JPH0726272Y2 - 積重ねトレイなどの容器の自動分離放出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、給食用トレイなどの容器を多数積み重ねて
ほぼ垂直に収容保持し、この積重ね容器をその最下位の
容器より１個ずつ自動的に分離放出して、例えば食器自
動洗浄機などにおける搬送コンベヤ上に自動的に載せる
ようにした装置に関する。

「従来の技術」 従来、交互に進退する上下の進退アームにより、保持枠
上に多数積み重ねた容器を順次下のものから１枚づつ分
離して放出落下させるようにした容器自動分離装置が知
られている。

「考案が解決しようとする問題点」 しかしながら、上記従来の分離装置においては積重ね容
器の最下位の容器を後端縁を支受する部材が単なる斜め
下向きの板片であるため、最下位容器の分離放出時に容
器が円滑に離れ難く、容器が縦向きにあるいは反転して
落下し、下方のコンベヤなどに不規則に載せられる欠点
があった。

また、従来の装置においては最下位の容器の後端縁を支
受する部材が固定的に設置されているため、サイズの異
なる容器の自動分離に適応できないという問題もあっ
た。

「問題を解決するための手段」 この考案は上記の従来の課題を解決するために、最下位
の容器の後端縁を支受する部材をローラとすると共に、
この支受ローラを前後に移動自在として、大小サイズの
異なる容器に対応して分離放出できるようにした装置を
提案するものである。

「作用」 先ず、積重ねた容器１の前後方向のサイズに合わせて、
この容器１の周縁３における前後端部11,12が前進時の
進退アーム8,9の先端の係止部6,7と、支受ローラ４に係
止支受されるように、調節部材27を前後方向にスライド
調節して、調節ネジ28,29により保持枠２の内側面に固
定する。

そして、第７図に示すように、上方より保持枠２上に多
数積み重ねた容器１の最下位の容器Ａを、その周縁３に
おける後端部11と前端部12を支受ローラ４と、前進した
下部の進退アーム９の先端の係止部７とによってほぼ水
平に支受して積み重ねた容器１全体を保持する。

そして、第８図に示すように進退アーム８、９中の上部
の進退アーム８をパワーシリンダ21により前方に進出さ
せると共に、その先端の係止部６を最下位のＡ容器の周
縁３の前端部12と、その上に積重ねたＢ容器の周縁３の
前端部12′との重ね合せ隙間中に嵌入させてＢ容器を係
止支受した直後に、第９図に示すようにパワーシリンダ
22により下部の進退アーム９を後退させ、その係止部７
よりＡ容器を分離して放出落下させる。

このときＡ容器の周縁３の後端部11は、支受ローラ４の
回転によりその円弧面Ｒを滑落して離脱するので、Ａ容
器は円滑かつ急速にしかも規則的に放出落下する。

このＡ容器の自動分離と同時にＢ容器の周縁３における
後端部11′は支受ローラ４上に下って確実に支受されて
いるので、下部の進退アーム９の後退作動によりＢ容器
が分離して放出落下することはない。

このＢ容器の支受状態において、パワーシリンダ22によ
り下部の進退アーム９を上部の進退アーム８の直下に進
出させた直後に、第10図に示すようにパワーシリンダ21
により上部の進退アーム８を後退させ、Ｂ容器の前端部
12′を進退アーム９の係止部７に支受すると共に、Ｂ容
器の周縁３における後端部11′を支受ローラ４にて確実
に支受し、第７図に示す積重ね容器の自動分離の開始時
の状態と同様の状態になる。

このように上下の進退アーム8,9と、支受ローラ４との
共同作動により、積重ねた容器１の最下位の容器より順
次１個ずつ確実かつ規則的に分離放出して能率的に下方
に落下させることができる。

このように自動的に分離放出された容器は、例えば食器
自動洗浄機や主食物や副食物の盛付機における搬送コン
ベヤ上に供給する。

「実施例」 第１図〜第６図はこの考案の給食用トレイなどの積重ね
容器の自動分離放出装置の一実施例を示すもので、１は
多数個（例えば50個）積重ねた給食用トレイなどの容器
であって、これらの容器１を、例えば機台10上に水平に
固定したほぼ方形状の内周空間を有する保持枠２の上方
にほぼ垂直に保持させ、最下位のＡ容器の周縁３の後端
部11を保持枠２の後部に回転自在に設置した支受ローラ
４に支受すると共に、最下位のＡ容器の周縁３における
前端部12を保持枠２の前端部において、予めその内周空
間内に前進させてある下部の進退アーム９の係止部７に
より支受して積重ね容器１全体を載置保持するようにな
っている。

そして、これらの多数積重ねた容器１の上層部の容器を
その側面から保持するための保持板材13,14,15が、保持
枠２の内側から上方に向けて突設されている。

また、保持枠２に隣接して設けた支枠16内に、上下の進
退アーム8,9を水平に進退作動させるための案内溝を形
成した断面ほぼチャンネル形のガイドプレート17,18が
取付けられている。

上部の進退アーム８の先端部には、例えばナイフエッジ
形の係止部６が設けられている。

進退アーム8,9の後方における機台10上には、ハンドル1
9により上面部を開閉可能なボックス20が設置されてい
て、その内部に進退アーム8,9の進退動力である、例え
ばエアーシリンダなどのパワーシリンダ21,22が上下に
取付けられている。

このパワーシリンダ21,22のラムロッド23,24に進退アー
ム8,9を連結するために、進退アーム8,9の後部にアング
ル形等に成形した剛体板25,26が連結されていて、この
剛体板25,26にラムロッド23,24の先端が連結されてい
る。

支受ローラ４は第４図に示すように、容器１の長さ方向
のサイズが異なる場合に、これに適合して進退アーム8,
9の係止部6,7に対する設置位置を前後にスライド調節で
きるようにスライド調節機構に取付けられている。

即ち、保持枠２の内側面に水平に進退調節可能な調節部
材27がその摺動固定部において調節ねじ28,29にて前後
方向にスライド調節自在にネジ止めされ、この調節部材
27の摺動固定部にほぼ直角に屈曲した支受部には支受ロ
ーラ４が進退アーム8,9に相対して取付けられており、
この調節部材27の固定位置を前後に適宜調節して、容器
１の周縁３の前端部11,11′を進退アーム8,9の係止部6,
7に係止させたときに容器１の周縁３の後端部12,12′が
支受ローラ４に載せられるように支持ローラ４の位置を
容器の大きさに応じて調節設定することにより、保持枠
２内にサイズの異なる容器１をも確実に積み重ねて保持
させて自動分離できるようになっている。

上記保持板材13は支枠16の前端に下端部を固定し、また
保持枠14,15は左右の各調節部材27に下端部を固定して
それぞれ上向きに突設されている。

さらに、保持枠２と支枠16の交差部に、先端の下向き屈
曲部を保持枠２の内周空間部内に突出させた保持板30が
調節ねじ31にて取付けられ、この保持板30により積み重
ねられた容器１の下方の部分を斜め横方向から補足的に
保持するようになっている。

以上の構成において、第11図に示すように上記進退アー
ム8,9による分離動作前の状態においては積重ね容器１
の最下位のＡ容器はその周縁３における後端部11が支受
ローラ４により確実に支受されているが、このＡ容器の
分離放出時には第12図に示すように、周縁３の後端部11
は支受ローラ４の回転によりその円周面Ｒから転がり落
ちてＡ容器を円滑に放出落下させる。

なお、積重ね容器として給食用のトレイ（小判型や角型
のトレイ）を例示したが、保持枠２の内周空間に収容可
能な容器であればこの考案の装置により自動分離するこ
とが可能である。

また、この考案の分離放出装置は通常容器搬送コンベヤ
上に固定して利用するが、この搬送コンベヤ上にまたが
る車輪付きアーチ型の移動架台に取付けてコンベヤ上に
移動自在に設置して利用することも可能であり、さらに
若干傾斜しても使用可能である。

「考案の効果」 以上の通りこの考案によれば、多数積重ねた容器の最下
位の容器の周縁後端を支受ローラに支持するので、下部
の進退アームにおける係止部の後退により最下位の容器
の周縁前端部の分離と同時に、この容器の周縁後端部は
円滑かつ軽快に滑落し、容器を規則的に整然と放出落下
させることができる。

また、保持枠の左右の内側面に調節部材を前後方向にス
ライド調整自在に取付け、この調節部材の支受部に支受
ローラを設置したので、調節部材のスライド調整により
サイズの異なる容器をも確実に分離搬出することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す側面図、第２図は同要
部の縦断側面図、第３図は同平面図、第４図は同横断平
面図、第５図は同正面図、第６図は同要部の正面図、第
７図〜第10図はこの考案装置の動作を順に示す縦断側面
図、第11図及び12図は要部の作動状態を示す縦断面図で
ある。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】多数個積重ねた給食用トレイなどの容器を
   保持枠上にほぼ垂直に保持し、前記保持枠の内周空間の
   前後方向に交互に進退作動する上下二枚の進退アームに
   より、前記積み重ねた最下位の容器より１個ずつ自動的
   に分離して放出させるようにした装置において、前記積
   重ねた容器の平面形状よりも大きい方形状の内周空間を
   有する保持枠の左右の内側面に、これらの内側面にそれ
   ぞれ当接する摺動固定部とその先端から内側に向けてほ
   ぼ直角に屈曲した支受部とを有する調節部材をその摺動
   固定部において前後方向にスライド調整自在にネジ止め
   し、前記各調節部材の支受部にその上部において最下位
   の容器の後端縁を支受すると共に最下位の容器の分離放
   出時にその容器を前方に向けて滑落させる支受ローラを
   前記上下の進退アームに相対して設置してなることを特
   徴とする積重ねトレイなどの容器の自動分離放出装置。