JPH07252509A - 窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法および基板用傾斜組成体ならびに構造材用傾斜組成体 - Google Patents
窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法および基板用傾斜組成体ならびに構造材用傾斜組成体Info
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- JPH07252509A JPH07252509A JP6065685A JP6568594A JPH07252509A JP H07252509 A JPH07252509 A JP H07252509A JP 6065685 A JP6065685 A JP 6065685A JP 6568594 A JP6568594 A JP 6568594A JP H07252509 A JPH07252509 A JP H07252509A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 生産性を向上させたセラミックスと金属との
傾斜組成体およびその製造方法を提供する。 【構成】 AlN粉末、W粉末、および、アルコールを
準備し、AlN粉末およびW粉末をアルコール中に攪拌
・混合して懸濁液を作成し、この懸濁液を型に鋳込成形
し、この成形したものを脱脂、焼成する。この結果、セ
ラミックスと金属との傾斜組成体を製造することができ
る。この傾斜組成体は、窒化物系セラミックスと金属と
の組成比が1:0から0:1に連続的に変化する。この
ため、新たに、窒化物系セラミックス体を成形する必要
がない。また、金属ペーストを準備する必要がない。し
たがって、製造工程が単純である。さらに、懸濁液の沈
降速度が固化前のグリーンシートのものより速いので、
その製造時間も短くすることができる。よって、生産性
を向上させることができる。
傾斜組成体およびその製造方法を提供する。 【構成】 AlN粉末、W粉末、および、アルコールを
準備し、AlN粉末およびW粉末をアルコール中に攪拌
・混合して懸濁液を作成し、この懸濁液を型に鋳込成形
し、この成形したものを脱脂、焼成する。この結果、セ
ラミックスと金属との傾斜組成体を製造することができ
る。この傾斜組成体は、窒化物系セラミックスと金属と
の組成比が1:0から0:1に連続的に変化する。この
ため、新たに、窒化物系セラミックス体を成形する必要
がない。また、金属ペーストを準備する必要がない。し
たがって、製造工程が単純である。さらに、懸濁液の沈
降速度が固化前のグリーンシートのものより速いので、
その製造時間も短くすることができる。よって、生産性
を向上させることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窒化物系セラミックス
と金属との組成比を一方向に変化させた傾斜組成体の製
造方法および基板用傾斜組成体に関する。
と金属との組成比を一方向に変化させた傾斜組成体の製
造方法および基板用傾斜組成体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子材料あるいは構造材料の分野
において、高熱伝導特性を有するAlN(窒化アルミニ
ウム)基板や高温強度に優れるSi3N4(窒化ケイ素)
やSiAlON(サイアロン)等の窒化物系セラミック
スが用いられている。また、これらのセラミックス表面
に金属層を形成したメタライズ材料が多くの用途に使わ
れている。このようなメタライズ材料においては、セラ
ミックスと金属との接合性が高いことが最も強く要求さ
れている。
において、高熱伝導特性を有するAlN(窒化アルミニ
ウム)基板や高温強度に優れるSi3N4(窒化ケイ素)
やSiAlON(サイアロン)等の窒化物系セラミック
スが用いられている。また、これらのセラミックス表面
に金属層を形成したメタライズ材料が多くの用途に使わ
れている。このようなメタライズ材料においては、セラ
ミックスと金属との接合性が高いことが最も強く要求さ
れている。
【0003】このような窒化物系セラミックスと金属と
の接合性の向上に対していくつかの提案が行われてい
る。例えば、Si3N4またはAlNまたは金属の表面に
窒素およびIIIa、IIIb、IVa、IVb、V
a、VIa族の金属を介在させ、両者を加熱、加圧し接
合する方法が提案されている(特開昭61−77681
号公報)。また、窒化物セラミックスと金属との接合部
に、活性金属の窒化物層と、活性金属に富む遷移金属と
の合金層と、遷移金属に富む活性金属との合金層とを、
セラミックス側から順次配置し、接合する方法が提案さ
れている(特開昭61−77681号公報)。すなわ
ち、これらの方法は、窒化物系セラミックスと金属層と
の間に反応層あるいは中間層を設けることにより、高い
密着性を得るものである。
の接合性の向上に対していくつかの提案が行われてい
る。例えば、Si3N4またはAlNまたは金属の表面に
窒素およびIIIa、IIIb、IVa、IVb、V
a、VIa族の金属を介在させ、両者を加熱、加圧し接
合する方法が提案されている(特開昭61−77681
号公報)。また、窒化物セラミックスと金属との接合部
に、活性金属の窒化物層と、活性金属に富む遷移金属と
の合金層と、遷移金属に富む活性金属との合金層とを、
セラミックス側から順次配置し、接合する方法が提案さ
れている(特開昭61−77681号公報)。すなわ
ち、これらの方法は、窒化物系セラミックスと金属層と
の間に反応層あるいは中間層を設けることにより、高い
密着性を得るものである。
【0004】しかし、これらの金属層は、反応層あるい
は中間層を介して窒化物系セラミックスと接合されてい
るため、熱サイクル試験を繰り返した場合、金属層と窒
化物系セラミックスとの熱膨張係数の差に起因した熱応
力により、接合界面にて剥離や割れが生じることが問題
となっている。
は中間層を介して窒化物系セラミックスと接合されてい
るため、熱サイクル試験を繰り返した場合、金属層と窒
化物系セラミックスとの熱膨張係数の差に起因した熱応
力により、接合界面にて剥離や割れが生じることが問題
となっている。
【0005】一方、熱応力緩和を目的とした複合材料と
して、近年より傾斜機能材料が注目を集めている。この
材料は、異種材料の間に両者の組成あるいは組織を連続
的あるいは段階的に変化させた混合層を設けることによ
り、材料間に生じる熱応力を緩和するものである。した
がって、この傾斜混合層を応用することにより、接合強
度の高いセラミックス−金属複合材料が得られるものと
考えられる。
して、近年より傾斜機能材料が注目を集めている。この
材料は、異種材料の間に両者の組成あるいは組織を連続
的あるいは段階的に変化させた混合層を設けることによ
り、材料間に生じる熱応力を緩和するものである。した
がって、この傾斜混合層を応用することにより、接合強
度の高いセラミックス−金属複合材料が得られるものと
考えられる。
【0006】このような傾斜組成層を利用した接合方法
として、AlN基板に搭載された電子部品の放熱を行う
ことを目的として、AlN基板にW(タングステン)層
を接合し、このW層を介在させてCu(銅)板を接合す
る方法が提案されている(特開平3−157989号公
報)。すなわち、AlN基板にAlN−W傾斜組成層を
同時焼成で接合し、熱応力によるAlN基板とCu板と
の剥離を防止するものである。
として、AlN基板に搭載された電子部品の放熱を行う
ことを目的として、AlN基板にW(タングステン)層
を接合し、このW層を介在させてCu(銅)板を接合す
る方法が提案されている(特開平3−157989号公
報)。すなわち、AlN基板にAlN−W傾斜組成層を
同時焼成で接合し、熱応力によるAlN基板とCu板と
の剥離を防止するものである。
【0007】詳しくは、まず、AlNのグリーンシート
を成形し、乾燥、硬化させる。次に、AlNにWを混合
したAlN−Wのグリーンシートを成形する。このAl
N−Wのグリーンシートを、乾燥速度を遅くして乾燥、
硬化させる。このとき、乾燥速度を遅くすることによ
り、AlN−Wのグリーンシートが硬化するまでの間
に、AlN粒子より粒度の大きなW粒子が自重でその厚
さ方向に沈降する。この結果、硬化したAlN−Wのグ
リーンシートの下面側はWリッチ(AlNよりもW過多
の組成)となり、その上面側はAlNリッチ(Wよりも
AlN過多の組成)となる。
を成形し、乾燥、硬化させる。次に、AlNにWを混合
したAlN−Wのグリーンシートを成形する。このAl
N−Wのグリーンシートを、乾燥速度を遅くして乾燥、
硬化させる。このとき、乾燥速度を遅くすることによ
り、AlN−Wのグリーンシートが硬化するまでの間
に、AlN粒子より粒度の大きなW粒子が自重でその厚
さ方向に沈降する。この結果、硬化したAlN−Wのグ
リーンシートの下面側はWリッチ(AlNよりもW過多
の組成)となり、その上面側はAlNリッチ(Wよりも
AlN過多の組成)となる。
【0008】このAlNリッチ側を上記AlNのグリー
ンシートと接触させるように、AlN−Wのグリーンシ
ート上にAlNのグリーンシートを積層する。この積層
体を加圧して、互いに圧着させる。この後、積層体の下
面、すなわち、AlN−WのグリーンシートのWリッチ
側に、Wペーストを塗布し、乾燥させる。この結果、積
層体の下面でWの組成がほぼ100%となる。この積層
体を、窒素雰囲気中で脱脂処理した後、同雰囲気中にて
一体焼成する。この結果、AlN基板が焼成され、同時
に、このAlN基板の上面にAlN−W傾斜組成層が形
成される。
ンシートと接触させるように、AlN−Wのグリーンシ
ート上にAlNのグリーンシートを積層する。この積層
体を加圧して、互いに圧着させる。この後、積層体の下
面、すなわち、AlN−WのグリーンシートのWリッチ
側に、Wペーストを塗布し、乾燥させる。この結果、積
層体の下面でWの組成がほぼ100%となる。この積層
体を、窒素雰囲気中で脱脂処理した後、同雰囲気中にて
一体焼成する。この結果、AlN基板が焼成され、同時
に、このAlN基板の上面にAlN−W傾斜組成層が形
成される。
【0009】なお、このAlN−W傾斜組成層とは、A
lNとWがその厚さ方向に沿って両者の組成が傾斜組成
となっているものである。すなわち、一方の面ではAl
Nリッチ、他方の面ではWリッチとなり、その中間部に
おいてWリッチ面に向かってAlNの組成が徐々に減少
するものである。
lNとWがその厚さ方向に沿って両者の組成が傾斜組成
となっているものである。すなわち、一方の面ではAl
Nリッチ、他方の面ではWリッチとなり、その中間部に
おいてWリッチ面に向かってAlNの組成が徐々に減少
するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなAlN基板にAlN−W傾斜組成層を接合する製造
方法にあっては、AlN−W傾斜組成層はその厚さ方向
にAlNの組成を100%から0%に、Wの組成を0%
から100%に変化させることができないために、その
複合化した基板の生産性が低いという課題を有してい
た。
うなAlN基板にAlN−W傾斜組成層を接合する製造
方法にあっては、AlN−W傾斜組成層はその厚さ方向
にAlNの組成を100%から0%に、Wの組成を0%
から100%に変化させることができないために、その
複合化した基板の生産性が低いという課題を有してい
た。
【0011】すなわち、従来方法では、基板と同一材料
(AlN)のグリーンシートをも準備しなければならな
い。そして、このAlNグリーンシートを、傾斜組成層
用のAlN−Wのグリーンシート上に積層し、加圧圧着
を行う必要がある。さらに、AlN−Wのグリーンシー
トのWリッチ面にWペーストを塗布する必要がある。こ
れらの結果、複合化した基板の製造工程が複雑となって
いるのである。
(AlN)のグリーンシートをも準備しなければならな
い。そして、このAlNグリーンシートを、傾斜組成層
用のAlN−Wのグリーンシート上に積層し、加圧圧着
を行う必要がある。さらに、AlN−Wのグリーンシー
トのWリッチ面にWペーストを塗布する必要がある。こ
れらの結果、複合化した基板の製造工程が複雑となって
いるのである。
【0012】さらにまた、AlN−W傾斜組成層を形成
するためには、AlN−Wのグリーンシートの乾燥速度
を遅くする必要がある。この結果、AlN−Wのグリー
ンシートの乾燥、硬化に要する時間が長くなり、それに
伴って、全体として製造時間も長くなっている。
するためには、AlN−Wのグリーンシートの乾燥速度
を遅くする必要がある。この結果、AlN−Wのグリー
ンシートの乾燥、硬化に要する時間が長くなり、それに
伴って、全体として製造時間も長くなっている。
【0013】
【課題解決のための知見】そこで、本願発明者は、乾
燥、硬化前のAlN−Wのグリーンシートにおいて、グ
リーンシートの粘度が高く(10Pa・s以上)、W粒
子の沈降速度が遅いために、AlN−W傾斜組成層には
AlNリッチ部およびWリッチ部しか形成することがで
きないという知見を得た。この結果、AlN−W傾斜組
成層においては、Wを含まないAlN部およびAlNを
含まないW部を形成することができない。よって、Al
N−W傾斜組成層のAlNリッチ部はWを含むので、A
lN単体よりも電気絶縁性が低下する。また、Wリッチ
部ではAlNを含むので、W単体よりもCu板との接合
性に劣る。これらのことから、上述のように、AlN−
W傾斜組成層の両面にAlNグリーンシートの積層およ
びWペーストの塗布が必要となるものである。
燥、硬化前のAlN−Wのグリーンシートにおいて、グ
リーンシートの粘度が高く(10Pa・s以上)、W粒
子の沈降速度が遅いために、AlN−W傾斜組成層には
AlNリッチ部およびWリッチ部しか形成することがで
きないという知見を得た。この結果、AlN−W傾斜組
成層においては、Wを含まないAlN部およびAlNを
含まないW部を形成することができない。よって、Al
N−W傾斜組成層のAlNリッチ部はWを含むので、A
lN単体よりも電気絶縁性が低下する。また、Wリッチ
部ではAlNを含むので、W単体よりもCu板との接合
性に劣る。これらのことから、上述のように、AlN−
W傾斜組成層の両面にAlNグリーンシートの積層およ
びWペーストの塗布が必要となるものである。
【0014】一方、窒化物系セラミックス粒子と金属粒
子とを含む懸濁液の状態で金属粒子を沈降させた場合、
その沈降速度は乾燥、硬化前のグリーンシート中での金
属粒子のそれよりも速いために、窒化物系セラミックス
と金属との組成変化の範囲も大きくなるとの知見も得
た。すなわち、傾斜組成体の製造時間を短縮することが
でき、さらに傾斜組成層の厚さ方向に沿って、窒化物系
セラミックスの組成を0%から100%に、金属の組成
を100%から0%に変化させることができる。
子とを含む懸濁液の状態で金属粒子を沈降させた場合、
その沈降速度は乾燥、硬化前のグリーンシート中での金
属粒子のそれよりも速いために、窒化物系セラミックス
と金属との組成変化の範囲も大きくなるとの知見も得
た。すなわち、傾斜組成体の製造時間を短縮することが
でき、さらに傾斜組成層の厚さ方向に沿って、窒化物系
セラミックスの組成を0%から100%に、金属の組成
を100%から0%に変化させることができる。
【0015】
【発明の目的】本発明の目的は、生産性を向上させた窒
化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法、
および、基板用傾斜組成体を提供することである。
化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法、
および、基板用傾斜組成体を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した発明
は、図1に示すように、窒化物系セラミックスの粉末
と、窒化物系セラミックスの焼結助剤の粉末と、上記窒
化物系セラミックスおよび上記窒化物系セラミックスの
焼結助剤の各焼成温度より融点の高い金属の粉末と、上
記窒化物系セラミックス、上記窒化物系セラミックスの
焼結助剤および上記金属が不溶の分散媒体とを準備し、
上記窒化物系セラミックスの粉末と、上記窒化物系セラ
ミックスの焼結助剤の粉末と、上記金属の粉末とを上記
分散媒体中に混合した懸濁液を作製し、この懸濁液を、
分散媒体を吸収または透過する材質で形成された型中に
鋳込むことにより成形を行い、この成形したものを焼成
する窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造
方法である。
は、図1に示すように、窒化物系セラミックスの粉末
と、窒化物系セラミックスの焼結助剤の粉末と、上記窒
化物系セラミックスおよび上記窒化物系セラミックスの
焼結助剤の各焼成温度より融点の高い金属の粉末と、上
記窒化物系セラミックス、上記窒化物系セラミックスの
焼結助剤および上記金属が不溶の分散媒体とを準備し、
上記窒化物系セラミックスの粉末と、上記窒化物系セラ
ミックスの焼結助剤の粉末と、上記金属の粉末とを上記
分散媒体中に混合した懸濁液を作製し、この懸濁液を、
分散媒体を吸収または透過する材質で形成された型中に
鋳込むことにより成形を行い、この成形したものを焼成
する窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造
方法である。
【0017】請求項2に記載の発明は、上記窒化物系セ
ラミックスの粉末および上記窒化物系セラミックスの焼
結助剤の粉末の各平均粒径が0.2〜4μmであり、上
記金属の粉末の平均粒径が1〜10μmである請求項1
に記載の窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の
製造方法である。
ラミックスの粉末および上記窒化物系セラミックスの焼
結助剤の粉末の各平均粒径が0.2〜4μmであり、上
記金属の粉末の平均粒径が1〜10μmである請求項1
に記載の窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の
製造方法である。
【0018】請求項3に記載の発明は、窒化物系セラミ
ックスの粉末と、窒化物系セラミックスの焼結助剤の粉
末と、金属の粉末と、分散媒体とを混合した上記懸濁液
の粘度が500mPa・s以下である請求項1または請
求項2に記載の窒化物系セラミックスと金属との傾斜組
成体の製造方法である。
ックスの粉末と、窒化物系セラミックスの焼結助剤の粉
末と、金属の粉末と、分散媒体とを混合した上記懸濁液
の粘度が500mPa・s以下である請求項1または請
求項2に記載の窒化物系セラミックスと金属との傾斜組
成体の製造方法である。
【0019】請求項4に記載の発明は、上記窒化物系セ
ラミックスの粉末としては、AlN、Si3N4、SiA
lONのいずれかの粉末を用いるとともに、上記金属の
粉末としてはW、Mo、Ni、Fe、Ni基合金、Co
基合金のいずれかの粉末を用いた請求項1〜請求項3の
いずれか1項に記載の窒化物系セラミックスと金属との
傾斜組成体の製造方法である。
ラミックスの粉末としては、AlN、Si3N4、SiA
lONのいずれかの粉末を用いるとともに、上記金属の
粉末としてはW、Mo、Ni、Fe、Ni基合金、Co
基合金のいずれかの粉末を用いた請求項1〜請求項3の
いずれか1項に記載の窒化物系セラミックスと金属との
傾斜組成体の製造方法である。
【0020】請求項5に記載の発明は、一方側表面は窒
化物系セラミックス100%、他方側表面は金属100
%であって、その中間部はこの窒化物系セラミックスと
金属との組成比が連続的に変化する窒化物系セラミック
ス−金属の傾斜組成である基板用傾斜組成体である。
化物系セラミックス100%、他方側表面は金属100
%であって、その中間部はこの窒化物系セラミックスと
金属との組成比が連続的に変化する窒化物系セラミック
ス−金属の傾斜組成である基板用傾斜組成体である。
【0021】請求項6に記載の発明は、上記窒化物系セ
ラミックスとしてAlNを用いた請求項5に記載の基板
用傾斜組成体である。
ラミックスとしてAlNを用いた請求項5に記載の基板
用傾斜組成体である。
【0022】請求項7に記載の発明は、一方側表面は窒
化物系セラミックス100重量%(以下、%)、他方側
表面は金属100%であって、その中間部はこの窒化物
系セラミックスと金属との組成比が連続的に変化する窒
化物系セラミックス−金属の傾斜組成である構造材用傾
斜組成体である。
化物系セラミックス100重量%(以下、%)、他方側
表面は金属100%であって、その中間部はこの窒化物
系セラミックスと金属との組成比が連続的に変化する窒
化物系セラミックス−金属の傾斜組成である構造材用傾
斜組成体である。
【0023】請求項8に記載した発明は、上記窒化物系
セラミックスとしてSi3N4またはSiAlONを用い
た請求項7に記載の構造材用傾斜組成体である。
セラミックスとしてSi3N4またはSiAlONを用い
た請求項7に記載の構造材用傾斜組成体である。
【0024】
【作用】請求項1に記載した発明に係る傾斜組成体の製
造方法にあっては、窒化物系セラミックスの焼成温度よ
り融点の高い金属の粉末を用いている。このため、焼成
時に金属が溶融することはない。この結果、鋳込成形を
行った後、窒化物系セラミックスと金属とを焼成するこ
とができる。
造方法にあっては、窒化物系セラミックスの焼成温度よ
り融点の高い金属の粉末を用いている。このため、焼成
時に金属が溶融することはない。この結果、鋳込成形を
行った後、窒化物系セラミックスと金属とを焼成するこ
とができる。
【0025】また、分散媒体に窒化物系セラミックスお
よび金属が不溶である。このため、窒化物系セラミック
ス粉末および金属粉末を分散媒体中に混合すると、窒化
物系セラミックス粉末および金属粉末が媒体中に溶解す
ることなく、均一に分散した懸濁液を作製することがで
きる。
よび金属が不溶である。このため、窒化物系セラミック
ス粉末および金属粉末を分散媒体中に混合すると、窒化
物系セラミックス粉末および金属粉末が媒体中に溶解す
ることなく、均一に分散した懸濁液を作製することがで
きる。
【0026】この懸濁液を型に鋳込成形すると、分散媒
体が型中に吸収される。あるいは、分散媒体が型中を透
過するとともに、窒化物系セラミックス粉末よりも密度
の大きな金属粉末が先に沈降する。この結果、窒化物系
セラミックスの組成と金属の組成とが連続的に変化した
成形体を得ることができる。
体が型中に吸収される。あるいは、分散媒体が型中を透
過するとともに、窒化物系セラミックス粉末よりも密度
の大きな金属粉末が先に沈降する。この結果、窒化物系
セラミックスの組成と金属の組成とが連続的に変化した
成形体を得ることができる。
【0027】この成形体を焼成することにより、その一
方の側が金属を含まない窒化物系セラミックスであり、
他方の側が窒化物系セラミックスを含まない金属である
窒化物系セラミックス−金属傾斜組成体を製造すること
ができる。すなわち、図2に示すように、窒化物系セラ
ミックス11から金属12までその組成が連続的に変化
する窒化物系セラミックス−金属傾斜組成体を得ること
ができる。
方の側が金属を含まない窒化物系セラミックスであり、
他方の側が窒化物系セラミックスを含まない金属である
窒化物系セラミックス−金属傾斜組成体を製造すること
ができる。すなわち、図2に示すように、窒化物系セラ
ミックス11から金属12までその組成が連続的に変化
する窒化物系セラミックス−金属傾斜組成体を得ること
ができる。
【0028】基板と傾斜組成体との接合のために、新た
に窒化物系セラミックス体(グリーンシート)を成形、
準備する必要がなく、したがって、この窒化物系セラミ
ックス体と窒化物系セラミックス−金属傾斜組成体とを
積層し加圧して互いに圧着させる必要もない。また、金
属ペーストを準備する必要もなく、この金属ペーストを
窒化物系セラミックス−金属傾斜組成体に塗布する必要
もない。
に窒化物系セラミックス体(グリーンシート)を成形、
準備する必要がなく、したがって、この窒化物系セラミ
ックス体と窒化物系セラミックス−金属傾斜組成体とを
積層し加圧して互いに圧着させる必要もない。また、金
属ペーストを準備する必要もなく、この金属ペーストを
窒化物系セラミックス−金属傾斜組成体に塗布する必要
もない。
【0029】以上の結果、この窒化物系セラミックスと
金属との傾斜組成体の製造方法においては、その製造工
程が少なくなる。さらに、懸濁液中での金属粒子の沈降
速度が硬化前のグリーンシート中でのそれよりも速いた
め、その製造時間も短縮することができる。よって、生
産性を向上させることができる。
金属との傾斜組成体の製造方法においては、その製造工
程が少なくなる。さらに、懸濁液中での金属粒子の沈降
速度が硬化前のグリーンシート中でのそれよりも速いた
め、その製造時間も短縮することができる。よって、生
産性を向上させることができる。
【0030】請求項2に記載した発明に係る製造方法で
は、平均粒径が0.2〜4μmの窒化物系セラミックス
粉末および窒化物系セラミックスの焼結助剤粉末と、平
均粒径が1〜10μmの金属粉末とを用いている。この
ため、窒化物系セラミックス粉末および金属粉末を分散
媒体中に混合した場合、均一に分散した懸濁液が得られ
る。
は、平均粒径が0.2〜4μmの窒化物系セラミックス
粉末および窒化物系セラミックスの焼結助剤粉末と、平
均粒径が1〜10μmの金属粉末とを用いている。この
ため、窒化物系セラミックス粉末および金属粉末を分散
媒体中に混合した場合、均一に分散した懸濁液が得られ
る。
【0031】また、請求項3に記載の発明に係る窒化物
系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法にあっ
ては、窒化物系セラミックスの粉末と、その焼結助剤の
粉末と、金属の粉末と、分散媒体とを混合した懸濁液に
おいて、その粘度が500mPa・s以下の懸濁液を用
いている。懸濁液の粘度をこの値以下とすることによ
り、その懸濁液を型中に鋳込んだ後でも、液中で金属粒
子の沈降が容易に起こり、分散媒体が型中に吸収、ある
いは透過する過程において、型表面側に金属層が形成さ
れ、成形体厚さ方向に沿って窒化物系セラミックスの組
成を連続的に変化させることができる。
系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法にあっ
ては、窒化物系セラミックスの粉末と、その焼結助剤の
粉末と、金属の粉末と、分散媒体とを混合した懸濁液に
おいて、その粘度が500mPa・s以下の懸濁液を用
いている。懸濁液の粘度をこの値以下とすることによ
り、その懸濁液を型中に鋳込んだ後でも、液中で金属粒
子の沈降が容易に起こり、分散媒体が型中に吸収、ある
いは透過する過程において、型表面側に金属層が形成さ
れ、成形体厚さ方向に沿って窒化物系セラミックスの組
成を連続的に変化させることができる。
【0032】また、請求項4に記載の発明では、上記窒
化物系セラミックスの粉末としては、AlN、Si
3N4、SiAlONのいずれかの粉末を用いる。AlN
またはSiAlONを用いた場合は、金属の粉末として
W、Mo、Ni基合金、Co基合金等を用いることがで
きる。また、Si3N4の粉末は、Ni、Fe、W、M
o、Ni基合金、Co基合金のいずれかの粉末と同時に
用いることができる。
化物系セラミックスの粉末としては、AlN、Si
3N4、SiAlONのいずれかの粉末を用いる。AlN
またはSiAlONを用いた場合は、金属の粉末として
W、Mo、Ni基合金、Co基合金等を用いることがで
きる。また、Si3N4の粉末は、Ni、Fe、W、M
o、Ni基合金、Co基合金のいずれかの粉末と同時に
用いることができる。
【0033】また、請求項5に記載の発明は、基板用傾
斜組成体にあって窒化物系セラミックス−金属の傾斜組
成の中間部にて熱応力を緩和することができる。ととも
に、窒化物系セラミックス100%、金属100%の両
側面には、それぞれ窒化物系セラミックスと金属とを強
固に接合することができる。さらに、このようにして接
合したセラミックスを例えば電子部品等の基板として用
いることもできる。
斜組成体にあって窒化物系セラミックス−金属の傾斜組
成の中間部にて熱応力を緩和することができる。ととも
に、窒化物系セラミックス100%、金属100%の両
側面には、それぞれ窒化物系セラミックスと金属とを強
固に接合することができる。さらに、このようにして接
合したセラミックスを例えば電子部品等の基板として用
いることもできる。
【0034】また、請求項6に記載の発明では、基板用
の傾斜組成体には、窒化物系セラミックスとしてAlN
が好適である。AlNは放熱性が高く、基板に搭載した
電子部品からの放熱を高めることができるからである。
の傾斜組成体には、窒化物系セラミックスとしてAlN
が好適である。AlNは放熱性が高く、基板に搭載した
電子部品からの放熱を高めることができるからである。
【0035】また、請求項7に記載の発明では、構造材
用傾斜組成体として使用した場合その窒化物系セラミッ
クスと金属との傾斜組成である中間部にあって熱応力の
緩和を行うことができる。同時に、セラミックス100
%、金属100%の両側面はそれぞれセラミックス、金
属に強固に接合することができ、構造材としての機械的
強度を高めることができる。したがって、高耐熱性の構
造材として特に有用である。
用傾斜組成体として使用した場合その窒化物系セラミッ
クスと金属との傾斜組成である中間部にあって熱応力の
緩和を行うことができる。同時に、セラミックス100
%、金属100%の両側面はそれぞれセラミックス、金
属に強固に接合することができ、構造材としての機械的
強度を高めることができる。したがって、高耐熱性の構
造材として特に有用である。
【0036】さらに、請求項8に記載した発明では、上
記窒化物系セラミックスとしてSi3N4またはSiAl
ONを用いている結果、構造材用の傾斜組成体として最
適である。すなわち、高耐熱性、高強度の構造材を得る
ことができる。
記窒化物系セラミックスとしてSi3N4またはSiAl
ONを用いている結果、構造材用の傾斜組成体として最
適である。すなわち、高耐熱性、高強度の構造材を得る
ことができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の一実施例を詳述する。
【0038】まず、分散媒体として蒸留水、あるいはエ
タノール等の有機溶媒、セラミックス粉末としてAl
N、Si3N4、サイアロン等の窒化物系セラミックス粉
末、金属粉末としてW、Mo(モリブデン)、Fe
(鉄)、Ni(ニッケル)等の高融点の金属粉末、焼結
助剤粉末としてY2O3(イットリア)、CaO(カルシ
ア)、Al2O3(アルミナ)等、分散剤および結合剤と
して有機系ポリマーを準備する。これらの分散媒体中
に、窒化物系セラミックス粉末、金属粉末、焼結助剤粉
末、分散剤および結合剤を所定の割合で添加し、混合攪
拌を行うことにより、窒化物系セラミックス粉末、金属
粉末、および焼結助剤粉末が分散媒体中に均一に分散し
た懸濁液が得られる。
タノール等の有機溶媒、セラミックス粉末としてAl
N、Si3N4、サイアロン等の窒化物系セラミックス粉
末、金属粉末としてW、Mo(モリブデン)、Fe
(鉄)、Ni(ニッケル)等の高融点の金属粉末、焼結
助剤粉末としてY2O3(イットリア)、CaO(カルシ
ア)、Al2O3(アルミナ)等、分散剤および結合剤と
して有機系ポリマーを準備する。これらの分散媒体中
に、窒化物系セラミックス粉末、金属粉末、焼結助剤粉
末、分散剤および結合剤を所定の割合で添加し、混合攪
拌を行うことにより、窒化物系セラミックス粉末、金属
粉末、および焼結助剤粉末が分散媒体中に均一に分散し
た懸濁液が得られる。
【0039】そして、図3に示すように、上記懸濁液1
の一部を型2内に流し込む。この型2は、懸濁液中の分
散媒体を吸収する部分2Aと、分散媒体を吸収しない部
分2Bとを有する。例えば、石膏型の板2A上にポリ塩
化ビニル製の円筒2Bを固着したものである。このた
め、懸濁液中の分散媒体は石膏製の板2Aに吸収される
が、円筒2Bには吸収されない。
の一部を型2内に流し込む。この型2は、懸濁液中の分
散媒体を吸収する部分2Aと、分散媒体を吸収しない部
分2Bとを有する。例えば、石膏型の板2A上にポリ塩
化ビニル製の円筒2Bを固着したものである。このた
め、懸濁液中の分散媒体は石膏製の板2Aに吸収される
が、円筒2Bには吸収されない。
【0040】懸濁液1中の窒化物系セラミックス粒子お
よび焼結助剤粒子に比べて金属粒子の方が密度が大き
い。このため、図4に示すように、懸濁液1を流し込ん
だ直後では、懸濁液1中の金属粒子のうち粗大なものが
自重で、窒化物系セラミックス粒子および焼結助剤粒子
より先に沈降する。この結果、石膏製の板2A上におい
て、懸濁液1の下側に、窒化物系セラミックス粒子およ
び焼結助剤粒子を含まない金属部3が形成される。
よび焼結助剤粒子に比べて金属粒子の方が密度が大き
い。このため、図4に示すように、懸濁液1を流し込ん
だ直後では、懸濁液1中の金属粒子のうち粗大なものが
自重で、窒化物系セラミックス粒子および焼結助剤粒子
より先に沈降する。この結果、石膏製の板2A上におい
て、懸濁液1の下側に、窒化物系セラミックス粒子およ
び焼結助剤粒子を含まない金属部3が形成される。
【0041】その後、懸濁液1中の窒化物系セラミック
ス粒子および焼結助剤粒子のうち粗大なものが自重でそ
れぞれ沈降し始めると共に、懸濁液1の分散媒体が石膏
製の板2Aの毛管力により吸収され始める。このため、
図5に示すように、窒化物系セラミックス粒子、金属粒
子および焼結助剤粒子からなる混合部4が上記金属部3
上に形成される。この混合部4が形成される初期の段階
において、この混合部4は、密度の大きな金属粒子の量
が多いために、金属リッチに形成される。さらに時間の
経過と共に、混合部4が形成される終期の段階におい
て、この混合部4の上部は、金属粒子の量が減少する一
方、密度の小さな窒化物系セラミックス粒子および焼結
助剤粒子の量が増加し、窒化物系セラミックスリッチに
形成される。すなわち、混合部4は、その厚さ方向に沿
って両材料の組成が傾斜組成となっており、窒化物系セ
ラミックス−金属傾斜組成体の上部では窒化物系セラミ
ックスリッチとなり、その下部では金属リッチとなり、
その中間部では上方向に沿って金属の割合が徐々に減少
するものである。
ス粒子および焼結助剤粒子のうち粗大なものが自重でそ
れぞれ沈降し始めると共に、懸濁液1の分散媒体が石膏
製の板2Aの毛管力により吸収され始める。このため、
図5に示すように、窒化物系セラミックス粒子、金属粒
子および焼結助剤粒子からなる混合部4が上記金属部3
上に形成される。この混合部4が形成される初期の段階
において、この混合部4は、密度の大きな金属粒子の量
が多いために、金属リッチに形成される。さらに時間の
経過と共に、混合部4が形成される終期の段階におい
て、この混合部4の上部は、金属粒子の量が減少する一
方、密度の小さな窒化物系セラミックス粒子および焼結
助剤粒子の量が増加し、窒化物系セラミックスリッチに
形成される。すなわち、混合部4は、その厚さ方向に沿
って両材料の組成が傾斜組成となっており、窒化物系セ
ラミックス−金属傾斜組成体の上部では窒化物系セラミ
ックスリッチとなり、その下部では金属リッチとなり、
その中間部では上方向に沿って金属の割合が徐々に減少
するものである。
【0042】その後、懸濁液1の流し込みから長時間経
過すると、懸濁液1中の全ての金属粒子が沈降する。こ
の後、懸濁液1中の窒化物系セラミックス粒子および焼
結助剤粒子が沈降するとともに、懸濁液1中の分散媒体
が全て石膏製の板2A内に吸収される。この結果、図6
に示すように、金属粒子を含まない窒化物系セラミック
ス部5が混合部4上に形成され、窒化物系セラミックス
と金属との組成が連続的に変化するものが一体成形され
る。この成形体にあっては、金属部3、混合部4、窒化
物系セラミックス部5の明確な界面は存在しない。
過すると、懸濁液1中の全ての金属粒子が沈降する。こ
の後、懸濁液1中の窒化物系セラミックス粒子および焼
結助剤粒子が沈降するとともに、懸濁液1中の分散媒体
が全て石膏製の板2A内に吸収される。この結果、図6
に示すように、金属粒子を含まない窒化物系セラミック
ス部5が混合部4上に形成され、窒化物系セラミックス
と金属との組成が連続的に変化するものが一体成形され
る。この成形体にあっては、金属部3、混合部4、窒化
物系セラミックス部5の明確な界面は存在しない。
【0043】なお、窒化物系セラミックス粉末およびそ
の焼結助剤粉末の平均粒径を0.2μmより小さくする
と、懸濁液中での上記両粉末粒子の沈降速度が遅くな
り、その大部分が金属粒子の沈降が終了後も懸濁液中に
残存する。したがって、懸濁液中の分散媒体が石膏製の
板中に吸収された後に得られる成形体において、窒化物
系セラミックスと金属との混合部が形成されない。ま
た、懸濁液中の窒化物系セラミックス粒子およびその焼
結助剤粒子の平均粒径を4μmより大きくすると、窒化
物系セラミックス粒子およびその焼結助剤粒子が懸濁液
中に均一に分散しない。したがって、懸濁液を石膏製の
板上に流し込んだ直後から、金属粒子の沈降とともに、
窒化物系セラミックス粒子およびその焼結助剤粒子の沈
降が始まる。そのため、得られる成形体では、金属部お
よび窒化物系セラミックス部が形成されない。
の焼結助剤粉末の平均粒径を0.2μmより小さくする
と、懸濁液中での上記両粉末粒子の沈降速度が遅くな
り、その大部分が金属粒子の沈降が終了後も懸濁液中に
残存する。したがって、懸濁液中の分散媒体が石膏製の
板中に吸収された後に得られる成形体において、窒化物
系セラミックスと金属との混合部が形成されない。ま
た、懸濁液中の窒化物系セラミックス粒子およびその焼
結助剤粒子の平均粒径を4μmより大きくすると、窒化
物系セラミックス粒子およびその焼結助剤粒子が懸濁液
中に均一に分散しない。したがって、懸濁液を石膏製の
板上に流し込んだ直後から、金属粒子の沈降とともに、
窒化物系セラミックス粒子およびその焼結助剤粒子の沈
降が始まる。そのため、得られる成形体では、金属部お
よび窒化物系セラミックス部が形成されない。
【0044】また、金属粉末の平均粒径を1μmより小
さくすると、懸濁液中での金属粉末粒子の沈降速度が遅
くなり、懸濁液を石膏製の板上に流し込んだ直後での、
金属粒子の優先的な沈降が起こらない。すなわち、窒化
物系セラミックス粒子およびその焼結助剤粒子の沈降と
ともに、金属粒子が沈降するため、得られる成形体では
金属部および窒化物系セラミックス部が形成されない。
また、金属粉末の平均粒径を10μmより大きくする
と、懸濁液中で金属粒子が十分に分散しない。そのた
め、懸濁液を石膏製の板上に流し込んだ直後より、きわ
めて短時間のうちに全ての金属粒子が沈降する。したが
って、得られる成形体において、窒化物系セラミックス
と金属との混合部が形成されないこととなる。
さくすると、懸濁液中での金属粉末粒子の沈降速度が遅
くなり、懸濁液を石膏製の板上に流し込んだ直後での、
金属粒子の優先的な沈降が起こらない。すなわち、窒化
物系セラミックス粒子およびその焼結助剤粒子の沈降と
ともに、金属粒子が沈降するため、得られる成形体では
金属部および窒化物系セラミックス部が形成されない。
また、金属粉末の平均粒径を10μmより大きくする
と、懸濁液中で金属粒子が十分に分散しない。そのた
め、懸濁液を石膏製の板上に流し込んだ直後より、きわ
めて短時間のうちに全ての金属粒子が沈降する。したが
って、得られる成形体において、窒化物系セラミックス
と金属との混合部が形成されないこととなる。
【0045】なお、上記懸濁液の粘度を500mPa・
sより高くすると、懸濁液を石膏製の板上に流し込んだ
直後から、懸濁液中の分散媒体が全て石膏製の板中に吸
収されるまでの間に、金属粒子が十分に沈降しない。し
たがって、石膏製の板直上の金属層中に窒化物系セラミ
ックス粒子およびその焼結助剤粒子が混入し、窒化物系
セラミックス粒子およびその焼結助剤粒子を含まない金
属部を得ることができない。また、懸濁液中の分散媒体
が全て石膏製の板中に吸収された後の成形体上部に、金
属粒子が存在するため、金属粒子を含まない窒化物系セ
ラミックス部を得ることができない。
sより高くすると、懸濁液を石膏製の板上に流し込んだ
直後から、懸濁液中の分散媒体が全て石膏製の板中に吸
収されるまでの間に、金属粒子が十分に沈降しない。し
たがって、石膏製の板直上の金属層中に窒化物系セラミ
ックス粒子およびその焼結助剤粒子が混入し、窒化物系
セラミックス粒子およびその焼結助剤粒子を含まない金
属部を得ることができない。また、懸濁液中の分散媒体
が全て石膏製の板中に吸収された後の成形体上部に、金
属粒子が存在するため、金属粒子を含まない窒化物系セ
ラミックス部を得ることができない。
【0046】また、懸濁液中の分散媒体を吸収する部分
2Aとしては、上記石膏製に限られることなく、セラミ
ックス製、あるいは樹脂製、あるいは紙製でもよい。ま
た、上記石膏製の板2Aから分散媒体を通過させてもよ
い。すなわち、石膏製の板2A内で分散媒体を必ずしも
保持する必要はなく、石膏製の板2Aの下方から分散媒
体を真空ポンプで吸引することも可能である。
2Aとしては、上記石膏製に限られることなく、セラミ
ックス製、あるいは樹脂製、あるいは紙製でもよい。ま
た、上記石膏製の板2Aから分散媒体を通過させてもよ
い。すなわち、石膏製の板2A内で分散媒体を必ずしも
保持する必要はなく、石膏製の板2Aの下方から分散媒
体を真空ポンプで吸引することも可能である。
【0047】このようにして得られた成形体を、非酸化
性雰囲気にて焼成する。このことにより、窒化物系セラ
ミックスおよび金属を酸化することなく、焼結すること
ができる。また、その焼成温度を1400〜1900℃
の範囲にする。このことにより、焼結性が高く、緻密な
組織を有する窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成
体を製造することができる。
性雰囲気にて焼成する。このことにより、窒化物系セラ
ミックスおよび金属を酸化することなく、焼結すること
ができる。また、その焼成温度を1400〜1900℃
の範囲にする。このことにより、焼結性が高く、緻密な
組織を有する窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成
体を製造することができる。
【0048】次に、本実施例の第1具体例を説明する。
この具体例は、まず、表1に示される各種の粉末を用意
する。次に、AlN粉末100重量部に対して、各種粉
末、分散剤および結合剤を表中に表した割合で混合した
ものに、エタノール70重量部添加し、混合攪拌を行
い、スリップ(懸濁液)を調整する。なお、表中の金属
粉末、焼結助剤粉末、分散剤および結合剤の添加量は、
いずれもAlN粉末100重量部に対する割合である。
これらのスリップを、石膏型上に搭載した内径20mm
×高さ50mmのポリ塩化ビニル製の円筒内に流し込
み、1〜8時間静置する。静置後に得られた成形体を、
N2(窒素ガス)雰囲気中、1700℃で4時間焼成
し、焼結体を作製する。
この具体例は、まず、表1に示される各種の粉末を用意
する。次に、AlN粉末100重量部に対して、各種粉
末、分散剤および結合剤を表中に表した割合で混合した
ものに、エタノール70重量部添加し、混合攪拌を行
い、スリップ(懸濁液)を調整する。なお、表中の金属
粉末、焼結助剤粉末、分散剤および結合剤の添加量は、
いずれもAlN粉末100重量部に対する割合である。
これらのスリップを、石膏型上に搭載した内径20mm
×高さ50mmのポリ塩化ビニル製の円筒内に流し込
み、1〜8時間静置する。静置後に得られた成形体を、
N2(窒素ガス)雰囲気中、1700℃で4時間焼成
し、焼結体を作製する。
【0049】また、比較用試料として、AlN粉末10
0重量部に対して、W粉末、Y2O3粉末および結合剤を
表中に表した割合で混合したものに、アゼオトロープ
(有機溶媒)40重量部添加し、混合攪拌を行う。得ら
れたスリップを用いて厚さ3mmのグリーンシートを作
製し、24時間静置する。静置後に得られたグリーンシ
ートを、N2雰囲気中、1700℃で4時間焼成し、焼
結体を作製する。
0重量部に対して、W粉末、Y2O3粉末および結合剤を
表中に表した割合で混合したものに、アゼオトロープ
(有機溶媒)40重量部添加し、混合攪拌を行う。得ら
れたスリップを用いて厚さ3mmのグリーンシートを作
製し、24時間静置する。静置後に得られたグリーンシ
ートを、N2雰囲気中、1700℃で4時間焼成し、焼
結体を作製する。
【0050】
【表1】
【0051】上記方法により調整したスリップについて
は、B型粘度計を用いて粘度を測定した。また、焼成後
に得られた焼結体については、その断面のEPMA(e
lectron probe microanalys
er)分析を行い、AlN−金属傾斜組成層の有無およ
び同層中の金属濃度の測定を行った。
は、B型粘度計を用いて粘度を測定した。また、焼成後
に得られた焼結体については、その断面のEPMA(e
lectron probe microanalys
er)分析を行い、AlN−金属傾斜組成層の有無およ
び同層中の金属濃度の測定を行った。
【0052】その結果、試料2、試料3、試料4、試料
7、試料8、試料10、試料13、試料14、試料1
5、試料18、試料19、試料21では、試料中にAl
N−金属傾斜組成層が存在し、かつ層中での金属の割合
が0〜100%まで次第に変化していることが認められ
た。また、比較試料1については、AlN−W傾斜組成
層が存在するものの、AlNのみの層およびWのみの層
は得られなかった。
7、試料8、試料10、試料13、試料14、試料1
5、試料18、試料19、試料21では、試料中にAl
N−金属傾斜組成層が存在し、かつ層中での金属の割合
が0〜100%まで次第に変化していることが認められ
た。また、比較試料1については、AlN−W傾斜組成
層が存在するものの、AlNのみの層およびWのみの層
は得られなかった。
【0053】次に、本実施例の第2具体例を説明する。
この具体例は、まず、表2および表3に示される各種の
粉末を用意する。次に、Si3N4粉末100重量部に対
して、各種粉末、分散剤および結合剤を表中に表した割
合で混合したものに、蒸留水70重量部添加し、混合攪
拌を行い、スリップを調整する。なお、表中の金属粉
末、焼結助剤粉末、分散剤および結合剤の添加量は、い
ずれもSi3N4粉末100重量部に対する割合である。
これらのスリップを、石膏型上に搭載した内径20mm
×高さ50mmのポリ塩化ビニル製の円筒内に流し込
み、1〜8時間静置する。静置後に得られた成形体を、
N2雰囲気中、1600℃で4時間焼成し、焼結体を作
製する。
この具体例は、まず、表2および表3に示される各種の
粉末を用意する。次に、Si3N4粉末100重量部に対
して、各種粉末、分散剤および結合剤を表中に表した割
合で混合したものに、蒸留水70重量部添加し、混合攪
拌を行い、スリップを調整する。なお、表中の金属粉
末、焼結助剤粉末、分散剤および結合剤の添加量は、い
ずれもSi3N4粉末100重量部に対する割合である。
これらのスリップを、石膏型上に搭載した内径20mm
×高さ50mmのポリ塩化ビニル製の円筒内に流し込
み、1〜8時間静置する。静置後に得られた成形体を、
N2雰囲気中、1600℃で4時間焼成し、焼結体を作
製する。
【0054】また、比較用試料として、Si3N4粉末1
00重量部に対して、Fe粉末、Al2O3粉末、Y2O3
粉末および結合剤を表中に表した割合で混合したもの
に、アゼオトロープ(有機溶媒)40重量部添加し、混
合攪拌を行う。得られたスリップを用いて厚さ3mmの
グリーンシートを作製し、24時間静置する。静置後に
得られたグリーンシートを、N2雰囲気中、1600℃
で4時間焼成し、焼結体を作製する。
00重量部に対して、Fe粉末、Al2O3粉末、Y2O3
粉末および結合剤を表中に表した割合で混合したもの
に、アゼオトロープ(有機溶媒)40重量部添加し、混
合攪拌を行う。得られたスリップを用いて厚さ3mmの
グリーンシートを作製し、24時間静置する。静置後に
得られたグリーンシートを、N2雰囲気中、1600℃
で4時間焼成し、焼結体を作製する。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】上記方法により調整したスリップについて
は、B型粘度計を用いて粘度を測定した。また、焼成後
に得られた焼結体については、その断面のEPMA分析
を行い、Si3N4−金属傾斜組成層の有無および同層中
の金属濃度の測定を行った。
は、B型粘度計を用いて粘度を測定した。また、焼成後
に得られた焼結体については、その断面のEPMA分析
を行い、Si3N4−金属傾斜組成層の有無および同層中
の金属濃度の測定を行った。
【0058】その結果、試料24、試料25、試料2
6、試料29、試料30、試料33、試料34では、試
料中にSi3N4−金属傾斜組成層が存在し、かつ層中で
の金属の割合が0〜100%まで次第に変化しているこ
とが認められた。また、比較試料1については、Si3
N4−Fe傾斜組成層が存在するものの、同層内部での
金属の割合が50〜70%の範囲でのみ変化しており、
Si3N4のみの層およびFeのみの層は得られなかっ
た。
6、試料29、試料30、試料33、試料34では、試
料中にSi3N4−金属傾斜組成層が存在し、かつ層中で
の金属の割合が0〜100%まで次第に変化しているこ
とが認められた。また、比較試料1については、Si3
N4−Fe傾斜組成層が存在するものの、同層内部での
金属の割合が50〜70%の範囲でのみ変化しており、
Si3N4のみの層およびFeのみの層は得られなかっ
た。
【0059】次に、本実施例の第3具体例を説明する。
この具体例は、まず、表4に示される各種の粉末を用意
する。次に、サイアロン粉末100重量部に対して、各
種粉末、分散剤および結合剤を表中に表した割合で混合
したものに、蒸留水70重量部添加し、混合攪拌を行
い、スリップを調整する。なお、表中の金属粉末、焼結
助剤粉末、分散剤および結合剤の添加量は、いずれもサ
イアロン粉末100重量部に対する割合である。これら
のスリップを、石膏型上に搭載した内径20mm×高さ
50mmのポリ塩化ビニル製の円筒内に流し込み、1〜
8時間静置する。静置後に得られた成形体を、N2雰囲
気中、1700℃で4時間焼成し、焼結体を作製する。
この具体例は、まず、表4に示される各種の粉末を用意
する。次に、サイアロン粉末100重量部に対して、各
種粉末、分散剤および結合剤を表中に表した割合で混合
したものに、蒸留水70重量部添加し、混合攪拌を行
い、スリップを調整する。なお、表中の金属粉末、焼結
助剤粉末、分散剤および結合剤の添加量は、いずれもサ
イアロン粉末100重量部に対する割合である。これら
のスリップを、石膏型上に搭載した内径20mm×高さ
50mmのポリ塩化ビニル製の円筒内に流し込み、1〜
8時間静置する。静置後に得られた成形体を、N2雰囲
気中、1700℃で4時間焼成し、焼結体を作製する。
【0060】また、比較用試料として、サイアロン粉末
100重量部に対して、W粉末、Y2O3粉末および結合
剤を表中に表した割合で混合したものに、アゼオトロー
プ(有機溶媒)40重量部添加し、混合攪拌を行う。得
られたスリップを用いて厚さ3mmのグリーンシートを
作製し、24時間静置する。静置後に得られたグリーン
シートを、N2雰囲気中、1700℃で4時間焼成し、
焼結体を作製する。
100重量部に対して、W粉末、Y2O3粉末および結合
剤を表中に表した割合で混合したものに、アゼオトロー
プ(有機溶媒)40重量部添加し、混合攪拌を行う。得
られたスリップを用いて厚さ3mmのグリーンシートを
作製し、24時間静置する。静置後に得られたグリーン
シートを、N2雰囲気中、1700℃で4時間焼成し、
焼結体を作製する。
【0061】
【表4】
【0062】上記方法により調整したスリップについて
は、B型粘度計を用いて粘度を測定した。また、焼成後
に得られた焼結体については、その断面のEPMA分析
を行い、サイアロン−金属傾斜組成層の有無および同層
中の金属濃度の測定を行った。
は、B型粘度計を用いて粘度を測定した。また、焼成後
に得られた焼結体については、その断面のEPMA分析
を行い、サイアロン−金属傾斜組成層の有無および同層
中の金属濃度の測定を行った。
【0063】その結果、試料48、試料49、試料5
0、試料53、試料54、試料57、試料59、試料6
0、試料61、試料64、試料65、試料68では、試
料中にサイアロン−金属傾斜組成層が存在し、かつ層中
での金属の割合が0〜100%まで次第に変化している
ことが認められた。また、比較試料1については、サイ
アロン−W傾斜組成層が存在するものの、同層内部での
金属の割合が50〜70%の範囲でのみ変化しており、
サイアロンのみの層およびWのみの層は得られなかっ
た。
0、試料53、試料54、試料57、試料59、試料6
0、試料61、試料64、試料65、試料68では、試
料中にサイアロン−金属傾斜組成層が存在し、かつ層中
での金属の割合が0〜100%まで次第に変化している
ことが認められた。また、比較試料1については、サイ
アロン−W傾斜組成層が存在するものの、同層内部での
金属の割合が50〜70%の範囲でのみ変化しており、
サイアロンのみの層およびWのみの層は得られなかっ
た。
【0064】以上の結果より、本発明の一実施例に係る
窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法
によれば、窒化物系セラミックスおよび金属の組成を0
〜100%に変化させた傾斜組成体を作製することがで
き、かつ短時間で製造することができるため、その生産
性も向上するものである。
窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法
によれば、窒化物系セラミックスおよび金属の組成を0
〜100%に変化させた傾斜組成体を作製することがで
き、かつ短時間で製造することができるため、その生産
性も向上するものである。
【0065】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、窒化物系
セラミックスの焼成温度より融点の高い金属の粉末を用
いているので、焼成時に金属が溶融することなく、窒化
物系セラミックスと金属とを同時に焼成することができ
る。また、窒化物系セラミックス、その焼結助剤および
金属が不溶の分散媒体を用いているので、窒化物系セラ
ミックス粉末、窒化物系セラミックスの焼結助剤の粉末
および金属粉末を分散媒体に混合すると、窒化物系セラ
ミックス粉末および金属粉末が分散媒体中に溶解するこ
となく、均一に分散した懸濁液を作製することができ
る。この懸濁液を型に鋳込成形すると、分散媒体が型中
に吸収され、あるいは、型を通過するとともに、窒化物
系セラミックス粉末よりも密度の大きな金属粉末が先に
沈降する。この結果、型において、窒化物系セラミック
スの組成と金属の組成とが連続的に変化した成形体を得
ることができる。この成形体を焼成することにより、そ
の一方の側が金属を含まない窒化物系セラミックスであ
り、他方の側が窒化物系セラミックスを含まない金属で
ある窒化物系セラミックス−金属傾斜組成体を製造する
ことができる。したがって、この窒化物系セラミックス
と金属との傾斜組成体の製造方法においては、その製造
工程が単純であり、その製造時間も短縮することができ
る。よって、生産性を向上させることができる。
セラミックスの焼成温度より融点の高い金属の粉末を用
いているので、焼成時に金属が溶融することなく、窒化
物系セラミックスと金属とを同時に焼成することができ
る。また、窒化物系セラミックス、その焼結助剤および
金属が不溶の分散媒体を用いているので、窒化物系セラ
ミックス粉末、窒化物系セラミックスの焼結助剤の粉末
および金属粉末を分散媒体に混合すると、窒化物系セラ
ミックス粉末および金属粉末が分散媒体中に溶解するこ
となく、均一に分散した懸濁液を作製することができ
る。この懸濁液を型に鋳込成形すると、分散媒体が型中
に吸収され、あるいは、型を通過するとともに、窒化物
系セラミックス粉末よりも密度の大きな金属粉末が先に
沈降する。この結果、型において、窒化物系セラミック
スの組成と金属の組成とが連続的に変化した成形体を得
ることができる。この成形体を焼成することにより、そ
の一方の側が金属を含まない窒化物系セラミックスであ
り、他方の側が窒化物系セラミックスを含まない金属で
ある窒化物系セラミックス−金属傾斜組成体を製造する
ことができる。したがって、この窒化物系セラミックス
と金属との傾斜組成体の製造方法においては、その製造
工程が単純であり、その製造時間も短縮することができ
る。よって、生産性を向上させることができる。
【0066】また、請求項2に係る発明によれば、窒化
物系セラミックス粉末、窒化物系セラミックスの焼結助
剤粉末および金属粉末が分散媒体中に均一に混合した懸
濁液を作製することができる。したがって、窒化物系セ
ラミックスと金属との傾斜組成体を製造する際に、好適
な懸濁液を供給することができる。よって、その生産性
を向上させることができる。
物系セラミックス粉末、窒化物系セラミックスの焼結助
剤粉末および金属粉末が分散媒体中に均一に混合した懸
濁液を作製することができる。したがって、窒化物系セ
ラミックスと金属との傾斜組成体を製造する際に、好適
な懸濁液を供給することができる。よって、その生産性
を向上させることができる。
【0067】また、請求項3に係る発明によれば、窒化
物系セラミックス粉末と窒化物系セラミックスの焼結助
剤粉末と金属粉末とを分散媒体に混合した懸濁液におい
て、その粘度が500mPa・s以下の懸濁液を用いて
いるので、その懸濁液を型中に鋳込んだ後でも、懸濁液
中で金属粒子の沈降が容易に起こる。そのため、分散媒
体が型中に吸収されあるいは型を透過する過程におい
て、型の底面側に金属層が形成され、成形体の厚さ方向
に沿って窒化物系セラミックスの組成を連続的に変化さ
せることができる。したがって、窒化物系セラミックス
と金属の組成が厚さ方向に連続的に変化した成形体を作
製することができる。よって、その生産性を向上させる
ことができる。
物系セラミックス粉末と窒化物系セラミックスの焼結助
剤粉末と金属粉末とを分散媒体に混合した懸濁液におい
て、その粘度が500mPa・s以下の懸濁液を用いて
いるので、その懸濁液を型中に鋳込んだ後でも、懸濁液
中で金属粒子の沈降が容易に起こる。そのため、分散媒
体が型中に吸収されあるいは型を透過する過程におい
て、型の底面側に金属層が形成され、成形体の厚さ方向
に沿って窒化物系セラミックスの組成を連続的に変化さ
せることができる。したがって、窒化物系セラミックス
と金属の組成が厚さ方向に連続的に変化した成形体を作
製することができる。よって、その生産性を向上させる
ことができる。
【0068】請求項4に記載の発明では、上記効果に加
えて、電子部品搭載用基板に使用して好適な傾斜組成体
を得ることができる。すなわち、この傾斜組成体を用い
ることにより、放熱性に優れ、かつ、接合強度が高い基
板を得ることができる。
えて、電子部品搭載用基板に使用して好適な傾斜組成体
を得ることができる。すなわち、この傾斜組成体を用い
ることにより、放熱性に優れ、かつ、接合強度が高い基
板を得ることができる。
【0069】請求項5,6に記載の基板用傾斜組成体
は、セラミックス基板と放熱用金属とを強固に接合する
ことができ、熱応力の緩和等の作用を有する。したがっ
て、電子部品搭載用として好適な基板を形成することも
できる。
は、セラミックス基板と放熱用金属とを強固に接合する
ことができ、熱応力の緩和等の作用を有する。したがっ
て、電子部品搭載用として好適な基板を形成することも
できる。
【0070】請求項7,8に記載の構造材用傾斜組成体
は、セラミックスと金属とを強固に接合することがで
き、熱応力の緩和等の作用を有する。したがって、高耐
熱性、高強度の構造材を構成することもできる。
は、セラミックスと金属とを強固に接合することがで
き、熱応力の緩和等の作用を有する。したがって、高耐
熱性、高強度の構造材を構成することもできる。
【図1】本発明に係る窒化物系セラミックスと金属との
傾斜組成体の製造方法を説明するためのフローチャート
である。
傾斜組成体の製造方法を説明するためのフローチャート
である。
【図2】本発明に係る窒化物系セラミックスと金属との
傾斜組成体を示す断面図である。
傾斜組成体を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る窒化物系セラミックス
と金属との傾斜組成体の製造方法の懸濁液の型への注入
工程を示す断面図である。
と金属との傾斜組成体の製造方法の懸濁液の型への注入
工程を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例に係る窒化物系セラミックス
と金属との傾斜組成体の製造方法の沈降工程の初期状態
を示す断面図である。
と金属との傾斜組成体の製造方法の沈降工程の初期状態
を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係る窒化物系セラミックス
と金属との傾斜組成体の製造方法の沈降工程の中期状態
を示す断面図である。
と金属との傾斜組成体の製造方法の沈降工程の中期状態
を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例に係る窒化物系セラミックス
と金属との傾斜組成体の製造方法の沈降工程の終期状態
を示す断面図である。
と金属との傾斜組成体の製造方法の沈降工程の終期状態
を示す断面図である。
1 懸濁液 2 型 3 金属部 4 混合部 5 窒化物系セラミックス部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 15/04 B C04B 35/622 35/00 35/58 101 Z 35/584 35/581 35/599 C04B 35/00 H 35/58 102 A 104 A 302 Z (72)発明者 森永 健次 福岡県筑紫郡那珂川町大字片縄1232−35
Claims (8)
- 【請求項1】 窒化物系セラミックスの粉末と、窒化物
系セラミックスの焼結助剤の粉末と、上記窒化物系セラ
ミックスおよび上記窒化物系セラミックスの焼結助剤の
各焼成温度より融点の高い金属の粉末と、上記窒化物系
セラミックス、上記窒化物系セラミックスの焼結助剤お
よび上記金属が不溶の分散媒体とを準備し、 上記窒化物系セラミックスの粉末と、上記窒化物系セラ
ミックスの焼結助剤の粉末と、上記金属の粉末とを上記
分散媒体中に混合した懸濁液を作製し、 この懸濁液を、分散媒体を吸収または透過する材質で形
成された型中に鋳込むことにより成形を行い、 この成形したものを焼成することを特徴とする窒化物系
セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法。 - 【請求項2】 上記窒化物系セラミックスの粉末および
上記窒化物系セラミックスの焼結助剤の粉末の各平均粒
径が0.2〜4μmであり、上記金属の粉末の平均粒径
が1〜10μmである請求項1に記載の窒化物系セラミ
ックスと金属との傾斜組成体の製造方法。 - 【請求項3】 窒化物系セラミックスの粉末と、窒化物
系セラミックスの焼結助剤の粉末と、金属の粉末と、分
散媒体とを混合した上記懸濁液の粘度が500mPa・
s以下である請求項1または請求項2に記載の窒化物系
セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法。 - 【請求項4】 上記窒化物系セラミックスの粉末として
は、AlN、Si3N4、SiAlONのいずれかの粉末
を用いるとともに、上記金属の粉末としてはW、Mo、
Ni、Fe、Ni基合金、Co基合金のいずれかの粉末
を用いた請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の窒
化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法。 - 【請求項5】 一方側表面は窒化物系セラミックス10
0重量%(以下、%)、他方側表面は金属100%であ
って、その中間部はこの窒化物系セラミックスと金属と
の組成比が連続的に変化する窒化物系セラミックス−金
属の傾斜組成である基板用傾斜組成体。 - 【請求項6】 上記窒化物系セラミックスとしてAlN
を用いた請求項5に記載の基板用傾斜組成体。 - 【請求項7】 一方側表面は窒化物系セラミックス10
0重量%(以下、%)、他方側表面は金属100%であ
って、その中間部はこの窒化物系セラミックスと金属と
の組成比が連続的に変化する窒化物系セラミックス−金
属の傾斜組成である構造材用傾斜組成体。 - 【請求項8】 上記窒化物系セラミックスとしてSi3
N4またはSiAlONを用いた請求項7に記載の構造
材用傾斜組成体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6065685A JPH07252509A (ja) | 1994-03-09 | 1994-03-09 | 窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法および基板用傾斜組成体ならびに構造材用傾斜組成体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6065685A JPH07252509A (ja) | 1994-03-09 | 1994-03-09 | 窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法および基板用傾斜組成体ならびに構造材用傾斜組成体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07252509A true JPH07252509A (ja) | 1995-10-03 |
Family
ID=13294117
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6065685A Pending JPH07252509A (ja) | 1994-03-09 | 1994-03-09 | 窒化物系セラミックスと金属との傾斜組成体の製造方法および基板用傾斜組成体ならびに構造材用傾斜組成体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07252509A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09125186A (ja) * | 1995-10-30 | 1997-05-13 | Toto Ltd | 傾斜機能材料、傾斜機能材料を用いた放電灯の封止部材及び傾斜機能材料の製造方法 |
JP2011009405A (ja) * | 2009-06-25 | 2011-01-13 | Kyocera Corp | 熱電変換モジュール |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0663185A (ja) * | 1992-08-12 | 1994-03-08 | Janome Sewing Mach Co Ltd | ゴルフクラブヘツド及びその製造方法 |
WO1994006947A1 (fr) * | 1992-09-24 | 1994-03-31 | Toto Ltd. | Materiau a gradient fonctionnel et procede de production |
-
1994
- 1994-03-09 JP JP6065685A patent/JPH07252509A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0663185A (ja) * | 1992-08-12 | 1994-03-08 | Janome Sewing Mach Co Ltd | ゴルフクラブヘツド及びその製造方法 |
WO1994006947A1 (fr) * | 1992-09-24 | 1994-03-31 | Toto Ltd. | Materiau a gradient fonctionnel et procede de production |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09125186A (ja) * | 1995-10-30 | 1997-05-13 | Toto Ltd | 傾斜機能材料、傾斜機能材料を用いた放電灯の封止部材及び傾斜機能材料の製造方法 |
JP2011009405A (ja) * | 2009-06-25 | 2011-01-13 | Kyocera Corp | 熱電変換モジュール |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020702 |