JPH0725245U - 過給機付エンジン - Google Patents

過給機付エンジン

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JPH0725245U
JPH0725245U JP5430093U JP5430093U JPH0725245U JP H0725245 U JPH0725245 U JP H0725245U JP 5430093 U JP5430093 U JP 5430093U JP 5430093 U JP5430093 U JP 5430093U JP H0725245 U JPH0725245 U JP H0725245U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 差圧センサを吸気制御弁の上,下流の間に連
設する過給機付エンジンにおいて、差圧センサのブロー
バイガスによる不具合を防止する。 【構成】 エンジン本体1の吸,排気系にプライマリタ
ーボ過給機40とセカンダリターボ過給機50を並列的
に配置し、プライマリターボ過給機40によりブローバ
イガスを還流するブローバイガス還流装置をエンジンの
吸気系に備える。そして差圧センサ80のシリコンダイ
ヤフラム123に回路素子124が付設されボンディン
グ線126を有する側の圧力導入ポート132を吸気制
御弁55の上流に連通し、他方側の圧力導入ポート13
1を吸気制御弁55の下流に連通接続する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、エンジンの吸,排気系にプライマリターボ過給機とセカンダリター ボ過給機とを並列に配置し、セカンダリターボ過給機側の吸,排気系に配設され た吸気制御弁,排気制御弁を開閉することによりセカンダリターボ過給機の過給 作動を制御する過給機付エンジンに関し、詳しくは、吸気制御弁の上流の吸気系 と下流の吸気系との間に連設される差圧センサの接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】 エンジンの吸,排気系にプライマリターボ過給機とセカン ダリターボ過給機とを並列に配置し、セカンダリターボ過給機に接続される吸, 排気系に吸気制御弁と排気制御弁をそれぞれ配設し、エンジン運転領域が低速域 のときには両制御弁を共に閉弁してセンカンダリターボ過給作動を停止させてプ ライマリターホ過給機のみを過給作動させるシングルターボ状態とし、高速域の ときには両制御弁を共に開弁して両ターボ過給機を過給作動さぜることで、低速 域から高速域に亘り出力性能の向上を可能とする過給機付エンジンが知られてい る(例えば、特開平3−260328号公報)。
【0003】 ここで、シングルターボ状態からツインターボ状態への切換時に、過給圧の一 時的な低下によるトルクショックの発生を防止するため、吸気制御弁の上流の吸 気系と下流の吸気系との間に差圧センサを連設し、排気制御弁の全開後、差圧セ ンサにより検出される吸気制御弁の上流圧と下流圧との差圧が設定値に達したと きに吸気制御弁を開弁することが本出願人により提案されている。
【0004】 上記差圧センサは、シリコンダイヤフラム上に回路素子を付設し、シリコンダ イヤフラムの一方側と他方側とをそれぞれ吸気制御弁の上,下流の吸気系に連通 させ、シリコンダイヤフラムの撓みによる回路素子の抵抗変化(歪みゲージと同 じ原理)により差圧を検出するようにしている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、エンジンの吸気系には、ブローバイガス還元装置が接続されており 、動弁室やクランクケース内に発生したブローバイガスが還流されるため、この ブローバイガスも差圧センサ内に流入する。このため、ブローバイガス中に含ま れるオイルや金属粉等の異物が差圧センサ内部の、回路素子と出力端子とを接続 するボンディング線に付着したり、ブローバイガス中の有害成分により回路素子 等の腐食を生じ、差圧センサの出力特性を狂わせる虞れがある。
【0006】 本考案は上記事情に鑑み、ブローバイガスによる差圧センサの不具合を防止し て信頼性を向上することが可能な過給機付エンジンを提供することを目的とする 。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本考案は、エンシンの吸,排気系にブライマリター ボ過給機とセカンダリターボ過給機とを並列に配置し、低速域ては共に閉弁して セカンダリターボ過給機の過給作動を停止させるシングルターホ状態とし、高速 域ては共に開弁して両ターボ過給機を共に過給動作させるツインターボ状態とす る吸気制御弁,排気制御弁を、セカンダリターボ過給機に接続される吸,排気系 にそれぞれ配設し、上記吸気制御弁の上流の吸気系と下流の吸気系との間に差圧 センサを連設し、プライマリターボ過給機によりブローバイガスを還流するブロ ーバイガス還元装置をエンジンの吸気系に備え、シングルターボ状態からツイン 夕−ボ状態への切換時に、排気制御弁を全開後、差圧センサにより検出される吸 気制御弁の上流圧と下流圧との差圧が設定値に達したときに吸気制御弁を開弁さ せる過給機付エンジンにおいて、差圧センサのシリコンダイヤフラムの回路素子 が付設されボンディング線を有する側の圧力導入ポートを吸気制御弁の上流に連 通し、他方側の圧力導入ポートを吸気制御弁の下流に連通接続することを特徴と する。
【0008】
【作用】 上記構成により、吸気制御弁及び吸気制御弁が共に閉弁し、プライマリターボ 過給機のみが過給作動するときには、吸気制御弁の下流圧として、ブローバイガ スを含んだプライマリターボ過給機によるブロワ圧が差圧センサに導入する。ま た、シングルターボ状態から両ターボ過給機の過給作動によるツインターボ状態 への切換時に、排気制御弁が開弁されると、セカンダリターボ過給機が回転し、 吸気制御弁の上流圧としてセカンダリターボ過給機の上流圧も差圧センサに導入 する。
【0009】 このとき、吸気制御弁下流のプライマリターボ過給機によるブローバイガスを 含んだ圧力は、他方側の圧力導入ポートを介して差圧センサにおけるシリコンダ イヤフラムの回路素子が無い側に導入する。また、吸気制御弁の上流側のブロー バイガスをほとんど含まない圧力は、一方側の圧力導入ポートを介してシリコン ダイヤフラムの回路素子の付設されボンディング線を有する側に導入し、これに より差圧センサはブローバイガスの影響を受けることなく常に差圧が検出される 。そして差圧に基づいて吸気制御弁が適正に開弁して両ターボ過給機の過給作動 によるツインターホ状態に切換わる。
【0010】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図2において、本考案が 適用される過給機付エンジンの全体構成について説明する。符号1は水平対向式 エンジン(本実施例においては4気筒エンジン)のエンジン本体であり、クラン クケース2の左右のバンク3,4に、燃焼室5、吸気ポート6、排気ポート7、 点火プラグ8、動弁機構9等が設けられている。そして左バンク3側に#2,# 4気筒を、右バンク4側に#1,#3気筒を備える。またこのエンジン短縮形状 により左右バンク3,4の直後に、プライマリターボ過給機40とセカンダリタ ーボ過給機50がそれぞれ配設されている。排気系として、左右バンク3,4か らの共通の排気管10が両ターボ過給機40,50のタービン40a,50aに 連通され、タービン40a,50aからの排気管11が1つの排気管12に合流 して触媒コンバータ13、マフラ14に連通される。
【0011】 プライマリターボ過給機40は、低中速域で過給能力の大きい小容量の低速型 であり、これに対してセカンダリターボ過給機50は、中高速域で過給能力の大 きい大容量の高速型である。このためプライマリターボ過給機40の方が容量が 小さいことで、排気抵抗が大きくなる。
【0012】 吸気系として、エアクリーナ15に接続する吸気管16から2つに分岐した吸 気管17a,17bがそれぞれ両ターボ過給機40,50のブロワ40b,50 bに連通され、このブロワ40b,50bからの吸気管18,19がインターク ーラ20に連通される。そしてインタークーラ20からスロットル弁21を有す るスロットルボデー27を介してチャンバ22に連通され、チャンバ22から吸 気マニホールド23を介して左右バンク3,4の各気筒に連通されている。また アイドル制御系として、エアクリーナ15の直下流の吸気管16と吸気マニホー ルド23の間のバイパス通路24に、アイドル制御弁(ISCV)25と負圧で 開く逆止弁26が、アイドル時や減速時に吸入空気量を制御するように設けられ る。
【0013】 燃料系として、吸気マニホールド23のポート近傍にインジェクタ30が配設 され、燃料ポンプ31を有する燃料タンク32からの燃料通路33が、フィルタ 34、燃料圧レギュレータ35を備えてインジェクタ30に連通される。燃料圧 レギュレータ35は、吸気圧力に応じて調整作用するものであり、これによりイ ンジェクタ30に供給する燃料圧力を吸気圧力に対して常に一定の高さに保ち、 噴射信号のパルス幅により燃料噴射制御することが可能になっている。点火系と して、各気筒の点火プラグ8毎に連設する点火コイル8aにイグナイタ36から の点火信号が入力するように接続されている。
【0014】 プライマリターボ過給機40の作動系について説明する。プライマリターボ過 給機40は、タービン40aに導入する排気エネルギによりブロワ40bを回転 駆動し、空気を吸入,加圧して常に過給するように作動する。タービン側にはダ イアフラム式アクチュエータ42を備えたプライマリウエストゲート弁41が設 けられる。アクチュエータ42の圧力室にはブロワ40bの直下流からの制御圧 通路44がオリフィス48を有して連通し、過給圧が設定値以上に上昇すると応 答良くウエストゲート弁41を開くように連通される。またこの制御圧通路44 は更に過給圧をブロワ40bの上流側にリークするデューティソレノイド弁43 に連通し、このデューティソレノイド弁43により所定の制御圧を生じてアクチ ュエータ42に作用し、ウエストゲート弁41の開度を変化して過給圧制御する 。ここでデューティソレノイド弁43は、後述する電子制御装置100からのデ ューティ信号により作動し、デューティ信号のデューティ比が小さい場合は高い 制御圧でウエストゲート弁41の開度を増して過給圧を低下し、デューティ比が 大きくなるほどリーク量の増大により制御圧を低下し、ウエストゲート弁41の 開度を減じて過給圧を上昇する。
【0015】 一方、スロットル弁急閉時のブロワ回転の低下や吸気騒音の発生を防止するた め、ブロワ40bの下流としてスロットル弁21の近くのインタークーラ20の 出口側と、ブロワ40bの上流との間にバイパス通路46が連通される。そして このバイパス通路46にエアバイパス弁45が、スロットル弁急閉時に通路47 によりマニホールド負圧を導入して開き、ブロワ下流に封じ込められる加圧空気 を迅速にリークするように設けられる。
【0016】 セカンダリターボ過給機50の作動系について説明する。セカンダリターボ過 給機50は同様に排気によりタービン50aとブロワ50bが回転駆動して過給 するものであり、タービン側にアクチュエータ52を備えたセカンダリウエスト ゲート弁51が設けられている。またタービン50aの上流の排気管10には、 ダイアフラム式アクチュエータ54を備えた下流開き式の排気制御弁53が設け られ、ブロワ50bの下流には同様のアクチュエータ56を備えたバタフライ式 の吸気制御弁55が設けられ、ブロワ50bの上、下流の間のリリーフ通路58 に過給圧リリーフ弁57が設けられる。
【0017】 これら各弁の圧力動作系について説明する。先ず、負圧源のサージタンク60 がチェック弁62を有する通路61により吸気マニホールド23に連通して、ス ロットル弁全閉時に負圧を貯え且つ脈動圧を緩衝する。また過給圧リリーフ弁5 7を開閉する過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1、吸気制御弁55 を開閉する吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2、排気制御弁53を開閉す る第1と第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3,SOL.4、排気制 御弁53を小開制御するデューティソレノイド弁75、及びセカンダリウエスト ゲート弁51を開閉するセカンダリウエストゲート切換ソレノイド弁70を有す る。各切換ソレノイド弁70,SOL.1〜4は、電子制御装置100からのO N・OFF信号によりサージタンク60からの負圧通路63の負圧、吸気制御弁 下流に連通する正圧通路64a,64bからの正圧、大気圧等を選択し、各制御 圧通路70a〜74aによりアクチュエータ側に導いてセカンダリウエストゲー ト弁51、過給圧リリーフ弁57、及び両制御弁55,53を作動する。またデ ューティソレノイド弁75は、電子制御装置100からのデューティ信号により アクチュエータ54の正圧室54aに作用する正圧を可変制御し、排気制御弁5 3を小開制御する。
【0018】 上記過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1は、通電がOFFされる と、正圧通路64a側を閉じて負圧通路63側を開き、制御圧通路71aを介し て過給圧リリーフ弁57のスプリングが内装された圧力室に負圧を導くことでス プリングの付勢力に抗して過給圧リリーフ弁57を開く。また、ONされると、 逆に負圧通路63側を閉じて正圧通路64a側を開き、過給圧リリーフ弁57の 圧力室に正圧を導くことで過給圧リリーフ弁57を閉じる。
【0019】 吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2は、OFFされると、大気ポートを 閉じて負圧通路63側を開き、制御圧通路72aを介してアクチュエータ56の スプリングが内装された圧力室に負圧を導くことでスプリングの付勢力に抗して 吸気制御弁55を閉じ、ONされると、負圧通路63側を閉じて大気ポートを開 き、アクチュエータ56の圧力室に大気圧を導くことで圧力室内のスプリングの 付勢力により吸気制御弁55を開く。
【0020】 セカンダリウエストゲート切換ソレノイド弁70は、電子制御装置100によ り点火進角量等に基づきハイオクガソリン使用と判断されたときのみOFFされ 、レギュラーガソリン使用と判断されたときにはONされる。そしてセカンダリ ウエストゲート切換ソレノイド弁70は、OFFされると、吸気制御弁55の上 流に連通する通路65を閉じて大気ポートを開き、大気圧を制御圧通路70aを 介してアクチュエータ52に導入することで、アクチュエータ52内に配設され たスプリングの付勢力によりセカンダリウエストゲート弁51を閉じる。また、 ONで大気ポートを閉じて通路65側を開き、両ターボ過給機40,50作動時 のセカンダリターボ過給機50下流の過給圧がアクチュエータ52に導かれ、こ の過給圧に応じてセカンダリウエストゲート弁51を開き、レギュラーガソリン 使用時にはハイオクガソリン使用時に比べて相対的に過給圧が低下される。
【0021】 また、第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3からの制御圧通路73 aが排気制御弁53を作動するアクチュエータ54の正圧室54aに、第2の排 気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4からの制御圧通路74aがアクチュエー タ54のスプリングを内装した負圧室54bにそれぞれ連通されている。そして 両切換ソレノイド弁SOL.3,4が共にOFFのとき、第1の排気制御弁用切 換ソレノイド弁SOL.3は正圧通路64b側を閉じて大気ポートを開き、第2 の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4は負圧通路63側を閉じて大気ポー トを開くことで、アクチュエータ54の両室54a,54bが大気開放され、負 圧室54bに内装されたスプリングの付勢力により排気制御弁53が全閉する。 また、両切換ソレノイド弁SOL.3,4が共にONのとき、それぞれ大気ポー トを閉じ、第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3は正圧通路64b側 を開き、第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4は負圧通路63側を開 くことで、アクチュエータ54の正圧室54aに正圧を、負圧室54bに負圧を 導き、スプリングの付勢力に抗して排気制御弁53を全開する。
【0022】 第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3からの制御圧通路73aには オリフィス67が設けられ、このオリフィス67の下流側と吸気管17aにリー ク通路66が連通され、このリーク通路66に電子制御装置100からのデュー ティ信号により作動する排気制御弁小開制御用のデューティソレノイド弁75が 配設されている。そして第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3のみが ONで正圧をアクチュエータ54の正圧室54aに供給し負圧室54bを大気開 放する状態で、デューティソレノイド弁75によりその正圧をリークして排気制 御弁53を小開する。ここでデューティソレノイド弁75は、デューティ信号に おけるデューティ比が大きいと、リーク量の増大により正圧室54aに作用する 正圧を低下して排気制御弁53の開度を減じ、デューティ比が小さくなるほど正 圧を高くして排気制御弁53の開度を増すように動作する。そしてプライマリタ ーボ過給機40のみを過給作動するシングルターボ状態下でエンジン運転状態が 所定の排気制御弁小開制御領域内にあるとき、デューティソレノイド弁75によ る排気制御弁53の開度で過給圧をフィードバック制御し、この過給圧制御に伴 い排気制御弁53を小開するように構成される。
【0023】 各種のセンサについて説明する。差圧センサ80は、吸気制御弁55の上,下 流の差圧を検出するように設けられ、絶対圧センサ81が切換ソレノイド弁76 により吸気管圧力と大気圧を選択して検出するように設けられている。またエン ジン本体1にノックセンサ82が取付られると共に、左右両バンク3,4を連通 する冷却水通路に水温センサ83が臨まされ、排気管10にO2 センサ84が臨 まされている。さらに、スロットル弁21にスロットル開度センサとスロットル 全閉を検出するアイドルスイッチとを内蔵したスロットルセンサ85が連設され 、エアクリーナ15の直下流に吸入空気量センサ86が配設されている。
【0024】 また、エンジン本体1に支承されたクランクシャフト1aにクランクロータ9 0が軸着され、このクランクロータ90の外周に、電磁ピックアップ等からなる クランク角センサ87が対設されている。さらに、動弁機構9におけるカムシャ フトに連設するカムロータ91に、電磁ピックアップ等からなる気筒判別用のカ ム角センサ88が対設されている。
【0025】 上記クランク角センサ87,カム角センサ88では、それぞれ上記クランクロ ータ90,カムロータ91に所定間隔毎に形成された突起(或いはスリット)を エンジン運転に伴い検出し、クランクパルス,カムパルスを電子制御装置100 に出力する。そして電子制御装置100において、クランクパルス(検出した突 起)の間隔時間からエンジン回転数を算出すると共に、点火時期及び燃料噴射開 始時期等を演算し、さらに、クランクパルス及びカムパルスの入力パターンから 気筒判別を行う。
【0026】 次に、図3に基づき電子制御系の構成について説明する。電子制御装置(EC U)100は、CPU101,ROM102,RAM103,バックアップRA M104,及びI/Oインターフェイス105をバスラインを介して接続したマ イクロコンピュータを中心として構成され、各部に所定の安定化電源を供給する 定電圧回路106や駆動回路107が組込まれている。
【0027】 上記定電圧回路106は、ECUリレー95のリレー接点を介してバッテリ9 6に接続され、このバッテリ96に、上記ECUリレー95のリレーコイルがイ グニッションスイッチ97を介して接続されている。また、上記バッテリ96に は、上記定電圧回路106が直接接続され、更に燃料ポンプリレー98のリレー 接点を介して燃料ポンプ31が接続されている。即ち、上記定電圧回路106は 、上記イグニッションスイッチ97がONされ、上記ECUリレー95のリレー 接点が閉となったとき、制御用電源を各部に供給し、また、イグニッションスイ ッチ97がOFFされたとき、バックアップ用の電源をバックアップRAM10 4に供給する。
【0028】 また、上記I/Oインターフェイス105の入力ポートに、各種センサ80〜 88,車速センサ89,及びバッテリ96が接続されている。また、I/Oイン ターフェイス105の出力ポートには、イグナイタ36が接続され、さらに、駆 動回路107を介してISCV25、インジェクタ30、各切換ソレノイド弁7 0,76,SOL.1〜4、デューティソレノイド弁43,75、及び燃料ポン プリレー98のリレーコイルが接続されている。
【0029】 そして、イグニッションスイッチ97がONされると、ECUリレー95がO Nし、定電圧回路106を介して各部に定電圧が供給され、ECU100は各種 制御を実行する。すなわち、ECU100においてCPU101が、ROM10 2にメモリされているプログラムに基づき、I/Oインターフェイス105を介 して各種センサ80〜89からの検出信号、及びバッテリ電圧等を入力処理し、 RAM103及びバックアップRAM104に格納された各種データ,ROM1 02にメモリされている固定データに基づき、各種制御量を演算する。そして駆 動回路107により、燃料ポンプリレー98をONし燃料ポンプ31を通電して 駆動させると共に、駆動回路107を介して各切換ソレノイド弁70,76,S OL.1〜4にON・OFF信号を、デューティソレノイド弁43,75にデュ ーティ信号を出力してターボ過給機作動個数切換制御及び過給圧制御を行い、演 算した燃料噴射パルス幅に相応する駆動パルス幅信号を所定のタイミングで該当 気筒のインジェクタ30に出力して燃料噴射制御を行い、また、演算した点火時 期に対応するタイミングでイグナイタ36に点火信号を出力して点火時期制御を 実行し、ISCV25に制御信号を出力してアイドル回転数制御等を実行する。
【0030】 次に図1において、差圧センサ、ブローバイガス還元装置、差圧センサ接続構 造について説明する。ブローバイガス還元装置110は、吸気管16からエンジ ン本体1の左右バンク3,4に新気通路111が、新気により動弁室及びクラン クケース2内を換気するように連通する。またクランクケース2がガス通路11 2、PCV弁113によりチャンバ22に、クランクケース2内に発生したブロ ーバイガスを還流するように連通する。ここで過給圧が高い場合はPCV弁11 3が閉じることから、ガス通路112は更にプライマリ側の吸気管17aに連通 し、主として常に作動するプライマリターボ過給機40の空気吸入に伴いブロー バイガスを還流するように構成される。
【0031】 差圧センサ80は、シリコンダイヤフラム123上に回路素子124を付設し た圧力センサであり、センサ本体120の内部に孔の明いた板状の基板121を 有し、基板121の片側に筒状の台座122が取付けられ、台座122にシリコ ンダイヤフラム123が実装される。シリコンダイヤフラム123の一方側には 基板121と一体的な圧力導入ポート131が設けられ、シリコンダイヤフラム 123の他方側には基板121にキャップ130を被せてこのキャップ130に 圧力導入ポート132が設けられ、2つの圧力媒体を対向して作用する。シリコ ンダイヤフラム123は中央を薄膜状とし、その表面に歪ゲージと同様の回路素 子124が付設され、回路素子124を保護膜(ポッティングゲル)125で覆 い、シリコンダイヤフラム123の両側に作用する圧力の差圧に応じたシリコン ダイヤフラム123の撓みによる回路素子124の抵抗変化により、回路素子1 24から歪信号を金線からなるボンディング線126を介して出力する。ボンデ ィング線126は出力端子127を介して回路基板128に接続され、歪信号を 電圧変化して外部接続端子129により出力するように構成される。
【0032】 従って、差圧センサ80ではキャップ130の内部に回路素子124やボンデ ィング線126が配置され、このキャップ側の圧力媒体にブローバイガスが含ま れると、ブローバイガス中のオイルや金属粉等の異物が回路素子124と出力端 子127とを接続するボンディング線126に付着して抵抗変化を生じたりアー スを生じ、また、ブローバイガス中の有害成分により回路素子124等に腐食を 生じ、差圧センサ80の出力特性が狂う虞れがある。ここでエンジン吸気系では 上述のブローバイガス還元装置110により、主としてPCV弁113とプライ マリターボ過給機40によりブローバイガスが還流され、吸気制御弁55上流の セカンダリターボ過給機50の吸気系ではブローバイガスがほとんど含まれてい ないる。
【0033】 そこで差圧センサ80の2つの圧力導入ポート131,132を吸気制御弁5 5の上,下流の間、即ちセカンダリターボ過給機50とプライマリターボ過給機 40の間に接続する際に、吸気制御弁55の上流側として、圧力媒体中にブロー バイガスがほとんど含まれないセカンダリターボ過給機50のブロワ下流のリリ ーフ通路58が通路133を介して圧力導入ポート132に連通される。またブ ローバイガスの多いプライマリターボ過給機40と連通する吸気制御弁55の下 流の吸気管19が通路134を介して他の圧力導入ポート131に連通され、差 圧センサ80の回路素子124やボンディング線126に対するブローバイガス の影響を低減するように構成される。
【0034】 次に、上記ECU100による過給機作動個数切換制御を図4〜図7のターボ 切換制御ルーチンに示すフローチャートに従って説明する。このターボ切換制御 ルーチンは、イグニッションスイッチ97をONした後、設定時間(例えば10 msec)毎に実行されるものである。
【0035】 イグニッションスイッチ97のONによりECU100に電源が投入されると 、システムがイニシャライズ(各フラグ,各カウント値をクリア)され、先ず、 ステップS1でツインターボモード判別フラグF1の値を参照する。そして、こ のツインターボモード判別フラグF1がクリアされていればステップS2へ進み 、またセットされていればステップS60へ進む。このツインターボモード判別 フラグF1は、現制御状態がプライマリターボ過給機40のみを過給作動させる シングルターボモードのときクリアされ、両ターボ過給機40,50を過給作動 させるツインターボモードのときにセットされる。
【0036】 以下の説明では、先ずシングルターボモードについて説明し、次いでシングル →ツイン切換制御、最後にツインターボモードについて説明する。 イグニッションスイッチ97をONした直後、及び現制御状態がシングルター ボモードの場合、F1=0であるためステップS2へ進む。
【0037】 ステップS2では、エンジン回転数Nに基づきターボ切換判定値テーブルを補 間計算付で参照してシングル→ツイン切換判定値Tp2を設定する。図9に示す ように、上記ターボ切換判定値テーブルには、エンジン回転数Nとエンジン負荷 (本実施例では基本燃料噴射パルス幅)Tpとの関係からシングルターボモード からツインターボモードへ切換えるシングル→ツイン切換判定ラインL2と、そ の逆にツインターボモードからシングルターボモードへ切換えるツイン→シング ル切換判定ラインL1を予め実験等から求め、シングルターボ領域とツインター ボ領域とが設定されている。そして、各ラインL2,L1に対応してそれぞれシ ングル→ツイン切換判定値Tp2,及びツイン→シングル切換判定値Tp1がエ ンジン回転数Nをパラメータとしたテーブルとして予めROM102の一連のア ドレスに格納されている。なお、シングル→ツイン切換判定ラインL2は、切換 時のトルク変動を防止するため図14の出力特性のシングルターボ時のトルク曲 線TQ1とツインターボ時のトルク曲線TQ2とが一致する点Cに設定する必要 があり、このため図9に示すように、低,中回転数域での高負荷からエンジン回 転数Nの上昇に応じて低負荷側に設定される。また図に示すように、ターボ過給 機作動個数の切換時の制御ハンチングを防止するため、ツイン→シングル切換判 定ラインL1は、シングル→ツイン切換判定ラインL2に対して低回転数側に比 較的広い幅のヒステリシスHを有して設定される。
【0038】 そして、ステップS3で上記シングル→ツイン切換判定値Tp2と現在の基本 燃料噴射パルス幅(以下、エンジン負荷)Tpとを比較し、Tp<Tp2の場合 、ステップS4へ進み、シングルターボモード制御を行う。また、Tp≧Tp2 の場合はステップS30へ進み、シングル→ツイン切換制御を行う。
【0039】 ステップS3からステップS4へ進むと、過給圧制御モード判別フラグF2の 値を参照する。この過給圧制御モード判別フラグF2は、現運転領域が排気制御 弁53の小開により過給圧制御を行うと共にセカンダリターボ過給機50を予備 回転させる排気制御弁小開制御モード領域内のときセットされ、領域外のときク リアされる。従って、イグニッションスイッチ97をONした直後はイニシャル セットにより、また前回ルーチン実行時に運転領域が排気制御弁小開制御モード 領域外のときはF2=0であるためステップS5へ進み、ステップS5ないしス テップS7の条件判断により現在の運転領域が排気制御弁小開制御モード領域内 に移行したかを判断する。
【0040】 この排気制御弁小開制御モード領域への移行判定は、図10に示すように、エ ンジン回転数Nと吸気管圧力(過給圧)Pとの関係で、シングル→ツイン切換判 定ラインL2よりも低回転低負荷側、すなわちシングルターボモード下において 、設定値N1(例えば2650rpm),P1(例えば1120mmHg)で囲 まれた領域で、且つスロットル開度THが設定値TH1(例えば30deg)以 上のとき、領域内に移行したと判定する。
【0041】 すなわち、ステップS5でエンジン回転数Nと設定値N1とを比較し、ステッ プS6で吸気管圧力Pと設定値P1とを比較し、ステップS7でスロットル開度 THと設定値TH1とを比較する。そして、N<N1,或いはP<P1,或いは TH<TH1の場合にステップS8へ進み、現運転領域が排気制御弁小開制御モ ード領域外にあると判断して過給圧制御モード判別フラグF2をクリアし、また 、N≧N1且つP≧P1且つTH≧TH1の場合にはステップS9へ進み、現運 転領域が排気制御弁小開制御モード領域に移行したと判断して過給圧制御モード 判別フラグF2をセットする。
【0042】 そしてステップS10へ進んで、過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL .1をOFFし、ステップS11で吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2を OFFする。次いでステップS12へ進むと、過給圧制御モード判別フラグF2 の値を参照し、F2=0の場合、ステップS13へ進み、第1の排気制御弁用切 換ソレノイド弁SOL.3をOFFし、ステップS14で第2の排気制御弁用切 換ソレノイド弁SOL.4をOFFする。その後、ステップS15〜S17で上 記ツインターボモード判別フラグF1,後述する差圧検索フラグF3,制御弁切 換時間カウント値C1をそれぞれクリアした後、ルーチンを抜ける。
【0043】 従ってシングルターボモード下で、且つ排気制御弁小開制御モード領域外の低 回転,低負荷の運転領域では、各切換ソレノイド弁SOL.1〜4がいずれもO FFする。そこで過給圧リリーフ弁57は、過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド 弁SOL.1のOFFによりサージタンク60からの負圧が圧力室に導入される ことでスプリングの付勢力に抗して開弁し、吸気制御弁55は、吸気制御弁用切 換ソレノイド弁SOL.2のOFFによりアクチュエータ56の圧力室に負圧が 導入されることでスプリングの付勢力に抗して逆に閉弁する。また、排気制御弁 53は、両排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3,4のOFFによりアクチ ュエータ54の両室54a,54bに大気圧が導入されることでスプリングの付 勢力により閉弁する。
【0044】 そして排気制御弁53の閉弁により、セカンダリターボ過給機50への排気の 導入が遮断され、セカンダリターボ過給機50が不作動となり、プライマリター ボ過給機40のみ作動のシングルターボ状態となる。また吸気制御弁55の閉弁 により、プライマリターボ過給機40からの過給圧の吸気制御弁55を介しての セカンダリターボ過給機50側へのリークが防止され、過給圧の低下が防止され る。なお、シングルターボモード下で且つ排気制御弁小開制御モード領域外の場 合、或いはツインターボモード下の場合には、過給圧フィードバック制御は、こ こでは詳述しないがプライマリウエストゲート弁41のみを用いて行われる。
【0045】 一方、上記ステップS9で、現運転領域が排気制御弁小開制御モード領域内と 判断されて過給圧制御モード判別フラグF2がセットされた場合には、ステップ S10〜S12を介してステップS18へ進み、第1の排気制御弁用切換ソレノ イド弁SOL.3のみをONする。そこで第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁 SOL.3のONによりアクチュエータ54の正圧室54aに正圧が導入され、 排気制御弁53が開かれる。なお、この排気制御弁小開制御モード下では、図8 に示す排気制御弁小開制御ルーチンが設定時間(例えば480msec)毎に実 行されることで、排気制御弁53を用いて過給圧フィードバック制御が行われ、 これに伴い排気制御弁53が小開される。すなわち、図8において、ステップS 100で過給圧制御モード判別フラグF2の値を参照し、F2=0のときにはル ーチンを抜け、F2=1で排気制御弁小開制御モードの場合、ステップS101 へ進み、過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1に対する通電状態を判 断し、SOL.1=ONの場合にはルーチンを抜け、SOL.1=OFFのとき ステップS102へ進み、目標過給圧と絶対圧センサ81により検出される実過 給圧とを比較し、その比較結果に応じて、例えばPI制御により排気制御弁小開 制御用デューティソレノイド弁75に対するONデューティ(デューティ比)を 演算し、このONデューティのデューティ信号をデューティソレノイド弁75に 出力し、過給圧フィードバック制御を実行する。このため、デューティソレノイ ド弁75によりアクチュエータ54の正圧室54aに作用する正圧が調圧され、 図12に示すように、排気制御弁53が小開して排気制御弁53のみを用いて過 給圧フィードバック制御が行われる。そして、排気制御弁53の小開により排気 の一部がセカンダリターボ過給機50のタービン50aに供給され、セカンダリ ターボ過給機50が予備回転され、ツインターボ移行に備えられる。
【0046】 この状態下では、吸気制御弁55が閉弁されているため、セカンダリターボ過 給機50のブロワ50b下流と吸気制御弁55との間に過給圧が封じ込められる が、このとき過給圧リリーフ弁57の開弁によりこの過給圧をリークさせ、予備 回転の円滑化を図っている。
【0047】 また、シングルターボモード下で排気制御弁小開制御モード領域で過給圧制御 モード判別フラグF2がセット(F2=1)された場合には、前記ステップS4 からステップS19へ進み、ステップS19ないしステップS21の条件判断に より現在の運転領域が排気制御弁小開制御モード領域外に移行したかの判断がな される。
【0048】 この領域外への移行判定は、過給圧制御モード切換時の制御ハンチングを防止 するため、図10に示すように、前記設定値N1,P1,TH1よりも低い値の 設定値N2(例えば2600rpm),P2(例えば1070mmHg),TH 2(例えば25deg)により行う。そしてステップS19で、エンジン回転数 Nと設定値N2とを比較し、ステップS20で吸気管圧力(過給圧)Pと設定値 P2とを比較し、ステップS21でスロットル開度THと設定値TH2とを比較 し、N<N2,或いはP<P2,或いはTH<TH2の場合、現運転領域が排気 制御弁小開制御モード領域外に移行したと判断して前述のステップS8へ進み、 過給圧制御モード判別フラグF2をクリアする。これにより、排気制御弁小開制 御が解除される。また、N≧N2且つP≧P2且つTH≧TH2の場合には、現 運転領域が領域内のままであると判断して前記ステップS9へ進み、過給圧制御 モード判別フラグF2をF2=1の状態に保持し、排気制御弁小開制御を継続す る。
【0049】 以上のように、シングルターボモード下では、エンジン本体1からの排気のほ とんどがプライマリターボ過給機40に導入されて、タービン40aによりブロ ワ40bを回転駆動する。そこでブロワ40bにより空気を吸入圧縮し、この圧 縮空気がインタークーラ20で冷却され、スロットル弁21の開度で流量調整さ れ、チャンバ22,吸気マニホールド23を介して各気筒に高い充填効率で供給 されて過給作用する。そして、このシングルターボモードによるプライマリター ボ過給機40のみ作動のシングルターボ状態では、図14の出力特性に示すよう に、低,中回転数域で高い軸トルクのシングルターボ時のトルク曲線TQ1が得 られる。
【0050】 次に、シングル→ツイン切換制御について説明する。前記ステップS3でTp ≧Tp2、すなわち現在の運転領域がシングルターボ領域からツインターボ領域 (図9参照)に移行したと判断されると、ステップS30へ分岐してプライマリ ターボ過給機40のみ作動のシングルターボ状態から両ターボ過給機40,50 作動のツインターボ状態へ切換えるためのシングル→ツイン切換制御を実行する 。
【0051】 すると、先ずステップS30で、過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL .1に対する通電状態を判断し、ステップS32で第1の排気制御弁用切換ソレ ノイド弁SOL.3に対する通電状態を判断し、両切換ソレノイド弁SOL.1 ,3が共にONの場合は、そのままステップS34へ進む。また、上記各切換ソ レノイド弁SOL.1,3がOFFの場合、ステップS31,S33でそれぞれ ONにした後、ステップS34へ進む。
【0052】 そこで過給圧リリーフ弁57は、過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL .1のONにより正圧通路64aからの正圧が圧力室に導入されることで、この 正圧及びスプリングの付勢力により直ちに閉弁する。また、排気制御弁53は、 第1の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3のONによりアクチュエータ5 4の正圧室54aに正圧が導入されることで開弁する。なお、シングルターボモ ード下の排気制御弁小開制御モードからシングル→ツイン切換制御に移行した場 合には、上記過給圧リリーフ弁用切換ソレノイド弁SOL.1のONにより、図 8の排気制御弁小開制御ルーチンにおいて、過給圧フィードバック制御を行うこ となくステップS101を介してルーチンを抜けることで、排気制御弁53によ る過給圧フィードバック制御が中止され、排気制御弁小開制御用デューティソレ ノイド弁75が全閉され、正圧通路64bを介しての正圧がデューティソレノイ ド弁75によりリークされることなく直接アクチュエータ54の正圧室54aに 導入されるので、排気制御弁53の開度が増大される。
【0053】 そして、過給圧リリーフ弁57の閉弁によりリリーフ通路58が遮断され、且 つ排気制御弁53の開弁,及びその開度増大によりセカンダリターボ過給機50 の回転数が上昇されると共に、セカンダリターボ過給機50のブロワ50b下流 と吸気制御弁55との間の過給圧が次第に上昇され、ツインターボモードへの移 行に備えられる。ステップS34では、差圧検索フラグF3の値を参照し、F3 =0の場合、ステップS35へ進み、F3=1の場合にはステップS39へジャ ンプする。
【0054】 シングル→ツイン切換制御に移行後、初回のルーチン実行時には、F3=0で あるためステップS35へ進み、まず、車速Vに基づき排気制御弁開ディレー時 間設定テーブルを補間計算付で参照して、シングル→ツイン切換制御移行後の排 気制御弁53の全開制御(第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4をO FFからONにする)時期を定める排気制御弁開ディレー時間T1を設定し、ス テップS36で車速Vに基づき吸気制御弁開ディレー時間設定テーブルを補間計 算付で参照して、上記排気制御弁53の全開制御後に吸気制御弁55の開弁制御 (吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2をOFFからONにする)開始時期 の条件を定めるための吸気制御弁開ディレー時間T2を設定する。さらに、ステ ップS37で、吸気制御弁55の上流圧PUと下流圧PDとの差圧(差圧センサ 80の読込み値)DPS(=PU−PD)に基づき、吸気制御弁55の開弁制御 開始時期を定めるための吸気制御弁開差圧DPSSTを設定する。
【0055】 図11(a)に排気制御弁開ディレー時間設定テーブルの概念図を、同図(b )に吸気制御弁開ディレー時間設定テーブルの概念図をそれぞれ示す。図に示す ように車速Vが高い程、排気制御弁開ディレー時間T1及び吸気制御弁開ディレ ー時間T2を短くして、排気制御弁53を全開させるタイミング及び吸気制御弁 55を開けるタイミング、すなわちツインターボモードに切換わるタイミングを 早め、車速に拘らず加速応答性を均一化させ、ドライバビリティの向上を図るよ うにしている。
【0056】 また、図11(c)に吸気制御弁開差圧設定テーブルの概念図を示す。同図に 示すように、エンジン運転状態がシングルターボ領域から前記シングル→ツイン 切換判定ラインL2(シングル→ツイン切換判定値Tp2)を境としてツインタ ーボ領域(図9参照)に移行した直後の差圧DPSがマイナス側にある程、すな わち、吸気制御弁55の上流圧PUに対し下流圧PDが高く、高過給状態である 程、吸気制御弁開差圧DPSSTをマイナス側とし、吸気制御弁55を開けるタ イミングを早め、加速応答性を向上させる。
【0057】 そして、これらディレー時間T1,T2及び吸気制御弁開差圧DPSSTを設 定した後は、ステップS38に進んで差圧検索フラグF3をセットして、ステッ プS39へ進む。ステップS39では、第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁S OL.4に対する通電状態を判断することで、既に排気制御弁53に対する全開 制御が開始されているかを判断し、SOL.4=ONであり、既に排気制御弁全 開制御が開始されている場合にはステップS47へジャンプして、第2の排気制 御弁用切換ソレノイド弁SOL.4をONに保持し、SOL.4=OFFの場合 には、排気制御弁全開制御実行前であるためステップS40へ進み、制御弁切換 時間カウント値C1と上記排気制御弁開ディレー時間T1とを比較し、シングル →ツイン切換制御移行後、排気制御弁開ディレー時間T1が経過したかを判断す る。
【0058】 そして、C1≧T1の場合には、ステップS45へジャンプして第2の排気制 御弁用切換ソレノイド弁SOL.4をONさせ、排気制御弁53を全開させる。 また、C1<T1のディレー時間経過前のときにはステップS41へ進み、エン ジン負荷Tpと前記ステップS2で設定したシングル→ツイン切換判定値Tp2 から設定値WGSを減算した値とを比較し、Tp<Tp2−WGSの場合にはス テップS8へ戻り、シングル→ツイン切換制御を中止して直ちにシングルターボ モードに切換える。これは、エンジン負荷Tpが落ちた場合、シングルターボモ ードへ戻ることで運転の違和感を無くすためである。
【0059】 さらに詳述すれば、図9に示すように、エンジン運転状態がシングルターボ領 域からシングル→ツイン切換判定ラインL2(Tp2)をツインターボ領域側へ 一旦越えると、ツイン→シングル切換判定ラインL1(Tp1)をシングルター ボ領域側に越えない限り、ディレー時間T1経過後に排気制御弁53が全開とな り(ステップS45)、さらに、ディレー時間T2経過後に差圧DPSが吸気制 御弁開差圧DPSSTに達すれば吸気制御弁55が開き(ステップS49)、ツ インターボ状態に切換わる。従って、一旦、シングル→ツイン切換判定ラインL 2を越えた後、ツイン→シングル切換判定ラインL1とシングル→ツイン切換判 定ラインL2とで囲まれた領域に運転状態が留まっていた場合、ディレー時間経 過後にツインターボ状態に切換わってしまう。しかし、この領域では、図12に 示すように、トルク曲線TQ1で与えられるシングルターボ時の軸トルクに対し て、セカンダリターボ過給機50作動によるツインターボ時のトルク曲線TQ2 の軸トルクが却って低くなり、シングルターボ状態からツインターボ状態へ切換 わると、トルクの急減によりトルクショックを生じると共に、運転者に違和感を 与えてしまう。
【0060】 これに対処するため、ツイン→シングル切換判定ラインL1をシングル→ツイ ン切換判定ラインL2に近づけて両切換ラインの幅(ヒステリシス)を狭めれば よいが、両切換ラインL1,L2間の幅を狭めると、シングルターボとツインタ ーボとの切換わり頻度が増し、各制御弁を作動させる負圧源としてのサージタン ク60の負圧容量が不足するために、サージタンク60を大容量としなければな らず、且つ上記幅を狭めすぎると、運転状態がシングル→ツイン切換判定ライン L2付近に留まった場合、ターボ切換えのパラメータであるエンジン負荷Tpの 変動により、切換ディレー時間の設定の無い過給圧リリーフ弁57がチャタリン グを起してしまう不都合がある。
【0061】 これらを防ぐため、運転状態がシングル→ツイン切換判定ラインL2をツイン ターボ領域側に越えた後、ディレー時間T1経過以前に、シングル→ツイン切換 判定ラインL2に対し間隔が狭くシングルターボ領域側に設定値WGSだけ減算 した図9に破線で示すシングル→ツイン切換判定中止ラインL3(=Tp2−W GS)をシングルターボ領域側に越えた場合は、ツインターボ状態へ切換えるシ ングル→ツイン切換制御を中止して直ちにシングルターボモードに移行させ、プ ライマリターボ過給機40のみ作動のシングルターボ状態を維持させることで、 ツインターボ状態でのトルクの低い領域での運転を無くし、運転性の向上を図る 。
【0062】 一方、ステップS41でTp≧Tp2−WGSのときにはステップS42へ進 み、シングル→ツイン切換制御移行後、ディレー時間T1経過以前にエンジン運 転状態が高負荷高回転数域に移行したかを判断するための高負荷判定値TpHを 、エンジン回転数Nに基づき高負荷判定値テーブルを補間計算付で参照して設定 する。
【0063】 図11(d)に高負荷判定値テーブルの概念図を示す。燃料噴射パルス幅(エ ンジン負荷)Tpは、 Tp=K×Q/N K:定数,Q:吸入空気量 で求められ、高負荷時、吸入空気量Qを一定とした場合、燃料噴射パルス幅(エ ンジン負荷)Tpはエンジン回転数Nに反比例する。従って、図に示すように高 負荷判定値TpHは、エンジン回転数Nが高い程、低い値に設定される。
【0064】 次いで、ステップS43でエンジン負荷Tpと上記高負荷判定値TpHとを比 較し、Tp≦TpHの場合にはステップS44へ進み、制御弁切換時間カウント 値C1をカウントアップしてルーチンを抜ける。一方、Tp>TpHであり、デ ィレー時間T1経過以前にエンジン運転状態が高負荷高回転数域に移行した(例 えば急加速,レーシング等の場合に相当する)と判断される場合には、ステップ S45へ進み、第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4を直ちにONし 、排気制御弁53を全開させ、セカンダリターボ過給機50側にも排気を流すこ とで、排気流量急上昇により臨界回転数に達することによるプライマリターボ過 給機40のサージングと損傷を防止する。
【0065】 シングル→ツイン切換制御に移行後、排気制御弁開ディレー時間T1が経過し てステップS40から、或いはステップS43からステップS45へ進むと、第 2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.4がONされて、排気制御弁53が 全開され、セカンダリターボ過給機50の回転数がより上昇されてブロワ50b と吸気制御弁55との間のセカンダリターボ過給機50によるコンプレッサ圧( 過給圧)も上昇し、図12に示すように、吸気制御弁55の上流と下流との差圧 DPSが上昇する。その後、ステップS46へ進み、排気制御弁全開制御後の時 間を計時するため制御弁切換時間カウント値C1をクリアし、ステップS47へ 進む。
【0066】 そして、前記ステップS39或いはステップS46からステップS47へ進む と、排気制御弁全開制御(SOL.4OFF→ON)後の時間を表すカウント値 C1と吸気制御弁開ディレー時間T2とを比較し、C1<T2の場合には、吸気 制御弁55開弁条件が成立していないと判断して、ステップS44でカウント値 C1をカウントアップしてルーチンを抜ける。またC1≧T2の場合には、開弁 条件成立と判断してステップS48へ進み、現在の差圧DPSと吸気制御弁開差 圧DPSSTとを比較し、吸気制御弁55の開弁開始時期に達したかを判断する 。
【0067】 そして、DPS<DPSSTの時には開弁開始時期に達していないと判断して ルーチンを抜け、DPS≧DPSSTの時には吸気制御弁55の上流圧PUと下 流圧PDとが略等しくなり、すなわち、セカンダリターボ過給機50のブロワ5 0bと吸気制御弁55との間のセカンダリターボ過給機50による過給圧が上昇 してプライマリターボ過給機40による過給圧と略等しくなり、吸気制御弁開弁 開始時期に達したと判断してステップS49へ進み、吸気制御弁用切換ソレノイ ド弁SOL.2をONさせ、吸気制御弁55を開弁させる。
【0068】 その結果、セカンダリターボ過給機50からの過給が開始され、ツインターボ 状態となる。そしてステップS50へ進み、シングル→ツイン切換制御の終了に より、次回、ツインターボモードへ移行させるべくツインターボモード判別フラ グF1をセットして、ルーチンを抜ける。なお、以上のシングル→ツイン切換制 御によるシングルターボモードからツインターボモードへの切換わり状態を、図 12のタイムチャートに示す。
【0069】 上述のように、シングル→ツイン切換制御においては、先ず、過給圧リリーフ 弁57を閉弁すると共に、排気制御弁53を開弁し、セカンダリターボ過給機5 0の予備回転数を上昇させ、その後、セカンダリターボ過給機50の予備回転数 を上昇させるに必要な時間を排気制御弁開ディレー時間T1により与え、このデ ィレー時間T1経過後に排気制御弁53を全開にする。そしてセカンダリターボ 過給機50のブロワ50bと吸気制御弁55間のセカンダリターボ過給機50に よる過給圧が上昇して差圧DPSが上昇し、排気制御弁全開制御後、吸気制御弁 開ディレー時間T2により排気制御弁53が全開されるまでの作動遅れ時間を補 償し、ディレー時間T2経過後、吸気制御弁55の上流と下流との差圧DPSが 吸気制御弁開差圧DPSSTに達した時点で吸気制御弁55を開弁する。これに よって、プライマリターボ過給機40のみ作動のシングルターボ状態から両ター ボ過給機40,50作動によるツインターボ状態への切換わりがスムーズに行わ れ、さらに、吸気制御弁55の上流圧PUと下流圧PDとが略等しくなった時点 で吸気制御弁55を開弁してセカンダリターボ過給機50からの過給を開始させ るので、ツインターボ状態への切換え時に発生する過給圧の一時的な低下による トルクショックの発生が有効かつ確実に防止される。
【0070】 次に、ツインターボモードについて説明する。シングル→ツイン切換制御の終 了によりツインターボモード判別フラグF1がセットされると、或いは前回ルー チン実行時にツインターボモードであった場合、今回ルーチン実行時、F1=1 によりステップS1からステップS60に分岐する。
【0071】 そしてステップS60で、エンジン回転数Nに基づきターボ切換判定値テーブ ルを補間計算付で参照してツイン→シングル切換判定値Tp1を設定し(図9参 照)、ステップS61へ進んで、エンジン負荷Tpと上記ツイン→シングル切換 判定値Tp1とを比較し、Tp≧Tp1の場合、現在の運転状態がツインターボ 領域であるためステップS62で判定値検索フラグF4をクリアし、ステップS 63でシングルターボ領域に移行後のシングルターボ領域継続時間をカウントす るためのシングルターボ領域継続時間カウント値C2をクリアした後、ステップ S72へジャンプし、ステップS72ないしステップS75で過給圧リリーフ弁 用切換ソレノイド弁SOL.1、吸気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.2、第 1,第2の排気制御弁用切換ソレノイド弁SOL.3,4をそれぞれONさせ、 過給圧リリーフ弁57を閉弁に、吸気制御弁55及び排気制御弁53を共に全開 に保持し、ステップS76でツインターボモード判別フラグF1をセットして、 ステップS17へ戻り、制御弁切換時間カウント値C1をクリアした後、ルーチ ンを抜ける。
【0072】 このツインターボモード下では、過給圧リリーフ弁57の閉弁,吸気制御弁5 5の開弁,排気制御弁53の全開により、プライマリターボ過給機40に加えて セカンダリターボ過給機50が本格作動し、両ターボ過給機40,50の過給作 動によるツインターボ状態となり、両ターボ過給機40,50の過給による圧縮 空気が吸気系に供給され、図14の出力特性に示すように、高回転数域で高い軸 トルクのツインターボ時のトルク曲線TQ2が得られる。
【0073】 一方、上記ステップS61でTp<Tp1、すなわち現在の運転状態がシング ルターボ領域(図9参照)に移行したと判断されるとステップS64へ進み、判 定値検索フラグF4の値を参照し、F4=0の場合にはステップS65へ進み、 またF4=1の場合にはステップS67へジャンプする。
【0074】 上記判定値検索フラグF4は、ツインターボモードで且つエンジン負荷Tpが ツイン→シングル切換判定ラインL1(Tp1)を境にエンジン運転状態がツイ ンターボ領域内のときにクリアされる(ステップS62)。従ってTp<Tp1 後、初回のルーチン実行に際してはステップS65へ進み、エンジン負荷Tpに 基づきシングルターボ領域継続時間判定値テーブルを補間計算付で参照してシン グルターボ領域継続時間判定値T4を設定する。この設定値T4は、エンジン運 転状態がツインターボ領域からシングルターボ領域へ移行した後、所定時間経過 後にプライマリターボ過給機40のみ作動のシングルターボモードに切換えるた めの基準値である。
【0075】 図11(e)にシングルターボ領域継続時間判定値テーブルの概念図を示す。 エンジン負荷Tpに応じて設定されるシングルターボ領域継続時間判定値T4は 、例えば最大2.3sec,最小0.6secに設定され、エンジン負荷Tpの 値が大きく高負荷である程、小さい値に設定される。これにより、エンジン運転 状態がツインターボ領域からシングルターボ領域に移行後、ツインターボモード からシングルターボモードに切換わるまでの時間がエンジン負荷が高いほど早め られ、ツインターボ状態での軸トルクの低い部分での運転が防止され、再加速性 が向上する。
【0076】 次いで、ステップS66で判定値検索フラグF4をセットした後、ステップS 67へ進む。そしてステップS67で、シングルターボ領域継続時間カウント値 C2をカウントアップした後、ステップS68で上記判定値T4とカウント値C 2とを比較し、C2≧T4の場合、ステップS71へ進み、カウント値C2をク リアした後ステップS8へ戻り、ツインターボモードからシングルターボモード に切換わる。これにより、各切換ソレノイド弁SOL.1〜4がOFFとなり、 過給圧リリーフ弁57が開弁され、吸気制御弁55及び排気制御弁53が共に閉 弁されることで、両ターボ過給機40,50作動のツインターボ状態からプライ マリターボ過給機40のみ作動のシングルターボ状態に切換わる。
【0077】 この時の切換わり状態をタイムチャートで示すと、図13の実線の通りとなる 。このように、ツインターボモードからシングルターボモードへの切換わりは、 エンジン運転領域がツインターボ領域からシングルターボ領域へ移行後(Tp< Tp1)、その状態が設定時間継続した時(C2≧T4)行われることになり、 シフトチェンジ等に伴いエンジン回転数Nが一時的に低下することによる不要な 過給機の切換わりが未然に防止される。
【0078】 一方、C2<T4の場合はステップS69へ進み、スロットル開度THと設定 値TH3(例えば30deg)とを比較し、TH>TH3の場合、上記ステップ S71を経てステップS8へ戻り、エンジン運転領域がシングルターボ領域に移 行後、その状態が設定時間継続する以前であっても、図13の破線で示すように 直ちにシングルターボモードに切換わり、過給圧リリーフ弁57が開弁されると 共に、排気制御弁53及び吸気制御弁55が共に閉弁されてセカンダリターボ過 給機50の過給作動が停止し、プライマリターボ過給機40のみ過給作動のシン グルターボ状態に切換えられる。
【0079】 上記設定値TH3は、加速要求を判断するためのものである。すなわち、シン グルターボ領域においては(Tp<Tp1)、図14の出力特性に示すようにツ イン→シングル切換判定ラインL1の低回転側にあり、ツインターボ時のトルク 曲線TQ2の軸トルクの低い領域であり、この状態でツインターボモードを維持 しツインターボ状態を保持すると、アクセルペダルを踏込んでも充分な加速性能 を得ることができない。そのため、この領域で運転されている際、加速要求と判 断されるとき(TH>TH3)には、直ちにシングルターボモードへ移行させて シングルターボ状態とし、シングルターボ時の高い軸トルクのトルク曲線TQ1 を得ることで、加速応答性の向上を図る。
【0080】 また、上記ステップS69でTH≦TH3の場合にはステップS70へ進み、 車速Vと設定値(例えば2Km/h)とを比較し、V>V2で車両走行状態と判 断される場合には前記ステップS72へ進み、ツインターボモードを維持し、V ≦V2で停車状態と判断される場合には上述と同様にステップS71を経てステ ップS8へ戻り、直ちにシングルターボモードに移行する。
【0081】 上記設定値V2は、車両の停車状態を判断するためのもので、停車中の、例え ばアイドル回転数の状態で、アクセルを踏込みエンジンを空吹しすると、エンジ ン負荷Tpの上昇と共にエンジン回転数Nが上昇して、エンジン運転領域がシン グルターボ領域からツインターボ領域に移行し、ツインターボ状態となり、アク セル開放の空吹し後、エンジン負荷Tp及びエンジン回転数Nが直ちに低下し、 エンジン運転領域がツイン→シングル切換判定ラインL1(図9参照)を境とし て再びシングルターボ領域に移行した場合、シングルターボ領域へ移行後、設定 時間を経過しないと(C2≧T4)シングルターボモードに切換わらず、この間 、図13に示すように、エンジン回転数Nが低下してアイドル回転数Ni近く( 例えば700rpm近辺)に下がってから、各切換ソレノイド弁SOL.1〜4 の切換わりが行われて、過給圧リリーフ弁57及び各制御弁53,55が切換わ る。このときエンジン回転数Nが低いため、エンジン回転による暗騒音が低く、 各弁の切換わりの際の発生音が運転者に聞こえ、運転者に不快感を与えてしまう 。このため、車両停車状態と判断される時には(V≦V2)、シングルターボ領 域に移行後、設定時間を経過していなくても(C2<T4)、直ちにシングルタ ーボモードに切換えることで、エンジン回転数が低下して暗騒音が低くなる前に 各弁の切換わりを完了させ、弁作動の騒音による不快感を解消する。なお、この ときのツインターボモードからシングルターボモードへの切換わり状態を図13 に一点鎖線で示す。
【0082】 更に、上述の過給機作動個数切換制御におけるブローバイガス還元装置110 、差圧センサ80の作動について説明する。先ず、エンジン運転中は常にブロー バイガス還元装置110の新気通路111により新気が左右バンク3,4の動弁 室を介してクランクケース2に導入して換気される。そして過給圧が低い場合は 、PCV弁113が開いて動弁室及びクランクケース2内に発生するブローバイ ガスがチャンバ22以降に還流される。また過給圧が高くなってPCV弁113 が閉じると、主としてプライマリターボ過給機40の作動でブローバイガスがガ ス通路112を介して吸気管17aに吸入されて還流され、こうして有害成分の 大気排出が防止される。
【0083】 一方、上述のブローバイガス還流作用により、特にシングルターボモード下の エンジン吸気系全体では、閉じている吸気制御弁55の下流の吸気管19の下流 圧PDが、プライマリターボ過給機40の作動でブローバイガスが多く含まれ、 上流のセカンダリターボ過給機側のリリーフ通路58の上流圧PUは、ブローバ イガスがほとんど含まれない。そしてブローバイガスの多い下流圧PDが通路1 34と圧力導入ポート131により差圧センサ80の、回路素子124に対する 腐食等のおそれの無いダイヤフラム123の台座122の側に導入し、このため ブローバイガス中のオイルや金属粉等の異物Gが導入されてもその影響を受けな い。
【0084】 またシングルターボモード下ではセカンダリターボ過給機50の過給作動が停 止し、過給圧リリーフ弁57が開くことで、差圧センサ80のシリコンダイヤフ ラム123の回路素子124やボンディング線126の側には、通路133と圧 力導入ポート132により大気が導入する。次いで、シングル→ツイン切換制御 において、先ず過給圧リリーフ弁57が閉じ、次いで排気制御弁53が開いてセ カンダリターボ過給機50が予備回転する際には、ブローバイガスをほとんど含 まない吸気制御弁55の上流圧PUが差圧センサ80のボンディング線側に導入 し、ツインターボモード下でセカンダリターボ過給機50が作動する場合もこの 状態に保持される。このため差圧センサ80では、常にブローバイガス中の有害 成分で回路素子124が腐食したり、ブローバイガスによるオイルや金属粉等の 異物がボンディング線126に付着することが防止される。
【0085】 そして差圧センサ80では、シリコンダイヤフラム123の両側に上記上流圧 PUと下流圧PDとが対向して作用することでシリコンダイヤフラム123が撓 み、両者の差圧DPSに応じた歪信号が回路素子124から出力して回路基板1 28により電圧変換増幅して、差圧DPSに応じた電圧信号が出力される。この とき差圧センサ80は上述のようにブローバイガスによる影響が低減されること で、出力値が常に正確になり、このため特にシングル→ツイン切換制御で吸気制 御弁55が正常に開弁するようになる。
【0086】 以上、本考案の実施例について説明したが、水平対向式以外の過給機付エンジ ンにも適用できる。
【0087】
【考案の効果】
以上に説明したように本考案によると、過給機付エンジンにおいて、吸気制御 弁の上,下流の間に連設される差圧センサが、そのシリコンダイヤフラムに回路 素子が付設されボンディング線を有する側の圧力導入ポートを吸気制御弁の上流 に連通し、他方側の圧力導入ポートを吸気制御弁の下流に連通接続するので、プ ライマリターボ過給機により還流されるブローバイガスは差圧センサの回路素子 及びボンディング線の側に導入しなくなる。このためブローバイガス中の有害成 分により差圧センサにおけるシリコンダイヤフラム上に付設された回路素子が腐 食したり、ボンディング線にブローバイガス中に含まれるオイルや金属粉等の異 物が付着する等の不具合が防止されて、差圧センサの耐久性、センサ出力値の信 頼性が向上する。また差圧センサの出力値の精度が高く保持されることで、シン グル→ツイン切換制御の制御性が向上し、吸気制御弁の開弁遅れによるセカンダ リターボ過給機のサージングの発生も回避される。 差圧センサの2つの圧力導入ポートの接続を所定の関係にすれば良いので、構 造の変更が不要になる。ブローバイガス還元装置は、主としてプライマリターボ 過給機によりブローバイガスを還流する構成であるから、常に最適に還流できる 。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る過給機付エンジンの実施例を一部
断面して示す構成図である。
【図2】過給機付エンジンの全体構成図である。
【図3】制御装置の回路図である。
【図4】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図5】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図6】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図7】ターボ切換制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図8】排気制御弁小開制御ルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図9】各切換判定値、及びシングルターボ領域とツイ
ンターボ領域との関係を示す説明図である。
【図10】排気制御弁小開制御モード領域の説明図であ
る。
【図11】(a)は排気制御弁開ディレー時間設定テー
ブル,(b)は吸気制御弁開ディレー時間設定テーブ
ル,(c)は吸気制御弁開差圧設定テーブル,(d)は
高負荷判定値テーブル,(e)はシングルターボ領域継
続時間判定値テーブルをそれぞれ示す概念図である。
【図12】シングルターボモードからツインターボモー
ドへの切換わり状態を示すタイムチャートである。
【図13】ツインターボモードからシングルターボモー
ドへの切換わり状態を示すタイムチャートである。
【図14】シングルターボ時とツインターボ時との出力
特性を示す説明図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体 40 プライマリターボ過給機 50 セカンダリターボ過給機 53 排気制御弁 55 吸気制御弁 57 過給圧リリーフ弁 80 差圧センサ 110 ブローバイガス還元装置 123 シリコンダイヤフラム 124 回路素子 126 ボンディング線

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンシンの吸,排気系にブライマリター
    ボ過給機とセカンダリターボ過給機とを並列に配置し、
    低速域ては共に閉弁してセカンダリターボ過給機の過給
    作動を停止させるシングルターホ状態とし、高速域ては
    共に開弁して両ターボ過給機を共に過給動作させるツイ
    ンターボ状態とする吸気制御弁,排気制御弁を、セカン
    ダリターボ過給機に接続される吸,排気系にそれぞれ配
    設し、上記吸気制御弁の上流の吸気系と下流の吸気系と
    の間に差圧センサを連設し、プライマリターボ過給機に
    よりブローバイガスを還流するブローバイガス還元装置
    をエンジンの吸気系に備え、シングルターボ状態からツ
    イン夕−ボ状態への切換時に、排気制御弁を全開後、差
    圧センサにより検出される吸気制御弁の上流圧と下流圧
    との差圧が設定値に達したときに吸気制御弁を開弁させ
    る過給機付エンジンにおいて、 差圧センサのシリコンダイヤフラムの回路素子が付設さ
    れボンディング線を有する側の圧力導入ポートを吸気制
    御弁の上流に連通し、他方側の圧力導入ポートを吸気制
    御弁の下流に連通接続することを特徴とする過給機付エ
    ンジン。
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