JPH0750101B2 - セタン価またはセタン指数の測定方法および装置 - Google Patents

セタン価またはセタン指数の測定方法および装置

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JPH0750101B2
JPH0750101B2 JP23807089A JP23807089A JPH0750101B2 JP H0750101 B2 JPH0750101 B2 JP H0750101B2 JP 23807089 A JP23807089 A JP 23807089A JP 23807089 A JP23807089 A JP 23807089A JP H0750101 B2 JPH0750101 B2 JP H0750101B2
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は、軽油、A重油およびそれらを製造する際に用
いる炭化水素油基材のセタン価またはセタン指数を迅速
かつ簡便に高精度で測定する方法および装置に関する。 〔従来の技術〕 軽油、A重油は、沸点範囲が約160〜380℃の炭化水素油
であり、直留灯油、直留軽油、分解軽油、脱硫灯油、脱
硫軽油、減圧軽油、重油等の各種炭化水素油基材を混合
して得られる。 最終製品である軽油、A重油は主としてディーゼル燃料
として用いられ、これら製品および炭化水素油基材の性
状を把握する上で、セタン価は極めて重要な項目であ
る。 セタン価は、ディーゼル燃料の自己着火性を表す値の一
つで、着火性の良いセタンを100とし、着火性の悪いヘ
プタメチルノナンのセタン価を15とし、セタンおよびヘ
プタメチルノナンを混合した標準燃料と試料の着火性を
比較し、試料と同一の着火性を示す標準燃料中のセタン
とヘプタメチルノナンの各容量(%)から次式で求め、
整数で表したものである。 セタン価=セタンの容量(%) +ヘプタメチルノナンの容量(%)×0.15 このセタン価の実測には、JIS−K−2280で規定されて
いるようにCFR(Cooperative Fuel Research)エンジン
が用いられる。 しかしながら、上記CFRエンジンによりセタン価を求め
る方法では、JIS−K−2280からも明らかなように、繰
り返し精度が規定されておらず、測定精度に難点があ
る。また、測定には約1000mlの試料量を必要とする上、
煩雑な操作を伴い、測定時間も約1時間を必要とすると
いう問題がある。 そこで、上記のセタン価に代わるディーゼル燃料の自己
着火性を表す値としてセタン指数が用いられる場合が多
い。 セタン指数は、JIS−K−2204で規定されているよう
に、API度と760mmHgにおける50%留出温度とから計算式
により算出される。 セタン指数はセタン価よりも簡便な手段で求めることが
できるが、比重(API度)と蒸留操作により50%留出温
度を求める必要があり、約500ml程度の試料量を必要と
し、少量の試料油しかない場合は求めることができない
という問題がある。 例えば、最近、原油の重質化等に伴い各種プロセスおよ
び触媒の研究が各方面で進められており、流動接触分解
用触媒の開発においては、軽質循環油(LCO(Light Cyc
le Oil))留分のセタン指数の測定が不可欠である。 ところが、この場合、小型試験器により触媒の評価を行
うので、試験器から留出する生成油には軽質留分から重
量留分まで含まれ、かつ留出する生成油自体の量が少な
いので、一般性状の測定ができず、セタン指数の算出は
不可能である。 〔発明が解決しようとする課題〕 上記のように、従来、JIS−K−2280に示されているCFR
エンジンを用いてセタン価を測定する場合は、多量の試
料を必要とし、煩雑な操作を伴い、測定精度にも難点が
ある。 また、上記のように、セタン指数はセタン価と比較する
と簡便な手段で求めることができるが、試料油の比重
(API度)と50%留出温度を測定する必要があり、少量
の試料油しかない場合には求めることができないという
問題がある。 本発明は、以上のような問題点を解決するために提案さ
れたものであって、セタン価またはセタン指数を少量の
試料油であっても求めることを可能とし、また例えば軽
油を試料油とする場合、該試料油中に軽油留分以外の軽
質および重質留分が含まれている場合であっても軽油留
分のセタン価またはセタン指数を迅速かつ精度良く測定
することができる方法および装置を提供することを目的
とする。 〔課題を解決するための手段〕 本発明者らは、軽油留分中に含まれている炭化水素のタ
イプ、例えばパラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水
素、モノアロマ系炭化水素、ポリアロマ系炭化水素等の
それぞれがセタン価と弱い相関関係があることに着目し
た。 そして、更に研究を重ねた結果、炭化水素のタイプそれ
ぞれの特徴的な質量数においては質量スペクトルの信号
強度が大きくなるが、これらの複数個の質量数における
信号強度とセタン価との関係を数十種類の試料油につい
て多重回帰分析を用いて解析し、回帰式から種々の試料
油につきセタン価を求めたところ、JIS法で得られるセ
タン価と極めて良く一致することを見出した。 本発明は、前記目的を達成するために、上記知見に基づ
きなされたものであって、 第1発明は、ガスクロマトグラフを用いて測定すべき試
料中に含まれる各成分を分離溶出させるステップと、 前記分離溶出した各成分を質量分析計に導入し質量スペ
クトルを測定するステップと、 前記質量スペクトルのうち軽油留分の質量スペクトルの
各質量数における信号強度から、信号強度と実測セタン
価または実測セタン指数との間で多重回帰分析を行って
事前に求めてある回帰式に基づいてセタン価またはセタ
ン指数を求めるステップと からなることを特徴とし、 第2発明は、測定すべき試料を気化させて質量分析計に
導入し質量スペクトルを測定するステップと、 前記質量スペクトルの各質量数における信号強度から、
信号強度と実測セタン価または実測セタン指数との間で
多重回帰分析を行って事前に求めてある回帰式に基づい
てセタン価またはセタン指数を求めるステップと からなることを特徴とし、 第3発明は、測定すべき試料中に含まれる各成分を分離
溶出させるガスクロマトグラフと、 前記分離溶出した各成分の質量スペクトルを測定する質
量分析計と、 前記質量スペクトルのうち軽油留分の質量スペクトルの
各質量数における信号強度の合計値と一部の質量数にお
ける信号強度の合計値とから複数個の変数を求める演算
手段と、 前記変数と、複数の標準試料の前記各変数と各実測セタ
ン価または実測セタン指数との間で多重解析分析を行っ
て事前に求めてある回帰式に基づいてセタン価またはセ
タン指数を求める演算手段と を有することを特徴とし、 第4発明は、測定すべき試料を気化させて試料中に含ま
れる成分の質量スペクトルを測定する質量分析計と、 前記質量スペクトルの各質量数における信号強度と一部
の質量数における信号強度とから複数個の変数を求める
演算手段と、 前記変数と、複数の標準試料の前記各変数と各実測セタ
ン価または実測セタン指数との間で多重回帰分析を行っ
て事前に求めてある回帰式に基づいてセタン価またはセ
タン指数を求める演算手段と を有することを特徴とする。 〔作用〕 先ず、本発明の測定原理を、軽油のセタン価を求める場
合を例に取り説明する。A重油、あるいは軽油やA重油
を製造する際に用いられる炭化水素油基材のセタン価、
またはセタン指数を求める場合も同様である。 質量分析計は、質量スペクトル装置のうちイオンを電気
的に検出する方式を採用したもので、同位体の存在量の
測定や化学分析などに用いられる。 質量分析計から得られる質量スペクトルは、イオンをm/
e値(mはイオンの質量、eはイオンの電荷)に従って
分け、その大きさの順序に並べたもので、イオンのm/e
値(質量数)と信号強度とを示す。 軽油留分について質量スペクトルを測定すると、軽油留
分中に含まれているパラフィン系、ナフテン系、モノア
ロマ系、ポリアロマ系等の炭化水素の含有割合により、
炭化水素タイプそれぞれが示す特徴的な質量数における
信号強度が異なる質量スペクトルが得られる。 この場合、軽油留分が気化されて均一の状態で質量分析
計に導入されるので、得られるスペクトルは1つであ
る。 得られた質量スペクトルのなかで炭化水素タイプに複数
の特徴的な質量数、例えばパラフィン系炭化水素では7
1、モノアロマ系炭化水素では91、ナフテン系炭化水素
では97等における信号強度を質量スペクトルの各質量数
(例えば、1〜500)の信号強度の合計値で除算するこ
とにより変数Xnを求める。 この変数Xnは、多重回帰分析における説明変数であり、
Xnは前記複数の特徴的な質量数の個数(N個)分存在す
る。なお、Nは任意であるが、通常5〜15程度用いられ
る。 いま、例えば質量スペクトルの質量数i(i=1,2,…,5
00)における信号強度をPiとし、複数の特徴的な質量数
のうちn番目の質量数をxn、この質量数xnにおける信号
強度をPxnとすると、変数Xnは、 で示される。 ここで、除算を行う理由は、質量分析計に導入される試
料量は常に一定とは限らず、試料量が異なると信号強度
の絶対値が異なるので、これらの影響を除くためであ
る。 本発明では、セタン価が実測されているK種類(例え
ば、数十種類)の試料油につき、質量スペクトルから変
数Xnをそれぞれ求め多重回帰分析を行う。 例えば、変数Xnの個数Nを10とすると、多重回帰式は次
のようになる。 ここで、 k:1,2,…,K Yk:セタン価の実測値(被説明変数) Xk,n:質量スペクトルから得られる 変数(説明変数) an:回帰係数 b:定数 である。 上記の多重解析回帰をK個の標準試料について行ない、
パラメータan(a1,a2,…,a10)およびbを算出し、回帰
式、 を特定する。 ここで、 Y:セタン価の実測値 Xn:試料の質量スペクトルから得られる変数 である。 従って、測定しようとする試料油につき、質量スペクト
ルを求め、該試料についての各変数Xnを求め、これらXn
を上記の事前に求めてある回帰式(2)に代入すること
によりセタン価Yが得られる。 次に、本発明の作用を軽油のセタン価を求める場合を例
に取り説明する。A重油、あるいは軽油やA重油を製造
する際に用いられる炭化水素油基材のセタン価、または
セタン指数を求める場合も同様である。 第1、第3発明において、ガスクロマトグラフを用いて
成分の分離を行うのは、試料油中には軽油留分以外の軽
質・重質成分が含まれている場合があるので、このよう
なときにも軽油留分に相当する部分だけの質量スペクト
ルを用いてセタン価を算出するためである。 ガスクロマトグラフを用いて成分の分離を行うときは、
n−パラフィンが分離されて、クロマトグラムから分離
溶出した成分の沸点範囲が確認され、軽油留分に相当す
る成分が得られればよく、特に各成分を完全に分離する
必要はない。 ガスクロマトグラフで分離された成分は、質量分析計に
連続して導入され質量スペクトルが測定されるが、この
測定は質量数が、例えば1〜500までの範囲について繰
り返し走査して行われるので、質量スペクトルの測定結
果は離散的なものとなる。 従って、分離された全ての成分についての質量スペクト
ルは得られないが、複数個の質量スペクトルが得られる
ことになる。 上記複数の質量スペクトルのうち、軽油留分に相当する
質量スペクトルの最適な判定は、ガスクロマトグラフで
分離されたn−パラフィン、例えばn−デカン(C
10H22)とn−エイコサン(C20H42)との間の成分を軽
油留分とすると、n−デカンとn−エイコサンのリテン
ションタイムを基に決定される。 すなわち、ガスクロマトグラフで分離された成分は、連
続して質量分析計に導入されるので、質量分析計に成分
が導入された時点から、n−デカンのリテンションタイ
ムとn−エイコサンのリテンションタイム間の質量スペ
クトルを軽油留分に相当するスペクトルとすることがで
きる。 次に、軽油留分について得られた複数個の質量スペクト
ルの全てについての各質量数における信号強度を合計
し、また得られた質量スペクトルの中で複数個の特徴的
な質量数における信号強度を合計して、前述の変数Xnを
求める。 第2、第4発明において、ガスクロマトグラフを用いず
直接試料油を気化させて質量分析計に導入する場合も、
前記のガスクロマトグラフを用いる場合と同様に、事前
に回帰式を求めておき、測定しようとする試料油につき
変数Xnを算出することによりセタン価が得られる。 なお、第1,第3発明、第2,第4発明において、セタン指
数を測定する場合においては、セタン指数を被説明変数
とし、上記説明変数Xnを用いたセタン指数用の回帰式を
用いることにより、セタン指数を求めることができる。 第1、第2発明の上記一連のステップは、第3、第4発
明におけるガスクロマトグラフ、質量分析計、質量スペ
クトル信号強度積算手段、変数算出演算手段、セタン価
(セタン指数)演算手段を用いて実行することができ
る。 以上説明したように、第1〜第4発明においては質量分
析計を用いることにより、軽油留分のセタン価(セタン
指数)が求められ、また試料油中に軽油留分以外の軽質
・重質成分が含まれているときは、ガスクロマトグラフ
で各成分を分離後に質量分析計に各成分を導入すること
により、軽油留分のセタン価(セタン指数)を求めるこ
とができる。 第1発明、第3発明で使用するガスクロマトグラフは、
試料油の成分の短時間で効率良く分離させるために、昇
温機構が装備されているものが好ましい。 分離溶出のために用いるカラムは、パックドカラム、キ
ャピラリーカラム等種々のタイプのものが使用できる。
但し、本発明では、試料油中の各成分を完全に分離する
必要がなく、n−パラフィン成分が分離されてクロマト
グラムから分離された成分の沸点範囲が確認され軽油留
分に相当する成分が得られればよいので、パックドカラ
ムが好適に用いられる。 カラムの充填剤は、上記分離が達成されればよく、特に
限定されないが、ケイソウ土等の担体にシリコン系ポリ
マー等の無極性もしくは微極性の物質が担持された充填
剤が好適に用いられる。 キャリアガスとしては、一般に用いられる水素、ヘリウ
ム等を使用することができるが、不活性で安定なヘリウ
ムが好ましく、キャリアガス速度は、一般に約10〜40ml
/分の範囲が好適である。 カラムのオーブン温度条件は、カラムの分離性能、キャ
リアガス速度等にも関係し、種々の態様が考えられる
が、一例を示せば初期温度約50〜80℃、昇温速度約10〜
25℃/分、最終温度約250〜300℃程度であり、試料注入
量は約0.2〜1μである。 上記のガスクロマトグラフで分離溶出した成分は、上記
のキャリアガスと共にセパレータに送られる。セパレー
タは真空状態となっており、ここでキャリアガスが除去
され、各成分が質量分析計に導入される。 ガスクロマトグラフを用いないで、測定すべき試料油を
気化させて直接質量分析計に導入する場合は、間接導入
装置(気化装置)を用いて試料油を気化させ、0.3ml/秒
程度の速度で連続的に質量分析計に導入される。 間接導入装置は、容量が約1000ml程度のものが使用さ
れ、約10-4Torr程度の真空状態となっている。また、温
度は、測定する試料油にもよるが通常約100〜350℃の状
態で保たれている。 質量分析計に導入された成分は、EI(Electron Impac
t)イオン源を用い、電子衝撃イオン化法によりフラグ
メントイオンとする。すなわち、約20〜80eV程度のイオ
ン化電圧イオン源に設定し、試料分子に電子を衝突させ
る。すると、試料分子は、分子内で結合が弱い部分から
開裂し、小さなフラグメントになるのである。 これらのフラグメントイオンは、磁場を低磁場から高磁
場へと走査させことにより、低質量数を持つものから順
に磁場を通り抜け、イオンマルチプライヤにより質量ス
ペクトルが測定される。 間接導入装置で試料油を導入した場合は、1個の質量ス
ペクトルしか得られないが、ガスクロマトグラフで試料
油を分離した場合は複数個のスペクトルが得られる。 すなわち、例えばガスクロマトグラフに試料油を導入し
て各成分が分離溶出するのに約13分を要したとする。ま
た、質量スペクトルの測定を質量数1〜500までの範囲
について走査するとすると約6秒を必要とする。従っ
て、この場合、質量スペクトルを130回(13×60×1/6=
130)測定することになり、130個の質量スペクトルが得
られる。 これら130個の質量スペクトルのうち、軽油留分に相当
する複数個の質量スペクトルを、ガスクロマトグラムの
リテンションタイムを基に決定する。 質量スペクトルを基に信号強度を積算したり、変数を求
める際は、質量数13の炭素原子が約0.1%存在するの
で、得られる信号強度について同位体補正をすることが
好ましい。 〔実施例〕 以下、図面に沿って、第1〜第4発明の方法および装置
の実施例を、軽油のセタン価を求める場合を例に取り説
明する。A重油、あるいは軽油やA重油を製造する際に
用いられる炭化水素油基材のセタン価、またはセタン指
数を求める場合も同様である。 第1図は第1発明の一実施例を示すフローチャートであ
り、第3図は第3発明の一実施例を示すブロック図であ
る。 なお、第3図は機能を示す図であり、例えば同図に示す
各演算部は実際の回路においては同一の中央演算処理装
置(CPU)により構成され、同図における各メモリは実
際の回路においては共通のメモリにより構成される等、
構成素子等の具体的な接続に対応するものではない。ま
た、例示であり、他のブロック構成を採用できることも
言うまでもない。 第3図中、二重矢印は試料の流れを示し、一重矢印は信
号の流れを示している。 同図において、先ず、ガスクロマトグラフ1で試料油中
の各成分が分離溶出される。この後、セパレータ2でキ
ャリアガスが除去され、各成分は質量分析計4へ導入さ
れる。 質量分析計4では、イオン源4Aにより試料分子をフラグ
メントイオンとし、磁場4Bを通過させ、イオンマルチプ
ライヤ4Cにより質量スペクトルが測定される。 第3発明においては、ガスクロマトグラフ1から各成分
は質量分析計4に連続的に導入されるが、質量分析計4
による走査は一定の時間毎(例えば、6秒毎)で行われ
るので質量スペクトルは複数個得られる。 次いで、この複数個の質量スペクトルの検出信号(以
下、「質量スペクトル信号」という)Sは演算装置5に
送信される。 この演算装置5は、質量スペクトル信号強度積算手段
6、変数算出演算手段7、セタン価(セタン指数)演算
手段8、その他図示しないインターフェース等から構成
される。 質量スペクトル信号Sは、図示しないメモリ或いは質量
スペクトル信号強度積算手段6内のメモリ6Bに格納され
る。 ここで、質量スペクトル信号Sには、軽質留分、重質留
分などの軽油留分以外の成分についての信号も含まれて
いるため、質量スペクトル信号強度積算手段6は、質量
スペクトル信号Sから、軽油留分に相当する複数個の質
量スペクトル信号SRを選別し、また必要に応じ同位体補
正を行う。 なお、質量スペクトル信号SRの選別は、ガスクロマトグ
ラフ1で分離された軽質留分と軽油留分との境界及び軽
油留分と重質留分との境界にそれぞれ存在する特定の成
分(例えば、n−デカン及びn−エイコサン)のリテン
ションタイムに基づく判定信号T1,T2により行われる。 質量スペクトル信号SRは、例えば各行列要素がSi,jの行
列〈S〉で表すこともできる。ここで、Si,jは軽油留分
についてのj回目(j=1,2,…,jM)の走査における質
量数i(例えば、i=1,2,…,500)の質量スペクトルの
強度を表している。なお、上記jMは軽油留分についての
走査の最終回を示す数字である。 更に、質量スペクトル信号強度積算手段6内の演算部6A
は、これら軽油留分に相当する複数個(jM個)のスペク
トルの各質量数iにおける信号強度を合計し、合計値、 を演算する。ここでPiはi次の列ベクトル〈P〉で表す
こともでき、 〈P〉=〔P1P2…Pi…PjM〕 ……(3)′ である。なお、添字Tは転置行列を意味する。 そして、演算部6Aは、全ての上記合計値Piの合計値、 即ち、 〈P〉〈E〉 ……(4)′ を演算する。ここで、〈E〉は単位行列である。 次に、演算部6Aは、メモリ6Bに事前に格納してある質量
数を基に、複数個の特徴的なN個の質量数xn(xn=x1,x
2,…,xN)の信号強度の合計値、 をそれぞれ演算する。なお、Pxnは、N次の列ベクトル
〈Px〉で表すこともでき、 〈Px〉=〔Px1 Px2…Pxn…PxN〕 ……(5)′ である。 なお、ここで、x1,x2,…,xNは、上例の場合、1〜500ま
での数の何れかであり、式(5)のPxnは式(3)のPi
の何れかであるので、式(3)を求める際にPxnをメモ
リ6Bに記憶しておき、このデータを式(5)の演算に代
えてもよい。 また、この事前に格納してある質量数xn=x1,x2,…,xN
は、回帰式の各パラメータan,bを決定する際に用いた質
量数であり(式(3)参照)、具体的にはパラフィン
系、モノアロマ系、ナフテン系等の各種炭化水素の特徴
的な質量数である。 次いで、上記PtotおよびPxnは、変数算出演算手段7に
出力され、演算部7Aは変数Xnの塩酸、 或いは行列で表せば、 を行う。なお、〈X〉はXnをN次の列ベクトルで表した
行列である。 そして、上記式(6)または(6)′の変数Xnまたは
〈X〉はセタン価(セタン指数)演算手段8に送信さ
れ、メモリ8Bに事前に格納してあるパラメータan,bを読
み出して、 或いは、行列で表せば、 Y=〈a〉〈X〉+b ……(7)′ に基づき、演算部8Aによりセタン価(セタン指数)Yが
算出される。ここで、〈a〉はanを列要素とするN次の
列ベクトルであり、 〈a〉=〔a1a2…an…aN〕 である。 第1図は、第3図に示す装置を使用して実施する場合の
第1発明のセタン価またはセタン指数の測定方法の一例
を示すフローチャートである。 なお、第1発明は第1図のフローチャートに限定される
ものではなく、例えば、下記のステップ3とステップ4
との実行順序を交換したもの等も第1発明に包含される
ことはいうまでもない。 第1図において、先ず、ガスクロマトグラフ1により試
料油中の成分を分離溶出させ(ステップ1)、各成分に
つき質量スペクトルを測定する(ステップ2)。 次に、軽油留分について得られた質量スペクトルの全て
についての各質量数iにおける信号強度を合計し、合計
値ΣPiを算出する(ステップ3)。 そして、複数個の特徴的な質量数(x1,x2,…,xN)につ
いて信号強度を合計し、合計値Pxnを算出する(ステッ
プ4)。 次いで、ステップ4で得られた信号強度の合計値Pxn
ステップ3で得られた信号強度の合計値ΣPiで除算する
ことにより複数個の変数Xnを求める(ステップ5)。 そして、事前にパラメータan,bが決定されている回帰式
(7)或いは(7)′に上記変数を代入してセタン価
(セタン指数)を求める(ステップ6)。 第2図は第2発明の一実施例を示すフローチャートであ
り、第4図は第4発明の一実施例を示すブロック図であ
る。 第4図においては、ガスクロマトグラフを用いず間接導
入装置3を用いて質量分析計4に試料油を導入する点が
第3図に示す第3発明と異なる。 なお、第4図中第3図と同一符号は第3図と同一要素を
示す。 第2図においては、試料を気化させて質量分析計4に導
入し、質量スペクトルを測定し(ステップ101)、得ら
れた質量スペクトルの各質量数における信号強度を合計
する(ステップ102)。 次に、複数個の特徴的な質量数における信号強度をステ
ップ102で得られた信号強度で除算することにより複数
個の変数Xnを求め(ステップ103)、事前に求めてある
回帰式に上記変数を代入してセタン価(セタン指数)を
求め(ステップ104)。 〔実験例〕 上記第1、第3発明に基づいて具体的な実験を行った。
この結果を以下に示す。 本実験では、特徴的な質量数を、71,91,97,129,131,14
1,167,179,191の9種(式(5),(6),(7)にお
いて、N=9)とし、セタン価およびセタン指数が既知
の60種類(式(2)において、K=60)のサンプルにつ
いて質量スペクトルを測定し、変数Xn(n=1,2,…,9)
を求め、多重回帰分析を行い、回帰式(7)のパラメー
タan,bを求めた。 ガスクロマトグラフと質量分析計の測定条件は以下の通
りである。
【ガスクロマトグラフの測定条件】
・カラム: 充填剤;ケイソウ土 液相メチルシリコン 長 さ;0.3m 内 径;3mm 材 質;ステンレス ・カラムオーブン温度条件: ・注入口温度:270℃ ・キャリアガス:He20ml/分 ・試料注入量:0.5μ
【質量分析計の測定条件】
・イオン源:EI(電子衝突イオン化) ・イオン化電圧:70eV ・セパレータ温度:270℃ ・スキャンレンジ:質量数1〜500 第1表は、種々の試料油についてJIS法での実測値およ
び本発明による実験で得られた結果を示すものである。 上記実験では、一試料あたりセタン価またはセタン指数
を求めるのに要した時間は約30分であった。 第2表は、JIS法セタン価53.6,JIS法セタン指数54.5の
市販軽油の試料油につき5回繰り返して測定した結果
で、本法の繰り返し精度を示すものである。 〔発明の効果〕 以上のとおり、本発明は、説明変数として特徴的な質量
数を示す成分の質量数の信号強度を採用し、被説明変数
を実測セタン価または実測セタン指数として、多重回帰
分析を行って回帰式を特定しておき、試料の前記特徴的
な質量数を示す成分の質量分析結果を用いて、該試料の
セタン価またはセタン指数を前記回帰式に基づき演算す
ることにしたので、次のような効果を奏することができ
る。 (1)試料についてセタン価またはセタン指数を実測す
ることなく、該試料の各質量数における信号強度を測定
するのみで、前記回帰式から、該試料のセタン価または
セタン指数を求めることができる。 (2)従って、従来技術では一試料当たりのセタン価ま
たはセタン指数の測定に長時間を要し、かつ煩雑な操作
と多量の試料を必要としていたが、本発明ではこれらの
難点を改善することができる。 すなわち、本発明では、極めて少量の試料油から該試料
のセタン価またはセタン指数を短時間で、簡便に、かつ
精度良く測定することができる。 (3)この結果、本発明方法および装置は、軽油、A重
油等の炭化水素油を製造している製油所、あるいは油槽
所等における工程・品質管理をはじめ多方面において効
果的に利用することができ、工業的価値は極めて高いも
のとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は第1および第2発明のそれぞれの
一実施例を示すフローチャート、第3図および第4図は
第3および第4発明のそれぞれの一実施例を示す機能ブ
ロック図である。 1……ガスクロマトグラフ、2……セパレータ 3……間接導入装置、4……質量分析計 5……演算手段 6……質量スペクトル信号強度積算手段 7……変数算出演算手段 8……セタン価(指数)演算手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガスクロマトグラフを用いて測定すべき試
    料中に含まれる各成分を分離溶出させるステップと、 前記分離溶出した各成分を質量分析計に導入し質量スペ
    クトルを測定するステップと、 前記質量スペクトルのうち軽油留分の質量スペクトルの
    各質量数における信号強度から、信号強度と実測セタン
    価または実測セタン指数との間で多重回帰分析を行って
    事前に求めてある回帰式に基づいてセタン価またはセタ
    ン指数を求めるステップと からなることを特徴とするセタン価またはセタン指数の
    測定方法。
  2. 【請求項2】測定すべき試料を気化させて質量分析計に
    導入し質量スペクトルを測定するステップと、 前記質量スペクトルの各質量数における信号強度から、
    信号強度と実測セタン価または実測セタン指数との間で
    多重回帰分析を行って事前に求めてある回帰式に基づい
    てセタン価またはセタン指数を求めるステップと からなることを特徴とするセタン価またはセタン指数の
    測定方法。
  3. 【請求項3】測定すべき試料中に含まれる各成分を分離
    溶出させるガスクロマトグラフと、 前記分離溶出した各成分の質量スペクトルを測定する質
    量分析計と、 前記質量スペクトルのうち軽油留分の質量スペクトルの
    各質量数における信号強度の合計値と一部の質量数にお
    ける信号強度の合計値とから複数個の変数を求める演算
    手段と、 前記変数と、複数の標準試料の前記各変数と各実測セタ
    ン価または実測セタン指数との間で多重回帰分析を行っ
    て事前に求めてある回帰式に基づいてセタン価またはセ
    タン指数を求める演算手段と を有することを特徴とするセタン価またはセタン指数の
    測定装置。
  4. 【請求項4】測定すべき試料を気化させて試料中に含ま
    れる成分の質量スペクトルを測定する質量分析計と、 前記質量スペクトルの各質量数における信号強度と一部
    の質量数における信号強度とから複数個の変数を求める
    演算手段と、 前記変数と、複数の標準試料の前記各変数と各実測セタ
    ン価または実測セタン指数との間で多重回帰分析を行っ
    て事前に求めてある回帰式に基づいてセタン価またはセ
    タン指数を求める演算手段と を有することを特徴とするセタン価またはセタン指数の
    測定装置。
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