JPH0725932B2

JPH0725932B2 - 静電気防止樹脂材料

Info

Publication number: JPH0725932B2
Application number: JP62319003A
Authority: JP
Inventors: 芳巳田中
Original assignee: Alpha Corp
Current assignee: Alpha Corp
Priority date: 1987-12-18
Filing date: 1987-12-18
Publication date: 1995-03-22
Anticipated expiration: 2010-03-22
Also published as: JPH01161030A

Description

【発明の詳細な説明】産業上の利用分野この発明は、合成樹脂材料、特に静電気による障害を発
生しない静電気防止樹脂材料に関連する。

従来の技術自動車、電気冷蔵庫、扉の取手等の金属体に人体の一部
が接触したとき、帯電していた静電気による電流が金属
体と人体との間に流れて電気的ショックを感じることは
通常認められる現象である。このような静電気による電
気的ショックを防止するために、例えば、特開昭62−22
7952号公報に示されるように、導電性ポリアミド樹脂組
成物が公報である。また、ポリエステル樹脂にカーボン
ブラックを配合した導電性樹脂組成物も特開昭62−2156
35号公報により公知である。

発明が解決しようとする問題点ところで、従来の静電気防止樹脂材料は人体に帯電した
静電気を除去するために、必ずアースを有する金属接地
体が必要であった。また、従来の静電気防止材料は、繊
維製品として提供されているので、自動車部品、電気部
品その他の工業用製品に特定の形状で形成することがで
きなかった。

この発明は、上記問題を解決し、静電気による障害を発
生しない静電気防止樹脂材料を提供することを目的とす
る。

問題点を解決するための手段この発明による静電気防止樹脂材料は、60μｍ以下の直
径を有する導電性繊維材料0.01〜40重量％と、残部の樹
脂ベース材料とからなり、前記導電性繊維材料の端部は
前記樹脂ベース材料の表面から大気中に突出した構成を
有する。

作用この発明の静電気防止樹脂材料は、成形型による樹脂成
形が可能である。成形された製品中に含まれる60μｍ以
下の直径を有する導電性繊維材料は、帯電した物体との
接触時に自己放電作用としてコロナ放電により物体に帯
電した静電気を導電性樹脂材料の先端から気中放電して
電荷量を減少する。

実施例以下、この考案の実施例を添付図面について説明する。

まず、この発明による静電気防止樹脂材料は、60μｍ以
下の直径、好ましくは20μｍ以下の直径を有する導電性
繊維材料0.01〜40重量％と、残部の樹脂ベース材料とか
らなる。添付図面に示すように、導電性繊維材料１は樹
脂ベース材料２の表面から大気中に外側に突出した端部
を有する。

導電性繊維材料１は、導電性物質を含む無機繊維材料若
しくは有機繊維材料又は金属製繊維材料である。導電性
物質は、金属塩、金属粉末、カーボン、カーボンブラッ
ク等が含まれる。導電性繊維材料１は繊維材料のフィラ
メントを含む概念である。また、繊維材料は結晶性又は
非晶質の有機又は無機の繊維材料を使用することができ
る。具体的には、繊維材料は導電性物質を含むアスベス
ト、クラストナイト、ガラス繊維等の結晶性又は非晶質
の無機繊維材料、導電性物質を含むアクリル繊維、ポリ
エステル繊維、カーボン繊維等の結晶性又は非晶質の有
機繊維材料、Cu繊維又はステンレス繊維等の金属繊維材
料である。例えば、導電性繊維材料１は表面に金属が析
出したアクリル系繊維又は繊維材料中に含浸されたスル
ホン酸の金属塩を含むものである。

樹脂ベース材料２は、ポリカーボネート、ポリアセター
ル、ポリブチレンテレフタレート（PBT）、塩化ビニル
樹脂、ポリプロピレン、エチレンプロピレンジエントリ
ポリマー（EPDM）、合成ゴム等の非導電性又は導電性合
成樹脂である。また、樹脂ベース材料２は、ポリカーボ
ネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート
（PBT）塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、エチレンプ
ロピレンジエントリポリマー（EPDM）、合成ゴム等の合
成樹脂と、金属又は炭素等の導電性物質とからなるもの
でもよい。樹脂ベース材料２は、金属粉末、カーボン粉
末、カーボンブラック又はカーボン繊維が混入された導
電性合成樹脂も使用される。

この発明の静電気防止樹脂材料は、60μｍ以下の直径を
有する導電性繊維材料0.01〜40重量％と、樹脂ベース材
料20〜99.99重量％とを混合し、モールド樹脂材料とし
て製造される。導電性繊維材料の直径が60μｍを超える
と、コロナ放電効果が著しく減少する。また、導電性繊
維材料が0.01重量％に満たないと樹脂ベース材料中での
導電性が低下して、コロナ放電効果が低下する。導電性
繊維材料が40重量％を超えると樹脂材料としての成形性
が低下して、製品が脆弱化して亀裂や割れが発生しやす
い欠陥が発生する。

このモールド樹脂材料は、成形型のキャビティ内に圧入
し、インジェクションモールド、トランスファモールド
又は中型法等の公知の合成樹脂成形法により製品に形成
することが可能である。

成形型から取り出した樹脂製品は、本発明の静電気防止
樹脂材料としての作用を有するが、離型直後では、導電
性繊維材料１は樹脂ベース材料２の表面からあまり突出
していないことがある。従って、更に、樹脂製品の表面
を研磨して導電性繊維材料１を樹脂ベース材料２の表面
から起こして、導電性繊維材料１の端部を大気中に突出
させるとよい。

導電性繊維材料１は有機繊維材料又は無機繊維材料ニッ
ケル又は銅等の金属のイオンを含む水溶液中に浸漬した
後、還元剤で前記金属を前記繊維材料の表面に折出する
ことにより製造される。例えば、繊維材料を塩化鉛水溶
液に浸漬し、表面に鉛を吸着させた後、硫酸ニッケル水
溶液中に加え液温を70℃の温度に保持しながらヒドラジ
ン等の還元剤を加え、約２時間反応させて、ニッケルを
繊維の表面に折出させる。ニッケルの析出量は２〜65％
の間で変えることができる。別法として、硫酸銅、硫
酸、金属銅又はヒドロキシルアミンを含む浴中で繊維材
料を加熱処理することにより、一価の銅イオンを均一に
繊維材料に吸着することができる。次に、銅イオンが吸
着した繊維材料をハイドロサルファイト等の還元性水溶
液で処理して、繊維材料の表面に銅を析出することがで
きる。導電性繊維材料１は繊維材料中に含浸されたスル
ホン酸の金属塩等の−SO₃H基を含むものでもよい。

上述の方法で製造した本発明の静電気防止樹脂材料の除
電効果を測定した。その結果を第Ｉ表に示す。第Ｉ表か
らこの発明の静電気防止樹脂材料では、使用者が樹脂製
品に接近したとき、コロナ放電により静電気が大気中に
自己放電を行う。この自己放電作用によって帯電体の電
荷が完全に除去されないが、コロナ放電によって放電す
る電荷量は帯電時の60％を超える。このため、実用的に
は、最初のコロナ放電が行われると、残りの静電気が人
体を通じて流れても、使用者には電撃感が殆ど与えられ
ない。

また、本発明の静電気防止樹脂材料についてガソリンへ
の着火テストを行ったが、ガソリンは着火しなかったの
に対し、従来の静電気防止樹脂材料では着火した。これ
は、本発明による静電気防止樹脂材料ではコロナ放電に
より多量の静電気が予め除去されるためである。

この発明による静電気防止樹脂材料では、導電性繊維材
料を無機繊維材料又は有機繊維材料で作ると、柔軟性が
ありかつ自由に着色が可能な樹脂部を形成することがで
きる。また、アスベスト等の人体に有害とされる物質に
ついては他の無機繊維材料又は有機繊維材料を使用する
ことが可能である。

樹脂ベース材料は導電性材料を使用できるが、導電性繊
維材料を混入すれば、非導電性の樹脂ベース材料を使用
しても全体として導電性の樹脂部を得ることができる。
更に、この発明の静電気防止樹脂材料では、導電性繊維
材料を樹脂ベース材料中に分散するドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム等の分散剤、ポリエーテルアミド、
ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸等の帯電防止
剤、安定剤、劣化防止剤、可塑剤等の添加物を10％以下
で配合することが可能である。ガラス繊維は、FRPとし
て使用されている繊維を使用することができる。

発明の効果この発明では、コロナ放電により静電気の電荷量が大幅
に減少される。従って、使用者に静電気による電撃感を
与えることがない。また、ガソリン等の可燃物に接近し
た場所においても静電気による着火を防止することがで
き、火災に対する安全性が向上する。また、この発明の
静電気防止樹脂材料はアースを接続する必要がなく、種
々の形状に成形することが可能である。

【図面の簡単な説明】

添付図面はこの発明による静電気防止樹脂材料の樹脂部
を拡大して示す部分的断面図である。１……導電性繊維材料、２……樹脂ベース材料、

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】60μｍ以下の直径を有する導電性繊維材料
0.01〜40重量％と、残部の樹脂ベース材料とからなり、
前記導電性繊維材料の端部は前記樹脂ベース材料の表面
からの大気中に突出したことを特徴とする静電気防止樹
脂材料。
【請求項２】前記導電性繊維材料は、導電性物質を含む
無機繊維材料若しくは有機繊維材料又は金属製繊維材料
である特許請求の範囲第１項記載の静電気防止樹脂材
料。
【請求項３】前記導電性物質は、金属塩、金属粉末、カ
ーボン又はカーボンブラックである特許請求の範囲第
（２）項記載の静電気防止樹脂材料。
【請求項４】前記導電性繊維材料は導電性物質を含むア
スベスト、クラストナイト、ガラス繊維等の結晶又は非
晶質の無機繊維材料、導電性物質を含むアクリル繊維、
ポリエステル繊維、カーボン繊維等の結晶性又は非晶質
の有機繊維材料、Cu繊維又はステンレス繊維等の金属繊
維材料である特許請求の範囲第（１）項記載の静電気防
止樹脂材料。
【請求項５】前記導電性繊維材料は金属粉末、カーボン
粉末、カーボンブラック又はカーボン繊維が混入された
特許請求の範囲第（１）項記載の静電気防止樹脂材料。
【請求項６】前記導電性繊維材料は表面に金属が折出し
たアクリル系繊維である特許請求の範囲第（１）項記載
の静電気防止樹脂材料。
【請求項７】前記導電性繊維樹脂材料は繊維材料中に含
浸されたスルホン酸の金属塩を含む特許請求の範囲第
（１）項記載の静電気防止樹脂材料。
【請求項８】前記導電性繊維材料は、20μｍ以下の直径
を有する特許請求の範囲（１）項記載の静電気防止樹脂
材料。
【請求項９】前記樹脂ベース材料は、ポリカーボネー
ト、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート（PB
T）、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、エチレンプロ
ピレンジエントリポリマー（EPDM）、合成ゴム等の非導
電性又は導電性合成樹脂である特許請求の範囲第（１）
項記載の静電気防止樹脂材料。
【請求項１０】前記樹脂ベース材料は、金属粉末、カー
ボン粉末、カーボンブラック又はカーボン繊維が混入さ
れた導電性合成樹脂である特許請求の範囲第（１）項記
載の静電気防止樹脂材料。
【請求項１１】前記樹脂ベース材料は、ポリカーボネー
ト、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート（PB
T）、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、エチレンプロ
ピレンジエントリポリマー（EPDM）、合成ゴム等の合成
樹脂と、金属又は炭素等の導電性物質とからなる特許請
求の範囲第（１）項記載の静電気防止樹脂材料。
【請求項１２】前記導電性繊維材料は有機繊維材料又は
無機繊維材料をニツケル又は銅等の金属のイオンを含む
水溶液中に浸漬した後、還元剤で前記金属を前記繊維材
料の表面に析出した特許請求の範囲第（１）項記載の静
電気防止樹脂材料。