JPH07252163A - 血小板減少症治療剤 - Google Patents

血小板減少症治療剤

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JPH07252163A
JPH07252163A JP6265050A JP26505094A JPH07252163A JP H07252163 A JPH07252163 A JP H07252163A JP 6265050 A JP6265050 A JP 6265050A JP 26505094 A JP26505094 A JP 26505094A JP H07252163 A JPH07252163 A JP H07252163A
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JP
Japan
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acid
group
compound
amino
amino acid
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP6265050A
Other languages
English (en)
Inventor
Seiichi Tanida
清一 谷田
Tsuneaki Hida
恒明 飛田
Kouichi Yukishige
浩一 幸重
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Takeda Chemical Industries Ltd
Priority to JP6265050A priority Critical patent/JPH07252163A/ja
Publication of JPH07252163A publication Critical patent/JPH07252163A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

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  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】新規血小板減少症治療剤を提供する。 【構成】一般式 【化1】 〔式中、R1およびR2はそれぞれ水素または脂肪族アシ
ル基を、R3は脂肪族アシル基を、R4は水素または保護
基を、Xは保護基を有していてもよい1から10個のア
ミノ酸残基よりなるアミノ酸配列を示す〕で表される化
合物またはその塩を含有してなる血小板減少症治療剤。 【効果】本発明の血小板減少症治療剤は、哺乳動物
(例、ヒト、サル、ウマ、ウシ、ネコ、イヌなど)の癌
の放射線療法や化学治療法などによって生じる血小板減
少症の治療剤として、さらに骨髄移植後の血小板減少症
に治療や血小板減少を伴う自己免疫疾患(例、再生不良
性貧血、突発性血小板減少性紫斑症等)の予防や治療に
安全に用い得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は種々の原因によって引き
起こされる血小板減少症、血小板の減少に起因する疾患
あるいは治療上巨核球や血小板の増加を必要とする疾患
の治療剤として有用な、4−チアヘプタン酸誘導体また
はその塩を含有してなる血小板減少症治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】癌に対する化学治療法や放射線療法を実
施すると、患者に重篤な血小板減少症が引き起こされ
る。血小板減少により止血機構の不全を来し、十分な治
療効果が得られなくなることが治療上の大きな問題とな
っている。この種の血小板減少症に対する治療法とし
て、血小板輸血が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法で
は、移入した血小板の寿命が短い等の理由により、血小
板減少症を十分に改善することは困難である。このた
め、これらの治療法によって引き起こされる造血機能の
抑制状態を緩和し、血小板数の回復を促進する薬剤が切
望されている。さらに骨髄移植後の血小板減少症や血小
板減少を伴う自己免疫疾患、例えば再生不良性貧血、突
発性血小板減少性紫斑症などの治療の分野などでもこの
種の薬剤を用い得る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、新たな観点から血小板増加作用を有する化合
物の研究を重ねた結果、4−チアヘプタン酸誘導体が、
マウスの骨髄細胞を刺激して、巨核球の増殖・分化を促
進させることを見いだした。さらに,本発明者らはこれ
らの知見に基づいて、引き続き研究を重ね本発明を完成
した。
【0005】即ち本発明は、(1) 一般式(I)
【化2】 〔式中、R1およびR2はそれぞれ水素または脂肪族アシ
ル基を、R3は脂肪族アシル基を、R4は水素または保護
基を、Xは保護基を有していてもよい1から10個のア
ミノ酸残基よりなるアミノ酸配列を示す〕で表される化
合物またはその塩を含有してなる血小板減少症治療剤、
(2)脂肪族アシル基の炭素数が2から30である上記
(1)記載の血小板減少症治療剤、(3)R1およびR2
の少なくとも一方が脂肪族アシル基である上記(1)記
載の血小板減少症治療剤、(4)Xが親水性基を有する
アミノ酸の残基を少なくとも1個含む、保護基を有して
いてもよい1から10個のアミノ酸残基よりなるアミノ
酸配列である上記(1)記載の血小板減少症治療剤、
(5)親水性基を有するアミノ酸が酸性のアミノ酸であ
る上記(4)記載の血小板減少症治療剤および(6)親
水性基を有するアミノ酸が塩基性のアミノ酸である上記
(4)記載の血小板減少症治療剤に関する。
【0006】本明細書において、アミノ酸,ペプチド等
に関し、略号で表示する場合、IUPAC−IUB コ
ミッション・オン・バイオケミカル・ノーメンクレーチ
ャー(Commission on Biochemical Nomenclature)によ
る略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくもの
とし、また、アミノ酸に光学異性体があり得る場合、特
に明示しなければL体を示すものとする。上記一般式
(I)に関し、R1、R2及びR3で表わされる脂肪族ア
シル基として、例えば脂肪族カルボン酸から誘導される
脂肪族アシル基が挙げられる。該脂肪族アシル基として
は、例えば炭素数1から34の脂肪族アシル基、例えば
1-34の飽和脂肪族アシル基(例、ホルミル、アセチ
ル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリ
ル、イソバレリル、オクタノイル、デカノイル、ドデカ
ノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、イソテト
ラデカノイル、ペンタデカノイル、イソペンタデカノイ
ル、ヘキサデカノイル、イソヘキサデカノイル、ヘプタ
デカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル、テト
ラコサノイル、ヘキサコサノイル、エチルドデカノイ
ル、メチルトリデカノイル、エチルトリデカノイル、メ
チルテトラデカノイル、エチルテトラデカノイル、メチ
ルペンタデカノイル、エチルペンタデカノイル、メチル
ヘキサデカノイル、エチルヘキサデカノイル、メチルヘ
プタデカノイル、エチルヘプタデカノイル、メチルオク
タデカノイル、エチルオクタデカノイル、オクタコサノ
イル、ノナコサノイル、トリアコンタノイル、ドトリア
コンタノイル、テトラトリアコンタノイル等)、C3-24
の不飽和脂肪族アシル基〔例、アクリロイル、プロピオ
ロイル、メタクリロイル、クロトノイル、イソクロトノ
イル、ミリストレオイル、オレオイル、パルミトレオイ
ル、エライドイル、(シス,シス)−9,12−オクタ
デカジエノイル、9,12,15−オクタデカトリエノイ
ル、9,11,13−オクタデカトリエノイル、5,8,1
1,14−イコサテトラエノイル、シス−15−テトラ
コサエノイル等〕などが挙げられる。
【0007】好ましくは、炭素数2から30の脂肪族ア
シル基、例えばC2-30の飽和脂肪族アシル基(例、 ア
セチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレ
リル、イソバレリル、オクタノイル、デカノイル、ドデ
カノイル、テトラデカノイル、イソテトラデカノイル、
ペンタデカノイル、イソペンタデカノイル、ヘキサデカ
ノイル、イソヘキサデカノイル、エチルドデカノイル、
メチルトリデカノイル、エチルトリデカノイル、メチル
テトラデカノイル、エチルテトラデカノイル、メチルペ
ンタデカノイル、エチルペンタデカノイル、メチルヘキ
サデカノイル、エチルヘキサデカノイル、メチルヘプタ
デカノイル、エチルヘプタデカノイル、メチルオクタデ
カノイル、エチルオクタデカノイル、オクタデカノイ
ル、テトラコサノイル、ヘキサコサノイル、オクタコサ
ノイル、ノナコサノイル、トリアコンタノイル)、C
14-24の不飽和脂肪族アシル基〔例、ミリストレオイ
ル、オレオイル、パルミトレオイル、エライドイル、
(シス,シス)−9,12−オクタデカジエノイル、9,
12,15−オクタデカトリエノイル、9,11,13−
オクタデカトリエノイル、5,8,11,14−イコサテ
トラエノイル、シス−15−テトラコサエノイル等〕な
どが挙げられる。これらのうち、炭素数2から19の脂
肪族アシル基、例えば炭素数10から19の飽和脂肪族
アシル基(例、デカノイル、ドデカノイル、テトラデカ
ノイル、イソテトラデカノイル、ペンタデカノイル、イ
ソペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、イソヘキサデ
カノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル等)もし
くは炭素数14から18の不飽和脂肪族アシル基〔例、
ミリストレオイル、オレオイル、パルミトレオイル、
(シス,シス)−9,12−オクタデカジエノイル、
9,12,15−オクタデカトリエノイル等〕が特に好
ましい。R1およびR2は、少なくとも一方が脂肪族アシ
ル基が特に好ましい。
【0008】このうち最も好ましくは、R1およびR2
ヘキサデカノイル(パルミトイル)基、イソヘキサデカ
ノイル(イソパルミトイル)基である。このうち最も好
ましくは、R3はテトラデカノイル(ミリストレイル)
基、イソテトラデカノイル(イソミリストレイル)基で
ある。
【0009】上記一般式(I)において、R4で表わさ
れる保護基としては、好ましくは後述のカルボキシル基
の保護基が用いられる。上記一般式(I)において、X
で表わされるアミノ酸配列の保護基を有していてもよい
アミノ酸残基におけるアミノ酸とは、分子内にアミノ基
と酸性基(例、カルボキシル基,スルホン酸基)を有す
る化合物を意味する。該アミノ酸としては、小竹 無二
雄監修,大有機化学 第21巻,天然高分子化合物 III,
朝倉書店,1960年 およびジェイ・エス・デービス
(J.S.Davies)編;アミノ酸とペプチド (Amino acids
and peptides),チャップマン・アンド・ハル(Chapman
and Hall),1985年などに記載されているアミノ酸
が好ましい。
【0010】さらに具体的には、例えば蛋白質を構成す
るアミノ酸〔例、グリシン、アラニン、バリン、ロイシ
ン、イソロイシンなどの脂肪族モノアミノモノカルボン
酸、セリン、スレオニンなどの脂肪族オキシアミノ酸、
アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性のアミノ酸、
アスパラギン、グルタミンなどの酸性のアミノ酸アミ
ド、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンなど
の芳香族アミノ酸、プロリン、ヒドロキシプロリンなど
のイミノカルボン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン
などの塩基性のアミノ酸、メチオニン、シスチン、シス
テインなどの含硫アミノ酸等〕、例えば微生物代謝産物
あるいは動植物成分として天然界から得られるアミノ酸
〔例、L−α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−アミ
ノイソ酪酸、β−アラニン、ホモセリン、α−メチル−
D−セリン、O−カルバミル−D−セリン、δ−ハイド
ロキシ−γ−オキソ−ノルバリンなどの脂肪族モノアミ
ノモノカルボン酸、L−α−アミノアジピン酸、L−β
−アミノアジピン酸、L−テアニン、L−γ−メチレン
グルタミン酸、L−γ−メチルグルタミン酸などのモノ
アミノジカルボン酸、L−オルニチン、β−リジン、
α,β−ジアミノプロピオン酸、L−α,γ−ジアミノ酪
酸などのジアミノモノカルボン酸、ジアミノピメリン酸
などのジアミノジカルボン酸、システイン酸などの含ス
ルホン酸モノアミノモノカルボン酸、タウリンなどの含
スルホン酸アミノ酸、キヌレニン、3,4−ジオキシフ
ェニル−L−アラニンなどの芳香族アミノ酸、2,3−
ジカルボキシアジリヂン、〔S〕−2−アミノ−3−
(イソキサゾリン−5−オン−4−イル)−プロピオン
酸、アンチカプシンなどの複素環アミノ酸、L−4−オ
キサリジン、L−4−オキソリジン、〔3R,5R〕−
3,6−ジアミノ−5−ハイドロキシヘキサン酸などの
塩基性のアミノ酸、ランチオニン、S−メチル−L−シ
ステインなどの含硫アミノ酸、ピペコリン酸、アゼチジ
ン−2−カルボン酸、〔1R,2S〕−2−アミノシク
ロペンタン−1−カルボン酸などの環状アミノ酸、シト
ルリン、アラノシン、L−アザセリンなどの特殊官能基
置換アミノ酸等〕などが挙げられる。
【0011】該アミノ酸としては、例えば有機合成法に
よって得られるアミノ酸〔例、6−アミノヘキサン酸、
8−アミノオクタン酸、12−アミノドデカン酸、4−
アミノ安息香酸、4−(アミノメチル)安息香酸、4−
(N−(カルボキシメチル)アミノメチル)安息香酸
等)なども挙げられる。アミノ酸残基における残基と
は、アミノ酸のアミノ基と酸性基とにそれぞれ結合手を
有するアミノ酸より誘導される2価の基を示す。
【0012】Xは好ましくは、親水性基を有するアミノ
酸の残基を少なくとも1個含む、保護基を有していても
よい1から10個のアミノ酸残基よりなるアミノ酸配列
である。上記の親水性基を有するアミノ酸としては、例
えば上記の酸性のアミノ酸、塩基性のアミノ酸、好まし
くは酸性のアミノ酸が挙げられる。上記酸性のアミノ酸
としては、例えば1個のカルボキシル基と1個のアミノ
基およびこれ以外に酸性官能基(例、カルボキシル基、
スルホ基等)を1個以上有する化合物が挙げられる。好
ましくは、1個のアミノ基と2個以上のカルボキシル基
を有する化合物である。該酸性のアミノ酸の好ましい具
体例として、例えばアミノジカルボン酸(例、アスパラ
ギン酸、グルタミン酸、L−α−アミノアジピン酸、L
-β−アミノアジピン酸、2,3−ジカルボキシアジリ
ジン等)が挙げられる。より好ましくは、α−アミノジ
カルボン酸(例、アスパラギン酸、グルタミン酸、L−
β−アミノアジピン酸等)が挙げられ、中でもアスパラ
ギン酸、グルタミン酸が特に好ましい。
【0013】上記塩基性のアミノ酸としては、例えばカ
ルボキシル基とアミノ基およびこれ以外に塩基性官能基
〔例、アミノ基、塩基性含窒素複素環基(例、イミダゾ
リル、インドリル等)、グアニジノ基等〕を1個以上有
する化合物が挙げられる。好ましく1個のアミノ基、1
個のカルボキシル基および1個以上の上記塩基性官能基
を有する化合物である。該塩基性のアミノ酸の好ましい
具体例として、例えば蛋白質を構成する塩基性のアミノ
酸(例、アルギニン、ヒスチジン、リジン等)、微生物
代謝産物あるいは動植物成分として天然界より得られる
塩基性のアミノ酸(例、L-オルニチン、β−リジン、
α,β−ジアミノプロピオン酸、L−α,γ−ジアミノ
酪酸等のジアミノカルボン酸、L−4−オキサリジン、
L−4−オキソリジン、〔3R,5R〕−3,6−ジア
ミノ−5−ヒドロキシヘキサン酸など)が挙げられる。
より好ましくは、蛋白質を構成する塩基性のα−アミノ
酸(例、アルギニン、ヒスチジン、リジン等)、微生物
代謝産物あるいは動植物成分として天然界より得られる
塩基性のα−アミノ酸(例、L−オルニチン、α,β−
ジアミノプロピオン酸、L−α,γ−ジアミノ酪酸、L
−4−オキサリジン、L−4−オキソリジンなど)であ
る。特に好ましくは、リジン、アルギニン、ヒスチジン
である。
【0014】上記Xで表されるアミノ酸配列の保護基を
有していてもよいアミノ酸残基における保護基として
は、ペプチド合成においてアミノ基,カルボキシル基ま
たはヒドロキシル基の保護のため公知のもので、例えば
加水分解、加水素分解、還元、アミノリシスまたはヒド
ラジノリシスなどによって脱離される保護基である。ア
ミノ基の保護基としては、ウレタン型保護基(例、ベン
ジルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、
アリルオキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニ
ル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベン
ジルオキシカルボニル、2−クロルベンジルオキシカル
ボニル、アダマンチルオキシカルボニル、9−フルオレ
ニルメチルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロ
エチルオキシカルボニルなど)、アシル型保護基(例、
ホルミル、アセチル、プロピル、トリフルオロアセチ
ル、クロロアセチルなどの炭素数1から6までの置換基
を有していてもよい低級脂肪酸残基、フタリル、トシ
ル、2−ニトロスルフェニル、4−メトキシ−2−ニト
ロスルフェニル、ベンゾイルなど)、アルキル型保護基
(例、トリチル,ベンジルなど)などが挙げられる。こ
れらの中でウレタン型保護基が特に好ましい。
【0015】カルボキシル基は、例えばアミド結合、ヒ
ドラジド結合又はエステル化によって保護される。アミ
ド基又はヒドラジド基は置換されているのが好ましい。
アミド基は例えばアルコキシ基で置換されていてもよい
C7-19アラルキル基(例、3,4−ジメトキシベンジル
基又はビス−(p−メトキシフェニル)−メチル基な
ど)で置換されているのが好ましい。ヒドラジド基は例
えばハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素など)またはC
6-12アリール基(例、フェニル、p−ビフェニリルな
ど)で置換されていてもよいC1-6アルキルオキシカル
ボニル基〔例、ベンジルオキシカルボニル基、トリクロ
ロエチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカル
ボニル基、2−(p−ビフェニリル)−イソプロピルオ
キシカルボニル基など〕、ハロゲン化C2-6アルカノイ
ル基(例、トリフルオロアセチル基など)、C7-19アラ
ルキル基(例、トリチル基、ベンツヒドリル基、ベンジ
ル基など)などで置換されているのが好ましい。エステ
ル化には、例えば置換されていてもよい低級アルコール
(例、メタノール、エタノール、シアノメチルアルコー
ル、ベンゾイルメチルアルコール、tert−ブタノールな
ど)、アルアルカノール〔例、低級アルキル基、低級ア
ルコキシ基もしくはハロゲン原子によって置換されてい
てもよいベンジルアルコール又はベンズヒドロール類
(例、ベンズヒドロール、p−ニトロベンジルアルコー
ル、p−メトキシベンジルアルコール、2,4,6−トリ
メチルベンジルアルコールなど)など〕、電子吸引性置
換基で置換されていてもよいフェノール及びチオフェノ
ール(例、チオフェノール、チオクレゾール、p−ニト
ロチオフェノール、2,4,5−及び2,4,6−トリクロ
ロフェノール、p−シアノフェノール、p−メタンスル
ホニルフェノールなど、更にN−ヒドロキシイミド
(例、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシ
フタルイミドなど)、N−ヒドロキシピペリジン、8−
ヒドロキシキノリンなどによりエステル化されているこ
とが好ましい。中性条件下で脱離しうるカルボキシル基
の特別の保護基はドイツ連邦共和国特許出願公開第27
06490号に記載されているヒドロカルビル−シリル
−エチル基(例、2−(トリメチルシリル)−エチル基
など)である。
【0016】ヒドロキシ基は、例えばアシル化またはエ
ーテル化によって保護することができる。アシル化する
場合のアシル基としては、特に炭酸から誘導される基
(例、ベンジルオキシカルボニル基又はエチルオキシカ
ルボニル基など)が適当である。エーテル化に適当な基
は、例えばベンジル基、テトラヒドロピラニル基又はte
rt−ブチル基である。更に、ヒドロキシ基の保護にはケ
ミシェ・ベリヒテ(Chem. Ber. )100巻(1967)、
3838〜3849頁に記載されている2,2,2−トリ
フルオロ−1−tert−ブチルオキシカルボニルアミノエ
チル基又は2,2,2−トリフルオロ−1−ベンジルオ
キシカルボニルアミノエチル基が適当である。
【0017】上記一般式(I)中でアミノ酸残基が光学
異性体があり得る場合、L−,D−,DL−いずれの配
置もとり得る。
【0018】次に、上記化合物の製造法について述べ
る。なお、以下の本文中で常用される保護基および試薬
を下記の略号で表記する。 Fmoc :9−フルオレニルメチルオキシカルボニル Z :ベンジルオキシカルボニルt Bu :t−ブチル OtBu :t−ブトキシ TFA :トリフルオロ酢酸 TEA :トリエチルアミン DMF :N,N−ジメチルホルムアミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド DIC :N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド HONB :N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,
3−ジカルボキシイミド HOBT :1−ハイドロキシベンゾトリアゾール DCM :ジクロロメタン THF :テトラヒドロフラン WSC :水溶性カルボジイミド・塩酸塩 DMAP :4−ジメチルアミノピリジン R− :R−配位 S− :S−配位
【0019】本文中の化合物の基本骨格となる化合物は
次式で表される、2−アミノ−6,7−ジヒドロキシ−
4−チアヘプタン酸である。
【化3】 本文中でチアヘプタノイルはTHTと表記し、チアヘプ
タン酸はTHT−OHと表記する。また、n−ヘキサデ
カノイルはPamと、n−ヘキサデカノイルオキシはP
amOと、テトラデカノイルはMyrと表記する。
【0020】一般式(I)で表わされる化合物またはそ
の塩は、例えば一般式(II)
【化4】 〔式中、R1、R2、R4およびXは前記と同意義を有す
る〕で表わされる化合物またはその塩をN−アシル化
し、ついで所望により脱保護基反応に付すことより製造
することができる。N−アシル化は、遊離のアミノ基を
有する原料化合物とR3で示される脂肪族アシル基を含
むアシル化剤、例えばカルボン酸の反応性誘導体など、
とを反応させることにより行うことができる。ここにお
いて、カルボン酸の反応性誘導体としては、例えば酸ハ
ライド、酸無水物、混合酸無水物、アミド化合物、活性
エステル、活性チオエステルなどが用いられる。このよ
うな反応性誘導体を具体的に述べると次の通りである。 1)酸ハライド ここで酸ハライドとしては、例えば酸クロリド、酸ブロ
ミドなどが用いられる。 2)酸無水物、混合酸無水物 ここで酸無水物としては、例えばモノアルキル炭酸混合
酸無水物、脂肪族カルボン酸(例えば酢酸、吉草酸、ヘ
キサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸な
ど)からなる混合酸無水物、芳香族カルボン酸(例えば
安息香酸など)からなる混合酸無水物,対称型酸無水物
などが用いられる。
【0021】3)アミド化合物 ここでアミド化合物としては、例えばピラゾール、イミ
ダゾ−ル、4-置換イミダゾ−ル、ジメチルピラゾール、
ベンゾトリアゾールなどの環内の窒素にアシル基が結合
した化合物が用いられる。 4)活性エステル ここで活性エステルとしては、例えばメチルエステル、
エチルエステル、メトキシメチルエステル、プロパルギ
ルエステル、4−ニトロフェニルエステル、2,4−ジ
ニトロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステ
ル、ペンタクロロフェニルエステル、メシルフェニルエ
ステルなどのエステルの他、1−ヒドロキシ−1H−2
−ピリドン、N−ヒドロキシサクシンイミド、N−ヒド
ロキシフタールイミド、1−ハイドロキシベンゾトリア
ゾール(HOBT)などとのエステルが用いられる。 5)カルボン酸とカルボジイミドとの反応によって生成
する反応性誘導体 ここでカルボジイミドとしては、例えばN,N’−ジシ
クロヘキシルカルボジイミド(DCC)、塩酸 1−エ
チル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジ
イミド(WSC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジ
イミド(DIC)などの縮合剤が用いられる。 以上のような各種反応性誘導体はカルボン酸の種類によ
って適宜選択される。 このような反応性誘導体は単離されることもあるが、反
応容器内で発生させてそのままアミノ基と反応させる場
合もある。
【0022】上記N−アシル化は、塩基の存在下に実施
してもよい。この際、用いられる塩基としては、例えば
脂肪族第三アミン(例えばトリメチルアミン、トリエチ
ルアミン(TEA)、トリプロピルアミン、N,N−ジ
イソプロピルエチルアミンなど)、N−メチルピペリジ
ン、N−メチルピロリジン、シクロヘキシルジメチルア
ミン、N−メチルモルフォリンなどの第三アミン、例え
ばジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジシク
ロヘキシルアミンなどのジアルキルアミン、例えばピリ
ジン、ルチジン、コリジンなどの芳香族アミン、例えば
リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、
例えばカルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金
属などの水酸化物または炭酸塩などが挙げられる。これ
らの塩基のうち液体のものは溶媒を兼ねて使用すること
も出来る。N−アシル化においては、原料化合物1モル
に対してカルボン酸の反応性誘導体を通常1モル用いる
が、反応に支障のない限り過剰に用いることも出来る。
塩基を用いる場合の使用量は、用いられる原料化合物、
カルボン酸の反応性誘導体の種類、その他の反応条件に
よって異なるが、化合物1モルに対して通常約1ないし
5モル、好ましくは約1ないし3モルである。
【0023】N−アシル化は、通常溶媒中で行われる。
該溶媒としては、例えばジオキサン、テトラヒドロフラ
ン(THF)、ジエチルエ−テル、ジイソプロピルエ−
テル、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのエ
−テル類、例えば酢酸エチル、ギ酸エチルなどのエステ
ル類、例えばクロロホルム、ジクロロメタン(DC
M)、 1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリク
ロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類,例えばベンゼ
ン、トルエン、n−ヘキサンなどの炭化水素類,例えば
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセ
トアミドなどのアミド類、例えばアセトニトリルなどの
ニトリル類などが用いられる。これらの溶媒は単独でま
たは適宜の割合で混合して用いられる。反応温度は反応
が進行する限り特に限定されないが、通常約−50℃な
いし150℃、好ましくは−30℃ないし80℃で行わ
れる。反応時間は、用いられる原料、塩基、反応温度、
溶媒の種類により異なるが,通常数十分から数十時間で
ある。また、反応に数十日間を要する場合もある。上記
した脱保護基反応は自体公知の方法、例えばペプチド化
学において常用の方法により行うことができる〔泉屋信
夫、大野素徳、加藤哲夫、青柳東彦著、合成化学シリー
ズ、ペプチド合成、丸善株式会社発行、1975年参
照〕。
【0024】ウレタン型保護基で保護されたアミノ基の
脱保護基反応は、無溶媒もしくは反応に悪影響を与えな
い溶媒中で、酸と接触することにより行われる。該溶媒
としては、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ア
ルコール類(例、メタノール、エタノールなど)、水お
よびこれらの適宜の割合の混合物が用いられる。酸とし
ては、例えばハロ酢酸(例、トリフルオロ酢酸など)、
ハロゲン化水素酸(例、塩化水素酸、臭化水素酸など)
等が用いられる。N−ベンジルオキシカルボニル基、N
−4−メトキシベンジルオキシカルボニル基は、例えば
パラジウム触媒(例、パラジウム炭素、パラジウム/硫
酸バリウム、パラジウム黒)又はロジウム触媒を用いて
接触水素添加によって除去するのが有利である。その際
文献から公知の溶剤、例えば環状エーテル(例、テトラ
ヒドロフランなど)、アルコール類(例、メタノール、
エタノールなど)等を場合により他の不活性溶剤〔例、
低級脂肪族酸アミド(例、ジメチルホルムアミドなど)
など〕と混合して使用する。
【0025】N−9−フルオレニルメチルオキシカルボ
ニル基は、例えばジエチルアミン、ピペリジン、モルホ
リン、4−ジメチルアミノピリジン、ジシクロヘキシル
アミンなどの有機アミン類を用いて除去するのが有利で
ある。反応は、反応に悪影響を与えない溶媒中で行われ
る。該溶媒としては、例えばアミド類(例、ジメチルホ
ルムアミド、アセトアミドなど)、アルコール類(例、
メタノール、エタノールなど)、ハロゲン化炭化水素類
(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロ
ロエタンなど)等、もしくはこれらの適宜の割合の混合
物が用いられる。N−2,2,2−トリクロロエチルオ
キシカルボニル基は、有機カルボン酸(例、酢酸、プロ
ピオン酸など)と共に、金属(例、亜鉛など)を用いて
除去するのが有利である。反応は、反応に悪影響を与え
ない溶媒中で行われる。該溶媒としては、上記有機カル
ボン酸、アルコール類(例、メタノール、エタノールな
ど)、水等、もしくはこれらの適宜の割合の混合物が用
いられる。例えばアシル化ヒドロキシ基の脱アシルは、
適当な溶媒中、ハロ酢酸(例、トリフルオロ酢酸な
ど)、ハロゲン化水素酸(例、塩化水素酸、臭化水素酸
など)等の酸で加水分解することにより行うことができ
る。
【0026】O−ベンジル基は、例えばパラジウム触媒
(例、パラジウム炭素、パラジウム/硫酸バリウム、パ
ラジウム黒)又はロジウム触媒を用いて接触水素添加に
よって除去するのが有利であり、その際文献から公知の
溶剤、例えばアルコール類(例、メタノール,エタノー
ル等)、環状エーテル(例、テトラヒドロフランなど)
を場合により他の不活性溶剤〔例、低級脂肪族酸アミド
(例、ジメチルホルムアミドなど)など〕と混合して使
用する。O−テトラヒドロピラニル基またはO−tert−
ブチル基は、上記脱アシルと同様に、酸による加水分解
により行うことができる。カルボキシル保護基の脱離
は、上記と同様に、酸による加水分解により行うことが
できる。また、例えばベンジルエステルは、前記の脱離
の場合と同様に接触水素添加によって脱離することがで
きる。前記の2−(トリメチルシリル)−エチル基は中
性条件下に、例えば弗化水素酸の塩、例えば特に第四級
窒素塩基と弗化水素酸の塩(例、テトラエチルアンモニ
ウムフルオリドなど)を適当な溶剤中で作用させること
によって脱離させることができる。
【0027】一般式(II)で表される化合物またはその
塩は、一般式(III)
【化5】 〔式中、R1、R2、R4およびXは前記と同意義を有
し、R5はアミノ基の保護基を示す〕で表される化合物
またはその塩をアミノ基の脱保護基反応に付すことによ
り製造することができる。化合物(II)の具体例とし
て、例えば以下の化合物が挙げられる。 化合物 参考例 番号 番号 構造式 N-1 2 (2R,6R)-2-アミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-Gly-Gly-Gly- Glu-(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBu
【0028】上記一般式(III)において、R5で表され
るアミノ基の保護基は、前述のアミノ基の保護基と同様
のものが用いられる。R5で表されるアミノ基の保護基
の脱保護基反応は自体公知の方法、例えば前述のペプチ
ド化学に常用の方法によって行うことができる。前記一
般式(III)で表される化合物またはその塩は、そのペ
プチド結合の任意の位置でいくつかのフラグメントに分
割し、反応性カルボキシル基を有するフラグメントと、
反応性アミノ基を有するフラグメントとをペプチド合成
の常套手段を用いて順次縮合させることにより製造し得
る。
【0029】ペプチド合成の常套手段としては、例えば
液相合成法、固相合成法のいずれによってもよい。その
ようなペプチド合成の手段は、任意の公知の方法に従え
ばよく、たとえば、エム・ボンドスキイ(M. Bondask
y)およびエム・オンデッテイ(M. Ondetti)著、ペプ
チド・シンセシス(Peptide Synthesis)、インターサ
イエンス、ニューヨーク、1966年;エフ・エム・フ
ィン(F. M. Finn)およびケイ・ホフマン(K. Hofman
n)著、ザ・プロテインズ(The Proteins)、第2巻、
エイチ・ネンラス(H. Nenrath)およびアール・エル・
ヒル(R. L. Hill)編集、アカデミックプレスインク、
ニューヨーク、1976年:泉屋信夫他著、「ペプチド
合成の基礎と実験」丸善(株)1985年;矢島治明、
榊原俊平他著、生化学実験講座1、日本生化学会編、東
京化学同人 1977年;木村俊他著、続生化学実験講
座2、日本生化学会編、東京化学同人 1987年;ジ
ェイ・エム・スチワート(J. M. Stewart)およびジェ
イ・デイ・ヤング(J. D. Young)著、ソリッド・フェ
イズ・ペプチド・シンセシス(Solid Phase Peptide Sy
nthesis)、ピアスケミカルカンパニー、イリノイ、1
984年などに記載された方法またはそれに準じた方法
により製造される。該方法の具体例として、例えば、ア
ジド法、クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、
DCC法、活性エステル法、ウッドワード試薬Kを用い
る方法、カルボニルイミダゾール法、酸化還元法、N,
N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)/N−
ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシ
イミド(HONB)法、N,N’−ジイソプロピルカルボ
ジイミド(DIC)/HONB法, 水溶性カルボジイミド
・塩酸塩( WSC)/1−ハイドロキシベンゾトリアゾー
ル (HOBT)法、ベンゾトリアゾール−1−イルオキ
シトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフル
オロホスフェート(BOP)試薬を用いる方法、シアノリ
ン酸ジエチル(DEPC)を用いる方法などが挙げられ
る。
【0030】これらの方法を用いた場合、原料のカルボ
キシル基の活性化された化合物としては、例えば対応す
る酸無水物、アジド,活性エステル〔例、アルコール
(例、ペンタクロロフェノール、2,4,5−トリクロ
ロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、シアノメ
チルアルコール、p−ニトロフェノール、N−ハイドロ
キシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミ
ド、N−ハイドロキシスクシイミド、N−ハイドロキシ
フタルイミド、N−ハイドロキシベンズトリアゾール)
とのエステルなど〕などが挙げられる。原料のアミノ基
の活性化されたものとしては、例えば対応するリン酸ア
ミドが挙げられる。縮合反応は溶媒の存在下に行うこと
ができる。溶媒としては、ペプチド縮合反応に使用しう
ることが知られているものから適宜選択されうる。例え
ば無水又は含水のホルムアミド,ジメチルホルムアミ
ド,N−メチルピロリドンなどのアミド類、ジメチルス
ルホキサイドなどのスルホキシド類、ピリジンなどの芳
香族アミン類、クロロホルム,ジクロロメタンなどのハ
ロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン,ジオキサン
などのエーテル類、アセトニトリルなどのニトリル類、
酢酸エチル,ギ酸エチルなどのエステル類、あるいはこ
れらの適宜の割合の混合物などが挙げられる。反応温度
は、ペプチド結合形成反応に使用されうることが知られ
ている範囲から適宜選択される。具体的には、例えば通
常約−20℃〜約40℃の範囲から適宜選択される。反
応時間は、ペプチド結合形成反応に要することが知られ
ている範囲から適宜選択される。具体的には、例えば数
分から48時間程度反応させる。
【0031】上記一般式(III)で表わされる化合物ま
たはその塩を合成する場合の原料フラグメントの好まし
い具体例として、例えば一般式(IV) H-X-OR4 (IV) 〔式中、R4およびXは前記と同意義を有する〕で表さ
れる化合物またはその塩が挙げられる。化合物(IV)ま
たはその塩は、上述のペプチド合成の常套手段を適宜用
いることにより製造できる。化合物(IV)の好ましい具
体例として、例えば下記に示す化合物が挙げられる。 化合物番号 構造式 P-1 H-Gly-Gly-Gly-Glu(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBu
【0032】さらに上記化合物(IV)と組み合わせるも
う一方の原料フラグメントとして一般式(V)
【化6】 〔式中、R1,R2およびR5は前記と同意義を有する〕
で表される化合物またはその塩が用いられる。
【0033】化合物(V)またはその塩はR1およびR2
が同一の基の場合、自体公知の方法〔例、インターナシ
ョナル・ジャーナル・オブ・ペプチド・アンド・プロテ
イン・リサーチ(International Journal of Peptide a
nd Protein Research)、第38巻、1991年、54
5〜554頁、ケミカル・アンド・ファーマシューティ
カル・ブレチン(Chemical and Pharmaceutical Bullet
in)、第39巻、2590〜2596頁〕を適宜応用す
ることにより製造できる。
【0034】また、R1およびR2が異なる基の場合の最
も一般的な製造ルートを以下に述べる。先ず、グリセリ
ン誘導体、例えばグリシドール,エピクロルヒドリンな
どのモノアシル体を調製する。一方、アミノ基およびカ
ルボキシル基が保護されたシスチンのジスルフィド結合
を還元的に開裂してシステイン誘導体とし、これに上記
モノアシルグリセリン誘導体を付加させることによりア
ミノ基およびカルボキシル基が保護された2−アミノ−
6−ヒドロキシ−7−アシルオキシ−4−チアヘプタン
酸を得ることができる。この反応において、R−(+)
−グリシドールを用いれば(6R)−2−アミノ−6−
ヒドロキシ−7−アシルオキシ−4−チアヘプタン酸誘
導体が得られ、S−(−)−グリシドールを用いれば、
(6S)−2−アミノ−6−ヒドロキシ−7−アシルオ
キシ−4−チアヘプタン酸誘導体が得られる。上記反応
で得られた 2−アミノ−6−ヒドロキシ−7−アシル
オキシ−4−チアヘプタン酸誘導体の6位水酸基を常法
によってアシル化することにより、O−アシル基の異な
る 2−アミノ−6,7−ビス(アシルオキシ)−4−
チアヘプタン酸誘導体を得ることができる。
【0035】上記製造法の変法としてアシルグリセリン
誘導体の代わりにグリシドールなどを直接用いることに
より、2−アミノ−6,7−ジヒドロキシ−4−チアヘ
プタン酸誘導体が得られるが、これを常法によりアシル
化すると、同一のO−アシル基を有する2−アミノ−
6,7−ビス(アシルオキシ)−4−チアヘプタン酸誘
導体が簡便に得られる。かくして得られた2−アミノ−
6,7−ビス(アシルオキシ)−4−チアヘプタン酸誘
導体のカルボキシル基の保護基を、例えば前述の方法で
除去することにより、アミノ基が保護された2−アミノ
−6,7−ビス(アシルオキシ)−4−チアヘプタン酸
を調製することが出来る。化合物(V)の好ましい具体
例としては、例えばアミノ基が保護された 2−アミノ
−6,7−ビス(アシルオキシ)−4−チアヘプタン酸
が挙げられる。さらに具体例を挙げれば、例えば下記に
示す化合物である。 化合物番号 構造式 GC-1 (2R,6R)-2-Fmocアミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-OH
【0036】このようにして製造された化合物(I)ま
たはその塩は反応終了後、ペプチドの分離手段、例え
ば、抽出,分配,再沈殿,結晶化,再結晶,各種クロマ
トグラフィー,高速液体クロマトグラフィーなどによっ
て採取される。化合物(I)は自体公知の方法により塩
基との塩、とりわけ薬学的に許容される塩基との塩とす
ることができる。該塩基としては、ナトリウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属、カルシウム塩、マグネシウム塩
などのアルカリ土類金属、トリエチルアミン、ピペリジ
ンなどの有機塩基が挙げられる。さらに、酸付加塩、と
りわけ薬理学的に許容される酸付加塩としても得ること
ができる。該酸としては、例えば無機酸(例、塩酸、硫
酸、リン酸等)あるいは有機酸(例、酢酸、プロピオン
酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、蓚酸等)などが挙げ
られる。 上記の化合物(II)から(V)の塩も化合物
(I)の塩と同様な塩が用いられる。
【0037】化合物(I)またはその塩を含有する製剤
は、造血不全状態を著しく改善する能力を有し、哺乳動
物(例、ヒト、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ等)の癌
の放射線療法や化学療法などによって生じる血小板減少
症の治療剤として、さらには骨髄移植後の血小板減少症
や血小板減少を伴う自己免疫疾患(例、再生不良性貧
血、突発性血小板減少性紫斑症等)などの予防や治療に
安全に利用できる。放射線療法や化学療法等により血小
板減少が生じる可能性がある場合、放射線療法や化学療
法の前にあらかじめ投与しておくこともできる。化合物
(I)またはその塩を含有する製剤は、毒性も低く安全
に用いられる。例えばヒトに投与するための化合物
(I)またはその塩を含有する製剤は、化合物(I)ま
たはその塩自体あるいは適宜の薬理学的に許容される担
体、賦形剤、希釈剤と混合し製造することができる。化
合物(I)またはその塩を含有する医薬組成物として
は、経口剤(例、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤)、
注射剤、点滴剤、外用剤(例、経鼻投与製剤、経皮製剤
など)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤)などが挙げられ
る。これらの製剤は、製剤工程において通常一般に用い
られる自体公知の方法により製造することができる。
【0038】化合物(I)またはその塩は分散剤(例、
ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米
国),HCO 60(日光ケミカルズ製)ポリエチレン
グリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸
ナトリウムなど)、保存剤(例、メチルパラベン、プロ
ピルパラベン、ベンジルアルコールなど)、等張化剤
(例、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、
ブドウ糖など)などと共に水性注射剤に、あるいはオリ
ーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油などの植物油、プロ
ピレングリコールなどに溶解、懸濁あるいは乳化して油
性注射剤に成形し、注射剤とすることができる。
【0039】経口投与製剤にするには、自体公知の方法
に従い、化合物(I)またはその塩をたとえば賦形剤
(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤(例、デン
プン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプン、
アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニ
ールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)
または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウ
ム、ポリエチレングリコール 6000など)などを添
加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキン
グ、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法
でコーティングすることにより経口投与製剤とすること
ができる。そのコーティング剤としては、例えばヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒ
ドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン 8
0、ブルロニック F 68、セルロースアセテートフタ
レート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレー
ト、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネー
ト、オイドラギット(ローム社製、ドイツ,メタアクリ
ル酸・アクリル酸共重合体)および酸化チタン、ベンガ
ラ等の色素が用いられる。腸溶性被覆層と中心核との間
に自体公知の方法により中間層を設けてもよい。
【0040】外用剤とするには、自体公知の方法に従
い、化合物(I)またはその塩を固状、半固状または液
状の外用投与剤とすることができる。たとえば、上記固
状のものとしては、化合物(I)またはその塩をそのま
ま、あるいは賦形剤(例、グリコール、マンニトール、
デンプン、微結晶セルロースなど)、増粘剤(例、天然
ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体など)な
どを添加、混合して粉状の組成物とする。上記液状のも
のとしては、注射剤の場合とほとんど同様で、油性ある
いは水性懸濁剤とする。半固状の場合は、水性または油
性のゲル剤、あるいは軟膏状のものがよい。また、これ
らはいずれも、pH調節剤(例、炭酸、リン酸、クエン
酸、塩酸、水酸化ナトリウムなど)、防腐剤(例、パラ
オキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベ
ンザルコニウムなど)などを加えてもよい。
【0041】たとえば坐剤とするには、自体公知の方法
にしたがい、化合物(I)またはその塩を油性または水
性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とすることができ
る。上記組成物に用いる油性基剤としては、例えば高級
脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類
(ダイナマイトノーベル社製、ドイツ)など〕、中級脂
肪酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社
製、ドイツ)など〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大
豆油、綿実油など)などが挙げられる。また、水性基剤
としては、たとえばポリエチレングリコール類、プロピ
レングリコール、水性ゲル基剤としては、たとえば天然
ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル
酸重合体などが挙げられる。化合物(I)またはその塩
を注射剤としてヒトに用いる場合の投与量は対象の疾
患、投与経路、投与する患者個々の年齢及び疾病の程度
によって変動し得るが、通常の成人患者(体重50kg)
の場合、有効成分1日約0.05μg 〜50mg、好まし
くは約0.5μg 〜10mg、特に好ましくは約2.5μ
g 〜0.25mgを1回又は2〜3回にわけて投与する。
【0042】
【実施例】以下に参考例、実験例、実施例を挙げて、本
発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が
限定されるものではない。混合溶媒において混合比を示
した数値は各溶媒の容量混合比である。 参考例1 H-Gly-Gly-Gly-Glu(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBu (P-
1) の製造 H-Gly-Gly-Gly-OH (10.0 g、52.9 mmol、ペプチド研
製)を4N水酸化ナトリウム水(13.3 ml)に溶解し、
氷冷下、4N水酸化ナトリウム水(15.9 ml)、ベンジ
ルオキシカルボニルクロリド(9.31 ml)を加えて、2
0℃にて一夜撹拌した。反応液をエーテルで洗浄した。
氷冷下、水層に5M塩酸を加えてpH3とし、冷所に一
夜放置して析出した結晶をろ取して、冷水で洗浄後、乾
燥した。得られた結晶は精製することなく用いた。収量
13.4g(収率 78.5 %)
【0043】上記で得られた Z-Gly-Gly-Gly-OH (3.04
g、9.41 mmol)をDMF(200 ml) に溶解し、氷冷
下、HONB(1.86 g、10.4 mmol)、DCC (2.14 g,
10.4mmol)を加えて、氷冷下2時間撹拌した後、不溶物
を濾去した。Z-Glu(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBu(6.
66 g, 9.41 mmol)をメタノール(300 ml)に溶解し、
10%(w/w)パラジウム−炭素を加え、常温常圧の水
素気流下、2時間撹拌した。触媒を除き、溶媒を留去し
たのち、残留物にDMF(150 ml) を加えて溶解した。
氷冷下、ジイソプロピルエチルアミン (1.80 ml, 10.4
mmol)を加えて撹拌し、上記で調製した溶液を加え、2
0℃で一夜撹拌した。溶媒を留去し、クロロホルム、水
を加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を、
10%(W/V)クエン酸水、水、飽和炭酸水素ナトリウ
ム水、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒
を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー〔5%(V/V)メタノール−クロロホルム〕で精製
し、さらに酢酸エチル−アセトニトリルから再結晶して
Z-Gly-Gly-Gly-Glu(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBuの
結晶を得た。 収量5.74g(収率 75.4 %) 融点 167.5-168.0 ℃ 〔α〕D 25+7.28°(c=1.03 DMF 中) 元素分析値 C43H70N6O13 として、 計算値:C, 58.75; H, 8.03; N,9.56 実験値:C, 58.52; H, 7.78; N,9.35 アミノ酸分析〔6N 塩酸,110 ℃,24 時間加水分解;
( )内は理論値を示す〕: Glu 1.00(1); Thr 1.81
(2); Gly 2.84(3) 上記で得られた Z-Gly-Gly-Gly-Glu(OtBu)-Thr(tBu)-Th
r(tBu)-OtBu (1.97 g,2.24 mmol)をメタノール (60 ml)
に溶解し、10%(w/w)パラジウム−炭素 (120 mg) を
加え、常温常圧の水素気流下、2時間撹拌した。触媒を
除き、溶媒を留去することにより、P−1の固形物を得
た。収量1.64g(収率 98 %) FAB-マススペクトル(M+H)=879 (理論値=879)
【0044】参考例2 (2R,6R)-2-Fmocアミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-OH (化合
物GC-1) の製造 a)文献〔ジェイ・ダブリュ・メツイガー(J. W. Metz
ger)ら、インターナショナル・ジャーナル・オブ・ペ
プチド・アンド・プロテイン・リサーチ(Int.J. Pepti
de Protein Res.)、第38巻、545頁、1991
年〕に記載の方法で調製した (Fmoc-(R)-Cys-OtBu)2 (1
0.0 g, 12.5 mmol) をDCM(80 ml) に溶解し、氷冷
下、亜鉛末 (3.27 g, 50.0 mmol) およびMeOH(メタ
ノール以下同じ)−36%(w/v)塩酸-濃硫酸 (100:7:1)
の混合液(以下、酸混合液と記述する)(40 ml) を加
え、20℃にて20分間撹拌した。反応混合物に (R)-
(+)-グリシドール (8.29 ml, 125 mmol) を加え、40
℃にて2.5時間撹拌した。反応混合物を50mlにな
るまで濃縮後、不溶物を濾別した。濾液に飽和食塩水
(200ml) を加え、DCM(2 x 300ml)にて抽出した、
DCM 層を合わせ、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、
濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
に付し、酢酸エチル−ヘキサン(1:1,3:1)にて順次溶
出した。目的物を含む画分を集めて濃縮し、(2R,6R)-2-
Fmocアミノ-6,7-ジヒドロキシ-4-THT-OtBu (化合物 GC-
1a) を白色粉末 (10.9g、収率92%)として得た。 化合物 GC-1a:〔α〕D 21−8.8゜(c=0.65, クロロホル
ム中) 元素分析値 C25H31NO6S・0.5H2O として 計算値: C, 62.22; H, 6.68; N, 2.90; S, 6.64 実験値: C, 62.14; H, 6.66; N, 2.81; S, 6.54
【0045】b)化合物 GC-1a (3.9 g, 8.23 mmol) を
THF(70ml) に溶解し、パルミチン酸 (6.33 g, 24.7
mmol)、DIC(3.87 ml, 24.7 mmol)および4−ジメチ
ルアミノピリジン (DMAP, 402 mg, 3.29 mmol) を加
え、20℃にて13時間撹拌した。反応混合物を濃縮
し、残渣を10%(W/V)クエン酸水 (200 ml) に懸濁
し、酢酸エチル (2 X 200 ml) にて抽出した。酢酸エチ
ル層を水洗し、濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル−ヘキサン
(1:20, 1:10) にて順次溶出した。目的物を含む画分を
集めて濃縮し、ヘキサンから結晶化して、(2R,6R)-2-Fm
ocアミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-OtBu (化合物GC-1b)
を無色の結晶 (4.76 g) として得た。 化合物 GC-1b:融点 58.0 ℃ 元素分析値 C57H91NO8S として 計算値: C, 72.03; H, 9.65; N, 1.47; S, 3.37 実験値: C, 71.94; H, 9.58; N, 1.43; S, 3.36
【0046】c)化合物 GC-1b (2.5 g, 2.63 mmol) を
TFA(50 ml) に溶解し、20℃にて1.5時間放置し
た。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルから再結晶
化して、(2R,6R)-2-Fmocアミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-
OH (化合物 GC-1) を無色の結晶 (2.2 g) として得た。 化合物 GC-1: 融点 90.0 ℃ 〔α〕D 20+12.9゜(c=0.73, クロロホルム中) 元素分析値 C53H83NO8S として 計算値: C, 71.18; H, 9.35; N, 1.57; S, 3.59 実験値:C, 71.23; H, 9.12; N, 1.54; S, 3.47
【0047】参考例3 (2R,6R)-2-アミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-Gly-Gly-Gly-
Glu(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBu(化合物 N-1)の製
造 a)参考例2で合成した化合物 GC-1(500 mg)をDM
F(5 ml)に溶解し、氷冷下HONB(110 mg)、DI
C(96 μl)および参考例1で得た H-Gly-Gly-Gly-Glu
(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBu (P-1) (458 mg) を加
え、20℃で 15時間撹拌した。反応混合物を濃縮し
たのち、残渣をクロロホルムに溶解し、10%(W/V)ク
エン酸水、水、飽和炭酸水素ナトリウム水、および水で
順次洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで
乾燥し、濃縮した。残渣にアセトニトリルを加えて濾取
し、(2R,6R)-2-Fmocアミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-Gly-
Gly-Gly-Glu(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBu (化合物N-
1a) の白色粉末 (873 mg) を得た。 化合物 N-1a: 〔α〕D 20+3.4゜(c=0.66, クロロホル
ム中) 元素分析値 C88H145N7O18S・0.5H2O として 計算値: C, 64.84; H, 9.03; N, 6.01; S, 1.97 実験値: C, 64.88; H, 9.18; N, 6.08; S, 1.95
【0048】b)化合物 N-1a(770 mg)をDMF(7 m
l)に溶解し、ピペリジン(0.7 ml)を加え、20℃で
1時間撹拌した。反応混合物を濃縮後、シリカゲルクロ
マトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール(5
0:1,20:1)で順次溶出した。目的物を含む画分を集めて
濃縮し、(2R,6R)-2-アミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-Gly-
Gly-Gly-Glu(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBu (化合物N-
1) の白色粉末 (623 mg、収率 94%) を得た。 化合物 N-1:〔α〕D 20+4.9゜(c=0.55, クロロホルム
中) 元素分析値 C73H135N7O16S・0.5H2O として 計算値: C, 62.27; H, 9.74; N, 6.96; S, 2.28 実験値:C, 62.31; H, 9.73; N, 6.99; S, 2.19
【0049】参考例4 (2R,6R)-2-Myrアミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-Gly-Gly-G
ly-Glu-Thr-Thr-OH(化合物1)の製造 (2R,6R)-2-アミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-Gly-Gly-Gly-
Glu(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBu (N-1) を出発原料
とし、(2R,6R)-2-Myrアミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-Gly
-Gly-Gly-Glu(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBu(化合物1
a)を経由して化合物1を製造した。 a)参考例3で製造した化合物 N-1 (180 mg) と ミリ
スチン酸(36 mg)をDMF(2.0 ml)に溶解し、氷冷
下HOBT(21 mg)とDIC(24 μl)を加え、20℃
にて40時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をク
ロロホルム(50 ml)に溶解した。この溶液を10%(W
/V)クエン酸水、飽和炭酸水素ナトリウム水および水に
て順次洗浄後、クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムに
て乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフ
ィーに付し、クロロホルム次いでクロロホルム−メタノ
ール(50:1)にて展開した。目的物を含む画分を集めて
濃縮し、(2R,6R)-2-Myrアミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-G
ly-Gly-Gly-Glu(OtBu)-Thr(tBu)-Thr(tBu)-OtBu (化合
物1a) の白色粉末(193 mg)を得た。 化合物 1a:〔α〕D 20 −5.4゜(c=0.55, クロロホルム
中) 元素分析値 C87H161N7O17S として 計算値: C, 64.93; H, 10.08; N, 6.09; S, 1.99 実験値: C, 64.99; H, 9.64; N, 6.02; S, 1.89
【0050】b)化合物 1a (138 mg) をTFA(1.4 m
l)に溶解し、20℃ にて1.5時間静置した。反応混
合物を濃縮し、残渣をアセトニトリルに懸濁させて濾取
すると、(2R,6R)-2-Myrアミノ-6,7-ビス(PamO)-4-THT-G
ly-Gly-Gly-Glu-Thr-Thr-OH(化合物1) の白色粉末 (11
4 mg) が得られた。 化合物 1:〔α〕D 21 −13.7゜(c=0.52, 5% TFA-クロ
ロホルム中) 元素分析値 C71H129N7O17S・1.5H2O として 計算値: C, 60.40; H, 9.42; N, 6.94; S, 2.27 実験値: C, 60.20; H, 9.38; N, 6.89; S, 2.24
【0051】次に化合物(I)またはその塩の血小板増
加作用について説明する。 実験例1 巨核球コロニー形成促進作用 測定法:巨核球コロニー形成は、血漿凝塊法〔溝口ら、
エキスペリメンタル・ヘマトロジー(Experimental Hem
atology)第7巻、343〜351頁(1979年)〕
によって測定した。すなわち、常法に従って調製したB
ALB/c マウスの骨髄細胞(5×105/ml)と共に
20%(v/v)牛胎児血清〔バイオ・ウイッタカー(Bio
Whittaker)社製、以下BWと略記、米国〕、1%(w/
v)血清アルブミン、0.026mg/ml CaCl2、0.
02mg/ml L−アスパラギン、10%(w/v)クエン酸ナ
トリウム加ウシ血漿、20%(v/v)NCTC−109
培地〔ギブコ・ビー・アール・エル(Gibco BRL)社製、
米国〕、適宜の濃度の化合物1の溶液を混和し、その
0.4ml をプラスチックプレート〔35mm×10mm:ヌン
ク(Nunc)社製、デンマーク〕上で凝固させた。その凝塊
の周囲に10%(v/v) ウシ胎児血清を含むα−MEM培
地(BW製、米国)を0.6ml 加え、5% CO2で37
℃、7日間培養した。培養終了後、周囲の液を除き、凝
塊に濾紙を重ねて脱水し、その上から5%(v/v) グルタ
ルアルデヒドを滴下して、室温で10分間固定した。固
定後、濾紙を除き、0.1Mリン酸緩衝液(pH 6.0)で
洗浄し、次いでアセチルコリンエステラーゼ(以下、A
chEと略記)染色を行った。染色液は、0.1Mリン酸
緩衝液 45ml にヨウ化アセチルチオコリン 30mgを
溶解し、これに30mM 硫酸銅 6ml、0.1M クエン酸
ナトリウム3ml、5mM フェリシアン化カリウム6ml を
順次加えて調製した。この染色液を各プレートに2ml
ずつ添加し、33℃で4 〜 6時間静置した後、巨核球
を含むコロニーの数を算定した。その結果を〔表1〕に
示す。
【表1】 巨核球コロニー増加作用 化合物 濃度(ng/ml) 巨核球コロニー形成率 a) 1 4 1.43 a) 化合物無添加群の巨核球コロニー数を1として表示。
【0052】実験例2 AchE陽性細胞増加作用 測定法:AchE活性は、蛍光測定法〔石橋ら、プロシー
ディングス・オブ・ザ・ナショナルアカデミー・オブ・
サイエンシズ(Proceedings of the National Academyo
f Sciences, U.S.A.)第86巻、5953〜5957
頁、1989 年〕によって測定した。即ち、BALB
/cマウスの非接着性骨髄細胞を1%(v/v) ニュート
リドーマSP〔ベーリンガー・マンハイム(Boehringer
Mannheim)社製、ドイツ〕を含むイスコーブ改変ダルベ
ッコ培地〔ギブコ・ビー・アール・エル(Gibco BRL)社
製、米国〕で1×106/mlになるように懸濁し、あらか
じめ化合物1の溶液を25μl ずつ分注しておいた96
穴平底プレートに100μl ずつ添加した後、5%CO
2下で37℃、5日間培養した。培養終了後、6%(v/v)
グルタルアルデヒドを25μl ずつ加え、4℃で30
分間固定した。これを5℃で850×g、5分間遠心し
て上清を除き、100μl のリン酸緩衝生理食塩水
(PBS)で洗浄した。その後、各穴に100μl の0.
2%(v/v)ポリオキシエチレン−10−オクチルフェ
ニルエーテル(POPE と略記)、1mM EDTA、0.1
2M 塩化ナトリウム、50mM N−2−ヒドロキシエチ
ルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸(HEPES)
を含む緩衝液(pH7.5)を注入し、これにヨウ化アセチ
ルチオコリンの1.6mg/ml溶液を10μl ずつ添加し
て33℃、3時間反応させた。反応終了後、それぞれの
10μl を0.4mM 7−ジエチルアミノ−3−(4′
−マレイミジルフェニル)−4−メチルクマリン溶液
10μl と0.2%(v/v) POPE、1mM EDT
A、50mM 酢酸ナトリウムを含む緩衝液(pH5.0)10
0μl を加えて混和し、励起波長365nm、蛍光波長4
50nmで蛍光強度を測定した。その結果を〔表2〕に示
す。
【表2】AchE陽性細胞増加作用 化合物 濃度(ng/ml) AchE活性増加率 a) 1 1 1.59 a) 化合物無添加群の AchE活性を1として表示。
【0053】実験例3 血小板増加作用 測定法:9週齢の BALB/c雌マウス(一群5匹;
日本チャールス・リバー社より購入)に生理食塩水に溶
解したシクロフォスファミドを200mg/kg になるよう
に腹腔内投与し、その翌日から連続5日間、0.5%(w
/v)メチルセルロースに懸濁した化合物1を0.1mg/kg
/day になるように皮下投与した。最終投与の5日後に
末梢血を心臓より採血し、末梢血中の血小板数を全自動
多項目血球計数装置(Sysmex E−2500、東
亜医用電子社製)を用いて計測した。なお、対照となる
化合物1無投与群では、シクロフォスファミド投与の翌
日から連続5日間、0.5%(w/v) メチルセルロースの
みを皮下投与した。その結果を〔表3〕に示す。
【表3】血小板増加作用 化合物 投与量(mg/kg) 血小板増加率 a) 1 0.1 1.70 a) 化合物無投与群の血小板数の平均値を1として表示。
【0054】実験例4 毒性試験:化合物1をマウスに100mg/kg で腹腔内
投与しても死亡例を認めなかった。 以上述べた生物学
的データから明らかなように化合物(I)またはその塩
は、造血不全状態を著しく改善する能力を有し,毒性も
低く、マウス骨髄細胞の巨核球(血小板の前駆細胞)の増
殖・分化促進作用を有する。
【0055】実施例1 参考例4によって得られた化合物1(4 g) およびマンニ
トール(50 g)をポリエチレングリコール400を30
%(W/W)含む注射用蒸留水 (1リットル) に溶解し、
滅菌濾過して、アンプルに1mlずつ分注した。1アンプ
ル当たり、4mgの化合物1を含有する静注剤を製造し
た。
【0056】実施例2 参考例4によって得られた化合物1(40 mg) およびマン
ニトール(50 g)をポリエチレングリコール400を3
0%(W/W)含む注射用蒸留水 (1リットル)に溶解し、
滅菌濾過して、アンプルに1mlずつ分注した。1アンプ
ル当たり、40μgの化合物1を含有する静注剤を製造
した。
【0057】
【発明の効果】本発明の化合物(I)またはその塩を含
有してなる製剤は、癌の放射線療法や化学療法などによ
って生じる血小板減少症の治療剤として、さらには骨髄
移植後の血小板減少症の治療や血小板減少を伴う自己免
疫疾患(例、再生不良性貧血、突発性血小板減少性紫斑
症等)の予防や治療に安全に用い得る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 〔式中、R1およびR2はそれぞれ水素または脂肪族アシ
    ル基を、R3は脂肪族アシル基を、R4は水素または保護
    基を、Xは保護基を有していてもよい1から10個のア
    ミノ酸残基よりなるアミノ酸配列を示す〕で表される化
    合物またはその塩を含有してなる血小板減少症治療剤。
  2. 【請求項2】脂肪族アシル基の炭素数が2から30であ
    る請求項1記載の血小板減少症治療剤。
  3. 【請求項3】R1およびR2の少なくとも一方が脂肪族ア
    シル基である請求項1記載の血小板減少症治療剤。
  4. 【請求項4】Xが親水性基を有するアミノ酸の残基を少
    なくとも1個含む、保護基を有していてもよい1から1
    0個のアミノ酸残基よりなるアミノ酸配列である請求項
    1記載の血小板減少症治療剤。
  5. 【請求項5】親水性基を有するアミノ酸が酸性のアミノ
    酸である請求項4記載の血小板減少症治療剤。
  6. 【請求項6】親水性基を有するアミノ酸が塩基性のアミ
    ノ酸である請求項4記載の血小板減少症治療剤。
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