JPH07252610A - 絞り成形用Al合金板の製造方法 - Google Patents
絞り成形用Al合金板の製造方法Info
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- JPH07252610A JPH07252610A JP4726294A JP4726294A JPH07252610A JP H07252610 A JPH07252610 A JP H07252610A JP 4726294 A JP4726294 A JP 4726294A JP 4726294 A JP4726294 A JP 4726294A JP H07252610 A JPH07252610 A JP H07252610A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 Mn,Mg,Cu,Znなどを含有するAl
合金を、凝固時の冷却速度が R≧5で、且つR≧7.5([Fe]+[Si])+2 但し、R:凝固時の冷却速度(℃/sec) [Fe],[Si]:Al合金中のFe、Siの含有率
(%) を満足する条件で連続鋳造した後、該鋳片温度を熱間圧
延温度以上に保持して熱間圧延し、次いで冷間圧延と連
続中間焼鈍を2〜4回繰り返してAl合金板を製造す
る。 【効果】 連続鋳造・直送熱間圧延・冷間圧延を順次行
なうAl合金板の製法において、特に連続鋳造時におけ
る冷却速度を規制すると共に、熱間圧延後の冷間圧延工
程で、冷間圧延と連続中間焼鈍を繰り返すことによっ
て、強度、焼き付け塗装硬化性、および絞り成形性を一
段と高めることができ、飲・食用の缶材を初めとして様
々の成形加工用として、強度と成形性の双方を満足する
Al合金板を提供できる。
合金を、凝固時の冷却速度が R≧5で、且つR≧7.5([Fe]+[Si])+2 但し、R:凝固時の冷却速度(℃/sec) [Fe],[Si]:Al合金中のFe、Siの含有率
(%) を満足する条件で連続鋳造した後、該鋳片温度を熱間圧
延温度以上に保持して熱間圧延し、次いで冷間圧延と連
続中間焼鈍を2〜4回繰り返してAl合金板を製造す
る。 【効果】 連続鋳造・直送熱間圧延・冷間圧延を順次行
なうAl合金板の製法において、特に連続鋳造時におけ
る冷却速度を規制すると共に、熱間圧延後の冷間圧延工
程で、冷間圧延と連続中間焼鈍を繰り返すことによっ
て、強度、焼き付け塗装硬化性、および絞り成形性を一
段と高めることができ、飲・食用の缶材を初めとして様
々の成形加工用として、強度と成形性の双方を満足する
Al合金板を提供できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絞り成形用のAl合金
板の製造方法に関し、特にMnおよびMgを合金元素と
して含有するAl合金を用いて連続鋳造した後、該鋳片
温度を熱間圧延温度以上に保持して熱間圧延し、次いで
冷間圧延を行なってAl合金板を製造する際において、
連続鋳造時の冷却速度を規定すると共に、熱間圧延後の
冷間圧延工程で、冷間圧延と連続中間焼鈍を繰り返すこ
とによって、強度、焼き付け塗装硬化性、および絞り成
形性を一段と高める方法に関するものである。そして本
発明によって得られるAl合金板は、その優れた特性を
生かして、飲・食用の缶材を初めとして様々の成形加工
用途に利用することができる。
板の製造方法に関し、特にMnおよびMgを合金元素と
して含有するAl合金を用いて連続鋳造した後、該鋳片
温度を熱間圧延温度以上に保持して熱間圧延し、次いで
冷間圧延を行なってAl合金板を製造する際において、
連続鋳造時の冷却速度を規定すると共に、熱間圧延後の
冷間圧延工程で、冷間圧延と連続中間焼鈍を繰り返すこ
とによって、強度、焼き付け塗装硬化性、および絞り成
形性を一段と高める方法に関するものである。そして本
発明によって得られるAl合金板は、その優れた特性を
生かして、飲・食用の缶材を初めとして様々の成形加工
用途に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】たとえば食料用缶や飲料用缶などとして
使用される成形用Al合金板の製法として従来から一般
的に実施されているのは、半連続鋳造法等によって製造
した鋳塊に面削処理や均質化熱処理を施した後、熱間圧
延、冷間圧延、焼鈍等を順次行なう方法であり、この様
な工程を経て製造される従来の成形用Al合金板は絞り
成形性が良好であると共に、ある程度の強度も備えてお
り、需要者の要求を一応満足している。
使用される成形用Al合金板の製法として従来から一般
的に実施されているのは、半連続鋳造法等によって製造
した鋳塊に面削処理や均質化熱処理を施した後、熱間圧
延、冷間圧延、焼鈍等を順次行なう方法であり、この様
な工程を経て製造される従来の成形用Al合金板は絞り
成形性が良好であると共に、ある程度の強度も備えてお
り、需要者の要求を一応満足している。
【0003】ところが近年における需要者の要求は一段
と厳しくなってきており、軽量化を増進するため更に高
い強度を求める傾向があるばかりでなく、成形性におい
ても一層の向上が望まれており、更には生産性向上によ
るコストダウンの要求も次第に高まってきている。
と厳しくなってきており、軽量化を増進するため更に高
い強度を求める傾向があるばかりでなく、成形性におい
ても一層の向上が望まれており、更には生産性向上によ
るコストダウンの要求も次第に高まってきている。
【0004】こうした要望に沿う比較的新しいAl合金
板製造技術として、連続鋳造により移動帯板とした後直
ちに圧延工程へ送って熱間圧延および冷間圧延を行なう
手法(以下、連鋳・直送圧延法ということがある)を採
用し、面削や均質化熱処理を省略する方法が検討されて
いる(特開昭55−27497号、特公昭62−541
82号等)。この方法によれば、面削や均質化熱処理の
省略によるコストダウンが図れると共に、鋳造工程で過
飽和に固溶した固溶元素が均質化熱処理時に析出すると
いったことも起こらなくなるため、固溶強化による高強
度化も増進されるといった利点を得ることができる。
板製造技術として、連続鋳造により移動帯板とした後直
ちに圧延工程へ送って熱間圧延および冷間圧延を行なう
手法(以下、連鋳・直送圧延法ということがある)を採
用し、面削や均質化熱処理を省略する方法が検討されて
いる(特開昭55−27497号、特公昭62−541
82号等)。この方法によれば、面削や均質化熱処理の
省略によるコストダウンが図れると共に、鋳造工程で過
飽和に固溶した固溶元素が均質化熱処理時に析出すると
いったことも起こらなくなるため、固溶強化による高強
度化も増進されるといった利点を得ることができる。
【0005】こうした連鋳・直送圧延法を行なうときに
採用される連続鋳造法として現在実用化されているの
は、水冷式連続鋳造法(固定式の水冷式連鋳鋳型から板
状に成形されて出てくる連鋳片を冷却水で直接冷却固化
し、連続的に鋳造する方法)、ハンターエンジニアリン
グ社で開発された双ロール鋳造法(回転する一対の冷却
ロール間に溶湯を供給し、該ロール間で冷却固化するこ
とにより連続的に鋳造する方法)、ハザレー社で開発さ
れたベルト式連続鋳造法(可動式の2つのベルト状冷却
部材の間に溶湯を供給し、該ベルト間で冷却固化させな
がら連続的に板状に鋳造する方法)、スイス・アルミニ
ウム社で開発されたブロック式連続鋳造法(可動式の2
つのブロック状冷却部材の間に溶湯を供給し、該ブロッ
ク間で冷却固化させながら連続的に板状に鋳造する方
法)などである。
採用される連続鋳造法として現在実用化されているの
は、水冷式連続鋳造法(固定式の水冷式連鋳鋳型から板
状に成形されて出てくる連鋳片を冷却水で直接冷却固化
し、連続的に鋳造する方法)、ハンターエンジニアリン
グ社で開発された双ロール鋳造法(回転する一対の冷却
ロール間に溶湯を供給し、該ロール間で冷却固化するこ
とにより連続的に鋳造する方法)、ハザレー社で開発さ
れたベルト式連続鋳造法(可動式の2つのベルト状冷却
部材の間に溶湯を供給し、該ベルト間で冷却固化させな
がら連続的に板状に鋳造する方法)、スイス・アルミニ
ウム社で開発されたブロック式連続鋳造法(可動式の2
つのブロック状冷却部材の間に溶湯を供給し、該ブロッ
ク間で冷却固化させながら連続的に板状に鋳造する方
法)などである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで現在実用化さ
れている方法では、たとえ連鋳・直送圧延法といえど
も、連続鋳造と熱間圧延の間で均質化熱処理を兼ねて加
熱保持を行なっており、この加熱保持工程で過飽和固溶
元素の析出が起こり、最終冷間圧延製品の高強度化を阻
害するという問題が生じてくる。
れている方法では、たとえ連鋳・直送圧延法といえど
も、連続鋳造と熱間圧延の間で均質化熱処理を兼ねて加
熱保持を行なっており、この加熱保持工程で過飽和固溶
元素の析出が起こり、最終冷間圧延製品の高強度化を阻
害するという問題が生じてくる。
【0007】本発明は、上記の様な従来技術の問題点に
着目してなされたものであって、その目的は、Al合金
溶湯を用いて連続鋳造された移動帯板を直ちに熱間圧延
工程へ送り、或は連続鋳造された鋳片を、熱間圧延温度
に調整して熱間圧延工程へ送って熱間圧延し、更に冷間
圧延を行なってAl合金板を製造する際において、上記
の様な過飽和固溶元素の析出と成長を阻止し、それによ
り最終冷間圧延製品の強度を高めると共に、焼き付け塗
装硬化性や絞り加工性においても一層改善することので
きる方法を確立しようとするものである。
着目してなされたものであって、その目的は、Al合金
溶湯を用いて連続鋳造された移動帯板を直ちに熱間圧延
工程へ送り、或は連続鋳造された鋳片を、熱間圧延温度
に調整して熱間圧延工程へ送って熱間圧延し、更に冷間
圧延を行なってAl合金板を製造する際において、上記
の様な過飽和固溶元素の析出と成長を阻止し、それによ
り最終冷間圧延製品の強度を高めると共に、焼き付け塗
装硬化性や絞り加工性においても一層改善することので
きる方法を確立しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る成形性Al合金板の製造方法の構
成は、 Mn:0.4〜1.5% Mg:0.8〜2.5% Cu:0.25%以下(0%を含む) Zn:0.25%以下(0%を含む) Fe:0.1〜1.0% Si:0.1〜1.0% の要件を満たすAl合金を、凝固時の冷却速度が R≧5で、且つR≧7.5([Fe]+[Si])+2 但し、R:凝固時の冷却速度(℃/sec) [Fe],[Si]:Al合金中のFe、Siの含有率
(%) を満足する条件で連続鋳造した後、該鋳片温度を熱間圧
延温度以上に保持して熱間圧延し、次いで冷間圧延と連
続中間焼鈍を2〜4回繰り返すところに要旨を有するも
のである。
のできた本発明に係る成形性Al合金板の製造方法の構
成は、 Mn:0.4〜1.5% Mg:0.8〜2.5% Cu:0.25%以下(0%を含む) Zn:0.25%以下(0%を含む) Fe:0.1〜1.0% Si:0.1〜1.0% の要件を満たすAl合金を、凝固時の冷却速度が R≧5で、且つR≧7.5([Fe]+[Si])+2 但し、R:凝固時の冷却速度(℃/sec) [Fe],[Si]:Al合金中のFe、Siの含有率
(%) を満足する条件で連続鋳造した後、該鋳片温度を熱間圧
延温度以上に保持して熱間圧延し、次いで冷間圧延と連
続中間焼鈍を2〜4回繰り返すところに要旨を有するも
のである。
【0009】本発明は上記の構成を基本思想とするが、
この発明の実施における好ましい態様あるいは変形態様
をより具体化し示すと、下記の通りである。 1.連続鋳造法としては、水冷式連続鋳造法、双ロール
式連続鋳造法、ベルト式連続鋳造法、ブロック式連続鋳
造法などを採用することができるが、連続鋳造から熱間
圧延工程への移行時期は、鋳片内部が固相線温度以下に
まで低下して完全に凝固した後にタイミングを合わせる
のが好ましい。 2.連続鋳造後引き続いて行なわれる熱間圧延の開始温
度は350〜550℃、終了温度は150〜330℃の
範囲が夫々好ましい。 3.冷間圧延工程で行なわれる連続中間焼鈍の好ましい
温度範囲は500〜固相線温度の範囲であり、該連続中
間焼鈍後は100℃/分以上の速度で急冷するのがよ
い。 4.連続鋳造では、通常4〜30mm程度の肉厚の板状
鋳片が連続的に製造され、これを熱間圧延によって1〜
5mmに圧延した後、更に冷間圧延によって0.1〜1
mm程度の肉厚のAl合金板に圧延される。 5.熱間圧延終了後は、100℃/分以上の速度で冷却
することにより過飽和固溶元素の析出が一層確実に防止
され、高強度化に寄与する。 6.本発明では、連続鋳造された移動帯板を直ちに熱間
圧延工程へ送り、或は連続鋳造された鋳片を熱間圧延温
度以上に調整して熱間圧延工程へ送って熱間圧延を行な
うものであって、熱間圧延前に実質的な再加熱は行なわ
ず、その代わりに均質化熱処理を兼ねて冷間圧延時に冷
間圧延と連続中間焼鈍を2〜4回繰り返すものである。
この発明の実施における好ましい態様あるいは変形態様
をより具体化し示すと、下記の通りである。 1.連続鋳造法としては、水冷式連続鋳造法、双ロール
式連続鋳造法、ベルト式連続鋳造法、ブロック式連続鋳
造法などを採用することができるが、連続鋳造から熱間
圧延工程への移行時期は、鋳片内部が固相線温度以下に
まで低下して完全に凝固した後にタイミングを合わせる
のが好ましい。 2.連続鋳造後引き続いて行なわれる熱間圧延の開始温
度は350〜550℃、終了温度は150〜330℃の
範囲が夫々好ましい。 3.冷間圧延工程で行なわれる連続中間焼鈍の好ましい
温度範囲は500〜固相線温度の範囲であり、該連続中
間焼鈍後は100℃/分以上の速度で急冷するのがよ
い。 4.連続鋳造では、通常4〜30mm程度の肉厚の板状
鋳片が連続的に製造され、これを熱間圧延によって1〜
5mmに圧延した後、更に冷間圧延によって0.1〜1
mm程度の肉厚のAl合金板に圧延される。 5.熱間圧延終了後は、100℃/分以上の速度で冷却
することにより過飽和固溶元素の析出が一層確実に防止
され、高強度化に寄与する。 6.本発明では、連続鋳造された移動帯板を直ちに熱間
圧延工程へ送り、或は連続鋳造された鋳片を熱間圧延温
度以上に調整して熱間圧延工程へ送って熱間圧延を行な
うものであって、熱間圧延前に実質的な再加熱は行なわ
ず、その代わりに均質化熱処理を兼ねて冷間圧延時に冷
間圧延と連続中間焼鈍を2〜4回繰り返すものである。
【0010】
【作用】上記の様に本発明では、使用するAl合金の成
分組成を特定すると共に、連続鋳造における凝固時の冷
却速度を適正に規定し、且つ連続鋳造後直ちに熱間圧延
し、その後に行なわれる冷間圧延工程で、冷間圧延と連
続中間焼鈍を繰り返すことによって過飽和固溶元素の析
出を抑制し、あるいはたとえ析出したとしても微細均一
に析出せしめ、それにより冷間圧延製品の高強度化を達
成すると共に、その後に行なわれる焼き付け塗装熱処理
後の耐力を高め、更には深絞り成形性についても一段と
高めることに成功したものである。以下、本発明で定め
るAl合金の成分組成および冷間圧延条件などを含めた
製造条件について詳細に説明する。まず、本発明で使用
するAl合金の成分組成を定めた理由を説明する。
分組成を特定すると共に、連続鋳造における凝固時の冷
却速度を適正に規定し、且つ連続鋳造後直ちに熱間圧延
し、その後に行なわれる冷間圧延工程で、冷間圧延と連
続中間焼鈍を繰り返すことによって過飽和固溶元素の析
出を抑制し、あるいはたとえ析出したとしても微細均一
に析出せしめ、それにより冷間圧延製品の高強度化を達
成すると共に、その後に行なわれる焼き付け塗装熱処理
後の耐力を高め、更には深絞り成形性についても一段と
高めることに成功したものである。以下、本発明で定め
るAl合金の成分組成および冷間圧延条件などを含めた
製造条件について詳細に説明する。まず、本発明で使用
するAl合金の成分組成を定めた理由を説明する。
【0011】Mn:0.4〜1.5% Mnは固溶強化元素としてAl合金板の強度を高めるの
に欠くことのできない元素であるばかりでなく、Al−
Fe−Mn系晶出物の生成によってしごき加工性を高め
る作用も有しており、これらの作用を有効に発揮させる
には少なくとも0.4%以上含有させなければならな
い。しかしながら多くなり過ぎると、固溶しきれないM
n量の増大により成形性(絞り、しごき、張り出し性、
フランジ性等)を却って悪化させる傾向が現れてくるの
で、1.5%以下に抑えなければならない。Mn含有率
の好ましい下限値は0.8%、より好ましくは1.1
%、好ましい上限値は1.4%である。
に欠くことのできない元素であるばかりでなく、Al−
Fe−Mn系晶出物の生成によってしごき加工性を高め
る作用も有しており、これらの作用を有効に発揮させる
には少なくとも0.4%以上含有させなければならな
い。しかしながら多くなり過ぎると、固溶しきれないM
n量の増大により成形性(絞り、しごき、張り出し性、
フランジ性等)を却って悪化させる傾向が現れてくるの
で、1.5%以下に抑えなければならない。Mn含有率
の好ましい下限値は0.8%、より好ましくは1.1
%、好ましい上限値は1.4%である。
【0012】Mg:0.8〜2.5% Mgも、固溶強化元素として作用すると共に、Al−M
g系もしくはAl−Mg−Cu系晶出物の生成によって
強度を高める作用を有しており、本発明で意図するレベ
ルの強度を確保するには0.8%以上含有させなければ
ならない。しかしながら含有量が多過ぎると、Mnの場
合と同様に固溶しきれないMg量の増大によって成形性
を悪化させるので、2.5%以下に抑えなければならな
い。Mg含有率の好ましい下限値は1.3%、より好ま
しくは2.5%、好ましい上限値は2.4%である。
g系もしくはAl−Mg−Cu系晶出物の生成によって
強度を高める作用を有しており、本発明で意図するレベ
ルの強度を確保するには0.8%以上含有させなければ
ならない。しかしながら含有量が多過ぎると、Mnの場
合と同様に固溶しきれないMg量の増大によって成形性
を悪化させるので、2.5%以下に抑えなければならな
い。Mg含有率の好ましい下限値は1.3%、より好ま
しくは2.5%、好ましい上限値は2.4%である。
【0013】Cu:0.25%以下 Cuは必ずしも必須というわけではないが、Al−Mg
−Cu系晶出物の生成によって強度を高める作用を有し
ているので、強度に対する要求度が高い場合には積極的
に含有させることが望ましい。しかし、多過ぎると成形
性に悪影響が現れてくるので0.25%以下に抑えなけ
ればならない。強度と成形性のバランスを考えてより好
ましいCuの含有率は1.6〜2.4%の範囲である。
−Cu系晶出物の生成によって強度を高める作用を有し
ているので、強度に対する要求度が高い場合には積極的
に含有させることが望ましい。しかし、多過ぎると成形
性に悪影響が現れてくるので0.25%以下に抑えなけ
ればならない。強度と成形性のバランスを考えてより好
ましいCuの含有率は1.6〜2.4%の範囲である。
【0014】Zn:0.25%以下 Znも必須の成分ではないが、適量含有させることによ
って絞りやしごき等の成形性を高める作用を有してお
り、特に過酷な成形条件が加えられる用途に使用する場
合は少量含有させることが好ましい。しかし、多過ぎる
と成形性が悪くなる傾向が現れてくるばかりでなくコス
ト的にも不利であるので、含有させる場合でも0.25
%以下に抑えなければならない。Znのより好ましい含
有率は0.16〜0.22%の範囲である。
って絞りやしごき等の成形性を高める作用を有してお
り、特に過酷な成形条件が加えられる用途に使用する場
合は少量含有させることが好ましい。しかし、多過ぎる
と成形性が悪くなる傾向が現れてくるばかりでなくコス
ト的にも不利であるので、含有させる場合でも0.25
%以下に抑えなければならない。Znのより好ましい含
有率は0.16〜0.22%の範囲である。
【0015】Fe:0.1〜1.0%、Si:0.1〜
1.0% これらの元素は成形性や強度を一段と高める元素として
有効である。即ちFeは、Al−Mn−Fe系晶出物を
生成して成形時の肌荒れ防止作用を発揮すると共にしご
き加工性を高める作用があり、0.1%以上含有させる
必要がある。しかし多過ぎると、鋳造時に粗大晶出物が
生成して成形性を悪化させるので1.0%を上限とす
る。またSiは、Mg2 Si系の微細な析出物を生成し
て高強度化に寄与するもので、少なくとも0.1%以上
含有させなければならないが、多過ぎると、Siが単体
として析出して成形性に悪影響が現れてくるので1.0
%を上限とする。これらの利害得失を考慮して、Feの
より好ましい含有率は0.1〜0.8%、Siのより好
ましい含有率は0.1〜0.6%の範囲である。
1.0% これらの元素は成形性や強度を一段と高める元素として
有効である。即ちFeは、Al−Mn−Fe系晶出物を
生成して成形時の肌荒れ防止作用を発揮すると共にしご
き加工性を高める作用があり、0.1%以上含有させる
必要がある。しかし多過ぎると、鋳造時に粗大晶出物が
生成して成形性を悪化させるので1.0%を上限とす
る。またSiは、Mg2 Si系の微細な析出物を生成し
て高強度化に寄与するもので、少なくとも0.1%以上
含有させなければならないが、多過ぎると、Siが単体
として析出して成形性に悪影響が現れてくるので1.0
%を上限とする。これらの利害得失を考慮して、Feの
より好ましい含有率は0.1〜0.8%、Siのより好
ましい含有率は0.1〜0.6%の範囲である。
【0016】本発明におけるAl合金の残部成分はAl
と不可避不純物からなるものであり、不可避不純物とし
てはNi,Cr,V,Ti,Zr,Li等が例示される
が、それらは不可避不純物量である限り、本発明で意図
する性能を確保する上で格別の障害になることはない。
次に、上記Al合金を用いた連続鋳造、熱間圧延、冷間
圧延などの各条件について説明する。
と不可避不純物からなるものであり、不可避不純物とし
てはNi,Cr,V,Ti,Zr,Li等が例示される
が、それらは不可避不純物量である限り、本発明で意図
する性能を確保する上で格別の障害になることはない。
次に、上記Al合金を用いた連続鋳造、熱間圧延、冷間
圧延などの各条件について説明する。
【0017】本発明では、上記成分組成の要件を満足す
るAl合金を使用し、凝固時の冷却速度が下記(1),
(2)式 R≧7.5([Fe]+[Si])+2……(1) R≧5……(2) 但し、R:凝固時の冷却速度(℃/sec) [Fe],[Si]:Al合金中のFe、Siの含有率
(%) を満足する条件で連続鋳造された移動帯板を熱間圧延温
度以上で直ちに熱間圧延工程へ送り、或は連続鋳造され
た鋳片を、熱間圧延温度以上に調整して熱間圧延工程へ
送って熱間圧延すると共に、次いで行なわれる冷間圧延
工程で、冷間圧延と連続中間焼鈍を2〜4回繰り返すと
ころに製法として最大の特徴を有している。
るAl合金を使用し、凝固時の冷却速度が下記(1),
(2)式 R≧7.5([Fe]+[Si])+2……(1) R≧5……(2) 但し、R:凝固時の冷却速度(℃/sec) [Fe],[Si]:Al合金中のFe、Siの含有率
(%) を満足する条件で連続鋳造された移動帯板を熱間圧延温
度以上で直ちに熱間圧延工程へ送り、或は連続鋳造され
た鋳片を、熱間圧延温度以上に調整して熱間圧延工程へ
送って熱間圧延すると共に、次いで行なわれる冷間圧延
工程で、冷間圧延と連続中間焼鈍を2〜4回繰り返すと
ころに製法として最大の特徴を有している。
【0018】即ち従来例では、先に記載した様に連続鋳
造と熱間圧延の間で均質化熱処理を兼ねて加熱保持を行
なっており、この加熱保持工程で過飽和固溶元素の析出
が起こり、最終冷間圧延製品の高強度化を阻害するとい
う問題が生じてくるが、本発明では、連続鋳造時の冷却
速度を規制すると共に、上記の加熱保持を省略し、これ
に代わる均質化処理として冷間圧延工程で冷間圧延と連
続中間焼鈍を2〜4回繰り返し、それらの組み合わせに
よって前述の様な過飽和固溶元素の析出と成長を阻止
し、それにより最終冷間圧延製品の強度を高めると共
に、焼き付け塗装硬化性や絞り加工性を改善するもので
ある。
造と熱間圧延の間で均質化熱処理を兼ねて加熱保持を行
なっており、この加熱保持工程で過飽和固溶元素の析出
が起こり、最終冷間圧延製品の高強度化を阻害するとい
う問題が生じてくるが、本発明では、連続鋳造時の冷却
速度を規制すると共に、上記の加熱保持を省略し、これ
に代わる均質化処理として冷間圧延工程で冷間圧延と連
続中間焼鈍を2〜4回繰り返し、それらの組み合わせに
よって前述の様な過飽和固溶元素の析出と成長を阻止
し、それにより最終冷間圧延製品の強度を高めると共
に、焼き付け塗装硬化性や絞り加工性を改善するもので
ある。
【0019】まず本発明者等が確認したところによる
と、最終圧延製品の強度や絞り加工性は、Al合金中に
含まれるFeおよびSiの含有率をパラメータとして連
続鋳造時の冷却速度をうまくコントロールすることによ
って著しく高められ、該凝固時の冷却速度が前記(1)
式と(2)式を同時に満たす様に設定することが重要で
あることを知った。しかして最終圧延製品の前記特性に
は、連続鋳造工程とその後の圧延並びに中間焼鈍条件が
影響するが、特にAl合金中のFeおよびSiは連続鋳
造時に粗大晶出物を生じる原因となり、それらは最終圧
延製品の前述の様な特性に悪影響を及ぼす。ところが、
連続鋳造時の冷却速度を前記(1)式と(2)式の条件
を満たす様に設定してやれば、FeやSiに由来する粗
大晶出物の生成が阻止され、その後の圧延時の連続中間
焼鈍条件の設定とも相まって、最終圧延製品の前記特性
を著しく高めることができるのである。
と、最終圧延製品の強度や絞り加工性は、Al合金中に
含まれるFeおよびSiの含有率をパラメータとして連
続鋳造時の冷却速度をうまくコントロールすることによ
って著しく高められ、該凝固時の冷却速度が前記(1)
式と(2)式を同時に満たす様に設定することが重要で
あることを知った。しかして最終圧延製品の前記特性に
は、連続鋳造工程とその後の圧延並びに中間焼鈍条件が
影響するが、特にAl合金中のFeおよびSiは連続鋳
造時に粗大晶出物を生じる原因となり、それらは最終圧
延製品の前述の様な特性に悪影響を及ぼす。ところが、
連続鋳造時の冷却速度を前記(1)式と(2)式の条件
を満たす様に設定してやれば、FeやSiに由来する粗
大晶出物の生成が阻止され、その後の圧延時の連続中間
焼鈍条件の設定とも相まって、最終圧延製品の前記特性
を著しく高めることができるのである。
【0020】尚、上記条件式(1),(2)で示される
推奨範囲は、図1に示される如く、[Fe]+[Si]
の値が0.4%超のときは式(1)によって、また[F
e]+[Si]の値が0.4%以下のときは式(2)に
よって規定されることを意味する。ちなみに、凝固時の
冷却速度が前記要件を外れる場合は、連続鋳造組織中に
FeやSiに由来する粗大な晶出物が生成し、それらが
その後の圧延および連続中間焼鈍工程でも残存して強度
や加工性に悪影響を及ぼすことになる。
推奨範囲は、図1に示される如く、[Fe]+[Si]
の値が0.4%超のときは式(1)によって、また[F
e]+[Si]の値が0.4%以下のときは式(2)に
よって規定されることを意味する。ちなみに、凝固時の
冷却速度が前記要件を外れる場合は、連続鋳造組織中に
FeやSiに由来する粗大な晶出物が生成し、それらが
その後の圧延および連続中間焼鈍工程でも残存して強度
や加工性に悪影響を及ぼすことになる。
【0021】また本発明では、上記の様に連続鋳造した
後、該鋳片温度を熱間圧延温度以上に保持して熱間圧延
し、更に冷間圧延する工程で冷間圧延と連続中間焼鈍を
複数回繰り返すことが必要である。即ちこの繰り返しに
より、冷間圧延中に導入された転移により偏析した元素
が、通常の拡散よりも高速でパイプ拡散を起こして微細
均一な析出物が生成し、冷間圧延製品の高強度化に寄与
すると共に、焼き付け塗装硬化に寄与する溶質元素のミ
クロ偏析とパイプ拡散によって解消され、焼き付け塗装
熱処理後の耐力も著しく高められるのである。こうした
効果は、冷間圧延と連続中間焼鈍を唯1回行なっただけ
では得ることができず、少なくとも2回以上の繰り返し
を必須とする。しかし、その繰り返し数が4回を超える
と、生産性が低下するばかりでなく、析出物の成長が進
んで強度は却って低下傾向を示す様になる。
後、該鋳片温度を熱間圧延温度以上に保持して熱間圧延
し、更に冷間圧延する工程で冷間圧延と連続中間焼鈍を
複数回繰り返すことが必要である。即ちこの繰り返しに
より、冷間圧延中に導入された転移により偏析した元素
が、通常の拡散よりも高速でパイプ拡散を起こして微細
均一な析出物が生成し、冷間圧延製品の高強度化に寄与
すると共に、焼き付け塗装硬化に寄与する溶質元素のミ
クロ偏析とパイプ拡散によって解消され、焼き付け塗装
熱処理後の耐力も著しく高められるのである。こうした
効果は、冷間圧延と連続中間焼鈍を唯1回行なっただけ
では得ることができず、少なくとも2回以上の繰り返し
を必須とする。しかし、その繰り返し数が4回を超える
と、生産性が低下するばかりでなく、析出物の成長が進
んで強度は却って低下傾向を示す様になる。
【0022】本発明では、上記の様に連続鋳造時の凝固
時の冷却速度を設定すると共に、熱間圧延後の冷間圧延
工程で冷間圧延と連続中間焼鈍を繰り返すところに方法
として最大の特徴を有するものであり、その他の条件に
は格別の制限はないが、その他の好ましい条件等につい
て説明すると下記の通りである。
時の冷却速度を設定すると共に、熱間圧延後の冷間圧延
工程で冷間圧延と連続中間焼鈍を繰り返すところに方法
として最大の特徴を有するものであり、その他の条件に
は格別の制限はないが、その他の好ましい条件等につい
て説明すると下記の通りである。
【0023】本発明において冷間圧延工程で行なわれる
連続中間焼鈍の好ましい温度範囲は500〜固相線温
度、より好ましくは520〜固相線温度の範囲である。
また本発明は、連続鋳造の後該温度を保持した状態で直
ちに熱間圧延し、あるいは該連鋳片を熱間圧延温度以上
に調整してから熱間圧延を行ない、その後引き続いて、
或は一旦巻き取ってから冷間圧延工程へ送る方法(連鋳
・直送圧延法)に適用されるものであり、それにより、
連続鋳造後一旦巻き取り、冷却してから熱間圧延を行な
う方法に比べて熱ロスが少なく、且つ生産性を高める上
でも効果的である。尚、ここで採用される連続鋳造法と
しては、前記した様な水冷式連続鋳造法、双ロール式連
続鋳造法、ベルト式連続鋳造法、ブロック式連続鋳造法
などを適宜選択して採用することができる。
連続中間焼鈍の好ましい温度範囲は500〜固相線温
度、より好ましくは520〜固相線温度の範囲である。
また本発明は、連続鋳造の後該温度を保持した状態で直
ちに熱間圧延し、あるいは該連鋳片を熱間圧延温度以上
に調整してから熱間圧延を行ない、その後引き続いて、
或は一旦巻き取ってから冷間圧延工程へ送る方法(連鋳
・直送圧延法)に適用されるものであり、それにより、
連続鋳造後一旦巻き取り、冷却してから熱間圧延を行な
う方法に比べて熱ロスが少なく、且つ生産性を高める上
でも効果的である。尚、ここで採用される連続鋳造法と
しては、前記した様な水冷式連続鋳造法、双ロール式連
続鋳造法、ベルト式連続鋳造法、ブロック式連続鋳造法
などを適宜選択して採用することができる。
【0024】連続鋳造後に行なわれる熱間圧延の開始温
度は350〜550℃、より好ましくは400〜500
℃の範囲であり、また熱間圧延終了温度は150〜33
0℃、より好ましくは180〜300℃の範囲である。
また、熱間圧延後は100℃/分以上の高速度で冷却す
ることによって、冷却時における飽和固溶元素の析出が
抑えられ、固溶強化効果の増大により一層の高強度化が
達成される。
度は350〜550℃、より好ましくは400〜500
℃の範囲であり、また熱間圧延終了温度は150〜33
0℃、より好ましくは180〜300℃の範囲である。
また、熱間圧延後は100℃/分以上の高速度で冷却す
ることによって、冷却時における飽和固溶元素の析出が
抑えられ、固溶強化効果の増大により一層の高強度化が
達成される。
【0025】本発明を実施するに当たっては、連続鋳造
によって通常4〜30mm程度の肉厚の板状鋳片を連続
的に製造し、これを直ちに熱間圧延することにより肉厚
を1〜5mmとし、更に冷間圧延と連続中間焼鈍を繰り
返すことによって0.1〜1mm程度の肉厚のAl合金
製品板が製造される。
によって通常4〜30mm程度の肉厚の板状鋳片を連続
的に製造し、これを直ちに熱間圧延することにより肉厚
を1〜5mmとし、更に冷間圧延と連続中間焼鈍を繰り
返すことによって0.1〜1mm程度の肉厚のAl合金
製品板が製造される。
【0026】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はもと
より下記実施例によって制限を受けるものではなく、前
後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施
することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の
技術的範囲に含まれる。
より下記実施例によって制限を受けるものではなく、前
後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施
することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の
技術的範囲に含まれる。
【0027】実施例 表1に示す化学組成のAl合金を溶解した後、凝固時の
冷却速度が12℃/secの速度で20mmの板厚に連
続鋳造して移動帯板とし、これを直ちに圧延開始温度を
450℃、終了温度を300℃として直送熱間圧延を行
なって4mm厚の熱延板を作製した。尚、熱間圧延後の
冷却には水ミスト噴霧を採用し、冷却速度は200℃/
分とした。その後、3.0mmまで冷間圧延した後、急
速加熱により530℃まで昇温してから1分間の連続中
間焼鈍を行ない、次いで1.5mmまで冷間圧延してか
ら530℃で1分間の連続中間焼鈍を行ない、更に0.
6mmにまで冷間圧延の後530℃で1分間の連続中間
焼鈍を行ない、最後の冷間圧延で0.3mm厚にまで圧
延してAl合金板を得た。
冷却速度が12℃/secの速度で20mmの板厚に連
続鋳造して移動帯板とし、これを直ちに圧延開始温度を
450℃、終了温度を300℃として直送熱間圧延を行
なって4mm厚の熱延板を作製した。尚、熱間圧延後の
冷却には水ミスト噴霧を採用し、冷却速度は200℃/
分とした。その後、3.0mmまで冷間圧延した後、急
速加熱により530℃まで昇温してから1分間の連続中
間焼鈍を行ない、次いで1.5mmまで冷間圧延してか
ら530℃で1分間の連続中間焼鈍を行ない、更に0.
6mmにまで冷間圧延の後530℃で1分間の連続中間
焼鈍を行ない、最後の冷間圧延で0.3mm厚にまで圧
延してAl合金板を得た。
【0028】得られた各Al合金板について、深絞り試
験により限界絞り比を測定すると共に、引張試験によっ
て0.2%耐力(As耐力)を測定し、更に該Al合金
板に200℃×20分の焼き付け塗装熱処理を施した後
の0.2%耐力(AB耐力)を測定した。 0.2%耐力(As耐力、AB耐力)測定法:JIS
Z 2241に準拠 結果は表1に併記する通りであり、Al合金の成分組成
が本発明の規定要件に合致する実施例(No.1〜3)
は、いずれもAs耐力、AB耐力および限界絞り比の全
てにおいて良好な結果が得られている。
験により限界絞り比を測定すると共に、引張試験によっ
て0.2%耐力(As耐力)を測定し、更に該Al合金
板に200℃×20分の焼き付け塗装熱処理を施した後
の0.2%耐力(AB耐力)を測定した。 0.2%耐力(As耐力、AB耐力)測定法:JIS
Z 2241に準拠 結果は表1に併記する通りであり、Al合金の成分組成
が本発明の規定要件に合致する実施例(No.1〜3)
は、いずれもAs耐力、AB耐力および限界絞り比の全
てにおいて良好な結果が得られている。
【0029】これらに対し、比較例(No.4〜12)
では、本発明で規定する様に連続鋳造時の冷却速度を適
正に設定し且つ冷間圧延と連続中間焼鈍を3回繰り返し
ているにもかかわらず、Al合金組成が本発明の規定要
件を外れる比較例は、概して限界絞り比が低く、また限
界絞り比の比較的高いものは、As耐力およびAB耐力
が低いことが分かる。
では、本発明で規定する様に連続鋳造時の冷却速度を適
正に設定し且つ冷間圧延と連続中間焼鈍を3回繰り返し
ているにもかかわらず、Al合金組成が本発明の規定要
件を外れる比較例は、概して限界絞り比が低く、また限
界絞り比の比較的高いものは、As耐力およびAB耐力
が低いことが分かる。
【0030】
【表1】
【0031】次に、表2に示す化学組成のAl合金を溶
解した後、表2に示す凝固時の冷却速度で20mmの板
厚に連続鋳造して移動帯板とし、これを直ちに圧延開始
温度を450℃、終了温度を300℃に設定して直送熱
間圧延を行ない、4mm厚の熱延板を作製した。次に
3.0mmまで冷間圧延した後、急速加熱により530
℃まで昇温してから1分間の連続中間焼鈍を行ない、次
いで1.5mmまで冷間圧延してから530℃で1分間
の連続中間焼鈍を行ない、更に0.6mmにまで冷間圧
延の後530℃で1分間の連続中間焼鈍を行ない、最後
の冷間圧延で0.3mm厚にまで圧延してAl合金板を
得た。
解した後、表2に示す凝固時の冷却速度で20mmの板
厚に連続鋳造して移動帯板とし、これを直ちに圧延開始
温度を450℃、終了温度を300℃に設定して直送熱
間圧延を行ない、4mm厚の熱延板を作製した。次に
3.0mmまで冷間圧延した後、急速加熱により530
℃まで昇温してから1分間の連続中間焼鈍を行ない、次
いで1.5mmまで冷間圧延してから530℃で1分間
の連続中間焼鈍を行ない、更に0.6mmにまで冷間圧
延の後530℃で1分間の連続中間焼鈍を行ない、最後
の冷間圧延で0.3mm厚にまで圧延してAl合金板を
得た。
【0032】得られた各Al合金板について、断面の顕
微鏡観察によって不溶性化合物の平均粒子径を測定する
と共に、上記と同様にして限界絞り比およびAs耐力を
測定した。また、応力−歪み曲線から引張破断に要する
単位体積当たりの仕事量を求め、靭性の指標とした。
微鏡観察によって不溶性化合物の平均粒子径を測定する
と共に、上記と同様にして限界絞り比およびAs耐力を
測定した。また、応力−歪み曲線から引張破断に要する
単位体積当たりの仕事量を求め、靭性の指標とした。
【0033】結果は表2に併記する通りであり、本発明
の規定要件を満たす実施例(No.13〜15)は、不
溶性化合物が非常に微細でありAs耐力、仕事量、限界
絞り比のいすれにおいても良好な値を示しているのに対
し、規定要件を外れる比較例(No.16〜18)では
満足な特性が得られておらず、特に限界絞り比が小さく
加工性に欠けるものであることが分かる。
の規定要件を満たす実施例(No.13〜15)は、不
溶性化合物が非常に微細でありAs耐力、仕事量、限界
絞り比のいすれにおいても良好な値を示しているのに対
し、規定要件を外れる比較例(No.16〜18)では
満足な特性が得られておらず、特に限界絞り比が小さく
加工性に欠けるものであることが分かる。
【0034】
【表2】
【0035】更に、表3に示す化学組成のAl合金を溶
解した後、12℃/secの冷却速度で20mmの板厚
に連続鋳造して移動帯板とし、これを直ちに圧延開始温
度を450℃、終了温度を300℃に設定して直送熱間
圧延を行ない、所定厚みの熱延板を製造した。但し、N
o.21では、連続鋳造後一旦冷却固化し、再加熱して
500℃で12分間保持した後に上記の条件で熱間圧延
を行なって所定の厚みの圧延板とした。次いで表4に示
すスケジュールで冷間圧延と連続中間焼鈍(いずれも5
30℃で1分間)を繰り返して0.3mm厚の仕上げA
l合金板を得た。
解した後、12℃/secの冷却速度で20mmの板厚
に連続鋳造して移動帯板とし、これを直ちに圧延開始温
度を450℃、終了温度を300℃に設定して直送熱間
圧延を行ない、所定厚みの熱延板を製造した。但し、N
o.21では、連続鋳造後一旦冷却固化し、再加熱して
500℃で12分間保持した後に上記の条件で熱間圧延
を行なって所定の厚みの圧延板とした。次いで表4に示
すスケジュールで冷間圧延と連続中間焼鈍(いずれも5
30℃で1分間)を繰り返して0.3mm厚の仕上げA
l合金板を得た。
【0036】得られた各冷延板の限界絞り比、As耐
力、AB耐力を上記と同様にして測定し、表3に併記す
る結果を得た。表3からも明らかである様に、本発明の
規定要件を全て満たす実施例(No.19,20)は、
いずれも限界絞り比、As耐力およびAB耐力が良好で
あるのに対し、本発明の規定要件を外れる比較例(N
o.21〜23)は、As耐力およびAB耐力が低く、
強度と成形性の両者を満足できないことが分かる。
力、AB耐力を上記と同様にして測定し、表3に併記す
る結果を得た。表3からも明らかである様に、本発明の
規定要件を全て満たす実施例(No.19,20)は、
いずれも限界絞り比、As耐力およびAB耐力が良好で
あるのに対し、本発明の規定要件を外れる比較例(N
o.21〜23)は、As耐力およびAB耐力が低く、
強度と成形性の両者を満足できないことが分かる。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、連
続鋳造、直送熱間圧延、冷間圧延を順次行なうAl合金
板の製法において、特に連続鋳造における凝固時の冷却
速度を規制すると共に、熱間圧延後の冷間圧延工程で冷
間圧延と連続中間焼鈍を繰り返すことによって、強度、
焼き付け塗装硬化性、および絞り成形性を一段と高める
ことができ、飲・食用の缶材を初めとして様々の成形加
工用として、強度と成形性の双方を満足するAl合金板
を提供し得ることになった。
続鋳造、直送熱間圧延、冷間圧延を順次行なうAl合金
板の製法において、特に連続鋳造における凝固時の冷却
速度を規制すると共に、熱間圧延後の冷間圧延工程で冷
間圧延と連続中間焼鈍を繰り返すことによって、強度、
焼き付け塗装硬化性、および絞り成形性を一段と高める
ことができ、飲・食用の缶材を初めとして様々の成形加
工用として、強度と成形性の双方を満足するAl合金板
を提供し得ることになった。
【図1】本発明で実施される連続鋳造時の好ましい冷却
速度条件を示すグラフである。
速度条件を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】Mn:0.4〜1.5%(重量%を意味す
る、以下同じ) Mg:0.8〜2.5% Cu:0.25%以下(0%を含む) Zn:0.25%以下(0%を含む) Fe:0.1〜1.0% Si:0.1〜1.0% の要件を満たすAl合金を、凝固時の冷却速度が R≧5で、且つR≧7.5([Fe]+[Si])+2 但し、R:凝固時の冷却速度(℃/sec) [Fe],[Si]:Al合金中のFe、Siの含有率
(%) を満足する条件で連続鋳造した後、該鋳片温度を熱間圧
延温度以上に保持して熱間圧延し、次いで冷間圧延と連
続中間焼鈍を2〜4回繰り返すことを特徴とする、絞り
成形用Al合金板の製造方法。 - 【請求項2】 連続鋳造された移動帯板を直ちに熱間圧
延工程へ送る請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 連続鋳造された鋳片を、熱間圧延温度以
上に調整して熱間圧延工程へ送る請求項1に記載の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4726294A JPH07252610A (ja) | 1994-03-17 | 1994-03-17 | 絞り成形用Al合金板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4726294A JPH07252610A (ja) | 1994-03-17 | 1994-03-17 | 絞り成形用Al合金板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07252610A true JPH07252610A (ja) | 1995-10-03 |
Family
ID=12770385
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4726294A Pending JPH07252610A (ja) | 1994-03-17 | 1994-03-17 | 絞り成形用Al合金板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07252610A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1081947A (ja) * | 1996-04-10 | 1998-03-31 | Toyo Kohan Co Ltd | 絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法 |
CN112030046A (zh) * | 2020-08-06 | 2020-12-04 | 江苏中福铝镁科技有限公司 | 一种用于制造手机边框的铝合金材料 |
-
1994
- 1994-03-17 JP JP4726294A patent/JPH07252610A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1081947A (ja) * | 1996-04-10 | 1998-03-31 | Toyo Kohan Co Ltd | 絞りしごき缶用樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法 |
CN112030046A (zh) * | 2020-08-06 | 2020-12-04 | 江苏中福铝镁科技有限公司 | 一种用于制造手机边框的铝合金材料 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020917 |