JPH07260782A - ヒト血清アルブミンの測定方法 - Google Patents
ヒト血清アルブミンの測定方法Info
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Abstract
し、この電極に抗ヒト血清アルブミン抗体(抗HSA抗
体)を吸着固定化させた水晶振動式センサーを用いて被
検液中のヒト血清アルブミン(HSA)を該固定化抗体
に結合させ、結合したHSAにさらに他の抗HSA抗体
を結合させ、次いで振動数を測定することを特徴とする
ヒト血清アルブミンの測定方法。 【効果】本発明の測定方法により、微量のHSA、特に
尿中の微量のHSAを簡易かつ迅速に測定することが可
能となる。したがって、尿中に排泄される微量のヒト血
清アルブミン(HSA)をマーカーとして検出する糖尿
病性腎症の早期診断のための有用な手段を提供すること
ができる。
Description
ミンの高感度測定方法に関する。さらに詳しくは、水晶
振動式ヒト血清アルブミンセンサーを用いる微量アルブ
ミンの高感度測定方法に関する。
振動子は、近年、その表面質量変化に対する発振周波数
変化が注目され、多くの溶液中の物質の分析に応用され
てきている。最近では、その表面に抗体を固定化して各
種抗原物質の検出に利用する試みがなされている(Mura
matsu et al., Anal.Chimi.Acta, vol.188, 257(1986)
、Davis et al., Anal. Chem.,vol.61, 1227 (198
9))。
される微量のヒト血清アルブミン(HSA)をマーカー
として検出することが有効とされている。従来、HSA
濃度の測定は、放射免疫測定法(RIA)や酵素免疫測
定法(EIA)等により行われているが、これらの方法
では、ラベル化した抗体や抗原を用いる必要があり、操
作が煩雑であり、さらに測定時間が長いなどの難点があ
る。
ついては、これまでに数例の報告がある(Prusak-Socha
czewski およびJ.H.T.Luong, Anal.Lett., vol.23, 401
(1990) 、M.Muratsugu et al., Anal. Chem.,vol.65,
2933 (1993))が、未だ感度や繰り返し応答性の改善が
望まれているのが実情である。
る微量HSAの検出法において、表面質量変化をさらに
増大させることにより、発振周波数変化を増幅し、検出
感度の向上を図る方法を鋭意検討したところ、水晶振動
子として金属電極付きのATカット素子を用い、この電
極に抗HSA抗体を吸着固定化させた水晶振動式センサ
ーを用いるHSA測定方法において、HSAを含む溶液
を流してHSAを選択的に該固定化抗体に結合させた後
に直ちに振動数の変化を測定するのではなく、HSAを
結合させた後さらに抗HSA抗体を含む溶液を流してこ
のHSAをサンドイッチ状に挟んで抗HSA抗体を結合
させた後に振動数の変化を測定すると、HSA結合後に
測定する場合に比べて検出感度が顕著に向上することを
発見した。本発明は、この発見に基づきさらに研究を進
めて完成させたものである。
して金属電極付きのATカット素子を用い、この電極に
抗HSA抗体を吸着固定化させた水晶振動式センサーを
用いる、HSAの高感度測定方法を提供することにあ
る。
は、(1) 金属電極付きのATカット素子を水晶振動
子とし、この電極に抗ヒト血清アルブミン抗体(抗HS
A抗体)を吸着固定化させた水晶振動式センサーを用い
て被検液中のヒト血清アルブミン(HSA)を該固定化
抗体に結合させ、結合したHSAにさらに他の抗HSA
抗体を結合させ、次いで振動数を測定することを特徴と
するヒト血清アルブミンの測定方法、(2) 金属電極
に吸着固定化される抗HSA抗体がHSAに対するモノ
クローナル抗体である前記(1)記載の方法、(3)
HSAにさらに結合させる他の抗HSA抗体が、HSA
に対するポリクローナル抗体である前記(1)または
(2)に記載の方法、(4) モノクローナル抗体を5
0〜80℃に加熱処理することを特徴とする前記(2)
または(3)に記載の方法、(5) 金属電極が金電極
である前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方
法、に関する。
ット素子を水晶振動子とする水晶振動式センサーを用い
る振動数測定装置としては、公知のもの、例えば特開平
3−115947号公報に開示されているものが挙げら
れる。しかし、図1に示すような、フローセルタイプの
ものがより好適に使用し得る。即ち、水晶振動子の片面
(抗体を固定化した側)のみが流通する溶液に接触する
ように水晶振動子をフローセルに組み込んだタイプであ
り、溶液を流通させた状態で発振させる。
波数5〜10MHZ のものが好ましい。電極としては、
金電極、銀電極、白金黒電極等各種のものが挙げられる
が、抗HSA抗体を吸着固定化させる本発明の方法にお
いては、測定精度の再現性等の観点から金電極が好まし
い。
は、プロテインAを介する方法、2−メルカプトエチル
アミンを介する方法、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シランを介する方法等が挙げられるが、いずれも固定化
量、周波数における応答感度、固定化された抗HSA抗
体の安定性、繰り返し使用等のいずれかの観点で十分満
足すべきものではなく、直接吸着固定化させる方法が最
も優れている。
抗体の溶液を滴下し乾燥させる方法である。具体的に
は、例えば、金電極(80mm2 )へ、50〜3000
ppmの抗HSA抗体のPBS(+0.1%NaN3 、
pH7.2)溶液10μlを滴下し、乾燥させることに
より行なわれる。この方法により、抗HSA抗体の疎水
性に富むFc部分が金表面と疎水結合することにより、
吸着固定化されるものと思われる。
〜80℃に約5〜60分間加熱すると、抗HSA抗体の
比較的変性し易いFc部分のみが変性して疎水結合し易
くなり、一方、抗原認識部位であるFv部分は変性を受
けないため、HSAに対する感度が向上する場合もあ
る。
体としては、HSAに対するマウス、ウサギ、ヤギ等の
ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体が挙げられる
が、中でも、感度、応答再現性等の点から、例えば、マ
ウスのHSAモノクローナル抗体(シグマ社、ザイメッ
ト社製、日本バイオテスト研究所製、セダレーン社製
等)が特に好ましい。これは、HSAモノクローナル抗
体が均一であるため、金電極への結合強度にばらつきが
小さく、またHSAとの結合が強固かつ均一であること
による。
に、トラップされたHSAにさらに他の抗HSA抗体を
結合させるが、このような抗HSA抗体としては、ポリ
クローナル抗体(例えば、シグマ社、コスモバイオ社)
が好ましい。これは、トラップされたHSAの未反応サ
イトと結合することが要求されるため、モノクローナル
抗体よりも多様な抗体を含むポリクローナル抗体のほう
が対応し易く、結合の効率が高いためと思われる。
SAを測定するには、図1に示すようなフローセルに、
上記のようにして抗HSA抗体を固定化した水晶振動子
を組み込み、水晶振動子の片面だけにHSAを含む被検
液を流通させた状態で発振させる。セルの内容積は、微
量測定の場合は通常0.01〜0.5cm3 、溶液の流
速は0.1〜1.0ml・min-1程度が好ましい。セ
ンサ信号としては、抗原抗体反応に伴う水晶振動子の重
量変化による共振周波数の変化量を周波数カウンターに
より室温で測定する。循環流通させるサンプル溶液(H
SAを含む溶液)、ポリクローナル抗体溶液は通常1m
lである。HSAやポリクローナル抗体はリン酸緩衝生
理食塩水(pH7.2)(PBS)を用いる。また、測
定後にHSAとモノクローナル抗体との結合を解離する
には、pH3.0のリン酸水素二ナトリウム−クエン酸
緩衝液を用いる。
る。まず、モノクローナル抗体を固定化した水晶振動子
にPBSを流通し、得られる安定した周波数をF0 とす
る。これに、HSA溶液を流通すると、固定化されたモ
ノクローナル抗体とHSAとの間で抗原抗体反応が起こ
り、水晶振動子表面の重量が増加するため周波数がF1
まで減少する。この際の周波数減少量をΔF1 =(F0
−F1 )とする。その後、ポリクローナル抗体溶液を流
通すると、モノクローナル抗体と結合したHSAの未反
応サイトにさらにポリクローナル抗体が結合することに
より、周波数がF2 にまで減少する。従って、本発明の
測定方法の感度は、ΔF1 =(F0 −F1 )と ΔF2
=(F0 −F2 )の2種類で表され、F1 −F2 がポリ
クローナル抗体によって増幅された感度となる。2段階
目の応答(F1 −F2 )は、固定化した抗体に結合した
HSAの量に比例すると考えられるので、HSAの測定
感度を増加させることができる。
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。 実施例1 水晶振動子として、基本振動数6MHZ の金電極付きの
ATカット素子を用いた。抗体の固定化は、金電極上に
抗HSAモノクローナル抗体溶液(500ppm)を1
0μl滴下し、50℃において乾燥させることにより行
った。この素子を図1に示すフローセルに組み込み、素
子の片面だけにキャリア溶液を流通させた状態で発振さ
せた。セルの内容積は0.05cm3 、溶液の流速は、
0.44ml・min-1とした。まず、PBS溶液1m
lを循環流通させ安定したところで共振周波数(F0 )
を測定した。次いで、15ppmのHSAを含むPBS
溶液1mlを循環流通させ、安定したところで共振周波
数(F1 )を測定した。さらに、1000ppmのHS
Aに対するポリクローナル抗体溶液1mlを循環流通さ
せ、安定したところで共振周波数(F2 )を測定した。
その結果を図2に示す。まず、15ppmのHSAの流
通により100HZ程度の周波数の減少という応答が見
られ、次に1000ppmのポリクローナル抗体を流通
させることにより周波数がさらに減少し、全体で約30
0HZ 以上の感度が得られた。
め、測定後のフローセルにPBSを循環流通させて洗浄
した後、pH3.0のリン酸水素二ナトリウム−クエン
酸緩衝液を循環流通させた。次いで、PBSを循環流通
させながら共振周波数を測定したところ、図2に示すよ
うに、共振周波数は測定前のレベルにまで回復した。従
って、本発明の方法によれば、同一固定化水晶振動子を
繰り返し使用することが可能である。事実、この固定化
水晶振動子は、4日間に100ppmのHSAに対する
応答を約30回繰り返しても、安定した感度が得られ
た。
A溶液について共振周波数を測定し、ΔF1 およびΔF
2 を求めた。その結果を図3に示す。HSA濃度が0〜
20ppmの範囲で、HSA濃度はΔF1 またはΔF2
のいずれとも比例関係が成立することが分かる。また、
1ppm当たりのΔF1 が約6HZ であるのに対し、Δ
F2 については約20HZ であり、ポリクローナル抗体
のさらなる付加により、感度が約3倍以上増幅されたこ
とが分かる。なお、ヒトの尿中のHSA濃度は、正常値
が約10ppmであり、本発明の測定方法は糖尿病性腎
症の早期診断に適しているといえる。
流通させ、実施例1と同様にして共振周波数を測定し
た。実験した1000ppmまで共振周波数の変化はみ
られなかった。
A、特に尿中の微量のHSAを簡易かつ迅速に測定する
ことが可能となる。したがって、尿中に排泄される微量
のヒト血清アルブミン(HSA)をマーカーとして検出
する糖尿病性腎症の早期診断のための有用な手段を提供
することができる。
動式HSAセンサ用のフローセルの断面図の1例を示す
ものである。
体溶液を流通させた場合のセンサの周波数応答を示す図
である。また測定後に酸性緩衝液を流通させた場合の周
波数の回復をも示す。
合に得られる周波数減少量(ΔF1 およびΔF2 )とH
SA濃度との相関関係を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 金属電極付きのATカット素子を水晶振
動子とし、この電極に抗ヒト血清アルブミン抗体(抗H
SA抗体)を吸着固定化させた水晶振動式センサーを用
いて被検液中のヒト血清アルブミン(HSA)を該固定
化抗体に結合させ、結合したHSAにさらに他の抗HS
A抗体を結合させ、次いで振動数を測定することを特徴
とするヒト血清アルブミンの測定方法。 - 【請求項2】 金属電極に吸着固定化される抗HSA抗
体がHSAに対するモノクローナル抗体である請求項1
記載の方法。 - 【請求項3】 HSAにさらに結合させる他の抗HSA
抗体が、HSAに対するポリクローナル抗体である請求
項1または2に記載の方法。 - 【請求項4】 モノクローナル抗体を50〜80℃に加
熱処理することを特徴とする請求項2または3に記載の
方法。 - 【請求項5】 金属電極が金電極である請求項1〜4の
いずれか1項に記載の方法。
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JP07424094A JP3338551B2 (ja) | 1994-03-17 | 1994-03-17 | ヒト血清アルブミンの測定方法 |
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JP3338551B2 JP3338551B2 (ja) | 2002-10-28 |
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ID=13541445
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