JPH07253425A - ガソリンの性状分析方法 - Google Patents

ガソリンの性状分析方法

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JPH07253425A
JPH07253425A JP7163494A JP7163494A JPH07253425A JP H07253425 A JPH07253425 A JP H07253425A JP 7163494 A JP7163494 A JP 7163494A JP 7163494 A JP7163494 A JP 7163494A JP H07253425 A JPH07253425 A JP H07253425A
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gasoline
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chromatogram
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peak
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Takeshi Kawanobe
武 川野辺
Masami Chiba
正美 千葉
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Kashima Oil Co Ltd
Cosmo Oil Co Ltd
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Kashima Oil Co Ltd
Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガソリンの組成等の性状を迅速かつ簡便に高
精度で測定でき、しかもガソリン中に含まれている特定
成分を正確に定量すると同時に、前記性状を簡便な手段
でかつ高精度に分析することを可能にするガソリンの性
状分析方法を提供する。 【構成】 メインプロセスと、サブプロセスと、補正演
算プロセスとからなるガソリンの性状分析方法であっ
て、(1)メインプロセスにおいて、クロマトグラムの
保持時間をクロマトグラムのピークが描かれる開始点に
変更し、この変更した保持時間に基づき前記各成分を同
定し、前記各成分の含有割合を求め、(2)サブプロセ
スにおいて、試料中の複数の特定成分の各々を分離溶出
させ、複数の特定成分に対応するクロマトグラムの各ピ
ーク面積から、これら複数の特定成分の含有割合を求
め、(3)補正演算プロセスにおいて、メインプロセス
並びにサブプロセスにおいて得られた前記同定結果及び
前記含有割合から、前記複数の特定成分の含有割合とガ
ソリンの性状値を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガソリンの密度,オク
タン価,蒸気圧,組成等の性状を、迅速かつ簡便に高精
度で測定できるガソリンの性状分析方法に関し、より詳
細には、ガソリン中に含まれている特定成分を正確に定
量すると同時に、前記性状を簡便な手段でかつ高精度に
分析することを可能にするガソリンの性状分析方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車ガソリン等の性状を把握するに
は、密度,オクタン価,蒸気圧,組成等の多数の項目に
ついて測定する必要があり、従来、これらの項目につい
て測定する場合には、JIS規格に基づく測定が行われ
ている。
【0003】例えば、オクタン価は、JIS−K−22
80に示されているCFR(Cooperative
Fuel Research)エンジンを用いたリサー
チ法オクタン価(RON、CFRエンジン回転数600
rpmで得られたオクタン価)を測定する。
【0004】また、組成は、例えば、ガソリン中の成分
を飽和炭化水素分、オレフィン炭化水素分及び芳香族炭
化水素分の3種類の炭化水素タイプに類別して定量する
方法がJIS−K−2536に示されている。
【0005】上記のJIS−K−2280に示されてい
るCFRエンジンを用いてリサーチ法オクタン価を測定
する場合、一試料につき、約1000mlの試料量を必
要とし、測定時間も約1時間必要とする。
【0006】上記のJIS−K−2536に示されてい
る、ガソリン中の炭化水素成分を飽和分、オレフィン分
および芳香族分の3種類の炭化水素タイプに類別して組
成を定量する場合は、煩雑な操作を伴い、測定するのに
約1〜2時間程度必要とする。更に、各種ガソリン、あ
るいは自動車ガソリン等の最終製品の性状を把握するに
は、これらオクタン価,組成の他、密度,蒸気圧等の項
目についても測定しなければならず、主要項目のみを測
定するとしても約2000mlの試料量と約5〜8時間
程度の分析時間を必要とし、煩雑な操作を行わなければ
ならなかった。
【0007】一方、これらガソリンの組成等の分析を簡
易に行う手段として、熱伝導度検出器(以下、TCDと
略記する)、水素炎イオン化検出器(以下、FIDと略
記する)等の各種検出器を備えたガスクロマトグラフが
一般に用いられている。しかし、分解ガソリン、改質ガ
ソリン等は特に多数種の炭化水素の混合物であり、炭化
水素成分数は約130〜300にも及ぶ。しかも、最終
製品である自動車ガソリン等は、これら分解ガソリン、
改質ガソリン等を混合して製造するので、炭化水素成分
数は一般に約170〜350種にも達する。このため、
これら多数種の炭化水素各成分をガスクロマトグラフを
用いて分離溶出させるには、単に分離効率が良いカラム
を用いても、各種炭化水素のクロマトグラムピークは非
常に接近したものとなる。
【0008】また、最近、自動車の高性能化に伴い、オ
クタン価が約98〜100のいわゆるハイオクタン価ガ
ソリンの需要が増えている。これらのガソリンでは、
2,2,4−トリメチルペンタン、トルエン、炭素数9
の芳香族炭化水素等の特定種の炭化水素成分が多量に含
まれていることが多い。このような試料の分析を行った
場合は、ガスクロマトグラフの測定条件が精密に制御さ
れていたとしても、多量に含まれている炭化水素成分が
分離溶出するのに長時間を要し、しかもJIS−K−2
536に示されている方法による場合とは大幅に異なる
結果しか得られない。
【0009】上記のような不都合がない方法として、一
試料につき約130〜300種程度存在する炭化水素各
成分をある程度正確に同定し得る方法も提案されている
(特開平3−73849号公報)。この方法は、ガソリ
ン中に特定の成分が多量に含まれる場合においても、成
分量に影響されることなく、ガソリン中の各成分を同
定、定量し、その値を基に各性状を示す項目について、
迅速にその値を求めることを特徴とするものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記先提案
の方法では、ガソリン性状分析に関し、迅速正確な分析
を可能とし、その値もJIS法に規定の方法で行った場
合とよく一致するものではあるが、特定の成分、特に含
有量が少ない特定成分の含有割合に関しては正確に定量
できないという難点があった。例えば、ガソリン中のベ
ンゼン含有量を知りたい場合、ベンゼンと1McyC5
=(1−メチル−シクロペンテン)のクロマトグラムピ
ークが接近しているため、クロマトグラムが完全に分離
しない場合も生じ、このような場合はベンゼンと1Mc
yC5=とが作るピークは、ベンゼンのみによるピーク
であるとして分析結果を得ている。
【0011】また、MTBEの含有量を知りたい場合、
MTBEと23DMC4=1(2,3−Dimethy
l−1−butene)について、トルエンの含有量を
知りたい場合、トルエンと233TMC5(2,3,3
−Trimethyl pentane)について、芳
香族含有量を知りたい場合、123TMB(1,2,3
−Trimethyl benzene)とC12オレ
フィンについても、それぞれ各成分についてのクロマト
グラムピークが近接しているため分離ができない場合も
生じる。これらの場合においても、それぞれが作るピー
クは、MTBEによるピーク、トルエンについてのピー
ク、123TMBについてのピークであるとして分析結
果を得ている。
【0012】特に、ベンゼンは発ガン性物質として最近
特に環境への拡散が問題となってきており、諸外国では
規制の対象となっている場合も多い。また、MTBEは
ガソリン中への添加量が7%以下と規定されているた
め、そのピーク中に存在する重複する成分(すなわち、
23DMC4=1(2,3−Dimethyl−1−b
utene))を測定値に取り込んでいる場合には、正
確な添加量を測定することができないため、管理試験に
影響を及ぼすといった問題がある。さらに、トルエンは
ガソリン中に最も多く含まれる成分であるが、ベンゼン
と同様に環境への影響が大きい。また、233TMC5
はアルキレート基材中に多く(15〜20%)含まれる
成分であるが、分析の際トルエンのクロマトグラムと重
なるため、芳香族分を正確に検出することができない場
合も生じる。このような事情から、上記ベンゼン,MT
BE,トルエン等について含有割合の正確な分析結果を
得ることができる分析方法が希求されている。
【0013】本発明は上記のような問題を解決するため
に提案されたものであって、ガソリンの密度,オクタン
価,蒸気圧,組成等の性状を、迅速かつ簡便に高精度で
分析することができ、しかも、それと同時に、ガソリン
中に含まれている特定成分を正確に分析することができ
るガソリンの性状分析方法を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の問
題が解決するために検討を重ねた結果、(i)本出願人
の先提案にかかる液状混合物の性状分析方法(特開平3
−73849号公報)によれば、保持時間をピークの立
ち上りに変更することで高精度の分析が行えること、
(ii)この方法によってもピークが分離されないこと
があり、特定成分については正確な同定・定量を行えな
い場合もあること、(iii)このような場合におい
て、試料中の複数の特定成分の各々を別途のプロセスに
おいて分離溶出させれば、該特定の成分についてはピー
クの分離を行うことができること、(iv)この分離し
たピークに基づき特定成分の含有割合を求め、この比率
と、上記(ii)におけるピークの面積とから、上記特
定成分の含有割合をそれぞれ極めて高い精度で求めるこ
とができる、との知見を得た。
【0015】本発明は以上のような知見に基づきなされ
たもので、メインプロセスと、サブプロセスと、補正演
算プロセスとからなるガソリンの性状分析方法であっ
て、(1)メインプロセスにおいて、ガスクロマトグラ
フを用いて、測定すべき試料中に含まれる各成分を分離
溶出させ、前記ガスクロマトグラフの出力から得られる
クロマトグラムの各ピーク面積を求め、前記クロマトグ
ラムの一部もしくは全部の保持時間をクロマトグラムの
ピークが描かれる開始点に変更し、前記の変更した保持
時間、または変更した保持時間および変更していない保
持時間に基づき前記各成分を同定し、前記ピーク面積か
ら前記各成分の含有割合を求め、(2)サブプロセスに
おいて、ガスクロマトグラフにより試料中の複数の特定
成分の各々を分離溶出させ、複数の特定成分に対応する
クロマトグラムの各ピーク面積から、これら複数の特定
成分の含有割合を求め、(3)補正演算プロセスにおい
て、メインプロセスにおいて得られた前記同定結果およ
び前記含有割合並びに、サブプロセスにおいて得られた
前記同定結果および前記含有割合から、前記複数の特定
成分の含有割合とガソリンの性状値を求めることを特徴
とする。
【0016】ここで、上記(1)において同定した各成
分のクロマトグラムのピークを基準ピークとして、これ
らの基準ピークから他の各成分を同定し、前記ピーク面
積から前記各成分の含有割合を求めることもできる。
【0017】ガソリンは主として自動車,航空機,船舶
用等に用いられるものであり、プレミアムガソリン,レ
ギュラーガソリン,軽質接触分解ガソリン,接触分解ガ
ソリン等種々のものがある。
【0018】メインプロセスでの分析には、前記した先
提案の性状分析方法がそのまま用いられる。また、サブ
プロセスでの分析では、目的とする特定成分、例えばベ
ンゼン等が正確に分離可能であれば、使用する装置等、
条件については何ら制限されない。ただし、メインプロ
セスと同じ装置を用い、昇温条件等の最低限の条件のみ
をメインプロセスと異ならせ、対応することが、カラム
条件にも差異を生ぜず、最も簡便であり、精度の高い分
析が可能となる。
【0019】補正演算プロセスでは、メインプロセスお
よびサブプロセスにおける測定結果を用いて、複数の特
定成分の同定・定量を行う。この演算は、通常はコンピ
ュータにより上記データを取り込み、自動演算すること
ができる。
【0020】なお、通常、メインプロセスによる測定の
後にサブプロセスによる測定が行われるが、もちろんサ
ブプロセスによる測定の後にメインプロセスによる測定
を行うこともできる。
【0021】特定成分は、通常、芳香族系化合物とオレ
フィン系化合物の場合等種々の場合がある。これらの成
分として、例えば(1)ベンゼンおよび1McyC5
=、(2)MTBEと23DMC4=1(2,3−Di
methyl−1−butene)、(3)トルエンと
233TMC5(2,3,3−Trimethyl p
entane)、(4)123TMB(1,2,3−T
rimethyl benzene)とC12オレフィ
ンがそれぞれ挙げられる。
【0022】また、本発明において、サブプロセスにお
けるカラム温度の条件は、分離溶出しようとする特定成
分により異なるが、例えばベンゼン含有割合を分析する
場合、ベンゼンと1McyC5=の分離条件は、通常
は、カラムオーブン温度を−5℃〜+5℃に15〜60
分間維持した後、10〜15℃/minの温度勾配で昇
温される。ここで、サブプロセスのカラム温度条件とメ
インプロセスの同条件が近似している場合、サブプロセ
スの温度条件をメインプロセスの温度条件として、一度
に測定することも考えられる。しかし、メインプロセス
のカラムの温度条件の変更は、ガソリン中に含まれる約
200〜300成分の保持時間が変化し、それに伴う条
件変更が非常に煩雑なものとなるので避ける必要があ
る。
【0023】
【作用】ガスクロマトグラフにおいては、一般に、得ら
れるクロマトグラムの各ピークを、予め設定してある保
持時間との関係を用いて解析し、試料中の炭化水素各成
分を同定・定量して、炭化水素各成分の含有量を求め
る。
【0024】メインプロセスにおけるガスクロマトグラ
フによる測定では、保持時間を試料導入点からクロマト
グラムピークの立ち上り点までの時間として、クロマト
グラムの各ピークの立ち上り点を、予め設定してある保
持時間との関係を用いて解析する。そして、試料中の炭
化水素各成分を同定・定量して、炭化水素各成分の含有
量を求める。
【0025】サブプロセスにおけるガスクロマトグラフ
による測定は、温度条件以外はでき得る限り上記メイン
プロセスによる測定方法と同様とすることが好ましい。
サブプロセスにおいては、メインプロセスではクロマト
グラムピークが近接しているために分離できなかった各
特定成分について、分離したピークが得られる。これら
のピークを、予め設定してある保持時間との関係を用い
て解析し、各ピークの面積から各特定成分の含有比率を
求める。なお、特定成分の同定に際しては、特に限定さ
れず、メインプロセスにおけると同様、上記保持時間を
試料導入点から、クロマトグラムピークの立ち上り点ま
での時間とすることもできるし、クロマトグラムピーク
の頂点までとすることもできる。
【0026】メインプロセスにおいて、例えば成分A,
Bがほぼ同一のピークに表れており、ピークが分離して
いないか分離が不完全なときには、ピーク全体の面積が
どちらか一方の成分の面積値として求められる。これに
対し、ピークが分離しているときには、それぞれのピー
クについての面積を合計した値が面積値として求められ
る。
【0027】ここで、上記面積値をSとし、サブプロセ
スにおいて求められた各成分A,Bの含有割合をR
とすると、成分A,Bの含有比率を面積で表せば、
それぞれS×R、S×Rとなる。そして、S×
、S×Rにそれぞれ補正係数を掛け、メインプロ
セスで求めた成分A,B以外の成分の合計量の含有割合
とから、成分A,Bの含有量が求められる。
【0028】本発明では、このように特定成分の同定・
定量を正確に行うことができるし、さらに測定値を用い
てRON,MON等のガソリンの各種性状値をより正確
に求めることもできる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を、特定成分がベンゼンおよび
1McyC5=である場合を例に説明する。
【0030】本発明で使用するガスクロマトグラフは、
TCD、FIDなどの検出器を備ええた市販のものが使
用できる。本実施例では、汎用性、感度等を考慮してF
IDを用いている。
【0031】ガソリンでは、前述したように炭化水素成
分が300種以上にも達する。このため、メインプロセ
スにおけるガスクロマトグラフのカラムは、理論的には
約200.000段以上、好ましくは250,000段
以上とされる。この場合、内径が約0.1〜0.3m
m、長さが約40〜100mのキャピラリーカラムが好
ましく使用される。なお、本実施例では、サブプロセス
におけるガスクロマトグラフおよびカラムは、メインプ
ロセスで用いるガスクロマトグラフと同一である。ま
た、カラムのコーティング剤は、メインプロセス,サブ
プロセスにおいてともに、メチルシリコン、またはメチ
ルシリコンを主とするもので化学結合させたものが用い
られ、膜厚0.2〜1.0μm、好ましくは約0.2〜
0.6μmでコーティングしたものが好ましく用いられ
る。
【0032】本実施例では、カラムは長さ50m、内径
0.2mmのヒューズドシリカからなり、コーティング
剤としてメチルシリコン(シリコン液相分子同士を架橋
したもの)を用いたものが使用されている。
【0033】キャリアガスとしては、メインプロセス,
サブプロセスにおいて共に、一般に用いられている水
素,ヘリウム,窒素等を使用することができるが、分子
拡散が大きく不活性で安全なヘリウムが好ましく、キャ
リアガス速度は、一般には約10〜30cm/秒とされ
る。本実施例では、キャリアガス速度は20cm/秒と
してある。
【0034】試料注入量はメインプロセス,サブプロセ
スにおいて共に、約0.2〜1.0μl程度であり、ス
プリット比は試料注入量にもよるが約100:1〜50
0:1とされる。本実施例では、試料注入量は1μl、
スプリット比は400:1としてある。
【0035】メインプロセスにおけるガスクロマトグラ
フのカラムオーブン温度条件は、カラムの分離性能、キ
ャリアガス速度等にも関係し、種々の態様が考えられ
る。基本的にはブタン,ペンタン等の低沸点炭化水素成
分が分離溶出するまではカラムオーブン温度を約−5〜
+5℃程度に維持し、その後炭素数の多い炭化水素成分
を精度よく分離溶出させるために昇温する。本実施例で
は、−5℃で15分間維持した後、35℃までは3℃/
分、70℃までは1℃/分、140℃までは3.5℃/
分の温度勾配で昇温している。
【0036】サブプロセスにおけるガスクロマトグラフ
のカラムオーブン温度条件は、前述したように通常は、
−5℃〜+5℃に15〜60分間維持した後、10〜1
5℃/minの温度勾配で昇温させる。本実施例では0
℃においては30分間維持した後、3℃/分で30℃ま
で昇温させ、さらに温度勾配を30℃/分で150℃ま
で昇温させ、以後150℃に維持している。
【0037】市販のプレミアムガソリンを試料とするJ
IS法,従来法,本発明方法による測定結果を〔表1〕
に示し、メインプロセスおよびサブプロセスにおけるク
ロマトグラムを図1および図2に示す。〔表1〕の「本
発明方法」の欄における、(ベンゼン)の値(1.6)
と、(1McyC5=)の値(0.2)は、サブプロセ
スにおいて測定されたベンゼンと1McyC5=との含
有比率に、メインプロセスにおいてそれぞれ測定された
ベンゼンと1McyC5=とが作るピークの面積をそれ
ぞれ掛け、さらにそれぞれ補正係数を掛けて求めたもの
である。なお、RON,MON,蒸気圧,(総)発熱
量,密度,炭素含有率,水素含有率,重量平均分子量お
よび数平均分子量として、JIS法,従来法および本発
明方法により求めたものを併せて記載しておく。
【0038】
【表1】
【0039】従来法ではベンゼンと1McyC5=とは
分離されないため、1McyC5=はベンゼンの測定値
(1.8vol%)に含まれている。これに対して、本
発明法によれば、1McyC5=は0.2vol%、ベ
ンゼンは1.6vol%であり、両者が明確に分離され
た測定結果を得ることができる。
【0040】次に、市販のレギュラーガソリン、FCC
−L(軽質接触分解ガソリン)(1),(2)およびF
CC−G(接触分解ガソリン)を試料とする場合につい
て説明する。なお、レギュラーガソリン、FCC−L
(1)についてのサブプロセスおよびメインプロセスに
おけるクロマトグラムを図3,図5に、サブプロセスに
おけるクロマトグラムを図4,図6にそれぞれ示す。
【0041】上記各ガソリンについてのベンゼンと1M
cyC5=の含有量の測定結果を〔表2〕に示す。な
お、〔表2〕には従来法により求めたベンゼンと1Mc
yC5=の含有量を併せて示す。
【0042】
【表2】
【0043】〔表2〕において、レギュラーガソリンと
FCC−Gは、従来方法では分離しなかったために、ベ
ンゼンとして同定している。
【0044】以上、特定成分がベンゼンと1McyC5
=の場合を説明したが、特定成分が、MTBEと23D
MC4=1、トルエンと233TMC5、123TMB
とC12オレフィン等のピークが近接しているものにつ
いても、分析条件を適宜変更することにより、上記と同
様な方法が適用できる。また、設定条件の変更によって
は、ピークが離れている2組以上の特定成分(例えば、
ベンゼンと1McyC5=およびMTBEと23DMC
4=1)を同時に測定することもできる。
【0045】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のガソリンの
性状分析方法によれば、通常の測定ではクロマトグラム
ピークが近接しているために、一つのピーク中に二以上
の成分を含むような場合であっても、これらの成分の高
精度な分離を簡単に行うことができる。
【0046】また、通常の測定において各成分ごとのク
ロマトグラムピークが近接して表れている場合であって
も、サブプロセスにおいてより正確な該ピークにおける
特定成分の含有比率を求めることができる。したがっ
て、各特定成分についての含有量をより高い精度で求め
ることが可能となる。
【0047】さらには、これら各特定成分の含有量に基
づいて、RON、MON、蒸気圧、発熱量,密度,炭素
含有率,水素含有率等の種々の性状をも、正確に求める
ことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法をプレミアムガソリンについて適用
したときのメインプロセスでのクロマトグラムである。
【図2】本発明方法をプレミアムガソリンについて適用
したときのサブプロセスでのクロマトグラムである。
【図3】本発明方法をレギュラーガソリンについて適用
したときのメインプロセスでのクロマトグラムである。
【図4】本発明方法をレギュラーガソリンについて適用
したときのサブプロセスでのクロマトグラムである。
【図5】本発明方法をFCC−L(1)について適用し
たときのメインプロセスでのクロマトグラムである。
【図6】本発明方法をFCC−L(1)について適用し
たときのサブプロセスでのクロマトグラムである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千葉 正美 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 鹿島石 油株式会社鹿島製油所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メインプロセスと、サブプロセスと、補
    正演算プロセスとからなるガソリンの性状分析方法であ
    って、 メインプロセスにおいて、ガスクロマトグラフを用い
    て、測定すべき試料中に含まれる各成分を分離溶出さ
    せ、前記ガスクロマトグラフの出力から得られるクロマ
    トグラムの各ピーク面積を求め、前記クロマトグラムの
    一部もしくは全部の保持時間をクロマトグラムのピーク
    が描かれる開始点に変更し、前記の変更した保持時間、
    または変更した保持時間および変更していない保持時間
    に基づき前記各成分を同定し、前記ピーク面積から前記
    各成分の含有割合を求め、 サブプロセスにおいて、ガスクロマトグラフにより試料
    中の複数の特定成分の各々を分離溶出させ、複数の特定
    成分に対応するクロマトグラムの各ピーク面積から、こ
    れら複数の特定成分の含有割合を求め、 補正演算プロセスにおいて、メインプロセスにおいて得
    られた前記同定結果および前記含有割合並びに、サブプ
    ロセスにおいて得られた前記同定結果および前記含有割
    合から、前記複数の特定成分の含有割合とガソリンの性
    状値を求めることを特徴とするガソリンの性状分析方
    法。
  2. 【請求項2】 メインプロセスと、サブプロセスと、補
    正演算プロセスとからなるガソリンの性状分析方法であ
    って、 メインプロセスにおいて、ガスクロマトグラフを用い
    て、測定すべき試料中に含まれる各成分を分離溶出さ
    せ、前記ガスクロマトグラフの出力から得られるクロマ
    トグラムの各ピーク面積を求め、前記クロマトグラムの
    一部もしくは全部の保持時間をクロマトグラムのピーク
    が描かれる開始点に変更し、前記の変更した保持時間、
    または変更した保持時間および変更していない保持時間
    に基づき前記各成分のうちの複数の成分を同定し、前記
    の同定した各成分のクロマトグラムのピークを基準ピー
    クとしてこれらの基準ピークから他の各成分を同定し、
    前記ピーク面積から前記各成分の含有割合を求め、 サブプロセスにおいて、ガスクロマトグラフにより試料
    中の複数の特定成分の各々を分離溶出させ、複数の特定
    成分に対応するクロマトグラムの各ピーク面積から、こ
    れら複数の特定成分の含有割合を求め、 補正演算プロセスにおいて、メインプロセスにおいて得
    られた前記同定結果および前記含有割合並びに、サブプ
    ロセスにおいて得られた前記同定結果および前記含有割
    合から、前記複数の特定成分の含有割合とガソリンの性
    状値を求めることを特徴とするガソリンの性状分析方
    法。
JP7163494A 1994-03-15 1994-03-15 ガソリンの性状分析方法 Pending JPH07253425A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015083792A1 (ja) * 2013-12-05 2015-06-11 株式会社堀場エステック ガスクロマトグラフ及びそのバリデーション方法
CN108956814A (zh) * 2018-07-03 2018-12-07 中国石油大学(北京) 一种直接构建汽油分子组成模型的方法以及性质预测方法

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