JPH07258116A - 芳香族化合物のアルキル化方法 - Google Patents

芳香族化合物のアルキル化方法

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JPH07258116A
JPH07258116A JP6055610A JP5561094A JPH07258116A JP H07258116 A JPH07258116 A JP H07258116A JP 6055610 A JP6055610 A JP 6055610A JP 5561094 A JP5561094 A JP 5561094A JP H07258116 A JPH07258116 A JP H07258116A
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olefin
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルキル置換された芳香族化合物の製造方法
を提供する。 【構成】 芳香族化合物とオレフィン類を、スカンジウ
ムトリフルオロメタンスルホン酸塩の存在下に、100
℃で1時間反応させ、アルキル置換された芳香族化合物
を製造する。反応系に触媒量の硫酸を共存させると、ア
ルキル化のパラ選択性が特に増加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族化合物とオレフ
ィン類とを反応させ、アルキル置換された芳香族化合物
を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族炭化水素とオレフィン類によるア
ルキル化反応は、AlCl↓3 、BF↓3 、FeCl↓
3 、TiCl↓4 などのルイス酸触媒の存在下または、
硫酸、リン酸、HFなどの強酸の存在下に進行すること
が知られている(Friedel-Crafts and Related Reactio
n, Interscience Publishers, II, 1(1964).)。液相で
塩化アルミニウムを触媒として使用し、その使用量を削
減する改良法として、140〜200℃の高温で反応を
行なう方法(特開昭50-59332号公報)、塩化アルミニウ
ムと芳香族化合物の錯体を循環再使用する方法(特開昭
50-137933 号公報)、塩化アルミニウムと塩化水素の混
合物を使用する方法(ドイツ特許第2141491 号明細書)
などが知られている。また、気相で反応を行う方法とし
て、固体リン酸触媒を用いる方法(ドイツ特許第192841
3 号明細書、特開昭53-108932 号公報)、BF↓3 担持
固体触媒を用いる方法(米国特許第4008289 号明細
書)、アルミノシリケートを用いる方法(特開昭51-143
625 号公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】塩化アルミニウムなど
のルイス酸を用いる方法は、アルキル化反応の位置選択
性は良好であるが、水の存在により触媒活性が著しく損
なわれるため、原料として使用する芳香族化合物および
オレフィン類を十分に乾燥してから使用しなければなら
ない。また、触媒成分の一部が生成物層に溶解するた
め、生成物層から触媒成分を除去するためには水および
アルカリで洗浄する必要がある。しかし、洗浄の際に使
用した水が、回収した芳香族化合物中に混入すると触媒
の失活をもたらすため、回収原料は再度脱水処理する必
要があり、工業的価値を低下させている。さらに、塩化
物系触媒は、分解により塩化水素を発生し、反応装置お
よび蒸留装置を腐食するため、反応には耐腐食性装置が
必要となり、設備コストの上昇をもたらす。硫酸、リン
酸、HFなどの強プロトン酸触媒を用いる方法は、触媒
成分の分離回収が容易という有利性があるけれども、ア
ルキル化反応の位置選択性が悪く、置換芳香族化合物の
アルキル化反応の場合にオルト/パラ異性体の混合物を
与えるため、位置選択的なアルキル化反応には適してい
ない。さらに、これらの酸触媒は装置腐食性が強いた
め、反応には特殊な材質の装置が必要である。気相で行
う反応は、300℃以上の高温および高圧が必要であ
る。また、反応を行う際に、触媒表面に炭化物、高沸物
などが付着し易く、これにより触媒活性の著しい低下が
認められる。
【0004】
【課題を解決する手段】本発明者は、腐食性の高い揮発
性ハロゲン化物を含まず、比較的温和な条件下で、原料
の前乾燥の必要のない芳香族化合物のアルキル化方法に
ついて鋭意検討を行った結果、芳香族化合物とオレフィ
ン類とを反応させアルキル置換された芳香族化合物を製
造する際に、プロトン酸の非存在下にまたは存在下に、
Sc、Y、Laおよびランタノイド系列から選ばれた元
素の少なくとも1種の元素のトリフルオロメタンスルホ
ン酸塩(以下、これをトリフレート化合物と略称するこ
とがある。)を存在させることを特徴とする芳香族化合
物のアルキル化方法を見いだすことにより本発明を完成
するに至った。
【0005】本発明によれば、原料の乾燥を必要とせ
ず、比較的温和な条件下で芳香族化合物とオレフィン類
によるアルキル化反応を実施することができる。また、
触媒成分は水に対して安定なため、反応液を水洗し水相
から水を留去したあとで触媒として再使用することがで
きる。また、未反応の原料は蒸留などの方法により回収
し、脱水処理を施すことなくそのまま再使用することが
できる。
【0006】本発明に使用できる芳香族化合物は、置換
または無置換のベンゼン、ナフタレンおよびアントラセ
ンなどであり、これらは置換または無置換のアルキル
基、置換または無置換のアリール基、水酸基、アルコキ
シ基などで置換されていても良い。具体的には、ベンゼ
ン、トルエン、エチルベンゼン、クメン、t−ブチルベ
ンゼン、ナフタレン、アントラセンなどの炭化水素系化
合物、フェノール、ナフト−ルなどの水酸基含有化合
物、アニソール、フェネトールなどのエ−テル系化合物
等を例示することができるが、これらに限定されるもの
ではない。また、これら芳香族化合物は、5wt%以下
の水を含んでいても使用可能であり、完全に脱水されて
いなくてもよい。
【0007】本発明に使用できるオレフィン類として
は、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソ
ブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテ
ン、メチレンシクロヘキサンなど末端に二重結合を有す
るオレフィン類、2−ブテン、2−ペンテン、シクロヘ
キセンなど非末端に二重結合を有するオレフィン類など
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。オ
レフィン類の使用量は、芳香族化合物1モルに対して、
100〜1/100モルの範囲で使用することができ
る。1分子のオレフィン付加物を得る場合には、オレフ
ィン類は芳香族化合物に対して1〜1/100モル倍量
で使用することが好ましい。オレフィン類は、溶解度の
範囲内の水を含んでいても良く、完全に脱水されていな
くともよい。
【0008】本発明に使用するトリフレート化合物は、
Sc、Y、Laおよびランタノイド系列から選ばれた元
素の少なくとも1種の元素のトリフルオロメタンスルホ
ン酸塩(以下、トリフルオロメタンスルホン酸塩のこと
をトリフレ−トと略称することがある。)で、2種以上
のトリフレート化合物を混合して使用しても良い。これ
らトリフレート化合物の中で、スカンジウムトリフレー
トが最も高活性であり好ましい。トリフレート化合物
は、周期表第III A族元素の酸化物とトリフルオロメタ
ンスルホン酸を混合後、加熱することによって容易に調
製される(テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Le
tt. )、第34巻、第3755頁、1993年参照)。トリフレー
ト化合物の使用量は、オレフィン類1モルに対して0.
1〜50モル%の範囲が好ましく、特に1〜20モル%
の範囲が好ましい。トリフレート化合物の使用量が0.
1モル%より少ない場合は、アルキル化能力が低く、5
0モル%以上では、反応液中のトリフレート化合物の量
が多いため、分離回収が困難となる。
【0009】トリフレート化合物の存在下にアルキル化
反応を行う際、プロトン酸を共存させると、置換芳香族
化合物のアルキル化の際にパラ選択性を増加させること
ができるため、プロトン酸の共存下で反応を行うことも
好ましい。用いられるプロトン酸としては、硫酸、リン
酸、塩酸、トリフルオロメタンスルホン酸、フルオロス
ルホン酸などがあるが、揮発性の少ない酸を用いること
が装置腐食等を回避するためには望ましい。反応液に共
存するプロトン酸の使用量は、トリフレート化合物1モ
ルに対し0〜5モル量が好ましく、特に0.1モル量か
ら3モル量が好ましい。プロトン酸の量は、5モル倍量
以上使用しても効果に差が認められないため、分離工程
を簡素化するためには、使用量を必要最少限に抑えるこ
とが好ましい。
【0010】反応を行う際に、反応に悪影響を及ぼさな
い溶媒を使用しても良い。使用できる溶媒として、ヘキ
サン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタンなどの
炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチ
レンなどの反応に不活性なハロゲン化炭化水素系溶媒、
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチル
エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、
ジオキサン、ジグライム、トリグライムなどのエーテル
系溶媒などが例示できるが、これらの溶媒に限定される
ものではない。また、溶媒としてこれらの混合物を使用
することもできる。また、大量の水およびアルコール類
は反応系に混入させない方が好ましい。
【0011】反応は、一般に0から200℃の範囲で実
施されるが、特に50℃〜150℃の範囲が好ましい。
0℃以下では、反応速度が遅く反応を追い込むために長
時間を要し、200℃以上では、オレフィン類の重合お
よび/または芳香族化合物のポリアルキル化が起こり好
ましくない。
【0012】反応時間は、原料の芳香族化合物、オレフ
ィン類の種類、トリフレート化合物の使用量、反応温度
などにより適宜選択されるが、工業的に有利にアルキル
化を行うためには、0.1〜10時間でほぼ反応が完結
する条件で実施することが好ましい。
【0013】反応は、バッチ式または連続式などのいか
なる方法でも実施できる。また、トリフレート化合物お
よびプロトン酸を固体成分に担持した固定床形式でも実
施できる。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0015】実施例1 電磁撹拌式オートクレーブに、アニソール21.6g
(200mmol)、イソブテン2.24g(40mm
ol)、スカンジウムトリフレ−ト984mg(2mm
ol)、硫酸196mg(2mmol)を入れ、100
℃で1時間反応した。オートクレーブを冷却した後、反
応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、反応
液中にはアニソールが17.6g、p−tert−ブチ
ルアニソールが5.66g、o−tert−ブチルアニ
ソールが0.12g、o,p−ジーtert−ブチルア
ニソールが0.15gおよび少量のポリアルキル化体、
イソブテン重合物が含まれていたが、イソブテンは全く
検出されなかった。イソブテン基準のp−、o−、およ
びo,p−置換体の選択率はそれぞれ86.3%、1.
8%、および3.4%である。
【0016】実施例2〜9 アニソ−ル(200mmol)およびイソブテン(40
mmol)を使用し、実施例1と同様の操作で、それぞ
れ表1に記載したように触媒(各2mmol)の種類、
添加物としての硫酸、水の使用量および反応温度を変え
て1時間反応を行った。それぞれの反応条件と反応成績
を表1に示す。
【0017】比較例1〜3 実施例1と同様の操作で、スカンジウムスカンジウムト
リフレ−トの代わりに表1に記載した触媒を用い反応を
行った。実施例1と同様の方法により求めたそれぞれの
反応成績を表1に示した。比較例1の塩化アルミニウム
触媒を少量の水の共存下に使用した例では、反応の進行
が非常に遅く未反応のイソブテンが70%以上残ってい
た。比較例2および比較例3においてはアルキル化生成
物のパラ付加体/オルト付加体の比が小さく、多量のオ
ルト付加生成物が得られた。
【0018】実施例10 電磁撹拌式オートクレーブに、トルエン18.4g(2
00mmol)、イソブテン2.24g(40mmo
l)、スカンジウムトリフレ−ト984mg(2mmo
l)、硫酸196mg(2mmol)、水36mg(2
mmol)を入れ、100℃で1時間反応した。実施例
1と同様の方法で求めた反応成績を表2に示した。
【0019】実施例11 実施例10と同様の操作で、トルエンの代わりにアニソ
ール21.6g(200mmol)を用い、イソブテン
の代わりプロピレン(40mmol)を用い反応を行っ
た。実施例1と同様の方法で求めた反応成績を表2に示
した。
【0020】実施例12 電磁撹拌式オートクレーブに、アニソール21.6g
(200mmol)、スカンジウムトリフレ−ト984
mg(2mmol)、硫酸196mg(2mmol)、
水36mg(2mmol)を入れた後、エチレンを10
0kg/cm↑2になるまで加えた。オートクレーブを
150℃に昇温し、そのまま1時間反応した。実施例1
と同様の方法で求めた反応成績を表2に示した。
【0021】実施例13 実施例1で得られた反応液20gにヘキサン10gを加
え、5mlの水で3回抽出し、得られた水相から水を留
去したところスカンジウムトリフレートおよび硫酸成分
が0.94g得られた。電磁撹拌式オートクレーブに、
アニソール17.3g(160mmol)、イソブテン
1.79g(32mmol)および得られた固体成分
0.94gを入れ、100℃で1時間反応した。オート
クレーブを冷却した後、反応液をガスクロマトグラフィ
ーで分析したところ、反応液中にはアニソールが13.
8g、p−tert−ブチルアニソールが4.54g、
o−tert−ブチルアニソールが0.09g、o,p
−ジーtert−ブチルアニソールが0.12gおよび
少量のポリアルキル化体、イソブテン重合物が含まれて
いたが、イソブテンは全く検出されなかった。イソブテ
ン基準のp−、o−、およびo,p−置換体の選択率は
それぞれ86.5%、1.8%、および3.3%であっ
た。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】本発明により、原料の乾燥を必要とせ
ず、比較的温和な条件下でオレフィン類による芳香族化
合物のアルキル化反応を実施することができる技術が提
供された。本発明によれば、触媒成分は反応液を水洗
し、水相から水を留去した後に再使用することができ
る。さらに、未反応の原料は蒸留などの方法により回収
し、脱水処理を行なう事なくそのまま再使用することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族化合物とオレフィン類とを反応さ
    せ、アルキル置換された芳香族化合物を製造する際に、
    Sc、Y、Laおよびランタノイド系列から選ばれた元
    素の少なくとも1種の元素のトリフルオロメタンスルホ
    ン酸塩の存在下に反応を行なうことを特徴とする芳香族
    化合物のアルキル化方法。
  2. 【請求項2】 プロトン酸の存在下に実施する請求項1
    記載の芳香族化合物のアルキル化方法。
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