JPH07262547A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH07262547A
JPH07262547A JP4921294A JP4921294A JPH07262547A JP H07262547 A JPH07262547 A JP H07262547A JP 4921294 A JP4921294 A JP 4921294A JP 4921294 A JP4921294 A JP 4921294A JP H07262547 A JPH07262547 A JP H07262547A
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興波 楊
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伸雄 倉高
Shigeru Tsuboi
茂 壺井
Hironori Hara
裕紀 原
Masahiko Yasui
雅彦 安井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 保護層を薄く形成しても、従来に比して十分
な耐摩耗性と耐食性を確保することができる磁気記録媒
体及びその製造方法を提供する。 【構成】 非磁性基板1の上に下地層2、磁性層3およ
び保護層4が同順序で積層成膜された磁気記録媒体であ
る。前記保護層4は基板側の下部炭素層5と、Ta,N
b,Ti及びZrの内から選択された一種以上の金属を
含む非磁性中間層6と、表面側の上部炭素層7が同順序
で積層成膜されている。非磁性中間層6を前記金属のみ
で形成してもよい。また、金属の含有量が5〜80at%
であり、残部が炭素からなる金属炭素化合物により形成
してもよい。また、下部炭素層5及び上部炭素層7はダ
イヤモンド状炭素により形成するのがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属薄膜型面内記録用の
磁気記録媒体、特にその保護膜の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体の高密度記録化に伴
って、CoNiCr、CoCrTa等の一軸結晶磁気異
方性を有するCo合金からなる磁性層を非磁性基板上に
Cr下地層を介して積層成膜した面内記録用金属薄膜型
磁気記録媒体が用いられている。
【0003】磁気記録媒体の記録密度を向上させるため
には、媒体表面から磁気ヘッドまでの高さ(グライドハ
イト)を低くする必要がある。このヘッドの低浮上化に
伴って、媒体の耐久性を向上させることも必要であり、
媒体表面と磁気ヘッドとの接触抵抗を軽減し、媒体表面
の耐摩耗性を向上させるために、基板表面にテキスチャ
ーと呼ばれる凹凸加工を施したり、磁性層の上にダイヤ
モンド状、グラファイト状などの固体炭素膜を保護層と
して積層形成することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録媒体の磁気特
性を向上させるには、ヘッドを磁性層になるべく近接さ
せることが必要であり、そのためには前記保護層をなる
べく薄く形成することが望ましい。しかし、この場合、
保護層の微量の摩耗により、摩擦係数が変動し、ヘッド
の吸着及びヘッドクラッシュが生じるという問題があ
る。また、従来の炭素質保護層はポーラスで、緻密性に
欠けるため、十分な耐食性を備えていないという問題が
ある。
【0005】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、保護層を薄く形成しても、従来に比して十分な耐摩
耗性と耐食性を確保することができる磁気記録媒体及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、非磁性基板の上に下地層、磁性層および保護層が同
順序で積層成膜された磁気記録媒体において、前記保護
層は基板側の下部炭素層と、Ta,Nb,Ti及びZr
の内から選択された一種以上の金属を含む非磁性中間層
と、表面側の上部炭素層が同順序で積層成膜されてい
る。この場合、非磁性中間層を前記金属のみで形成して
もよい。また、金属の含有量が5〜80at%であり、残
部が炭素からなる金属炭素化合物により形成してもよ
い。この際、下部炭素層及び上部炭素層はダイヤモンド
状炭素により形成するのがよい。
【0007】一方、本発明の磁気記録媒体の製造方法
は、非磁性基板の上に下地層、磁性層および保護層をス
パッタリングにより同順序で積層成膜する磁気記録媒体
の製造方法において、スパッタリングガスとして不活性
ガスに炭化水素ガスが80vol%以下含有された混合ガ
スを用いて、下部炭素層と、Ta,Nb,Ti及びZr
の内から選択された一種以上の金属を含む非磁性中間層
と、上部炭素層からなる保護層を同順序で積層成膜す
る。非磁性中間層の成膜の際には、前記混合ガスの使用
の有無を問わず、Ta,Nb,Ti及びZrの内から選
択された一種以上の金属原子が5〜80at%含有した
前記金属と炭素との混合物からなるターゲットを用いる
とよい。
【0008】
【作用】保護層の非磁性中間層に含まれるTa,Nb,
Ti,Zrは炭素と強固に結合し、硬質で化学的に安定
な金属炭素化合物を形成する。このため、非磁性中間層
として前記金属の一種以上を含む非磁性材で形成するこ
とにより、下部炭素層と非磁性中間層、あるいは非磁性
中間層と上部炭素層との境界部に炭素炭素原子中に前記
金属原子が拡散した、緻密で耐摩耗性及び耐食性に富む
金属炭素化合物が形成される。非磁性中間層に含まれる
前記金属原子の含有量は、金属原子の拡散を促進するた
め、50at%以上にすることが好ましい。勿論、前記非
磁性中間層は、所定の金属のみにより形成してもよい。
この場合、前記金属原子の拡散は非常に良好になる。
【0009】一方、非磁性中間層を金属原子の含有量が
5〜80at%、残部が炭素からなる金属炭素化合物に
より形成することにより、境界部のみならず、非磁性中
間層全体が非常に耐摩耗性、耐食性に富んだ層になる。
金属原子の含有量が5%未満では炭素が主体となり、非
磁性中間層内に安定な化合物量が不足し、耐摩耗性、耐
食性が不足するようになる。一方、80%を越えると金
属が主体となり、この場合も安定な化合物量が不足する
ようになる。
【0010】また、保護層の表面側、裏面側には下部炭
素層、上部炭素層が設けられいるので、磁性層の上に保
護層を成膜する場合も、保護層の上に液体潤滑層を形成
する場合にも、良好な接合や親和性が得られる。非磁性
基板の上に下地層、磁性層、保護層を成膜する手段とし
て、各種蒸着法が適用可能であるが、スパッタリングが
成膜速度が高く、生産性に優れるので好適である。保護
層のスパッタリングに際して、スパッタリングガスとし
て不活性ガスに炭化水素ガスが80vol %以下(好まし
くは、10〜50 vol%)含有された混合ガスを用いる
ことにより、炭素層を緻密、硬質、化学的に安定なダイ
ヤモンド状炭素により成膜することができる。混合ガス
を使用すると、中間層の成膜に際しても、詳細な理由は
明らかでないが、金属原子の拡散を促進することがで
き、拡散層の層厚を拡大することができる。炭化水素ガ
スの混合量が80 vol%を越えると、スパッタリングが
困難になるので、それ以下に止めるべきである。
【0011】非磁性中間層を金属原子が5〜80at%含
有し、残部が炭素からなる金属炭素化合物層として成膜
する場合、当該金属炭素化合物からなるスパッタリング
用のターゲットを製作することは困難であるので、この
場合は金属原子が5〜80at%含有することになる、
前記金属と炭素との混合物からなるターゲットを用いる
とよい。かかる混合物としては、前記金属粉末と炭素粉
末からなる焼結体や炭素中に前記金属を埋設したものを
例示することができる。この場合、非磁性中間層の成膜
に際しては、基板に負のバイアス電圧を印加するのがよ
い。負のバイアス電圧を印加することにより、スパッタ
膜中の水素を除去することができ、膜中の金属原子の結
合を強めることができ、より硬質の膜を形成することが
できる。バイアス電圧の大きさは50V以上、好ましく
は200〜300V程度にするのがよい。
【0012】
【実施例】図1は実施例に係る金属薄膜型磁気記録媒体
の部分断面図を示しており、非磁性基板1の上に、Cr
下地層2、磁性層3、および3層構造の保護層4が積層
成膜されている。更に、保護層4の上には、液体潤滑層
8が塗布形成されている。前記基板1としては、Al合
金板の上に10〜20μm 程度の非晶質NiPメッキ層
が形成されたAl合金・NiP基板や、ガラス基板、セ
ラミックス基板、炭素基板等が使用される。尚、基板の
上面には、通常、磁気ヘッドとの接触摩擦抵抗を軽減す
るためにテキスチャーと呼ばれる凹凸加工が周方向に、
あるいはガラス基板等では等方向に形成される。
【0013】基板1の上に形成されるCr下地層2は、
その上に形成される一軸結晶磁気異方性を示すCo合金
(結晶構造hcp)のc軸(結晶磁気異方性を示す結晶
軸)を面内配合させるために形成されるもので、通常、
300〜2000Å程度の厚さに形成される。前記磁性
層3は、既述の通り、CoNiCr、CoCrPa、C
oCrPt等の一軸結晶磁気異方性を示すCo合金で形
成される。尚、磁性層3は、Co合金を単層に形成した
ものに限らず、Co合金層とCr層とを交互に複層形成
したもの(最上層はCo合金層)でもよい。磁性層3の
層厚(Co合金単層ならその層厚、複層ならCo合金層
の合計厚)は通常250〜800Å程度とされる。
【0014】前記磁性層3の上に積層された保護層4
は、下部炭素層5と、非磁性中間層6と、上部炭素層7
とからなる3層構造をしており、前記非磁性中間層6は
Ta,Nb,Ti及びZrの内から選択された一種以上
の金属、該金属原子が含有された非磁性材、あるいは前
記金属原子が炭素中に5〜80at%含有した金属炭素
化合物により形成されている。前記炭素層5、7はグラ
ファイト状炭素、ダイヤモンド状炭素、あるいはこれら
が混合した状態の炭素により形成されている。もっと
も、硬度、安定性の面からはダイヤモンド状炭素が好ま
しい。各層5、6、7は連続膜であればよく、その層厚
は特に限定されない。保護層4の全体の層厚としては、
スペーシングロスを減少させるべく50〜400Å程度
でよい。
【0015】前記液体潤滑層8は、通常、フッ素化ポリ
エーテル等のフッ素系液体潤滑剤が10〜50Å程度塗
布形成される。前記Cr下地層、磁性層、保護層を成膜
する手段としては、通常、成膜効率の高いスパッタリン
グが適用されるが、勿論、他の物理的、化学的気相蒸着
法により成膜してもよい。保護層のスパッタリングに際
しては、スパッタリングガスとして不活性ガスにC
4 、C3 8 等の炭化物水素ガスを80vol %以下
(好ましくは、10〜50vol %)含有された混合ガス
を用いることにより、ダイヤモンド状炭素を成膜するこ
とができ、また前記非磁性中間層の成膜の際には前記所
定の金属原子の拡散が促進される。
【0016】次に具体的実施例を掲げる。 (1) 膜厚10μmのNiPメッキ層が形成されたAl
合金・NiP基板を用いて、その表面を赤外線ヒータに
より280℃程度に加熱した後、DCマグネトロンスパ
ッタ装置を用いてCr下地層を600Å、磁性層(Co
CrTa合金単層)を450Åを成膜し、その上に下部
炭素層50Å、Ta層からなる非磁性中間層50Å及び
上部炭素層50Åからなる保護層を順次成膜し、その上
にフッ素系潤滑剤を25Å塗布して、実施例にかかる磁
気記録媒体を製作した。但し、下部炭素層、上部炭素層
及び中間層をスパッタリングする際、スパッタリングガ
スとして、CH4 ガス20vol %のAr混合ガスを用
い、ガス圧10mTorrの条件で成膜した。 (2) 保護層として150Åの炭素層を成膜した他、
(1) と同様の条件で従来例にかかる磁気記録媒体を製作
した。 (3) 前記実施例及び従来例の媒体を用いて、CSS
(Contact Start Stop)試験を行い、摩擦係数を測定し
た。その結果を図1に示す。
【0017】同図より、実施例の媒体は従来例に比して
摩擦係数が30%程度低く、また当初から3万回に至る
まで安定した摩擦係数が得られており、耐久性に優れて
いることが分かる。 (4) 次に、実施例、従来例の媒体を用いて、耐食性試
験を実施した。この試験は、80℃、相対湿度90%の
雰囲気中に媒体を2週間暴露して、保護層表面における
炭素原子中のCo原子濃度を測定することにより、保護
層の耐食性の良否を調べるものであり、測定されたCo
濃度が高いほど、保護層に微細な孔食が生じているもの
と考えられる。尚、Co濃度の測定はXPS(エスカ)
分析装置により行った。
【0018】耐食性試験の結果、従来例では、テスト前
にはCo濃度は0at%であったが、テスト後には1a
t%であった。これに対し、実施例では、テストの前後
においてCo濃度は0at%であり、耐食性が良好であ
ることが確認された。
【0019】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の磁気記録媒
体は、保護層を下部炭素層と、Ta等の炭素と強固に結
合する金属を含む非磁性中間層と、上部炭素層とからな
る3層構造としたので、前記金属の拡散により中間層と
炭素層との間に緻密で硬質の金属炭素化合物が生成し、
これにより保護層の耐摩耗性、耐食性が著しく向上し、
優れた耐久性が得られる。また、磁気記録媒体の各層を
スパッタリングにより成膜することにより、高効率で成
膜することができ、保護層の成膜に際して炭化水素を含
有する不活性ガスをスパッタリングガスとして用いるこ
とにより、炭素層を優れた硬度、化学的安定性を有する
ダイヤモンド状炭素により形成することができ、また中
間層の所定金属の炭素層界面への拡散を促進することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例にかかる磁気記録媒体の要部断面図であ
る。
【図2】実施例及び従来例の磁気記録媒体のCSS回数
と、摩擦係数との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 非磁性基板 2 Cr下地層 3 磁性層 4 保護層 5 下部炭素層 6 非磁性中間層 7 上部炭素層 8 液体潤滑層
フロントページの続き (72)発明者 原 裕紀 大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号 株式会社クボタ内 (72)発明者 安井 雅彦 大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号 株式会社クボタ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板の上に下地層、磁性層および
    保護層が同順序で積層成膜された磁気記録媒体におい
    て、 前記保護層は基板側の下部炭素層と、Ta,Nb,Ti
    及びZrの内から選択された一種以上の金属を含む非磁
    性中間層と、表面側の上部炭素層が同順序で積層成膜さ
    れた磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 Ta,Nb,Ti及びZrの内から選択
    された一種以上の金属により非磁性中間層が形成されて
    いる請求項1に記載された磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 Ta,Nb,Ti及びZrの内から選択
    された一種以上の金属の含有量が5〜80at%であり、
    残部が炭素により非磁性中間層が形成されている請求項
    1に記載された磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性基板の上に下地層、磁性層および
    保護層をスパッタリングにより同順序で積層成膜する磁
    気記録媒体の製造方法において、 スパッタリングガスとして不活性ガスに炭化水素ガスが
    80vol %以下含有された混合ガスを用いて、下部炭素
    層と、Ta,Nb,Ti及びZrの内から選択された一
    種以上の金属を含む非磁性中間層と、上部炭素層からな
    る保護層を同順序で積層成膜する磁気記録媒体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 非磁性基板の上に下地層、磁性層および
    保護層をスパッタリングにより同順序で積層成膜する磁
    気記録媒体の製造方法において、 下部炭素層を成膜後、Ta,Nb,Ti及びZrの内か
    ら選択された一種以上の金属原子を5〜80at%含有し
    た前記金属と炭素との混合物からなるターゲットを用い
    て前記下部炭素層の上に非磁性中間層を成膜し、該非磁
    性中間層の上に上部炭素層を成膜し、前記下部炭素層と
    前記非磁性中間層と前記上部炭素層からなる保護層を形
    成する磁気記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999014746A1 (fr) * 1997-09-17 1999-03-25 Showa Denko K.K. Support 'enregistrement magnetique et son procede de production
US6316062B1 (en) 1997-09-17 2001-11-13 Showa Denko K.K. Magnetic recording medium and method of producing the same
KR100370759B1 (ko) * 1995-10-20 2003-03-26 삼성전자 주식회사 하드디스크드라이브의디스크장치

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100370759B1 (ko) * 1995-10-20 2003-03-26 삼성전자 주식회사 하드디스크드라이브의디스크장치
WO1999014746A1 (fr) * 1997-09-17 1999-03-25 Showa Denko K.K. Support 'enregistrement magnetique et son procede de production
US6316062B1 (en) 1997-09-17 2001-11-13 Showa Denko K.K. Magnetic recording medium and method of producing the same
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