JPH0724946A - 車両用制振構造体 - Google Patents

車両用制振構造体

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JPH0724946A
JPH0724946A JP19383093A JP19383093A JPH0724946A JP H0724946 A JPH0724946 A JP H0724946A JP 19383093 A JP19383093 A JP 19383093A JP 19383093 A JP19383093 A JP 19383093A JP H0724946 A JPH0724946 A JP H0724946A
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誠規 矢田
Noboru Hino
昇 日野
Takamitsu Mikuni
隆光 三国
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両のドアパネル,フェンダーパネル等の振
動基板に加熱により融着し車両等の騒音低減材料として
好適な複合構造体を提供する。 【構成】 ポリ塩化ビニル,エポキシ樹脂等からなる発
泡性熱硬化性樹脂シートによるスペーサー層と,アクリ
レートポリマーを主成分としスペーサー上に積層される
制振材シートおよび制振材シート上に積層される金属板
拘束材シートから構成され,加熱によりスペーサー層が
発泡し,各シートおよび振動基板の接触面が融着一体化
するとともに,図1に示すような凹凸基板にも追従密着
し,振動基板に軽量で優れた制振性,剛性および補強性
を付与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,車両のフロアパネル,
ダッシュパネル,ホイルハウス等の振動し易い基板上に
熱融着成形により一体化される車両用制振構造体に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】車両のフロアパネル,ダッシュパネル,
ホイルハウス等の振動基板面には,従来よりアスファル
トを主成分とする熱融着性制振材が多用されている。ま
た、近年では,これらのアスファルト系制振材の上面に
拘束材としてスチールプレートやアルミニウムプレー
ト,或いはエポキシ樹脂,ジアリルフタレート樹脂等の
熱硬化性ポリマーのシートを積層して,いわゆる拘束型
制振構造体として,制振性能と剛性の向上を図ることに
より振動の低減を図る手法が利用されている。さらに最
近では,アスファルトを主成分とする制振材シートを発
泡させる手法により,特に制振性能を向上させる試みも
なされている。しかしながら,これらの制振構造には以
下の問題点がある。すなわち,アスファルトを主成分と
する熱融着型制振材シートのみで車両の振動基板の制振
を図る,いわゆるダブルレイヤー型制振構造体では,そ
の制振性能を向上させるには厚みを増大させる必要があ
り,これは車両重量を増大させることになる。また,こ
のような構造では振動を低減させるもう一つの手法であ
る剛性の向上は殆ど期待できない。また,このアスファ
ルトを主成分とする制振材シートを発泡性のものとし,
前記重量の増加を抑制する技術も最近多く利用され始め
ているが,実際の発泡倍率は1.2〜1.5倍程度であ
り実用的重量範囲での制振性能の向上幅は大きなもので
はない。さらに,このアスファルトを主成分とする制振
材シートの上にスチールプレートやアルミニウムプレー
ト,或いは未硬化のエポキシ樹脂,ジアリルフタレート
樹脂等の熱硬化性ポリマーのシートを拘束材として積層
し,加熱により熱硬化性ポリマーを硬化させるとともに
両者を一体化することにより,いわゆるサンドイッチ型
制振構造とする場合には,前記ダブルレイヤー型制振構
造体よりも制振性,剛性は向上するものの,その性能を
大幅に向上させるためには制振材シート,拘束材シート
ともにかなりの板厚を必要とするため,この場合におい
ても車両重量をかなり増大させることになる。従って,
実用的板厚の範囲においては,ダブルレイヤー型制振構
造体よりも効果的な振動低減特性が得られるが,それで
も最近の車両室内の騒音低減の要求から考えれば性能に
不足を来たしているのが現状である。
【0003】また,車両の振動基板においては,その剛
性を向上させるためにプレスで凹凸を付与したものがフ
ロアパネル,ダッシュパネル,ホイルハウス等に用いら
れることが多く,拘束材シートにスチールプレートやア
ルミニウムプレートを使用したサンドイッチ型制振構造
体では,加熱融着時にこの凹凸部分に追従,一体化しな
いため,事前に振動基板面の凹凸形状と同一の凹凸形状
を付与しておかなければならないという問題もあり,金
属シートを拘束材シートに利用すれば大幅な剛性の向上
が期待できるとわかりつつも,その使用の範囲は限定さ
れたものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,かか
る要望に基づき,従来の車両の振動基板に高い制振性と
剛性を付与し,必要に応じて車両の振動基板の凹凸形状
にも追従する車両用の制振構造体を提供するものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,車両に
おける振動基板上に積層される発泡性熱硬化性樹脂シー
トよりなるスペーサー層(I)と該スペーサー層上に積層
される制振材シート(II)および該制振材シート上に積層
される拘束材シート(III)より構成され,前記スペーサ
ー層(I)が塩化ビニル樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ樹
脂用硬化剤,可塑剤,発泡剤を必須成分とし,塩化ビニ
ル樹脂100重量部に対しエポキシ樹脂が20〜500
重量部であり,前記制振材シート(II)が−20℃以下に
調整されたガラス転移温度度(Tg)を有するポリアクリル
酸エステルを主成分としたシートよりなり,及び前記拘
束材シート(III)が金属シートであることを特徴とする
車両用制振構造体により,提供されるものである。ま
た,本発明は前記構造体を車両の振動基板と融着一体化
させることにより車両の重量増加が少ない範囲で優れた
制振性能を付与するとともに,剛性も飛躍的に向上させ
ることができ,かつ必要に応じては凹凸のある車両の振
動基板と融着一体化できる車両用構造体を提供するもの
である。さらに,この種の車両用構造体としては,塗装
等の乾燥工程での加熱処理により各層の反応,発泡,融
着一体化を完了させる必要があるが,本発明にかかわる
構造体はまさしくこれらの要求に適うものである。
【0006】以下、本発明に関する各構成層について説
明する。本発明に使用されるスペーサー層(I)は発泡性
熱硬化樹脂シートで,本構造体におけるスペーサーとし
ての機能を付与するものであり,車両用制振構造体にお
けるスペーサーとしての好ましい性状は,軽量で剛性が
高く,かつ塗装乾燥工程等で振動基板に密着,固定さ
れ,しかも,この工程で高倍率の発泡作用があることで
ある。本発明に供する発泡性熱硬化樹脂シートは,少な
くとも塩化ビニル樹脂,可塑剤,発泡剤,エポキシ樹
脂,エポキシ樹脂用硬化剤を必須成分とし,その他,任
意の気泡調整剤,充填剤,顔料,熱安定剤,粘度調整剤
等からなる組成であり,予め,発泡剤の分解温度以下で
シート状に加工されたものであって,塩化ビニル樹脂が
セミゲル状態にあり,次の加熱工程において,120〜
200℃で発泡し,エポキシ樹脂の架橋反応により硬化
し得るものである。ここで塩化ビニル樹脂がセミゲル状
態にあるとは,エポキシ樹脂の硬化反応は無視しうる程
度であり,塩化ビニル樹脂のみが,可塑剤が内部に浸透
し,ゲル化が始まっている状態を指称するものであり,
このようにセミゲル状態にすることにより,シート形状
が保持され取扱が容易になる。
【0007】本発明に使用される塩化ビニル樹脂として
は,塩化ビニル単独重合体のみならず,酢酸ビニル,ア
クリル酸,メタアクリル酸,アクリル酸エステル,メタ
アクリル酸エステル,マレイン酸,フマル酸,マレイン
酸エステル,フマル酸エステル,イタコン酸,塩化ビニ
リデン,ビニルエーテル等との共重合体も使用すること
ができる。塩化ビニル重合体および塩化ビニル共重合体
は,乳化重合,懸濁重合等の公知の重合方法で製造した
ものが使い得るが,特に,ペースト用の乳化重合または
マイクロ懸濁重合等で製造したものがシート化の容易
さ,発泡時の気泡構造の観点から好ましい。
【0008】可塑剤としては,ジオクチルフタレート,
ジブチルフタレート等のフタル酸エステル,トリクレジ
ルフォスフェート等のリン酸エステル,ジオクチルアジ
ペート,ジオクチルセバケート等の脂肪酸エステル,ア
ジピン酸とエチレングリコールとの縮合体であるような
ポリエステル類,トリオクチルトリメリテート等のトリ
メリット酸エステル,塩素化パラフィン,アルキルベン
ゼン,アロマチック等の公知の塩化ビニル用可塑剤を単
独または混合して使用することができる。可塑剤の添加
量は特に限定するものではないが,塩化ビニル樹脂10
0重量部に対し10〜100重量部の範囲で使用するの
が好ましい。添加量が10重量部以下では,その他の添
加剤の量にもよるが,発泡倍率が向上しない。また,1
00重量部以上では,弾性率が低くなり剛性を向上させ
る効果が低減する。
【0009】発泡剤は,高温分解型の有機または無機の
発泡剤,高温膨張型マイクロカプセル等が用いられる
が,その好ましいガス発生温度は,車両の塗装乾燥工程
の加熱を利用することを考慮すれば100〜200℃で
ある。また,ガス発生温度が100℃以下の場合はシー
トのセミゲル化時に発泡が始まったり,加熱,発泡時に
樹脂の溶融が不充分なため発生ガスが抜けることにより
発泡倍率が向上しない場合が生じる。また,200℃を
越えると該組成物の加工温度が高くなりすぎ,劣化が生
じたりして品質の良好な発泡体が得られ難くなる。この
ような有機発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミ
ド,p−トルエンスルホニルヒドラジド,ジニトロソペ
ンタメチレンテトラミン,4,4’−オキシビスベンゼ
ンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。これらの有機
発泡剤のガス発生温度は,尿素,亜鉛化合物,鉛化合物
等の添加により任意に調整することができる。また,無
機発泡剤としては,例えば炭酸水素ナトリウム,水素化
ホウ素ナトリウム等が,高温膨張型マイクロカプセルと
しては,例えば塩化ビニリデン樹脂で低沸点炭化水素を
カプセル化したもの等が挙げられるが,発泡倍率や経済
性等の観点からは有機発泡剤が好適である。これらの発
泡剤は1種で用いてもよいし,2種以上を組み合わせて
もよく,その添加量は目的とする発泡倍率等により決定
されるが前記塩化ビニル樹脂100重量部に対して0.
5〜15重量部の範囲で添加するのが好ましい。添加量
が0.5重量部以下では発泡倍率が低く,15重量部以
上ではその添加量の割には発泡倍率が向上せず,経済的
に不利となるからである。さらに,均一な気泡径を得る
ためにはこれらの発泡剤の粒子径は小さいものの方が有
利であり,発泡剤の平均粒子径は20μm以下,好まし
くは1μm以下の粒径分布の均一なものが好ましい。
【0010】また,本発明におけるスペーサー層の組成
物においては,前記塩化ビニル樹脂100重量部に対し
て20〜500重量部のエポキシ樹脂が用いられる。こ
のエポキシ樹脂としては,例えばビスフェノールA,ビ
スフェノールFまたはレゾルシンをベースとするグリシ
ジルエーテル,フェノールノボラック樹脂またはクレゾ
ールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル,水素化
ビスフェノールAのグリシジルエーテル,グリシジルア
ミン,線状脂肪族エポキシド等が挙げられ,好ましいエ
ポキシ当量としては100〜300のものである。これ
らのエポキシ樹脂は所望する発泡体の物性に応じて単独
または組み合わせて使用することができ,その添加量は
塩化ビニル樹脂100重量部に対して20〜500重量
部,好ましくは50〜200重量部である。添加量が2
0重量部以下では可塑剤等,他の添加剤との関係もある
が,スペーサーの機能を発揮するに充分な弾性を保持す
る発泡体が得難く,500重量部を越えると硬化反応時
の発熱が大きくなり,塩化ビニルの分解を招いたり,発
泡剤の発生ガスによる膨張を抑制することにより,高倍
率の発泡体を得難く成るなどの不都合が生じる。
【0011】さらに,本発明のスペーサー組成物におい
ては,エポキシ樹脂用硬化剤が用いられる。このエポキ
シ樹脂用硬化剤はエポキシ樹脂との組み合わせで発熱ピ
ーク温度が100〜200℃の範囲にあるものが好まし
く,このようなものとしては,例えば,ジシアンジアミ
ド,4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン,2−n
−ヘプタデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導
体,イソフタル酸ジヒドラジド,N,N’−ジアルキル
尿素誘導体,N,N’−ジアルキルチオ尿素誘導体,テ
トラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物,イソホロジ
アミン,N−アミノエチルピペラジン ,三フッ化ホウ
酸錯化合物等が挙げられる。これらの硬化剤は,1種類
で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いても
よい。また,その添加量は,一般には前記エポキシ樹脂
に対し,0.5〜20重量%である。0.5重量%以下
ではエポキシ樹脂の硬化が不充分なときがあり,その場
合は発泡体の弾性率が向上せず,本発明構造体は所望す
る剛性の向上が図れない。また,20重量%以上を添加
しても,その添加量の割りには発泡体の弾性率は向上せ
ず,経済的,技術的意味がなくなる。
【0012】また,本発明におけるスペーサー組成物に
おいては,前記必須成分の他に初期の混合を容易にした
り、充填剤等の添加量を増加させる等の目的でエポキシ
樹脂用希釈剤を添加しても勿論構わない。この希釈剤と
しては,例えばブチルグリシジルエーテル,フェニルグ
リシジルエーテル,クレジルグリシジルエーテル等の反
応性希釈剤や,ジブチルフタレート,トリクレジルフォ
スフェート,ブチルベンジルフタレート,アロマティッ
クプロセスオイル,パインオイル等の非反応性希釈剤を
挙げることができる。これらの希釈剤は,通常前記エポ
キシ樹脂に対して5〜100重量%の範囲で選択され
る。さらに本発明におけるスペーサー組成物において
は,前記成分の他に,例えば炭酸カルシウム,タルク,
クレーのような充填剤,塩化ビニル用熱安定剤,気泡調
整剤および着色剤等が添加できる。前記配合剤の添加量
は.通常,塩化ビニル樹脂100重量部に対し,充填剤
は0〜200重量部,塩化ビニル用熱安定剤は1〜10
重量部,気泡調整剤は0〜10重量部の範囲である。充
填剤が200重量部以上添加されると,発泡体の気泡の
微細性が失われたり,発泡倍率が向上しなくなる。熱安
定剤や気泡調整剤は10重量部以上添加しても,その効
果は上がらない。本発明におけるスペーサー組成物は,
塩化ビニル樹脂に可塑剤,発泡剤,エポキシ樹脂,エポ
キシ樹脂用硬化剤のほか,必要に応じてエポキシ樹脂用
希釈剤,充填剤,塩化ビニル用熱安定剤,着色剤等を加
え,通常知られている混練機により均一化,調整され
る。かかるスペーサー層の発泡倍率は2〜30倍,好ま
しくは5〜10倍である。発泡倍率が2倍以下のもの
は,勿論スペーサー層としての機能は果たしうるが,軽
量性の観点から本発明の主旨とするところではなく,3
0倍以上の発泡倍率にすると発泡体の気泡強度が不足
し,車両の使用部位によっては耐久性に問題が生じる可
能性がある。また,かかるスペーサー層の発泡前の厚さ
は,適用する振動基板の凹凸の有無および凹凸の深さと
発泡倍率にもよるが,振動基板に凹凸が無い場合は0.
2〜10mm,振動基板に凹凸がある場合は1.0〜1
0mmであり,好ましくは前者の場合は0.5〜5m
m,後者の場合は1.5〜5mmである。振動基板に凹
凸が無い場合,0.2mm以下の場合はスペーサーとし
ての有効な機能を果たし得ず,10mm以上の場合は,
その発泡倍率にもよるが,本発明の目的である車両用途
においては車内空間が狭くなり実用的でなくなるととも
に塗装乾燥工程を利用する場合には均質な発泡体が得ら
れなくなる。また,振動基板に凹凸が存在する場合にお
いては,その凹凸の深さ,発泡倍率にもよるが,1.0
mm以下の厚さでは発泡後の発泡体が振動基板の凹凸に
完全に充填せず部分的発泡体と振動基板との間に空隙が
残り,有効な振動減衰効果が得られない場合が生じる。
また,10mm以上の場合の不都合は,振動基板に凹凸
がある場合と同じである。
【0013】本発明の構造体に供せられる制振材シート
(II)は、本構造において制振機能を付与するとともにス
ペーサー層(I)と拘束材シート(III)のバインダーとして
の機能を付与するものであり、そのガラス転移温度(Tg)
が−20℃以下に調整されたポリアクリル酸エステルを
主成分とするものである。ここで用いるポリアクリル酸
エステルとは、そのガラス転移温度以外は特に限定され
るものではなく、単体でも構わないし、二種以上のポリ
アクリル酸エステルの共重合物あるいは混合物でも構わ
ない。またポリアクリル酸エステルを主成分とするとい
う意味は、該ポリマーは拘束材と発泡スペーサーとのバ
インダーとするために充分なタック力、ずり接着強度な
どの改良、耐熱性の改良のために他ポリマーなどと共重
合、ブレンドなどを行なった場合、その主構成のポリマ
ーであるポリアクリル酸エステルの成分が他の成分より
優位量含まれていることを意味する。また、このポリア
クリル酸エステルのガラス転移温度は−20℃以下に調
整されることが必要である。このガラス転移温度が−2
0℃以上の場合はポリアクリル酸エステルのタック力、
ずり接着強度などの拘束材と発泡スペーサー層間のバイ
ンダーとしての機能が不足することになり、別に接着処
理などが必要となるからである。なお、ガラス転移温度
の下限は、特に限定するものではないが、実用的なポリ
アクリル酸エステルの構造からみて−100℃程度であ
る。
【0014】ここで、ポリアクリル酸エステルのガラス
転移温度が−20℃以下に調整されるということは,ポ
リアクリル酸エステルのガラス転移温度が−20℃以下
であるか、あるいは−20℃以上のポリアクリル酸エス
テルにトリクレジルフォスフェート(TCP),アセチ
ルトリブトキシサイレート(ATBC),ジオクチルフ
タレート(DOP),ジオクチルアジペート(DO
A),ジブチルフタレート(DBP),ブチルベンジル
フタレート(BBP)などのポリアクリル酸エステルと
相溶性のある可塑剤などを添加してガラス転移温度を−
20℃以下にしてもよい。これらのポリアクリル酸エス
テルとしてはポリアクリル酸メチル,ポリアクリル酸エ
チル,ポリアクリル酸2エチルヘキシル,ポリアクリル
酸n−オクチルなどのポリアクリレート類,ポリメタア
クリル酸n−ブチル,ポリメタアクリル酸n−テトラデ
シルなどのポリメタクリレート類などが挙げられる。本
制振材シートの厚みは特に限定するものではないが,車
両用の構造として形成されることおよび補強材としての
機能を付与することを考慮すると,1.0mm以下、好
ましくは0.5〜0.05mmである。本制振材シート
は比較的弾性率が低いため、1.0mm以上の厚みで
は、撓みに対する抵抗性、すなわち剛性を充分に発現さ
せることができなくなるとともに、軽量化にも反するこ
とになる。また、厚さの割りには効果的な損失係数が得
られない。ただし,損失係数を効果的に発現させるため
には,少なくとも0.05mm,望ましくは0.1mm
以上の厚さが必要でる。本発明の制振材シートの組成に
おいては,前記組成物の他に,制振材としての機能を損
なわず,車両用のパネルなどの成形時の支障あるいは使
用時に支障が無い限り成形性,接着強度,耐久性などの
改良の目的で軟化剤,タッキファイヤーを始め炭酸カル
シウム,タルク,クレーなどの無機充填剤,ハロゲン化
合物,酸化アンチモン,ホウ酸亜鉛水和物などの難燃
剤,熱安定剤,紫外線防止剤,酸化防止剤,架橋剤など
の添加剤を使用することができる。
【0015】本発明の構造体に供される拘束材シート(I
II)は制振材シート(II)の振動による変形を拘束し,制
振材シートに剪断変形を作用させることにより構造体に
大きな損失係数を付与するとともに,撓み変形に対する
抵抗,すなわち剛性を付与するものである。かかる,拘
束材シートに供する材料は,弾性率が高く,且つ車両用
材料としての機能を損なわないものが好ましい。このよ
うな条件を満足する材料としては,金属シートが最適で
あり,特にアルミニウムプレートは入手の容易さ,防錆
性,加工性等の観点から好適である。また,その厚さ
は,所望する損失係数や剛性により変わり得るが,0.
05〜1mmの範囲,好ましくは0.1〜0.5mmで
充分である。0.05mm以下の場合は,拘束材シート
としての機能が充分に発現せず,また破損等の強度上の
問題も生じる。また,1mm以上の場合は,重量が高く
なり本発明の主旨の一つである軽量性に反することにな
るとともに,取扱性,経済性が悪くなる。
【0016】以上のような本発明に関する構造体の製造
は,スペーサーシート層(I),制振材シート(II),拘束
材シート(III)を積層し,前記スペーサーシートがセミ
ゲル化する温度で加熱し接着積層してもよく,予めスペ
ーサーシートを加熱してセミゲル化させ,制振材シート
及び拘束材シートを必要に応じて公知の接着剤を用いて
接着積層してもよい。また,本発明に関する複合構造体
は前記各々を個別に車両の振動基板に載置し加熱により
発泡スペーサーシート層(I)および制振材シート(II)の
粘着性を利用して貼り合わせて本構造体を形成し車両の
振動基板に取り付けても構わない。
【0017】
【発明の効果】本発明に係る制振構造体は,車両のドア
パネル,フェンダーパネル,トランクリッドあるいは天
井パネル等の振動基板上に取り付け,加熱により各層お
よび振動基板に強固に固定させるとともにスペーサーの
発泡により軽量で優れた制振性、剛性および補強性を持
つ複合構造体となり,車両等の騒音低減材料として好適
に用いられる。
【0018】
【実施例】以下,本発明を実施例および比較例により説
明する。なお,供した材料及び試験方法は次のとおりで
ある。 (1)試験材料 発泡性熱硬化樹脂シート(スペーサー層):表1に示す
配合比で発泡性熱硬化樹脂組成物をホバートミキサーで
20分間混合して作製した後、剥離紙上に所定の厚さを
塗布した。これを120℃で100秒間加熱し,セミゲ
ル化シートを作製した。 制振材シート:表2に示す配合比の制振材組成物を溶剤
(トルエン)に溶かし,50%溶液とした。これを剥離
紙上に所定の厚さで塗布したのち乾燥し溶剤を除去し
た。なお,比較例としてアスファルト系制振材を使用し
た。 拘束材シート:実施例,比較例を通じ,すべて板厚0.
2mmのアルミニウム板を使用した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】(2)試験体の製造方法 (1)で成形した未発泡のセミゲル化シート,制振材シー
ト,拘束材シートを1.0mmの板厚の鋼板の上に載置
し,表3(実施例),表4(比較例)に示す構成の試験
用構造体を作製した後、これを140℃の雰囲気で30
分加熱して各々のシート間の接着固定を行うとともに,
発泡性熱硬化樹脂の発泡を併せて行なった。このときの
試験体寸法は30×300mmであった。
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】(3)試験方法 構造体の損失係数,剛性比 上記試験体を用いて損失係数と剛性比を20,40,6
0℃の雰囲気で測定した。損失係数は,機械インピーダ
ンスの共振周波数における半幅値から算出し,内挿法に
より200Hzの損失係数として求めた。なお,測定周
波数範囲は1〜1000Hzである。剛性の算出は,振
動基板の剛性に対する比の形,すなわち剛性比で次の式
1により算出した。
【0025】
【式1】 剛性比=(f/f02・{(m1+m2)/m1} ここで、f0:鋼板単体のときの共振周波数(Hz) f:複合構造体としたときの共振周波数(Hz) m1:鋼板単体のときの面密度(kg/m2) m2:複合構造体としたときの面密度(kg/m2) f:複合構造体としたときの共振周波数(Hz) である。
【0026】 ガラス転移温度 ポリアクリル酸エステルのガラス転移温度は,セイコー
電子工業製の示差熱分析計(形式DSC220)を用い
て,吸熱曲線から求めた。昇温速度は5℃/分である。
上記各試験による実施例の評価結果を表5に、比較例の
評価結果を表6に示す。
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】 凹凸充填性試験 スペーサー層,制振材シート,拘束材シートを図1(a)
正面図,(b)側面図に示す凹凸形状を持つ鋼板上に載置
し145℃,30分で加熱,発泡と各シート間の融着を
行うとともに,発泡層の凹部への充填性を見た。評価は
次の基準に従って判定した。なお,凹凸形状の波の高さ
は7.8mmであり,試験体寸法は20×250mmで
ある。 ◎ : 完全に気泡体は凹部に充填している。 ○ : 凹部のコーナー部にわずかな隙間が観察される
が、ほぼ完全に充填している。 △ : 凹部のコーナー部に隙間が観察されるが、実用
上差し障りのない程度である。 × : 殆ど発泡体が凹部に充填していない。 ××: 完全に発泡体が凹部に充填していない。 結果を前記表5及び表6に併載した。
【0030】表5及び表6に見られる如く,本願発明に
係る構造体は,制振性(損失係数),剛性(剛性比),
凹凸充填性が何れも優れているのに対し,比較例に係る
構造体は制振性が何れも悪く,剛性においても比較例6
に係る構造体を除き何れも悪く,かつ凹凸充填性におい
ても比較例3に係る構造体を除き,何れも悪い。
【図面の簡単な説明】
【図1】制振構造体の凹凸充填性試験に用いた凹凸波形
状の鋼板の(a)正面図,(b)側面図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両における振動基板上に積層される発
    泡性熱硬化性樹脂シートよりなるスペーサー層(I)と該
    スペーサー層上に積層される制振材シート(II)および該
    制振材シート上に積層される拘束材シート(III)より構
    成され,前記スペーサー層(I)が塩化ビニル樹脂,エポ
    キシ樹脂,エポキシ樹脂用硬化剤,可塑剤,発泡剤を必
    須成分とし,塩化ビニル樹脂100重量部に対しエポキ
    シ樹脂が20〜500重量部であり,前記制振材シート
    (II)が−20℃以下に調整されたガラス転移温度度(Tg)
    を有するポリアクリル酸エステルを主成分としたシート
    よりなり,及び前記拘束材シート(III)が金属シートで
    あることを特徴とする車両用制振構造体。
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