生方法を図11を用いて説明する。本実施例も、
プラズマや開口電極の電位の基準を真空容器にした場合
の一実施例である。
【0064】図11は二つの開口電極を有する図7のラ
ジカル発生装置を真空容器に取付けた時の構成を示して
いる。以下、図11を用いてラジカルを発生させる方法
を説明する。まずプラズマを発生させるが、その方法は
従来例で説明したとおりである。つぎに、電源24を用
い電圧導入端子28と70に比べ負である電圧を電圧端
子23に印加する。これにより真空容器と第二の開口電
極26の電位がプラズマより高くなり、プラズマから発
生する正の荷電粒子は第二の開口電極と真空容器が作る
高い電位により阻止される。さらに、電源29を用い電
圧端子23に比べ負である電圧を電圧導入端子27に印
加する。これにより第一の開口電極25の電位がプラズ
マより低くなり、プラズマから発生する負の荷電粒子を
阻止することができる。これにより電気的に中性なラジ
カルのみ効率良く試料に照射することができる。
【0065】第二の開口電極26は真空容器32と同電
位となっている。このため第一、第二の開口電極から漏
れる荷電粒子が真空容器内部に侵入するのを効率良く防
ぐことができる。特に図11に示したように、ラジカル
発生部分が真空容器32の内壁に近接するようにラジカ
ル発生装置を真空容器に取付けると、漏れた荷電粒子が
真空容器中心部に侵入するのを効率良く阻止することが
できる。
【0066】言うまでもないが、各端子間の電圧が同じ
であれば、電源29及び24の接続方法は上述の通りで
なくてもよい。
【0067】以上では第二の開口電極は真空容器と同電
位としたが、真空容器に対し正の電位としてもよい。こ
の場合新たな電源を用い真空容器に対し正である電圧を
第二の開口電極に印加すればよい。
【0068】通常真空容器は接地されているが、本実施
例で用いている図5のラジカル発生装置では、真空容器
に取付けるためのフランジ21が電圧端子23と絶縁体
22で電気的に分離されている。従ってプラズマは真空
容器に対し電気的に絶縁されるので、真空容器とプラズ
マの間に電圧を印加することができる。
【0069】本実施例では試料31の電位の如何によら
ず荷電粒子が試料に照射されるのを防ぐことができる。
【0070】本実施例の装置を用いて半導体表面のクリ
ーニングを行なう場合、半導体成長中に水素ラジカルを
照射する場合については実施例1で説明した通りであ
る。
【0071】<実施例6>次に、半導体装置の製造方法
に関する一実施例を説明する。本実施例はレーザの製造
等の製造工程におけるセレン化亜鉛等のII-VI族半導体
の度ドーピング方法に関するものである。装置は図6、
または図9から図11に示した装置のいずれを用いても
よい。各図において、原料供給手段35および36を用
いて、半導体の主要構成元素を供給して、基板である3
0の上に半導体層を成長する。以下セレン化亜鉛を成長
する場合で説明する。原料供給手段としては固体セレン
と固体亜鉛を原料とする分子線セルを用いればよい。ガ
ス状の原料、例えばセレン化水素、ジメチル亜鉛等を用
いる場合は、ガス導入手段やガスの熱分解手段(いわゆ
るクラッキングセル)等を用いればよい。GaAs基板上に
上記原料供給手段を用いてセレン化亜鉛層を成長する
際、p型不純物である窒素をラジカル状態で供給して成
長中のセレン化亜鉛層にドープする。窒素ラジカルの発
生には実施例1から6で説明したラジカル発生方法のい
づれかの方法を用いる。
【0072】従来のラジカル発生方法で窒素ラジカルを
発生させた場合、ラジカル以外に窒素イオンや電子等の
荷電粒子がセレン化亜鉛層に照射され、これによりセレ
ン化亜鉛層中に発生する欠陥準位により窒素によるアク
セプタが補償される。このためセレン化亜鉛中の正孔濃
度に限界があった。従来の方法では正孔濃度は8x10
17/cm3程度が限界であった。しかし本実施例のラジ
カル発生方法によれば、荷電粒子の照射がないので、従
来より高濃度のp型ドープが可能となった。本実施例で
は正孔濃度は2x1018/cm3であった。
【0073】以上ではセレン化亜鉛に窒素ラジカルによ
るp型ドープを行なう場合について説明したが、この他
のII-VI族半導体、例えばII元素として亜鉛のほかマグ
ネシウム、カドミウム、ベリリウム、カルシウム等、VI
族元素としてセレンのほか硫黄、テルル等から構成され
る半導体やこれらの半導体の混合物に窒素ラジカルによ
るp型ドープを行なう場合も同様である。3つ以上の原
料を用いる場合は必要に応じて原料供給手段を装置に付
加すればよい。
【0074】図16は以上に述べたII-VI族半導体層の
ドーピング方法を用いて作成した半導体レーザの断面構
造である。作成方法は以下の通りである。まずn型Ga
As基板200上に分子線エピタキシー法によりn型G
aAsバッファ層201、n型ZnMgSSe層20
2、n型ZnSSe層203、ZnCdSe層204、
p型ZnSSe層205、p型ZnMgSSe層20
6、p型ZnSe層207を順次成長する。その際、p
型ZnSSe層205、p型ZnMgSSe層206、
p型ZnSe層207をp型ドープするため、本実施例
に従い各層を成長する間に窒素ラジカルを照射し窒素を
ドープする。ただし、p型ZnSSe層205、p型Z
nMgSSe層206のキャリア濃度は3x1017/c
3、p型ZnSe層207のキャリア濃度は2x10
18/cm3とした。なお、n型ZnMgSSe層20
2、n型ZnSSe層203のキャリア濃度は2x10
17/cm3である。またZnCdSe層204の混晶比
は、ZnSeが0.8、CdSeが0.2である。次い
で、電流狭窄構造を形成するため、余分なp型ZnSe
層207とp型ZnMgSSe層206を除去した後、
その部分を多結晶ZnS208で埋める。次いでチタン
と金の二層からなる電極209とインジウムからなる電
極210を形成する。最後にへき開により共振器端面を
形成すればレーザの基本構造が完成する。
【0075】以上に示したレーザではp型ZnSe層2
07のキャリア濃度が2x1018/cm3と高い。この
ため電極209との接触抵抗が低く従来より動作電圧の
小さい半導体レーザが得られた。またp型ZnSSe層
205、p型ZnMgSSe層206のドープに際して
導入される欠陥が従来に比べ大幅に低減され、欠陥準位
を介する非発光再結合が低減された。このため、レーザ
発振に必要なしきい値電流の小さい半導体レーザが得ら
れ、また半導体レーザの寿命も大幅に向上した。
【0076】本実施例によるII-VI族半導体層のドーピ
ング方法はレーザ以外の電子装置、例えば受光・発光素
子、トランジスタ等にも応用できることは言うまでもな
い。
【0077】<実施例7>次に、電子装置の製造方法に
関する別の実施例である超伝導装置の製造方法を説明す
る。本実施例では酸化物超伝導薄膜を成長する際に主要
構成元素の一つである酸素をラジカル状態で供給する。
装置は図6、または図9から図11に示した装置のいず
れを用いてもよい。酸素ラジカルは実施例1から5で説
明したラジカル発生方法のいづれかの方法を用いて発生
させ、試料に供給する。その他の元素は各図の原料供給
手段35および36を用いて供給する。3つ以上の原料
供給手段が必要な場合はそれに応じて原料供給手段を付
加すればよい。例えば酸化物超伝導薄膜としてイットリ
ウム・バリウム・銅酸化物を成長する場合、バリウムの
供給手段として分子線セルを用い、イットリウム、銅の
供給手段として電子線衝撃による蒸着源を用いる。70
0℃程度に加熱した基板にこれらの原料を供給すれば、
超伝導薄膜が得られる。従来のラジカル発生方法で酸素
ラジカルを発生した場合、荷電粒子の衝撃で超伝導薄膜
に損傷が導入され、超伝導転移温度が低下する問題がが
った。しかし、本実施例の方法で作成した超伝導薄膜で
は超伝導転移温度の低下はない。
【0078】以上の方法で作成した超伝導薄膜を例えば
電極、配線等に用いて電子装置を製造すれば、安定した
超伝導状態が得られるため、特性の安定した電子装置が
得られる。
【0079】<実施例8>次に、本発明によるドライエ
ッチング方法の一実施例を説明する。図14は半導体ウ
エハのように面積の大きい試料のエッチングに用いる装
置の概略図である。以下、本装置を半導体のエッチング
に用いる場合について説明する。導波管40よりプラズ
マ室41に供給されるマイクロ波により原料ガス導入配
管42よりプラズマ室41に導入される塩素ガスをプラ
ズマ化する。43はプラズマ中の電子を加速し、プラズ
マの密度を高くするための磁石である。60は多数の微
細な開口を有するオリフィスである。44および45は
金属線、例えばタングステン線からなるグリッド、また
は多数の開口を有する導電性板、例えばグラファイト
板、等からなる開口電極であり、絶縁体46、47およ
び48により装置の他の部分から電気的に絶縁されてい
る。49、50、51はプラズマ室と二つの開口電極に
電圧を供給するための端子である。
【0080】次に本エッチング装置の使用方法を説明す
る。端子49と50に電源52を接続し、これによりプ
ラズマ室41に対し負である電圧を開口電極44に供給
する。この電圧により電子、および負の塩素イオンが阻
止される。さらに、端子49と51の間に電源53を接
続し、これにより開口電極45に対し負である電圧をプ
ラズマ室41に供給する。この電圧の印加によりプラズ
マ中の正のイオンを阻止することができる。これにより
プラズマより電気的に中性な塩素ラジカルのみ取り出し
試料に照射することができる。この塩素ラジカルにより
試料である半導体をエッチングすることができる。図1
4中、56は試料固定治具、57はラジカル線を示す記
号、58はチャンバ54中のガスが排気される方向を示
す記号である。
【0081】図14では端子51は端子61にも接続さ
れており、開口電極45はチャンバ54と同電位であ
る。従って、この場合絶縁体48はなくてもよい。この
ほか、開口電極45の電位をチャンバ54に対し正とし
てもよい。これには、端子61と端子51の間に所望の
電圧を供給すればよい。
【0082】反応性ガスによる腐食を低減するためにプ
ラズマ室の内壁に石英等の絶縁性の材料を用いる場合
は、プラズマ室内部に導電性材料からなる電極を設ける
か、プラズマ室内壁あるいはプラズマを捕捉している隔
壁の少なくとも一部あるいはラジカルを取り出すオリフ
ィス等を導電性材料で作製し、該導電性材料部分に電圧
が供給されるようにする。例えば、図14でプラズマ室
内壁を石英で作製する場合は、オリフィス60を導電性
材料とし、端子49より導入される電圧が該オリフィス
に供給されるようにしてもよい。
【0083】本実施例で、オリフィス60の開口面積を
調節しプラズマ室とチャンバの圧力差を十分大きくすれ
ば、オリフィスの開口より噴出するラジカルの指向性が
高くなる。このラジカルによる粒子線の指向性を用いれ
ば従来のイオンを用いる場合と同様に異方性のエッチン
グを行うことができる。オリフィスの開口を広範囲に多
数配置すれば大面積の試料の異方性の加工が可能とな
る。
【0084】また、開口電極44もしくは45の開口面
積を調節してラジカルの指向性を調節してもよい。この
場合はオリフィス60はなくてもよい。
【0085】従来のプラズマ中のイオンを用い半導体に
照射しエッチングする方法では、半導体がイオンの衝撃
による損傷を受け、内部に欠陥を生じる問題があった。
この方法では通常深さ50nm程度の損傷が導入され
た。しかし、本発明では運動エネルギーの小さいラジカ
ルのみ用いてエッチングするため、半導体の損傷を極め
て小さくすることができる。反応性ガスとして塩素ガス
を用いてGaAsをエッチングした場合、損傷深さは5
nm以下であった。またエッチングレートは約100n
m/minであった。
【0086】本エッチング方法を半導体素子や集積回路
の製造に用いれば、損傷に伴う電子準位の発生がなくな
り、特性劣化のない半導体素子や集積回路を製造するこ
とができる。
【0087】以上の実施例では、塩素ラジカルを用いて
エッチングを行う場合について説明したが、このほかの
ラジカル、例えばフッ素、臭素、有機ガスやフロン系ガ
スのラジカル等を用いる場合も同様である。所望のラジ
カルを発生するガスを原料ガスに使用すればよい。さら
に、半導体以外の材料たとえば金属や絶縁体のエッチン
グに用いる場合も同様である <実施例9>次に、実施例8で示したドライエッチング
方法を化合物半導体ヘテロ接合バイポーラトランジスタ
の製造に用いた場合の例を図17及び図18を用いて説
明する。まず半絶縁性ガリウムヒ素基板300上に分子
線エピタキシー法によりn型ガリウムヒ素からなるコレ
クタ層301、p型ガリウムヒ素からなるベース層30
2、n型アルミニウムガリウムヒ素からなるエミッタ層
303を順次成長した後、エミッタ電極304を形成す
る(図17(a))。ただしベース層302の厚さは3
0nm、エミッタ層303の厚さは200nmとした。
次いで該エミッタ電極304をマスクにしてエミッタ層
303をエッチングする(図17(b))。このエッチ
ングは、塩素ガスを原料ガスに用いて実施例8に示した
方法で行なった。次いでエミッタ電極304とエミッタ
層303の側面に絶縁体からなる側壁305を形成した
後、ベース電極306を形成する(図18(a))。最
後に周辺のベース層302を除去してコレクタ層301
を露出させコレクタ電極307を形成すればバイポーラ
トランジスタが完成する(図18(b))。
【0088】以上の製造工程におけるエミッタ層303
のエッチングで導入される欠陥は少なく、従来のプラズ
マエッチングで行なった場合に比べ欠陥準位を介するキ
ャリアの再結合がなくなり電流増幅率の大きいバイポー
ラトランジスタが得られた。また外部ベース層の抵抗の
増大もなく高速のバイポーラトランジスタが得られた。
【0089】本実施例ではアルミニウムガリウムヒ素と
ガリウムヒ素からなるバイポーラトランジスタの場合に
ついて説明したが、インジウムリン、インジウムガリウ
ムヒ素、インジウムアルミニウムヒ素、インジウムガリ
ウムヒ素リン等他の化合物半導体を用いた場合について
も同様である。インジウムを含む半導体をエッチングす
る場合は臭素ラジカルを用いるとエッチングレートの高
い良好なエッチングが行なえる。
【0090】以上ではバイポーラトランジスタの製造に
本発明を用いる場合について説明したが、この素子を作
成に本発明を用いてもよく、欠陥準位の少ない良好な素
子が得られる。例えば化合物半導体ヘテロ接合を利用す
る電界効果型トランジスタのゲートリセスエッチングに
用いればトランジスタのチャネル部分への損傷がなく、
チャネルのキャリア濃度や移動度の低下を防ぐことがで
き、高速のトランジスタを再現性よく製造することがで
きる。
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、原料をプラズマ化して
ラジカルを発生させるラジカル発生方法において、含ま
れるイオンや電子の量を低減させることができる。また
ラジカルを照射する工程を有する半導体や電子装置の製
造工程において本発明のラジカル発生方法を用いればイ
オンや電子の衝撃による試料の損傷を小さくすることが
でき、電気的特性の良好な半導体装置や電子装置を製造
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念の説明図である。
【図2】本発明の概念の説明図である。
【図3】本発明の概念の説明図である。
【図4】本発明の概念の説明図である。
【図5】本発明の一実施例であるラジカル発生装置の断
面図である。
【図6】本発明の一実施例であるラジカル発生装置を真
空容器に取り付けた場合の装置構成とラジカル発生装置
の使用方法を示す図である。
【図7】本発明の一実施例であるラジカル発生装置の断
面図である。
【図8】本発明の一実施例であるラジカル発生装置を真
空容器に取り付けた場合の装置構成とラジカル発生装置
の使用方法を示す図である。
【図9】本発明の一実施例であるラジカル発生装置を真
空容器に取り付けた場合の装置構成とラジカル発生装置
の使用方法を示す図である。
【図10】本発明の一実施例であるラジカル発生装置を
真空容器に取り付けた場合の装置構成とラジカル発生装
置の使用方法を示す図である。
【図11】本発明の一実施例であるラジカル発生装置を
真空容器に取り付けた場合の装置構成とラジカル発生装
置の使用方法を示す図である。
【図12】本発明による装置を用い水素ラジカルを発生
させた場合の、荷電粒子の電流密度とグリッド電圧およ
びプラズマ電圧との関係を示す図である。
【図13】本発明による装置を用い水素ラジカルを発生
させた場合の、荷電粒子の電流密度とグリッド電圧およ
びプラズマ電圧との関係を示す図である。
【図14】本発明の一実施例であるドライエッチング方
法を示す図である。
【図15】従来のラジカル発生装置の断面図である。
【図16】本発明によるラジカル照射方法を用いて作製
した半導体レーザの断面構造図である。
【図17】本発明によるラジカル照射方法を用いるヘテ
ロ接合バイポーラトランジスタの製造工程の一部の断面
図である。
【図18】本発明によるラジカル照射方法を用いるヘテ
ロ接合バイポーラトランジスタの製造工程の一部の断面
図である。
【符号の説明】
1…マイクロ波導入端子、2…内導体、3…外導体、4
…石英管、5…アンテナ、6…プラズマ室、7…ガス導
入配管、8…磁石、9…オリフィス、10…冷却水導入
配管、11…水槽、21…フランジ、22…絶縁体、2
3…電圧端子、24…電源、25…開口電極、26…開
口電極、27…電圧導入端子、28…電圧導入端子、2
9…電源、30…試料、31…試料固定治具、32…真
空容器、34…ラジカル発生装置の一部、35…原料供
給手段、36…原料供給手段、37…電圧導入端子、3
8…導線、39…ガスが排気される方向を示す記号、4
0…導波管、41…プラズマ室、42…原料ガス導入配
管、43…磁石、44.開口電極、45.開口電極、4
6.絶縁体、47.絶縁体、48.絶縁体、49…端
子、50…端子、51…端子、52…電源、53…電
源、54…真空容器、55…試料、56…試料固定治
具、57…ラジカル線を示す記号、58…ガスが排気さ
れる方向を示す記号、60…オリフィス、61…端子、
70…電圧端子、100…プラズマ、101…試料、1
02…電界を示す記号、103…電界を示す記号、10
4…負の荷電粒子を示す記号、105…正の荷電粒子を
示す記号、106…電界を示す記号、107…電界を示
す記号、108…正の荷電粒子を示す記号、109…負
の荷電粒子を示す記号、110…開口電極、111…開
口電極、120…電圧供給手段、200…n型GaAs
基板、201…n型GaAsバッファ層、202…n型
ZnMgSSe層、203…n型ZnSSe層、204
…ZnCdSe層、205…p型ZnSSe層、206
…p型ZnMgSSe層、207…p型ZnSe層、2
08…多結晶ZnS、209…電極、210…電極、3
00…半絶縁性ガリウムヒ素基板、301…コレクタ
層、302…ベース層、303…エミッタ層、304…
エミッタ電極、305…側壁、306…ベース電極、3
07…コレクタ電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/302 21/304 341 D M H05H 1/46 A 9014−2G 3/02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】開口部を有するプラズマ発生室で原料をプ
    ラズマ化し、該プラズマ中のラジカルを上記開口部から
    取り出して利用するラジカル発生装置において、上記開
    口部から取り出されたラジカルの通過部を有しかつ電圧
    の印加が可能な第1の手段と、上記プラズマに電圧を供
    給可能な第2の手段を有することを特徴とするラジカル
    発生装置。
  2. 【請求項2】上記第2の手段は上記プラズマ室と電気的
    に接続されている請求項1記載のラジカル発生装置。
  3. 【請求項3】上記第1の手段の上記ラジカル通過方向の
    形状はグリッド状である請求項1又は2に記載のラジカ
    ル発生装置。
  4. 【請求項4】原料をプラズマ化してラジカルを発生さ
    せ、これを試料に照射するラジカル照射方法において、
    上記プラズマから上記試料までの間に、上記プラズマの
    電位より高い電位の場所と低い電位の場所とが存在する
    ような電圧分布にして上記ラジカルを発生をさせること
    を特徴とするラジカル照射方法。
  5. 【請求項5】上記プラズマの電位より高い電位の場所は
    上記試料である請求項4記載のラジカル照射方法。
  6. 【請求項6】水素もしくは塩素を含む原料をプラズマ化
    して水素ラジカルもしくは塩素ラジカルを発生させ、こ
    れを半導体表面に照射して該表面を清浄化する工程を有
    する半導体装置の製造方法において、請求項4又は5に
    記載のラジカル照射方法を用いて上記ラジカルを照射す
    ることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】n型もしくはp型不純物を含む原料をプラ
    ズマ化してn型もしくはp型不純物のラジカルを発生さ
    せ、これを成長中の半導体層にドープする工程を有する
    半導体装置の製造方法において、請求項4又は5に記載
    のラジカル照射方法におけるラジカル発生方法を用いて
    上記ラジカルを発生させることを特徴とする半導体装置
    の製造方法。
  8. 【請求項8】プラズマ中に存在するラジカルを用いるド
    ライエッチング方法を用いて半導体、金属、絶縁体の少
    なくとも1つをエッチングする工程を有する半導体装置
    の製造方法において、請求項4又は5に記載のラジカル
    照射方法におけるラジカル発生方法を用いて上記ラジカ
    ルを発生させることを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
  9. 【請求項9】酸素を含む原料をプラズマ化して酸素ラジ
    カルを発生させ、これを成長中の酸化物超伝導薄膜の酸
    素供給源として用いて酸化物超伝導薄膜を形成する工程
    を有する電子装置の製造方法において、請求項4又は5
    に記載のラジカル照射方法におけるラジカル発生方法を
    用いて上記ラジカルを発生させることを特徴とする電子
    装置の製造方法。
  10. 【請求項10】プラズマ中に存在するラジカルを用いて
    半導体、金属、または絶縁体をエッチングするドライエ
    ッチング方法において、請求項4又は5に記載のラジカ
    ル照射方法におけるラジカル発生方法を用いて上記ラジ
    カルを発生させることを特徴とするドライエッチング方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021530876A (ja) * 2018-07-27 2021-11-11 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials, Incorporated 改良されたイオンブロッカを備えた遠隔容量結合プラズマ源

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JP2021530876A (ja) * 2018-07-27 2021-11-11 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials, Incorporated 改良されたイオンブロッカを備えた遠隔容量結合プラズマ源

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