JPH0725968Y2 - 使い捨て式簡易防じんマスクの締紐取付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、使い捨て式簡易防じんマスクの締紐取付装置
に関し、特に、引張り強度の大きい締紐係止部と、溶接
スパッター防止板の取付孔を備えた締紐取付装置に関す
るものである。

（従来の技術） 従来、ろ過材と面体とが一体となった使い捨て式の簡易
防じんマスクは、通常の防じんマスクに比較して性能が
劣り、特に、短時間の使用で性能が低下するので、臨時
の粉じん作業用としてのみ使用されていた。

しかし、近年、ろ過材の品質向上、生産技術の進歩によ
り簡易マスクとしての性能も向上し、通常の防じんマス
クと略同等の性能を有するものとなってきている。そし
て、この簡易防じんマスクは、通常の防じんマスクに比
べて軽量で、装着も楽であり、会話性も良いので、その
使用範囲も広まっており、先般、国家検定規格が制定さ
れた。それによれば、簡易防じんマスクの締紐及び締紐
取付部は、1kgの引張り荷重をかけて破断又は離脱がな
いこと、と規定されている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、従来の簡易防じんマスクの締紐の取付は、締
紐の端部と面体とを重ねてホチキスで止めるか、若しく
はリベット等で固定していた。このような取付方法で
は、前記規格を適用すると、破断、離脱のおそれがあ
り、また、ホチキスの針やリベットが面体を貫通するそ
の隙間から空気漏れが生じるなどの問題があった。

また、産業環境における粉じん作業の範囲は広く、溶接
作業もその範囲に入り、この分野でも簡易防じんマスク
の使用が広まっているが、この場合、溶接に伴ういわゆ
る溶接スパッターが発生するので、そのスパッター防止
板で簡易防じんマスクを覆う必要がある。

そこで、本考案は、規定値以上の引張り荷重に十分耐
え、かつ空気漏れの生じない締紐取付装置であるととも
に、その締紐取付装置を利用してスパッター防止板を簡
易防じんマスクに簡単に取付けられるようにした使い捨
て式簡易防じんマスクの締紐取付装置を提供するもので
ある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案の締紐取付装置は、
マスク本体の左右両側縁部にそれぞれ配設された一対の
取付部材からなり、前記取付部材は、マスク本体の側縁
部に埋没、固着された基部と、この基部の両端部からそ
れぞれ突出した２個の締紐係止部とから構成され、その
締紐係止部は、締紐が係止される紐通し用スリット孔
と、マスク本体の側縁部と紐通し用スリット孔の間に設
けられ溶接スパッター防止板の取付脚が嵌め込まれる取
付孔とを有する構成とする。

（作用） 取付部材の基部がマスク本体の側縁部に埋没、固着され
ているので、十分な引張り強度が確保され、２つのスリ
ット孔に締紐を通して係止しているのでその摩擦により
締紐の一方を引っ張っても離脱することはなく、少なく
とも2kgの引張り荷重に耐え得る構造となる。さらに、
溶接スパッター防止板に設けた取付脚を締紐係止部に設
けた取付孔に嵌め込むだけで、溶接スパッター防止板を
簡易防じんマスクに簡単に取付けることができる。

（実施例） 以下、図面を参照して実施例を詳細に説明する。第１図
は、本考案の一実施例を示したもので、１はろ過材と面
体とが一体となった簡易防じんマスク本体、２は、マス
ク本体の左右両側縁部にそれぞれ配設された一対の取付
部材、３は締紐である。

第２図は、取付部材２の詳細を示したもので、取付部材
は、例えばポリプロピレン等の樹脂成形品からなり、マ
スク本体に埋没、固着される基部2aの両端に一対の締紐
係止部2bが設けられている。このような取付部材２の基
部2aをマスク本体１の左右両側縁部にそれぞれ挿入して
熱溶着する。第１図の４で示す部分が溶着部である。

第３図（ａ）は、第２図のＡ−Ａ断面を示しており、締
紐係止部2bには、マスク本体の側縁部に略平行な２つの
スリット孔5,6が形設され、また、その２つのスリット
孔間に突起７が設けられている。そして、第３図（ｂ）
に示したように、突起７の上を迂回するように締紐３を
２つのスリット孔5,6に通す。締紐３として、この実施
例では厚さ0.6mm、幅5mm、引張り強さ2.4kgのゴム紐を
使用している。スリット孔5,6の大きさは、ゴム紐の寸
法より厚さで60％、幅で20％程度小さくしてある。この
ため、ゴムの弾力による摩擦が大となり、突起７におけ
る摩擦と合わせてゴム紐の引張り強さ以上の力で固定す
ることができる。

また、締紐係止部2bにおける基部2aとスリット孔５との
間には長孔が設けられており、これを溶接スパッター防
止板取付孔８としている。溶接時には、高温の溶接スパ
ッターが発生してそれがマスクに直接付着すると、マス
クが損傷される。そこで、その溶接スパッターの付着を
防止する防止板でマスクを覆う必要がある。第５図にお
いて、11は溶接スパッター防止板であり、マスク本体１
を覆うように取付けられるが、本考案では、スパッター
防止板11の所定の位置に設けた取付脚12を締紐係止部に
設けた溶接スパッター防止板取付孔８に嵌め込み固定す
るようにしている。スパッター防止板11と取付脚12は塩
化ビニール樹脂で一体的に成形されている。

なお、第４図は、締紐係止部の他の実施例を示したもの
で、スリット孔５と溶接スパッター防止板取付孔８との
間及びスリット孔６と先端との間にそれぞれ割り溝９が
設けられている。このように割り溝９を設けておくと、
締紐３をスリット孔5,6に通す作業が容易になる。

以上のように構成された本実施例では、基部2aとマスク
本体１とは、広い面積で溶着されるので、締紐係止部2b
にかかる引張り荷重は上下に分散され、従って、マスク
本体１から取付部材２が分離したり、破断したりするこ
とはなく、かつ、マスク本体の変形を防止し、空気漏れ
が生じることもない。

また、締紐係止部2bにスパッター防止板取付孔８を設け
ておけば、大きな場所もとらず、溶接作業を行うに際し
てスパッター防止板11を簡単に装着することができる。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、簡単な構造でか
つ最小限の部品数で、規格値の２倍以上の引張り荷重に
耐え、破断や締紐の離脱がなく、マスク本体の変形防止
にも役立ち、空気漏れも発生しない。さらに、溶接作業
時に使用するスパッター防止板の装着が極めて容易であ
るなどの効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例の斜視図、第２図は、同取
付部材の平面図、第３図は、同取付部材の断面及び締紐
を通した状態を示す図、第４図は、取付部材の他の実施
例の構成図、第５図は、簡易防じんマスクに溶接スパッ
ター防止板を取付ける状態を示す図である。 １……マスク本体、２……取付部材、2a……基部、2b…
…締紐係止部、３……締紐、４……溶着部、5,6……ス
リット孔、８……溶接スパッター防止板取付孔、11……
溶接スパッター防止板、12……取付脚。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】マスク本体（１）の左右両側縁部にそれぞ
   れ配設された一対の取付部材（２）からなり、前記取付
   部材（２）は、マスク本体（１）の側縁部に埋没、固着
   された基部（2a）と、該基部（2a）の両端部からそれぞ
   れ突出した２個の締紐係止部（2b）とから構成され、前
   記締紐係止部（2b）は、締紐（３）が係止される紐通し
   用スリット孔（5,6）と、マスク本体（１）の側縁部と
   前記紐通し用スリット孔の間に設けられ溶接スパッター
   防止板（11）の取付脚（12）が嵌め込まれる取付孔
   （８）とを有することを特徴とする使い捨て式簡易防じ
   んマスクの締紐取付装置。