JPH072602Y2 - 炉内測定用ゾンデ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、高炉等の炉内内容物の観測，ガス採取等をす
ることができるゾンデに関し、特に本考案は、炉内内容
物中に挿入されるゾンデ先端の保護をはかって、測定精
度の向上を達成し得る高炉等の炉内測定用ゾンデに関す
る。

＜従来の技術＞ 近年、高炉操業においてコストダウンのために安価な原
料の多量使用が指向されている。安価な原料は性状が劣
るのでこのような原料を多量に使用する場合には高炉内
の状況、特に炉下部の炉内現象を観察して、高炉操業を
維持するためには原料性状の低下をどこまで許容できる
かを把握する必要がある。このため炉内現象を把握する
各種の炉内測定用ゾンデが提案されている。

高炉など高温充填層内の測定用ゾンデは内容物荷重の比
較的小さい範囲では大口径のゾンデがまた内容物荷重が
大きくなる範囲では小径（外径数10ミリ）の測定用ゾン
デが使用されている。従って内容物荷重の大きくなる高
炉下部の炉内測定用ゾンデは、その荷重を出来るだけ小
さくするため外径数10ミリの小径ゾンデが使用される。

従来、高炉下部の炉内測定用ゾンデとして実開昭62-466
45号公報において、炉内測温子，炉内ガス採取口および
炉内画像観察用光ファイバを具備したものが開示されて
いる。すなわち第８図に示すように小径ゾンデ１の先端
の測定孔２の前面にシャッタ３が設けられ、シャッタ３
は小径ゾンデ１の内部に設置されたシャッタ駆動用のワ
イヤ4a,4bと結合され、炉外の後端の引張り機構により
ワイヤ4a,4bを引張ってシャッタ３を動かし測定孔２が
開閉される。

なおシャッタ３を保護するためにゾンデ１の先端部に測
定孔２の前方にのみ開孔５を有するシャッタ保護板35′
が配置されている。

ゾンデ１を炉内に挿入する時は第８図に示すようにワイ
ヤ4bを緊張させ測定孔２をシャッタ３で閉じ光ファイバ
６を保護する。前述の手段を採ることによって測定孔２
に炉内装入物Ａが侵入するのを防止でき、光ファイバ６
の破損を防止できる。

ゾンデ１によって炉内を測定するときは第９図に示すよ
うにワイヤ4aを緊張させ測定孔２前面のシャッタ３を開
けゾンデ１先端の炉内装入物Ａを光ファイバ６でとら
え、これを検知する。ゾンデ１の引抜の時はゾンデ１の
先端の炉内装入物Ａに空洞Ｂが形成されるため測定孔２
に炉内装入物Ａが侵入する可能性は少く、従ってシャッ
タ３を必ずしも閉じなくてもよい。

ところで前記実開昭62-46645号公報には明示されていな
いが、保護板35′は第10図に示すように取外し自在な構
造とするためキャップ35をボルト36を用いてゾンデ１に
固定するようになっている。しかるに小径ゾンデ１の径
は例えば48mmφと小径であるためゾンデ１の取合い上、
キャップ35を固定するボルト36としてはM3（ねじ部の呼
び径3mm）が限度である。37はゾンデに設けたネジ穴を
示す。

このような小径のボルト36を用いるとゾンデ１を炉内に
押込むときに炉内装入物Ａの荷重が大きいため約6tの押
込力を要するためボルト36の頭が変形してしまいゾンデ
１を炉外に引抜いた後にゾンデ１からキャップ35を取外
すことができずシャッタ３の動作不良等のトラブルがあ
っても点検修理ができないという問題点があった。

＜考案が解決しようとする課題＞ 本考案は前述従来技術の問題点を解消し、小径ゾンデの
炉内押込および引抜後にも、光ファイバの前面にシャッ
タを配設した小径ゾンデの先端部に装着するキャップの
着脱が確実に行うことができる炉内測定用小径ゾンデを
提供することを目的とするものである。

＜課題を解決するための手段＞ 前記目的を達成するための本考案は、小径ゾンデは炉内
測定用の光ファイバを内在した中空体であり、先端に測
定孔を有すると共に前記測定孔の前面にワイヤを操作し
て開閉するシャッタを配設した炉内測定用ゾンデにおい
て、前記小径ゾンデの先端部を全周に亘り切欠いてキャ
ップ受面を有するキャップ装着部を形成し、前記キャッ
プ装着部に前記小径ゾンデのキャップ受面まで外周を延
長すると共に前記測定孔と一致する位置の前方にキャッ
プ開孔を有するキャップを被せ、上記キャップの外周に
穿ったルーズキリ孔を介して前記キャップ装着部に設け
たネジにシャーピンを着脱可能にセットして当該キャッ
プを固定し、前記小径ゾンデを炉内に押し込むときのキ
ャップに加わる押込反力を前記小径ゾンデのキャップ受
面およびキャップ装着部の先端面で受ける一方、前記小
径ゾンデを炉外に引抜くときのキャップに加わる摩擦力
を前記シャーピンで受けるように構成してなることを特
徴とするものである。

＜作用＞ 本考案は前述の構成により小径ゾンデを炉内に押込む時
のキャップに加わる過大な反力がシャーピンにかからな
いようにキャップに穿ったキリ孔をルーズにしてある。
このため押込時の反力は小径ゾンデのキャップ受面およ
びキャップ装着部の先端面で安定して受け止めることが
できる。

小径ゾンデを炉外に引抜く時のキャップに加わる摩擦力
は比較的小さいのでシャーピンで受けて引抜くが、炉内
装入物の荷重等によりキャップに過大な力が加わって引
抜けなくなったときにはシャーピンが破断するので小径
ゾンデのみを炉外に引抜くことができる。

＜実施例＞ 以下本考案を図面によって詳細に説明する。

第７図は高炉にプロープを挿入する設備の全体配置を示
す平面図である。

第７図において10は高炉の鉄皮、11は内張り耐火物、１
は炉内に挿入された小径ゾンデ、12はゾンデホルダー、
13はゾンデ１及びゾンデホルダー12のガイドパイプであ
る。高炉とガイドパイプ13とはエアバルプ14,仕切弁15
を介して炉内と接続されていて、16は鉄皮10,耐火物11
を貫通する開孔である。ゾンデホルダー12は先端でゾン
デ１を把持し、後方がキャリア17で支持されていて、炉
内への挿入及び引き出しは油圧シリンダー18に連結され
たベアロック19によってロックされたゾンデホルダー12
操作することによって行われる。すなわちゾンデホルダ
ー12にベアロック19を固着し、油圧シリンダー18を作動
させ、ゾンデホルダー12を図中では左右方向に移動さ
せ、ゾンデ１の炉内への挿入及び抜き出しを行う。移動
時のホルダー12の振れはキャリア17によって防止され
る。キャリア17はガイドフーム20をはさみ上下にガイド
ローラー21を設けてガイドパイプ13と共にホルダー12を
案内する。

炉内には鉱石，コークス等の内容物が装入されている
が、第７図では省略する。

第７図の如き設備によって炉内測定用プロープは炉内に
挿入，抜き出しが行われるが、前述の如くプロープ先端
部に閉塞，損傷等が惹起するおそれがある。

第１図は本考案に使用される小径ゾンデの縦断面説明図
である。小径ゾンデ１の先端部の測定孔２前面に開閉移
動可能なシャッタ３が設けられ、シャッタ３はゾンデ１
の内部に配置されたシャッタ駆動用のワイヤ4a,4bと結
合され炉外の引張り機構例えば第６図に示すようにレバ
ー31をトルクモータ（図示せず）により施回して引張る
ことによって第３図に実線で示すようにシャッタ３によ
って測定孔２を閉じたり、点線で示すようにシャッタ３
を上昇して測定孔２を開いたりすることができる。22a,
22bはそれぞれワイヤ4a,4bを通すワイヤ開孔である。

なおシャッタ３を保護するためゾンデ１の先端部に全周
に亘り切欠いてキャップ受面８を有するキャップ装着部
９を形成し、このキャップ装着部９にキャップ受面８ま
で延長したキャップ７を被せてある。キャップ７には測
定孔２と一致する位置の前方にキャップ開孔５を設けて
ある。

キャップ装着部９にはネジ孔23が穿ってあり、第２図，
第４図および第５図に示すようにキャップ装着部９に被
せるキャップ７はキャップ７に設けたルーズキリ孔24を
介してシャーピン25をキャップ装着部９のネジ孔23にね
じ込むことによって固定される。シャーピン25とルーズ
キリ孔24の公差はルーズキリ孔24とキャップ受面８およ
びキャップ装着部９の先端面26との距離公差よりゆるく
して小径ゾンデ１の押込時に加わる押込力をキャップ受
面８と先端面26で確実に受け、シャーピン25には押込力
が作用しないようになっている。

第１図において27は光ファイバ保護管であり、光ファイ
バ保護管27には光ファイバ６が内在されており先端部が
測定孔２に臨んでいる。また第２図に示すように中空体
の小径ゾンデ１の内部に配設したガス採取管28はガス採
取孔29に連通していて、炉内のガスを採取するようにな
っている。更に30は温度測定用の熱電対を示しており、
熱電対30により炉内の温度を同時に測定できる。ガス採
取管28および熱電対のリード線30′の部分は冷却水で冷
却して高温から保護するようにしてある。

次に本考案の小径ゾンデ１による炉内測定操作の一例を
説明する。

小径ゾンデを炉内に挿入する時は第１図に示すようにワ
イヤ4bをトルクモータによってレバー31を施回（第６図
参照）して緊張させ、小径ゾンデ１の測定孔２をシャッ
タ３で閉じ、炉内装入物の小径のものが侵入するのを防
止しつつ炉内に押込むとキャップ７に加わる過大な反力
が小径ゾンデ１のキャップ受面８およびキャップ装着部
９の先端面26で安定して受け止めることができる。

小径ゾンデ１によって炉内を測定する時には第６図に示
すようにワイヤ4aをレバー31を施回させて緊張させ、小
径ゾンデ１の測定孔２前面のシャッタ３を開け小径ゾン
デ１前方の炉内装入物を光ファイバ６を介して、光ファ
イバ６のITV32でとらえモニター33で炉内装入物の現象
を観察する。34は録画用ビデオを示している。同時にガ
ス採取孔29から炉内ガスを採取してガス成分を分析する
と共に熱電対30で炉内の温度を測定することができる。

小径ゾンデ１を引抜くときには必要に応じシャッタ３を
再び閉めて引抜くが、この時キャップ７に加わる摩擦力
は小さいので引抜力をシャーピン25で受けて容易に引抜
くことができる。何等かの原因でキャップ７に過大な力
が加わった場合にはシャーピン25が破断して小径ゾンデ
１だけ引抜くことができる。

＜考案の効果＞ 以上説明した如く、本考案の炉内測定用プロープを使用
すれば、小径ゾンデを炉内に挿入するとき、小径ゾンデ
先端の測定孔をシャッタによって閉じ保護できるため、
測定孔の詰まり、光りファイバの損傷もなく、精度の高
い炉内情報の採取が可能となり、かつ安全に操業でき、
測定頻度を増加することができる。

またシャーピンはキャップに穿ったルーズキリ孔内に没
した状態でセットされているので炉内挿入時に炉内装入
物と直接接触することがなく損傷を受けないのでくり返
し使用することができる。シャッタをメンテナンスする
時には、キャップ装着部からシャーピンを抜けばキャッ
プが簡単に外せるのでメンテナンスが容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の小径ゾンデの構造を示す縦断面図、第
２図は第１図のＡ−Ａ矢視を示す縦断面図、第３図は第
１図のＢ−Ｂ矢視を示す横断面図、第４図は第１図のＣ
−Ｃ矢視を示す横断面図、第５図は本考案の小径ゾンデ
のキャップ組立手順を示す斜視図、第６図は本考案のゾ
ンデ全体を示す概略説明図、第７図は高炉にゾンデを挿
入する設備の全体配置を示す平面図、第８図および第９
図は従来の小径ゾンデの構造を示す縦断面図、第10図は
従来の小径ゾンデのキャップ組立手順を示す斜視図であ
る。 １…小径ゾンデ、２…測定孔、３…シャッタ、４…ワイ
ヤ、５…キャップ開孔、６…光ファイバ、７…キャッ
プ、８…キャップ受面、９…キャップ装着部、22…ワイ
ヤ開孔、23…ネジ孔、24…ルーズキリ孔、25…シャーピ
ン、26…キャップ装着部先端面、27…光ファイバ保護
管、28…ガス採取管、29…ガス採取孔、30…熱電対、31
…レバー、32…ITV、33…モニタ、33…ビデオ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 木口 満 岡山県倉敷市水島川崎通１丁目（番地な し） 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (56)参考文献 実開 昭62−46645（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】小径ゾンデは炉内測定用の光ファイバを内
   在した中空体であり、先端に測定孔を有すると共に前記
   測定孔の前面にワイヤを操作して開閉するシャッタを配
   設した炉内測定用ゾンデにおいて、前記小径ゾンデの先
   端部を全周に亘り切欠いてキャップ受面を有するキャッ
   プ装着部を形成し、前記キャップ装着部に前記小径ゾン
   デのキャップ受面まで外周を延長すると共に前記測定孔
   と一致する位置の前方にキャップ開孔を有するキャップ
   を被せ、上記キャップの外周に穿ったルーズキリ孔を介
   して前記キャップ装着部に設けたネジ穴にシャーピンを
   着脱可能にセットして当該キャップを固定し、前記小径
   ゾンデを炉内に押し込むときのキャップに加わる押込反
   力を前記小径ゾンデのキャップ受面およびキャップ装着
   部の先端面で受ける一方、前記小径ゾンデを炉外に引抜
   くときのキャップに加わる摩擦力を前記シャーピンで受
   けるように構成してなることを特徴とする炉内測定用ゾ
   ンデ。