JPH0726191B2 - 歯車の浸炭浸窒法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、特に高面圧で使用されるミッションギヤ等の
歯車浸炭浸窒法に開する。

従来の技術 従来、ギヤの浸炭浸窒は、第５図に示される如き熱処理
炉１により、同一炉室２内で浸炭と浸窒が行われてい
る。

即ち、キャリアガスと共にエンリッチガス、窒化用添加
ガスを同時に供給するか、または浸炭途中で窒化用添加
ガスを供給することが行われている。

発明が解決しようとする問題点 上記前者の方法によるときは、被焼入材10の歯車歯部11
を拡大して表わす第６図と、その硬化層12の状態を表わ
す第７図（イ），（ロ）に示す如く、窒化影響層が深く
成る。

この窒化影響層は浸炭層に比べA₃変態点が低下し焼が入
り易くなるため、窒化影響層が深く成るということは、
歯車歯部11の硬化層12の高硬度部分が不要に厚く成り、
カケ13発生の原因になる問題がある。

上記後者の浸炭途中で窒化用添加ガスを供給する方法に
よれば、窒化影響層を浅くできるものの、窒化用添加ガ
スの供給開始後の炉気安定が困難である。そのため、熱
処理ロット毎の焼入れ状態の変動が大きく成る問題があ
る。従ってその焼入れ状態の変動を許容するために、予
め窒化影響層を厚目に設定しておく必要が残されてい
た。

問題点を解決するための手段 連続した炉室を２つ設け、該２つの炉室を開閉自在に遮
蔽し、まず第１炉室で高温浸炭し、次いで被焼入れ材を
前記第２炉室に移動すると共に、遮蔽された第２炉室に
おいて前記浸炭温度より低い温度で浸炭浸窒し、その後
焼入れする。

作用 浸炭浸窒を浸炭炉室とは開閉自在に遮蔽された浸炭浸窒
専用炉室にて行うため、窒化用添加ガスの供給開始によ
る炉気安定が容易に高精度にできる。

実施例 以下本発明の実施例を図面と共に説明する。第１図は、
熱処理炉１を表わし、図において２は浸炭炉室、３は浸
炭浸窒専用炉室、４は焼入れ槽５を備えた準備室であ
る。また6,7,8,9は、各炉室2,3,4を開閉する扉で上下に
昇降自在に装着されている。10は歯車等の被焼入れ材で
ある。

つぎに被焼入れ材10の熱処理について説明する。

被焼入れ材10は、まず浸炭炉室２に挿入され第２図の温
度時間線図に示される如く、約900℃乃至930℃の範囲の
適当な温度で浸炭Ａされる。

その後、扉７の開閉に伴って、被焼入れ材10は浸炭炉室
２とは遮蔽された浸炭浸窒専用炉室３に移動される。

この移動後、浸炭炉室２の炉圧を浸炭浸窒専用炉室３の
炉圧より高くしてから、アンモニアガス等の窒化用添加
ガスをこの専用炉室３に供給する。

それにより、この専用炉室３の炉気がキャリアガス、エ
ンリッチガス及び窒化用添加ガスと成り、被焼入れ材10
は前記浸炭温度より低い約800℃乃至870℃の範囲の適等
な温度で浸炭浸窒Ｂされる。

続いて被焼入れ材10は扉８の開閉と共に準備室４に移動
され、そこで焼入槽５に入れられ焼入れＣが施される。

このように処理された被焼入材10は、歯車歯部11及びそ
の硬化層12を拡大して表わす第３図と、その硬化層12の
状態を表わす第４図（イ），（ロ）に示す如く、窒化影
響層が浅く形成されているため、極く表層部だけが高硬
度に成っている。

効果 以上のように本発明によれば、浸炭浸窒を浸炭炉室とは
開閉自在に遮蔽された浸炭浸窒専用炉室にて行うため、
窒化用添加ガスの供給開始による炉気安定が容易に高精
度にできる。そのため極く最表層のみを、熱処理ロット
毎の焼入れ状態の変動少なく高硬度に焼入れでき、それ
によって歯車歯部のカケを防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本発明の実施例を表わすもので、第
１図は熱処理炉の断面平面図。第２図は熱処理の温度−
時間線図。第３図は歯車歯部の拡大断面図。第４図は焼
入れ状態の説明図。第５図乃至第７図は従来例を表わす
もので、第５図は熱処理炉の断面平面図。第６図は歯車
歯部の拡大断面図。第７図は焼入れ状態の説明図であ
る。 （記号の説明） ２……第１炉室（浸炭炉室）、Ａ……浸炭。 ３……第２炉室（浸炭浸窒専用炉室） Ｂ……浸炭浸窒。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】連続した炉室2,3を２つ設け、該２つの炉
   室を開閉自在に遮蔽し、まず第１炉室２で高温浸炭Ａ
   し、次いで被焼入れ材10を前記第２炉室３に移動すると
   共に、遮蔽された第２炉室３において前記浸炭温度より
   低い温度で浸炭浸窒Ｂし、その後焼入れＣすることを特
   徴とする歯車の浸炭浸窒法。